JP2020097953A - 流体圧アクチュエータ - Google Patents

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信吾 大野
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Abstract

【課題】高い圧力が掛かる場合にチューブ及びスリーブが封止部材から外れてしまうことを防止する流体圧アクチュエータを提供する。【解決手段】流体圧アクチュエータは、チューブ110とチューブ110外周面を覆うスリーブ120を含むアクチュエータ本体部100と、アクチュエータ本体部100の封止機構200,300を備える。封止機構200は、アクチュエータ本体部100に挿通される封止部材210、アクチュエータ本体部100を封止部材210に拘束するかしめリング230、及び封止部材210にスリーブ120を係止する係止リング220を備える。封止部材210は、頭部211、チューブ110に挿通される胴体部212、及び頭部211と胴体部212の間に設けられるスリーブ被係止部213を有する。スリーブ被係止部213は、フランジ部分214と、フランジ部分214から頭部211側に向かって外径が縮小する縮径部分217を含む。【選択図】図5

Description

本発明は、気体または液体を用いてチューブを膨張及び収縮させる流体圧アクチュエータに関し、具体的には、いわゆるマッキベン型の流体圧アクチュエータに関する。
従来、気体または液体を用いてチューブを膨張及び収縮させる流体圧アクチュエータとしては、空気圧によって膨張、収縮するゴム製のチューブ(管状体)と、チューブの外周面を覆うスリーブ(網組補強構造)とを有する構造(いわゆるマッキベン型)が広く用いられている(特許文献1参照)。
チューブ及びスリーブによって構成されるアクチュエータ本体部は、両端に金属で形成された封止部材を固定することで封止されている。
スリーブは、ポリアミド繊維などの高張力繊維または金属のコードを編み込んだ筒状の構造体であり、チューブの膨張運動を所定範囲に規制する。
このような流体圧アクチュエータは、様々な分野で用いられているが、特に、介護・福祉用機器の人工筋肉として好適に用いられている。
特開昭61−236905号公報
上述したような流体圧アクチュエータは、介護・福祉用機器の人工筋肉以外に、ロボットなどにも用い得る。このような流体圧アクチュエータでは、より高い収縮力が求められるため、流体に鉱物油などを用いた油圧駆動とすることが考えられる。
油圧駆動の場合、流体圧アクチュエータの内部には、極めて高い圧力(5MPa程度)が掛かるため、流体圧アクチュエータが故障する可能性が高まる。具体的には、流体圧アクチュエータの動作等によってスリーブと封止部材とが擦れた場合、スリーブの一部が摩耗し変形することで、アクチュエータ本体部、つまり、チューブ及びスリーブから封止部材が外れてしまい、作動不能になり得る。
そこで、本発明は、油圧駆動とした場合など、高い圧力が掛かる場合でも、チューブ及びスリーブから封止部材が外れてしまい、作動不能となることを防止し得る流体圧アクチュエータの提供を目的とする。
本発明の一態様に係る流体圧アクチュエータは、アクチュエータ本体部と、封止機構とを備える。アクチュエータ本体部は、流体の圧力によって膨張及び収縮する円筒状のチューブと、所定方向に配向されたコードを編み込んだ構造体でありチューブの外周面を覆うスリーブと、によって構成される。封止機構は、アクチュエータ本体部の軸方向における端部を封止する。封止機構は、アクチュエータ本体部に挿通される封止部材と、アクチュエータ本体部の封止部材が挿通された部分の外周面に設けられアクチュエータ本体部を封止部材に拘束する拘束部材と、封止部材にスリーブを係止する係止部材とを備える。封止部材は、封止部材における一方の端を含みチューブに挿通される胴体部と、胴体部と軸方向に連なる頭部と、胴体部と頭部との間に設けられるスリーブ被係止部とを有する。スリーブ被係止部には、係止部材が配置されてスリーブが当接している。スリーブ被係止部は、胴体部よりもアクチュエータ本体部の径方向の外側に凸状であるフランジ部分と、フランジ部分の頭部側に連なり、軸方向において頭部側に向かうに連れて径方向におけるサイズが小さくなる縮径部分と、を含む。
本発明の一態様に係る流体圧アクチュエータによれば、油圧駆動とした場合など、高い圧力が掛かる場合でも、チューブ及びスリーブから封止部材が外れてしまい、作動不能となることを防止し得る。
図1は、本発明の実施形態に係る流体圧アクチュエータ10の側面図である。 図2は、本実施形態に係る流体圧アクチュエータ10の一部分解斜視図である。 図3は、本実施形態に係る封止部材210の単体斜視図である。 図4は、図3のIV-IV線に沿った封止部材210の断面図である。 図5は、本実施形態に係る封止機構200を含む流体圧アクチュエータ10の軸方向DAXに沿った一部断面図である。 図6は、本実施形態の第1変形例に係る封止機構200Aの、かしめリング230を封止部材210にかしめる前の状態における斜視図である。 図7は、本実施形態の第1変形例に係る封止機構200Aを含む流体圧アクチュエータ10の軸方向DAXに沿った一部断面図である。 図8は、本実施形態の第2変形例に係る封止部材210Bの単体斜視図である。 図9は、図8のIX-IX線に沿った封止部材210Bの断面図である。 図10は、本実施形態の第3変形例に係る封止部材210Cの単体斜視図である。 図11は、図10のXI-XI線に沿った封止部材210Cの断面図である。 図12は、本実施形態の第4変形例に係る封止部材210Dの単体斜視図である。 図13は、図12のXIII-XIII線に沿った封止部材210Dの断面図である。
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。なお、同一の機能や構成には、同一または類似の符号を付して、その説明を適宜省略する。
(1)流体圧アクチュエータの全体概略構成
図1は、本発明の実施形態に係る流体圧アクチュエータ10の側面図である。図1に示すように、流体圧アクチュエータ10は、管状のアクチュエータ本体部100、封止機構200及び封止機構300を備える。
封止機構200及び封止機構300は、アクチュエータ本体部100の軸方向DAXにおいて、アクチュエータ本体部100の両端部を封止する。具体的には、封止機構200は、封止部材210及びかしめリング230を含む。封止部材210は、その一部を挿通することによって、アクチュエータ本体部100の軸方向DAXの端部を封止する。かしめリング230は、アクチュエータ本体部100の封止部材210が挿通された部分の外周面に設けられ、アクチュエータ本体部100を封止部材210にかしめる。かしめリング230の外周面には、治具によってかしめリング230がかしめられた痕である圧痕231が形成される。
封止機構300は、封止機構200が封止するアクチュエータ本体部100の端部と反対側の端部を封止するものである。封止機構200と封止機構300との相違点は、流体用の接続口211aが設けられているか否かである。
アクチュエータ本体部100は、チューブ110とスリーブ120とによって構成される。アクチュエータ本体部100には、接続口211aを介して流体が流入する。
アクチュエータ本体部100は、チューブ110内への流体の流入によって、アクチュエータ本体部100の軸方向DAXにおいて収縮し、軸方向DAXに垂直な、アクチュエータ本体部100における径方向Dにおいて膨張する。また、アクチュエータ本体部100は、チューブ110からの流体の流出によって、アクチュエータ本体部100の軸方向DAXにおいて膨張し、径方向Dにおいて収縮する。このようなアクチュエータ本体部100の形状変化によって、流体圧アクチュエータ10は、アクチュエータとしての機能を発揮する。
流体圧アクチュエータ10の駆動に用いられる流体は、空気などの気体、または水、鉱物油などの液体のどちらでもよいが、特に、流体圧アクチュエータ10は、アクチュエータ本体部100に高い圧力が掛かる油圧駆動にも耐え得る高い耐久性を有する。
また、このような流体圧アクチュエータ10は、いわゆるマッキベン型であり、人工筋肉用として適用できることは勿論のこと、より高い能力(収縮力)が要求されるロボットの体肢(上肢や下肢など)用としても好適に用い得る。
図2は、流体圧アクチュエータ10の一部分解斜視図である。図2示すように、流体圧アクチュエータ10は、アクチュエータ本体部100及び封止機構200を備える。
アクチュエータ本体部100は、上述したように、チューブ110とスリーブ120とによって構成される。
チューブ110は、流体の圧力によって膨張及び収縮する円筒状の筒状体である。チューブ110は、流体による収縮及び膨張を繰り返すため、ブチルゴムなど弾性材料によって構成される。本実施形態では、チューブ110の内径が、9.5mmである。
流体圧アクチュエータ10を油圧駆動とする場合には、チューブ110の材料として、耐油性が高いニトリルゴム(NBR)、水素化NBR、クロロプレンゴム、及びエピクロロヒドリンゴムからなる群より選択される少なくとも一種であってもよい。
スリーブ120は、円筒状であり、チューブ110の外周面を覆う。スリーブ120は、所定方向に配向されたコードを編み込んだ構造体である。スリーブ120の網目パターンは、配向されたコードが交差することによって菱形形状が繰り返されている。網目パターンが菱形形状を有するため、スリーブ120のコードは、菱形形状の一方の対角方向に縮むと他方の対角方向が伸びるように、互いに摺動可能である。このため、スリーブ120は、チューブ110の収縮及び膨張をスリーブ120のコードの摺動可能範囲で規制しつつ、チューブ110の収縮及び膨張に追従する。
スリーブ120を構成するコードとしては、芳香族ポリアミド(アラミド繊維)やポリエチレンテレフタラート(PET)の繊維コードを用いることが好ましい。但し、このような種類の繊維コードに限定されるものではなく、例えば、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維などの高強度繊維や、極細のフィラメントによって構成される金属製のコードでもよい。
封止機構200は、アクチュエータ本体部100の軸方向DAXにおける端部を封止する。封止機構200は、封止部材210、係止リング220及びかしめリング230によって構成される。
封止部材210は、管状のアクチュエータ本体部100に挿通される。封止部材210としては、ステンレス鋼などの金属を好適に用い得るが、このような金属に限定されず、硬質プラスチック材料などを用いてもよい。
係止リング220は、封止部材210にスリーブ120を係止する。第1実施形態において、係止リング220は、係止部材を構成する。具体的に、スリーブ120は、係止リング220を介して径方向D外側に折り返される(図5参照)。
係止リング220には、封止部材210と係合できるように一部が切り欠かれた切欠き部221が形成されている。係止リング220としては、封止部材210と同様の金属、硬質プラスチック材料などの材料や、自然繊維(自然繊維の糸)、ゴム(例えばOリング)などの材料を用いることができる。
かしめリング230は、アクチュエータ本体部100の封止部材210が挿通された部分の外周面に設けられ、アクチュエータ本体部100を封止部材210にかしめ付ける。つまり、本実施形態において、かしめリング230は、アクチュエータ本体部100を封止部材210に拘束する拘束部材を構成する。
かしめリング230は、アクチュエータ本体部100を封止部材210にかしめて固定している。かしめリング230としては、アルミニウム合金、真鍮及び鉄などの金属を用いることができる。かしめ用の治具によってかしめリング230がかしめられると、圧痕231(図1参照)が形成される。
(2)封止機構の構成
次に、図3〜図5を参照して、封止機構200の具体的な構成について説明する。
(2.1)封止部材210の形状
図3は、封止部材210の単体斜視図である。図4は、図3のIV−IV線に沿った封止部材210の断面図である。
図3及び図4に示すように、封止部材210は、頭部211、胴体部212及びスリーブ被係止部213を備える。また、封止部材210は、連結部216を備える。
胴体部212は、チューブ110(図1,2参照)に挿通される部分であり、軸方向DAXにおける封止部材210の一方の端部を含む。具体的には、胴体部212は、チューブ110に挿通されて、チューブ110の内周面と接する。
胴体部212の外周面には、チューブ110が封止部材210から抜け難くするため、段状部分212aが形成される。段状部分212aは、チューブ110の胴体部212からの引き抜き方向に対して抵抗となるように、径方向D(図1参照)外側に向けて凸となっている。
頭部211は、軸方向DAX(図1参照)において胴体部212に連なる。具体的には、頭部211は、流体圧アクチュエータ10の軸方向DAX(図1参照)中央に対して、胴体部212の外側に設けられる。頭部211には、接続口211aが形成される。
接続口211aは、流体圧アクチュエータ10の駆動圧力源、具体的には、気体や液体のコンプレッサなどと接続されたホース(管路)が接続される。
また、頭部211は、軸方向DAXにおけるかしめリング230の端面232(図2,5参照)と当接する当接面211bを有する。当接面211bは、端面232と面接触できる平坦な面である。
スリーブ被係止部213は、胴体部212と頭部211との間に設けられる。スリーブ被係止部213は、フランジ部分214と、縮径部分217とを含む。
フランジ部分214は、軸方向DAXにおいて、スリーブ被係止部213における胴体部212側に形成される。具体的には、フランジ部分214は、胴体部212に隣接して設けられる。フランジ部分214は、胴体部212よりも径方向D外側に凸状である。本実施形態において、フランジ部分214は、胴体部212の外周面から径方向D外側に突出し、径方向外側端が、軸方向DAXにおいて一定の外径を有する円環状である。フランジ部分214の直径は、13mmである。
また、フランジ部分214は、軸方向DAXにおけるチューブ110の端面111(図2,5参照)と当接する当接面214aを有する。当接面214aは、端面111と面接触できる平坦な面である。
縮径部分217は、フランジ部分214の軸方向DAXにおける頭部211側に連なる。縮径部分217は、軸方向DAXにおける頭部211側に向かうに連れて径方向Dにおけるサイズが小さくなる。具体的には、本実施形態において、縮径部分217は、軸方向DAXにおいて一定の勾配で外径が縮小するテーパ状である。
本実施形態において、スリーブ被係止部213は、外径が軸方向において一定である小径部分218をさらに含む。小径部分218は、頭部211と縮径部分217との間に設けられる。小径部分218は、縮径部分217の頭部側211の端部におけるサイズ以下の外径を有する。
本実施形態において、小径部分218は、縮径部分217の軸方向DAXにおいて縮径する外表面の頭部211側端部と同じサイズの外径を有する。具体的には、小径部分218は、縮径部分217におけるテーパ面の頭部211側の端部と連なっている。本実施形態において、小径部分218の直径は、8mmである。
封止部材210の内部には、軸方向DAXに沿って貫通孔215が形成される。貫通孔215は、接続口211aに連通しており、貫通孔215を介してアクチュエータ本体部100に流体が流入する。本実施形態では、貫通孔215の直径は、3mmである。
なお、小径部分218の直径を細くし過ぎると、アクチュエータ本体部100が膨張した際の張力によって小径部分218が破断し易くなる。一方、流体の円滑な通過を妨げないようにする観点からは、貫通孔215の内径はある程度大きくしたい。従って、上述した実施形態に係る封止部材210の各部のサイズ程度とすることが好ましい。
また、封止部材210には、連結部216が設けられる。具体的には、連結部216は、頭部211の軸方向DAX外側に設けられる。連結部216には、ロボットの体肢を構成する部材などを係合するために、係合孔216aが形成される。
(2.2)封止機構200の構成
図5は、封止機構200の含む流体圧アクチュエータ10の軸方向DAXに沿った一部断面図である。
図5に示すように、胴体部212は、チューブ110に挿通される。当接面214aは、チューブ110の端面111と当接する。具体的には、当接面214aは、端面111と面接触する。また、段状部分212aは、かしめリング230でアクチュエータ本体部100を封止部材210にかしめることによって、チューブ110の内周面に食い込み、チューブ110が胴体部212から抜けることを防止する。
係止リング220は、スリーブ120の外周面に設けられる。係止リング220は、スリーブ120を封止部材210に係止する。本実施形態では、係止リング220は、スリーブ被係止部213に配置される。具体的には、スリーブ120が係止リング220で係止された状態において、スリーブ120は、スリーブ被係止部213の小径部分218と当接している。なお、スリーブ120は、係止リング220を介して軸方向DAXにおける流体圧アクチュエータ10の中央側、つまり封止部材210の胴体部212の側に折り返される。具体的には、スリーブ120は、係止リング220を介して折り返された折り返し部分120aを有する。また、折り返し部分120aは、係止リング220を介して径方向D外側に折り返されており、かしめリング230の内周面と当接する。
かしめリング230は、チューブ110及び係止リング220を介して折り返されたスリーブ120を封止部材210にかしめることによって、アクチュエータ本体部100に封止部材210を固定する。
かしめリング230は、面取り部233を有する。面取り部233は、軸方向DAXにおける流体圧アクチュエータ10の中央側の端部に形成される。面取り部233は、軸方向DAXにおける流体圧アクチュエータ10の中央側に向かうに連れてかしめリング230の内径が広がる形状を有する。面取り部233は、かしめリング230の軸方向DAXにおける流体圧アクチュエータ10の中央側の端部と、折り返し部分120aとの過度な接触を回避するために形成される。
また、上述したように、頭部211の当接面211bは、かしめリング230の端面232と当接する。具体的には、当接面211bは、端面232と面接触する。
(3)作用・効果
上述したように、流体圧アクチュエータ10では、チューブ110及びスリーブ120によって構成されるアクチュエータ本体部100の両端が封止機構200,300によって封止されている。封止機構200の封止部材210には、胴体部212よりもアクチュエータ本体部100の径方向Dの外側に凸状であるフランジ部分214と、フランジ部分214の頭部211側に連なり、軸方向DAXにおいて頭部211側に向かうに連れて径方向Dにおけるサイズが小さくなる縮径部分217を含むスリーブ被係止部213が設けられる。スリーブ被係止部213には、スリーブ120が係止リング220とかしめリング230によって係止されており、スリーブ120がスリーブ被係止部213に当接している。この結果、アクチュエータ本体部100は、かしめリング230によって封止部材210に拘束されている。
流体圧アクチュエータ10によれば、スリーブ120に対して、軸方向DAXの胴体部212側に引っ張る力が作用した場合でも、折り返されたスリーブ120を介したスリーブ120の軸方向DAXの胴体部212側への移動が、かしめリング230とフランジ部分214とによって抑制される。この結果、チューブ110が封止部材210の胴体部212から抜けてしまうことを防止できる。
具体的には、かしめリング230によってアクチュエータ本体部100が封止部材210にかしめ付けられる際に、かしめリング230とフランジ部分214とによって、スリーブ120が直接拘束されるため、フランジ部分214がない構造と比較すると、アクチュエータ本体部100の抜け止め効果が大幅に向上する。
上述した流体圧アクチュエータ10によれば、軸方向DAXにおいて流体圧アクチュエータ10を20kN相当の力で引っ張っても、かしめリング230とフランジ部分214とで拘束されたスリーブ120のコードが引っ張り力に耐えること、その結果としてアクチュエータ本体部100が封止機構200から抜けないことが確認できている。
封止部材210には、フランジ部分214と縮径部分217とを含むスリーブ被係止部213が設けられている。スリーブ被係止部213には、スリーブ120が係止リング220とかしめリング230によって係止されている。
係止リング220の軸方向DAXの胴体部212側への移動がかしめリング230とフランジ部分214とによって規制された状態において、スリーブ被係止部213に縮径部分217が形成されているため、縮径部分217が無い場合と比較すると、フランジ部分214と縮径部分217との境界に接触する箇所におけるスリーブ120の軸方向DAXに対する湾曲角度が低減する。このため、フランジ部分214の端部にスリーブ120が擦れて摩耗し変形することを抑制することができる。この結果、スリーブ120が封止部材210から外れてしまうことを防止することができる。
縮径部分217を省略した構造の封止部材を用いた流体圧アクチュエータでは、軸方向において流体圧アクチュエータを引っ張ると10kN相当の引っ張り力まではかしめリング230とフランジ部分214との作用によって引っ張り力に耐えることができる。縮径部分217が形成された封止部材210を用いた本実施形態の流体圧アクチュエータ10によれば、縮径部分217が形成されない場合よりもスリーブ120の耐久性が大幅に向上し、上述したとおり、20kN相当の引っ張り力に耐えることが確認できている。
以上のように、流体圧アクチュエータ10を油圧駆動とした場合など、高い圧力が掛かる場合でも、チューブ110及びスリーブ120が封止部材210から外れてしまうことによって、流体圧アクチュエータ10が作動不能となることを防止し得る。
スリーブ120は、本実施形態のように、係止リング220を介して軸方向DAXにおける胴体部212側に折り返されている。これにより、係止リング220を介して折り返されたスリーブ120の、胴体部212側への移動がより抑制され、チューブ110が胴体部212から抜けてしまうことを防止することができる。
スリーブ被係止部213は、外径が軸方向DAXにおいて一定である小径部分218を含む。小径部分218は、本実施形態のように、スリーブ被係止部213は、頭部211と縮径部分217との間に設けられ、縮径部分217の頭部211側の端部におけるサイズ以下の外径を有する。
スリーブ被係止部213が小径部分218を含むため、係止リング220によってスリーブ120が小径部218に対して径方向で付勢され、係止される。このため、スリーブ120が封止部材210から抜けることを防止する効果がさらに高め得る。
縮径部分217は、軸方向DAXにおいて一定の勾配で外径が縮小するテーパ状である。この構成によれば、スリーブ120に対して、軸方向DAXにおける胴体部212側に引っ張る力が作用した状態における、スリーブ120が摩耗し変形することを抑制する効果と、係止リング220の軸方向DAXにおける胴体部212側への移動を規制する効果との両立を、テーパ面の勾配を設定することによって簡便に設計することができる。
また、本実施形態では、フランジ部分214は、胴体部212の外周面から径方向D外側に突出した円環状である。これにより、フランジ部分214は、スリーブ120と面接触するため、アクチュエータ本体部100の抜け止め効果をさらに向上し得る。
本実施形態では、フランジ部分214は、チューブ110の端面111と当接する当接面214aを有する。また、頭部211は、かしめリング230の端面232と当接する当接面211bを有する。これにより、封止部材210による密封性を高めることができ、高圧力下において流体が漏れ出すことによって、アクチュエータ本体部100の抜け止め効果をさらに向上し得る。
本実施形態では、かしめリング230の面取り部233は、軸方向DAXにおける流体圧アクチュエータ10の中央側に向かうに連れてかしめリング230の内径が広がる形状を有する。これにより、スリーブ120の折り返し部分120aの損傷が防止され、当該損傷に起因するアクチュエータ本体部100の抜けを防止し得る。
(4)封止機構の変形例
次に、図6〜図13を参照して、封止機構の変形例について説明する。以下、上述した実施形態に係る封止機構200と異なる部分について主に説明し、同様の部分については、その説明を適宜省略する。
(4.1)第1変形例
図6は、封止機構200Aの、かしめリング230を封止部材210にかしめる前の状態における斜視図である。図7は、封止機構200Aを含む流体圧アクチュエータ10の軸方向DAXに沿った一部断面図である。なお、図6では、スリーブ120が折り返される前の状態を示している。
封止機構200Aでは、係止リング220に代えて係止ワイヤ220Aが用いられる。係止ワイヤとしては、係止リング220と同様に、金属、硬質プラスチック材料、自然繊維(自然繊維の糸)、ゴム(例えばOリング)などの材料を用い得る。本変形例において、係止ワイヤ200Aは、金属製の針金である。係止ワイヤ200Aは、封止部材210のスリーブ被係止部213(図3〜図5参照)の領域において、スリーブ120の外周面に巻き付けられる。係止ワイヤ220Aは、係止部材の変形例の一例である。
係止ワイヤ220Aは、スリーブ120の外周面に少なくとも数回巻き付けられることが好ましい。また、係止ワイヤ220Aの両端部は、互いに捻って結束してもよいし、結束せずに、単に首部213に巻き付けるようにしてもよい。
係止ワイヤ220Aは、係止リング220と比較すると、スリーブ120を封止部材210に締結でき、スリーブ120の抜け止め効果をさらに向上し得る。
(4.2)第2変形例、第3変形例
図8は、第2変形例に係る封止部材210Bの単体斜視図である。図9は、図8のIX-IX線に沿った封止部材210Bの断面図である。
実施形態の封止部材210では、小径部分218が、縮径部分217の頭部211側の端において、軸方向DAXの頭部211側に向かうに連れて縮径する外表面と連なっていた。これに対して、第2変形例に係る封止部材210Bのスリーブ被係止部213Bにおける縮径部分217Bは、図9に示すように、軸方向DAXにおける頭部211側の端が平面状であり、縮径部分217Bの頭部211側の端は、軸方向DAX位置に対して直交している。具体的には、第2変形例において、小径部218は、縮径部分217Bと隣接し、縮径部分217Bの軸方向DAX端に形成された平面状の端面219Bと連なっている。第2変形例において、縮径部分217Bの軸方向DAXの長さは、フランジ部分214Bの長さよりも短い。なお、第2変形例において、縮径部分217Bの外径は、軸方向DAXにおいて一定の勾配で縮小するテーパ状である。
なお、第2変形例においても、フランジ部分214Bは、胴体部212の外周面から径方向D外側に凸状に突出している。具体的には、フランジ部分214Bは、外径が軸方向DAXにおいて一定である円環状に突出して形成されている。具体的には、第2変形例において、フランジ部分214Bの直径は13mmである。第2変形例において、小径部分218の直径は8mmであり、フランジ部分214Bと小径部分218との断面内における径方向の段差は2.5mmである。つまり、縮径部分217Bでは、径方向における、端面219Bの高さと、縮径する部分の高さとの和が、2.5mmとなっている。
第2変形例は、封止部材210Bに小径部分218の外周面から径方向Dの外側に突出して断面形状が矩形状に形成された円環状突起を形成したうえで、該円環状突起の頭部211側の縁を面取りして形成した軸方向DAXにおける面取り面が位置する範囲を縮径部分217Bとしたものであってもよい。
第2変形例では、スリーブ120に対して、軸方向DAXにおける胴体部212側に引っ張る力が作用した場合であっても、係止リング220がスリーブ120を介して縮径部分217Bの端面219Bと軸方向DAXで当接するため、スリーブ120の、軸方向DAXにおける胴体部212側への移動を抑制する効果がさらに高まる。これにより、チューブ110が胴体部211から抜けてしまうことを防止する効果を向上させることができる。
第2変形例で示したように、封止部材210の縮径部分217Bは、フランジ部分214Bの軸方向DAXの頭部211側における径方向外側端の縁とスリーブとが擦れて摩耗することを抑制できる構成であればよい。図10、図11に示すように、第3変形例に係る封止部材210Cにおける縮径部分217Cの外表面は、フランジ部分214Cから縮径部分217Cの端面219Cまで滑らかに連なるものであってもよい。なお、第3変形例において、縮径部分217Cの外径は、軸方向DAXにおいて一定の勾配で縮小するテーパ状である。
第3変形例は、封止部材210Cに小径部分218の外周面から径方向Dの外側に突出して断面形状が矩形状に形成された円環状突起を形成したうえで、該円環状突起の頭部211側の縁をR面取り(round chamfering)して形成した軸方向DAXにおける面取り面が位置する範囲を縮径部分217Cとしたものであってもよい。
(4.3)第4変形例
図12は、封止機構210Dの単体斜視図である。図13は、図12のXIII-XIII線に沿った封止部材210Dの断面図である。
実施形態のスリーブ被係止部213では、縮径部分217が、軸方向DAXにおいて小径部分218と連なっていた。これに対して、第4変形例では、スリーブ被係止部213Dの縮径部分217Dが、軸方向DAXにおいて頭部211まで延びている。なお、第4変形例において、縮径部分217Dの外径は、軸方向DAXにおいて一定の勾配で縮小するテーパ状である。
この構成によれば、スリーブ120に対して軸方向DAXにおける胴体部212側に引っ張る力が作用して、係止リング220が軸方向DAXにおける胴体部212側に移動させられた場合でも、係止リング220とスリーブ120とは、縮径部分217Dとかしめリング230とに挟まれて、軸方向DAXにおける胴体部212側への移動が規制される。このため、フランジ部分214Dと縮径部分217Dとの境界に接触する箇所におけるスリーブ120の軸方向DAXに対する湾曲角度が低減する。これにより、スリーブ120とフランジ部分214Dとが擦れた場合に生じるスリーブ120の摩耗をさらに低減することができる。
(5)その他の実施形態
以上、実施形態に沿って本発明の内容を説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
例えば、上述した実施形態では、フランジ部214の当接面214aは、チューブ110の端面111と面接触できる平坦な面であったが、この面は平坦な面でなくても構わない。同様に、頭部211の当接面211bは、かしめリング230の端面232と面接触できる平坦な面でなくても構わない。さらに、かしめリング230の面取り部233も、必ずしも形成されていなくても構わない。
上述した実施形態では、フランジ部214は円環状であったが、必ずしも円環状でなくてもよく、多角形状(例えば、八角形)などでもよい。
また、封止部材210の連結部216は、設けられていなくてよい。つまり、連結部216は、流体圧アクチュエータ10の用途に応じて設けられてよいし、設けられなくてもよい。さらに、連結部216にねじ部を形成し、頭部211に対して着脱可能としてもよい。
上述した実施形態では、スリーブ120は係止リング220を介して折り返されていたが、スリーブ120は、必ずしも軸方向DAXにおける流体圧アクチュエータ10の中央側に折り返されていなくてもよい。
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
10 流体圧アクチュエータ
100 アクチュエータ本体部
110 チューブ
111 端面
120 スリーブ
120a 折り返し部分
200,200A 封止機構
210,210B,210C,210D 封止部材
211 頭部
211a 接続口
211b 当接面
212 胴体部
212a 段状部分
213,213B,213D スリーブ被係止部
214,214B,214C フランジ部分
214a 当接面
215 貫通孔
216 連結部
216a 係合孔
217,217B,217C,217D 縮径部分
218 小径部分
220 係止リング
220A 係止ワイヤ
230 かしめリング
231 圧痕
232 端面
233 かしめリングの面取り部
300 封止機構

Claims (6)

  1. 流体の圧力によって膨張及び収縮する円筒状のチューブと、所定方向に配向されたコードを編み込んだ構造体であり前記チューブの外周面を覆うスリーブと、によって構成されるアクチュエータ本体部と、
    前記アクチュエータ本体部の軸方向における端部を封止する封止機構と
    を備える流体圧アクチュエータであって、
    前記封止機構は、
    前記アクチュエータ本体部に挿通される封止部材と、
    前記アクチュエータ本体部の前記封止部材が挿通された部分の外周面に設けられ、前記アクチュエータ本体部を前記封止部材に拘束する拘束部材と、
    前記封止部材に前記スリーブを係止する係止部材と
    を備え、
    前記封止部材は、
    前記封止部材における一方の端を含み、前記チューブに挿通される胴体部と、
    前記胴体部と前記軸方向に連なる頭部と、
    前記胴体部と前記頭部との間に設けられるスリーブ被係止部と、
    を有し、
    前記スリーブ被係止部には、前記係止部材が配置されて前記スリーブが当接しており、
    前記スリーブ被係止部は、
    前記胴体部よりも前記アクチュエータ本体部の径方向の外側に凸状であるフランジ部分と、
    前記フランジ部分の頭部側に連なり、前記軸方向において前記頭部側に向かうに連れて前記径方向におけるサイズが小さくなる縮径部分と、
    を含む流体圧アクチュエータ。
  2. 前記スリーブは、前記係止部材を介して前記軸方向における前記胴体部の側に折り返される請求項1に記載の流体圧アクチュエータ。
  3. 前記スリーブ被係止部は、外径が前記軸方向において一定である小径部分をさらに含み、
    前記小径部分は、前記頭部と前記縮径部分との間に設けられ、
    前記小径部分は、前記軸方向において、前記縮径部分の前記頭部側の端におけるサイズ以下の外径を有する請求項1または2に記載の流体圧アクチュエータ。
  4. 前記フランジ部分は、外径が前記軸方向において一定であり、
    前記縮径部分は、前記頭部側の端が平面状であり、
    前記縮径部分の前記頭部側の端は、前記軸方向に対して直交しており、
    前記軸方向において、前記縮径部分の幅が前記フランジ部分の幅よりも短い請求項3に記載の流体圧アクチュエータ。
  5. 前記縮径部分は、前記軸方向において前記頭部まで延びる請求項2に記載の流体圧アクチュエータ。
  6. 前記縮径部分は、前記軸方向において一定の勾配で外径が縮小するテーパ状である、請求項1〜5の何れか一項に記載の流体圧アクチュエータ。
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