この出願は、2017年6月2日に日本に出願された特許出願第2017−110301号を基礎としており、基礎の出願の内容を、全体的に、参照により援用している。
図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的におよび/または構造的に対応する部分および/または関連付けられる部分には同一の参照符号、または百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分および/または関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
第1実施形態
図1において、内燃機関用回転電機(以下、単に回転電機という)10は、発電電動機、または交流発電機スタータ(AC Generator Starter)とも呼ばれる。回転電機10は、インバータ回路(INV)と制御装置(ECU)とを含む電気回路11と電気的に接続されている。電気回路11は、三相の電力変換回路を提供する。回転電機10の用途の一例は、乗り物用の内燃機関12の発電電動機である。乗り物は、車両、船舶、または航空機であり、典型的な一例は、鞍乗り型車両である。
電気回路11は、回転電機10が発電機として機能するとき、出力される交流電力を整流し、バッテリを含む電気負荷に電力を供給する整流回路を提供する。電気回路11は、回転電機10から供給される点火制御用の基準位置信号を受信する信号処理回路を提供する。電気回路11は、点火制御を実行する点火制御器を提供してもよい。
電気回路11は、回転電機10を電動機として機能させる駆動回路を提供する。電気回路11は、回転電機10を電動機として機能させるための回転位置信号を回転電機10から受信する。電気回路11は、検出された回転位置に応じて回転電機10への通電を制御することにより回転電機10を電動機として機能させる。
回転電機10は、内燃機関12に組み付けられている。内燃機関12は、ボディ13と、ボディ13に回転可能に支持され、内燃機関12と連動して回転する回転軸14とを有する。回転電機10は、ボディ13と回転軸14とに組み付けられている。ボディ13は、内燃機関12のクランクケース、ミッションケースなどの構造体である。回転軸14は、内燃機関12のクランク軸、またはクランク軸と連動する回転軸である。回転軸14は、内燃機関12が運転されることによって回転する。
回転軸14は、回転電機10を発電機として機能させるように回転電機10を回転させる。回転軸14は、回転電機10が電動機として機能するとき、回転電機10の回転によって内燃機関12を始動可能な回転軸である。また、回転軸14は、回転電機10が電動機として機能するとき、回転電機10の回転によって内燃機関12の回転を支援(アシスト)することができる回転軸である。
回転電機10は、ロータ21と、ステータ31と、センサユニット41とを有する。以下の説明において、軸方向ADの語は、ステータ31を円筒体とみなした場合の中心軸の方向を意味する。径方向RDの語は、ステータ31を円筒体とみなした場合の直径方向を意味する。
ロータ21は、界磁子である。ステータ31は、電機子である。ロータ21は、全体がカップ状である。ロータ21は、その開口端をボディ13に向けて位置付けられる。ロータ21は、回転軸14の端部に固定される。ロータ21と回転軸14とは、キー嵌合などの回転方向の位置決め機構を介して連結されている。ロータ21は、固定ボルト25によって回転軸14に締め付けられることによって固定されている。ロータ21は、回転軸14とともに回転する。ロータ21は、永久磁石によって界磁、すなわち回転界磁を提供する。
ロータ21は、カップ状のロータコア22を有する。ロータコア22は、内燃機関12の回転軸14に連結される。ロータコア22は、回転軸14に固定される内筒と、内筒の径方向外側に位置する外筒と、内筒と外筒との間に拡がる環状の底板とを有する。ロータコア22は、後述する永久磁石のためのヨークを提供する。ロータコア22は、磁性金属製である。
ロータ21は、ロータコア22の内面に配置された永久磁石23を有する。永久磁石23は、外筒の内側に固定されている。永久磁石23は、径方向内側に配置された保持カップ24によって軸方向ADおよび径方向RDに関して固定されている。保持カップ24は、薄い非磁性金属製である。保持カップ24は、ロータコア22に固定されている。
永久磁石23は、複数のセグメントを有する。それぞれのセグメントは、部分円筒状である。永久磁石23は、その内側に、複数のN極と複数のS極とを提供する。永久磁石23は、少なくとも界磁を提供する。永久磁石23は、12個のセグメントによって、6対のN極とS極、すなわち12極の界磁を提供する。磁極の数は、他の数でもよい。永久磁石23は、点火制御のための基準位置信号を提供するための部分的な特殊磁極を提供する。特殊磁極は、界磁のための磁極配列とは異なる部分的な磁極によって提供される。
ステータ31とボディ13とは、固定ボルト34を介して連結されている。ステータ31は、複数の固定ボルト34によってボディ13に締め付けられることによって固定されている。ステータ31は、ロータ21とボディ13との間に配置されている。ステータ31は、ロータ21の内面とギャップを介して対向する外周面を有する。ステータ31は、ボディ13に固定される。
ステータ31は、ステータコア32を有する。ステータコア32は、内燃機関12のボディ13に固定されることによってロータ21の内側に配置される。ステータコア32は、複数のティース部分を有する。ひとつのティース部分は、ひとつの磁極を提供する。ステータコア32は、外突極型の鉄心を提供する。
ステータ31は、ステータコア32に巻回されたステータコイル33を有する。ステータコイル33は、電機子巻線を提供する。ステータコア32とステータコイル33との間には電気絶縁性の樹脂製のインシュレータ35が配置されている。ステータコイル33は、三相巻線である。ステータコイル33は、ロータ21およびステータ31を発電機または電動機として選択的に機能させることができる。
センサユニット41は、内燃機関用回転位置検出装置を提供する。センサユニット41は、内燃機関12に連動する回転電機10に設けられている。センサユニット41は、回転電機10のステータコア32に設けられている。センサユニット41は、ロータ21に設けられた永久磁石23の磁束を検出することによりロータ21の回転位置を示す電気信号を出力する。
センサユニット41は、ステータ31に固定される。センサユニット41は、ステータコア32とボディ13との間に配置されている。センサユニット41は、ステータコア32の端面SD1に固定されている。センサユニット41は、ボディ13にも固定されているが、ステータコア32だけに固定されていてもよい。センサユニット41は、ロータ21に設けられた永久磁石23が供給する磁束を検出することにより、ロータ21の回転位置を検出する。センサユニット41は、複数のセンサ43を有する。複数のセンサ43は、隣接する2つの磁極32aの間に配置されている。複数のセンサ43は、隣接する2つのコイルの間に配置されているともいえる。複数のセンサ43は、永久磁石23の磁束変化を検出することによりロータ21の回転位置を検出する。複数のセンサ43は、ロータ21の回転軸に関して周方向に互いに離れて配置されている。
永久磁石23が提供する特殊磁極の位置によって点火制御のための基準位置が示される。ロータ21の回転位置は、回転軸14の回転位置でもある。よって、ロータ21の回転位置を検出することにより、点火制御のための基準位置信号を得ることができる。複数のセンサ43の少なくともひとつは、特殊磁極に反応することにより、点火制御のための信号を出力する。この実施形態では、ひとつのセンサ43が点火制御用のセンサを提供する。この結果、ステータ31は、ロータ21が所定の回転位置にあるときに点火制御用の信号を出力するためのセンサを備える。
永久磁石23が提供する界磁の回転方向の位置によってロータ21の回転位置が示される。よって、ロータ21の回転位置を検出し、検出された回転位置に応じて電機子巻線への通電を制御することにより、回転電機10を電動機として機能させることができる。複数のセンサ43の少なくともひとつは、回転電機10を少なくとも電動機として機能させるためのロータ21の回転位置を検出する。この回転電機10は、発電機および電動機として機能することができ、それらのいずれかとして選択的に機能させられる。
センサユニット41は、電気回路部品42を収容する。電気回路部品42は、基板と、基板に実装された電気素子、および電線などを含む。センサユニット41は、センサ43を収容する。センサユニット41は、ケース51を有する。
ケース51は、樹脂材料製である。ケース51は、部分的に金属部分をもつことができる。ケース51は、電気回路部品42とセンサ43とを収容し、保持する。センサ43は、電気回路部品42と接続される。ケース51は、多角形筒、例えば台形筒の断面に相当する形状をもち、ステータ31の径方向外側縁におおよそ対応して延びる外縁をもつ。ケース51は、電気回路部品42を収容するための容器52を有する。容器52は樹脂材料製である。容器52は、ボディ13に対向する面が開口した箱状である。容器52は、ステータコア32側に面する底面と、ボディ13に対向する開口部と、底面と開口部とを囲む側壁とを有する。電気回路部品42は、容器52内に収容され、固定されている。
ケース51は、少なくともひとつのセンサ43を収容し、支持するための少なくともひとつのカバー53を有する。センサ43は、カバー53内に固定されている。カバー53は、容器52の底面から延び出すように形成された有底筒状の部材である。カバー53は、径方向外側に設けられている。カバー53は、2つの磁極32aの間の隙間に挿入される。
カバー53は、ケース51の底面に設けられた基部と、基部から延び出す本体部とを有する。本体部は、基部より細い。基部は隙間より広い幅を有する。基部と本体部との間には、段部が形成されている。段部は、ステータコア32の一方の端面SD1に接触する。これにより、隙間内への本体部の挿入量が規定される。
カバー53の内部は、容器52の内部に連通している。センサユニット41は、複数のカバー53を有する。カバー53は、容器52から延び出す指状、または舌状と呼びうる形状である。カバー53は、センサ43のための鞘とも呼ぶことができる。複数のカバー53は、点火制御のための基準位置検出用のセンサのためのひとつのカバー53と、モータ制御のためのセンサのための3つのカバー53とを有する。
それぞれのカバー53内には、ひとつのセンサ43が収容される。センサ43は、永久磁石23が供給する磁束を検出する。センサ43は、ホールセンサ、MREセンサなどによって提供される。この実施形態は、点火制御のためのひとつのセンサと、モータ制御のための3つのセンサとを有する。センサ43は、カバー53内の空洞に配置されたセンサターミナルによって電気回路部品42と電気的に接続される。
この実施形態における点火制御およびモータ制御のための永久磁石23に関連する細部、および複数のセンサ43に関連する細部については、特許文献として列挙した文献に記載の内容を援用することができ、同記載の内容は参照により引用されている。
ケース51は、締付部54を有する。締付部54は、回転電機10の径方向RDに関して容器52より径方向内側に設けられている。容器52と締付部54との間には、それらの間を連結するための連結部55が設けられている。固定ボルト44は、ステータコア32のボディ13と反対側の面からステータコア32を貫通して配置されている。固定ボルト44のステータコア32から突出する先端部は、締付部54の雌ねじ部分に螺合される。これにより、センサユニット41は、ステータコア32に固定される。容器52内は、保護用の封止樹脂56によって満たされている。封止樹脂56は電気回路部品42を保護するためのポッティング樹脂である。
センサユニット41は、ひとつまたは複数のセンサ43から出力される信号を外部に取り出すための外部接続用の配線11aを有する。配線11aは、基準位置を示す点火信号および/または回転角度を示す回転位置信号を伝達することができる。回転電機10は、ステータコイル33と電気回路11とを接続する複数の電力線11bを有する。電力線11bは、回転電機10が発電機として機能するとき、ステータコイル33に誘導される電力を電気回路11に供給する。電力線11bは、回転電機10が電動機として機能するとき、ステータコイル33を励磁するための電力を電気回路11からステータコイル33へ供給する。
図2および図3において、ステータ31は、環状の部材である。ステータ31は、回転軸14とロータコア22の内筒とを受け入れることができる貫通穴を有する。ステータコア32は、回転軸14およびロータコア22の内筒を受け入れるための貫通穴を区画形成している。さらに、ステータコア32は、複数の固定ボルト34を受け入れるための複数の貫通穴を有する。これら貫通穴は、ステータコア32の周方向に関する位置を規定するために貢献する。ステータコア32は、センサユニット41を固定するための固定ボルト44を受け入れるための貫通穴を有する。
ステータ31の外周面には、複数の磁極32aが配置されている。複数の磁極32aは、周方向に沿って互いに離れて配置されている。複数の磁極32aは、径方向に延びる複数のティース部分32cの端部にロータ21の界磁を受けるように設けられている。ステータ31は、例えば、18個の磁極32aを有する。磁極32aの数は、他の数でもよい。これら磁極32aは、ロータ21の界磁と対向して配置されている。ステータコア32は、永久磁石23と対向する複数の磁極32aを径方向外側に形成する。ステータコア32は、複数の磁極32aを形成するように所定の形状に成形された磁性体板(電磁鋼板)を積層することにより形成されている。
図2および図3において、左下部分には、破線によってステータコイル33で隠されたインシュレータ35とステータコア32とが描かれている。ステータコア32は、径方向内側に位置付けられた環状部分32bを有する。環状部分32bは、上述の貫通穴を有しており、ステータコア32を固定するための固定部である。ステータコア32は、径方向に延びる複数のティース部分32cを有する。ひとつのティース部分32cは、環状部分32bとひとつの磁極32aとを連結する。
ステータコイル33は、多相の電機子巻線を提供する。ステータコイル33は、複数のティース部分32cに装着されている。ステータ31は、複数の磁極32aと、複数の三相巻線とを有する三相多極ステータである。ステータコイル33は、複数の単コイル33sを有する。単コイル33sは、ひとつの磁極32aと、ひとつのティース部分32cとに装着されたコイルである。単コイル33sは、ひとつのティース部分32cの周りに集中巻きされている。複数の単コイル33sは、ひとつの相コイルを提供する。複数の相コイルによって多相の電機子巻線が提供されている。
インシュレータ35は、ステータコア32を軸方向に関して挟む2つの半割体35a、35bを有する。半割体35aは、ステータ31の軸方向の一方の端面SD1側に位置している。この一方の端面SD1上には、センサユニット41が配置される。半割体35aは、ステータ31の軸方向の他方の端面SD2側に位置している。この他方の端面SD2は、センサユニット41が配置される端面とは反対の端面である。後述のコイル素線33dは、半割体35aの上において、磁極32aから径方向に離れて配置されている。半割体35aは、後述の突出部分37eを備える。半割体35bは、突出部分37eを備えない。
インシュレータ35は、環状部分32bの径方向外側部分を覆うように配置された中央部分35cを有する。ステータコイル33は、複数の単コイル33sを接続するために、ステータ31の上に周方向に沿って延びるように配置された複数のジャンパ線33jを有する。ジャンパ線33jは、ステータコイル33を形成するためのコイル素線である。図2および図3には、一部のジャンパ線33jが破線で示されている。
インシュレータ35は、中央部分35cの上に、ジャンパ線33jを案内するためのガイドフィン35dを有する。ガイドフィン35dは、固定部に位置付けられている。ガイドフィン35dは、板状の部材である。ガイドフィン35dは、径方向に延びている。ガイドフィン35dは、軸方向に延び出している。ガイドフィン35dは、インシュレータ35と連続する材料によって一体的に成形されている。ガイドフィン35dは、軸方向に延びる縁を径方向外側に有する。ガイドフィン35dは、径方向外側に向けてステータコア32から離れるように傾斜している縁を径方向内側に有する。ガイドフィン35dは、ステータ31の端面の一部であって、ステータコア32の端面から軸方向に突出している。インシュレータ35は、複数のガイドフィン35dを備える。複数のガイドフィン35dは、周方向に沿って互いに離れている。複数のガイドフィン35dは、放射状に配置されている。
回転電機10の製造方法は、ステータコイル33が設置された環状範囲にジャンパ線33jを配置する配線工程を有する。少なくともひとつのガイドフィン35dは、回転電機10の製造工程において、ジャンパ線33jの径方向内側への侵入を抑制する。また、少なくともひとつのガイドフィン35dは、完成品において、ジャンパ線33jの径方向内側への侵入を抑制する。言い換えると、ガイドフィン35dは、コイル素線の固定部への侵入を抑制するようにコイル素線を案内する。ジャンパ線33jの径方向内側への侵入が抑制されることで、ジャンパ線33jの損傷が抑制される。ガイドフィン35dは、固定部の上の広い範囲を占めることなく、ジャンパ線33jを案内する。ガイドフィン35dは、環状部分32bにおける締付部54の配置、および固定ボルト34の配置を阻害しない。
インシュレータ35は、ティース部分32cを覆うボビン部分36を有する。ボビン部分36は、ティース部分32cとステータコイル33との間に配置されている。インシュレータ35は、径方向外側端に位置して、磁極32aの縁に沿って広がるフランジ部分37を有する。フランジ部分37は、磁極32aとステータコイル33との間に配置されている。
ステータ31は、複数の隙間38を有する。隙間38は、隣接する2つの磁極32aの間に形成されている。複数の隙間38は、通常隙間38aと、センサ隙間38bとを有する。センサ隙間38bは、カバー53を配置するために利用される。ステータコア32は、18個の隙間38を有する。この実施形態では、センサユニット41は、4つのカバー53を有する。したがって、ステータ31は、4つのセンサ隙間38bを有する。したがって、14個の通常隙間38aと、4個のセンサ隙間38bとを有する。これに代えて、センサユニット41がひとつのセンサ43を有する場合、ひとつのセンサ隙間38bが設けられる。センサユニット41が3つのセンサ43を有する場合、3つのセンサ隙間38bが設けられる。
通常隙間38aは、所定の周方向の幅を有する。センサ隙間38bは、通常隙間38aより広い周方向の幅を有する。複数の磁極32aは、第1磁極32aw、第2磁極32am、および第3磁極32asを有する。複数の磁極32aは、通常隙間38aと、センサ隙間38bとを提供するように、互いに異なる周方向の幅を有する。複数の磁極32aは、周方向の両側へ延び出している。第1磁極32aw、第2磁極32am、および第3磁極32asは、互いに、周方向への突出量が異なる。
第1磁極32awは、所定の周方向の幅を有する。第1磁極32awは、ティース部分32cの先端から、周方向の両側に等しく広がっている。ステータコア32は、複数の第1磁極32awを有する。隣接する2つの第1磁極32awは、それらの間に通常隙間38aを区画形成している。第1磁極32awは、それらの間に通常隙間38aを区画形成するように、大きく延び出している。
第2磁極32am、および第3磁極32asは、第1磁極awより小さい周方向の幅を有する。第3磁極32asは、第2磁極32amより小さい周方向の幅を有する。ステータコア32は、3つの第3磁極32asを有する。第3磁極32asは、ティース部分32cの先端から、周方向の両側に広がっている。第3磁極32asは、センサ隙間38bとセンサ隙間38bとの間に位置している。第3磁極32asは、それらの間にセンサ隙間38bを区画形成するように、第1磁極32awより小さく延び出している。第3磁極32asの周方向両側への広がりは、第1磁極32awのそれより小さい。第3磁極32asの周方向両側への広がりは等しい。ステータコア32は、少なくとも2つの第2磁極32amを有する。第2磁極32amは、複数のセンサ隙間38bの群の両端に位置している。第2磁極32amは、通常隙間38aとセンサ隙間38bとの間に位置している。第2磁極32amは、通常隙間38aの側へ第1磁極32awと同じだけ広がっている。第2磁極32amは、センサ隙間38bの側へ第3磁極32asと同じだけ広がっている。
図4および図5において、インシュレータ35は、磁極32aおよび環状部分32bを除く表面を覆う形状を有する。図4および図5は、ステータコア32とセンサユニット41との間に配置される半割体35aを示す。半割体35aは後述の突出部分を有するが、半割体35bは、突出部分を有しない。ガイドフィン35dは、図示されるように中央部分35cから径方向内側に向けて突出している。この結果、ガイドフィン35dは、ジャンパ線33jを案内する。
インシュレータ35は、複数のボビン部分36を有する。複数のボビン部分36は、通常隙間38aの両側に位置する複数の通常ボビン部分36aと、カバー53が配置されるセンサ隙間38bの両側に位置する複数のセンサボビン部分36bとを有する。4つのセンサ隙間38bの両側に位置する2つの通常隙間38aの両側には、通常ボビン部分36aとセンサボビン部分36bとが位置付けられている。4つのセンサ隙間38bのうち、最も端のセンサ隙間38bの両側には、センサボビン部分36bが位置付けられている。センサボビン部分36bは、後述のコイル案内部に相当する凹凸部を有する。
インシュレータ35は、複数のフランジ部分37を有する。フランジ部分37は、ボビン部分36の径方向先端に設けられている。複数のフランジ部分37は、第1フランジ部分37a、第2フランジ部分37b、および第3フランジ部分37cを有する。第1フランジ部分37a、第2フランジ部分37b、および第3フランジ部分37cは、それぞれ、第1磁極32aw、第2磁極32am、および第3磁極32asに対応する。第2フランジ部分37b、および第3フランジ部分37cは、センサ隙間38bを形成する第2磁極32am、および第3磁極32asに配置される。第2フランジ部分37b、および第3フランジ部分37cは、カバー53と関連性をもつから、センサフランジ部分とも呼ぶことができる。センサフランジ部分は、後述のコイル案内部に相当する案内部を有する。
通常ボビン部分36aと第1フランジ部分37aとは、通常隙間38aを形成する磁極32aに対応する通常インシュレータ部分を提供する。センサボビン部分36bと第2フランジ部分37bとは、センサ隙間38bを形成する磁極32aに対応するセンサインシュレータ部分を提供する。センサボビン部分36bと第3フランジ部分37cとは、センサ隙間38bを形成する磁極32aに対応するセンサインシュレータ部分を提供する。後述のコイル案内部は、センサインシュレータ部分にのみ設けられている。これにより、センサユニット41に面するステータコイル33のコイル素線33dは、一方の端面SD1側において、磁極32aから径方向に離れて配置される。
図6および図7は、ステータコア32に半割体35a、35bが装着された状態を示す。図6は、図4のVI矢印の方向から見た側面を示している。第3磁極32asのためのセンサインシュレータ部分は、センサボビン部分36bと第3フランジ部分37cとを有する。センサボビン部分36bは、角が丸い四角形の表面36eと、複数のフィン36fとを有する。図8は、ティース部分32cとインシュレータ35との断面を示す。ティース部分32cを含むステータコア32は、複数の磁性体板を積層した積層体である。複数のフィン36fは、四辺形とも呼べる表面36eの角部においてのみ、ティース部分32cの径方向外側へ延び出している。
表面36eと複数のフィン36fとは、センサボビン部分36bの表面に凹凸部を提供する。この凹凸部は、ステータコイル33のコイル素線を規定の位置に保持する。凹凸部は、センサボビン部分36bにおけるコイル素線の移動を規制する。凹凸部は、一方の端面SD1側において、ステータコイル33を第3磁極32asから径方向に離れさせるコイル案内部のひとつである。
第2磁極32amのためのセンサインシュレータ部分は、センサボビン部分36bと第2フランジ部分37bとを有する。第2磁極32amのためのセンサインシュレータ部分も、図6および図7と同様に、センサボビン部分36bに凹凸部を有する。
図6および図7に戻り、半割体35aは、第3フランジ部分37cを有する。第3フランジ部分37cは、突出部分37eを有する。突出部分37eは、一方の端面SD1側において、突出している。突出部分37eは、フランジ部分からティース部分32cに沿って径方向へ内側のステータコイル33に向けて突出している。突出部分37eの径方向内側の表面は、ロータ21の界磁から遠ざかるように離れている。突出部分37eの表面は、径方向内側に向けて隆起している。突出部分37eの表面は、ティース部分32cの根元に向けて突出している。ティース部分32cの全周に広がるフランジ部分37のうち、一方の端面SD1に近い部分のみが、突出部分37eとして突出している。突出部分37eは、基礎フランジ面37dよりも突出している。基礎フランジ面37dは、ステータ31の他方の端面SD2側におけるフランジ部分37のステータコイル33に面する面である。言い換えると、基礎フランジ面37dは、半割体35bに設けられたフランジ部分37の内側面である。
突出部分37eは、ステータコイル33を第3磁極32asから径方向に離れさせる。突出部分37eは、一方の端面側において、ステータコイル33を第3磁極32asから径方向に離れさせるコイル案内部のひとつである。
第2磁極32amのためのセンサインシュレータ部分は、センサボビン部分36bと第2フランジ部分37bとを有する。第2磁極32amのためのセンサインシュレータ部分も、図6および図7と同様に、第2フランジ部分37bに突出部分37eを有する。
図9は、第3磁極32asのためのセンサインシュレータ部分を示す斜視図である。センサインシュレータ部分は、センサボビン部分36bに、凹凸部を提供する表面36eおよび複数のフィン36fを有する。センサインシュレータ部分は、第3フランジ部分37cに、突出部分37eを有する。凹凸部と突出部分37eとは、ステータコイル33を第3磁極32asから径方向に離れさせるコイル案内部を提供している。
突出部分37eは、ステータ31の他方の端面側から、一方の端面側に向けて徐々に高くなるように突出している。突出部分37eは、軸方向ADに関して、センサボビン部分36bと重複する位置に斜面部分を有する。突出部分37eは、センサボビン部分36bの軸方向ADの端面より軸方向に離れた位置において突出している。この突出部分37eは、ステータコイル33を第3磁極32asから径方向RDの内側に向けて離れさせる。突出部分37eは、センサボビン部分36bの軸方向ADの端部の周方向CDの両側の範囲において突出している。この突出部分37eは、カバー53が配置される第3磁極32asの両側において、ステータコイル33を第3磁極32asから径方向RDの内側に向けて離れさせる。
第2磁極32amのためのセンサインシュレータ部分も、図9と同様に、センサボビン部分36bに、凹凸部を提供する表面36eおよび複数のフィン36fを有する。第2磁極32amのためのセンサインシュレータ部分も、図9と同様に、第3フランジ部分37cに、突出部分37eを有する。凹凸部と突出部分37eとは、ステータコイル33を第2磁極32amから径方向に離れさせるコイル案内部を提供する。
図10は、第1磁極32awのための通常インシュレータ部分を示す斜視図である。通常インシュレータ部分は、通常ボビン部分36aに、凹凸部を備えない。通常インシュレータ部分は、第1フランジ部分37aに、突出部分を備えない。言い換えると、コイル案内部は、通常インシュレータ部分には設けられていない。コイル案内部は、センサインシュレータ部分にのみ、設けられている。
図9に戻り、突出部分37eは、ステータコイル33を径方向内側に離れさせ、しかも、その位置を規定する。ステータコイル33は、カバー53が入る位置でのみ、そのカバー53を避けるように、径方向に離れている。ステータコイル33が径方向に離れる距離は、カバー53を安定的に配置するための必要最小限に留めることが望ましい。後述のように、内層から外層へと進む巻線工程は、上記距離を小さくするために貢献する。また、センサボビン部分36bにおける凹凸部も、上記距離を正確に制御するために貢献する。
図11、図12、図13、および図14は、センサユニット41を示す。センサユニット41は、ケース51を有する。ケース51は、ステータ31の軸方向の一方の端面に配置されている。センサユニット41は、ケース51からセンサ隙間38bの中に延びる複数のカバー53を有する。複数のカバー53は、複数の磁極32aに沿って互いに離れて配置されている。
ケース51は、周方向CDの端部に突出部分57を有する。突出部分57は、ケース51の周方向の両側に設けられている。突出部分57は、容器52から突出している。突出部分57は、回転電機の製造方法において、センサユニット41を操作するための操作部分を提供する。2つの突出部分57は、センサユニット41を安定的に操作することを可能とする。例えば、ステータ31にセンサユニット41を組み付ける工程において、作業者または作業機械は、2つの突出部分57を押すことにより、複数のカバー53を複数のセンサ隙間38bの中に真っ直ぐに差し込むことができる。
図11、および図12において、ケース51は、容器52と空洞部58とを有する。容器52は、電気回路部品42を収容し、電気絶縁性の封止樹脂56により封止されている。一方で、空洞部58は、封止樹脂により封止されていない。空洞部58は、空洞を提供する。空洞部58は、隔壁によって複数に仕切られている。空洞部58は、3つの空洞部58a、58b、58cを有する。空洞部58は、容器52の径方向内側の縁に設けられている。空洞部58は、その隔壁によって、ケース51の反り変形に抗する高い剛性を提供する。空洞部58は、ケース51を軽量化する。空洞部58は、封止樹脂56の使用量を抑制する。空洞部58は、ケース51の反り変形を抑制するために貢献する。
図12、図13、および図14において、複数のカバー53は、容器52と接続されている基礎部分において太く、先端部分において基礎部分より細い先細形状を有している。カバー53は、周方向における幅を長さ方向に関して維持している。カバー53は、軸方向に垂直な断面積が、容器52からカバー53の先端に向けて徐々に小さくなっている。複数のカバー53は、4本である。ひとつのカバー53aは、基準位置を示すためのセンサ43を収容するために、他のカバー53b、53c、53dより長い。複数のカバー53b、53c、53dは、回転角度を検出するためのセンサ43を収容している。複数のカバー53は、周方向に扁平な多角柱状である。複数のカバー53は、長さが異なるが、類似の形状を有している。代表例として、カバー53dを詳細に説明する。
図14において、方向ラベルは、カバー53dにおける周方向CDと径方向RDとを示している。カバー53dは、周方向CDに沿って幅WTを有し、軸方向ADに沿って長さLGを有し、径方向RDに沿って厚さTHを有する。カバー53dは、容器52の底板から、容器52の外に向けて延びだしている。カバー53dは、容器52側に基端部を有し、反対側に先端部を有する。
図15は、カバー53dの形状をモデル化して示している。カバー53dは、先端部53eを有する。先端部53eは、カバー53dの頂き部でもある。カバー53dは、周方向CDの両側にサイド部分53fを有する。サイド部分53fは、径方向RDよりも軸方向ADへ長く延びている。サイド部分53fは、平面または曲面の側面を提供する。カバー53dは、隣接する磁極32aと嵌合するための軸方向溝53g、53hを有する。軸方向溝53g、53hは、カバー53dの両側に設けられている。軸方向溝53g、53hは、サイド部分53fに設けられている。軸方向溝53g、53hは、軸方向ADに沿って延びている。軸方向溝53g、53hは、カバー53dを案内する。軸方向溝53g、53hは、カバー53dを、両側の磁極32aに対して固定する。
カバー53dは、内側部分53iを有する。内側部分53iは、平面または曲面の内面を提供する。内側部分53iは、補強リブ53jに接続されている。補強リブ53jは、内側部分53iと容器52の底板との間に広がっている。補強リブ53jは、内側部分53iと容器52の底板との間を橋渡しすることにより、カバー53dを径方向に関して補強している。複数のカバー53のすべては、補強リブを有する。これにより、仮にカバー53のひとつがコイルに干渉しても、コイルを押して変形させることができる強度がカバー53に与えられる。カバー53は、コイルと干渉しても、コイルを変形させることで、2つの磁極32aの間の規定の位置に配置される。
カバー53dは、外側部分53kを有する。外側部分53kは、隣接する2つの磁極32aの間を橋渡しするように延びている。外側部分53kは、平面または曲面の外面を提供する。
カバー53dは、径方向内側であって、周方向CDの両側に逃げ部53m、53nを有する。逃げ部53m、53nは、コイルに面している。逃げ部53m、53nは、先端部53eとサイド部分53fと内側部分53iとの間にわたって広がっている。逃げ部53m、53nは、平面または曲面である。逃げ部53m、53nは、先端部53eにおいて広く、基端部において狭い幅を有する。言い換えると、逃げ部53m、53nの幅は、カバー53dの先端において広く、カバー53dの基端において狭い。逃げ部53m、53nは、コイルとカバー53dとの接触を抑制する。先端部53eにおいて、逃げ部53mと逃げ部53nとの間には所定の距離53pが残されている。
図16は、軸方向ADに垂直なカバー53dの断面を示す。カバー53dは、センサ43を収容するための空洞を形成するために内面53rを有する。逃げ部53m、53nは、先端部53eに向けて徐々に拡大する。先端部53eに向けて内面53rが区画する空洞が除々に小さくなる場合、逃げ部53m、53nはカバー53dを形成する材料の厚さを維持するために貢献する。この結果、均一、または一様な厚さのカバー53dが提供される。カバー53dの軸方向に垂直な断面積は、空洞を含んでいる。カバー53dの軸方向に垂直な断面積は、容器52から先端部53eに向けて徐々に小さくなる。このような徐々に変化する断面積は、専ら逃げ部53m、53nの変化によって提供される。
図14に戻り、複数のカバー53は、カバー53dと相似の形状を有している。ただし、カバー53aは、他のカバー53b、53c、53dより長い。カバー53aは、他のカバー53b、53c、53dより広い逃げ部53m、53nを有する。カバー53dにおける距離53pは、カバー53aにおける距離53pより大きい。カバー53aにおける距離53pは、0(ゼロ)mmの場合がある。
このように、逃げ部53m、53nの形状は、カバー53の長さに依存している。最も長いカバー53aは、他の短いカバーより長く、広い逃げ部53m、53nを有する。最も短いカバー53aは、他の長いカバーより短く、狭い逃げ部53m、53nを有する。その関係は、正の相関を示す。複数のカバー53は、長さに応じた広さをもつ逃げ部53m、53nを有している。
図17において、ステータコア32とセンサユニット41との位置関係がモデル化して図示されている。センサユニット41は、ステータ31またはステータコア32の一方の端面SD1の上に装着され、固定されている。回転電機10の製造方法は、ステータコア32の複数の磁極32aの間に、複数のセンサ隙間38bを形成する工程を有する。この工程は、ステータコア32を形成する工程である。回転電機10の製造方法は、複数のカバー53を、一方の端面SD1側から複数のセンサ隙間38bの中に挿入する工程を有する。この結果、センサユニット41のカバー53は、ステータ31の軸方向の一方の端面SD1側から軸方向ADに沿ってセンサ隙間38bの中に延びている。ロータ21の磁束を検出するセンサ43は、隣り合う2つの磁極32aの間のセンサ隙間38bに配置されている。センサユニット41は、センサ43を収容している。
図18において、ステータコイル33は、ティース部分32cの外側に配置された多層の単コイル33sを有する。単コイル33sは、内層33aと、最外層33bとを有する。内層33aは、最外層33bよりひとつ内側の層である。内層33aは、最内層でもある。内層33aは、コイル素線をボビン部分36の上に巻き付けて形成されている。内層33aは、コイル素線をボビン部分36に沿って径方向へ巻き進めて形成されている。よって、コイル素線は、フランジ部分37に隣接する位置で、内層33aから、最外層33bへ移行する。
コイル素線は、図示される単コイル33sの反対側の面で、内層33aから、最外層33bへ移行している。内層33aの最終ターンを形成するコイル素線33cは、ボビン部分36を周回している。最外層33bの最初のターンを形成するコイル素線33dは、磁極32aに隣接する部位において内層33aの上に乗り上げて、最外層33bへと移行している。
センサユニット41に面する最外層33bのコイル素線33dは、紙面の奥において、ステータ31の軸方向の他方の端面SD2側から、一方の端面SD1側に向けて、磁極32aから径方向内側に離れるように傾斜している。さらに、コイル素線33dは、紙面の手前において、ステータ31の軸方向の一方の端面SD1側から、他方の端面SD2側に向けて、磁極32aへ径方向に近づくように傾斜している。最外層33bのコイル素線33dは、一方の端面SD1側においてだけ、他の部分よりも、磁極32aから離れて位置付けられる。最外層33bのコイル素線33dは、他方の端面SD2側においては、磁極32aの近くに位置付けられる。最外層33bのコイル素線33dは、軸方向の中央部よりも、一方の端面SD1側において磁極32aから離れるように位置付けられている。この結果、破線で示されるように一方の端面SD1からカバー53が延びるようにセンサユニット41が配置されると、コイル素線33dは、カバー53から離れるように位置付けられているから、コイル素線33dとカバー53との干渉が抑制される。
センサユニット41に面する最外層33bのコイル素線33dは、内層33aの複数のコイル素線33cの間に形成される凹部の上に位置する。これにより、コイル素線33dは、一方の端面SD1側において、磁極32aから径方向の内側に離れて配置されている。このようなコイル素線の整列配置は、最外層33bのコイル素線33dを目的の位置に配置することを可能とする。特に、単コイル33sは、周方向の幅が軸方向の長さより小さい。このため、コイル素線33dは、巻き工程において、一方の端面SD1側においてコイル素線33dを曲げるように巻き付けられる。このため、コイル素線33dは、一方の端面SD1側において凹部の上に配置されやすい。
インシュレータ35は、ティース部分32cとステータコイル33との間に配置されたボビン部分36を有している。上述のように、ボビン部分36の上には、ボビン部分36の上におけるコイル素線の位置を規定する凹凸部がある。凹凸部は、表面36eと複数のフィン36fとで提供されている。凹凸部は、内層33aおよび最外層33bを整列した状態で巻くことを可能とする。この凹凸部は、一方の端面SD1側において、ステータコイル33を磁極32aから径方向に離れさせるコイル案内部とも呼ばれる。
インシュレータ35は、磁極32aとステータコイル33との間に配置されたフランジ部分37を有する。フランジ部分37は、フランジ部分37からティース部分32cに沿ってステータコイル33に向けて突出する突出部分37eを有する。突出部分37eは、基礎フランジ面37dより突出している。突出部分37eは、一方の端面SD1側において、ステータコイル33を磁極32aから径方向に離れさせる。よって、突出部分37eは、コイル案内部でもある。コイル素線33dは、一方の端面SD1側においてのみ、磁極32aから径方向に離れて配置されている。
複数の磁極32aは、センサユニット41が配置されない通常隙間38aと、センサユニット41が配置されるセンサ隙間38bとを区画形成している。コイル素線33dは、一方の端面SD1側において、センサ隙間38bを形成する磁極32aのみから径方向に離れて配置されている。言い換えると、突出部分37eは、センサ隙間38bを区画する磁極32aに設けられたフランジ部分37にのみ設けられている。
最外層33bのコイル素線33dが、一方の端面SD1側において径方向内側へ移動する量は、突出部分37eの基礎フランジ面37dからの突出量に依存する。突出量は、コイル素線33cの直径の1/2前後とすることができる。突出量は、コイル素線33dが、コイル素線33cが形成する凹部の上に位置するように、巻線機の精度などを考慮して設定される。この結果、コイル素線33dは、基礎フランジ面37dよりも、コイル素線33dの直径分だけ径方向内側に位置付けられる。
ステータコア32の一部においてのみステータコイル33を磁極32aから離す構成は、巻線工程を簡単にする。回転電機10の製造方法は、複数のティース部分32cにコイル素線を装着する巻線工程を有する。この巻線工程において、凹凸部を利用してコイル素線を整列させると、巻線工程が時間的に延びる場合がある。しかし、この実施形態では、センサボビン部分36bにのみ凹凸が設けられる。このため、通常ボビン部分36aでは、高速な巻線を実現できる。
さらに、突出部分37eは、コイル素線を曲げるから、巻線工程が時間的に延びる場合がある。しかし、この実施形態では、第2フランジ部分37b、および第3フランジ部分37cにのみ突出部分37eが設けられる。このため、第1フランジ部分37aでは、高速な巻線を実現できる。
図19は、一方の端面SD1側から見た2つの磁極32aと、ひとつのカバー53とを示している。カバー53は断面として図示されている。コイル素線33dが、一方の端面SD1側において、磁極32aから径方向内側に向けて離れている。これにより、カバー53とコイル素線33dとの干渉が抑制されている。
回転電機10の製造方法は、巻線工程と、巻線工程のあとの挿入工程とを備える。巻線工程は、先端に磁極32aを有する複数のティース部分32cに装着された複数のボビン部分36の外周にステータコイル33を巻く。巻線工程は、巻線機によって遂行される。巻線工程は、通常ボビン部分36aを対象に実行される高速工程と、センサボビン部分36bを対象に実行される低速部分とを有する。低速部分は、高速工程よりもコイル素線を規定の位置に高い精度で配置する高精度工程とも呼ばれる。
挿入工程は、隣り合う2つの磁極32aの間の隙間38に、ステータ31の一方の端面SD1からセンサ43を挿入する。挿入工程は、センサ43をセンサユニット41の中に配置して実行される。
巻線工程は、ステータコイル33のコイル素線33dが、一方の端面SD1側において、磁極32aから径方向に離れて配置されるように、コイル素線を巻く。コイル素線33dは、他方の端面SD1側よりも一方の端面SD1側において磁極32aから径方向に離れるように巻かれる。これにより、センサ43を挿入しやすいコイル形状が得られる。挿入工程は、複数の磁極32aが形成する複数の通常隙間38aとセンサ隙間38bとのうち、センサ隙間38bのみにセンサ43を挿入する工程である。すなわち、挿入工程は、ステータ31の一部の周方向範囲を対象に実行される。
巻線工程は、センサ隙間38bの隣に位置するセンサボビン部分36bのみにおいて、ステータコイル33のコイル素線33dが、一方の端面SD1側において、磁極32aから径方向に離れて配置されるように、コイル素線を巻く工程である。すなわち、巻線工程は、複数のボビン部分36のうち、センサボビン部分36bにおいてのみ、上記形状のコイルを形成する。複数のボビン部分36のうち、センサ隙間38bと隣接しない通常ボビン部分36aでは、コイル素線の位置は低い精度で制御される。このため、複数の通常ボビン部分36aにおいては、高速な巻線が可能となる。
巻線工程は、ステータコイル33のコイル素線33dが、ステータ31の他方の端面SD2より一方の端面SD1側において、磁極32aから径方向に離れて配置されるように、コイル素線を巻く工程である。巻線工程は、他方の端面SD2側では、コイルに利用可能な断面積を獲得しながら、一方の端面SD1側ではセンサ43の挿入に適したコイル形状を提供する。
このように、この実施形態では、カバー53から離れるようにコイル素線33dが配置される。これにより、カバー53の挿入が容易となる。また、カバー53とコイル素線33dとの間に隙間が形成されるから、コイルの冷却が容易となる。また、カバー53とコイル素線33dとの間に隙間は、ステータコイル33の変更を容易とする。例えば、コイル素線の長さ、直径、巻数、材質、絶縁層の厚さなどを変更することができる。例えば、銅系金属製のコイル素線と、アルミニウム系金属製のコイル素線とで、同じ形状の2つのセンサユニット41を利用することができる。
第2実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、突出部分37eが採用されている。これに代えて、この実施形態では、突出部分37eより軸方向に長い突出部分237eが採用される。
図20に図示されるように、フランジ部分37は、基礎フランジ面37dより突出する突出部分237eを有している。突出部分237eの軸方向ADの長さは、突出部分37eの軸方向ADの長さより長い。突出部分237eは、半割体35aが提供するフランジ部分37の全体にわたって形成されている。
このような長い突出部分237eは、カバー53aが挿入されるセンサ隙間38bに隣接するフランジ部分37に利用することができる。また、すべての突出部分37eを、突出部分237eに置き換えてもよい。
第3実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、突出部分337eが採用されている。
図21に図示されるように、突出部分337eは、半割体35aに設けられた第3フランジ部分37cの外縁に沿って配置されている。突出部分337eは、基礎フランジ面37dよりも磁極32aから離れるように径方向内側に向けて突出している。この形状でも最外層のコイル素線は、磁極から径方向の内側へ離される。内層のコイル素線は、突出部分337eの内側に収容される。このような構成は、内層に依存することなく、最外層を径方向内側へ離すために有効である。また、内層のコイル素線は、基礎フランジ面37dまで巻かれるから、コイルの巻き量(ターン数)の減少が抑制される。なお、センサボビン部分36bは、先行する実施形態の凹凸を有していてもよく、図示されるように有していなくてもよい。
第4実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、突出部分437eが採用されている。
図22に図示されるように、突出部分437eは、第3フランジ部分37cのうち、一方の端面SD1側にのみ設けられている。突出部分437eは、センサボビン部分36dと同じ周方向幅を有している。この突出部分437eでも、最外層のコイル素線は、基礎フランジ面37dより径方向内側へ離れて配置される。コイル素線は、その位置から徐々に傾斜するから、一方の端面SD1側におけるカバー53とコイルとの干渉が抑制される。
第5実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、突出部分537eが採用されている。
図23に図示されるように、第3フランジ部分37cは、2つの突出部分537eを有する。突出部分537eは、第3フランジ部分37cの周方向の両側に配置されている。突出部分537eは、円柱状である。突出部分537eは、第3フランジ部分37cの径方向内側の面から、径方向内側に向けて突出している。突出部分537eは、軸方向に関して一部にだけ設けられている。突出部分537eは、第2フランジ部分37bに設けられる場合、センサ隙間38bに隣接する部分にだけ設けても良い。突出部分537eは、カバー53の近くにおいて、コイル素線を基礎フランジ面37dから軸方向内側に離して配置する。
第6実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、突出部分637eが採用されている。
図24に図示されるように、第3フランジ部分37cは、2つの突出部分637eを有する。突出部分637eは、第3フランジ部分37cの周方向の両側に配置されている。突出部分637eは、角柱状である。突出部分637eは、第3フランジ部分37cの径方向内側の面から、径方向内側に向けて突出している。突出部分637eは、軸方向に関して磁極32aに相当する範囲にだけ設けられている。突出部分637eは、第2フランジ部分37bに設けられる場合、センサ隙間38bに隣接する部分にだけ設けても良い。突出部分637eは、カバー53の近くにおいて、コイル素線を基礎フランジ面37dから軸方向内側に離して配置する。
第7実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、突出部分737eが採用されている。
図25に図示されるように、第3フランジ部分37cは、複数の突出部分737eを有する。複数の突出部分737eは、互いに周方向に離れて配置されている。複数の突出部分737eの間には、溝状に基礎フランジ面37dが露出している。溝は、第3フランジ部分37cとコイル素線との間に隙間を形成する。隙間は、冷却媒体としての空気を通し、コイル素線の放熱を改善するために貢献する場合がある。この実施形態でも、先行する実施形態と同様の作用、効果が得られる。
第8実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、突出部分837eが採用されている。
図26に図示されるように、半割体35aと半割体35bとの両方が突出部分837eを有する。突出部分837eは、他方の端面SD2から一方の端面SD1に向かうにつれて、基礎フランジ面37dから径方向に突出する。この結果、コイル素線33c、33dは、より広い範囲にわたって傾斜している。この実施形態でも、先行する実施形態と同様の作用、効果が得られる。
第9実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、コイル案内部が採用されている。これに代えて、この実施形態では、最外層33bのコイル素線33dは、コイル案内部なしで磁極32aから離れるように配置される。
図27に図示されるように、フランジ部分937cは平板状である。複数のフランジ部分937cは、すべてが、平板状である。回転電機10の製造方法は、巻線工程を有する。巻線工程において、コイル素線は、最内層から最外層へ巻き進められる。最内層33aでは、コイル素線33cは、ティース部分32cの径方向内側から径方向外側に向かって巻き進められる。コイル素線33cは、フランジ部分937cに到達すると、外層へ移行する。このとき、コイルの進行方向が反転される。最外層33bでは、コイル素線33dは、ティース部分32cの径方向外側から径方向内側に向かって巻き進められる。コイル素線33cは、フランジ部分937cに到達した後に、内層のコイル素線33cの上に乗り上げ、最外層33bになる。最外層33bでは、コイル素線33dは、内層のコイル素線33cの間に形成される凹部の上に位置付けられる。
最外層33bのコイル素線33dは、磁極32aに隣接する部位において内層33aの上に乗り上げて、最外層33bへと移行している。センサユニット41に面する最外層33bのコイル素線33dは、ステータ31の軸方向の他方の端面SD2側から、一方の端面SD1側に向けて、磁極32aから径方向に離れるように傾斜している。センサユニット41に面する最外層33bのコイル素線33dは、内層33aの複数のコイル素線33cの間に形成される凹部の上に位置することにより、一方の端面SD1側において、磁極32aから径方向に離れて配置されている。コイル素線33dは、磁極32aに隣接する部位において内層33aの上に乗り上げて、最外層33bへと移行してゆく。コイル素線33cとコイル素線33dとは、乗り上げ位置33rを経由する。乗り上げ位置33rでは、コイル素線33cとコイル素線33dとが周方向に重なっている。乗り上げ位置33rは、ティース部分32cの周方向に面する側面に位置している。この乗り上げ位置33rでは、コイル素線33dは、ティース部分32cの外側へ膨らむ。
図27には、センサユニット41およびカバー53が破線で示されている。乗り上げ位置33rは、カバー53の先端よりも他方の端面CD2側に位置している。このため、コイル素線33dとカバー53との干渉が抑制される。このようなコイル素線の形状は、少なくとも複数のセンサボビン部分36bの上で実現されている。このようなコイル素線の形状は、通常ボビン部分36aの上では実現されていない。このため、通常ボビン部分36aの上では、他の目的をもって巻線工程を実施することができる。例えば、コイル素線の配置よりも、巻線工程の速さを重視することができる。ただし、このようなコイル素線の形状は、すべてのボビン部分36の上で実現されていてもよい。
この実施形態によると、コイル案内部なしで、センサユニット41に面するステータコイル33のコイル素線33dを、一方の端面SD1側において、磁極32aから径方向に離れて配置することができる。このため、コイル素線とカバー53との干渉を抑制することができる。
第10実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、コイル案内部が採用されている。これに代えて、この実施形態では、最外層33bのコイル素線33dは、コイル案内部なしで磁極32aから離れるように配置される。以下の説明では、ティース部分32cおよびボビン36を含む部位をコアと呼ぶ。この実施形態でも、コイル素線はアルミニウム系の金属製である。コイル素線は、銅系の金属製でもよい。
図28は、ステータコイル33が装着される前の裸のコアを示す外観である。図28は、裸のコアの4つの側面を示す。4つの側面は、前側面S1、左側面S2、背側面S3、右側面S4と呼ばれる。左側面S2および右側面S4は、前側面S1および背側面S3より広い。よって、左側面S2および右側面S4は、広い側面を提供する。4つの側面のそれぞれは、後述の複数のフィンA36fの整合状態の理解を助けるために、左欄に示される上下関係を与えられている。このため、右側面S4は上下が反転した状態で図示されている。この説明において、図の左右方向、すなわちステータ31の径方向は、ひとつの極の長さ方向と呼ばれる。ひとつのコアの外周を周回する方向は、周方向と呼ばれる。ティース部分32cの先端には磁極32aが露出している。インシュレータ35は、ボビン部分36と、フランジ部分A37cとを提供する。
ボビン部分36は、複数のフィンA36fを有する。複数のフィンA36fは、コアの角部に配置されている。複数のフィンA36fは、図の左右方向、すなわち長さ方向に関して間欠的に設けられている。さらに、複数のフィンA36fは、図の上下方向、すなわち周方向に関して間欠的に設けられている。言い換えると、複数のフィンA36fは、4つの角部にだけ設けられている。例えば、前側面S1において、図中の上下において離れている2つのフィンA36fは、長さ方向における同じ位置に位置づけられている。周方向において間欠的に配置された複数のフィンA36fは、長さ方向におけるコイル素線の斜行部を可能とする。斜行部は、コイル素線の巻き進み、および巻き戻りを可能とする。
複数のフィンA36fは、長さ方向に沿って等間隔に配置されている。複数のフィンA36fの間の複数の間隔Ptは、コイル素線の直径に相当する。間隔Ptは、コイル素線の直径より小さい場合がある。間隔Ptは、コイル素線の直径より大きくすることができるが、コイル素線の位置決めを正確に実現するためには、好ましくない。よって、間隔Ptは、コイル素線を位置決めできるように調節可能であり、上記「相当」の語は、この目的を達成できる範囲を示している。間隔Ptは、ピッチとも呼ばれる。基礎フランジ面37dと最初のフィンA36fとの間の最初の間隔は、コイル素線の直径に相当する。最初の間隔は、コイル素線33cを基礎フランジ面37dに隣接して配置することを可能とする。望ましい形態では、最初の間隔は、コイル素線33cと基礎フランジ面37dとの接触を可能とする。
複数のフィンA36fは、コアの4つの角部において、長さ方向に沿って列状に配置されている。この結果、複数のフィンA36fは、コアの4つの角部において、4列を形成するように配置されている。
複数のフィンA36fは、コアの外周において、周方向に関して互いに整合して位置付けられている。コアの外周には、複数の仮想周方向軌道を想定することができる。図中には、代表的な2つの仮想周方向軌道RI、ROが図示されている。複数の仮想周方向軌道は、ティース部分32cの中心軸に対して垂直である。ひとつの仮想周方向軌道は、コアをぐるりと周回している。複数の仮想周回軌道は、互いに平行である。ひとつの仮想周方向軌道の上に、4つのフィンA36fが位置付けられている。言い換えると、コアの周方向に配置された4つのフィンA36fは、ひとつの仮想周方向軌道を規定している。ボビン部分36が複数のフィンA36fを備えることによって、ボビン部分36の外周形状は、所定ピッチの凹凸を備える。しかも、ボビン部分36は、長さ方向に関して等間隔の凹凸によって特徴づけられる。
フランジ部分A37cの内面は、平面状である。フランジ部分A37cの内面は、基礎フランジ面37dによって規定されている。径方向に関して最も外側の仮想周方向軌道ROと、基礎フランジ面37dとの間の間隔は、ひとつのコイル素線33cの直径に相当する。径方向に関して最も内側の仮想周方向軌道RIと、中央部分35cとの間の間隔は、巻始めのコイル素線33cを位置付けるために一定ではない。中央部分35cは、巻始めのコイル素線33cを位置付けるために、位置決め部36sを備えることができる。
図29は、内層33aが装着された後の極を示している。内層33aは、第1層とも呼ばれる。内層33aは、コイル素線33cを有する。内層33aは、ボビン部分36の外周上に巻きつけられている。内層33aは、ボビン部分36の長さ方向の全体にわたって巻かれている。
前側面S1に図示されるように、コイル素線33cは、巻き始めの開始端STを有する。開始端STは、ティースの根元に設けられている。開始端ST、磁極の突出方向(長さ方向)における反対側端に設けられている。コイル素線33cは、開始端STにおいて断絶していない。コイル素線33cは、破線で示されるようにボビン部分36の外から、ボビン部分36の上に引き込まれている。コイル素線33cは、巻き方向を転換するためのリターン端RNを有する。コイル素線33cは、リターン端RNにおいて断絶していない。コイル素線33cは、破線で示されるように連続している。リターン端RNは、基礎フランジ面37dに接触するように配置されている。
コイル素線33cは、前側面S1から、左側面S2、背側面S3、および右側面S4を順に経由して、再び前側面S1に戻るように巻かれている。コイル状に巻かれたコイル素線33cは、複数の斜行部33ffを有する。コイル素線33cは、斜行部33ff以外の部分において周方向に真っ直ぐである。複数の斜行部33ffは、4つの側面のうち、ひとつの側面のみに位置付けられている。当該ひとつの側面において、コイル素線33cの一部だけが斜行部33ffを提供している。当該ひとつの側面において、コイル素線33cの残部が周方向に沿って真っ直ぐな部分を提供している。言い換えると、当該ひとつの側面において、コイル素線33cは、斜行部33ffと、その両側に位置する周方向に真っ直ぐな部分とを提供している。残る3つの側面において、コイル素線33cは、周方向に沿って真っ直ぐである。
右側面S4に図示されるように、斜行部33ffは、周方向に関して長さADfにわたって延びている。長さADfは、右側面S4におけるフィンA36f間の周方向隙間より短い。斜行部33ffは、長さ方向に関してピッチPtの巻き進みを生じる。言い換えると、斜行部33ffは、周方向長さADfと、ピッチPtとで規定される。
内層33aは、背側面S3に位置付けられたリターン端RNにおいて終端している。リターン端RNの前において、コイル素線33cは、右側面S4から基礎フランジ面37dに接することができるように配置されている。なお、リターン端RNは、説明のために設定された端部であって、コイル素線はリターン端RNにおいても連続している。
複数のターンを含む内層33aは、4つの側面のひとつに開始端STを位置づけて巻くことができる。開始端STが位置付けられた前側面S1は、第1側面と呼ぶことができる。第1側面に続く側面は、順に、第2側面、第3側面、第4側面と呼ぶことができる。斜行部33ffは、残る3つの側面のひとつに位置付けられている。斜行部33ffは、第2側面、第3側面、または第4側面に位置付けることができる。斜行部33ffは、4つの側面のうち、広い側面に位置付けられることが望ましい。
図30は、最外層33bが装着された後の極を示す。内層33aは、第1層である。最外層33bは、第2層である。最外層33bは、終了端EDまで延びている。コイル素線33dは、終了端EDにおいて断絶していない。コイル素線33dは、終了端EDからも連続して延びだしている。
前側面S1に図示されるように、最外層33bは、ボビン部分36の長さ方向の一部だけにわたって巻かれている。内層33aと最外層33bとは、巻方向が同じである。内層33aと最外層33bとは、巻きの進行方向が逆である。内層33aの進行方向は、中央部分35cからフランジ部分A37cに向かう方向である。最外層33bの進行方向は、フランジ部分A37cから中央部分35cに向かう方向である。最外層33bの進行方向は、戻り方向とも呼ばれる。
断面C4は、C4−C4線における断面を示す。開始端STは、説明のために、表面として図示されている。左側面S2に位置付けられたコイル素線33cは、破線によって示されるように周方向に沿って真っ直ぐに延びている。
右側面S4に図示されるように、リターン端RNから延びるコイル素線33eは、内層33aの上に徐々に乗り上げてゆく。コイル素線33eは、内層33aから最外層33bへの遷移範囲でもある。この説明では、コイル素線33eは、最外層33bの一部として説明されている。
最外層33bは、斜行部33fsを有する。斜行部33fsは、内層33aから最外層33bへの遷移部分でもよい。斜行部33fsは、最外層33bにおける最初の斜行部である。斜行部33fsは、周方向の長さADfsを有する。斜行部33fsは、長さ方向に関してピッチ1/2Ptの巻き戻りを提供する。斜行部33fsのピッチは、斜行部33ssのピッチの1/2である。斜行部33fsは、内層33aの上に乗り上げた後に、2つの隣接するコイル素線33cの間の凹部に移行する。コイル素線33dは、斜行部33fsにおいて内層33aのコイル素線33cを乗り越える。コイル素線33dは、コイル素線33cに乗り上げた後は、2つの隣接するコイル素線33cの間の凹部に沿って推移する。
さらに、最外層33bは、斜行部33ssを有する。斜行部33ssは、周方向の長さADsを有する。斜行部33ssは、長さ方向に関してピッチPtの巻き戻りを提供する。長さADsは、長さADfsより長い(ADfs<ADs)。
斜行部33fsと斜行部33ssとは、周方向に関してずれている。斜行部33fsは、巻き方向に関して、斜行部33ssよりも先行した位置に位置付けられている。斜行部33fsと仮想周方向軌道とが形成する内角は、斜行部33ssと仮想周方向軌道とが形成する内角より大きい。斜行部33fsは、最外層33bにおける最初の巻き進みを提供する。斜行部33ssは、最外層33bにおける残る複数の巻き進みを提供する。斜行部33fsおよび斜行部33ssの配置は、互いの干渉を抑制しながら、最外層33bをフランジ部分A37cから離れるように推移させる。最外層33bは、フランジ部分A37cから離れるように推移している。よって、センサユニット41のカバー部分53は、コイル素線33dとの強い干渉を回避して設置される。
斜行部33ffは、内層33aにおける内層斜行部とも呼ばれる。斜行部33fsは、内層33aから外層33bへの遷移後の最初の斜行部であるから、中間斜行部とも呼ばれる。斜行部33ssは、外層33bにおける外層斜行部とも呼ばれる。これら複数の斜行部33ff、33fs、33ssは、複数の側面のうちのひとつの側面である右側面S4に設けられている。複数の斜行部33ff、33fs、33ssは、ひとつの同じ側面の上において互いに交差するように配置されている。斜行部33ffの巻き進み方向と、斜行部33fs、33ssの巻き戻し方向とは、互いに逆である。よって、斜行部33ffと斜行部33fsとが互いに交差する。同時に、斜行部33ffと斜行部33ssとが互いに交差する。この結果、斜行部33ffと斜行部33fs、33ssとの間には、大きい交差角度が形成される。具体的には、斜行部33ffの上を斜行部33fs、33ssが通過する場合の交差角度は、周方向に真っ直ぐのコイル素線33cの上を斜行部33fs、33ssが通過する場合の交差角度より大きい。
断面C1は、C1−C1線における断面を示す。インシュレータ35は薄い断面を提供しているから、断面にハッチングは付されていない。図示されるコイル素線33eは、内層33aの斜行部33ffと干渉しながら、内層33aから最外層33bへ移行する過程にある。
この実施形態によると、センサユニット41に面するコイル素線33dは、一方の端面SD1の側において、磁極32aから径方向内側に離れて配置されている。センサユニット41に面する最外層33bのコイル素線33dは、ステータ31の軸方向の他方の端面SD2側から、一方の端面SD1側に向けて、磁極32aから径方向内側に離れるように斜行部33fs、33ssによって傾斜している。最外層33bのコイル素線33dと、内層33aのコイル素線33cとが周方向に積み重ねられる乗り上げ位置33rは、センサユニット41よりもステータ31の他方の端面SD2側に位置している。センサユニット41に面する最外層33bのコイル素線33dは、内層33aの複数のコイル素線33cの間に形成される凹部の上に位置する。これにより、コイル素子33dは、一方の端面SD1側において、磁極32aから径方向内側に離れて配置されている。コイル素線33dは、一方の端面SD1側においてのみ、ステータ31の他方の端面SD2側よりも磁極32aから径方向内側に離れて配置されている。この実施形態では、コイル素線33cに対するコイル素線33dのすべりが抑制される。この結果、ボビン36上にコイル素線33c、33dを正確かつ高速に配置できることにより大量生産に適する。
この実施形態のステータコイル32は、内層33aのコイル素線33cと、内層33aの外側に配置された最外層33bのコイル素線33dとを備える。最外層33bのコイル素線33dは、一方の端面SD1であるひとつの側面S1以外のひとつの特定側面S4のみに配置された最外層斜行部33fs、33ssを含む。最外層33bのコイル素線33dは、特定側面S1以外の残る側面に配置され、周方向に沿って真っ直ぐに延びる部分を含む。最外層斜行部33fs、33ssは、磁極から離れるように傾斜している。特定側面は、側面S2、S3、S4のいずれかひとつである。
この実施形態は、最外層33bのコイル素線33dの斜行部33fs、33ssが、特定側面S4に集中する。このため、内層33aのコイル素線33cと、最外層33bのコイル素線33dとの交差角度が大きい。この結果、コイル素線33cに対するコイル素線33dのすべりが抑制される。
内層33aのコイル素線33cは、特定側面S4のみに配置され、磁極へ近づくように傾斜する内層斜行部33ffを含む。コイル素線33cは、特定側面S4以外の残る側面に配置され、周方向に沿って真っ直ぐに延びる部分を含む。さらに、内層斜行部33ffの上に交差するように最外層斜行部33fs、33ssが配置されている。
この実施形態は、内層斜行部33ffの傾斜方向と、最外層斜行部33fs、33ssの傾斜方向とは逆である。このため、コイル素線33cとコイル素線33dとの交差角度が大きい。この結果、コイル素線33cに対するコイル素線33dのすべりが、よりいっそうに抑制される。
図31は、巻線装置61を示す断面図である。巻線装置61は、回転電機におけるステータの製造方法において利用される。巻線装置61は、ステータ31に対する巻線工程を実行する。巻線装置61は、コイルを巻くためのフライヤ62と、コイル素線63aを供給するフィーダ63とを備える。巻線装置61は、ボビン部分36の上におけるコイル素線63aの位置を調節するための成形器64を有する。成形器64は、ボビン部分36に沿って移動することができる。成形器64は、コイル素線63aを案内する。成形器64は、コイル素線63aを成形する部材である。巻線装置1は、成形器64に対向する補助成形器65を備えていてもよい。フライヤ62は、ボビン部分36の外周にコイル素線63aを巻く。コイル素線63aは、成形器64によってボビン部分36の上の規定位置に配置される。このとき、複数のフィンA36fは、コイル素線63aの位置を安定化する。巻線装置61は、成形器64の移動位置を制御する制御装置66(CNT)を備える。
図32は、成形器64の位置制御の進み過程を示す。横軸SNは、周方向の長さ(mm)を示す。横軸SNは、複数の側面S1、S2、S3、S4に対応している。縦軸LGは、長さ方向の長さ(mm)を示す。ピッチPtは、コイル素線63aの直径に相当する。ピッチPtは、隣り合う2つのフィンA36fの間の間隔に相当する。図示される成形器64の挙動は、内層33aを形成するための挙動である。
細い実線CMPは、比較形態の成形器の移動を示している。比較形態の成形器は、一定速度で移動する。よって、コイル素線は、すべての側面において斜めに配置される。この比較形態では、内層のコイル素線と、最外層のコイル素線との交差角度が小さい。このため、最外層のコイル素線の位置が安定しない。この結果、最外層のコイルが崩れることがある。
太い実線EMBは、この実施形態の成形器64の移動を示している。コイル素線63aが開始端STに位置付けられると、フライヤ62が回転する。フライヤ62は、コイル素線63をコアに巻きつける。同時に、成形器64が巻線工程の進行につれて移動する。成形器64は、間欠的に前進するように制御される。前側面S1、左側面S2、および背側面S3における成形器64の移動量は、右側面S4における成形器64の移動量より小さい。成形器64は、複数の側面のうちのひとつの側面においてだけ、残る側面よりも大きく前進する。しかも、成形器64が大きく移動するひとつの側面は、内層33aと、外層33bとにおいて同じである。このため、内層33aの斜行部33ffと、外層33bの斜行部33fs、33ssとが交差する。しかも、比較的大きい交差角度が得られる。この結果、最外層33bの崩れが抑制される。
この実施形態では、前側面S1、左側面S2、および背側面S3における成形器64の移動量は、ゼロ(0)である。右側面S4における成形器64の移動量は、ピッチPtである。成形器64は、4つの側面のうち、3/4個の側面において固定されている。成形器64は、1/4個の側面のみにおいて前進する。この結果、コイル素線63aは、3/4個の側面において真っ直ぐに配置される。コイル素線63aは、1/4個の側面のみにおいて斜行部33ffを形成するように配置される。
コイル素線63aは、開始端STから巻かれる。成形器64は、開始端STのための位置から、間欠的に駆動される。成形器54は、複数のターンを形成するように繰り返して駆動される。コイル素線63aは、リターン端RNまで巻かれる。成形器64は、リターン端RNにおいて内層33aのための工程を終了する。
図33は、成形器64の位置制御の戻り過程を示す。図示される成形器64の挙動は、最外層33bを形成するための挙動である。破線は内層33aを示している。実線は、最外層33bを示している。
戻り過程でも、フライヤ62が回転する。フライヤ62は、コイル素線63aをリターン端RNから引き続いて巻きつける。コイル素線63aは、リターン端RNから徐々に内層33aの上に乗り上げる。やがて、右側面S4において、コイル素線63aは内層33aの上に到達する。
同時に、成形器64が巻線工程の進行につれて移動する。成形器64は、戻り過程においても、間欠的に後退するように制御される。前側面S1、左側面S2、および背側面S3における成形器64の移動量は、右側面S4における成形器64の移動量より小さい。成形器64は、複数の側面のうちのひとつの側面においてだけ、残る側面よりも大きく前進する。
この実施形態では、前側面S1、左側面S2、および背側面S3における成形器64の移動量は、ゼロ(0)である。右側面S4における成形器64の移動量は、1/2Pt、またはPtである。成形器64は、4個の側面のうち、3/4個の側面において周方向に固定されている。成形器64は、1/4個の側面のみにおいて戻る。この結果、コイル素線63aは、3/4個の側面において真っ直ぐに配置される。コイル素線63aは、1/4個の側面のみにおいて斜行部33fsを形成するように配置される。
成形器64は、最初の右側面S4の上において1/2Ptだけ後退する。これにより、斜行部33fsが形成される。成形器64の挙動は、内層33aのコイル素線33cの上を乗り越えるように、コイル素線63aを配置する。これにより、ひとつの交差部分が形成される。斜行部33ffと斜行部33fsとの交差は、比較的大きい交差角度を提供する。よって、コイル素線63aの位置ずれが抑制される。
成形器64は、次の右側面S4の上においてPtだけ後退する。これにより、斜行部33ssが形成される。成形器64の挙動は、内層33aのコイル素線33cの上を乗り越えるように、コイル素線63aを配置する。これにより、ひとつの交差部分が形成される。斜行部33ffと斜行部33ssとの交差は、比較的大きい交差角度を提供する。よって、コイル素線63aの位置ずれが抑制される。
成形器64は、上記挙動を繰り返す。やがて、コイル素線63aが終了端EDに到達すると、成形器64の駆動も完了する。これらの工程を経由することにより、図30に図示されるコイルが形成される。
この実施形態の巻線工程は、内層33aのコイル素線33cを配置する段階と、内層33aの外側に最外層33bのコイル素線33dを配置する段階とを備える。最外層33bを配置する段階は、一方の端面SD1であるひとつの側面S1以外のひとつの特定側面S4のみにおいて、磁極から離れるように傾斜する最外層斜行部33fs、33ssを形成するように、コイル素線33dを配置する段階を含む。最外層33bを配置する段階は、特定側面S4以外の残る側面において、周方向に沿ってコイル素線33dを真っ直ぐに配置する段階を含む。
この実施形態は、最外層33bのコイル素線33dの斜行部33fs、33ssが、特定側面S4に集中する。このため、内層33aのコイル素線33cと、最外層33bのコイル素線33dとの交差角度が大きい。この結果、コイル素線33cに対するコイル素線33dのすべりが抑制される。
内層33aを配置する段階は、特定側面S4のみにおいて、磁極へ向けて近づくように傾斜する内層斜行部33ffを形成するように、コイル素線33cを配置する段階を含む。内層33aを配置する段階は、特定側面S4以外の残る側面において、周方向に沿ってコイル素線33cを真っ直ぐに配置する段階を含む。さらに、最外層33bを配置する段階は、内層斜行部33ffの上に交差するように最外層斜行部33fs、33ssを配置する。
この実施形態では、内層斜行部33ffの傾斜方向と、最外層斜行部33fs、33ssの傾斜方向とは逆である。このため、コイル素線33cとコイル素線33dとの交差角度が大きい。この結果、コイル素線33cに対するコイル素線33dのすべりが、よりいっそうに抑制される。
この実施形態では、成形器64によってコイル素線63aを規定の位置に位置付けることができる。このため、整った形状のコイルが得られる。さらに、センサユニット41のカバー部分53との強い干渉を回避するように、コイル素線を配置することができる。加えて、内層33aの斜行部33ffに対して、最外層33bの斜行部33fs、33ssを交差させるため、大きい交差角度が提供される。これにより、コイル素線の位置ずれを抑制することができる。また、ステータの製造方法は、ボビン部分36の上にコイル素線33c、33dを正確かつ高速に配置できるから、大量生産に適する。
他の実施形態
この明細書における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
上記実施形態では、突出部分37eは、一方の端面SD1側にのみ、しかもセンサ隙間の隣にのみ設けられている。これに代えて、突出部分37eは、他の任意の位置にも設けられてもよい。上記実施形態では、凹凸部と、突出部分37eとの両方をセンサインシュレータ部分にのみ設けた。これに代えて、突出部分37eだけをセンサインシュレータ部分にのみ設けてもよい。例えば、凹凸部は、すべてのボビン部分36に設けてもよい。
上記実施形態では、ボビン部分36における凹凸部は、表面36eとフィン36fとで提供される。これに代えて、凹凸部は、多様な形状によって提供できる。例えば、凹凸部は、表面36eと、溝とによって提供されてもよい。
上記実施形態では、単コイル33ssは一連のコイル素線を有する。これに代えて、ひとつのティース部分32cの上に、複数のコイル素線を配置してもよい。この場合、複数のコイル素線が、単コイル33ssを提供する。例えば、ターン数の異なる2つのコイルを提供するための2群のコイル素線をひとつのティース部分の上に配置してもよい。また、上記実施形態では、ステータコイル33は、集中巻きであるが、分布巻き、例えば波巻き、または分散巻きにより形成されていてもよい。
上記実施形態では、容器52とカバー53とは、連続した樹脂材料によって一体的に形成されている。これに代えて、ケース51は、複数の部品によって提供されてもよい。例えば、容器52と複数のカバー53とは、別の部品であってもよい。
上記実施形態では、基板を含む電気回路部品42が容器52に収容されている。これに代えて、カバー53内に電気配線のための基板を有してもよい。また、基板は、リードフレームでもよい。
上記実施形態では、ひとつのカバー53の中にひとつのセンサ43が配置されている。これに代えて、複数のセンサが配置されていてもよい。また、一部のセンサは、容器52の中に配置されてもよい。これにより、コイルとカバー53との干渉による悪影響、例えば損傷が抑制される。また、ひとつのカバー53を備えるセンサユニット41を採用してもよい。例えば、点火制御用のセンサ43のみを備える発電機としての回転電機が提供されてもよい。
上記実施形態では、2層の単コイル33ssによって内層33aと最外層33bとが提供されている。これに代えて、3層またはそれ以上の層を有する単コイル33ssが利用されてもよい。それらの場合でも、内層33aと最外層33bとが提供される。
上記実施形態では、複数のフィン36f、A36fは等間隔に設けられている。代替的に、複数のフィン36f、A36fは、長さ方向における両端範囲にのみ設けられていてもよい。この場合、ボビン部分36の中央範囲は、フィン36f、A36fを持たないフラットな筒状部分を提供する。両端範囲のフィン36f、A36fは、巻き始めにおけるコイル素線33cの位置ずれを抑制する。両端範囲のフィン36f、A36fは、基礎フランジ面36f、37dに接触した後における、巻き方向の転換部分におけるコイル素線33cの位置ずれを抑制する。
この開示によると、回転電機の製造方法が提供される。回転電機の製造方法は、先端に磁極(32a)を有する複数のティース部分(32c)に装着された複数のボビン部分(36)の外周にステータコイル(33)を巻く巻線工程と、隣り合う2つの磁極の間の隙間に、ステータ(31)の一方の端面(SD1)からセンサ(43)を挿入する挿入工程とを備え、巻線工程は、ステータコイルのコイル素線(33d)が、一方の端面側において、磁極から径方向に離れて配置されるように、コイル素線を巻いており、挿入工程は、複数の磁極が形成する複数の通常隙間(38a)とセンサ隙間(38b)とのうち、センサ隙間(38b)のみにセンサを挿入する工程であり、巻線工程は、センサ隙間(38b)の隣に位置するセンサボビン部分(36b)のみにおいて、ステータコイルのコイル素線(33d)が、一方の端面側において、磁極から径方向に離れて配置されるように、コイル素線を巻く工程である。
インシュレータ35は、ステータコア32を軸方向に関して挟む2つの半割体35a、35bを有する。半割体35aは、ステータ31の軸方向の一方の端面SD1側に位置している。この一方の端面SD1上には、センサユニット41が配置される。半割体35bは、ステータ31の軸方向の他方の端面SD2側に位置している。この他方の端面SD2は、センサユニット41が配置される端面とは反対の端面である。後述のコイル素線33dは、半割体35aの上において、磁極32aから径方向に離れて配置されている。半割体35aは、後述の突出部分37eを備える。半割体35bは、突出部分37eを備えない。