JP2020102375A - リチウムイオン二次電池の固体電解質用lisicon型結晶粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(式(1)中、xは0<x<1である数を示す。)
で表され、平均粒径が5nm〜70nmであり、かつBET比表面積が30m2/g以上である、固体電解質用LISICON型結晶粒子を提供するものである。
また、本発明は、次の工程(I)〜(III):
(I)リチウム化合物、ケイ酸化合物及びリン酸化合物からなる原料化合物の全てと、セルロースナノファイバー及び/又はリグノセルロースナノファイバーと、水とを混合して、25℃におけるpHが9〜14である混合液を調製する工程
(II)得られた混合液を100℃以上の水熱反応に付した後、セルロースナノファイバー及び/又はリグノセルロースナノファイバーが混在してなる水熱反応生成物を洗浄し、次いで乾燥して、セルロースナノファイバー及び/又はリグノセルロースナノファイバーが混在してなる前駆体混合物を得る工程
(III)得られたセルロースナノファイバー及び/又はリグノセルロースナノファイバーが混在してなる前駆体混合物を400℃〜1000℃で焼成する工程
を備える、固体電解質用LISICON型結晶粒子の製造方法を提供するものである。
本発明の製造方法により得られる固体電解質用LISICON型結晶粒子(以下、単に「LISICON型結晶粒子」とも称する)は、γ−Li3PO4(高温相)型の四面体とLiO6八面体により形成される骨格構造をもつLISICON型の結晶構造を有する酸化物であり、具体的には、下記式(1)で表される。
Li4-xSi1-xPxO4 ・・・(1)
(式(1)中、xは0<x<1である数を示す。)
(I)リチウム化合物、ケイ酸化合物及びリン酸化合物からなる原料化合物の全てと、セルロースナノファイバー及び/又はリグノセルロースナノファイバーと、水とを混合して、25℃におけるpHが9〜14である混合液を調製する工程
(II)得られた混合液を100℃以上の水熱反応に付した後、セルロースナノファイバー及び/又はリグノセルロースナノファイバーが混在してなる水熱反応生成物を洗浄し、次いで乾燥して、セルロースナノファイバー及び/又はリグノセルロースナノファイバーが混在してなる前駆体混合物を得る工程
(III)得られたセルロースナノファイバー及び/又はリグノセルロースナノファイバーが混在してなる前駆体混合物を400℃〜1000℃で焼成する工程
を備える。
セルロースナノファイバー(x1)とリグノセルロースナノファイバー(x2)は、共に優れた水への分散性を有している。工程(I)では、これらセルロースナノファイバー(x1)及びリグノセルロースナノファイバー(x2)を一方のみ用いてもよく、双方併用してもよい。
かかる工程(I)では、具体的には、リチウム化合物、ケイ酸化合物、CNF(X)及び水を含有する混合液(x−1)と、リン酸化合物及び水を含有する混合液(x−2)を各々調製した後、これらの混合液を混合して混合液(A)を調製する。これにより、得られる混合液(A)中には、化学組成の均質性が高く充分に小径化されてなる反応生成物、すなわちリン酸三リチウムと、原料化合物として添加されたケイ酸化合物とCNF(X)との混合物が含有されることとなり、次工程(II)における水熱反応生成物の微細化、ひいては工程(III)におけるLISICON型結晶粒子の微細化を効果的に図ることができる。
CNF(X)の含有量は、混合液(a−1)中の水100質量部に対し、好ましくは0.01質量部〜20質量部であり、より好ましくは0.05質量部〜15質量部であり、さらに好ましくは0.1質量部〜10質量部である。
この際、混合液(a−2)の混合液(a−1)への滴下速度は、10質量部の混合液(a−1)に対し、好ましくは0.1質量部/分〜0.4質量部/分であり、より好ましくは0.15質量部/分〜0.4質量部/分であり、さらに好ましくは0.2質量部/分〜0.35質量部/分である。混合液(a−2)を滴下する際の混合液(a−1)の撹拌速度は、反応容器内壁面での混合液(a−1)の流速に換算して、好ましくは10cm/秒〜200cm/秒であり、より好ましくは15cm/秒〜150cm/秒、さらに好ましくは20cm/秒〜100cm/秒である。
なお、混合液(A)中において、CNF(X)とともにこれらのリチウムリン酸塩及びリチウムケイ酸塩が生成され、混合物としてこれらが含有されてなることは、X線回折によって確認することができる。
さらに、上記撹拌方法を用いる際に、混合液(A)全体において均一に水熱反応を生じさせる観点から、反応容器内に邪魔板を設置したり、撹拌翼の回転方向やポンプの送液方向を間欠的に逆転したりすることによって、混合液(A)の流れに擾乱を生じさせるのが有効である。
CNF(X)のほぼ全てが焼失したことは、炭素・硫黄分析装置を用いて測定した炭素量で確認することができる。本発明のLISICON型結晶粒子の炭素量は、電子伝導性を低くしてリチウムイオン二次電池の固体電解質として用いても正極−負極間に短絡を生じさせない観点から、炭素・硫黄分析装置による測定値で、好ましくは0質量%〜0.5質量%であり、より好ましくは0質量%〜0.3質量%であり、さらに好ましくは0質量%〜0.1質量%である。
[0051]
また、本発明の製造方法により得られるLISICON型結晶粒子は、優れたリチウムイオン伝導性を発現させる観点から、水溶性不純物の含有量が極めて少なく、例えば、原料化合物として硫酸塩を用いた場合、得られるLISICON型結晶粒子中の水溶性不純物の含有量(SO3量)は、好ましくは500ppm以下であり、より好ましくは300ppm以下である。
LiOH・H2Oを12.72gと水40mLを混合して、スラリー(c−1)を得た。得られたスラリー(c−1)を、25℃の温度に保持しながら3分間撹拌しつつ85質量%のH3PO4を11.53g、35mL/分で滴下し、撹拌速度400rpmで1時間撹拌することにより、Li3PO4スラリー(c−2)を得た。次に、得られたLi3PO4スラリー(c−2)全量に対し、CoSO4・7H2Oを21.08g添加して、スラリー(c−3)とした後、これをオートクレーブに投入し、170℃で1時間の水熱反応を行った。オートクレーブ内の圧力は、0.8MPaであった。生成した水熱反応物をろ過し、次いで、水熱反応物1質量部に対して12質量部の水により洗浄した。洗浄した水熱反応物を−50℃で12時間凍結乾燥して、LiCoPO4正極活物質粒子(粒子径100nm)を得た。
水40mLにLiOH・H2O 4.50g、SiO2 0.90g、及びセルロースナノファイバー(Ama−10002、スギノマシン製、含水率98%)19.29gを混合して、混合液(a−1)1を得た。25℃における混合液(a−1)1のpHは13.5であった。次いで、得られた混合液(a−1)1を25℃の温度に保持しながら、撹拌速度200rpmで10分間撹拌した後、そのまま撹拌を継続している混合液(a−1)1に、85%H3PO4 1.73gを50mL/分で全量滴下して混合した後、さらに撹拌速度200rpmで30分間撹拌して混合液(A)1を得た。かかる混合液(A)1の25℃におけるpHは12、生成したセルロースナノファイバー、Li3PO4及びSiO2の合計含有量は5質量%であった。
得られたLISICON型結晶粒子X1は、Li3.5Si0.5P0.5O4単相であり、平均粒径は25nm、BET比表面積は45m2/gであった。得られたLISICON型結晶粒子X1のSEM写真を図1に、X線回折パターンを図2に示す。
LiOH・H2Oの添加量を5.01g、SiO2の添加量を1.62g、85%H3PO4の添加量を0.35gとした以外、実施例1と同様にしてLISICON型酸化物粒子X2を得た。
得られたLISICON型酸化物粒子X2は、Li3.9Si0.9P0.1O4単相であり、平均粒径は25nm、BET比表面積は45m2/gであった。
LiOH・H2Oの添加量を8.1g、SiO2の添加量を0.18g、85%H3PO4の添加量を3.11gとした以外、実施例1と同様にしてLISICON型酸化物粒子X3を得た。
得られたLISICON型酸化物粒子X3は、Li3.1Si0.1P0.9O4単相であり、平均粒径は25nm、BET比表面積は45m2/gであった。
水40mLにLi2CO3 11.38g、(NH4)H2PO4 2.30g、SiO2 1.20gを混合して、遊星ボールミルを用いて400rpmで4時間粉砕して前駆体混合物(B)を得た。得られた前駆体混合物(B)を空気雰囲気下900℃10時間焼成することにより、LISICON型結晶粒子Y1を得た。
得られたLISICON型結晶粒子Y1は、Li3.5Si0.5P0.5O4単相であり、平均粒径は500nm、BET比表面積は1m2/gであった。得られたLISICON型結晶粒子Y1のSEM写真を図3に、X線回折パターンを図4に示す。
実施例1〜3及び比較例1で得られたLISICON型結晶粒子X1〜X3及びY1を用い、全固体リチウムイオン二次電池を作製した。
具体的には、正極に製造例1で得られたLiCoPO4正極活物質粒子を用い、正極活物質:固体電解質(質量比)を75:25の配合割合で混合した後、プレス用冶具に投入して正極活物質層とした。さらに、その層上に実施例1〜3及び比較例1で得られたLISICON型結晶粒子のみをさらに投入して固体電解質層として積層させた後、ハンドプレスを用いて16MPaで2分間プレスして、φ14mmの円盤状の正極を得た。次いで、負極としてリチウム箔を固体電解質層側に取り付けることで、全固体リチウムイオン二次電池を作製した。
Claims (6)
- 式(1):Li4-xSi1-xPxO4 ・・・(1)
(式(1)中、xは0<x<1である数を示す。)
で表され、平均粒径が5nm〜70nmであり、かつBET比表面積が30m2/g以上である、固体電解質用LISICON型結晶粒子。 - 水溶性不純物の含有量が、500ppm以下である、請求項1に記載の固体電解質用LISICON型結晶粒子。
- 次の工程(I)〜(III):
(I)リチウム化合物、ケイ酸化合物及びリン酸化合物からなる原料化合物の全てと、セルロースナノファイバー及び/又はリグノセルロースナノファイバーと、水とを混合して、25℃におけるpHが9〜14である混合液を調製する工程
(II)得られた混合液を100℃以上の水熱反応に付した後、セルロースナノファイバー及び/又はリグノセルロースナノファイバーが混在してなる水熱反応生成物を洗浄し、次いで乾燥して、セルロースナノファイバー及び/又はリグノセルロースナノファイバーが混在してなる前駆体混合物を得る工程
(III)得られたセルロースナノファイバー及び/又はリグノセルロースナノファイバーが混在してなる前駆体混合物を400℃〜1000℃で焼成する工程
を備える、固体電解質用LISICON型結晶粒子の製造方法。 - 工程(III)における焼成が、大気雰囲気下又は酸素雰囲気下である、請求項3に記載の固体電解質用LISICON型結晶粒子の製造方法。
- 工程(II)において水熱反応生成物を洗浄するにあたり、水熱反応生成物の乾燥質量1質量部に対して5質量部〜50質量部の水を用いる、請求項3又は4に記載の固体電解質用LISICON型結晶粒子の製造方法。
- 固体電解質用LISICON型結晶粒子が、下記式(1):
Li4-xSi1-xPxO4 ・・・(1)
(式(1)中、xは、0<x<1である数を示す。)
で表される、請求項3〜5のいずれか1項に記載の固体電解質用LISICON型結晶粒子の製造方法。
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