JP2020094637A - 複合管、及び複合管の製造方法 - Google Patents

複合管、及び複合管の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】被覆層と管体とが相対回転しても、被覆層と管体との間で、中間層における多孔質樹脂シート自体の巻き込みが抑制される複合管及び複合管の製造方法を提供する。【解決手段】複合管10は、管体12と、管状とされて管体12の外周を覆い、径方向の外側へ凸となる環状の山部22と、径方向の外側が凹となる環状の谷部24とが、管体12の軸方向に交互に形成された樹脂材料で構成された被覆層20と、管体12と被覆層20との間に配置され、帯状の多孔質樹脂シート14Sの幅方向における本体部14Dの両端部が径方向に重なると共に、両端部における一方の端部14SAと、一方の端部の径方向の外側に重なる他方の端部14SBと、を有し、一方の端部14SAにおける端面14SA1は、管体12に対して被覆層20が回転する回転方向Mの上流側を向いている重なり部14Lを有する中間層14と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、複合管、及び複合管の製造方法に関するものである。
従来から、管体を複数層重ねて形成する複合管が知られている。例えば下記特許文献1には、管状の外側層と内側層の間に発泡層を設けたコルゲート管が記載されている。
この特許文献1に示されたコルゲート管のように、外側の被覆層と内側の管体との間に多孔質樹脂層を設けた複合管を形成する場合、多孔質樹脂層は、帯状の多孔質樹脂シートの幅方向における両端面を突付けることにより管状に形成することがある。この場合、多孔質樹脂シートは、両端面を対向させて管体に巻きつけられ、外周が被覆層を形成する樹脂材料によって覆われた状態で金型に挿入され、型締めされることによって、互いに対向する多孔質樹脂シートの両端面が突き付けられた状態で複合管が完成する。
特開2005−125760号公報
このような製造過程において、コルゲート管となる外側の被覆層が内側の管体に対して回転する場合がある。このとき、中間層を構成する多孔質樹脂シートは、内側の管体に対して、その外周を覆うコルゲート管と共に回転する。そうすると、多孔質樹脂シートの両端部のうち、回転方向を向く端部が管体の外周面との摩擦によって反転し、そのまま回転が継続すると、多孔質樹脂シート自体が、コルゲート管と管体との間でロール状に巻き込まれて、多孔質樹脂シートの両端部の突き合せ状態が崩れることがある。これにより、多孔質樹脂シート自体に管体の周方向の巻き込みが生じてしまう。
本発明は、上記事実を考慮して、被覆層と管体とが相対回転しても、被覆層と管体との間で、中間層を構成する多孔質樹脂シート自体の巻き込みが抑制される複合管及び複合管の製造方法を提供することを目的とする。
請求項1に係る複合管は、管体と、管状とされて前記管体の外周を覆い、径方向の外側へ凸となる環状の山部と、前記径方向の外側が凹となる環状の谷部とが、前記管体の軸方向に交互に形成された樹脂材料で構成された被覆層と、前記管体と前記被覆層との間に配置され、帯状の多孔質樹脂シートの幅方向における本体部の両端部が前記径方向に重なると共に、前記両端部における一方の端部と、前記一方の端部の前記径方向の外側に重なる他方の端部と、を有し、前記一方の端部における端面は、前記管体に対して前記被覆層が回転する回転方向の上流側を向いている重なり部を有し、前記谷部と前記管体との間に挟持される中間層と、を有するものである。
請求項1に係る複合管によれば、多孔質樹脂シートの本体部の両端部が突き合わされているものと比べて、管体に対して被覆層が相対回転しても、被覆層と管体との間で中間層を構成する多孔質樹脂シート自体の巻き込みが抑制される。
請求項2に係る複合管は、請求項1に係る複合管において、前記重なり部における前記一方の端部及び前記他方の端部は、相互に重なる範囲において、前記本体部より薄肉とされているものである。
請求項2に係る複合管によれば、多孔質樹脂シートの両端部が、それぞれ本体部と同じ肉厚とされているものと比べて、重なり部に加わる圧力が本体部における圧力に近づくので、一方の端部と管体の外周面との間の摩擦力の倍増が抑制される。
請求項3に係る複合管は、請求項1又は2に係る複合管において、前記被覆層は、コルゲート管とされるものである。
請求項3に係る複合管によれば、複合管の軸方向に対する曲げの自由度が向上される。
請求項4に係る複合管は、請求項1から3のいずれか1項に係る複合管において、前記重なり部は、前記管体の周方向において、前記被覆層のパーティングラインと異なる位置に配置されるものである。
請求項4に係る複合管によれば、金型のパーティング面に対応する位置には多孔質樹脂シートの重なり部が配置されないので、弛み部は形成され難い。これにより、パーティング面に挟まれる部位において、被覆層のバリの発生が抑制される。
請求項5に係る複合管は、請求項1から4のいずれか1項に係る複合管において、前記被覆層を形成する前記樹脂材料のMelt flow rate(MFR)が0.25以上1.2以下とされているものである。
請求項5に係る複合管によれば、MFRを0.25以上にすることにより、中間層の多孔質構造に被覆層の樹脂が入り込みやすくなり、中間層と被覆層との接着度が高まる。また、MFRを1.2以下にすることにより、バリの発生が抑制される。
請求項6に係る複合管の製造方法は、管体の外周に、帯状の多孔質樹脂シートを、前記多孔質樹脂シートの幅方向における一方の端部の径方向の外側に他方の端部を重ねて重なり部を設けて巻き付ける巻き付け工程と、前記多孔質樹脂シートの外周を樹脂材料で被覆する被覆工程と、前記管体、前記多孔質樹脂シート及び前記樹脂材料を前記金型に配置して型締めし、前記重なり部を有する中間層と、前記中間層の外周に前記樹脂材料により成形された被覆層を形成する形成工程と、を有するものである。
請求項6に係る複合管の製造方法によれば、金型を用いて多孔質樹脂シートの外周に被覆層を形成する際に、前記両端部において、前記一方の端部における端面を、前記管体に対して前記被覆層が回転する回転方向の上流側を向くように重なり部を形成するので、被覆層と管体とが相対回転しても、被覆層と管体との間で中間層を構成する多孔質樹脂シート自体の巻き込みが抑制される。
請求項7に係る複合管の製造方法は、請求項6に係る複合管の製造方法において、前記巻き付け工程における重なり部は、前記管体の周方向において、前記被覆層のパーティングラインと異なる位置に配置されているものである。
請求項7に係る複合管の製造方法によれば、パーティング面において被覆層にバリが発生する場合があっても、重なり部の形成に悪影響を及ぼさない。
請求項8に係る複合管の製造方法は、請求項7に係る複合管の製造方法において、前記管体の軸方向に沿って切れ目が形成された円筒状の冶具を用い、前記多孔質樹脂シートが前記管体に巻き付く前に、前記一方の端部を前記冶具の内側を通過させると共に、前記他方の端部を、前記切れ目を介して前記冶具の外側を通過させて、前記多孔質樹脂シートを前記管体の外周に巻き付けるようにしたものである。
請求項8に係る複合管の製造方法によれば、管体の軸方向に沿って切れ目が形成された円筒状の冶具を用いるだけで、多孔質樹脂シートの両端部に重なり部が形成される。
本発明によれば、被覆層と管体とが相対回転しても、被覆層と管体との間で、多孔質樹脂シート自体の巻き込みが抑制される。
本実施形態に係る複合管を示す斜視図である。 図1における軸S方向から見た正面図である。 図1における3−3断面図である。 図3の一部拡大断面図である。 本実施形態の変形例を示す斜視図である。 (A)は本実施形態の変形例を軸S方向から見た正面図であり、(B)は本実施形態の他の変形例を軸S方向から見た正面図である。 本実施形態に係る複合管の管体の端部が露出された状態を示す縦断面図である。 図3において、被覆層及び多孔質樹脂層が圧縮変形された状態を示す一部拡大断面図である。 図3において、被覆層及び多孔質樹脂層が短縮変形された状態を示す一部拡大断面図である。 本実施形態に係る複合管の管体の端部が露出された状態を示す斜視図である。 本実施形態の複合管の製造工程を示す図である。 本実施形態の冶具によって管体と多孔質樹脂シートが重ね合される状態を示す斜視図である。 (A)は、本実施形態に係る複合管において、管体に多孔質樹脂層を形成する多孔質樹脂シートを巻き付ける前の状態を示した斜視図であり、(B)は、管体に多孔質樹脂シートを巻き付けている状態を示した斜視図である。 (A)は、本実施形態の複合管の製造工程において、波付け金型の型締め前の状態を示した断面図であり、(B)は、波付け金型の型締め後の状態を示した断面図である。 (A)は、比較例の複合管の製造工程において波付け金型の型締め前の状態を示した断面図であり、(B)は、波付け金型の型締め中の状態を示した断面図である。 (A)は、比較例において管体に対して被覆層が回転を開始する前の状態を示す断面図であり、(B)は、比較例において管体に対して被覆層が回転し、多孔質樹脂層の一方の端部が捲くれ始めた状態を示す断面図である。
以下、本発明に係る複合管の一例である実施形態について、図面を適宜参照しながら詳細に説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。なお、以下に説明する実施形態において重複する説明及び符号については、省略する場合がある。なお、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
本明細書において「工程」との語には、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その目的が達成されるものであれば、当該工程も本用語に含まれる。本明細書において、組成物中の各成分の量は、各成分に該当する物質が組成物中に複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。本明細書において、「主成分」とは、特に断りがない限り、混合物中における質量基準の含有量が最も多い成分をいう。
次いで、本発明の複合管を実施するための形態を、一例を挙げ図面に基づき説明する。
<複合管>
図1及び2に示すように、本実施形態に係る複合管10は、管体12と、管状とされて管体12の外周を覆う被覆層20と、管体12と被覆層20との間に配置される中間層の一例である多孔質樹脂層14と、を有する。
管体12は、樹脂材料で構成される。
被覆層20は、樹脂材料で構成される。また、その形状は、径方向外側へ凸となる環状の山部22と、径方向外側が凹となる環状の谷部24とが、管体12の軸S方向に交互に形成され、管体12の外周にガイドされつつ軸S方向に短縮可能とされる。
多孔質樹脂層14は、管体12と被覆層20との間に配置され、帯状の多孔質樹脂シート14Sの幅方向における両端部が径方向Rに重なっている。
この両端部における一方の端部14SAと、一方の端部14SAの径方向Rの外側に重なる他方の端部14SBと、を有する。そして、一方の端部14SAにおける端面14SA1は、管体12に対して被覆層20が回転する回転方向Mの上流側を向く重なり部14Lを有し、谷部24と管体12との間に挟持されるよう配置されている。
(管体)
管体12は、樹脂材料で構成される樹脂管である。樹脂材料における樹脂としては、例えば、ポリブテン、ポリエチレン、架橋ポリエチレン、及びポリプロピレン等のポリオレフィン、並びに塩化ビニル等が挙げられ、樹脂は1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。中でも、ポリブテンが好適に用いられ、ポリブテンを主成分として含むことが好ましく、例えば管体を構成する樹脂材料中において85質量%以上含むことがより好ましい。
また、管体を構成する樹脂材料には、他の添加剤を含有してもよい。
管体12の径(外径)としては、特に限定されるものではないが、例えば10mm以上100mm以下の範囲とすることができ、12mm以上35mm以下の範囲が好ましい。また、管体12の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば1.0mm以上5.0mm以下が挙げられ、1.4mm以上3.2mm以下が好ましい。
(被覆層)
被覆層20は、図1及び2に示すように、管状とされ、管体12、及び多孔質樹脂層14の外周を覆っている。多孔質樹脂層14は、管体12と被覆層20の間に配置されている。被覆層20は、樹脂材料で構成される。被覆層20を構成する樹脂材料における樹脂としては、ポリブテン、ポリエチレン、ポリプロピレン、及び架橋ポリエチレン等のポリオレフィン、並びに塩化ビニル等が挙げられ、樹脂は1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。中でも、低密度ポリエチレンが好適に用いられ、低密度ポリエチレンを主成分として含むことが好ましく、例えば被覆層を構成する樹脂材料中において80質量%以上含むことがより好ましく、90質量%以上含むことがさらに好ましい。
また、使用する樹脂のMFR(Melt Flow Rate)は、0.25以上であることが好ましく、0.3以上であることがより好ましく、0.35以上1.2以下であることがさらに好ましい。MFRを0.25以上にすることにより、多孔質樹脂層14の多孔質構造に被覆層20の樹脂が入り込みやすくなり、後述する多孔質樹脂層14と被覆層20の谷部24との接着度を高めることができる。また、MFRを1.2以下にすることにより、バリが発生しにくくなる。MFRが1.2より大きい場合は、被覆層20を形成するための金型のパーティング面に溶融樹脂が流れ込み易くなり、バリが発生しやすくなる。なお、被覆層20を構成する樹脂材料には、他の添加剤を含有してもよい。
図1及び3に示すように、被覆層20は、蛇腹状とされており、径方向外側へ凸となる環状の山部22と、径方向外側が凹となる環状の谷部24とが、管体12の軸S方向に交互に連続して形成されている。山部22は、谷部24よりも径方向Rの外側に配置されている。換言すれば、被覆層20は、コルゲート管である。
図4に示すように、被覆層20の蛇腹状の最も径方向外側の部分を外側壁22A、最も径方向内側の部分を内側壁24Aとすると、径方向における外側壁22Aと内側壁24Aの中間部Mを境界として、径方向外側を山部22とし、径方向内側を谷部24とする。
山部22は、軸S方向に延びる外側壁22Aと、外側壁22Aの両端から径方向Rに沿って延びる側壁22Bを有している。外側壁22Aと側壁22Bの間には、外屈曲部22Cが形成されている。谷部24は、軸S方向に延びる内側壁24Aと、内側壁24Aの両端から径方向Rに延びる側壁24Bを有している。内側壁24Aと側壁24Bの間には、内屈曲部24Cが形成されている。
被覆層20の山部22の径方向内側には、径方向内側に凹の山空間23が形成されている。なお、山空間23には、後述する多孔質樹脂層14の凸部14Bが挿入されていることが好ましい。
また、特に限定されるものではないが、山部22の軸S方向の長さL1は、谷部24の軸S方向の長さL2よりも長く設定されていることが好ましい。長さL1は、後述する短縮変形時の外側壁22Aの変形しやすさを確保するため、長さL2の1.2倍以上であることが好ましい。
また、長さL2は、0.8mm以上であることが好ましい。これは、長さL2が0.8mm未満では、被覆層20を製造する金型の谷部の幅が小さすぎて、被覆層20の製造時において、被覆層20を構成する樹脂を押し出した後に、金型で当該樹脂に凹凸をつける時に、当該樹脂の金型の谷部に対応する部分が細く壊れやすくなり、被覆層20の成形が難しくなるからである。一方、長さL1は、長さL2の5倍以下であることが好ましい。これは、長さL1を長さL2の5倍以下にすることにより、複合管10の可撓性を保つことができるからである。また、長さL1が長すぎると、複合管10を敷設する際に、地面との接触面積が大きくなって施工しにくくなるためでもある。
なお、図4に示すように、長さL1は、被覆層20における中間部Mと交差する部分において、被覆層20の径方向Rの外側から見た表面における軸S方向外側間の距離(被覆層20の径方向Rの外側に凸となる部分の軸S方向一方側の表面と軸S方向他方側の表面との距離)である。また、長さL2は、被覆層20における中間部Mと交差する部分において、被覆層20の径方向Rの内側から見た表面における軸S方向外側間の距離(被覆層20の径方向Rの内側に凸となる部分の軸S方向一方側の表面と軸S方向他方側の表面との距離)である。
被覆層20の厚さは、被覆層20を短縮させるために、最も薄い部分で0.1mm以上、最も厚い部分で0.4mm以下であることが好ましい。外側壁22Aの厚さH1は、内側壁24Aの厚さH2よりも薄くなっている。厚さH1は、後述する短縮変形時の外側壁22Aの変形しやすさを確保するため、厚さH2の0.9倍以下であることが好ましい。
山部22と谷部24の外表面での半径差ΔRは、被覆層20の厚さの平均の800%以下であることが好ましい。半径差ΔRが大きければ、山部22の軸S方向に沿った部分が変形しなくても、短縮のときに谷部24が径方向外側へ膨出したり、隣り合う山部22同士が近づかないで歪んだ変形状態となったりしにくい。半径差ΔRが、被覆層20の厚さの平均の800%以下となる場合に、上記の変形状態となることを抑制するために、山部22の軸S方向の長さを谷部24の軸方向の長さよりも長くすることが、効果的である。なお、600%以下である場合に、より効果的である。
被覆層20の径(最外部の外径)としては、特に限定されるものではないが、例えば13mm以上130mm以下の範囲とすることができる。
(多孔質樹脂層)
図1及び2に示すように、多孔質樹脂層14は、上述のとおり、本発明における中間層の一例であり、多孔質構造を有する樹脂材料で構成される多孔質樹脂シート14Sを管体12に巻き付けている。
多孔質樹脂層14は、管体12と被覆層20との間に配置され、帯状の多孔質樹脂シート14Sの幅方向Wにおける両端部が径方向Rに重なると共に、両端部における一方の端部14SAと、一方の端部の径方向Rの外側に重なる他方の端部14SBと、を有する。 また、一方の端部14SAにおける端面14SA1は、管体12に対して被覆層20が回転する回転方向Mの上流側を向いている重なり部14Lを有し、谷部24と管体12との間に挟持されている。
また、図1及び2に示すように、多孔質樹脂シート14Sは、一方の端部14SAと他方の端部14SBとに挟まれた本体部14Dを有し、重なり部14Lにおける一方の端部14SA及び他方の端部14SBは、相互に重なる範囲において、本体部14Dより薄肉とされていてもよい。
また、重なり部14Lは、管体12の周方向において、被覆層20のパーティングラインPLと異なる位置に配置されている。
多孔質樹脂シート14Sを構成する樹脂材料における樹脂としては、例えば、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びエチレンプロピレンジエンゴム、並びにこれらの樹脂の混合物が挙げられるが、その中でもポリウレタンが好ましい。多孔質樹脂層14は、ポリウレタンを主成分として含む層(すなわち、多孔質ウレタン層)であることが好ましい。例えば、多孔質樹脂層の構成成分中においてポリウレタンを80質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことがより好ましい。なお、多孔質樹脂層には、他の添加剤を含有してもよい。
多孔質樹脂層14における孔の存在比率(例えば発泡体の場合であれば発泡率)は、JIS K6400−1(2012年)の付属書1に記載の方法により測定することができ、25個/25mm以上であることが好ましく、45個/25mm以下がより好ましい。
また、多孔質樹脂層14は、発泡体であることが好ましい。
多孔質樹脂層14の密度は、12kg/m以上22kg/m以下であることが好ましい。図7に示すように、複合管10では、内部の管体12の端部に継手などを接続するときに、被覆層20の軸S方向における端部を短縮させてずらし、管体12の軸S方向における端部を露出させることが求められる。しかし、被覆層20をずらすときに多孔質樹脂層14が追従せず、管体12の外表面に置き去りになって、管体が十分に露出できないことがある。
一方、多孔質樹脂層14の密度が22kg/m以下であることにより、多孔質樹脂層14が適度な柔軟性を有し、被覆層20の軸S方向における端部を短縮変形させて管体12の軸S方向における端部を露出させる際に、多孔質樹脂層14が被覆層20の動作に対して良好に追従し、管体12の外表面への置き去りが抑制される。その結果、管体12の軸S方向における端部の露出を容易に行うことができる。
一方、多孔質樹脂層14は、密度が12kg/m以上であることで適度な強度を有し、複合管10の製造時等の加工時における多孔質樹脂層14の破れ及び破損の発生が抑制される。多孔質樹脂層14の密度は、管体12の外表面へ置き去りの抑制及び加工時における破れ、破損の抑制の観点から、14kg/m以上20kg/m以下の範囲がより好ましく、16kg/m以上18kg/m以下がさらに好ましい。
ここで、多孔質樹脂層14の密度は、JIS−K7222(2005年)に規定の方法により測定することができる。なお、測定環境は温度23℃、相対湿度45%の環境とする。
多孔質樹脂層14の密度を上記の範囲に制御する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば多孔質樹脂層14における孔の存在比率(例えば発泡体である場合であれば発泡率)を調整する方法、樹脂の分子構造を調整する(つまり樹脂の原料となるモノマーの分子構造や、それらの架橋構造を調整する)方法等が挙げられる。
また、図4及び8に示すように、多孔質樹脂層14は、管体12と被覆層20との間に配置されている。多孔質樹脂層14は、被覆層20の谷部24の内側壁24Aと管体12との間に挟持されている。なお、この挟持されている箇所では、さらに内側壁24Aと管体12とで圧縮されて圧縮挟持部14Aが形成されていることが好ましい。
多孔質樹脂層14は、図14(A)、(B)に示すように、帯状の多孔質樹脂シート14Sを用いて形成される。多孔質樹脂層14は、管体12の外周長よりも長い幅を有するように帯状に形成された多孔質樹脂シート14Sを、図14(B)に示すように管体12の周囲に巻き付け、後述するように被覆層20となる樹脂組成物をその外周に供給して成形することにより構成される。
多孔質樹脂シート14Sを管体12の周囲に巻き付ける際には、多孔質樹脂シート14Sの幅方向(図13(A)、(B)に示す矢印W方向)の一方の端部14SAと他方の端部14SBとを、図2に示すように、一方の端部14SAにおける端面14SA1が、管体12に対して被覆層20が回転する回転方向Mの上流側を向くように巻き付けて重なり部14Lを形成する。
この際、一方の端部14SAと他方の端部14SBとで形成される重なり部14Lが、管体12を径方向から見て管体12の軸方向に沿う略直線状となるように巻き付ける。
また、図4に示すように、多孔質樹脂層14の厚さは、自然状態(圧縮や引っ張りなどの力が作用していない、温度23℃、相対湿度45%の状態)で、管体12の外周と被覆層20の内側壁24Aの径方向内側面との差以上となる厚さを有する。この厚さは、さらに前記差よりも厚くなっていることが好ましい。
また、図9に示すように、圧縮挟持部14Aでは、多孔質樹脂層14は、自然状態の厚さより、圧縮されて、実質的に薄い状態になっている。多孔質樹脂層14の隣り合う圧縮挟持部14A同士の間には、凸部14Bが形成されている。凸部14Bは、圧縮挟持部14Aよりも大径とされ、山空間23内へ突出されている。多孔質樹脂層14が内側壁24Aと管体12とで圧縮されている場合、圧縮挟持部14Aと凸部14Bとが軸S方向に交互に連続して形成され、多孔質樹脂層14の外周面が波状となっている。
なお、多孔質樹脂層14の自然状態での厚さは、内側壁24Aと管体12とで圧縮された圧縮挟持部14Aの形成のし易さの観点から、1mm以上20mm以下の範囲が好ましく、2mm以上15mm以下がより好ましく、2.5mm以上10mm以下がさらに好ましい。なお、多孔質樹脂層14の自然状態での厚さは、複合管10から多孔質樹脂層14を取り出して、任意の箇所3箇所を測定して得られた値の平均値とする。
また、管体12の外周と内側壁24Aの径方向内側面との差は、例えば0.3mm以上5mm以下の範囲が好ましく、0.5mm以上3mm以下がより好ましく、1mm以上2mm以下がさらに好ましい。
また、多孔質樹脂層14を管体12と被覆層20の間から、図7及び10に示すように抜き出した自然状態における軸S方向の長さは、被覆層20の軸S方向の長さの90%以上100%以下であることが好ましい。これは、多孔質樹脂層14が管体12と被覆層20の間において伸張状態で保持されていると、被覆層20を短縮変形させる際に、多孔質樹脂層14と被覆層20との相対移動が生じやすくなり、多孔質樹脂層14が短縮されずに管体12の外周端部を露出できないことが生じうるからである。多孔質樹脂層14と被覆層20との相対移動を抑制するため、自然状態における多孔質樹脂層14の軸S方向の長さは、被覆層20の軸方向の長さの90%以上100%以下とすることが好ましい。
複合管10を作製する方法としては、例えば、以下の方法が考えられる。具体的には、まず、多孔質樹脂層14を構成する多孔質樹脂シート14Sを、管体12の外周上に巻き付ける。そしてその状態で、さらに被覆層20形成用の樹脂組成物の溶融物を被覆し、この溶融物の外周面に対して、半円弧状の内面を有しかつこの内面が蛇腹の形状を有する二対の金型を二方向から接近させて接触させ、固化させることで蛇腹状の被覆層20を形成する。
多孔質樹脂層14の内周面は、管体12の外周に全面的に接触しつつ、管体12の外周を覆っていることが好ましい。なお、ここでの「全面的に接触」とは、全ての部分がぴったりと密着している必要はなく、実質的に全面が接触していることを意味する。
なお、図1及び図2に示す複合管10における多孔質樹脂層14は単層であるが、これに限られず、多孔質樹脂層14が多層であってもよい。多孔質樹脂層14が多層である複合管としては、変形例として、例えば、図5及び6に示す複合管100(多孔質樹脂層14が2層である複合管)が挙げられる。
多層とされた複合管100は、管体12と、第1の多孔質樹脂層141と、第2の多孔質樹脂層142と、被覆層20と、がこの順に積層されている。
また、第1の多孔質樹脂層141と第2の多孔質樹脂層142とで重なり部14Lを形成する際は、変形例の一例として、図6(A)に示すように、管体12の外周に、第1の多孔質樹脂層141における一方の端部141Aの径方向の外側に他方の端部141Bを重ねて第1の多孔質樹脂層141を形成する。そして、この第1の多孔質樹脂層141の径方向の外側に、第2の多孔質樹脂層142における一方の端部142Aの径方向の外側に他方の端部142Bを重ねて第2の多孔質樹脂層142を形成する。
また、第1の多孔質樹脂層141及び第2の多孔質樹脂層142の一方の端部141Aの端面141A1及び一方の端部142Aの端面142A1は、管体12に対して被覆層20が回転する回転方向Mの上流側を向くように巻き付けて重なり部14Lとしている。
なお、この場合、管体12に対して被覆層20が回転する回転方向Mの上流側を向く端面は、管体12の外周面に接触する第1の多孔質樹脂層141の一方の端部141Aの端面141A1のみとしてもよい。
また、図6(A)では、第1の多孔質樹脂層141の一方の端部141Aの端面141A1と、第2の多孔質樹脂層142の一方の端部142Aの端面142A1とが、管体12の周方向に対してずれているが、それぞれが同一の位置となるようにしてもよい。
また、他の変形例の一例として、図6(B)に示すように、第1の多孔質樹脂層141における一方の端部141Aと第2の多孔質樹脂層142の一方の端部142Aとを重ねる。そして、その径方向の外側に、第1の多孔質樹脂層141の他方の端部141Bと第2の多孔質樹脂層142の他方の端部142Bを重ねることで2重としてもよい。
この場合も、第1の多孔質樹脂層141の一方の端部141Aと第2の多孔質樹脂層142の一方の端部142Aとは、管体12に対して被覆層20が回転する回転方向Mの上流側を向くように巻き付けて重なり部14Lとしている。
<製造方法>
次に、本実施形態の複合管10の製造方法について説明する。複合管10の製造方法は、例えば、管体12の外周に、帯状の多孔質樹脂シート14Sを、多孔質樹脂シート14Sの幅方向における一方の端部14SAの径方向Rの外側に他方の端部14SBを重ねて、重なり部14Lを設けて巻き付ける巻き付け工程と、多孔質樹脂シート14Sの外周を樹脂材料で被覆する被覆工程と、管体12、多孔質樹脂シート14S及び樹脂材料を金型36に配置して型締めし、重なり部14Lを有する中間層14を形成すると共に、中間層14の外周に樹脂材料により被覆層20を形成する形成工程と、を有する。
複合管10の製造には、例えば、図11に示す製造装置30を用いることができる。製造装置30は、冶具31、押出機32、ダイ34、波付け金型36、冷却槽38、及び引取装置39を有している。複合管10の製造工程は、図11の右側が上流側となっており、右側から左側へ向かって管体12が移動しつつ製造される。以下、この移動方向を製造方向Yとする。ダイ34、波付け金型36、冷却槽38、引取装置39は、製造方向Yに対してこの順に配置されており、冶具31及び押出機32は、ダイ34の上方に配置されている。
(冶具)
図12に示すように、冶具31は、管体12の軸S方向に沿う円筒状の本体31Aと、本体31Aの製造方向Yの上流側に形成された入口31Bと、本体31Aの製造方向Yの下流側に形成された出口31Cと、を有する。
また、本体31Aは、本体31Aに形成された切れ目31Sを有する。この切れ目31Sは、本実施形態では、本体31Aの上部において、軸S方向の全長に亘って形成されている。また、切れ目31Sは、軸Sに平行に形成されている。
冶具31の上流には、不図示であるが、管体12、及び、多孔質樹脂層14を構成する多孔質樹脂シート14Sがロール状に巻かれたシート状部材が配置されている。引取装置39により製造方向Yに引っ張られることによって、管体12及びロール状の多孔質樹脂シート14Sは、連続的に引き出される。連続的に引き出された管体12の外周面には、ダイ34の手前で、図12に示すように、多孔質樹脂シート14Sが、一方の端部14SAと他方の端部14SBとが、円筒状の冶具を用いて管体12の外周に巻き付けられる。
具体的には、管体12の軸S方向に沿って切れ目31Sが形成された円筒状の冶具31を用い、多孔質樹脂シート14Sが管体12に巻き付く前に、一方の端部14SAを冶具31の内側を通過させると共に、他方の端部14SBを、切れ目31Sを介して冶具31の外側を通過させて、多孔質樹脂シート14Sを管体12の外周に巻き付けるようにしている。
この一連の工程を、順を追って説明する。
まず、冶具31の入口31Bに、多孔質樹脂シート14S及び管体12が別体として同期して進入する。
多孔質樹脂シート14Sの一方の端部14SAは、入口31Bから進入し、本体31Aの内側を、管体12の外周に巻き付きながら出口31Cに向かって製造方向Yの方向に通過する。
一方、他方の端部14SBは、入口31Bから進入し、切れ目31Sを介して本体31Aの外側を出口31Cに向かって製造方向Yの方向に通過する。さらに製造方向Yの方向に移動すると、軸S方向に沿って形成された切れ目31Sによって、他方の端部14SBは、徐々に本体31Aの内側に入り込み、管体12の外周に巻き付けられた一方の端部14SAの径方向Rの外側に巻き付けられる。
その後、図11に示すように、冶具31を通過した多孔質樹脂シート14Sの一方の端部14SAと他方の端部14SBは、押出機32を通過しながら重ね合わされ、重なり部14Lが形成される(図13Bを参照)。
管体12の外周に巻き付けられて重なり部14Lが形成された多孔質樹脂シート14Sの外周には、ダイ34から溶融された樹脂材(被覆層20形成用の樹脂組成物の溶融物)が円筒状に押し出されて被覆され、樹脂材20Aが形成される。ここで使用する樹脂を、MFR0.25以上の低密度ポリエチレン(LDPE)とすることにより、樹脂材が多孔質樹脂シートの孔(気泡)に入り込みやすくなり、多孔質樹脂シート14Sと樹脂材20Aとの接着性が向上する。
管体12、多孔質樹脂シート14S、及び樹脂材20Aで構成される管状押出体21が形成された後、ダイ34の下流側に配置された波付け金型36で波付け工程(蛇腹状に形成する工程)が行われる。波付け金型36は例えば一対の金型であり、いずれの金型も半円弧状の内面を有し、この内周には被覆層20の山部22に対応する部分に環状のキャビティ36Aが形成され、谷部24に対応する部分に環状の内側突起36Bが形成されており、蛇腹の形状を有している。各キャビティ36Aには、一端がキャビティ36Aと連通し波付け金型36を貫通した吸引孔36Cが形成されている。キャビティ36A内は、吸引孔36Cを介して、波付け金型36の外側から吸気が行われる。
ダイ34の製造方向Yの下流側において、波付け金型36は、樹脂材20Aに対して左右二方向から接近させて一対の金型の内面を樹脂材20Aに接触させる。そして、波付け金型36は、内側突起36Bにより樹脂材20Aを圧縮しつつ、管状押出体21の外周を覆って樹脂材20Aを成形し、管体12及び多孔質樹脂シート14Sと共に管状押出体21を製造方向Yへ移動させる。このとき、波付け金型36のキャビティ36Aにより形成されたキャビティ内部は、図示省略の吸引装置により吸引孔36Cを通して吸引されて負圧とされる。これにより、樹脂材20Aは径方向Rの外側へ向かって変形してキャビティ36Aにより成形され、樹脂材20Aから山部22と谷部24とが軸S方向に沿って交互に配列された蛇腹状の被覆層20が成形される。
ここで、多孔質樹脂シート14Sの凸部14Bは、キャビティ36Aにおいて樹脂材20Aが径方向Rの外側へ変形する際に山空間23(図8に示される部分拡大図を参照)へ深く入り込み、山空間23内に係止される。多孔質樹脂シート14Sの圧縮挟持部14Aは、被覆層20の谷部24の内側壁24Aに接着され、かつ、内側壁24Aと管体12との間において圧縮挟持される。
また、図14(A)に示すように、波付け工程における波付け金型36の型締め前の状態では、多孔質樹脂シート14Sの一方の端部14SAと、一方の端部14SAが対向する他方の端部14SBの根元部分との間に隙間がある。
また、多孔質樹脂シート14Sの他方の端部14SBと、他方の端部14SBが対向する他方の端部14SBの根元部分との間に隙間がある。
この状態で、樹脂材20Aは多孔質樹脂シート14Sから張力を受けた状態で型締めされる。
この型締めの状態を図14(B)に示す。図14(B)に示すように、波付け金型36を型締めしてパーティング面36Dを接触させる。このとき、管体12の外周面と多孔質樹脂シート14Sの内周面との間の隙間(不図示)が縮小する。また、一方の端部14SAの端面14SA1と、一方の端部14SAの端面14SA1が対向する他方の端部14SBの根元部分との間の隙間、及び、他方の端部14SBの端面14SB1と、他方の端部14SBの端面14SB1が対向する一方の端部14SAの根元部分との間の隙間が消滅する。
これにより、重なり部14Lを有する多孔質樹脂層14が形成される。
また、多孔質樹脂シート14Sの重なり部14Lにおいて、一方の端部14SAの部分と他方の端部14SBとが重なる領域は、管体12の周方向において、波付け金型36のパーティング面36Dと異なる位置に配置される。なお、「パーティング面36Dと異なる位置」とは、重なり部14Lと一対の波付け金型36のパーティング面36Dに挟まれる空間とが、管体12の周方向において重ならない位置を指す。
このとき、重なり部14Lは、パーティング面36Dと最も離れた位置に配置することが好ましい。すなわち、キャビティ36Aの最深部(断面視で半円状とされたキャビティ36Aにおいて、接線がパーティング面36Dと平行である部分)に対応する位置に対向位置Vを配置することが好ましい(図15を参照)。
波付け金型36を型締めした際に形成される蛇腹状の被覆層20の外周面には、パーティング面36Dに対応する位置に、パーティングラインPL(図1を参照)が形成される。パーティングラインPLは、金型の精度、樹脂の流動性、研磨等の後工程の有無等により視認できる場合と視認できない場合があるが、本発明におけるパーティングラインは、視認できるものとできないものの双方を指す。
波付け金型36で波付け工程が行われた後、被覆層20は、冷却槽38で冷却される。このようにして、複合管10が製造される(図11を参照)。
[作用・効果]
ここで、本実施形態の作用及び効果について、比較例と比較しつつ説明する。
(比較例)
先ず、比較例について、図15、16を参照しながら説明する。なお、本実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、複合管は符号200として説明する。
図15(A)に示すように、比較例における複合管200は、本実施形態と同様に、管体12と、管体の外周に巻かれる多孔質樹脂層14を構成する多孔質樹脂シート14Sと、多孔質樹脂層14の外周に樹脂材20Aによって形成される被覆層20と、を備える。
多孔質樹脂シート14Sは、その両端部として、一方の端部14SAと、他方の端部14SBと、を有し、管体12の周方向で対向するそれぞれの端面が離間している。
複合管200は、波付け金型36によって圧縮形成される。波付け金型36は、軸Sを挟んで紙面の左右方向に分割され、この分割された部分に、相互に対向して形成されたキャビティ36Aと、対向位置V2に形成されたパーティング面36Dと、を有する。
複合管200を形成するには、波付け金型36のパーティング面36Dに対して、多孔質樹脂シート14Sが、幅方向の両端面(一方の端部14SA及び他方の端部14SBにおける周方向に対向する端面)の対向位置Vが一致した状態で配置される。換言すると、管体12の周方向において、一対の波付け金型36において互いに対向するパーティング面36Dの隙間(対向位置V2)と、一方の端部14SAと他方の端部14SBとの隙間(対向位置V)とが重なっている。このため、図15(B)に示すように、一方の端部14SAの端面、及び他方の端部14SBの端面付近の樹脂材20Aに発生する弛み部20Tが、パーティング面36Dによって挟まれる。これにより、比較例に係る複合管200の被覆層20には、バリが発生する可能性がある。
また、図16(A)に示すように、形成された複合管200では、多孔質樹脂シート14Sにおける一方の端部14SAの端面と他方の端部14SBの端面とが対向して接触している。
しかしながら、複合管200は、製造過程において、複合管200の巻き取りを行う際、巻き取り時の複合管200に加わる力によって、管体12に対して被覆層20が矢印Mの方向に回転することがある。
この矢印Mの方向は、製造過程で定まる一の方向である。
この場合、図16(B)に示すように、多孔質樹脂シート14Sは被覆層20と共に矢印Mの方向に回転する。
そうすると、一方の端部14SAが、管体12との摩擦力によって、管体12の外周面に引き込まれて捲くれる現象が発生する場合がある。このとき、他方の端部14SBは、被覆層20と共に回転するため、他方の端部14SBの端面と、捲くれた一方の端部14SAとの間に隙間が発生する。
このような現象が発生すると、複合管200の断熱性が損なわれる。
(本実施形態)
これに対し、本実施形態の複合管10は、図2に示すように、管体12と、管状とされて管体12の外周を覆い、径方向Rの外側へ凸となる環状の山部22と、径方向Rの外側が凹となる環状の谷部24とが、管体12の軸S方向に交互に形成された樹脂材料で構成された被覆層20と、を有する。
また、管体12と被覆層20との間に配置され、帯状の多孔質樹脂シート14Sの幅方向における本体部14Dの両端部が径方向Rに重なると共に、両端部における一方の端部14SAと、一方の端部14SAの径方向Rの外側に重なる他方の端部14SBと、を有する。
加えて、一方の端部14SAにおける端面14SA1は、管体12に対して被覆層20が回転する回転方向の上流側を向いている重なり部14Lを有し、谷部24と管体12との間に挟持される中間層14と、を有している。
具体的には、多孔質樹脂シート14Sは、重なり部14Lにおいて、管体12に接触している一方の端部14SAの端面14SA1が、管体12に対して被覆層20が回転する回転方向Mの上流側を向いている。換言すれば、端面14SA1は、回転方向Mの方向を向いていない。
これにより、多孔質樹脂シート14Sの両端部が突き合わされているものと比べて、管体12に対して被覆層20が相対回転しても、被覆層20と管体12との間で中間層14としての多孔質樹脂シート14S自体の巻き込みが抑制される。
具体的には、製造過程において、複合管10の巻き取りを行う際、巻き取り時の複合管10に加わる力によって、管体12に対して被覆層20が矢印Mの方向に相対回転しても、多孔質樹脂シート14Sの端面14SA1が回転方向Mの方向を向いていないから、被覆層20と管体12との間に位置する多孔質樹脂シート14S自体の巻き込みが抑制される。
また、複合管10において、重なり部14Lにおける一方の端部14SA及び他方の端部14SBは、相互に重なる範囲において、本体部14Dより薄肉とされている。
これにより、多孔質樹脂シート14Sの両端部(14SA及び14SB)が、それぞれ本体部14Dと同じ肉厚とされているものと比べて、重なり部14Lに加わる圧力が本体部14Dに加わる圧力に近づくので、一方の端部14SAと管体12の外周面との間の摩擦力の倍増が抑制される。
また、複合管10における被覆層20は、コルゲート管とされるものである。
これにより、複合管10の軸S方向に対する曲げの自由度が向上される。
また、重なり部14Lは、管体12の周方向において、被覆層20のパーティングラインPLと異なる位置に配置されている。
これにより、金型36のパーティング面36Dに対応する位置には多孔質樹脂シート14Sの重なり部14Lが配置されないので、弛み部20Tは形成され難い。これにより、パーティング面36Dに挟まれる部位において、被覆層20のバリの発生が抑制される。
また、複合管10は、被覆層20を形成する樹脂材料のMelt flow rate(MFR)が0.25以上1.2以下とされている。
これにより、MFRを0.25以上にすることにより、多孔質樹脂層14の多孔質構造に被覆層20の樹脂が入り込みやすくなり、多孔質樹脂層14と被覆層20との接着度が高まる。また、MFRを1.2以下にすることにより、バリの発生が抑制される。
また、複合管10の製造方法は、管体12の外周に、帯状の多孔質樹脂シート14Sを、多孔質樹脂シート14Sの幅方向における一方の端部14SAの径方向Rの外側に他方の端部14SBを重ねて重なり部を設けて巻き付ける巻き付け工程と、多孔質樹脂シート14Sの外周を樹脂材料で被覆する被覆工程と、管体12、多孔質樹脂シート14S及び樹脂材料を金型36に配置して型締めし、重なり部14Lを有する多孔質樹脂層14と、多孔質樹脂層14の外周に樹脂材料により成形された被覆層20を形成する形成工程と、を有している。
これにより、金型36を用いて多孔質樹脂シート14Sの外周に被覆層20を形成する際に、両端部において、一方の端部14SAにおける端面14SA1を、管体12に対して被覆層20が回転する回転方向Mの上流側を向くように重なり部14Lを形成するので、被覆層20と管体12とが相対回転しても、被覆層20と管体12との間で多孔質樹脂層14を構成する多孔質樹脂シート14S自体の巻き込みが抑制される。
また、複合管10の製造方法において、巻き付け工程における重なり部14Lは、管体12の周方向において、被覆層20のパーティングラインと異なる位置に配置されている。
これにより、パーティング面36Dにおいて被覆層20にバリが発生する場合があっても、重なり部14Lの形成に悪影響を及ぼさない。
また、複合管の製造方法において、管体12の軸S方向に沿って切れ目31Sが形成された円筒状の冶具31を用い、多孔質樹脂シート14Sが管体12に巻き付く前に、一方の端部14SAを冶具31の内側を通過させると共に、他方の端部14SBを、切れ目31Sを介して冶具31の外側を通過させて、多孔質樹脂シート14Sを管体12の外周に巻き付けるようにしている。
これにより、管体12の軸S方向に沿う切れ目31Sが形成された円筒状の冶具31を用いるだけで、多孔質樹脂シート14Sの両端部に重なり部14Lが形成される。
[その他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では、複合管10が巻き取られる際の、管体12に対して被覆層20が回転する一の方向を矢印Mとして説明したが、製造過程における複合管10に加わる力の方向によって、この一の方向の回転が矢印Mと反対になる場合は、多孔質樹脂シート14Sの重なり部14Lにおける一方の端部14SAと他方の端部14SBとの重なりを逆の重なりとしてもよい。
また、本実施形態では、重なり部14LとパーティングラインPLとを異なる位置に配置すると説明したが、重なり部14LとパーティングラインPLとが互いに最も遠い位置に離れて配置されてもよい。
また、変形例及び他の変形例として、多孔質樹脂シート14Sを2層としてもよいと説明し、図6では、第1の多孔質樹脂シート141と第2の多孔質樹脂シート142とを、ほぼ同じ厚さとしているが、第1の多孔質樹脂シート141と第2の多孔質樹脂シート142とは、互いに異なる厚みのものとしてもよい。
また、冶具31の切れ目31Sは本体31Aの上部に形成されていると説明したが、切れ目31Sは、本体31Aの上部以外に形成してもよい。
また、切れ目31Sは軸S方向の全長に亘って形成されていると説明したが、これに限らず、切れ目31Sの形状を適宜変更して、出口31Cに達しない形態の切れ目としてもよい。
さらに、切れ目31Sは軸Sに平行に形成されていると説明したが、これに限らず、軸Sに対して角度を有する切れ目としてもよく、例えば、本体31Aの軸S回りに螺旋状に形成してもよい。
このように、冶具31の切れ目31Sは、多孔質樹脂シート14Sを管体12に巻き付けることができるものであれば、その幅や長さ及び形状は問わない。
10 複合管、 12 管体、 14 多孔質樹脂層(中間層の一例)、14S 多孔質樹脂シート、 14SA 一方の端部、 14SA1 端面、 14SB 他方の端部、 14L 重なり部、 20 被覆層(コルゲート管)、 20A 樹脂層(樹脂材料)、 22 山部、 24 谷部、 31 冶具、 31S 切れ目、 M 回転方向、 S 軸、 PL パーティングライン

Claims (8)

  1. 管体と、
    管状とされて前記管体の外周を覆い、径方向の外側へ凸となる環状の山部と、前記径方向の外側が凹となる環状の谷部とが、前記管体の軸方向に交互に形成された樹脂材料で構成された被覆層と、
    前記管体と前記被覆層との間に配置され、帯状の多孔質樹脂シートの幅方向における本体部の両端部が前記径方向に重なると共に、前記両端部における一方の端部と、前記一方の端部の前記径方向の外側に重なる他方の端部と、を有し、前記一方の端部における端面は、前記管体に対して前記被覆層が回転する回転方向の上流側を向いている重なり部を有し、前記谷部と前記管体との間に挟持される中間層と、
    を有する複合管。
  2. 前記重なり部における前記一方の端部及び前記他方の端部は、相互に重なる範囲において、前記本体部より薄肉とされている、請求項1に記載の複合管。
  3. 前記被覆層は、コルゲート管である、請求項1又は2に記載の複合管。
  4. 前記重なり部は、前記管体の周方向において、前記被覆層のパーティングラインと異なる位置に配置されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の複合管。
  5. 前記被覆層を形成する前記樹脂材料のMelt flow rateが0.25以上1.2以下である、請求項1から4のいずれか1項に記載の複合管。
  6. 管体の外周に、帯状の多孔質樹脂シートを、前記多孔質樹脂シートの幅方向における一方の端部の径方向の外側に他方の端部を重ねて重なり部を設けて巻き付ける巻き付け工程と、
    前記多孔質樹脂シートの外周を樹脂材料で被覆する被覆工程と、
    前記管体、前記多孔質樹脂シート及び前記樹脂材料を金型に配置して型締めし、前記重なり部を有する中間層と、前記中間層の外周に前記樹脂材料により成形された被覆層を形成する形成工程と、
    を有する複合管の製造方法。
  7. 前記巻き付け工程における重なり部は、前記管体の周方向において、前記被覆層のパーティングラインと異なる位置に配置される、請求項6に記載の複合管の製造方法。
  8. 前記管体の軸方向に沿って切れ目が形成された円筒状の冶具を用い、前記多孔質樹脂シートが前記管体に巻き付く前に、前記一方の端部を前記冶具の内側を通過させると共に、前記他方の端部を、前記切れ目を介して前記冶具の外側を通過させて、前記多孔質樹脂シートを前記管体の外周に巻き付ける、請求項7に記載の複合管の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP7497685B2 (ja) 2021-01-19 2024-06-11 株式会社オンダ製作所 被覆付パイプの製造装置及び製造方法

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