JP2020089957A - ワーク加工動作の制御装置 - Google Patents

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Norikichi Sawada
法吉 澤田
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Abstract

【課題】工具によるワークの加工が進むにつれてワークの固有振動数が変化しても、びびり現象による異常振動の発生を抑制する。【解決手段】ワークWの試し加工の際に、切削加工中におけるワークWの振動音の音圧レベルをマイクロフォン13により測定する。そして、ワークWの試し加工後に、信号分析装置17のコンピュータが、測定したワークWの振動音の音圧レベルから、ワークWの切削加工中におけるワークWの振動の時間変動y2(ω)を求め、求めたワークWの振動の時間変動y2(ω)から、切削加工中に周波数が変動するワークWの固有振動数を推定する。そして、以後のワークWを切削加工する際に、信号分析装置17のコンピュータが、切削加工によって周波数が変動しないワークWの固定振動周波数がワークWの固有振動数と一致しない周波数となるように、ワークWの回転速度を決定し制御する。【選択図】図1

Description

本開示は、工具によってワークを加工する際の加工動作を制御する装置に関するものである。
工具を用いてワークを加工する際に、びびり振動による異常振動が生じると、工具の損傷を招いたり、ワークの加工精度不良を招いたりする原因となる。また、ワークが異常振動すると、面粗さの低下を招く原因となる。
ワークのびびり振動は、加工中において工具から加わる力の変動とワークの振動特性との相互作用で生じることがある。即ち、工具から加わる力の変動周波数がワークの固有振動数に一致すると、共振によりワークのびびり振動が発生する。
びびり振動の発生を抑制する提案は従来から既に存在している。その一例として、工具のびびり振動の発生を抑制する提案がある。
この提案では、びびり振動の発生を抑制する必要のある工具の使用時に、その工具の刃数及び指令回転速度に対応して、所定の振幅及び周期で工具の回転速度を変動させるか、あるいは、所定の安定回転速度に工具の回転速度を変更する。
また、この提案では、指令回転速度に対応する安定回転速度が決まっていない場合、センサで測定した工具の振動周波数の時間分布を高速フーリエ変換(FFT)して、工具の振動加速度の最大値とその振動の周波数(びびり周波数)とを求める。そして、工具の振動加速度の最大値が閾値を超えたら、工具にびびり振動が発生していると判断する。
工具にびびり振動が発生したと判断したら、センサの出力から求めたびびり周波数と工具の刃数とから、工具の振動周波数がびびり周波数からずれる工具の安定回転数を求め、その安定回転数に工具の回転速度を制御する(以上、例えば特許文献1)。
特許第5631758号公報
上述した提案は、回転させた工具によりワークを加工する際の工具のびびり振動の発生を抑制するものである。この提案の考え方は、ワークを回転させて工具によりワークを加工する際のワークのびびり振動の発生を抑制する場合にも応用できる。
その場合は、ワークの振動周波数をセンサで測定し、測定した振動周波数からワークのびびり周波数を求め、求めたびびり周波数からずれるようにワークの回転速度を安定回転数に制御すればよい。但し、ワークのびびり周波数が加工中に変化しないことが前提となる。
ところが、ワークの固有振動数(上述したびびり周波数)は、ワークの加工が進んでワークの体積が変わるのに伴って変化する。ワークの固有振動数の変化は、例えば、加工によって変化するワークの肉厚が薄い程顕著となる。
このため、上述した提案を応用してワークの回転速度を制御すると、ワークの回転速度を安定回転数に制御したとしても、ワークの加工が進むにつれてワークの振動周波数が固有振動数と一致してワークが共振する場合があると想定される。
本開示は前記事情に鑑みなされたもので、本開示の目的は、工具によるワークの加工が進むにつれてワークの固有振動数が変化しても、びびり振動による異常振動の発生を抑制することができるワーク加工動作の制御装置を提供することにある。
ところで、工具によりワークを加工する分野では、近年、特に部品の軽量化や耐熱性の向上の要求から、64チタン(Ti−6Al−4V)、ニッケル基超合金等の超耐熱合金の利用が進んでいる。この種の超耐熱合金は、一部のステンレス鋼と共に難削材と呼ばれることがある。難削材のワークを切削加工すると、鋸歯状の切りくずが発生する。
鋸歯状の切りくずは、せん断面のすべりが周期的に起こることで発生する。そして、せん断面のすべりが発生する度に、切りくずに蓄積された応力が解放される。このため、難削材のワークを切削工具で切削加工すると、切削工具によるワークの切削力が、切りくずの応力が解放される度に周期的に変動する。この切削力の変動により、難削材のワークに振動が発生する。
したがって、例えば工具で切削加工するワークが固有振動数で振動するのを抑制できれば、今後利用が進む超耐熱合金等の難削材の切削加工を普及させる上でも非常に有用である。
そこで、上記目的を達成するため、本開示の第1の態様によるワーク加工動作の制御装置は、
工具によるワークの加工中に測定された前記ワークの振動に対応して変化する前記工具又は前記ワークの物理量の解析結果から、前記ワークの加工中における固有振動数を推定する推定部と、
前記工具による前記ワークの加工条件を、前記ワークに加わる力により前記推定部が推定した前記固有振動数と一致しない周波数の振動を前記ワークに発生させる条件内容に制御する制御部と、
を備える。
本開示の第1の態様によるワーク加工動作の制御装置によれば、工具によるワークの加工中にワークが振動する。加工中のワークの振動には、工具から加わる力による振動と、ワークの固有振動数による振動とが含まれている。ここで、工具からワークに加わる力は、ワークの加工条件を変えない限り一定であるのに対し、ワークの固有振動数は、加工が進んでワークの形状、体積が変わるのに伴って変化する。
したがって、加工の進展と関係なく周波数が一定である工具から加わる力によるワークの振動と、加工の進展に応じて周波数が変化する固有振動数によるワークの振動とは、区別することができる。このため、加工中に測定されたワークの振動に対応する物理量を解析すると、固有振動数によるワークの振動を推定することができる。
そこで、推定したワークの固有振動数と一致しない周波数の振動をワークに発生させる条件内容に、工具によるワークの加工条件を制御すれば、工具による加工によりワークに生じる振動がワークの固有振動数と一致しなくなる。
このような条件でワークが加工されるようにワークの加工動作を制御することで、工具によるワークの加工が進むにつれてワークの固有振動数が変化しても、びびり振動によるワークの異常振動の発生を抑制することができる。
なお、本開示の第2の態様によるワーク加工動作の制御装置のように、本開示の第1の態様によるワーク加工動作の制御装置において、前記物理量を前記工具による前記ワークの加工中に測定するワーク測定部をさらに備え、前記推定部は、前記ワーク測定部が測定した前記物理量を解析し、該物理量の解析結果から、前記ワークの加工中における固有振動数を推定する構成としてもよい。
そして、上述した本開示の第2の態様によるワーク加工動作の制御装置は、例えば、
工具によるワークの加工中に該ワークの振動に対応して変化する物理量を測定するワーク測定ステップと、
前記ワーク測定ステップで測定した前記物理量の解析結果から、前記ワークの加工中における固有振動数を推定する推定ステップと、
前記工具による前記ワークの加工条件を、前記ワークに加わる力により前記推定ステップにおいて推定した前記固有振動数と一致しない周波数の振動を前記ワークに発生させる条件内容に制御する制御ステップと、
を含んでいるワーク加工動作の制御方法を実行する装置によって、実現することができる。
また、上述したワーク加工動作の制御方法は、例えば、コンピュータに上記各ステップを実行させるためのプログラムを用いることで、実施することができる。具体的には、例えば、上述したプログラムを記録した記録媒体をコンピュータに読み取らせて、上述した各ステップをコンピュータに実行させることで、上述したワーク加工動作の制御方法を実施することができる。
さらに、本開示の第2の態様によるワーク加工動作の制御装置における前記ワーク測定部は、例えば、本開示の第3の態様によるワーク加工動作の制御装置のように、前記ワークの振動を非接触で検出するセンサを有している構成としてもよい。
また、本開示の第4の態様によるワーク加工動作の制御装置は、本開示の第1、第2又は第3の態様によるワーク加工動作の制御装置において、前記工具は、回転中の前記ワークを切削加工する切削工具であり、前記制御部は、前記切削工具による前記ワークの切削加工によって該ワークに発生する振動の周波数を、前記推定部が推定した前記固有振動数以外の周波数とする速度に、前記ワークの回転速度を制御する。
本開示の第4の態様によるワーク加工動作の制御装置によれば、本開示の第1、第2又は第3の態様によるワーク加工動作の制御装置において、切削工具が回転中のワークを切削加工することで生じる切りくずには、切削工具から加わる力によって応力が蓄積される。切りくずに蓄積された応力が切りくずの強度の限界まで上昇すると、切削工具の接触部分において切りくずがせん断を起こし、切りくずに蓄積された応力が解放される。
切りくずの応力が解放されると、切りくずに蓄積された応力が減少して切りくずの強度の限界を下回る。すると、せん断後のワークの切削により生じた切りくずが、せん断前のワークの切削により生じた切りくずの後に続いて、鋸歯状の切りくずが発生する。以後、ワークを切削加工している間に生じる切りくずがせん断を断続的に起こして、鋸歯状の切りくずが発生し続ける。
このようにしてワークの切削加工中に鋸歯状の切りくずが発生し続けると、切削工具からワークに加わる力は、切削の進行に伴う増加とせん断の発生による減少とを繰り返す。したがって、切削加工中のワークは、増減を繰り返す切削工具からの力によって加振される。
このため、切削工具からの加振力によって、推定したワークの固有振動数と一致しない周波数でワークが加振されるように、切削工具によるワークの切削加工の加工条件を切削加工中に制御する。
ここで、ワークの切削加工の加工条件は、切削工具によるワークの切り込み深さとワークの回転速度とに依存して変化する。
このうち、ワークの切り込み深さを切削加工中に変更すると、切り込み深さの変更時点を境に切削加工後のワークの表面位置に段差が生じ、切削加工後のワークの形状が切り込み深さの変更前後で異なってしまう。このため、ワークの切り込み深さの変更によってワークの切削加工の加工条件を切削加工中に制御することは、あまり現実的でない。
一方、ワークの回転速度を切削加工中に変更しても、切削工具によるワークの切削加工の加工速度が変わるだけで、切削加工後のワークの形状は切り込み深さの変更前後を通じて変化しない。このため、ワークの回転速度の変更によってワークの切削加工の加工条件を切削加工中に制御することは、ワークの切り込み深さの変更によってワークの切削加工の加工条件を切削加工中に制御することよりも、遙かに現実的である。
なお、切りくずの厚みは、ワークの一回転当たりの切削工具のワーク回転中心側への送り量を同じ長さに揃えることで、一定に保つことができる。
そして、推定したワークの固有振動数と一致しない周波数の振動をワークに発生させる速度にワークの回転速度を制御すれば、切削工具による切削加工によってワークに生じる振動がワークの固有振動数と一致する周波数となることはない。
そこで、ワークの切削加工中を通じてワークの固有振動数と一致しない周波数でワークが加振されるように、切削工具によるワークの切削加工の加工速度を制御する。即ち、ワークの回転速度を制御する。これにより、切削加工が進むにつれてワークの固有振動数が変化しても、びびり振動によるワークの異常振動の発生を抑制することができる。
さらに、本開示の第5の態様によるワーク加工動作の制御装置は、本開示の第4の態様によるワーク加工動作の制御装置において、前記物理量の解析結果から、前記切削工具から前記ワークに加わる力に対応し切削加工中に周波数が変化しない前記ワークの固定振動周波数を特定する特定部をさらに備え、前記制御部は、前記特定部が特定した前記固定振動周波数を前記推定部が推定した前記固有振動数以外の周波数とする速度に、前記ワークの回転速度を制御する。
本開示の第5の態様によるワーク加工動作の制御装置によれば、本開示の第4の態様によるワーク加工動作の制御装置において、切削工具によりワークを切削加工すると、切削工具からワークに加わる力によってワークが加振される。
このとき、切削工具からワークに加わる力は、切削加工によってワークの形状、体積が変わっても、それに依存して変化することはない。そこで、ワークの切削加工中に測定されたワークの振動に対応して変化する物理量の解析結果から、切削加工中に変化しないワークの振動周波数を抽出することで、ワークの固定振動周波数を特定することができる。
そして、ワークの切削加工中を通じて、ワークの固有振動数と一致しない固定振動周波数が常に特定されるように、推定されるワークの固有振動数の変化に合わせてワークの回転速度を制御する。これにより、切削加工が進むにつれてワークの固有振動数が変化しても、びびり振動によるワークの異常振動の発生を抑制することができる。
また、本開示の第6の態様によるワーク加工動作の制御装置は、本開示の第4の態様によるワーク加工動作の制御装置において、前記切削工具による切削加工中に発生する前記ワークの鋸歯状の切りくずの発生周期から特定された、前記ワークの加工中に周波数が変化しない前記ワークの固定振動周波数を保持する保持部をさらに備え、前記制御部は、前記保持部が保持する前記固定振動周波数を前記推定部が推定した前記固有振動数以外の周波数とする速度に、前記ワークの回転速度を制御する。
本開示の第6の態様によるワーク加工動作の制御装置によれば、本開示の第4の態様によるワーク加工動作の制御装置において、切削工具の切削加工でワークに鋸歯状の切りくずが発生する場合、ワークは鋸歯状の切りくずの発生周期で加振される。
このとき、ワークの鋸歯状の切りくずが発生する周期は、ワークの切削加工の加工条件に対応する周期となる。そこで、ワークの鋸歯状の切りくずの発生周期から、切削工具からワークに加わる力で振動するワークの固定振動周波数を特定することができる。
そして、ワークの切削加工中を通じてワークの固有振動数の周期と一致しない周期でワークが切削工具からワークに加わる力により加振されるように、ワークの回転速度を制御する。これにより、切削加工が進むにつれてワークの固有振動数が変化しても、びびり振動によるワークの異常振動の発生を抑制することができる。
なお、本開示の第7の態様によるワーク加工動作の制御装置のように、本開示の第1、第2又は第3の態様によるワーク加工動作の制御装置において、前記ワークの加工中に前記工具の振動に対応して変化する物理量を測定する工具測定部と、前記工具測定部が測定した前記物理量を解析し、該物理量の解析結果から、前記工具から前記ワークに加わる力に対応し加工中に周波数が変化しない前記ワークの固定振動周波数を特定する特定部をさらに備え、前記制御部は、前記特定部が特定した前記固定振動周波数を前記推定部が推定した前記固有振動数以外の周波数とする速度に、前記ワークの回転速度を制御する構成としてもよい。
そして、上述した本開示の第7の態様によるワーク加工動作の制御装置は、例えば、
工具によるワークの加工中に前記工具の振動に対応して変化する物理量を測定する工具測定ステップと、
前記工具による前記ワークの加工中に該ワークの振動に対応して変化する物理量を測定するワーク測定ステップと、
前記工具測定ステップで測定した前記物理量の解析結果から、前記工具から前記ワークに加わる力に対応し加工中に周波数が変化しない前記ワークの固定振動周波数を特定する特定ステップと、
前記ワーク測定ステップで測定した前記物理量の解析結果から、前記ワークの加工中における固有振動数を推定する推定ステップと、
前記工具による前記ワークの加工条件を、前記ワークに加わる力により前記推定部が推定した前記固有振動数と一致しない周波数の振動を前記ワークに発生させる条件内容に制御する制御ステップと、
を含んでいるワーク加工動作の制御方法を実行する装置によって、実現することができる。
また、上述したワーク加工動作の制御方法は、例えば、コンピュータに上記各ステップを実行させるためのプログラムを用いることで、実施することができる。具体的には、例えば、上述したプログラムを記録した記録媒体をコンピュータに読み取らせて、上述した各ステップをコンピュータに実行させることで、上述したワーク加工動作の制御方法を実施することができる。
さらに、本開示の第8の態様によるワーク加工動作の制御装置は、本開示の第1、第2又は第3の態様によるワーク加工動作の制御装置において、前記工具は、前記ワークを転削加工する転削工具であり、前記制御部は、前記転削工具の回転刃による前記ワークの周期的な転削加工によって該ワークに発生する振動の周波数を、前記推定部が推定した前記固有振動数以外の周波数とする速度に、前記転削工具の回転速度を制御する。
本開示の第8の態様によるワーク加工動作の制御装置によれば、本開示の第1、第2又は第3の態様によるワーク加工動作の制御装置において、ワークを転削工具で転削加工する際に、回転する転削工具の転削刃がワークに断続的に接触する。したがって、転削加工中のワークは、断続的に接触する転削工具の転削刃から受ける力によって加振される。
このため、転削工具からワークに加わる力によって、推定したワークの固有振動数と一致しない周波数でワークが加振されるように、転削工具によるワークの転削加工の加工条件、即ち、転削工具の回転速度を制御する。
そして、推定したワークの固有振動数と一致しない周波数の振動をワークに発生させる速度に、転削工具によるワークの転削加工速度を制御すれば、転削工具による転削加工によってワークに生じる振動がワークの固有振動数と一致しなくなる。
そこで、ワークの転削加工中を通じてワークの固有振動数と一致しない周波数でワークが加振されるように、転削工具によるワークの転削加工の加工速度を制御する。即ち、転削工具の回転速度を制御する。これにより、転削加工が進むにつれてワークの固有振動数が変化しても、びびり振動によるワークの異常振動の発生を抑制することができる。
本開示によれば、工具によるワークの加工が進むにつれてワークの固有振動数が変化しても、びびり振動による異常振動の発生を抑制することができる。
本開示の第1実施形態に係るワーク加工動作の制御装置の概略構成を示す説明図である。 (a)は図1のワークの表面を切削工具の刃先が切削する様子を拡大して示す説明図、(b)は(a)の刃先からワークに加わる切削力を示すグラフ、(c)は図1の切削工具の刃先により切削されたワークの表面の切りくずが断続的なせん断力の発生により鋸歯状となる様子を拡大して示す説明図、(d)は(c)の鋸歯状の切りくずが発生する際に刃先からワークに加わる切削力を示すグラフである。 図1の信号分析装置のコンピュータのCPUがROMに格納されたプログラムを実行することで実行する処理を示すフローチャートである。 図1のマイクロフォンによりワークの切削加工中に測定したワークの振動音を高速フーリエ変換により解析して求めたワークの振動音圧の経時変化をワークの周波数毎に示すグラフである。 切削加工を開始する前の打撃試験により得られた図1のワークの振動特性と切削加工の開始直後に測定したワークの加工音をフーリエ変換した加工音圧とを周波数毎に示すグラフである。 本開示の第2実施形態に係るワーク加工動作の制御装置の概略構成を示す説明図である。 図6の信号分析装置のコンピュータのCPUがROMに格納されたプログラムを実行することで実行する処理を示すフローチャートである。 図6の加速度センサによりワークの切削加工中に測定した切削工具の振動加速度を高速フーリエ変換により解析して求めた切削工具の振動の経時変化を切削金具の振動周波数毎に示すグラフである。 本開示の第3実施形態に係るワーク加工動作の制御装置の概略構成を示す説明図である。 (a)は図9のワーク加工動作の制御装置におけるワークの加工の際にワークに加振力を加えるエンドミルの部分を抽出して示す説明図、(b)は(a)のエンドミルの回転刃によるワークの転削部分を拡大して示す説明図である。
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本開示の第1実施形態に係るワーク加工動作の制御装置の概略構成を示す説明図である。
図1に示す第1実施形態のワーク加工動作の制御装置(以下、「加工動作制御装置」と略記する。)10は、例えばバイト等の切削工具1(請求項中の工具に相当)により表面が切削加工されるワークWを載せた回転テーブル5の回転速度を制御する。
回転させたワークWの表面を切削工具1で切削加工すると、切削工具1の刃先3からワークWに切削力が加わる。この切削力により、ワークWには振動が発生する。
ここで、切削加工中に切削工具1の刃先3からワークWに加わる切削力について、図2(a)〜(d)を参照して説明する。
まず、切削工具1によりワークWの表面を切削加工する際には、ワークWを載せた回転テーブル5が定速で回転され、切削工具1が徐々に回転中心C(図1参照)側に移動される。そして、切削工具1の刃先3によりワークWの表面が外周側から切削される。刃先3によりワークWが切削されると、図2(a)の説明図に示すように、切削されたワークWの切りくずW1が刃先3に乗り上げて、ワークWの表面からめくれ上がる。
なお、切りくずW1が刃先3から受ける切削力F(請求項中の工具から(ワークが)受ける力に相当)は、図2(b)のグラフに示すように、切削工具1の刃先3がワークWに食いついてから切削加工の初期段階では徐々に増加する。そして、切りくずW1の厚みが一定になるまで切削加工が推移した後の切削力Fは、一定の値を維持する。
刃先3に乗り上げたワークWの切りくずW1は、刃先3から受ける切削力Fにより円弧状に塑性変形する。この塑性変形により切りくずW1は、内部に応力を蓄積した状態となる。そして、塑性変形した切りくずW1の、図2(a)に示す直線S1の部分に生じる応力は、ワークWの切削が進むにつれて増加する。なお、切削力Fが一定になるまで切削加工が進むと、切りくずW1の直線S1の部分に生じる応力も一定となる。
切りくずW1の直線S1の部分に生じた応力が切りくずW1の強度の限界まで増加すると、塑性変形した切りくずW1の刃先3が接触する根元の部分において、図2(a)に示す直線S1に沿ったせん断が起こる。このせん断により、切りくずW1に蓄積された応力が解放される。
切りくずW1の応力が解放されると、切りくずW1に蓄積された応力が減少して切りくずW1の強度の限界を下回る。すると、せん断変形は一度収まる。さらに切削加工を進めるとせん断面に応力が溜まり始め、やがて、図2(c)の説明図に示すように、せん断前のワークWの切削により生じた切りくずW1に続いて、せん断後のワークWの切削により生じた切りくずW2が発生する。これにより、切りくずW1,W2が鋸歯状となる。
なお、ワークWの切削加工中に、切りくずW2の内部応力が切りくずW2の強度の限界まで増加すると、刃先3が接触する切りくずW2の根元の部分において、直線S2に沿ったせん断が起こる。
切りくずW2にせん断が発生すると、切りくずW2に蓄積された応力が解放されて減少し、切りくずW2の強度の限界を下回る。すると、せん断変形は一度収まる。さらに切削加工を進めるとせん断面に応力が溜まり始め、やがて、せん断前のワークWの切削により生じた切りくずW2に続いて、せん断後のワークWの切削により生じた切りくずW3が発生する。これにより、鋸歯状の切りくずW1,W2に続いて、切りくずW3が鋸歯状で形成される。
このように、ワークWの切削加工中には鋸歯状の切りくずW1,W2,W3,…が発生する。そして、ワークWの切削加工中にワークWが刃先3から受ける切削力Fは、図2(d)のグラフに示すように、切りくずW1,W2,W3,…の内部に蓄積された応力がせん断により解放される度に減少する。つまり、切削加工中のワークWが切削工具1から受ける切削力Fは、周期的に増減する。
なお、ワークWの切削加工中における切削力Fの増減周期は、ワークWの切削加工条件が変わらない限り一定である。そして、切削力Fの増減周期は、切削工具1によるワークWの表面の切削厚さが増えるほど長くなる。その理由は、ワークWの切削厚さが増えるほど切りくずW1,W2,W3,…の強度が増し、内部に蓄積された応力で切りくずW1,W2,W3,…にせん断が起こる周期が長くなるからである。
以上に説明したように、切削工具1により切削加工されるワークWは、切削力Fの周期的な増減周期に対応する固定振動周波数で振動する。この固定振動周波数が、ワークWの固有振動数と一致すると、びびり振動が発生してワークWが固有振動数で異常振動する。
ワークWの固有振動数は、ワークWの振動特性によって決まる。ワークWの振動特性は、切削工具1による切削加工が進んでワークWの形状(体積)が変わると変化する。このため、ワークWの固有振動数は、ワークWの切削加工が進むにつれて変化する。したがって、切削工具1によるワークWの切削加工中を通じて、切削力FによるワークWの固定振動周波数をワークの固有振動数と一致させないようにすることが肝要となる。
そこで、図1に示す第1実施形態の加工動作制御装置10では、切削工具1による切削加工中のワークWを載せた回転テーブル5の回転速度を、切削力Fにより振動するワークWの固定振動周波数がワークの固有振動数と一致しないように制御する。
そのために、加工動作制御装置10では、切削工具1による切削力Fを受けたワークWの切削加工中における振動を測定し、測定した振動を解析する。そして、測定した振動の解析結果から、切削加工中に変動するワークWの固有振動数を推定する。
さらに、加工動作制御装置10では、測定したワークWの振動の解析結果から特定されるワークWの固定振動周波数が、推定したワークWの固有振動数と一致しない周波数となるような、ワークWを載せた回転テーブル5の回転速度を決定する。そして、決定した回転速度で回転テーブル5が回転するように、回転テーブル5を回転させるモータ7の回転速度を制御する。
以上の動作を行うために、加工動作制御装置10は、切削加工中におけるワークWの振動を測定し解析して、ワークWの回転速度を制御する要素として、マイクロフォン13、変位センサ15及び信号分析装置17を有している。
マイクロフォン13(請求項中のワーク測定部、センサに相当)は、刃先3から切削力Fを受けたワークWの振動音を測定する。変位センサ15(請求項中のワーク測定部、センサに相当)は、刃先3から切削力Fを受けたワークWの振動による変位を測定する。
信号分析装置17(請求項中の推定部、特定部、制御部に相当)は、例えば、CPU、RAM、ROM及びハードディスク等の外部記憶装置を有するコンピュータによって構成してもよい。その場合、RAMは、CPUがROMに格納されたプログラムを実行する際の作業エリア等として利用される。また、信号分析装置17の一部を、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)によって構成してもよい。本実施形態では、信号分析装置17をコンピュータによって構成した場合について説明する。
信号分析装置17のコンピュータは、CPUがプログラムを実行することで、図3のフローチャートに示す各ステップの処理を行う。CPUは、例えば、一定時間が経過する毎に周期的に繰り返し、プログラムを実行する。
このプログラムは、例えば、図1に示す記録媒体20から読み込んで信号分析装置17のメモリ19(請求項中の保持部に相当)にインストールすることができる。記録媒体20は、例えば、ディスク状の光記録媒体やフラッシュメモリ等の半導体記録媒体によって構成することができる。
信号分析装置17のコンピュータが実行するステップは、図3に示すように、ワーク測定ステップ(ステップS1)、推定ステップ(ステップS3)及び制御ステップ(ステップS5)を含んでいる。
このうち、ステップS1のワーク測定ステップは、ワークWの加工中に発生するワークWの振動に対応して変化する物理量を測定するステップである。そして、ワーク測定ステップでは、図1に示す信号分析装置17のコンピュータは、切削工具1によるワークWの切削加工中におけるワークWの振動を測定する。
具体的には、信号分析装置17のコンピュータは、切削加工中におけるワークWの振動として、切削加工中におけるワークWの振動の時間変動y2(ω)を測定する。本実施形態の加工動作制御装置10では、切削加工中におけるワークWの振動の時間変動y2(ω)の測定に、マイクロフォン13及び変位センサ15のうち少なくとも一方を用いる。
ここで、切削加工中のワークWは、複数の周波数で振動することがある。その場合は、切削加工中におけるワークWの振動を広い範囲の周波数について測定し、各周波数についてワークWの振動特性を検出する必要がある。
切削加工中におけるワークWの振動を全ての周波数について測定するには、例えば、切削加工中におけるワークWの振動音をマイクロフォン13により測定することが考えられる。マイクロフォン13は、測定可能な周波数レンジを広く有している。したがって、マイクロフォン13によりワークWの振動音を測定すれば、切削加工中のワークWが複数の周波数で振動しても、全ての周波数についてワークWの振動を測定することができる。
但し、マイクロフォン13によるワークWの振動音の測定では、ワークWの振動音以外のノイズ成分が一緒に測定された場合に、ワークWの振動音とノイズ成分とを区別することができない。つまり、マイクロフォン13では、ワークWの振動以外の要素も測定されてしまう。
ワークWの振動だけを測定するには、例えば、切削加工中におけるワークWの変位を変位センサ15により測定することが考えられる。変位センサ15は、測定対象に測定波(光波、音波等)を照射して変位を測定する。したがって、切削加工中のワークWだけに測定波を照射して変位センサ15により変位を測定すれば、切削加工中のワークWの振動だけを測定することができる。
但し、変位センサ15によるワークWの変位の測定では、ワークWのうち変位センサ15の測定波が照射された箇所の変位しか測定することができない。つまり、ワークWが複数の周波数で振動しても、全ての周波数についてワークWの振動を測定できるとは限らない。
このように、マイクロフォン13による振動音の測定と変位センサ15による変位の測定には、それぞれ長所と短所が存在する。このため、切削加工中におけるワークWの振動を測定する際には、状況に応じてマイクロフォン13及び変位センサ15を使い分けてもよい。つまり、ワークWの振動の時間変動y2(ω)の測定には、マイクロフォン13及び変位センサ15のうちどちらか一方を用いてもよく、両方を用いてもよい。
そして、マイクロフォン13を用いる場合は、信号分析装置17のコンピュータは、マイクロフォン13により測定したワークWの振動音を高速フーリエ変換(FFT)により解析して、ワークWの切削加工中における振動音圧の周波数毎の分布を求める。
また、変位センサ15を用いる場合は、信号分析装置17のコンピュータは、変位センサ15により測定したワークWの変位を高速フーリエ変換(FFT)により解析する。そして、切削加工中のワークWのうち測定波が照射された箇所における変位の振動周波数毎の分布を求める。
この場合、変位センサ15を複数用いてワークWの複数箇所の変位を同時に測定し、各測定結果を高速フーリエ変換(FFT)により解析してもよい。そうすれば、ワークWの複数箇所について、ワークWの切削加工中における振動音圧の周波数毎の分布を求めることができる。
なお、本実施形態では、ワークWの振動の時間変動y2(ω)の測定にマイクロフォン13を用いるものとする。そのため、本実施形態の信号分析装置17のコンピュータは、マイクロフォン13により測定したワークWの振動音から、ワークWの切削加工中における振動音圧の周波数毎の分布を求める。
図4は、ワークWの切削加工中にマイクロフォン13により測定したワークWの振動音を高速フーリエ変換(FFT)により解析して求めたワークWの振動音圧の経時変化を周波数毎に示すグラフである。
なお、図4の縦軸はワークWの振動音(切削工具1によるワークWの加工音)の周波数(Hz)、横軸は切削工具1によるワークWの切削加工の経過時間(s)をそれぞれ示す。また、図4中の濃淡は、ワークWの振動音(加工音)の音圧レベル(dB)を示す。ワークWの振動音(加工音)の音圧は、図4中の右側に示すスケールに示すとおり、濃淡の濃度が濃いほど低く、濃度が薄いほど高い。
図4に示すように、マイクロフォン13により測定したワークWの振動音の音圧レベルは、いくつかの周波数において顕著に高く、その他の周波数においてはゼロ又は殆どゼロに近い。そして、ワークWの振動音の音圧レベルが顕著に高いいくつかの周波数のうち一部の周波数では、その周波数値が、ワークWの切削加工が進んでワークWが変形するにつれて徐々に下がる傾向を示している。
図4中の、「ワークの固有振動数」と注釈を記した右肩下がりの濃度が薄い線状の部分が、上述の傾向を示す音圧レベルの部分である。この傾向の意味するところについて以下に検討する。
図5は、切削加工を開始する前の打撃試験により得られたワークWの振動特性と、切削加工の開始直後に測定したワークWの加工音をフーリエ変換した加工音圧とを、周波数毎に示すグラフである。
なお、図5の濃い線は切削加工を開始する前の打撃試験により得られた振動特性を示し、薄い線は切削加工の開始直後に測定したワークWの加工音をフーリエ変換したものを示す。
そして、ワークWの振動特性を示す図5の濃い線のグラフについては、縦軸はワークWの打撃に対する応答、即ち、コンプライアンス(m/N)を示す。また、ワークWの加工音を示す図5の薄い線のグラフについては、縦軸はワークWの加工音の音圧レベル(Pa)を示す。なお、横軸は共に周波数(Hz)を示す。
図5の濃い線で示すワークWの振動特性のグラフから、ワークWのコンプライアンスが顕著に高い値となる振動周波数が、ワークWの固有振動数であることがわかる。図5のグラフでは、ワークWの固有振動数が、例えば、コンプライアンス値が高い方から順に1650Hz付近、1300Hz付近、2200Hz付近等であることが分かる。そして、各固有振動数の振動周波数においては、図5の薄い線で示すワークWの加工音の音圧レベルも、顕著に高い値となっている。
このように、ワークWの固有振動数とワークWの加工音の音圧レベルとの間には、ワークWの加工音の音圧レベルがワークWの固有振動数において顕著に高くなる関係があることが分かる。したがって、図4に示す傾向は、ワークWの切削加工が進むにつれてワークWの固有振動数が変化する(低くなる)こと、即ち、ワークWの切削加工が進むにつれてワークWの振動特性が変化することを意味するものと理解することができる。
また、ワークWの振動音の音圧レベルが顕著に高いいくつかの周波数のうち、ワークWの切削加工が進んでワークWが変形しても周波数値が変わらない周波数は、ワークWの固有振動数ではなく、切削工具1からの切削力FによるワークWの固定振動周波数である。
そして、先に説明したように、切削工具1からの切削力Fは、ワークWの切削加工中に鋸歯状の切りくずW1,W2,W3,…が発生することで、切削工具1からワークWに加わる。また、鋸歯状の切りくずW1,W2,W3,…が発生する周期は、ワークWの切削加工条件が変わらない限り一定である。
このため、ワークWの振動の周波数が切削加工の進行に伴って変化するか否かによって、ワークWの固有振動数と固定振動周波数とを判別することができる。
そこで、本実施形態の信号分析装置17のコンピュータは、マイクロフォン13により測定したワークWの振動音から求めたワークWの切削加工中における加工音の音圧レベルの周波数毎の分布から、ワークWの振動の時間変動y2(ω)を求める。
なお、図3中のステップS1のワーク測定ステップにおける、マイクロフォン13による切削加工中のワークWの振動音の測定は、ワークWの試し加工の際に行う。振動音の測定周期は一定時間間隔毎でよく、例えば、切削加工中のワークWの振動音を1秒毎に測定するようにしてもよい。
また、ステップS1のワーク測定ステップにおける、切削加工中に測定したワークWの振動音を解析する処理は、上述したワークWの試し加工後にまとめて行う。
次に、図3中のステップS3の推定ステップでは、ステップS1で測定したワークWの振動の時間変動y2(ω)から、ワークWの切削加工の進行に伴って変化するワークWの固有振動数を推定する。ワークWの固有振動数の推定も、ステップS1のワーク測定ステップにおける、切削加工中に測定したワークWの振動音を解析する処理と同じく、ワークWの試し加工後に行う。
具体的には、信号分析装置17のコンピュータは、ステップS3の推定ステップにおいて、ステップS1で測定した切削加工中におけるワークWの振動の時間変動y2(ω)から、振動の周波数が時間の経過と共に変化するワークWの振動を抽出する。振動の周波数が変化するワークWの振動は、1つの場合もあれば複数の場合もある。そして、信号分析装置17のコンピュータは、抽出した周波数の振動を、ワークWの固有振動数として推定する。
最後に、図3中のステップS5の制御ステップでは、ステップS3において推定したワークWの固有振動数に基づいて、切削工具1によるワークWの切削加工の加工条件を決定する。
詳しくは、ステップS1で測定したワークWの振動の時間変動y2(ω)から、ワークWの切削加工が進行しても周波数が変化しないワークWの固定振動周波数を特定する。そして、特定した固定振動周波数が、ステップS3において推定したワークWの固有振動数と一致しない周波数となるように、切削工具1によるワークWの切削加工の加工条件を、切削加工の開始からの経過時間に応じた加工内容に制御する。
ここで、切削工具1によるワークWの切削加工の加工条件は、切削工具1によるワークWの切り込み深さとワークWの回転速度とに依存して変化する。
このうち、切削工具1によるワークの切り込み深さをワークWの加工中に変更すると、切り込み深さの変更時点を境に切削加工後のワークWの表面位置に段差が生じ、切削加工後のワークWの形状が切り込み深さの変更前後で異なってしまう。このため、ワークWの切り込み深さの変更によってワークWの切削加工の加工条件を切削加工中に制御することは、あまり現実的でない。
一方、ワークWの加工中にワークWの加工速度を変更しても、ワークWの切削加工の加工速度が変わるだけで、切削加工後のワークWの形状は切り込み深さの変更前後を通じて変化しない。このため、ワークWの回転速度の変更によってワークWの切削加工の加工条件を切削加工中に制御することは、ワークWの切り込み深さの変更によってワークWの切削加工の加工条件を切削加工中に制御することよりも、遙かに現実的である。
なお、ワークWの切りくずの厚みは、ワークWを載せた回転テーブル5の一回転当たりの、ワークWの回転中心C側への切削工具1の送り量を、同じ長さに揃えることで、一定に保つことができる。
そして、ワークWの固有振動数と一致しない周波数の振動をワークWに発生させる速度にワークWの回転速度を制御すれば、切削工具1による切削加工によってワークWに生じる振動がワークWの固有振動数と一致する周波数となることはない。
そこで、図3中のステップS5の制御ステップでは、ワークWの固定振動周波数が、ステップS3において推定したワークWの固有振動数と一致しない周波数となるような、ワークWの回転速度を決定する。なお、ワークWの回転速度は、ステップS1において測定したワークWの振動の時間変動y2(ω)から特定したワークWの固定振動周波数を用いて決定する。
具体的には、信号分析装置17のコンピュータは、ワークWの切削加工中を通じて、ワークWの固有振動数と一致しない周波数の振動が、切削工具1からの切削力FによりワークWに発生するように、ワークWの回転速度を制御する。つまり、信号分析装置17のコンピュータは、ワークWを載せた回転テーブル5を回転させるモータ7の回転速度を制御する。
なお、制御目標とするワークWの回転速度は、切削加工中を通じて一定の速度であってもよく、切削加工中に変動する速度であってもよい。
そして、切削加工中を通じて、ワークWの固有振動数と一致しない周波数の振動が切削加工中のワークWに発生する速度にワークWの回転速度が制御されると、切削工具1からの切削力FでワークWが固有振動数で加振されず、ワークWの異常振動が抑制される。このため、切削加工が進むにつれてワークWの固有振動数が変化しても、びびり振動によるワークWの異常振動の発生を抑制することができる。
なお、ステップS5の制御ステップの処理は、ステップS3の処理と同じく、ワークWの試し加工後に行う。このため、ステップS5で決定した速度にワークWの回転速度を制御するのは、試し加工したワークWと同じワークWを切削工具1により切削加工する際となる。
そこで、ステップS5で決定したワークWの回転速度を、例えば、図1に示すメモリ19に記憶させてもよい。そのように構成した場合は、以後、試し加工したワークWと同じワークWを切削加工する際に、メモリからワークWの回転速度を読み出して、信号分析装置17のコンピュータによるワークWの回転速度の制御に利用することができる。
このように、第1実施形態の加工動作制御装置10では、ワークWの試し加工の際に、切削加工中におけるワークWの振動音の音圧レベルをマイクロフォン13により測定するようにした。そして、ワークWの試し加工後に、信号分析装置17のコンピュータが、測定したワークWの振動音の音圧レベルから、ワークWの切削加工中におけるワークWの振動の時間変動y2(ω)を求めるようにした。
また、第1実施形態の加工動作制御装置10では、信号分析装置17のコンピュータが、求めたワークWの振動の時間変動y2(ω)から、切削加工中に周波数が変動するワークWの固有振動数を推定するようにした。そして、以後のワークWを切削加工する際に、信号分析装置17のコンピュータが、切削加工によって周波数が変動しないワークWの固定振動周波数がワークWの固有振動数と一致しない周波数となるように、ワークWの回転速度を決定し制御するようにした。
このため、切削工具1によるワークWの切削加工が進むにつれてワークWの固有振動数が変化しても、その固有振動数にワークWの固定振動周波数が一致してワークWが共振を起こすのを抑制し、びびり振動によるワークの異常振動の発生を抑制することができる。
さらに、第1実施形態の加工動作制御装置10では、ワークWの切削加工中におけるワークWの振動音の音圧レベルをマイクロフォン13により測定するようにした。そして、測定したワークWの振動音の音圧レベルから、信号分析装置17のコンピュータが、ワークWの切削加工中におけるワークWの振動の時間変動y2(ω)を求めるようにした。
このため、ワークWの切削加工中にワークWの振動音の音圧レベルを測定し、ワークWの振動の時間変動y2(ω)を、切削工具1によるワークWの切削加工を停止させることなく効率的に求めることができる。
なお、本実施形態では、信号分析装置17のコンピュータが、切削加工中に周波数が変化しないワークWの固定振動周波数を、切削加工中に測定したワークWの振動音から特定する構成とした場合について説明した。
しかし、切削加工中に測定したワークWの振動音からワークWの固定振動周波数を特定せず、例えば、図1に示すメモリ19に、ワークWの固定振動周波数を記憶させる構成としてもよい。
その場合、ワークWの固定振動周波数は、例えば、図2(c)の鋸歯状の切りくずW1,W2,W3,…の発生周期と、ワークWの回転中心C方向への切削工具1の移動速度とから特定してもよい。
特に、肉厚のワークW等、切削加工又は転削加工に伴うワークWの固有振動数の変化が僅かである場合は、加工中に測定したワークWの振動に対応する物理量の周波数毎の分布波形上で、ワークWの固有振動数と固定振動周波数との区別が付きにくくなる。このような場合に、鋸歯状の切りくずW1,W2,W3,…の発生周期からワークWの固定振動周波数を特定するのは、非常に有効である。
また、切削加工中に測定したワークWの振動音からワークWの固定振動周波数を特定しない構成は、ワークWに切削力Fを加える切削工具1の振動を検出するセンサを用いてワークWの固定振動周波数を特定することによっても、実現することができる。そのように構成したのが、図6の説明図に示す本開示の第2実施形態に係る加工動作制御装置30である。
図6に示す第2実施形態の加工動作制御装置30は、ワークWの回転速度を制御する要素として、図1に示す第1実施形態の加工動作制御装置10と同じマイクロフォン13、変位センサ15及び信号分析装置17に加えて、加速度センサ11をさらに有している。
加速度センサ11(請求項中の工具測定部に相当)は、ワークWの切削加工中における切削工具1の刃先3の振動の加速度を検出する。
信号分析装置17のコンピュータは、CPUがプログラムを実行することで、図7のフローチャートに示す各ステップの処理を行う。このプログラムは、第1実施形態の加工動作制御装置10と同様に、例えば、図6に示す記録媒体20から読み込んで信号分析装置17のメモリ19にインストールすることができる。
信号分析装置17のコンピュータが実行するステップは、図7に示すように、工具測定ステップ(ステップS0)、ワーク測定ステップ(ステップS1)、特定ステップ(ステップS2)、推定ステップ(ステップS3)及び制御ステップ(ステップS5)を含んでいる。
このうち、ワーク測定ステップ(ステップS1)、推定ステップ(ステップS3)及び制御ステップ(ステップS5)は、第1実施形態の加工動作制御装置10において信号分析装置17のコンピュータが実行する各ステップの内容(図4参照)と同じである。
また、ステップS0の工具測定ステップは、加工中のワークWに鋸歯状の切りくずW1,W2,W3,…が発生するのに伴う切削工具1の振動に対応して変化する物理量を測定するステップである。そして、工具測定ステップでは、図1に示す信号分析装置17のコンピュータは、切削工具1によるワークWの切削加工中における切削工具1の振動加速度を測定する。
具体的には、信号分析装置17のコンピュータは、ワークWの切削加工中における切削工具1の振動加速度として、ワークWの切削加工中における切削工具1の振動加速度の時間変動y1(ω)を測定する。切削工具1の振動加速度の時間変動y1(ω)の測定には、加速度センサ11の出力が用いられる。
そして、信号分析装置17のコンピュータは、加速度センサ11により測定した切削工具1の振動加速度を高速フーリエ変換(FFT)により解析して、ワークWの切削加工中における切削工具1の振動加速度の周波数毎の分布を求める。
図8は、信号分析装置17のコンピュータが計算により求めた、ワークWの切削加工中における切削工具1の振動加速度の経時変化を切削工具1の振動周波数毎に示すグラフである。
なお、図8の縦軸は切削工具1の振動周波数(Hz)、横軸は切削工具1によるワークWの切削加工の経過時間(s)をそれぞれ示す。また、図8中の濃淡は、切削工具1によるワークWの加振力を示す。切削工具1の加振力の値は、切削工具1によるワークWの切削力F(N)を表している。切削工具1の振動加速度(ワークWの切削力F)は、図8中の右側に示すスケールに示すとおり、濃淡の濃度が濃いほど低く、濃度が薄いほど高い。
図8に示すように、信号分析装置17のコンピュータが加速度センサ11の出力から求めた切削工具1の振動加速度は、ワークWの切削加工中一貫して、1800Hz及び250Hzの振動周波数において強い値を示している。一方、1800Hz及び250Hzを除く他の振動周波数では、切削工具1の振動加速度はゼロ又は殆どゼロに近い。したがって、図8に示す例では、ワークWの切削加工中に、1800Hz及び250Hzの振動周波数の振動が、切削工具1に発生していることになる。
なお、ステップS0の工具測定ステップにおける、加速度センサ11によるワークWの切削加工中における切削工具1の振動加速度の測定は、ワークWの試し加工の際に行う。振動加速度の測定周期は一定時間間隔毎でよく、例えば、ワークWの切削加工中の切削工具1の振動加速度を1秒毎に測定するようにしてもよい。
また、ステップS0の工具測定ステップにおける、ワークWの切削加工中に測定した切削工具1の振動加速度を解析する処理は、上述したワークWの試し加工後にまとめて行う。
さらに、ステップS2の特定ステップは、ステップS0で測定したワークWの切削加工中における切削工具1の振動加速度から、ワークWの切削加工が進行しても周波数が変化しないワークWの固定振動周波数を特定する。ワークWの固定振動周波数の特定も、ステップS0の工具測定ステップにおける、ワークWの切削加工中に測定した切削工具1の振動加速度を解析する処理と同じく、ワークWの試し加工後に行う。
具体的には、信号分析装置17のコンピュータは、ワークWの固定振動周波数として、ステップS0で測定した切削工具1の振動加速度の時間変動y1(ω)から、時間が経過しても振動の周波数が変化せず加速度が高い振動を抽出する。そして、信号分析装置17のコンピュータは、抽出した周波数の振動を、ワークWの固定振動周波数として特定する。
なお、ステップS2の特定ステップでワークWの固定振動周波数を特定するので、ステップS3の推定ステップでは、ステップS1で測定したワークWの振動の時間変動y2(ω)からワークWの固定振動周波数を特定する処理は行わない。
このように構成された第2実施形態の加工動作制御装置30でも、図1に示す第1実施形態の加工動作制御装置10と同様の効果を得ることができる。
なお、第1及び第2実施形態では、ワークWの切削の際に鋸歯状の切りくずW1,W2,W3,…が周期的に発生することでワークWが切削工具1から受ける切削力Fの周期的な増減を、ワークWを振動させるための加振力として利用する場合について説明した。
しかし、ワークWの加振力として利用するのは、工具がワークWを加工する際に工具からワークWに加わる力(切削力F)であれば、ワークWの鋸歯状の切りくずW1,W2,W3,…が周期的に発生すること以外でワークWに加わる力であってもよい。
図9は本開示の第3実施形態に係る加工動作制御装置の概略構成を示す説明図である。図9に示す第3実施形態の加工動作制御装置40は、エンドミル21(請求項中の転削工具に相当)を用いてワークWを転削加工する。この点で、第3実施形態の加工動作制御装置40は、切削工具1を用いてワークWを切削加工する第1及び第2実施形態の加工動作制御装置10,30と構成が異なっている。
図10(a)は、図9の加工動作制御装置40のエンドミル21の部分を抽出して示す説明図である。図10(a)に示すエンドミル21は、ワークWを転削加工する回転刃23を有している。エンドミル21は、モータ25の動力により回転される。モータ25は、例えば、図9に示すように、エンドミル21を取り付けるミーリングチャック27の内部に配置することができる。
図10(a)に示すエンドミル21の回転刃23は、エンドミル21の回転方向に位相をずらして複数枚設けることができる。本実施形態のエンドミル21は、図10(b)の説明図に拡大して示すように、4枚の回転刃23を有している。各回転刃23は、エンドミル21の回転方向に90゜ずつ位相をずらして配置されている。
エンドミル21の各回転刃23がワークWを転削する際には、各回転刃23がワークWを添削する度に、エンドミル21からワークWに加わる切削力F(請求項中の工具から(ワークが)受ける力に相当)が周期的に増減する。そこで、本実施形態の加工動作制御装置では、図10(a)に示すワークWがエンドミル21から受ける切削力Fを、ワークWを振動させるための加振力として利用する。
なお、図9に示す第3実施形態の加工動作制御装置40では、モータ25がエンドミル21を回転させてエンドミル21の回転刃23がワークWを転削する。エンドミル21が回転するのでワークWは回転せず固定される。
そして、エンドミル21からワークWが受ける切削力Fは、エンドミル21の各回転刃23がワークWを転削する度に増減する。したがって、ワークWは、エンドミル21の回転刃23による転削加工中に、切削力Fの増減周期に対応する固有振動周波数で振動する。
そこで、第3実施形態の加工動作制御装置40では、信号分析装置17のコンピュータのメモリ19に、エンドミル21の回転数からワークWの固有振動周波数を特定するテーブルが記憶されている。このテーブルは、回転刃23の刃数毎に設けられており、ワークWの固有振動周波数を特定する際には、エンドミル21の回転刃23の刃数に対応するテーブルが使用される。
このように構成された第3実施形態の加工動作制御装置40では、ワークWの転削加工を行う際に、信号分析装置17のコンピュータが、第1実施形態の加工動作制御装置10と同じく、図3のフローチャートに示す各ステップの処理を行う。そのために、信号分析装置17のコンピュータのCPUは、例えば、記録媒体20から読み込んでメモリ19にインストールされたプログラムを実行する。
そして、図3のフローチャートに示すワーク測定ステップ(ステップS1)及び推定ステップ(ステップS3)では、信号分析装置17のコンピュータは、図1に示す第1実施形態の加工動作制御装置10と同様の処理を行う。
一方、図3のフローチャートに示す制御ステップ(ステップS5)では、信号分析装置17のコンピュータは、図1に示す第1実施形態の加工動作制御装置10とは若干異なる内容の処理を行う。
詳しくは、図3の制御ステップ(ステップS5)では、図9の信号分析装置17のコンピュータは、エンドミル21の回転刃23の刃数に対応するテーブルをメモリ19から抽出する。また、信号分析装置17のコンピュータは、抽出したテーブルを用いて、転削加工の制御上で指定されたエンドミル21の回転数と回転刃23の刃数とに対応するワークWの固定振動周波数を特定する。
そして、信号分析装置17のコンピュータは、特定したワークWの固定振動周波数が推定したワークWの固有振動数と一致しない周波数となるように、エンドミル21の回転速度(回転数)を決定する。さらに、信号分析装置17のコンピュータは、試し加工後のワークWの転削加工時に、エンドミル21の回転速度が決定した回転速度となるように、モータ25の動作を制御する。
このような構成による第3実施形態の加工動作制御装置40でも、第1実施形態の加工動作制御装置10と同様の効果を得ることができる。
なお、上述した第1〜第3実施形態の加工動作制御装置10,30,40では、ワークWの加工中に測定するワークWの振動に対応して変化する物理量として、加工中におけるワークWの振動音を、マイクロフォン13を用いて測定するものとした。
しかし、ワークWの加工中に測定するワークWの振動に対応して変化する物理量として、加工中におけるワークWの変位を、変位センサ15を用いて測定してもよい。あるいは、マイクロフォン13と変位センサ15とを併用して、加工中におけるワークWの振動音及び変位を、ワークWの振動に対応して変化する物理量として測定してもよい。
また、ワークWの振動に対応して変化する物理量として、加工中におけるワークWの振動音及び変位以外の値を測定してもよい。
さらに、上述した第1〜第3実施形態では、加工動作制御装置10,30,40がマイクロフォン13及び変位計15のうち少なくとも一方を有している構成とした。そして、ワークWの試し加工中に、マイクロフォン13及び変位計15のうち少なくとも一方でワークWの振動音を測定するものとした。
しかし、試し加工中のワークWの振動音及び変位のうち少なくとも一方を測定する構成を加工動作制御装置10,30,40が有していない構成とすることもできる。
その場合は、加工動作制御装置10,30,40の外部の要素によって、試し加工中のワークWの振動に対応して変化する物理量を測定すればよい。そして、測定結果を加工動作制御装置10,30,40の信号分析装置17が解析し、ワークWの固有振動数の推定、固定振動周波数の特定、ワークWの回転速度の制御等を行えばよい。
また、上述した第1〜第3実施形態では、加工中におけるワークWの振動に対応する物理量を、ワークWの試し加工において測定するものとした。また、第2実施形態では、加工中における切削工具1の振動に対応する物理量も、ワークWの試し加工において測定するものとした。
しかし、回転速度を制御するワークWの加工中に、上述した各物理量を測定し、その解析結果から決定した速度で、ワークWの回転速度又はエンドミル21の回転速度をリアルタイムで制御するものとしてもよい。
そして、本開示は、工具を用いてワークの加工を行う際に広く適用可能である。
1 切削工具
3 刃先
5 回転テーブル
7,25 モータ
10,30,40 加工動作制御装置
11 加速度センサ(工具測定部)
13 マイクロフォン(ワーク測定部、センサ)
15 変位センサ(ワーク測定部、センサ)
17 信号分析装置(推定部、特定部、制御部)
19 メモリ(保持部)
21 エンドミル(転削工具)
23 回転刃
27 ミーリングチャック
C ワークの回転中心
F 切削力(工具から(ワークが)受ける力)
S1,S2 ワークの鋸歯状の切りくずに起こるせん断の直線
W ワーク
W1,W2,W3,… 鋸歯状の切りくず

Claims (8)

  1. 工具によるワークの加工中に測定された前記ワークの振動に対応して変化する前記工具又は前記ワークの物理量の解析結果から、前記ワークの加工中における固有振動数を推定する推定部と、
    前記工具による前記ワークの加工条件を、前記ワークに加わる力により前記推定部が推定した前記固有振動数と一致しない周波数の振動を前記ワークに発生させる条件内容に制御する制御部と、
    を備えるワーク加工動作の制御装置。
  2. 前記物理量を前記工具による前記ワークの加工中に測定するワーク測定部をさらに備え、前記推定部は、前記ワーク測定部が測定した前記物理量を解析し、該物理量の解析結果から、前記ワークの加工中における固有振動数を推定する請求項1記載のワーク加工動作の制御装置。
  3. 前記ワーク測定部は、前記ワークの振動を非接触で検出するセンサを有している請求項2記載のワーク加工動作の制御装置。
  4. 前記工具は、回転中の前記ワークを切削加工する切削工具であり、前記制御部は、前記切削工具による前記ワークの切削加工によって該ワークに発生する振動の周波数を、前記推定部が推定した前記固有振動数以外の周波数とする速度に、前記ワークの回転速度を制御する請求項1、2又は3記載のワーク加工動作の制御装置。
  5. 前記物理量の解析結果から、前記切削工具から前記ワークに加わる力に対応し切削加工中に周波数が変化しない前記ワークの固定振動周波数を特定する特定部をさらに備え、前記制御部は、前記特定部が特定した前記固定振動周波数を前記推定部が推定した前記固有振動数以外の周波数とする速度に、前記ワークの回転速度を制御する請求項4記載のワーク加工動作の制御装置。
  6. 前記切削工具による切削加工中に発生する前記ワークの鋸歯状の切りくずの発生周期から特定された、前記ワークの加工中に周波数が変化しない前記ワークの固定振動周波数を保持する保持部をさらに備え、前記制御部は、前記保持部が保持する前記固定振動周波数を前記推定部が推定した前記固有振動数以外の周波数とする速度に、前記ワークの回転速度を制御する請求項4記載のワーク加工動作の制御装置。
  7. 前記ワークの加工中に前記工具の振動に対応して変化する物理量を測定する工具測定部と、前記工具測定部が測定した前記物理量を解析し、該物理量の解析結果から、前記工具から前記ワークに加わる力に対応し加工中に周波数が変化しない前記ワークの固定振動周波数を特定する特定部をさらに備え、前記制御部は、前記特定部が特定した前記固定振動周波数を前記推定部が推定した前記固有振動数以外の周波数とする速度に、前記ワークの回転速度を制御する請求項1、2又は3記載のワーク加工動作の制御装置。
  8. 前記工具は、前記ワークを転削加工する転削工具であり、前記制御部は、前記転削工具の回転刃による前記ワークの周期的な転削加工によって該ワークに発生する振動の周波数を、前記推定部が推定した前記固有振動数以外の周波数とする速度に、前記転削工具の回転速度を制御する請求項1、2又は3記載のワーク加工動作の制御装置。
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