JP2020090697A - 高い耐摩耗性を有する高靭性の冷間工具鋼 - Google Patents

高い耐摩耗性を有する高靭性の冷間工具鋼 Download PDF

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Abstract

【課題】 硬さ、抗折強度の高い、高耐摩耗性かつ高靭性の冷間工具鋼を提供する。【解決手段】 質量%で、C:0.8〜0.9%、Si:0.4〜0.9%、Mn:0.3〜0.5%、Cr:3.0〜7.0%、Mo+W/2:2.2〜3.2%、V+Nb/2:0.4〜0.7%を有し、N:299ppm以下であって、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼とし、式Aの値および式Bの値を定め、炭化物の析出のしやすさをはかり、焼入焼戻し後の炭化物の種類と炭化物量の比率および鋼中の全炭化物の面積率を規定することで、最大硬さは≧63HRCで、靭性である抗折力が3500N/mm2以上で比摩耗量が2.0×10-8mm3/N・mm以下である耐摩耗性に優れた冷間工具鋼。【選択図】 なし

Description

本発明は、冷間金型、フォーミングロール、あるいは転造ダイスなどの、使用条件が特に過酷な冷間加工用として好適な、高硬度および高耐摩耗性を有する高靱性の冷間工具鋼に関する。
近年、冷間加工技術の発展に伴って、高硬度の被加工材を加工したり、被加工材のニア・ネット・シェイプ化が進み最終製品に近い形状を得ようとするので、冷間加工条件が過酷化してきている。冷間加工に用いられる金型には、例えばJIS SKD11が使われているが、硬さが60HRCまでしか得られないので、過酷化に伴って、金型表面の摩耗が生じやすく、金型寿命も短くなってくる。そのため、金型に使用される冷間工具鋼には、より高い耐摩耗性が求められている。
ところで、高い耐摩耗性を得るためには、金型自体の硬度が高く、また金型の中に晶出や析出している炭化物が多く存在することが必要である。特に、高硬度である62HRCを超える硬さの金型材料としては、例えば、JISで規定される高速度工具鋼であるSKH51のような、C、Mo、W、V、Co等の合金元素を多量に添加して、多量の硬質炭化物を析出させることで高硬度を得ている鋼が存在する。しかしながら、この鋼は粗大な一次炭化物が多く、靭性および疲労強度が低いだけでなく、金型の材料費が高くなる問題がある。
また、63HRC以上の硬さを持つ高靭性の冷間工具鋼として、例えば、成分範囲と、この鋼の焼入れ時の残留オーステナイトの安定性を表すRの値の範囲と、一次炭化物の量およびその分布の仕方を規定することで、63HRC以上の硬さを得ようとする高硬度高靭性冷間工具鋼が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この提案の鋼では、炭化物の種類については特定しておらず、合金成分の配合によっては63HRCを得る一方で不要な炭化物を多く析出させてしまって靭性の低下を招くことがあったので、高靱性を得るためには必ずしも十分とはいえなかった。
その他に、成分範囲の限定と、L=15.5C(%)+Cr(%)とするときに14≦L≦20であるLの値、介在物の清浄度、および、炭化物量を限定することで、55〜65HRCの硬さが得られ、かつ、靭性にも優れる精密加工用の工具鋼が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、この提案の鋼は、耐摩耗性に必要な炭化物量については規定がなく、高硬度が得られる場合であっても炭化物量が少なく、耐摩耗性が十分ではない問題がある。
特開2016−216753号公報 特開2006−328521号公報
上述した問題を解消するために、発明者は鋭意検討を進めた結果、合金の成分範囲、炭化物毎の析出のしやすさの評価式、焼入焼戻し後の炭化物面積率、炭化物中の特定種の炭化物の比率を適切に規定することで、高耐摩耗性を有する高靭性の鋼が得られることを見出した。
そこで、本願発明が解決しようとする課題は、合金の組成範囲と炭化物の析出物のしやすさに関する式の値を充たす範囲を適切に規定し、さらに焼入焼戻し後の炭化物面積率や炭化物毎の質量分率の比率を規定することで、硬さおよび抗折強度の高い、高耐摩耗性かつ高靭性の冷間工具鋼を提供することである。
上記の課題を解決するための手段における、第1の手段では、
質量%で、C:0.8〜0.9%、Si:0.4〜0.9%、Mn:0.3〜0.5%、Cr:3.0〜7.0%、Mo+W/2:2.2〜3.2%、V+Nb/2:0.4〜0.7%を有し、
式A=5.6C+1.3Si+1.1Crとするとき、式Aの値は8.8〜13.7で、
式B=11V−Cr−(Mo+Nb)とするとき、式Bの値は−5.6以上であり、
(ただし式A、Bにおける各化学成分は%における数値を代入した値である。)、
N:299ppm以下であって、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼であって、
この鋼の焼入焼戻し後の炭化物の面積率は10.0〜16.0%となり、
焼入焼戻し後の直径10μm以下の炭化物中に占める各炭化物の質量分率が、MC:6%以上、M6C:20%以上、M73+M236:65%以下であり、M73/M236の質量分率比:0.12以上となり、
1030℃で焼入れし500〜600℃で焼戻した後の最大硬さが63HRC以上となること、を特徴とする高い耐摩耗性を有する高靭性の冷間工具鋼である。
上記手段に記載の化学成分および焼入焼戻し後の各特性を有するものとすることで、本願の発明によると、この鋼を焼入焼戻し後の炭化物面積率は10.0〜16.0%で、1030℃で焼入れして500〜600℃で焼戻した後の最大硬さが63HRC以上であり、靭性である抗折力は3500N/mm2以上となり、耐摩耗性である比摩耗量は2.0×10-8mm3/(N・mm)より低いものであるなど、耐摩耗性に優れた高靭性の冷間工具鋼が得られる。
本発明の実施の形態について記載するに先立って、本発明の手段の冷間工具鋼の化学成分限定理由並びに焼入焼戻し後の10μm以下の炭化物に占める特定炭化物の質量分率、特定炭化物の析出し易さを表す式、焼入焼戻し後の炭化物面積率、焼入れ焼戻し後の最大硬さについての限定理由について、以下に説明する。なお、化学成分における%は質量%である。
C:0.8〜0.9%
Cは、硬質炭化物を形成し、鋼の硬さ、耐摩耗性を向上させるとともに、焼入性を高める元素である。しかし、Cが0.8%未満であると、これらの効果は得られない。一方、Cが0.9%より多いと、粗大な炭化物を形成して鋼の靭性および加工性を悪化する。そこで、Cは0.8〜0.9%とする。
Si:0.4〜0.9%
Siは、精錬時の脱酸剤として作用し、かつ基地の硬さを向上させるために必要な元素である。しかし、Siが0.4%未満であると、これらの効果は得られない。一方、Siが0.9%より多いと、得られた鋼の靭性および加工性が悪化する。そこで、Siは0.4〜0.9%とする。
Mn:0.3〜0.5%
Mnは、製錬時の脱酸剤として作用し、かつ鋼の焼入性を増進する元素である。しかし、Mnが0.3%未満であると、これらの効果は得られない。一方、Mnが0.5%より多いと、得られた鋼のマトリックスを脆化させるので、靭性が悪化する。そこで、Mnは0.3〜0.5%とする。
Cr:3.0〜7.0%、望ましくは3.5〜6.5%
Crは、硬質炭化物を形成し、硬さ、耐摩耗性を向上させるとともに、焼入性を高める元素である。しかし、Crが3.0%未満であると、これらの効果は得られない。一方、Crが7.0%より多いと、得られた鋼に粗大な炭化物を形成して、靭性および加工性を悪化する。そこで、Crは3.0〜7.0%とし、望ましくは3.5〜6.5%とする。
Mo+W/2:2.2〜3.2%
Mo+W/2は、硬質炭化物を形成し、硬さ、耐摩耗性を向上させるとともに、焼入性および焼戻し軟化抵抗性を高める元素である。しかし、Mo+W/2が2.2%未満であると、これらの効果は得られない。一方、Mo+W/2が3.2%より多いと、得られた鋼に粗大な炭化物を形成して、靭性および加工性を悪化する。そこで、Mo+W/2は2.2〜3.2%とする。
V+Nb/2:0.4〜0.7%
V+Nb/2は、硬質炭化物を形成し、硬さ、耐摩耗性および焼入性を向上させるとともに、焼入れ時の結晶粒の粗大化を抑制する効果があり、靭性の向上に寄与する元素である。しかし、V+Nb/2が0.4%未満であると、これらの効果は得られない。一方、V+Nb/2が0.7%より多いと、得られた鋼に粗大な炭窒化物を形成して、靭性および加工性を悪化する。そこで、V+Nb/2は0.4〜0.7%とする。
N:≦299ppm、望ましくは≦200ppm
Nは、窒化物を形成するために必要な元素であり、形成された窒化物が耐摩耗性を向上させるとともに、結晶粒の粗大化を防止して靭性の低下を抑制する効果を有する。その効果を得るためには、Nが299ppm以下とする必要がある。一方、Nが299ppmより多いとこれらの効果は得られず、粗大な窒化物を形成し靭性および加工性を悪化する。そこで、Nは299ppm以下、望ましくは200ppm以下とする。
5.6C+1.3Si+1.1Cr:8.8〜13.7(ただし、各元素成分部分には各成分元素の組成比を%で表記した数値を代入する。)
5.6C+1.3Si+1.1Crを式Aとする。この式Aは、M236の析出しやすさを表しており、この式Aの値が高くなる程、M236は析出しやすくなる。M236は、耐摩耗性の向上に寄与する。しかし、M236が析出することで、他の種類の炭化物を形成するために必要なC量が少なくなる結果、二次硬化に寄与する炭化物が析出しにくくなる。そのために、M236の析出を限定する必要がある。そこで、式Aの値を8.8〜13.7とする。
11V−Cr−(Mo+Nb):−5.6以上(ただし、各元素成分部分には各成分元素の組成比を%で表記した数値を代入する。)
11V−Cr−(Mo+Nb)を式Bとする。この式Bは、MCの析出しやすさを表す。ところで、このMCは微細な炭化物を形成しやすく、かつ二次硬化への寄与が特に大きい。これらの効果を得るために必要なMCを十分に形成させるためには、式Bの値を−5.6以上とする必要がある。そこで、式Bの値は−5.6以上とする。
焼入焼戻し後の炭化物面積率:10.0〜16.0%
十分な耐摩耗性を得るためには、焼入焼戻し後の炭化物面積率は10.0%以上が必要である。ただし、多すぎると靭性の低下を招くため、上限は16.0%とした。そこで、焼入焼戻し後の炭化物面積率は10.0〜16.0%とする。
焼入焼戻し後の直径10μm以下の炭化物中に占めるMC、M6C、M73、および、M236の炭化物の質量分率:MC≧6%、M6C≧20%、M73+M236≦65%、また炭化物同士の質量分率比がM73/M236≧0.12
MCおよびM6Cは、二次硬化を得るために必要な炭化物であり、必要な焼戻し硬さを得るためには、MCは6%以上、M6Cは20%以上の質量分率が必要である。M73+M236は、耐摩耗性を向上させる炭化物であるが、それらの量が多すぎると粗大化炭化物を形成しやすくなり、靭性や疲労強度の低下を招くだけでなく、他の炭化物を形成するために必要なC量が少なくなる結果、二次硬化に寄与する炭化物を析出しにくくなる。そのために、M236+M73の質量分率の上限を65%とした。また、M73は、二次硬化に寄与するとともに、M236が増えることで、粗大化炭化物になりやすいM236の析出を抑制するため、M73とM236の比であるM73/M236≧0.12とする。
1030℃で焼入れし、500〜600℃で焼戻した後の最大硬さ:≧63HRC
本発明は、高い耐摩耗性を得るために、1030℃で焼入れし、500〜600℃で焼戻した後の最大硬さの下限値を63HRCとする。
次いで、本発明の実施の形態を、以下の実施例を通じて説明する。
<工程>
本願の高い耐摩耗性かつ高靭性を有する冷間工具鋼工程について説明する。
先ず、表1の発明鋼No.1〜14と比較鋼No.15〜30に示した各化学成分と残部Feおよび不可避不純物とからなるNo.1〜30の各材料を、それぞれ100kgを真空誘導溶解炉にて溶製し、各発明鋼No及び比較鋼No.の得られた鋼をそれぞれ角50mmの棒鋼に鍛伸した。次いで、これらの棒鋼を1030℃に加熱し、この温度から空冷して焼入れした後、500〜600℃に加熱した後に空冷する焼戻し処理を少なくとも2回行なった。なお、表1には、発明鋼および比較鋼の合金成分である化学成分と、式A=5.6C+1.3Si+1.1Crの値と式B−11V−Cr−Moの値をそれぞれ示している。
Figure 2020090697
上記の工程で得られた焼戻し処理した各鋼の供試材について、硬さを評価して表2に示した。この硬さの評価は、500〜600℃の焼戻し処理温度の範囲で、最も高い硬さによって行ない、表2において、硬さが63HRC以上のときは○と示し、63HRC以下のときは×として示した。
靭性である抗折力の評価は、上記の焼入焼戻し後の供試材からなる試料を用いて、中心部から4mm×8mm角で40mm長さの板状試験片を割出し、GL=20mmとして抗折力すなわち抗折強度の測定を行った。
63HRC以上の硬さが得られる鋼種であるJIS鋼種のSKH51は、焼戻し硬さが63HRCのとき3000N/mm2の抗折力の靭性を有する。こうしたSKH51鋼を基準に、より抗折力の高い3500N/mm2以上の抗折力が得られていれば靱性に優れているといえるので、表2においては3500N/mm2以上の抗折力が得られていれば○と評して示した。
一方、3500N/mm2未満と抗折力が低ければ悪いものとし、表2においては×として示した。
炭化物面積率は、前記の各鋼材の焼入焼戻し試料を用いて、中心部から15mm×15mm×15mmLの試験片を割出し、ナイタールにより腐食し、光学顕微鏡の100倍の視野で3箇所ランダムに撮影し、画像解析装置を使用してその画像からそれぞれ0.5mm2視野内の炭化物面積率を測定し、その平均を求め、得られた値を表2に示した。
各炭化物の質量分率:前記の各鋼材の焼入焼戻し後の試料を用いて、中心部から15mm×15mm×15mmLの試験片を割出し、その割出した試験片から電解抽出により炭化物のみを取り出してフィルターを通して10μm以下の炭化物を分離した。その分離した炭化物をX線回折による回折パターンを測定して、各炭化物のピーク強度比を求めた。その強度比をMC、M6C、M73+M236といった各炭化物の質量分率とし、表2に質量分率および質量分率比を示した。
耐摩耗性は、上記の焼入焼戻し後の試料を用い、中心部から7mm×25mm角で50mm長さの試験片を割出し、大越式摩耗試験により比摩耗量を測定した。大越式摩耗試験機のリングにはSCM420(硬さ86HRB)を用いた。摩耗速度は2.4m/sec、摩耗距離は200m、最終荷重は61.8Nとした。JIS鋼種であるSKD11は、焼戻し硬さが60HRCのとき、比摩耗量が2.5×10-8mm3/(N・mm)である。そこで、SKD11より比摩耗量の少ない2.0×10-8mm3/(N・mm)を基準とし、表2で、比摩耗量が、2.0×10-8mm3/(N・mm)以下であれば、比摩耗量が○であって、耐摩耗性が良いとし、比摩耗量が、2.0×10-8mm3/(N・mm)を超えておれば、比摩耗量が×で、耐摩耗性が悪いと評価して表2に示した。
Figure 2020090697
以上、表1および表2に見られるように、本願の発明鋼であるNo.1〜14は、式Aの値、式Bの値、MC、M6C、M73+M236の炭化物の質量分率の特性、M73/M236の炭化物の比の特性、焼入焼戻し後の鋼中の全炭化物の面積率の特性において、いずれも優れている。さらに、500〜600℃の焼戻し処理温度における最大硬さが63HRC以上であり、靭性である抗折力が3500N/mm2を超えており、かつ耐摩耗性を示す比摩耗量が2.0×10-8mm3/(N・mm)以下であるので、本願の発明鋼であるNo.1〜14は、これらの点において、いずれも優れており○である。
以上の本願のNo.1〜14の発明鋼に対し、比較鋼のNo.15〜30については、以下に順次説明する。すなわち、表1および表2に見られるように、No.15は、Cが0.6%と発明鋼の最小値の0.8%より少ないため、硬さは63HRCより低く×であり、耐摩耗性を示す比摩耗量は2.0×10-8mm3/(N・mm)よりも大きいので、耐摩耗性は悪く×である。
No.16は、Cが1.0%と発明鋼の最大値の0.9%より多く、M6Cの炭化物質量分率が11%と発明鋼の20%以上より少なく、さらにM236+M73の炭化物質量分率が72%と発明鋼の65%より多いため、硬さは63HRCより低く、靭性である抗折力は3500N/mm2以下であるので×であり、耐摩耗性を示す比摩耗量は2.0×10-8mm3/(N・mm)よりも大きいので、耐摩耗性は悪く×である。
No.17は、Siが0.2%と発明鋼の最小値の0.8%より少なく、鋼中の全炭化物の面積率が9%と発明鋼の最小値の10%少ないため、硬さは63HRCより低く、耐摩耗性を示す比摩耗量は2.0×10-8mm3/(N・mm)よりも大きいので、耐摩耗性は悪く×である。
No.18は、Siが1.5%と発明鋼の最大値の0.9%より多く、靭性である抗折力は3500N/mm2以下と低いので×である。
No.19は、Mnが1.0%と発明鋼の最大値の0.5%より多く、靭性である抗折力は3500N/mm2以下と低いので×である。
No.20は、Crが1.8%と発明鋼の最小値の3.0%より少なく、炭化物質量分率比であるM73/M236の値も、M73が析出していないので、0.00と低く、発明鋼の炭化物質量分率比の0.12より低いので、硬さは63HRCより低く×であり、耐摩耗性を示す比摩耗量は2.0×10-8mm3/(N・mm)よりも大きいので、耐摩耗性は悪く×である。
No.21は、Crが10.0%と発明鋼の最大値の7.0%より多く、式Aの値は17.1と発明鋼の最大値の12.7より高く、式Bの値は−7.7と発明鋼の最大値の−5.6より低いため、炭化物面積率のMCは0%と発明鋼の6%より少なく、炭化物質量分率のM73+M236は80%と発明鋼の65%より多いため、硬さは63HRCより低く×であり、靭性である抗折力は3500N/mm2以下であるので×であり、耐摩耗性を示す比摩耗量は2.0×10-8mm3/(N・mm)よりも大きいので、耐摩耗性は悪く×である。
No.22は、Mo+W/2が1.5%と発明鋼の最小値の2.2%より少なく、炭化物面積率のM6Cが18%と発明鋼の20%より少ないため、硬さは63HRCより低く×であり、耐摩耗性を示す比摩耗量は2.0×10-8mm3/(N・mm)よりも大きいので、耐摩耗性は悪く×である。
No.23は、Mo+W/2が4.0%と発明鋼の最大値の3.3%より多いため、靭性である抗折力は3500N/mm2以下であるので×である。
No.24は、V+Nb/2が0.2%と発明鋼の最小値の0.4%より少ないため、硬さは63HRCより低いので×であり、耐摩耗性を示す比摩耗量は2.0×10-8mm3/(N・mm)よりも大きいので、耐摩耗性は悪く×である。
No.25は、V+Nb/2が1.0%と発明鋼の最大値の0.7%より多いため、炭化物面積率のM6Cが17%と発明鋼の20%より少ないため、硬さは63HRCより低く×であり、靭性である抗折力が3500N/mm2以下であるので×であり、耐摩耗性を示す比摩耗量は2.0×10-8mm3/(N・mm)よりも大きいので、耐摩耗性は悪く×である。
No.26は、Nが500ppmと発明鋼の最大値の299ppmより多く、また鋼中の全炭化物の面積率が18%と発明鋼の最大値の16%よりも高いため、靭性である抗折力は3500N/mm2/(N・mm)以下であるので×である。
No.27は、式Aの値が8.7と発明鋼の−5.6より低いため、炭化物質量分率比であるM73/M236の値も、M73が析出していないので、0.00と低く、発明鋼の炭化物質量分率比の0.12より低いので、硬さは63HRCより低く×であり、耐摩耗性を示す比摩耗量は2.0×10-8mm3/(N・mm)よりも大きいので、耐摩耗性は悪く×である。
No.28は、式Aの値が13.4と発明鋼の最大値の12.7より高く、かつ、式Bの値が−5.9と発明鋼の−5.6より低く、炭化物質量分率のMCは5%と発明鋼の6%より少ないため、硬さは63HRCより低く×であり、耐摩耗性を示す比摩耗量は2.0×10-8mm3/(N・mm)よりも大きいので、耐摩耗性は悪く×である。
No.29は、式Aの値が13.8と発明鋼の最大値の12.7より高く、炭化物質量分率のM236+M73が66%と発明鋼の65%より多いため、硬さは63HRCより低く×であり、耐摩耗性を示す比摩耗量は2.0×10-8mm3/(N・mm)よりも大きいので、耐摩耗性は悪く×である。
No.30は、式Aの値が13.9と発明鋼の最大値の12.7より高いため鋼中の全炭化物の面積率は17%と発明鋼の最大値の16%よりも高く、硬さは63HRCより低く×であり、靭性である抗折力は3500N/mm2以下であるので×であり、耐摩耗性を示す比摩耗量は2.0×10-8mm3よりも大きいので、耐摩耗性は悪く×である。

Claims (1)

  1. 質量%で、C:0.8〜0.9%、Si:0.4〜0.9%、Mn:0.3〜0.5%、Cr:3.0〜7.0%、Mo+W/2:2.2〜3.2%、V+Nb/2:0.4〜0.7%を有し、
    式A=5.6C+1.3Si+1.1Crとするとき、式Aの値は8.8〜13.7で、
    式B=11V−Cr−(Mo+Nb)とするとき、式Bの値は−5.6以上であり、
    (ただし式A、Bにおける各化学成分は%における数値を代入した値である。)、
    N:299ppm以下であって、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼であって、
    この鋼の焼入焼戻し後の炭化物の面積率は10.0〜16.0%となり、
    焼入焼戻し後の直径10μm以下の炭化物中に占める各炭化物の質量分率が、MC:6%以上、M6C:20%以上、M73+M236:65%以下であり、M73/M236の質量分率比:0.12以上となり、
    1030℃で焼入れし500〜600℃で焼戻しした後の最大硬さが63HRC以上となること、
    を特徴とする高い耐摩耗性を有する高靭性の冷間工具鋼。
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