JP2020094437A - 耐火壁の構築方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】波形鋼板により壁本体を構築し、耐火材の塗布により耐火被覆部を形成するにもかかわらず、たとえ耐火被覆部と反対側の面が高温に曝されても、耐火被覆部側の面での局部的な高温化を回避し得る耐火壁の構築方法の提供。【解決手段】波形鋼板2により壁本体を構築し、壁本体としての波形鋼板2の片面側に耐火材を塗布して耐火被覆部3を形成する耐火壁1の構築方法であって、波形鋼板2の片面側において、波形鋼板2の凹部10を下地材11で覆った状態で耐火材を塗布して耐火被覆部3を形成する。【選択図】図3

Description

本発明は、波形鋼板により壁本体を構築し、その壁本体としての波形鋼板の片面側に耐火材を塗布して耐火被覆部を形成する耐火壁の構築方法に関する。
このような耐火壁の構築方法では、従来、波形鋼板により壁本体を構築し、その壁本体としての波形鋼板の片面側に吹付けにより耐火材を直接的に塗布して耐火被覆部を形成する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2017−89266号公報
上記特許文献1に記載の方法では、波形鋼板の片面側に耐火材を直接的に塗布して耐火被覆部を形成するので、耐火壁の耐火被覆部側の面も、波形鋼板と同じように、山部と谷部(凹部)が交互に繰り返す波形となる。
そのため、耐火壁の耐火被覆部と反対側の面が高温に曝されると、耐火被覆部側の凹部では、断面視において3方向が閉鎖された状態となり、その3方向からの熱が凹部に集中して局部的に高温になるという問題がある。
本発明は、このような従来の問題点に着目したもので、その目的は、波形鋼板により壁本体を構築し、耐火材の塗布により耐火被覆部を形成するにもかかわらず、たとえ耐火被覆部と反対側の面が高温に曝されても、耐火被覆部側の面での局部的な高温化を回避し得る耐火壁の構築方法を提供することにある。
本発明の第1特徴構成は、波形鋼板により壁本体を構築し、その壁本体としての波形鋼板の片面側に耐火材を塗布して耐火被覆部を形成する耐火壁の構築方法であって、前記波形鋼板の片面側において、その波形鋼板の凹部を下地材で覆った状態で耐火材を塗布して耐火被覆部を形成する点にある。
本構成によれば、波形鋼板により壁本体を構築し、その波形鋼板の片面側において、波形鋼板の凹部を下地材で覆った状態で耐火材を塗布して耐火被覆部を形成するので、耐火壁の耐火被覆部側の面は、波形とはならずに、ほぼ平坦な面となる。
したがって、たとえ耐火壁の耐火被覆部と反対側の面が高温に曝されても、耐火被覆部側の面では、熱が全面に分散されて局部的に高温になるようなことはない。
本発明の第2特徴構成は、前記下地材が、前記波形鋼板の片面側の全体を覆っている点にある。
本構成によれば、下地材が、波形鋼板の片面側の全体を覆っているので、例えば、波形鋼板の片面側の凹部のみを部分的に覆う場合に比較して、施工性の向上が期待でき、施工期間の短縮と施工費の低減が可能となる。
本発明の第3特徴構成は、前記下地材が、メタルラスであり、前記耐火材が、吹付けロックウールである点にある。
本構成によれば、下地材が、メタルラスであり、耐火材が、吹付けロックウールであるから、どちらも比較的安価で入手し易く、耐火被覆部も吹付けにより比較的容易に形成することができるので、施工性の更なる向上が期待でき、例えば、波形鋼板の片面側に石膏ボードなどを配設するのに比べても施工費の低減が可能となる。
更に、メタルラスは熱伝導性が高いので、メタルラスを介しての熱の分散効果を期待することができ、特に、メタルラスで波形鋼板の片面側の全体を覆う場合には、メタルラスを介して熱を耐火被覆部の全体に亘って分散させることができ、耐火被覆部の局部的な高温化を一層確実に回避することができる。
本発明の第4特徴構成は、前記下地材が、その下地材と前記波形鋼板の片面側の間に立設された複数本の鉄筋に固着されている点にある。
本構成によれば、下地材が、その下地材と波形鋼板の片面側の間に立設された複数本の鉄筋に固着されているので、鉄筋による下地材の補強効果が期待でき、下地材の保持と耐火被覆部の保持が確実となる。それに加えて、鉄筋も熱伝導性が高いので、鉄筋による熱の分散効果も期待できる。
本発明の第5特徴構成は、前記鉄筋の上端部が、耐火壁の上枠に接続され、当該耐火壁が、側面視において前記上枠の奥行き方向内に配置されている点にある。
本構成によれば、鉄筋の上端部が、耐火壁の上枠に接続されるので、鉄筋の保持は確実となる。そして、耐火壁が、側面視において上枠の奥行き方向内に配置されているので、耐火壁の上端部、特に耐火被覆部の上端部は、上枠により位置規制されることになる。そのため、耐火壁の耐火被覆部と反対側の面が高温に曝されて、例えば、波形鋼板、下地材、あるいは、鉄筋などが加熱により伸長しても、耐火被覆部でのひび割れの発生が抑制される。
耐火壁の構築過程を示す要部の斜視図 耐火壁の要部を示す斜視図 耐火壁の要部を示す縦断側面図 別実施形態による耐火壁の要部を示す斜視図 別実施形態による耐火壁の要部を示す斜視図
本発明による耐火壁の構築方法の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明に係る耐火壁1は、図1〜図3に示すように、山部と谷部を交互に備えた波形鋼板2で構成される壁本体と、その波形鋼板2の片面側に吹付けロックウールからなる耐火材を吹付けにより塗布して形成される耐火被覆部3などを備えている。
この耐火壁1は、例えば、鋼管からなる左右一対の柱4(図1では、左側の柱のみを図示)、および、H形鋼からなる上梁5と下梁6で囲まれる矩形の空間に配設されて、耐火壁1の耐火被覆部3と反対側の面が高温に曝された際、その熱が耐火被覆部3側の面に伝わるのを抑制する。
耐火壁1の上端には平鋼からなる上枠7が、下端には同じく平鋼からなる下枠8が、更に、耐火壁1の両側端にも平鋼からなる側枠9がそれぞれ連設され、それら上枠7、下枠8、および、両側枠9が連結接続されて、矩形の枠体に構成され、壁本体を構成する波形鋼板2が、その枠体に溶接により接続されて保持される。
波形鋼板2は、山部と谷部が水平に延出するように横方向に向けて配設され、そのため、耐火被覆部3側の面には、谷部により形成される凹部10が上下方向に多数条に亘って横方向に延出する。その耐火被覆部3側の面において、多数条の凹部10を覆うために、メタルラスからなる下地材11が、波形鋼板2の耐火被覆部3側の面の全面、つまり、多数条の凹部10を含む全面を覆うように配置され、この下地材11も、上枠7、下枠8、および、両側枠9からなる枠体に溶接により接続されて保持される。
波形鋼板2の耐火被覆部3側の面と下地材11の間には、縦方向に向けて複数本の鉄筋12が配置され、それら鉄筋12の上端部が上枠7に、下端部が下枠8に溶接されて立設される。そして、それら鉄筋12の中間部が、溶接などの適宜手段により波形鋼板2に固着されて波形鋼板2を補強するとともに、下地材11が、それら鉄筋12に溶接などの適宜手段により固着される。
すなわち、耐火壁1を構成する波形鋼板2、下地材11、および、鉄筋12は、上枠7、下枠8、および、両側枠9からなる枠体にそれぞれ接続されて保持される。
図3に詳しく示すように、その枠体の上枠7の上方には上枠ガセットプレート7aが、上梁5の下方には上梁ガセットプレート5aがそれぞれ連設され、更に、図1および図2に示すように、下枠8の下方には下枠ガセットプレート8aが、両側枠9の横外方には側枠ガセットプレート9aがそれぞれ連設される。
そして、下枠8の下枠ガセットプレート8aが下梁6に、両側枠9の側枠ガセットプレート9aが柱4にそれぞれ溶接により接続され、更に、上枠7の上枠ガセットプレート7aが上梁5の上梁ガセットプレート5aに溶接またはボルト・ナットにより接続される。
その結果、耐火壁1を構成する波形鋼板2、下地材11、および、鉄筋12は、上枠7、下枠8、および、両側枠9からなる枠体を介して、左右一対の柱4、上梁5、および、下梁6で囲まれる矩形の空間に配置保持される。
その状態で、壁本体を構成する波形鋼板2の片面側、つまり、メタルラスからなる下地材11側に吹付けロックウールからなる耐火材が吹付けにより塗布されて耐火被覆部3が形成され、更に、上枠7、下枠8、両側枠9をはじめとして、各ガセットプレート5a、7a、8a、9aを含んで柱4や上梁5など、必要な部位の全てが耐火被覆部3で被覆される。
つぎに、この耐火壁1の構築方法について説明する。
例えば、予め工場などで、上枠7、下枠8、および、両側枠9からなる枠体を作製し、その枠体に対して波形鋼板2、鉄筋12、下地材11をこの順に配置し、それぞれ枠体に接続しておく。その枠体を現場に搬入し、各ガセットプレート5a、7a、8a、9aを介して柱4、上梁5、下梁6などに接続して保持させる。
この柱4、上梁5、下梁6などに枠体が接続保持された段階で、波形鋼板2による壁本体の構築が完了し、かつ、波形鋼板2の片面側の全体が下地材11により覆われた状態となる。その後、下地材11側に耐火材を吹付けて耐火被覆部3を形成するとともに、必要な部位も耐火被覆部3で覆う。
なお、図中13は上層階の床スラブ、14は下層階の床スラブを示す。
〔別実施形態〕
つぎに、図4と図5に示す別の実施形態について説明するが、重複説明を避けるため、先の実施形態(図1〜図3)で説明したのと同じ構成については、同じ符号を付すことで詳細な説明を省略し、主として先の実施形態と異なる構成について説明する。
(1)図4に示す別実施形態では、耐火壁1の上枠7の幅、言い換えると、奥行き方向の長さが、先の実施形態で示した上枠7の長さ(例えば、図2参照)よりも長く、波形鋼板2、鉄筋12、下地材11、および、耐火被覆部3で構成される耐火壁1が、側面視においてその上枠7の奥行き方向内に配置されている。
そのため、耐火壁1の耐火被覆部3の上端部が、上枠7により位置規制され、耐火壁1の耐火被覆部3と反対側の面が高温に曝されて波形鋼板2、下地材11、鉄筋12などが加熱により伸長しても、耐火被覆部3でのひび割れの発生が抑制される。
なお、耐火壁1の他の構成および構築方法は、先の実施形態と同じである。
(2)図5に示す別実施形態では、図外の柱や上下の梁5、6が、鋼管や形鋼などの鉄骨製ではなく、RC造(鉄筋コンクリート造)であり、この点において先の実施形態と異なる。このように、柱や上下の梁5,6は、鉄骨製に限らず、RC造にすることも可能である。
その場合、図示はしないが、例えば、上枠7、下枠8、および、図外の両側枠からなる枠体において、上枠7の上方、下枠8の下方、および、両側枠の横外方にそれぞれ多数のスタッドを連設し、枠体を所定の位置に維持した状態でコンクリートを打設してRC造の柱や上下の梁5、6を構築する。それによって各スタッドがコンクリートに埋設され、枠体を柱や上下の梁5、6に接続させて保持させることになる。
(3)これまでの実施形態では、上枠7、下枠8、および、両側枠9からなる枠体を設け、その枠体に対して波形鋼板2、下地材11、および、鉄筋12を接続した例を示したが、枠体に関しては必ずしも必要ではない。
すなわち、このような枠体をなくし、耐火壁の構築現場において、波形鋼板2、下地材11、および、鉄筋12を柱4や上下の梁5、6に直接接続して実施することもでき、更に、鉄筋12を使用せずに実施することも可能である。
また、下地材11により波形鋼板2の耐火被覆部3側の全面、つまり、凹部10を含む全面を覆った例を示したが、下地材11により凹部10のみを局部的に覆って実施することも可能である。
(4)これまでの実施形態では、下地材11の一例としてメタルラスを示したが、メタルラス以外にも、例えば、ワイヤラスなどの各種のラスを使用して実施することができる。
また、耐火被覆部3を形成するに際し、吹付けロックウールを吹付けにより塗布して形成した例を示したが、例えば、耐火用の発泡ウレタンやセラミック系被覆材などを吹付けにより塗布して形成することもできる。更に、吹付けではなく、例えば、セラミック系耐火被覆材などを塗付けにより塗布して形成することもできる。
1 耐火壁
2 波形鋼板
3 耐火被覆部
7 上枠
10 波形鋼板の凹部
11 下地材
12 鉄筋

Claims (5)

  1. 波形鋼板により壁本体を構築し、その壁本体としての波形鋼板の片面側に耐火材を塗布して耐火被覆部を形成する耐火壁の構築方法であって、
    前記波形鋼板の片面側において、その波形鋼板の凹部を下地材で覆った状態で耐火材を塗布して耐火被覆部を形成する耐火壁の構築方法。
  2. 前記下地材が、前記波形鋼板の片面側の全体を覆っている請求項1に記載の耐火壁の構築方法。
  3. 前記下地材が、メタルラスであり、前記耐火材が、吹付けロックウールである請求項1または2に記載の耐火壁の構築方法。
  4. 前記下地材が、その下地材と前記波形鋼板の片面側の間に立設された複数本の鉄筋に固着されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐火壁の構築方法。
  5. 前記鉄筋の上端部が、耐火壁の上枠に接続され、当該耐火壁が、側面視において前記上枠の奥行き方向内に配置されている請求項4に記載の耐火壁の構築方法。
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