JP2020105505A - 熱伝導性、電気絶縁性に優れたフィルム - Google Patents

熱伝導性、電気絶縁性に優れたフィルム Download PDF

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竹谷  豊
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Abstract

【課題】熱伝導性、電気絶縁性に優れたフィルムの提供。【解決手段】熱可塑性樹脂(A)55〜85体積%と、アスペクト比が3.0以下である熱伝導性フィラー(B)45〜15体積%とを含有し、フィルムの伝導率が少なくとも0.3W/(m・K)であり、熱可塑性樹脂(A)がポリエステル樹脂および/またはポリアミド樹脂であることを特徴とする熱伝導性フィルム、および、熱伝導性フィラー(B)が、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウムおよび窒化アルミニウムからなる群より選ばれた少なくとも1種以上であることを特徴とする前記熱伝導性フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、熱伝導性、電気絶縁性に優れたフィルムに関するものである。
近年の電子機器の高性能化、小型化および軽量化にともない、発生する熱を効率的に外部に放熱させることが非常に重要な課題となっている。モーターや電子基板等に用いられる電気絶縁材料には、従来、ポリエステル等に代表される熱可塑性樹脂フィルム等が用いられてきたが、近年、発電や使用時の発熱量が大きくなり、モーター出力の低下や、処理能力の低下が問題となっており、放熱性を有するフィルムが求められている。樹脂に放熱性を付与する方法としては、熱伝導性フィラーを配合することが知られている。しかしながら、高い放熱性を得るためには大量の熱伝導性フィラーを配合する必要があるため、得られるフィルムの強度や伸度が低下したり、弾性率が高くなりヒートシンクとの密着性が低下したり延伸加工性が低下したりする問題がある。
このような問題を解決する方法として、特許文献1〜3に、無機粒子を配合し、熱伝導率を向上させたポリエステルフィルムが開示されている。しかしながら、特許文献1〜3のフィルムは、熱伝導率が十分ではなく、用途が制限されていた。
特開2017−66391号公報 国際公開2016/139992号パンフレット 特表2018−517807号公報
本発明は上記課題を解決するものであって、熱伝導性、電気絶縁性に優れたフィルムを提供することを目的とするものである。
本発明者は、このような課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリエステル樹脂および/またはポリアミド樹脂と特定の熱伝導性フィラーとを特定量配合して製膜することにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)熱可塑性樹脂(A)55〜85体積%と、アスペクト比が3.0以下である熱伝導性フィラー(B)45〜15体積%とを含有し、フィルムの伝導率が少なくとも0.3W/(m・K)であり、熱可塑性樹脂(A)がポリエステル樹脂および/またはポリアミド樹脂であることを特徴とする熱伝導性フィルム。
(2)熱伝導性フィラー(B)が、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウムおよび窒化アルミニウムからなる群より選ばれた少なくとも1種以上であることを特徴とする(1)に記載の熱伝導性フィルム。
(3)熱可塑性樹脂(A)が、ポリアミド樹脂であることを特徴とする(1)または(2)に記載の熱伝導フィルム。
(4)熱伝導性フィルムが少なくとも一軸方向に延伸されてなることを特徴とする(1)〜(3)いずれか記載の熱伝導性フィルム。
(5)延伸加工する際の温度条件が、(熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度+15℃)〜(熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度+70℃)であることを特徴とする(1)〜(4)いずれかに記載の熱伝導性フィルムの製造方法。
本発明によれば、熱伝導性、電気絶縁性に優れたフィルムを提供することができる。
本発明の熱伝導性フィルムは、熱可塑性樹脂(A)と、熱伝導性フィラー(B)とから構成される。
本発明に用いる熱可塑性樹脂(A)は、ポリエステル樹脂および/またはポリアミド樹脂である。
本発明に用いるポリエステル樹脂としては、ジカルボン酸成分とジオール成分とから構成されるポリエステル樹脂や、ヒドロキシカルボン酸成分から構成されるポリエステル樹脂や、ジカルボン酸成分とジオール成分とヒドロキシカルボン酸成分とから構成されるポリエステル樹脂が挙げられる。
ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAやビスフェノールSのエチレンオキシド付加体が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸成分としては、例えば、ε−カプロラクトン、乳酸、4−ヒドロキシ安息香酸が挙げられる。ポリエステル樹脂は、上記成分からなるホモポリマーであってもよいし、コポリマーであってもよい。また、ポリエステル樹脂は、さらに、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3官能化合物成分を少量含有してもよい。
ポリエステル樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)や、2,6−ナフタレンジカルボン酸とポリエチレンナフタレート(PEN)が挙げられる。
ポリエステル樹脂の極限粘度は、溶融押出しによりフィルム化することができれば特に限定されないが、極限粘度が低すぎると、フィルム化できない場合がある。ポリエステル樹脂は、フェノール/テトラクロルエタン=1/1(質量比)の混合溶媒を用いて25℃で測定した時の極限粘度が、0.4(dL/g)以上であることが好ましい。
本発明に用いるポリアミド樹脂としては、ラクタム成分から構成されるポリアミド樹脂、ω−アミノ酸成分から構成されるポリアミド樹脂、二塩基酸成分とジアミン成分とから構成されるポリアミド樹脂が挙げられる。ラクタム成分としては、例えば、ε−カプロラクタム、ω−ヘプタラクタム、ω−オクタラクタム、ラウリルラクタムを挙げることができる。ω−アミノ酸成分としては、例えば、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸を挙げることができる。二塩基酸成分としては、例えば、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカジオン酸、ヘキサデカジオン酸、エイコサンジオン酸、エイコサジエンジオン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、キシリレンジカルボン酸を挙げることができる。ジアミン成分としては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、2,2,4(または2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジアミン、シクロヘキサンジアミン、ビス−(4,4’−アミノシクロヘキシル)メタン、メタキシリレンジアミン、ノナンジアミン、デカンジアミンを挙げることができる。ポリアミド樹脂は、上記成分からなるホモポリマーであってもよいし、コポリマーであってもよい。一般的に、ポリアミド樹脂は、ポリエステル樹脂と対比して熱伝導率に優れるため好ましい。
ポリアミド樹脂の具体例としては、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリペンタメチレンセバカミド(ポリアミド510)、ポリウンデカミド(ポリアミド11)、ポリドデカミド(ポリアミド12)、ポリテトラメチレンテレフタルアミド(ポリアミド4T)、ポリテトラメチレンイソフタルアミド(ポリアミド4I)、ポリテトラメチレンテレフタルアミド/ポリテトラメチレンイソフタルアミド(ポリアミド4T/4I)、ポリテトラメチレンナフタルアミド(ポリアミド4N)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ポリアミド69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド6I)、ポロヘキサメチレンナフタルアミド(ポリアミド6N)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミド6T/6I)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリカプロアミド(ポリアミド66/ポリアミド6)、ポリカプロアミド/ポリドデカミド(ポリアミド6/ポリアミド12)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミド6/ポリアミド6T)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド6/ポリアミド6I)、ポリカプロアミド/ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミド6/ポリアミドMXD6)、ポリノナンメチレンテレフタルアミド(ポリアミド9T)、ポリノナンメチレンイソフタルアミド(ポリアミド9I)ポリノナンメチレンテレフタルアミド/ポリノナンメチレンイソフタルアミド(ポリアミド9T/9I) ポリノナンメチレンナフタルアミド(ポリアミド9N)、ポリデカンメチレンテレフタルアミド(ポリアミド10T)、ポリデカンメチレンイソフタルアミド(ポリアミド10I)、ポリデカンメチレンテレフタルアミド/ポリデカンメチレンイソフタルアミド(ポリアミド10T/10I)、ポリデカンメチレンナフタルアミド(ポリアミド10N)、ポリウンデカンメチレンテレフタルアミド(ポリアミド11T)、ポリウンデカンメチレンイソフタルアミド(ポリアミド11I)、ポリウンデカンメチレンテレフタルアミド/ポリウンデカンメチレンイソフタルアミド(ポリアミド11T/11I)、ポリウンデカンメチレンナフタルアミド(ポリアミド11N)、ポリドデカンメチレンテレフタルアミド(ポリアミド12T)、ポリドデカンメチレンイソフタルアミド(ポリアミド12I)、ポリドデカンメチレンテレフタルアミド/ポリドデカンメチレンイソフタルアミド(ポリアミド12T/12I)、ポリドデカンメチレンナフタルアミド(ポリアミド12N)などが挙げられる。中でも、耐熱性、低吸水性に優れることから、テレフタル酸やナフタレンジカルボン酸等を用いた半芳香族ポリアミドが好ましい。
ポリアミド樹脂の極限粘度は、溶融押出しによりフィルム化することができれば特に限定されないが、0.8〜2.0dl/gであることが好ましく、0.9〜1.8dl/gであることがより好ましい。ポリアミド樹脂の極限粘度をこの範囲とすることで、力学的特性が優れたフィルムを得ることができる。
本発明の熱伝導性フィルムにおいて、熱可塑性樹脂(A)の含有量は、55〜85体積%とすることが必要であり、60〜80体積%とすることが好ましい。熱可塑性樹脂(A)の含有量が55体積%未満の場合、機械的強度や絶縁破壊強さが低下したり、延伸加工の際に空隙が発生して熱伝導率が低下する場合があるので好ましくない。一方、熱可塑性樹脂(A)の含有量が85体積%を超える場合、十分な熱伝導性を付与できないので好ましくない。
本発明に用いる熱伝導性フィラー(B)としては、電気絶縁性であって熱伝導性を向上させるものであれば特に限定されないが、例えば、シリカ、タルク、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素が挙げられる。中でも、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化アルミニウムが好ましい。熱伝導性フィラー(B)は、上記のうち1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
本発明の熱伝導性フィルムは、厚み方向の熱伝導性に優れるため、用いる熱伝導性フィラー(B)の形状としては、球状や立方体状のように縦/横のアスペクト比が小さいものが好ましい。熱伝導性フィラー(B)のアスペクト比は、3.0以下であることが必要で、2.0以下があることが好ましい。アスペクト比が3.0を超える場合、シート押出加工や、フィルム延伸加工の際にフィラーが流れ方向(面方向)に配列し、厚み方向の熱伝導率が低下するので好ましくない。なお、本発明においては、走査型電子顕微鏡を用いて1000〜6000倍に拡大したフィラー粒子画像から、無作為に抽出した20個の縦/横の長さ(偏平形状の場合は長さ/厚み)を計測し、その平均値をアスペクト比とする。
熱伝導性フィラー(B)の平均粒径は、0.5〜30μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましい。熱伝導性フィラー(B)の平均粒径が0.5μm未満の場合、分散不良により凝集塊が生じやすくなり、均一なフィルムが得られなかったり、延伸加工の際に空隙が発生したりして熱伝導率が低下する場合がある。一方、熱伝導フィラーの平均粒径が30μmを超える場合、フィルムの表面平滑性が低下したり、機械的強度や絶縁破壊強さが低下したりする場合がある。
熱伝導性フィラー(B)は、熱可塑性樹脂(A)との密着性を向上させるため、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤等により表面処理を施してもよい。シラン系カップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルジメトキシメチルシラン等のアミノシラン系カップリング剤、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリリシドキシプロピルエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン系カップリング剤が挙げられる。チタン系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネートが挙げられる。カップリング剤は、上記のうち1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
本発明の熱伝導性フィルムにおいて、熱伝導性フィラー(B)の含有量は、15〜45体積%とすることが必要であり、20〜40体積%とすることが好ましい。熱伝導性フィラー(B)の含有量が15体積%未満の場合、十分な熱伝導性を付与できないので好ましくない。一方、熱伝導性フィラー(B)の含有量が45体積%を超える場合、機械的強度や絶縁破壊強度が低下したり、延伸加工の際に空隙が発生して熱伝導率が低下する場合があるので好ましくない。
本発明の樹脂組成物の熱伝導率は、目的とする最終製品の要求性能によって適宜設計すればよいが、0.3W/(m・K)以上であることが必要で、0.5W/(m・K)以上であることが好ましい。熱伝導率が0.3W/(m・K)未満の場合、熱伝導性が十分ではなく、用途が限定されるので好ましくない。
本発明の樹脂組成物の電気絶縁性の目安となる絶縁破壊強さは、目的とする最終製品の要求性能によって適宜設計すればよいが、80(kV/mm)以上であることが好ましく、100(kV/mm)以上であることがより好ましい。絶縁破壊強さが80(kV/mm)未満の場合、電気絶縁性が十分ではなく、用途が限定される場合がある。
本発明の熱伝導性フィルムには、本発明の効果を損なわない範囲において、各種添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、顔料・染料等の着色剤、着色防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、耐候性改良剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、強化剤、改質剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、防曇剤、各種ポリマーが挙げられる。熱安定剤や酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物が挙げられる。
本発明の熱伝導性フィルムは、未延伸フィルムでもよく、また未延伸フィルムを少なくとも一軸方向に延伸した延伸フィルムでもよい。未延伸フィルムを製造する場合は、未延伸フィルムの製膜後に、連続しておこなってもよいし、一旦巻き取った未延伸フィルムを巻きだしておこなってもよい。
未延伸フィルムの製造方法は、特に限定されず、熱可塑性樹脂をフィルム化する公知の方法を適用することができる。例えば、熱可塑性樹脂と熱伝導性フィラーを押出機で溶融混練し、フィルターで濾過し、Tダイを用いてフィルム状に押出し、その後、冷却ロールやスチールベルト等の移動冷却体に接触させて冷却する方法が挙げられる。押出温度は、熱可塑性樹脂(A)の融点をTmとした場合、(Tm+5)〜(Tm+50℃)の範囲とすることが好ましく、(Tm+10℃)〜(Tm+40℃)の範囲とすることがより好ましい。押出温度が(Tm+50℃)を超える場合、熱可塑性樹脂の分解や熱劣化が促進される場合がある。一方、押出温度が(Tm+5℃)を下回る場合、押出機内部の流路で固化が発生したり、得られた未延伸フィルムに流れ不良に起因するスジが発生したりする場合がある。
未延伸フィルムの延伸方法は、一軸延伸、同時二軸延伸、逐次二軸延伸いずれであってもよいが、同時二軸延伸が好ましい。具体的には、ロール式一軸延伸法、テンター式逐次二軸延伸法、テンター式同時二軸延伸法、チューブラー延伸法等の公知の延伸方法が挙げられる。延伸倍率は、使用用途によって異なるが、ロール式一軸延伸法の場合、1.5〜5.0倍とすることが好ましく、1.8〜3.5倍とすることがより好ましい。テンター式二軸延伸法の場合、巻取方向(MD)は1.5〜5.0倍、巻取方向と直角の方向(TD)は1.5〜5.0倍とすることが好ましい。チューブラー延伸法の場合、MDは1.5〜4.0倍、TDは1.5〜4.0倍とすることが好ましい。延伸温度は、熱可塑性樹脂(A)のガラス転移点をTgとした場合、(Tg+15℃)〜(Tg+70℃)の範囲であることが好ましく、(Tg+20℃)〜(Tg+60℃)の範囲とすることがより好ましい。熱固定温度は、(Tm−5℃)〜(Tm−20℃)の範囲とすることが好ましく、(Tm−10℃)〜(Tm−15℃)とすることがより好ましい。熱固定時には、フィルムを把持したまま、必要に応じて1〜10%の弛緩処理をおこなうことが好ましく、3〜8%の弛緩処理をおこなうことがより好ましい。弛緩処理をおこなうことにより、熱収縮率を低減することができる。
本発明の熱伝導性フィルムは、熱伝導性、電気絶縁性に優れているため、自動車用材料、電気電子材料等に好適に使用できる。 特に、電子部品用粘着テープや、ソーラーモジュールのバックシート、モーターや電子基板等に用いられる電気絶縁材料に好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
A.評価方法
(1)熱可塑性樹脂の融点、ガラス転移温度
熱可塑性樹脂10mgを、示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製、「DSC−7」)を用いて、窒素雰囲気下で20℃から300℃まで10℃/分で昇温し(1st Scan)、300℃にて5分間保持した。その後、100℃/分で20℃まで降温し、20℃にて5分間保持後、300℃まで20℃/分でさらに昇温した(2nd Scan)。そして、2nd Scanで観測される結晶融解ピークのピークトップ温度を融点とし、ガラス転移に由来する2つの折曲点の温度の中間点をガラス転移温度とした。
(2)ポリエステル樹脂の極限粘度
フェノール/テトラクロルエタン=1/1(質量比)の混合溶媒にて、濃度0.5g/dl、25℃にて測定した。
(3)ポリアミド樹脂の極限粘度
濃硫酸中(硫酸濃度:96%)、30℃にて、0.05、0.1、0.2、0.4g/dlの各濃度の試料の還元粘度を求め、濃度を0g/dlに外挿した値を極限粘度とした。
(4)フィルムの平均厚み
厚み計(HEIDENHAIN社製、「MT12B」)を用い、フィルムの厚みを測定した。
(5)フィルムの比重、熱伝導率
熱拡散率α、比重ρおよび比熱Cpを下記方法により求め、その積として次式で算出した。
λ=αρCp
λ:熱伝導率(W/(m・K))
α:熱拡散率(m/sec)
ρ:比重(g/m
Cp:比重(J/(g・K))
熱拡散率αは、熱拡散率測定装置LFA467 HyperFlash(NETZSCH社製)を用いレーザーフラッシュ法にて測定した。サンプルの大きさは10mm角で、サンプル両面にブラックガードスプレーFC−153(ファインケミカル社製)を塗布し乾燥させた後、測定温度25℃にてフィルムの厚み方向の熱拡散率を測定した。
比重ρは、電子比重計SD−200L(アルファーミラージュ社製)を用いて、25℃条件下で測定した。
比熱Cpは、示差走査熱量計DSC−7(パーキンエルマー社製)を用い、JIS K 7123に従って、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
(6)フィルムの絶縁破壊強さ
JIS C 2110−1(短時間(急速昇圧)試験)に従って、昇圧速度500V/sの条件で測定した。
(7)フィルムの引張強度、引張弾性率
引張強度は、JIS K 7127に従って、温度20℃、湿度65%の環境下で測定した。
サンプルの大きさは10mm×150mm、チャック間の初期距離は100mm、引張速度を100mm/分とした。
B.原料
用いた原料は以下の通りである。
(A)熱可塑性樹脂
(A−1):ポリエステル樹脂の作製
エステル化反応器に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)のスラリー(TPA/EGモル比=1/1.6)を供給し、温度250℃、圧力50hPaの条件で反応させ、エステル化反応率95%の反応生成物(数平均重合度=5)を得た。TPAとEGの反応生成物55.5質量部を重合反応器に仕込み、重合触媒として二酸化ゲルマニウム0.008質量部、酢酸コバルト0.004質量部、ヒンダードフェノール系抗酸化剤(ADEDKA社製:アデカスタブAO−60)0.12質量部を、それぞれ加え、反応器を減圧にして60分後に最終圧力0.9hPa、温度280℃で4時間、溶融重合反応をおこない、熱可塑性樹脂(A−1)を得た。得られたポリマーの融点は255℃、ガラス転移点は79℃、極限粘度は0.69、比重は1.39であった。
(A−2):イソフタル酸共重合ポリエステル樹脂の作製
エステル化反応器に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)のスラリー(TPA/EGモル比=1/1.6)を供給し、温度250℃、圧力50hPaの条件で反応させ、エステル化反応率95%の反応生成物(数平均重合度=5)を得た。別のエステル化反応缶に、イソフタル酸(IPA)とエチレングリコールとからなるスラリー(IPA/EGモル比=1/3.1)を仕込み、温度200℃で3時間エステル化反応をおこない、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液を得た。TPAとEGの反応生成物55.5質量部を重合反応器に仕込み、続いて、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液6.1質量部、重合触媒として二酸化ゲルマニウム0.008質量部、酢酸コバルト0.004質量部、ヒンダードフェノール系抗酸化剤(ADEDKA社製:アデカスタブAO−60)0.12質量部を、それぞれ加え、反応器を減圧にして60分後に最終圧力0.9hPa、温度280℃で4時間、溶融重合反応をおこない、熱可塑性樹脂(A−2)を得た。得られたポリマーの融点は241℃、ガラス転移点は75℃、極限粘度は0.72、比重は1.38であった。
(A−3):ポリアミド樹脂の作製
790gの1,9−ノナンジアミン(NMDA)、790gの2−メチルー1,8−オクタンジアミン(MODA)、1627gの平均粒径80μmであるテレフタル酸(TPA)(NMDA:MODA:TPA=50:50:99、モル比)、48.2gの安息香酸(BA)(ジカルボン成分とジアミン成分の総モル数に対して4.0モル%)、3.2gの亜リン酸(ジカルボン成分とジアミン成分の合計量に対して0.1質量%)、1100gの水を反応装置に入れ、窒素置換した。さらに、80℃で0.5時間、毎分28回転で撹拌した後、230℃に昇温した。その後、230℃で3時間加熱した。その後冷却し、反応物を取り出した。該反応物を粉砕した後、乾燥機中において、窒素気流下、220℃で5時間加熱し、固相重合してポリマーを得た。そして、シリンダー温度320℃の条件下で溶融混練してストランド状に押し出した。その後、冷却、切断して、ペレット状の熱可塑性樹脂(A−3)を得た。得られたポリマーの融点は265℃、ガラス転移点は123℃、極限粘度は1.25、比重は1.14であった。
(A−4):ポリアミド樹脂の作製
790gの1,9−ノナンジアミン(NMDA)、790gの2−メチルー1,8−オクタンジアミン(MODA)、2117gの2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDA)(NMDA:MODA:NDA=50:50:99、モル比)、48.2gの安息香酸(BA)(ジカルボン成分とジアミン成分の総モル数に対して4.0モル%)、3.7gの亜リン酸(ジカルボン成分とジアミン成分の合計量に対して0.1質量%)、1100gの水を反応装置に入れ、窒素置換した。さらに、80℃で0.5時間、毎分28回転で撹拌した後、230℃に昇温した。その後、230℃で3時間加熱した。その後冷却し、反応物を取り出した。該反応物を粉砕した後、乾燥機中において、窒素気流下、220℃で5時間加熱し、固相重合してポリマーを得た。そして、シリンダー温度320℃の条件下で溶融混練してストランド状に押し出した。その後、冷却、切断して、ペレット状の熱可塑性樹脂(A−4)を得た。得られたポリマーの融点は279℃、ガラス転移点は136℃、極限粘度は1.22、比重は1.16であった。
(B)熱伝導性フィラー
B−1:DAM−03(DENKA社製、酸化アルミニウム)、平均粒径3μm、アスペクト比1.1、比重3.98
B−2:DAM−07(DENKA社製、酸化アルミニウム)、平均粒径9μm、アスペクト比1.1、比重3.98
B−3:DAM−20(DENKA社製、酸化アルミニウム)、平均粒径20μm、アスペクト比1.1、比重3.98
B−4:マグサーモMS−L(神島化学社製、炭酸マグネシウム)、平均粒径8μm、アスペクト比1.3、比重3.04
B−5:MIN−U−SIL−15(林化成社製、結晶シリカ)、平均粒径4.8μm、アスペクト比2.1、比重2.30
B−6:UHP−1K(昭和電工社製、窒化ホウ素)、平均粒径8μm、アスペクト比14、比重2.27
実施例1
熱可塑性樹脂(A−1)58質量%と熱伝導性フィラー(B−1)42質量%をドライブレンドし、その混合物を、二軸押出機(東芝機械製:TEM26SS、スクリュ径26mm)の主ホッパーに供給し、((A−1)の融点+25℃)で溶融し、十分に溶融混練しストランド状に押出して冷却固化した後、それをペレタイザーでカッティングして樹脂組成物のペレットを得た。
上記で得られたペレットを、加熱乾燥し、水分率を200ppm以下とした。
また、得られたペレットの(A−1)/(B−1)の体積比率は、80/20であった。
水分率200ppm以下としたペレットを用い、シリンダーを((A−1)の融点+25℃)とした一軸押出機(スクリュー径50mm)で溶融し、Tダイより溶融ポリマーをフィルム状に押出し、フィルム状の溶融物とした。該溶融物を10℃に設定した冷却ロール上に静電印加法により密着させて冷却し、未延伸フィルム(平均厚み:50μm)を得た。
実施例2〜4、比較例1〜6
組成を表1に示すように変更する以外は実施例1と同様の操作をおこなって、未延伸フィルムを得た。
未延伸フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例5
実施例1と同様の手順で得られた未延伸フィルムを用い、未延伸フィルムの両端をクリップで把持しながら、テンター方式同時二軸延伸機にて、二軸延伸をおこなった。予熱温度は((A−1)の融点+21℃)、延伸温度は((A−1)の融点+21℃)、MDの延伸歪み速度は1904%/分、TDの延伸歪み速度は3286%/分、MDの延伸倍率は2.5倍、TDの延伸倍率は2.5倍であった。延伸に引き続いて、二軸延伸機の同じテンター内で((A−1)の融点−15℃)にて熱固定をおこない、TDに8%のリラックス処理を施し、平均厚み50μmの延伸フィルムを得た。
実施例6〜16、比較例7〜14
組成および製造条件を表2に示すように変更する以外は実施例5と同様の操作をおこなって、延伸フィルムを得た。
延伸フィルムの延伸条件および評価結果を表2に示す。
実施例1〜16のフィルムは、本発明の要件を満たしていたため、熱伝導率が高く、絶縁破壊強さが高かった。
比較例1、2、4、5のフィルムは、熱伝導性フィラーが配合されていなかったか、配合量が少なすぎたため、熱伝導率が低かった。
比較例3、6のフィルムは、熱伝導性フィラーの配合量が多すぎたため、絶縁破壊強さが低かった。
比較例7、8、10、12のフィルムは、熱伝導性フィラーが配合されていなかったか、配合量が少なすぎたため、熱伝導率が低かった。
比較例9、11のフィルムは、熱伝導性フィラーの配合量が多すぎたため、延伸加工により空隙が発生し、熱伝導率、絶縁破壊強さが低かった。
比較例13、14のフィルムは、熱伝導性フィラーのアスペクト比が大きかったため、熱伝導率が低かった。

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂(A)55〜85体積%と、アスペクト比が3.0以下である熱伝導性フィラー(B)45〜15体積%とを含有し、フィルムの伝導率が少なくとも0.3W/(m・K)であり、熱可塑性樹脂(A)がポリエステル樹脂および/またはポリアミド樹脂であることを特徴とする熱伝導性フィルム。
  2. 熱伝導性フィラー(B)が、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウムおよび窒化アルミニウムからなる群より選ばれた少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性フィルム。
  3. 熱可塑性樹脂(A)が、ポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱伝導フィルム。
  4. 熱伝導性フィルムが少なくとも一軸方向に延伸されてなることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の熱伝導性フィルム。
  5. 延伸加工する際の温度条件が、(熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度+15℃)〜(熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度+70℃)であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の熱伝導性フィルムの製造方法。
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