JP2020093430A - 印刷物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
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近年、食品包装において、インキ中の化学物質が内容食品へ移行(マイグレーション)する問題が懸念されており、例えば電子線(以下EBと称する場合がある)硬化型インキの場合はインキ成分中の未反応モノマーが、紫外線(以下UVと称する場合がある)硬化型インキの場合はインキ成分中の未反応光重合開始剤が、印刷面から裏移りし内容食品へ溶出することによるマイグレーションが問題となっている。また光重合開始剤は、光重合開始剤の開裂反応後の残渣が臭気を発生する場合もあり、該臭気が食品に移行する懸念も指摘されている。
しかしながら食品安全性への要求が強まるに従い、そもそもの光重合開始剤の使用量低減を望む声が高まっている。
本発明の工程1において、使用する基材としては特に限定は無くオフセット印刷分野で通常使用されている紙もしくはプラスチック基材、食品包装分野で使用される軟包装基材を使用すればよい。例えば紙であれば、カタログ、ポスター、チラシ、CDジャケット、ダイレクトメール、パンフレット、化粧品や飲料、医薬品、おもちゃ、機器等のパッケージ等の印刷に用いられる上質紙、クラフト紙、純白ロール紙、グラシンペーパー、パーチメント紙、マニラボール、白ボール、コート紙、アート紙、模造紙、薄紙、厚紙等の紙、各種合成紙、等が挙げられる。
また前記樹脂フィルムに各種バリア機能等の機能性を付与するための、アルミニウム箔などの軟質金属箔、アルミ蒸着、シリカ蒸着、アルミナ蒸着、シリカアルミナ2元蒸着などの蒸着層、塩化ビニリデン系樹脂、変性ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、MXDナイロンなどからなる有機バリア層等が設けられた複合フィルムも挙げられる。
オフセット印刷方式による印刷は、カラープロセスインキや特色インキを、単色や多色使いで刷重ね印刷を行う方法が一般的である。
オフセット印刷機は多数の印刷機メーカーによって製造販売されており、一例としてハイデルベルグ社、小森コーポレーション社、リョービMHIグラフィックテクノロジー社、マンローランド社、KBA社等を挙げることができ、またシート形態の印刷用紙を用いる枚葉オフセット印刷機、リール形態の印刷用紙を用いるオフセット輪転印刷機、いずれの用紙供給方式においても本発明を好適に利用することが可能である。更に具体的には、ハイデルベルグ社製スピードマスターシリーズ、小森コーポレーション社製リスロンシリーズ、リョービMHIグラフィックテクノロジー社製RMGTシリーズ等のオフセット印刷機を挙げることができる。
本発明の工程2においては、硬化性および利便性の点から紫外線(UV)の使用が好ましく、紫外線ランプと成り得る具体的なエネルギー源又は硬化装置としては、例えば、殺菌灯、紫外線用蛍光灯、紫外線発光ダイオード(UV−LED)、カーボンアーク、キセノンランプ、複写用高圧水銀灯、中圧又は高圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電極ランプ、メタルハライドランプ、自然光等を光源とする紫外線が挙げられる。前記紫外線発光ダイオード(UV−LED)としては、そのピーク波長が350〜400nmの範囲であるものが好ましく、積算光量が5mJ/cm2以上、照射強度が500mW/cm2以上の条件で硬化させることが好ましい。
本発明の印刷物の製造方法では、基材上に紫外線硬化性オフセットインキ層を設ける工程1、前記紫外線硬化性オフセットインキ層を酸素濃度5%以下の雰囲気で紫外線ランプを使って硬化する工程2により、基材上に印刷された印刷物を得ることができる。
一方、商業印刷、紙器、紙パッケージ印刷や食品包装分野において、紙またはプラスチックの基材を用いる場合は、インキ表面の擦れを抑制したり、意匠性を付与する為に、5%以上の有色顔料を含まない透明二ス組成物層を前記紫外線硬化性オフセットインキ層の上に形成する形態も知られている。
また例えば、透明二ス組成物中に少なくとも水や揮発性有機溶剤を含有する場合は、熱風乾燥機を使用して水や有機溶剤が十分揮発する温度で乾燥させることが出来る。
また一方、商業印刷、紙パッケージ印刷や食品包装分野においては、紙基材上に印刷した後、該印刷物上にフィルム等を貼りあわせ積層体とする形態も知られている。この場合例えば、前記硬化後の紫外線硬化性オフセットインキ層上に、フィルムを設ける工程(3−2)により得ることが出来る。
接着剤層を介しフィルムを設けた後、ラミネート法により積層体とすることができる。ラミネート法は特に限定されず、たとえばドライラミネート法、熱ラミネート法、ヒートシール法、押出しラミネート法等があげられる。
1.印刷面の総インキ量が60mgとなるように印刷物を成形した後、フィルムを内側にして、印刷面の全てが液面に接するように容積1000cm3で、且つ、1000cm3の内容液と接触する液体容器内面の総面積が600cm2の液体容器を作製し、エタノール水溶液(エタノール50質量%と純水50質量%の混合溶液)1000cm3を注ぎ密閉する。
2.密閉した液体容器を40℃雰囲気下で10日間静置した後、液体容器からエタノール水溶液を取り出し、液体クロマトグラフ質量分析にて光重合開始剤を定量する。
本発明で使用する紫外線硬化性オフセットインキは、特に限定なく該分野で公知のインキ組成物を使用することができる。一般的には、(メタ)アクリルモノマー及び/又は(メタ)アクリルオリゴマー、及び光重合開始剤を含有するオフセットインキが使用される。
本発明において、前記(メタ)アクリルモノマー及び/又は(メタ)アクリルオリゴマーとは、アクリルとメタクリルとを総称したものである。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシー3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチルテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明で使用する光重合開始剤は、特に限定なく該分野で公知の光重合開始剤を使用することができるが、中でも、前記酸素濃度5%以下の雰囲気で紫外線ランプを使って硬化する工程2において、良好な印刷適性を与える組成として、前記光重合開始剤が、数平均分子量300以上1500以下のアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤及び/又は数平均分子量250以上2000以下のα-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤を含有することが好ましい。
数平均分子量300以上1500以下のアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、ビス(2、4、6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(数平均分子量418.5)、(2、4、6−トリメチルベンゾイル)−ジフェニルフォスフィンオキサイド(数平均分子量348.4)、フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチル(数平均分子量316.3)等が挙げられる。
顔料としては、公知公用の着色用有機顔料を挙げることができ、例えば「有機顔料ハンドブック(著者:橋本勲、発行所:カラーオフィス、2006年初版)」に掲載される印刷インキ用有機顔料等が挙げられ、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、金属フタロシアニン顔料、無金属フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、アンスラキノン系顔料、キノフタロン顔料、金属錯体顔料、ジケトピロロピロール顔料、カーボンブラック顔料、その他多環式顔料等が使用可能である。
その他の添加剤としては、例えば耐摩擦性、ブロッキング防止性、スベリ性、スリキズ防止性を付与する添加剤としては、カルナバワックス、木ろう、ラノリン、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの天然ワックス、フィッシャートロプスワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、ポリアミドワックス、およびシリコーン化合物などの合成ワックス等を例示することができる。
表1、表2に示す実施例1〜10、比較例1〜11及び表3、表4に示す実施例11〜20、比較例11〜21の組成に従って、インキを3本ロールミルにて練肉することによって、各種のインキを得た。尚、表中の空欄は、未配合を意味している。
この様にして得られた活性エネルギー線硬化型オフセットインキを、簡易展色機(RIテスター、豊栄精工社製)を用い、インキ0.10mlを使用して、RIテスターのゴムロール及び金属ロール上に均一に引き伸ばし、コートボール紙(王子マテリア製UFコート)上、約220cm2の面積範囲にわたって墨濃度1.8(X−Rite社製SpectroEye濃度計で計測)で均一に塗布されるように展色し、紙基材に対する展色物を作製した。なおRIテスターとは、紙やフィルムにインキを展色する試験機であり、インキの転移量や印圧を調整することが可能である。
前記と同様、RIテスターを用い、活性エネルギー線硬化型オフセットインキ0.10mlを使用してRIテスターのゴムロール及び金属ロール上に均一に引き伸ばし、軟包装用2軸延伸ポリプロピレンフィルム基材(東洋紡製パイレンフィルム−OT P2161 厚さ20μm)上に、前記と同じ墨濃度で均一に塗布されるように展色し、フィルム基材に対する展色物を作成した。
実施例1〜20については、前記の方法で得られた紫外線硬化性オフセットインキ塗布後の展色物を石英製の透明な窓が付き、ガスの封入口と排気口のついた窒素置換ボックスに入れ、ボックス内の酸素濃度が5%となるように窒素ガスを封入した。その後、水冷式UV−LED(中心発光波長385nm±5nmUV−LEDの出力100%)およびベルトコンベアを搭載したUV照射装置(アイグラフィックス社製)を使用し、展色物をコンベア上に載せ、コンベアスピード100m/minの速度で、LED直下(照射距離9cm)を通過させ、インキ皮膜を硬化乾燥させた。
また、比較例1〜21については、前記の窒素置換ボックス内の酸素濃度が20%となるように窒素ガスを封入し、実施例1〜16のときと同じ装置、照射条件で、展色物に紫外線を照射することで、インキ皮膜を硬化乾燥させた。
硬化直後に硬化インキ層を上質紙で擦ることにより硬化皮膜の硬化性を評価した。
評価基準は以下とした。
◎:強い力で擦っても傷が付かず、UV硬化性は非常に良好である。
〇:強い力で擦ると僅かに傷が付く。
△:強い力で擦ると明確に傷が付く
×:弱い力で擦っても明確に傷が付き、UV硬化性は不良である。
硬化直後に硬化インキ層を爪で擦ることにより硬化皮膜の硬化性を評価した。
評価基準は以下とした。
◎:強い力で擦っても傷が付かず、UV硬化性は非常に良好である。
〇:強い力で擦ると僅かに傷が付く。
△:強い力で擦ると明確に傷が付く
×:弱い力で擦っても明確に傷が付き、UV硬化性は不良である。
前記硬化方法で硬化させた硬化物を縦5cm横2.5cmに切り取り、この切片を10枚用意した。この切片10枚を素早く外径40mm、高さ75mm、口内径20.1mm、容量50mlのコレクションバイアルに入れ、ふたを閉めて60℃の恒温槽に1時間保管し、コレクションバイアル中に臭気を充満させた。つぎに、このコレクションバイアルを室温になるまで放置し、臭気の強さを評価するモニター10名により、各サンプルの臭気の強さを10段階で評価した。
10名の臭気評価結果を平均し、そのサンプルの臭気の強さとした。なお、数値が高い方が、低臭であることを意味している。
○: 10〜7
△: 6〜3
×: 2〜0
顔料
「ラーベン1060Ultra」:BIRLA CARBON製 カーボンブラック
「FASTOGEN BLUE TGR−1」:DIC製 Pigment Blue 15:3
「ホスタパームバイオレット RL 02」:クラリアント製 Pigment Violet 23
「ハイフィラー#5000PJ」:松村産業製 タルク
「S−381−N1」:シャムロック製 オレフィン系微粉末ワックス
「ステアラーTBH」:精工化学製 tert−ブチルハイドロキノン
「ジアリルフタレート樹脂ワニス」:大阪ソーダ製ダイソーダップ 35質量%をSR355NS 65質量%に溶解させた混合物
「61X1025J」:DIC(株)社製ロジン変性エポキシ樹脂
「アロニックスM−400」:東亞合成製 ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート
「Miramer M−300」:MIWON製 トリメチロールプロパントリアクリレート
「SR355NS」:サートマー社製 ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート
「TPGDA」:トリプロピレングリコールジアクリレート
「PI−1」:1−([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−2−メチル−2−モルフォリノプロパン−1−オン(式(1)の構造である)
「Omnirad 369」:IGM RESINS製 2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジル−1−ブタノン
「Omnirad 379」:IGM RESINS製 2ー(ジメチルアミノ)−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン
「Omnirad TPO」:IGM RESINS製 2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキシド
「Omnirad 819」:IGM RESINS製 ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ジフェニルフォスフィンオキサイド
「Omnipol 910」:IGM RESINS製 2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−ピペリジノフェニル)−ブタン−1−オン、ポリエチレングリコールジ[β−4−[4−(2−ジメチルアミノ−2−ベンジル)ブタノイルフェニル]ピペラジン]プロピオネート
「Omnipol TX」:IGM RESINS製 カルボキシメトキシ チオキサントンとポリテトラメチレングリコール250のジエステル
Claims (9)
- 少なくとも、基材上に紫外線硬化性オフセットインキ層を設ける工程1と、前記紫外線硬化性オフセットインキ層を酸素濃度5%以下の雰囲気で紫外線により硬化する工程2をこの順に有することを特徴とする印刷物の製造方法。
- 前記基材が紙またはプラスチックであり、前記工程2の前または後に、前記硬化後のオフセットインキ層上に5%以上の有色顔料を含まない透明二ス組成物層を設ける工程(3−1)を有する請求項1に記載の印刷物の製造方法。
- 前記基材が紙であり、前記工程2の後に、前記硬化後のオフセットインキ層上にフィルムを設ける工程(3−2)をこの順に有する、請求項1に記載の印刷物の製造方法。
- 前記紫外線硬化性オフセットインキが、(メタ)アクリルモノマー及び/又は(メタ)アクリルオリゴマー、及び光重合開始剤を含有し、前記光重合開始剤が、数平均分子量300以上1500以下のアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤及び/又は数平均分子量250以上2000以下のα−アミノアルキルフェノン系光重合開始剤を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の印刷物の製造方法。
- 前記紫外線硬化性オフセットインキがインキ全量の0.5〜5質量%の光重合開始剤を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の印刷物の製造方法。
- 前記紫外線硬化性オフセットインキが、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、フェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチル、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジル−1−ブタノン、2ー(ジメチルアミノ)−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、1−([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−2−メチル−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−ピペリジノフェニル)−ブタン−1−オン、ポリエチレングリコールジ[β−4−[4−(2−ジメチルアミノ−2−ベンジル)ブタノイルフェニル]ピペラジン]プロピオネートからなる群から選ばれる少なくとも1種以上含有する請求項1〜5の何れかに記載の印刷物の製造方法。
- 増感剤をインキ全量の0.1〜5質量%含有する請求項1〜6のいずれかに記載の印刷物の製造方法。
- 前記紫外線硬化性オフセットインキが、3官能以上の重合性アクリレートモノマーをモノマー全量の30質量%以上含有する請求項1〜7のいずれかに記載の印刷物の製造方法。
- 前記紫外線ランプがLED−UVランプであり、そのピーク波長が350〜400nmである請求項1〜8のいずれかに記載の印刷物の製造方法。
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