JP2020093417A - 熱成形用食品包装フィルム、熱成形用食品包装多層フィルム、深絞り包装用フィルム、および、スキンパック用フィルム - Google Patents

熱成形用食品包装フィルム、熱成形用食品包装多層フィルム、深絞り包装用フィルム、および、スキンパック用フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】ガスバリア性、透明性、および、二次加工時の成形性に優れた熱成形用食品包装フィルム、熱成形用食品包装多層フィルム、これらフィルムを用いた、深絞り包装用フィルムおよびスキンパック用フィルムを提供する。【解決手段】エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)とポリオレフィン系エラストマー(B)との組成比が(A)/(B)=71/29〜99/1である樹脂組成物を主成分としてなるガスバリア層を有する熱成形用食品包装フィルムであって、前記ポリオレフィン系エラストマー(B)がエチレン−メタクリル酸共重合体であり、前記ガスバリア層の横方向(TD)の110℃での引張試験における、伸び500%の引張応力(STD)が所定の要件を満たし、ガスバリア層のガス透過率が所定の要件を満たす。【選択図】なし

Description

本願は、熱成形用食品包装フィルム、熱成形用食品包装多層フィルム、さらには、それらを用いた深絞り包装用フィルム、および、スキンパック用フィルムに関する。
エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物は(以下、「EVOH樹脂」または「EVOH」と記すことがある)は優れたガスバリア性および機械的強度などを有する成形加工が容易な熱可塑性樹脂であり、従来より、生肉、惣菜、食肉加工品、水産加工品等の食品包装に多く用いられている。EVOH樹脂は、ガスバリア性に優れる一方で、延伸性が悪く、各種食品の包装形態として使用されている、深絞り包装やスキンパック包装において求められる二次加工性に劣るといった課題があった。
EVOH樹脂に柔軟性を付与するためエラストマーをブレンドする方法が知られている。特許文献1、2、3ではスチレン系ブロック共重合体や酸変性ポリオレフィン樹脂をブレンドする方法、特許文献4では酸変性ポリエステル系樹脂をブレンドする方法が提案されている。
特許文献1:特開2015−020393
特許文献2:WO2013/172226
特許文献3:特開平11−091043
特許文献4:特開2004−002791
しかしながら、特許文献1、3、4に記載の方法では室温あるいは低温保管時における耐衝撃性に特化したものであり、特許文献2はブロー成形容器に関するものであり、ガスバリア性が必要とされる、深絞り包装用のフィルムや、スキンパック用のフィルムとしては、二次加工時の成形性が必要とされ、該成形性に劣る場合は、フィルムの破けや皺が発生するといった問題が生じる場合があった。
そこで、本願は、ガスバリア性、透明性、および、二次加工時の成形性に優れた熱成形用食品包装フィルム、熱成形用食品包装多層フィルム、これらフィルムを用いた、深絞り包装用フィルムおよびスキンパック用フィルムを提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の構成を採用すれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、以下を完成させるに至った。
本願は、第1の実施形態として、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)とポリオレフィン系エラストマー(B)との組成比が(A)/(B)=71/29〜99/1である樹脂組成物を主成分としてなるガスバリア層を有する熱成形用食品包装フィルムであって、
前記ポリオレフィン系エラストマー(B)がエチレン−メタクリル酸共重合体であり、
前記ガスバリア層の横方向(TD)の110℃での引張試験における、伸び500%の引張応力(STD)と、前記(A)と前記(B)の組成比が(A)/(B)=100/0である樹脂組成物のガスバリア層の横方向(TD)の110℃での引張試験における、伸び500%の引張応力(STD[(A)/(B)=100/0])とが、以下の式(1)を満たし、
TD/STD[(A)/(B)=100/0]≦0.98・・・式(1)、
下記(a)または(b)の少なくとも一方を満たす、熱成形用食品包装フィルムを開示する。
(a)前記ガスバリア層のガス透過率Tと、前記(A)と前記(B)の組成比が(A)/(B)=100/0である樹脂組成物のガスバリア層のガス透過率T[(A)/(B)=100/0]とが、以下の式(2)を満たす。
ガス透過率T[(A)/(B)=100/0]/ガス透過率T≧0.80・・・式(2)
(b)前記ガスバリア層の厚さ50μmにおけるガス透過率が0.50cc/m・24hr・atm以下である。
なお、ここで、横方向(TD)とは、熱成形用食品包装フィルムの製造上の流れ方向(縦方向、MD)とは直行する方向のことをいう。
また、ガスバリア層は、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)とポリオレフィン系エラストマー(B)の組成物を主成分としてなるが、(A)および(B)は海島構造のドメインを形成する。(B)は島状のドメイン構造を有し、縦方向(MD)に長い直径を有する。該長い直径の方向に直行する方向として、横方向(TD)であることが確認できる。島状のドメイン構造は、TEM観察等により確認できる。
第1の実施形態において、前記ガスバリア層の10Hz、110℃における貯蔵弾性率は6.0×10Pa以下であることが好ましい。
第1の実施形態において、前記ガスバリア層の厚さ50μmにおける全ヘーズが12%以下であることが好ましい。
第1の実施形態において、前記熱成形用食品包装フィルムの厚さ100μmにおけるガス透過率が、10cc/m・24hr・atm未満であることが好ましい。
本願は、第2の実施形態として、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)とポリオレフィン系エラストマー(B)との組成比が(A)/(B)=71/29〜99/1である樹脂組成物を主成分としてなるガスバリア層を少なくとも1層有し、
前記ポリオレフィン系エラストマー(B)がエチレン−メタクリル酸共重合体であり、
さらに、ポリアミド層、ポリエステル層、アイオノマー層、ポリオレフィン層の内少なくとも1層を有する、熱成形用食品包装多層フィルムを開示する。
第2の実施形態において、前記ポリオレフィン層、前記アイオノマー層、前記ガスバリア層、前記ポリエステル層の少なくとも4層を配することが好ましい。
第2の実施形態において、多層フィルムの厚み100μmにおける、ガス透過率が10cc/m・24hr・atm未満であり、かつ、横方向(TD)の110℃での引張試験における、伸び500%の引張応力(STD)が、0.8MPa未満であることが好ましい。
本願は、第3の実施形態として、前記第1の実施形態の熱成形用食品包装フィルム、または、前記第2の実施形態の熱成形用食品包装多層フィルムを用いてなる、深絞り包装用フィルムを開示する。
本願は、第4の実施形態として、前記第1の実施形態の熱成形用食品包装フィルム、または、前記第2の実施形態の熱成形用食品包装多層フィルムを用いてなる、スキンパック用フィルムを開示する。
なお、スキンパックとは、加熱した蓋材用フィルムを圧空で内容物に密着させると同時に底材トレーとフィルムとを熱シールして真空包装した包装体を云う。
本発明の熱成形用食品包装フィルム、および、熱成形用食品包装多層フィルムによれば、ガスバリア性、透明性、および、二次加工時の成形性に優れた熱成形用食品包装フィルムを提供することができる。また、これらの熱成形用食品包装フィルムは、深絞り包装用およびスキンパック用として好適に使用することが可能である。
図1(a)は成形性の評価方法を説明するイメージ図(断面図)であり、図1(b)はイメージ図(上面図)である。
[熱成形用食品包装フィルム]
本発明の熱成形用食品包装フィルムは、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)とポリオレフィン系エラストマー(B)とを含有する樹脂組成物を主成分としてなるガスバリア層を有する。
本願において、「主成分」とは、該成分を含むもの(例えば層)を基準として、該成分を、50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上含むことを意味する。
<エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)>
前記ガスバリア層に使用されるEVOH(A)は、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体をアルカリ触媒等によってケン化することによって得られる共重合体である。
前記EVOH(A)中のエチレン含有率は、特に限定されるものではないが、製膜安定性の観点から、通常23モル%以上、好ましくは27モル%以上であり、ガスバリア性の観点から、通常47モル%以下、好ましくは44モル%以下である。また、EVOHのケン化度は、通常96モル%以上、好ましくは99モル%以上である。EVOH中のエチレン含有量およびケン化度を上記範囲に保つことにより、良好な酸素バリア性を維持できる。
EVOH(A)の屈折率は好ましくは1.510〜1.530であり、より好ましくは1.510〜1.525である。
EVOH(A)の融点は、特に限定されるものではないが、二次加工性の観点から150℃以上210℃未満、好ましくは150℃以上190℃未満、より好ましくは155℃以上185℃未満である。
EVOH(A)のMFR(210℃、2.16kg荷重下で測定した値)は、特に限定されるものではないが、フィルムの製膜性の観点から0.1〜80g/10分、好ましくは0.5〜50g/10分、より好ましくは1.0〜25g/10分である。
<ポリオレフィン系エラストマー(B)>
前記ガスバリア層に使用されるポリオレフィン系エラストマー(B)は、エチレンやプロピレンとの共重合体が挙げられ、詳しくは、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−プロピレン−1−オクテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体などが挙げられる。
(エチレン−メタクリル酸共重合体)
前記ポリオレフィン系エラストマー(B)は、屈折率、EVOHとの分散性、生産性、二次加工性付与の観点からエチレン−メタクリル酸共重合体(以下、EMAAと記すことがある。)が好ましい。EMAAは、結晶性樹脂であるため、ガスバリア性を低下させにくい観点からも好ましい。なお、EMAAは、エチレンとメタクリル酸とを共重合した重合体のことである。
エチレン−メタクリル酸共重合体中のメタクリル酸含量は、特に限定されないが、好ましくは、1〜30質量%であり、より好ましくは3〜20質量%である。メタクリル酸含量が1質量%以上とすることで、EVOHへの分散が良く透明性が良好となる。また、30質量%以下とすることで、ガスバリア性が充分となる。
また、エチレン−メタクリル酸共重合体の好適なメルトフローレート(MFR)(210℃、2.16kg荷重下で測定した値)は、好ましくは0.1〜80g/10分、より好ましくは0.5〜50g/10分である。本願において、エチレン−メタクリル酸共重合体は、MFRの異なる2種あるいはそれ以上のエチレン−メタクリル酸共重合体をブレンドして用いることもできる。
本発明の熱成形用食品包装フィルムに用いるエチレン−メタクリル酸共重合体の屈折率は、好ましくは1.490〜1.530であり、より好ましくは1.495〜1.525である。
本発明の熱成形用食品包装フィルムに用いるエチレン−メタクリル酸共重合体のDSCにより測定される融点は、70℃以上120℃未満が好ましく、より好ましくは80℃以上110℃未満であり、さらに好ましくは80℃以上100℃未満である。融点が70℃以上とすることでブロッキングを抑制しハンドリング性を良好にでき、また耐熱性を良好にできる。一方、120℃未満とすることで、二次加工性を良好にし、しわや破れを抑制できる。
<ガスバリア層>
(組成比)
本発明の熱成形用食品包装フィルムにおけるガスバリア層のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)とポリオレフィン系エラストマー(B)との組成比(質量比)は、(A)/(B)=71/29〜99/1とすることで、ガスバリア性と二次加工性を両立できる。
ガスバリア性の観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)とポリオレフィン系エラストマー(B)の全体を100としたとき、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)の組成比(質量比)は、71以上であることが好ましく、75以上であることがより好ましく、二次加工性の観点から、ポリオレフィン系エラストマー(B)の組成比(質量比)は、1以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましい。
(屈折率差)
ガスバリア層中のEVOH(A)とポリオレフィン系エラストマー(B)の屈折率差は、好ましくは0.030以下であり、より好ましくは0.025以下であり、さらに好ましくは0.020以下である。ポリオレフィン系エラストマー(B)の屈折率差が0.030以下とすることで、フィルムの透明性を良好にし、内容物の視認性を良好にできる。
(全ヘーズ)
ガスバリア層の厚さ50μmにおける全ヘーズは、内容物視認性の観点から好ましくは12%以下であり、より好ましくは10%以下である。
(ガス透過率)
本発明の熱成形用食品包装フィルムにおけるガスバリア層は、以下の(a)または(b)の少なくとも一方を満たす必要がある。
(a)ガスバリア層のガス透過率Tと、前記(A)と前記(B)の組成比が(A)/(B)=100/0である樹脂組成物のガスバリア層のガス透過率T[(A)/(B)=100/0]とが、以下に示す式(2)を満たす。
ガス透過率T[(A)/(B)=100/0]/ガス透過率T≧0.80・・・式(2)
(b)ガスバリア層の厚さ50μmにおけるガス透過率が0.50cc/m・24hr・atm以下である。
なお、ガスバリア層の厚さ50μmにおけるガス透過率は、好ましくは、0.48cc/m・24hr・atm以下であり、より好ましくは0.46cc/m・24hr・atm以下である。
ガスバリア層は、(a)または(b)の少なくとも一方を満たすことにより、熱成形用食品包装フィルムをして使用する際に求められるガスバリア性が充分となる。
(引張応力)
本発明の熱成形用食品包装フィルムにおけるガスバリア層の横方向(TD)の110℃での引張試験における、伸び500%の引張応力(STD)と、前記(A)と前記(B)の組成比が(A)/(B)=100/0である樹脂組成物のガスバリア層の横方向(TD)の110℃での引張試験における、伸び500%の引張応力(STD[(A)/(B)=100/0])とが、以下の式(1)を満たす必要がある。
TD/STD[(A)/(B)=100/0]≦0.98・・・式(1)
式(1)の値が0.98以下とすることで、二次加工性時にフィルムの破けやしわが発生することがなく好ましい。
ガスバリア層の横方向(TD)の110℃での引張試験における、伸び500%の引張応力(STD)は6.0MPa以下が好ましく、より好ましくは5.9MPa以下であり、さらに好ましくは5.8MPa以下である。伸び500%の引張応力(STD)が6.0MPa以下とすることで、二次加工性時に、フィルムの破けやしわが発生することがなく好ましい。
ガスバリア層の横方向(TD)の110℃での引張試験における、伸び200%の引張応力(STD200%)は4.9MPa以下が好ましく、より好ましくは4.8MPa以下である。伸び200%の引張応力(STD200%)が4.9MPa以下とすることで、二次加工性時に、フィルムの破けやしわが発生することがなく好ましい。
(引張破断伸び(110℃))
ガスバリア層の110℃における引張破断伸びは好ましくは150%以上であり、より好ましくは250%以上であり、さらに好ましくは350%以上である。引張破断伸びが150%以上とすることで、スキンパック包装の際にフィルムの破けが発生することがなく好ましい。
(貯蔵弾性率)
本発明の熱成形用食品包装フィルムにおけるガスバリア層の振動周波数10Hz、110℃の条件で測定された固体粘弾性の弾性率E´は、以下に示す式(3)を満たすことが好ましい。
E´/E´[(A)/(B)=100/0]≦0.90・・・式(3)
ここで、E´[(A)/(B)=100/0]はガスバリア層中のEVOH単体での弾性率を示す。式(3)の値が0.90以下でとすることで、二次加工性時に、フィルムの破けやしわが発生することがなく好ましい。
ガスバリア層の振動周波数10Hz、110℃の条件で測定された固体粘弾性の弾性率E´は、6.0×10Pa以下であることが好ましく、より好ましくは5.9×10Pa以下であり、さらに好ましくは5.8×10Pa以下である。弾性率E´が6.0×10Pa以下でとすることで、二次加工性時に、フィルムの破けやしわが発生することがなく好ましい。
本発明の熱成形用食品包装フィルムの総厚に対するガスバリア層の厚さの比率の上限は20%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。また、下限は1%以上が好ましい。下限を1%以上とすることにより、フィルムに酸素バリア性を付与することができ、また、上限を20%以下とすることにより、フィルムの耐ピンホール性の低下や、製造コストの上昇、内容物密着性の低下を抑制することができる。
ガスバリア層には、その機能を阻害しない限り、添加剤を加えることができる。添加剤としては、加工助剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
[熱成形用食品包装多層フィルム]
本発明の熱成形用食品包装フィルムはガスバリア層のほかに、その他の熱可塑性樹脂層と合わせて多層化することが出来る。例えば、ポリオレフィン層、アイオノマー層、ポリアミド層、ポリエステル層、などを配して熱成形用食品包装多層フィルムとしてもよい。
<ポリオレフィン層>
ヒートシール性や柔軟性などを付与する目的で、ポリエチレン系樹脂などのポリオレフィン層を配してもよい。なお、ヒートシール性を付与する場合は、熱成形用食品包装多層フィルムの最内層とてして配する。
ここで、「最内層」とは、蓋材であれば、底材とヒートシールする側の層をいい、底材であれば、蓋材とヒートシールする側の層をいう。また、「最外層」とは、最内層とは反対側の層、つまり、包装体の外面を形成する層である。
ヒートシール性を付与する場合、ポリオレフィン層を最内層に配する。以下、該層をヒートシール層と記す場合がある。その際に使用される樹脂としては、エチレン−α−オレフィン共重合体、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン‐メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン‐メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、アイオノマー樹脂、酢酸ビニル含有率が8モル%以上40モル%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ホットメルト樹脂(HM)の群から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
これらの樹脂は、トレーの材質、トレー面の形状、内容物の形状、種類に合わせ、適宜選択することができる。
ヒートシール層の厚さは、フィルム総厚に対する比率が5%以上の場合、良好なヒートシール性が得られる。また、20%以下の場合、シール層に隣接する樹脂層厚とのバランスによって、フィルム強度を確保することができる。
<アイオノマー層>
本発明の熱成形用食品包装多層フィルムは、柔軟性を付与する目的で、アイオノマー樹脂を含むアイオノマー層を配してもよい。
アイオノマー樹脂は、エチレン−メタクリル酸共重合体を亜鉛やナトリウムなどの金属イオンで架橋させたものであり、特に限定はされないが、ナトリウムイオン中和タイプのアイオノマー樹脂を用いることが好ましい。
アイオノマー層のフィルム総厚に対する比率の下限は、20%以上が好ましく、25%以上がより好ましい。また、上限は85%未満が好ましく、80%以下がより好ましく、75%以下であることがさらに好ましい。
また、アイオノマー層は、熱成形用食品包装多層フィルムの最内層(ヒートシール層)に隣接する層に配設することが好ましい。
<ポリアミド層>
本発明の熱成形用食品包装多層フィルムは、フィルムに強度、特に耐ピンホール性を付与する目的で、ポリアミド樹脂を含むポリアミド層を配してもよい。
ポリアミド層を配する層は、熱成形用食品包装多層フィルムの最内層および最外層以外の中間層に配設することが好ましい。
ポリアミド樹脂の種類は、特に限定されないが、具体的に例示すると、例えば、ポリアミド6、ポリアミド6とポリアミド6,6の共重合体、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6とポリアミド12の共重合体、ポリアミド6とポリアミド6,6とポリアミド12の共重合体等が挙げられる。これらの中でも、耐ピンホール性の観点から、ポリアミド6やポリアミド6−66(ポリアミド6とポリアミド6,6の共重合体)を用いることが好ましい。なお、ポリアミド樹脂層を2層以上設ける場合は、各層が異なる種類のポリアミド樹脂で構成されてもよい。
ポリアミド樹脂層の合計厚みは、フィルム総厚に対する比率として、上限は20%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。また、下限は1%以上が好ましく、5%以上がより好ましい。下限を1%以上とすることにより、フィルムに耐ピンホール性を付与することができる。また上限を20%以下とすることで内容物密着性を得ることができる。20%を超える場合は、フィルム成形性が損なわれ、内容物密着性が劣る。
<ポリエステル層>
本発明の熱成形用食品包装多層フィルムは、光沢性を付与する目的で、ポリエステル樹脂を含むポリエステル層を配してもよい。
ポリエステル層は、本発明の熱成形用食品包装多層フィルムの最外層に配設することが好ましい。
ポリエステル樹脂の種類は特に限定されないが、具体的に例示すると、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエチレンテレフタレート・エチレンイソフタレート共重合体(PETI)、ポリブチレンテレフタレートイソフタレート共重合体(PBTI)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンテレフタレートグリコール樹脂(PETG)、ポリブチレンナフタレート(PBN)等が挙げられる。中でも、二次加工性付与の観点から非晶性ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレートグリコール樹脂(以下、PETGと記すことがある。)を含む層を配することが好ましい。
本発明の熱成形用食品包装多層フィルムの最外層には、ポリエステル層を配することが好ましいが、最外層の層厚は、フィルム総厚に対し、1%以上30%未満とすることが好ましい。下限は好ましくは2%以上がより好ましく、上限は25%未満がより好ましく20%以下が更に好ましい。1%以上とすることにより、フィルムに良好なカット性を付与できる。1%未満では、カット性が不十分になるだけでなく、フィルム共押出製膜安定性にも欠ける。また、30%以上では、フィルム全体が硬くなり過ぎ、内容物密着性が劣る。
その他、耐熱性を向上させるため、最外層に非晶ポリアミドからなる層を配してもよい。また、防湿性やフィルムに適度なコシを付与する観点からは、最外層に、ポリプロピレン樹脂(PP)からなる層を配してもよい。フィルムに柔軟性を付与する観点からは、シール層とは別の層として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)やポリエチレン樹脂(PE)からなる層を配してもよい。
好ましい層構成としては、接着性樹脂層の表記を省いて、最外層/中間層/最内層の順に記すと、次の例が挙げられる。各層間に、接着性樹脂層を配してもよい。また、中間層とは、最外層、最内層以外の層をいう。なお、「シール」とは上記したヒートシール層を意味する。「PA」はポリアミド層、「IO」はアイオノマー層を意味する。
1. ポリエステル/ガスバリア層/IO/シール、
2. ポリエステル/ガスバリア層/PA/IO/シール、
3. PP/PA/ガスバリア層/PA/IO/シール、
4. PP/ガスバリア層/PA/PE/シール、
5. PP/PA/ガスバリア層/PA/PE/シール、
6. PA/ガスバリア層/IO/シール、
7. PA/ガスバリア層/PE/シール、
8. PE/ガスバリア層/PE/シール、
9. PE/ガスバリア層/IO/シール、
10. IO/ガスバリア層/PE/シール、
11. PP/ガスバリア層/PP/シール、
12. PP/ガスバリア層/PA/PP/シール、
<フィルム総厚>
本発明の熱成形用食品包装多層フィルムのフィルム総厚は、40μm以上200μm未満である。下限は好ましくは60μm以上、より好ましくは80μm以上である。上限は好ましくは150μm以下、より好ましくは120μm以下である。フィルム総厚が40μm未満では、フィルム強度が不十分となり、鋭利な形状の内容物の場合や低温保管の場合に、衝撃や擦れによってフィルムに破れやピンホールが発生しやすい。200μm以上では、内容物形状に対する追従性が悪くなり、密着性が不十分となり、例えば、内容物の周辺部、即ち内容物がトレーに接する際(きわ)の箇所において、フィルムに浮きが生じやすい。
フィルムの厚さ100μmにおける本発明の熱成形用食品包装多層フィルムの全ヘーズは、内容物視認性の観点から好ましくは10%未満であり、より好ましくは9%以下である。
本発明の熱成形用食品包装多層フィルムの厚さ100μmにおけるガス透過率は、10.0cc/m・24hr・atm未満が好ましく、より好ましくは8.5cc/m・24hr・atm未満であり、さらに好ましくは7.0cc/m・24hr・atm未満である。ガス透過率が10.0cc/m・24hr・atm以上だと、包装体をして使用する際に求められるガスバリア性が不十分になる場合がある。
本発明の熱成形用食品包装多層フィルムの110℃での引張試験における、伸び500%のTDの応力(STD)は、0.80MPa未満が好ましく、より好ましくは0.60MPa以下であり、さらに好ましくは0.40MPa以下である。伸び500%のTDの応力(STD)が0.80MPa未満とすることで、二次加工性時に、フィルムの破けやしわが発生することがなく好ましい。
本発明の熱成形用食品包装多層フィルムの110℃での引張試験における、伸び200%のTDの応力(STD200%)は、0.85MPa以下が好ましく、より好ましくは、0.65MPa以下であり、さらに好ましくは0.45MPa以下である。
本発明の熱成形用食品包装多層フィルムの振動周波数10Hz、110℃の条件で測定された貯蔵弾性率E´は、5.0×10Pa以下であることが好ましく、より好ましくは4.5×10Pa以下であり、さらに好ましくは4.0×10Pa以下である。
<その他の成分>
本発明の熱成形用食品包装フィルム、および、熱成形用食品包装多層フィルムは、その効果を著しく阻害しない範囲内で、適宜、必要とする層に対して、成形加工性、生産性等の諸性質を改良・調整する目的で、シリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム等の無機粒子、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤などの添加剤を添加できる。
[フィルム製膜方法]
本発明の熱成形用食品包装フィルム、および、熱成形用食品包装多層フィルムは、公知の方法を用いて作製することができる。例えば、押出ラミネーション法、共押出インフレーション法、共押出Tダイ法等を用いることができ、特に、フィルムの層数が多い場合でも製膜工程は変わらない点や厚み制御が比較的容易である点で共押出Tダイ法を用いることが好ましい。
[フィルムの用途]
本発明の熱成形用食品包装フィルム、および、熱成形用食品包装多層フィルムは、ガスバリア性、透明性、および、二次加工時の成形性に優れる点から、高い二次加工時の成形性が要求される、深絞り包装用のフィルム、または、スキンパック用フィルムとして好適に使用することが可能である。
以下、本発明の熱成形用食品包装フィルム、および、熱成形用食品包装多層フィルムの効果を明確にするために実施した実施例に基づいてより詳細に説明する。なお、本発明の熱成形用食品包装フィルム、および、熱成形用食品包装多層フィルムは、以下の実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。
<ガスバリア層製膜>
下記の原料を用い、Tダイ法にて樹脂温度230℃で押出した後、40℃のキャストロールで急冷製膜し厚さ50μmのフィルムを得た。
(原料樹脂)
EVOH:エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン38モルタイプ、MFR4g/10分、屈折率1.518、融点163℃、
EMAA1:エチレン−メタクリル酸共重合体、メタクリル酸11質量%、MFR8g/10分、屈折率1.511、融点96℃、
EMAA2:エチレン−メタクリル酸共重合体、メタクリル酸11質量%、MFR10g/10分、屈折率1.502、融点92℃、
SIBS:スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体/スチレン−イソブチレンブロック共重合体、スチレン量23モル%、屈折率1.528、
LLDPE:ウルトゼックス2021L(プライムポリマー社製)、MFR2g/10分、屈折率1.514、融点122℃、
上記MFRは、210℃、2.16kg荷重下で測定した値である。
(実施例1)
EVOH:EMAA1=95:5質量%の割合で配合したブレンド原料を用いた。
(実施例2)
EVOH:EMAA1=90:10質量%の割合で配合したブレンド原料を用いた。
(実施例3)
EVOH:EMAA1=80:20質量%の割合で配合したブレンド原料を用いた。
(実施例4)
EVOH:EMAA2=80:20質量%の割合で配合したブレンド原料を用いた。
(比較例1)
EVOH100質量%を原料に用いた。
(比較例2)
EVOH:SIBS=80:20質量%の割合で配合したブレンド原料を用いた。
(比較例3)
EVOH:EMAA1=70:30質量%の割合で配合したブレンド原料を用いた。
(比較例4)
EVOH:EMAA1=60:40質量%の割合で配合したブレンド原料を用いた。
(比較例5)
EVOH:LLDPE=80:20質量%の割合で配合したブレンド原料を用いた。
<ガスバリア層の評価>
(全ヘーズ)
JIS K−7105に準拠して全ヘーズ(ガスバリア層、50μm)を測定した。
○:全ヘーズ12%以下、
×:全ヘーズ12%超、
(酸素ガスバリア性)
JIS K−7126 B法に準拠して23℃、0%RHでの酸素透過率(cc/m・24h・atm)を、EVOH単層(50μm)、および、作製したガスバリア層(50μm)について測定し、以下の比率を求めた。
なお、「ガス透過率T[(A)/(B)=100/0]がEVOH単層のガス透過率であり、「ガス透過率T」が作製したガスバリア層のガス透過率である。
○:ガス透過率T[(A)/(B)=100/0]/ガス透過率T≧0.80、
×:ガス透過率T[(A)/(B)=100/0]/ガス透過率T<0.80、
(引張強度・伸び)
JIS K−7127に準拠して110℃にて引張試験を実施し、TDの伸び200%および500%の引張応力(MPa)を測定し、伸び500%の引張応力について、以下の比率を求め、以下の基準で評価した。
なお、「STD」は、ガスバリア層の引張応力(500%)であり、「STD[(A)/(B)=100/0]」は、EVOH単層の引張応力(500%)である。
○:STD/STD[(A)/(B)=100/0]≦0.98、
×:STD/STD[(A)/(B)=100/0]>0.98、
また、ガスバリア層について、TDの引張破断伸びについても測定し、以下の基準で評価した。
○:350%以上、
△:150%以上350%未満、ただし実用可能範囲、
×:150%未満、
(貯蔵弾性率E´)
周波数10Hz、引張モードで110℃における貯蔵弾性率E´を、ガスバリア層およびEVOH単層について測定し、ガスバリア層の貯蔵弾性率を以下の基準で評価した。
○:E´=6.0×10Pa以下、
×:E´=6.0×10Pa超、
また、以下の比率を求め、以下の基準で評価した。
○:E´/E´[(A)/(B)=100/0]≦0.90、
×:E´/E´[(A)/(B)=100/0]>0.90、
なお、「E´」は、ガスバリア層の貯蔵弾性率を示し、「E´[(A)/(B)=100/0]」は、EVOH単層の貯蔵弾性率を示す。
実施例1〜4は、式(1)の比が0.98以下であり、成形温度(110℃)における二次加工性が良好であり、さらに、貯蔵弾性率(110℃)が6.0×10Pa以下であり、二次加工時の破けやしわを防ぐことができる。式(2)の比が0.8以上であり、ガス透過率が0.50cc/m・24hr・atm以下であるためガスバリア性も良好であった。また、いずれも全ヘーズが12%以下であり、透明性も良好であった。
比較例1は、EVOHのみのため110℃での引張応力が高く、式(1)の値が0.98超であり、成形温度(110℃)における二次加工性が劣る結果となり、さらに、貯蔵弾性率(110℃)が6.0×10Pa超であり、二次加工時の破けやしわが発生し易くなると考えられる。
比較例2は、ポリオレフィンエラストマー(B)ではないSIBSを配合している例であるが、式(2)の比が0.8未満であり、ガスバリア性が劣っていた。これは、配合しているSIBSが非結晶性樹脂であることに由来する。
比較例3、4はEMAAの配合量が多いため、透明性、ガスバリア性が劣り、破断伸びも劣る結果となり、比較例5は、ポリオレフィン系エラストマー(B)ではないLLDPEを用いた例であるが、LLDPEはEVOHとの相溶性が悪いため、全ヘーズが12%超となり、透明性が劣る結果となった。
<多層フィルムの製膜>
下記に記載の原料を用い、共押出Tダイ法により、各例に記した層構成で無延伸多層フィルムを作製した。
PETG:イーストマン・ケミカル社製PETG、
AD1:ポリエステル系接着樹脂、
AD2:ポリエチレン系接着樹脂、
IO:エチレン−メタクリル酸共重合体のNaイオン中和タイプ、
EVOH:エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン38モルタイプ、MFR4g/10分、屈折率1.518、融点163℃、
EMAA1: エチレン−メタクリル酸共重合体、メタクリル酸11質量%、MFR8g/10分、屈折率1.511、融点96℃、
EVA:エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル15モル%タイプ、
(実施例5)
PETG(5μm)/AD1(22μm)/ガスバリア層(4μm)/AD2(11μm)/IO(50μm)/EVA(8μm)、計100μm厚、
ガスバリア層にはEVOH:EMAA1=90:10質量%の割合で配合したブレンド原料を用いた。
<多層フィルムの評価>
(全ヘーズ)
作製した多層フィルム(100μm)について、JIS K−7105に準拠して全ヘーズを測定した。
○:全ヘーズ10%未満、
×:全ヘーズ10%以上、
(酸素ガスバリア性)
作製した多層フィルム(100μm)について、JIS K−7126 B法に準拠して23℃、0%RHでの酸素透過率(cc/m・24h・atm)を測定した。
○:ガス透過率 10cc/m・24h・atm未満、
×:ガス透過率 10cc/m・24h・atm以上、
(引張強度・伸び)
作製した多層フィルムについて、JIS K−7127に準拠して110℃にて引張試験を実施し、TDの伸び200%および500%の引張応力(MPa)を測定し、伸び500%の引張応力について、以下の基準で評価した。
○:0.8MPa未満、
×:0.8MPa以上、
(貯蔵弾性率E´)
周波数10Hz、引張モードで110℃における貯蔵弾性率E´を測定した。
(成形性評価)
スキンパック包装機(MULTIVAC社製T200)において、得られた多層フィルムを蓋材フィルムとして巻き出し側にセットし、下記層構成の成形トレー20(縦200mm×横200mm×深さ20mm)を供給して、半円柱状の冷凍蒲鉾10(高さ100mm×幅50mm×半径30mm)をトレー20に半円の頂点が底面になるように収容し、包装加工温度130℃(フィルム実測温度110℃)に設定し蓋材フィルムを加熱して、圧空で蓋材フィルムを内容物とトレーに密着させると同時に蓋材フィルムとトレーの間を真空脱気して熱シールし、また同時にフィルムカットを行い、スキンパック包装品を作製した。
図1に、上記成形性評価の概要を示すイメージ図を示す。
成形トレー(発泡ポリスチレン樹脂シートにシール層を有する多層フィルムをラミネートした構成であり、多層フィルム側を内容物側とする。)
:発泡ポリスチレン樹脂シート(160μm)//PP(10μm)/接着樹脂(5μm)/EVOH(5μm)/接着樹脂(5μm)/PE(15μm)
得られたスキンパック包装品を以下の基準により評価した。
○:フィルムのしわも内容物の潰れもほとんどなく、内容物の周辺、即ち内容物がトレーに接する際(きわ)の箇所にフィルム浮き、破けも生じなかった。
×:フィルムのしわ、内容物の潰れ、内容物周辺のフィルム浮き、破けの何れかが発生した。
実施例5は、所定の組成を満たすガスバリア層を備える多層フィルムであるので、ガス透過率が10cc/m・24hr・atm未満であり、ガスバリア性が良好であり、110℃での伸び500%のTDの応力が0.8MPa未満であり、成形性が良好であった。さらに実施例5の成形性評価で、成形時にフィルムのしわや破けなどが生じなかったのは、所定の組成を満たすガスバリア層とすることで、ガスバリア層の貯蔵弾性率(110℃)と、多層フィルム全体の貯蔵弾性率(110℃)との差異が小さくなり、層間の貯蔵弾性率差が小さくなることで、熱成形時の多層フィルム全体の伸びが均一となりやすく、成形性が良好となったとためと考えられる。
以上より、本発明の熱成形用食品包装フィルム、および、熱成形用食品包装多層フィルムにより、ガスバリア性、透明性、かつ、二次加工性に優れる、深絞り包装用、スキンパック包装用として好適な熱成形用食品包装フィルムを提供することができる。
10 冷凍蒲鉾
20 成形トレー

Claims (9)

  1. エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)とポリオレフィン系エラストマー(B)との組成比が(A)/(B)=71/29〜99/1である樹脂組成物を主成分としてなるガスバリア層を有する熱成形用食品包装フィルムであって、
    前記ポリオレフィン系エラストマー(B)がエチレン−メタクリル酸共重合体であり、
    前記ガスバリア層の横方向(TD)の110℃での引張試験における、伸び500%の引張応力(STD)と、前記(A)と前記(B)の組成比が(A)/(B)=100/0である樹脂組成物からなるガスバリア層の横方向(TD)の110℃での引張試験における、伸び500%の引張応力(STD[(A)/(B)=100/0])とが、以下の式(1)を満たし、
    TD/STD[(A)/(B)=100/0]≦0.98・・・式(1)、
    下記(a)または(b)の少なくとも一方を満たす、熱成形用食品包装フィルム。
    (a)前記ガスバリア層のガス透過率Tと、前記(A)と前記(B)の組成比が(A)/(B)=100/0である樹脂組成物からなるガスバリア層のガス透過率T[(A)/(B)=100/0]とが、以下の式(2)を満たす。
    ガス透過率T[(A)/(B)=100/0]/ガス透過率T≧0.80・・・式(2)
    (b)前記ガスバリア層の厚さ50μmにおけるガス透過率が0.50cc/m・24hr・atm以下である。
  2. 前記ガスバリア層の10Hz、110℃における貯蔵弾性率が6.0×10Pa以下である、請求項1に記載の熱成形用食品包装フィルム。
  3. 前記ガスバリア層の厚さ50μmにおける全ヘーズが12%以下である、請求項1または請求項2に記載の熱成形用食品包装フィルム。
  4. フィルムの厚さ100μmにおけるガス透過率が、10cc/m・24hr・atm未満である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱成形用食品包装フィルム。
  5. エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)とポリオレフィン系エラストマー(B)との組成比が(A)/(B)=71/29〜99/1である樹脂組成物を主成分としてなるガスバリア層を少なくとも1層有し、
    前記ポリオレフィン系エラストマー(B)がエチレン−メタクリル酸共重合体であり、
    さらに、ポリアミド層、ポリエステル層、アイオノマー層、ポリオレフィン層の内少なくとも1層を有する、熱成形用食品包装多層フィルム。
  6. 請求項5に記載の熱成形用食品包装多層フィルムであって、前記ポリオレフィン層、前記アイオノマー層、前記ガスバリア層、前記ポリエステル層の少なくとも4層を配する、熱成形用食品包装多層フィルム。
  7. 請求項5または請求項6のいずれかに記載の熱成形用食品包装多層フィルムであって、フィルム厚み100μmにおける、ガス透過率が10cc/m・24hr・atm未満であり、かつ、横方向(TD)の110℃での引張試験における、伸び500%の引張応力(STD)が、0.8MPa未満である、熱成形用食品包装多層フィルム。
  8. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱成形用食品包装フィルム、または、請求項5〜7のいずれか1項に記載の熱成形用食品包装多層フィルムを用いてなる、深絞り包装用フィルム。
  9. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱成形用食品包装フィルム、または、請求項5〜7のいずれか1項に記載の熱成形用食品包装多層フィルムを用いてなる、スキンパック用フィルム。
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