JP2020089352A - ビールテイスト飲料、及びビールテイスト飲料の製造方法 - Google Patents

ビールテイスト飲料、及びビールテイスト飲料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】日光臭の発生が抑制され、飲んだ後の後味に優れたビールテイスト飲料が求められている。【解決手段】イソα酸の含有量が0.1質量ppm以下であり、酢酸エチルを含み、カンファー、ピネン、及びテルピネンからなる群より選択される少なくとも一種を含む香気成分(A)を含有する、ビールテイスト飲料。【選択図】なし

Description

本発明は、ビールテイスト飲料、及びビールテイスト飲料の製造方法に関する。
一般的なビールや発泡酒のようなビールテイスト飲料には、原材料として、ホップが使
用され、ホップ特有の苦味や渋み及びその他の香味により、苦味や香りが付与された飲料
となる。
その一方で、ホップを使用してビールテイスト飲料を製造する場合には、ホップ特有の
問題が生じることもある。
例えば、ホップを使用して製造されたビールテイスト飲料は、日光に晒された際に、ホ
ップ由来の成分であるイソα酸が、日光の紫外線等によって変質し、日光臭といわれる好
ましくない異臭が生じる場合がある。
このような日光臭の発生を抑制するために、ホップを用いたビールテイスト飲料は、紫
外線等を遮断するような茶色の瓶に充填され、また、流通過程でも遮光シートで覆う等の
対応が行われており、包材の制約やコスト面での問題が存在する。
そのため、原材料としてホップを使用しないビールテイスト飲料の製造も検討されてい
る。
例えば、特許文献1には、0.3〜5ppmのクワシン及び/又は0.5〜5ppmの
キニーネを含んでなる、ホップ由来のイソα酸を実質的に含有しないビールテイスト飲料
が開示されている。
特開2017−006077号公報
しかしながら、特許文献1等に記載の原材料としてホップを使用しないビールテイスト
飲料は、ホップを用いた場合に比べて、飲んだ後の後味(締り感、爽快感、フレッシュな
香味)が劣るといった問題を有する。
そのため、日光臭の発生が抑制され、飲んだ後の後味に優れたビールテイスト飲料が求
められている。
本発明は、ホップに含まれるイソα酸を実質的に含有しないビールテイスト飲料であっ
て、香気成分として、カンファー、ピネン、及びテルピネンからなる群より選択される少
なくとも一種を含むビールテイスト飲料を提供する。
本発明には以下の態様の発明が含まれる。
[1]
イソα酸の含有量が0.1質量ppm以下であり、
酢酸エチルを含み、
カンファー、ピネン、及びテルピネンからなる群より選択される少なくとも一種を含む
香気成分(A)を含有する、ビールテイスト飲料。
[2]
香気成分(A)として前記カンファーを含有する場合、当該カンファーの含有量が、前
記ビールテイスト飲料の全量基準で、0.0010質量ppm以上0.50質量ppm未
満であり、
香気成分(A)として前記ピネンを含有する場合、当該ピネンの含有量が、前記ビール
テイスト飲料の全量基準で、0.0050〜45質量ppmであり、
香気成分(A)として前記テルピネンを含有する場合、当該テルピネンの含有量が、前
記ビールテイスト飲料の全量基準で、0.0010〜5.0質量ppmである、
上記[1]に記載のビールテイスト飲料。
[3]
さらに、ナリンジン及びキニーネからなる群より選択される少なくとも一種を含む苦味
成分(B)を含有する、上記[1]又は[2]に記載のビールテイスト飲料。
[4]
苦味成分(B)として前記ナリンジンを含有する場合、当該ナリンジンの含有量が、前
記ビールテイスト飲料の全量基準で、3.00〜480質量ppmであり、
苦味成分(B)として前記キニーネを含有する場合、当該キニーネの含有量が、前記ビ
ールテイスト飲料の全量基準で、0.120〜4.80質量ppmである、
上記[3]に記載のビールテイスト飲料。
[5]
穀物に由来するスピリッツを含む、上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載のビール
テイスト飲料。
[6]
香気成分(A)が、植物種子に由来する成分である、上記[1]〜[5]のいずれか一
項に記載のビールテイスト飲料。
[7]
上記[1]〜[6]のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料を製造する方法であっ
て、
下記工程(1)及び(2)を有し、ホップを配合する工程を有しない、ビールテイスト
飲料の製造方法。
・工程(1):水及び麦芽を含む原料液に、酵母を添加して、アルコール発酵を行う工程

・工程(2):カンファー、α−ピネン、及びγ−テルピネンからなる群より選択される
少なくとも一種を含む香気成分(A)を配合する工程。
[8]
さらに、下記工程(3)を有する、上記[7]に記載のビールテイスト飲料の製造方法

・工程(3):苦味成分(B)を配合する工程。
[9]
さらに、下記工程(4)を有する、上記[7]又は[8]に記載のビールテイスト飲料
の製造方法。
・工程(4):穀物に由来するスピリッツを添加する工程。
本発明の好適な一態様のビールテイスト飲料は、日光臭の発生が抑制され、飲んだ後の
後味に優れる。
1.ビールテイスト飲料
本発明のビールテイスト飲料は、イソα酸の含有量が0.1質量ppm以下であり、酢
酸エチルを含み、カンファー、α−ピネン、及びγ−テルピネンからなる群より選択され
る少なくとも一種を含む香気成分(A)を含有する。
なお、本明細書において、「ビールテイスト飲料」とは、ビール様の風味をもつアルコ
ール含有またはノンアルコールの炭酸飲料をいう。つまり、本明細書のビールテイスト飲
料は、特に断わりがない場合、ビール風味を有するいずれの炭酸飲料をも包含する。した
がって、エステルや高級アルコール(例えば、酢酸イソアミル、酢酸エチル、n−プロパ
ノール、イソブタノール、アセトアルデヒド)等を含むビール香料が添加された炭酸飲料
をも包含する。
本発明の一態様のビールテイスト飲料の種類としては、例えば、アルコール含有のビー
ルテイスト飲料、アルコール度数が1(v/v)%未満のビールテイスト飲料等も含まれ
る。
本発明のビールテイスト飲料は、イソα酸の含有量を0.1質量ppm以下に制限して
いる。イソα酸は、ホップに多く含まれる苦味成分である。つまり、イソα酸の含有量が
0.1質量ppm以下であるビールテイスト飲料は、「ホップに由来する成分を実質的に
含まない」ビールテイスト飲料であることを意味する。
なお、本明細書において、「ホップに由来する成分を実質的に含まない」とは、ビール
テイスト飲料を製造する際に、原材料として、ホップ及びホップに由来する成分をいずれ
も積極的に添加しないこと意味し、ビールテイスト飲料の製造の際にホップ由来の成分が
不可避的に混入する態様は包含する。
また、ビールテイスト飲料の原材料として、ホップ及びホップに由来する成分が積極的
に添加されているか否かは、酒税法、食品表示法、食品衛生法、JAS法、景品表示法、
健康増進法あるいは業界団体が定めた規約や自主基準等によって定められた原材料表示か
ら確認することもできる。例えば、ホップ及びホップに由来する成分が含まれている場合
、原材料表示の原材料名に「ホップ」のように表記される。一方、「ホップに由来する成
分を実質的に含まない」ビールテイスト飲料では、原材料表示の原材料名に「ホップ」と
の表記がされない。
本発明のビールテイスト飲料は、イソα酸の含有量が0.1質量ppm以下に制限され
ているため、当該ビールテイスト飲料が、日光に晒された際に、紫外線等によるイソα酸
の変質から生じ得る日光臭の発生が効果的に抑制されている。そのため、茶色の瓶以外の
容器に充填することも可能であり、また、流通過程において遮光シートで覆う等の対応は
不要となる。
上記観点から、本発明の一態様のビールテイスト飲料において、イソα酸の含有量は、
当該ビールテイスト飲料の全量(100質量%)基準で、0.1質量ppm以下であるが
、好ましくは0.05質量ppm以下、より好ましくは0.01質量ppm以下である。
なお、本明細書において、イソα酸の含有量は、改訂BCOJビール分析法(2013
年増補改訂)に記載の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析法により測定された
値を意味する。
また、本発明のビールテイスト飲料は、酢酸エチルを含む。
この酢酸エチルは、水及び麦芽を含む原料液に、酵母を添加して、アルコール発酵を行
った際に生じる醸造成分の一つである。つまり、本発明のビールテイスト飲料は、アルコ
ール発酵を行った飲料であることを意味する。
なお、本発明の一態様のビールテイスト飲料において、酢酸エチルの含有量は、ビール
テイスト飲料のアルコール濃度によって異なるが、当該ビールテイスト飲料の全量基準で
、通常5.0〜50質量ppmである。
また、使用する酵母の菌種によっては、アルコール発酵を行った際に生じる醸造成分の
一つとして、二酸化硫黄も生じ得る。つまり、亜硫酸塩が添加されていない限り、二酸化
硫黄を含有するビールテイスト飲料は、アルコール発酵を行った飲料であるといえる。
そのため、本発明の一態様のビールテイスト飲料は、二酸化硫黄を含有してもよい。
本発明の一態様のビールテイスト飲料において、二酸化硫黄の含有量は、ビールテイス
ト飲料で使用する酵母や発酵条件等によって異なるが、当該ビールテイスト飲料の全量基
準で、通常0.20〜20質量ppmである。
なお、本明細書において、酢酸エチルの含有量は、改訂BCOJビール分析法(201
3年増補改訂)に記載の方法に準拠し、FID検出器付きヘッドスペースガスクロマトグ
ラフィーによって測定された値を意味し、二酸化硫黄の含有量は、改訂BCOJビール分
析法(2013年増補改訂)に記載の酵素法により測定された値を意味する。
また、使用する酵母や発酵条件によっては、アルコール発酵を行っても二酸化硫黄が生
じない場合があるが、酢酸エチルは生じ得る。そのため、本明細書において、二酸化硫黄
の含有量が検出されない飲料においても、香料として酢酸エチルが用いられていないにも
関わらず、酢酸エチルの存在が確認されれば、当該飲料は、アルコール発酵を行ったとも
のと判断することもできる。
また、本発明の一態様のビールテイスト飲料は、アルコール成分として、さらに、穀物
に由来するスピリッツを含有してもよい。
本明細書において、スピリッツとは、麦、米、そば、とうもろこし等の穀物を原料とし
て、麦芽又は必要により酵素剤を用いて糖化し、酵母を用いて発酵させた後、更に蒸留し
て得られる酒類を意味する。スピリッツの原材料である穀物としては、麦が好ましい。
<香気成分(A)>
本発明のビールテイスト飲料は、カンファー、ピネン、及びテルピネンからなる群より
選択される少なくとも一種を含む香気成分(A)を含有する。
香気成分(A)は、ホップに由来する成分に代えて、ビールテイスト飲料に爽やかな香
味を付与し、ホップに由来する成分を実質的に含まなくとも、飲んだ後の後味に優れたビ
ールテイスト飲料とすることに寄与する。
「カンファー」は、分子式C1016Oで表される二環式モノテルペンケトンの一種
であり、下記式(a−i)で表される化合物である。
「ピネン」は、分子式C1016で表される六員環と四員環を有するモノテルペンの
一種であり、α−ピネン及びβ−ピネンが挙げられるが、下記式(a−ii)で表されるα
−ピネンが好ましい。
「テルピネン」は、分子式C1016で表される単環モノテルペンの一種であり、α
−テルピネン、β−テルピネン、γ−テルピネン、δ−テルピネンが挙げられるが、下記
式(a−iii)で表されるγ−テルピネンが好ましい。
なお、香気成分(A)は、植物種子に由来する成分であってもよい。当該植物種子とし
ては、カンファー、α−ピネン、及びγ−テルピネンの少なくとも一種を含むものであれ
ばよく、例えば、胡椒やコリアンダーシード等が挙げられるが、コリアンダーシードが好
ましい。つまり、香気成分(A)は、コリアンダーシードに由来する成分であることが好
ましい。
「コリアンダーシード」は、セリ科に属する一年草のコリアンダーの種子であり、コリ
アンダーシードから抽出される成分には、カンファー、ピネン、及びテルピネンが含まれ
る。つまり、「コリアンダーシードに由来する成分」は、少なくともカンファー、ピネン
、及びテルピネンを含む香気成分の混合物であるといえる。
なお、上述の「ホップ」と同様に、原材料表示の原材料名に、例えば「コリアンダーシ
ード」のように植物種子の名称が表記されている飲料には、当該植物種子に由来する成分
が含まれていると判断してもよい。
また、本発明の一態様のビールテイスト飲料において、爽やかな香味を付与し、飲んだ
後の後味に優れたビールテイスト飲料とする観点から、香気成分(A)は、少なくともカ
ンファーを含有することが好ましい。
本発明の一態様のビールテイスト飲料において、香気成分(A)であるカンファーの含
有量は、当該ビールテイスト飲料の全量基準で、好ましくは0.0010質量ppm以上
0.50質量ppm未満、より好ましくは0.0050〜0.48質量ppm、更に好ま
しくは0.010〜0.46質量ppm、より更に好ましくは0.030〜0.44質量
ppmである。
なお、本明細書において、カンファーの含有量は、ガスクロマトグラフィー質量分析法
(GC/MS)により測定することができる。具体的な測定方法の一例としては、以下の
試料を用いて、以下の測定条件で測定する方法が挙げられる。
[試料]
対象となるビールテイスト飲料10〜20gに、水150mL及びヘプタン4mLを加
えた溶液を調製する。そして当該溶液に対して、精油定量用蒸留装置を用いて90分間蒸
留した後、ヘプタン層を下記に示すGC/MS装置に1μL注入して、測定を行う。
[測定条件]
・GC/MS装置:7890B/5977B(Agilent Technologies社製)
・カラム:DB−WAX(Agilent Technologies社製)、直径0.25mm×30m、膜
厚0.25μm
・導入系:スプリット5:1
・注入量:1μL
・試料注入口温度:220℃
・カラム温度:40℃(1分間保持)→10℃/分で160℃まで昇温→15℃/分で2
00℃まで昇温
・ガス流量:ヘリウム(キャリアガス)を1mL/分
・イオン源温度:230℃
・イオン化法:EI
・設定質量数:m/z 152
本発明の一態様のビールテイスト飲料において、香気成分(A)であるピネンの含有量
は、当該ビールテイスト飲料の全量基準で、好ましくは0.0050〜45質量ppm、
より好ましくは0.010〜30質量ppm、更に好ましくは0.050〜20質量pp
m、より更に好ましくは0.10〜15質量ppm、特に好ましくは0.50〜13質量
ppmである。
本発明の一態様のビールテイスト飲料において、香気成分(A)であるテルピネンの含
有量は、当該ビールテイスト飲料の全量基準で、好ましくは0.00050〜5.0質量
ppm、より好ましくは0.0010〜4.0質量ppm、更に好ましくは0.0050
〜3.0質量ppm、更に好ましくは0.0070〜2.5質量ppm、より更に好まし
くは0.010〜1.5質量ppm、特に好ましくは0.025〜0.80質量ppmで
ある。
なお、本明細書において、ピネン及びテルピネンの含有量は、ガスクロマトグラフィー
質量分析法(GC/MS)により測定することができる。具体的な測定方法の一例として
は、以下の試料を用いて、以下の測定条件で測定する方法が挙げられる。
[試料]
対象となるビールテイスト飲料4gに、水150mL及びヘプタン4mLを加えた溶液
を調製する。そして当該溶液に対して、精油定量用蒸留装置を用いて90分間蒸留した後
、ヘプタン層を下記に示すGC/MS装置に1μL注入して、測定を行う。
[測定条件]
・GC/MS装置:6890/5973N(Agilent Technologies社製)
・カラム:DB−WAX(Agilent Technologies社製)、直径0.25mm×60m、膜
厚0.5μm
・導入系:スプリット5:1
・注入量:1μL
・試料注入口温度:220℃
・カラム温度:40℃(1分間保持)→10℃/分で240℃まで昇温
・ガス流量:ヘリウム(キャリアガス)を1mL/分
・イオン源温度:230℃
・イオン化法:EI
・設定質量数:m/z 136
<苦味成分(B)>
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、さらに、ナリンジン及びキニーネからなる群
より選択される少なくとも一種を含む苦味成分(B)を含有することが好ましい。
苦味成分(B)は、ビールテイスト飲料に程よい苦味を付与することができる。つまり
、香気成分(A)と苦味成分(B)を組み合わせて含むことで、ホップに由来する成分を
実質的に含まなくとも、苦味と飲んだ後の後味のバランスにも優れたビールテイスト飲料
とすることができる。
なお、「ナリンジン」は、分子式C273214で表されるフラバノンの一種であ
り、下記式(b−i)で表される化合物である。グレープフルーツやはっさく等の果皮付
近に多く含まれ、柑橘類の苦味や刺激感の元となっている成分である。
「キニーネ」は、分子式C2024で表されるアルカロイドであり、下記式
(b−ii)で表される化合物である。キナの樹皮に含まれる成分である。
本発明の一態様のビールテイスト飲料において、苦味成分(B)であるナリンジンの含
有量は、ビールテイスト飲料に程よい苦味を付与する観点から、当該ビールテイスト飲料
の全量基準で、通常2.00〜550質量ppm、好ましくは3.00〜480質量pp
m、より好ましくは4.00〜450質量ppm、更に好ましくは5.00〜400質量
ppm、より更に好ましくは10.0〜250質量ppmである。
なお、本明細書において、ナリンジンの含有量は、高速液体クロマトグラフィー(HP
LC)分析法により測定することができる。具体的な測定方法の一例としては、以下の試
料を用いて、以下の測定条件で測定する方法が挙げられる。
[試料]
対象となるビールテイスト飲料2gに、メタノール30mLを加えた溶液に超音波を5
分間かけた後、更にメタノールを加えて、50mLの試料を調製する。
[測定条件]
・HPLC装置:LC−20AD(株式会社島津製作所製)
・検出器:蛍光分光光度計RF−20AXS(株式会社島津製作所製)
・カラム:XBridge C18(Waters社製)、直径4.6mm×150mm、粒径
3.5μm
・移動相:水、アセトニトリル及びリン酸の混合溶液
・流量:1.0mL/分
・カラム温度:40℃
・測定波長:280nm
また、本発明の一態様のビールテイスト飲料において、苦味成分(B)であるキニーネ
の含有量は、上記と同様の観点から、当該ビールテイスト飲料の全量基準で、通常0.1
00〜5.50質量ppm、好ましくは0.120〜4.80質量ppm、より好ましく
は0.150〜4.50質量ppm、更に好ましくは0.200〜4.00質量ppm、
より更に好ましくは0.350〜2.50質量ppmである。
なお、本明細書において、キニーネの含有量は、高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)分析法により測定することができる。具体的な測定方法の一例としては、以下の試料
を用いて、以下の測定条件で測定する方法が挙げられる。
[試料]
対象となるビールテイスト飲料0.1〜0.2gに、0.02mol/L過塩素酸水溶
液:アセトニトリル=80:20(質量比)の混合溶媒を加えて、20mLの試料を調製
する。
[測定条件]
・HPLC装置:LC−20AD(株式会社島津製作所製)
・検出器:蛍光分光光度計RF−20AXS(株式会社島津製作所製)
・カラム:CAPCELL PAK C18 AQ(株式会社資生堂製)、直径4.6m
m×250mm、粒径3μm
・移動相:0.02mol/L過塩素酸水溶液:アセトニトリル=80:20(質量比)
の混合溶液、アイソクラティック
・流量:1.0mL/分
・カラム温度:40℃
・蛍光励起波長:350nm
・蛍光測定波長:450nm
本発明の一態様のビールテイスト飲料において、苦味と飲んだ後の後味のバランスにも
優れたビールテイスト飲料とする観点から、香気成分(A)であるカンファーと、苦味成
分(B)であるナリンジンとの含有量比〔ナリンジン/カンファー〕は、質量比で、好ま
しくは0〜4800、より好ましくは30〜4500、更に好ましくは50〜4000、
より更に好ましくは65〜2000である。
また、上記と同様の観点から、香気成分(A)であるカンファーと、苦味成分(B)で
あるキニーネとの含有量比〔キニーネ/カンファー〕は、質量比で、好ましくは0〜12
0、より好ましくは1.00〜45.0、更に好ましくは1.50〜40.0、より更に
好ましくは2.20〜30.0である。
本発明の一態様のビールテイスト飲料において、苦味と飲んだ後の後味のバランスにも
優れたビールテイスト飲料とする観点から、香気成分(A)であるピネンと、苦味成分(
B)であるナリンジンとの含有量比〔ナリンジン/ピネン〕は、質量比で、好ましくは0
〜1000、より好ましくは1.0〜750、更に好ましくは1.2〜500、より更に
好ましくは2.0〜250である。
また、上記と同様の観点から、香気成分(A)であるピネンと、苦味成分(B)である
キニーネとの含有量比〔キニーネ/ピネン〕は、質量比で、好ましくは0〜20、より好
ましくは0.040〜15、更に好ましくは0.070〜10、より更に好ましくは0.
10〜2.5である。
本発明の一態様のビールテイスト飲料において、苦味と飲んだ後の後味のバランスにも
優れたビールテイスト飲料とする観点から、香気成分(A)であるテルピネンと、苦味成
分(B)であるナリンジンとの含有量比〔ナリンジン/テルピネン〕は、質量比で、好ま
しくは0〜6000、より好ましくは30〜5500、更に好ましくは50〜5000、
より更に好ましくは100〜2000である。
また、上記と同様の観点から、香気成分(A)であるテルピネンと、苦味成分(B)で
あるキニーネとの含有量比〔キニーネ/テルピネン〕は、質量比で、好ましくは0〜15
0、より好ましくは1.00〜100、更に好ましくは2.00〜50.0、より更に好
ましくは4.00〜25.0である。
本発明の一態様のビールテイスト飲料のアルコール度数は、好ましくは1〜20(v/
v)%、より好ましくは2〜15(v/v)%、更に好ましくは3〜10(v/v)%で
ある。
なお、本明細書において、アルコール度数は、体積/体積基準の百分率(v/v%)で
示されるものとする。また、飲料のアルコール含有量は、公知のいずれの方法によっても
測定することができるが、例えば、振動式密度計によって測定することができる。
本発明の一態様のビールテイスト飲料の色は、特に限定されないが、通常のビールのよ
うな琥珀色や黄金色、黒ビールのような黒色、又は、無色透明であってもよく、あるいは
着色料などを添加して、所望の色を付けてもよい。ビールテイスト飲料の色は、肉眼でも
判別することができるが、全光線透過率や色度等によって規定してもよい。
本発明の一態様のビールテイスト飲料のpHは、特に限定されないが、好ましくは2.
0〜4.5である。ビールテイスト飲料のpHが4.5以下であれば、微生物の発生を抑
制でき、pHが2.0以上であれば飲料の香味が向上し易い。
また、アルコールを含有するビールテイスト飲料のpHは、好ましくは3.0〜4.5
であり、ノンアルコールビールテイスト飲料のpHは、好ましくは4.0未満である。
本発明の一態様のビールテイスト飲料の総エキス量は、特に限定されないが、ビールテ
イスト飲料に軽快な飲み口を付与する観点から、アルコールを含むビールテイスト飲料の
場合は、好ましくは18質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは1
3質量%以下である。また、ノンアルコールビールテイスト飲料の場合は、好ましくは1
.5重量%以下、より好ましくは1.1重量%以下、さらに好ましくは0.80重量%以
下である。
なお、本明細書における「総エキス量」は、アルコール度数が1(v/v)%以上の飲
料においては、日本の酒税法におけるエキス分、すなわち、温度15℃の時において原容
量100cm中に含有する不揮発性成分のグラム数をいい、アルコール度数が1(v/
v)%未満の飲料においては、脱ガスしたサンプルをビール酒造組合国際技術委員会(B
COJ)が定める「ビール分析法 7.2 エキス」に従い測定したエキス値(質量%)
をいう。
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、容器詰の態様に適している。容器の例として
は、ビン、ペットボトル、缶、又は樽が挙げられるが、特に持ち運びが容易であるとの観
点から、缶、ビン、ペットボトルが好ましい。
なお、無色透明のビンやペットボトルを使用する場合、通常の缶や有色のビンでの場合
と異なり、太陽光や蛍光灯の光にさらされることになる。しかしながら、本発明の一態様
のビールテイスト飲料は、ホップに由来する成分を実質的に含有していないため、日光の
照射に起因した日光臭の発生が抑制される。そのため、本発明の一態様のビールテイスト
飲料は、このような無色透明のビンやペットボトルに充填することもできる。
本発明のビールテイスト飲料に含まれる、穀物、甘味料等の任意の添加原料については
、「1.1原材料」において詳述する。
1.1 原材料
本発明の一態様のビールテイスト飲料の主な原材料は、水、麦芽、上述の香気成分(A
)及び苦味成分(B)であり、ホップを実質的に使用しないが、その他に、甘味料、水溶
性食物繊維、苦味料又は苦味付与剤、酸化防止剤、香料、酸味料等を用いてもよい。
麦芽とは、大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦、エン麦などの麦類の種
子を発芽させて乾燥させ、除根したものをいい、産地や品種は、いずれのものであっても
よい。本発明においては、好ましくは大麦麦芽を用いる。大麦麦芽は、日本のビールテイ
スト飲料の原料として最も一般的に用いられる麦芽の1つである。大麦には、二条大麦、
六条大麦などの種類があるが、いずれを用いてもよい。さらに、通常麦芽のほか、色麦芽
なども用いることができる。なお、色麦芽を用いる際には、種類の異なる色麦芽を適宜組
み合わせて用いてもよいし、一種類の色麦芽を用いてもよい。
また、麦芽と共に、麦芽以外の穀物を用いてもよい。
そのような穀物としては、例えば、麦芽には該当しない麦(大麦、小麦、ライ麦、カラ
ス麦、オート麦、ハト麦、エン麦等)、米(白米、玄米等)、とうもろこし、こうりゃん
、ばれいしょ、豆(大豆、えんどう豆等)、そば、ソルガム、粟、ひえ、及びそれらから
得られたデンプン、これらの抽出物(エキス)等が挙げられる。
甘味料としては、穀物由来のデンプンを酸又は酵素等で分解した市販の糖化液、市販の
水飴等の糖類、三糖類以上の糖、糖アルコール、ステビア等の天然甘味料、人工甘味料等
が挙げられる。
これらの糖類の形態は、溶液等の液体であってもよく、粉末等の固体であってもよい。
また、デンプンの原料穀物の種類、デンプンの精製方法、及び酵素や酸による加水分解
等の処理条件についても特に制限はない。例えば、酵素や酸による加水分解の条件を適宜
設定することにより、マルトースの比率を高めた糖類を用いてもよい。その他、スクロー
ス、フルクトース、グルコース、マルトース、トレハロース、マルトトリオース及びこれ
らの溶液(糖液)等を用いることもできる。
また、人工甘味料としては、例えば、アスパルテーム、アセスルファムカリウム(アセ
スルファムK)、スクラロース等が挙げられる。
水溶性食物繊維としては、例えば、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、グア
ーガム分解物、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸、ラミナリン、フコイジン、カラ
ギーナン等が挙げられ、安定性や安全性等の汎用性の観点から、難消化性デキストリン又
はポリデキストロースが好ましい。
本発明の一態様のビールテイスト飲料において、苦味は、苦味成分(B)によって付与
することが好ましいが、さらに、苦味料又は苦味付与剤を用いてもよい。
苦味料又は苦味付与剤としては、特に限定されず、通常のビールや発泡酒に苦味付与剤
として用いられるものが使用でき、例えば、マンネンロウ、レイシ、姫茴香、杜松実、セ
ージ、迷迭香、マンネンタケ、月桂樹、迷迭香、マンネンタケ、クワシン、柑橘抽出物、
ニガキ抽出物、コーヒー抽出物、茶抽出物、ゴーヤ抽出物、ハス胚芽抽出物、キダチアロ
エ抽出物、マンネンロウ抽出物、レイシ抽出物、ローレル抽出物、セージ抽出物、キャラ
ウェイ抽出物等が挙げられる。
酸化防止剤としては、特に限定されず、通常のビールや発泡酒に酸化防止剤として用い
られるものが使用でき、例えば、アスコルビン酸、エリソルビン酸、及びカテキン等が挙
げられる。
香料としては、特に限定されず、一般的なビール香料を用いることができる。ビール香
料は、ビール様の風味付けのために用いるものであり、発酵により発生する醸造成分等が
含まれる。
なお、上述のとおり、本発明の一態様のビールテイスト飲料は、アルコール発酵により
生じる酢酸エチルを含むものであるが、当該酢酸エチルは、香料としての機能を有する。
そのため、本発明の一態様のビールテイスト飲料は、ビール香料を別途添加する必要は特
段無いが、所望に応じて、ビール香料を添加してもよい。
酢酸エチル以外のビール香料としては、エステルや高級アルコール等が挙げられ、具体
的には、酢酸イソアミル、n−プロパノール、イソブタノール、及びアセトアルデヒド等
が挙げられる。また、ビール様の風味付けをより強くするために、別途酢酸エチルを添加
してもよい。
酸味料としては、酸味を有する物質であれば特に限定されないが、例えば、リン酸、ク
エン酸、グルコン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、フィチン酸、酢酸、コハク酸、グルコノ
デルタラクトン又はそれらの塩が挙げられる。
これらの酸味料の中でも、リン酸、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、
フィチン酸、酢酸、コハク酸又はそれらの塩が好ましく、リン酸、クエン酸、乳酸、酒石
酸、酢酸又はそれらの塩がより好ましい。
これらの酸味料は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
1.2 炭酸ガス
本発明の一態様のビールテイスト飲料に含まれる炭酸ガスは、原材料に含まれる炭酸ガ
スを利用してもよく、また、炭酸水との混和または炭酸ガスの添加等で溶解させてもよい

本発明の一態様のビールテイスト飲料は、アルコール発酵を行うため、この発酵工程で
生じた炭酸ガスをそのまま用いることができるが、適宜炭酸水を加えて、炭酸ガスの量を
調製してもよい。
本発明の一態様のビールテイスト飲料に含まれる炭酸ガスの量は、飲料の炭酸ガス圧に
よって表されるが、これは、本発明の効果を妨げない限り、特に限定されない。典型的に
は、飲料の炭酸ガス圧の上限は5.0kg/cm、4.5kg/cm、又は4.0k
g/cmであり、下限は0.20kg/cm、0.50kg/cm、又は1.0k
g/cmであり、これらの上限および下限のいずれを組み合わせてもよい。例えば、飲
料の炭酸ガス圧は、0.20kg/cm以上5.0kg/cm以下、0.50kg/
cm以上4.5kg/cm以下、または、1.0kg/cm以上4.0kg/cm
以下であってよい。
本明細書において、ガス圧とは、特別な場合を除き、容器内におけるガス圧をいう。
圧力の測定は、当業者によく知られた方法、例えば20℃にした試料をガス内圧計に固
定した後、一度ガス内圧計の活栓を開いてガスを抜き、再び活栓を閉じ、ガス内圧計を振
り動かして指針が一定の位置に達したときの値を読み取る方法を用いて、または市販のガ
ス圧測定装置を用いて測定することができる。
1.3 その他の添加物
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じ
て、様々な添加物を添加してもよい。
そのような添加物としては、例えば、着色料、泡形成剤、発酵促進剤、酵母エキス、ペ
プチド含有物等のタンパク質系物質、アミノ酸等の調味料が挙げられる。
着色料は、飲料にビール様の色を与えるために使用するものであり、カラメル色素など
を用いることができる。泡形成剤は、飲料にビール様の泡を形成させるため、あるいは飲
料の泡を保持させるために使用するものであり、大豆サポニン、キラヤサポニン等の植物
抽出サポニン系物質、コーン、大豆などの植物タンパク、およびペプチド含有物、ウシ血
清アルブミン等のタンパク質系物質、酵母エキスなどを適宜使用することができる。
発酵促進剤は、酵母による発酵を促進させるために使用するものであり、例えば、酵母
エキス、米や麦などの糠成分、ビタミン、ミネラル剤などを単独または組み合わせて使用
することができる。
1.4 容器詰飲料
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、容器に詰められた容器詰飲料であってもよい
。容器詰飲料にはいずれの形態・材質の容器を用いてもよく、容器の例としては、ビン、
缶、樽またはペットボトルが挙げられるが、特に持ち運びが容易であるとの観点から、缶
、ビンやペットボトルが好ましい。
2. ビールテイスト飲料の製造方法
本発明の一態様のビールテイスト飲料の製造方法としては、ホップを配合する工程を有
さず、酢酸エチルが発生し得るアルコール発酵の工程と、香気成分(A)を配合する工程
を有するものであればよいが、下記工程(1)〜(2)を有する方法であることが好まし
く、更に下記工程(3)及び(4)の少なくとも一方を有する方法であることがより好ま
しく、下記工程(1)〜(4)を有する方法であることが更に好ましい。
・工程(1):水及び麦芽を含む原料液に、酵母を添加して、アルコール発酵を行う工程

・工程(2):カンファー、ピネン、及びテルピネンからなる群より選択される少なくと
も一種を含む香気成分(A)を配合する工程。
・工程(3):ナリンジン及びキニーネからなる群より選択される少なくとも一種を含む
苦味成分(B)を配合する工程。
・工程(4):穀物に由来するスピリッツを添加する工程。
なお、上記の工程(1)〜(4)を経る順序は特に限定されない。
例えば、工程(1)でアルコール発酵を行った原料液に、工程(2)として、香気成分
(A)を配合してもよく、また、工程(2)として、水及び麦芽と共に、香気成分(A)
を配合して、発酵前の原料液を調製した後、工程(1)として、香気成分(A)を含む原
料液に対してアルコール発酵を行ってもよい。
同様に、工程(3)及び工程(4)についても、同様に、それぞれの工程を行う順序は
特に限定されず、例えば、工程(3)及び工程(4)で行う各成分の配合は、工程(1)
の前の発酵前の原料液に対して行ってもよく、工程(1)の後の発行後の原料液に対して
行ってもよい。
なお、本発明の一態様のビールテイスト飲料の製造方法においては、ホップを配合する
工程を有さないが、不可避的に混入する態様までを除外するわけではない。
<工程(1)>
工程(1)は、水及び麦芽を含む原料液に、酵母を添加して、アルコール発酵を行う工
程である。
原料液の調製方法としては、原料を仕込釜又は仕込槽に投入し、必要に応じてアミラー
ゼ等の酵素を添加し、糊化、糖化を行わせ、ろ過して煮沸し、清澄タンクにて凝固タンパ
ク等の固形分を取り除く。その後、さらに酵母を添加して発酵させ、ろ過機等で酵母を取
り除き、必要に応じて水や香料、酸味料、色素等の添加剤を加えて、原料液を調製するこ
とができる。
なお、酸化防止剤、苦味付与剤、香料、酸味料、色素等は、発酵工程後において所定量
添加してもよいが、糊化・糖化工程を含む製造工程中の任意のタイミングで添加してもよ
く、添加タイミングは限定されない。
本工程で用いる酵母は、製造すべき発酵飲料の種類、目的とする香味や発酵条件等を考
慮して適宜選択することができ、例えば、Weihenstephan-34株等の市販の酵母を用いるこ
とができる。
酵母は、酵母懸濁液のまま原料液に添加しても良いし、遠心分離あるいは沈降により酵
母を濃縮したスラリーを原液に添加してもよい。また、遠心分離の後、完全に上澄みを取
り除いたものを添加しても良い。酵母の原液への添加量は適宜設定できるが、例えば、5
×10cells/ml〜1×10cells/ml程度である。
アルコール発酵を行う際の発酵温度及び発酵期間等の諸条件は、適宜設定することがで
きるが、例えば、通常のビールや発泡酒の製造のための発酵条件である、8〜25℃、5
〜10日間、の条件で発酵させてもよい。発酵工程の途中で発酵液の温度(昇温又は降温
)もしくは圧力を変化させてもよい。
発酵工程を行った後は、貯酒工程及び過工程等の当業者に周知のビールテイスト飲料の
製造で行われる工程を行ってもよい。
<工程(2)〜(4)>
工程(2)は、カンファー、ピネン、及びテルピネンからなる群より選択される少なく
とも一種を含む香気成分(A)を配合する工程である。
また、工程(3)は、ナリンジン及びキニーネからなる群より選択される少なくとも一
種を含む苦味成分(B)を配合する工程であり、工程(4)は、穀物に由来するスピリッ
ツを添加する工程である。
工程(2)〜(4)において、各工程で配合する成分は、発酵前の原料液に対して配合
してもよく、発酵後の原料液に対して配合してもよい。また、一度に添加してもよく、複
数回に分けて添加してもよい。
また、香気成分(A)、苦味成分(B)、及びスピリッツを同時に配合し、工程(2)
〜(4)を同時に行ってもよい。
さらに、工程(2)〜(4)を行う際に、他の添加剤も同時に配合してもよい。
このようにして得られた本発明の一態様のビールテイスト飲料は、所定の容器に充填さ
れ、製品として市場に流通する。
ビールテイスト飲料の容器詰め方法としては、特に限定されず、当業者に周知の容器詰
め方法を用いることができる。容器詰め工程によって、本発明のビールテイスト飲料は容
器に充填・密閉される。容器詰め工程には、いずれの形態・材質の容器を用いてもよく、
容器の例としては、「1.4 容器詰飲料」に記載の容器が挙げられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によって
は制限されない。
なお、以下の実施例及び比較例で調製したビールテイスト飲料の評価は、同一の5人の
パネラーが、各ビールテイスト飲料の臭いの確認及び試飲をし、以下のように行った。
[日光臭の抑制効果、爽やかな香味の有無、総合評価]
実施例及び比較例で調製したビールテイスト飲料を、透明容器に密封した状態で、紫外
線照射装置を用いて、紫外線強度を180Wh/mで、2時間20分間紫外線を照射し
た後、4℃程度に冷却した後、透明容器を空けて、各パネラーが臭いの確認及び試飲をし
、「日光臭の抑制効果」及び「爽やかな香味の有無」をそれぞれ下記基準で三段階評価し
た。
なお、「日光臭の抑制効果」及び「爽やかな香味の有無」の評価前に、予め、それぞれ
の評価が「2」となるサンプルを用意し、各パネラー間での基準の統一を図った。
(日光臭の抑制効果の有無)
・「3」:日光臭が感じられない。
・「2」:日光臭がやや感じられる。
・「1」:強い日光臭が感じられる。
(爽やかな香味の有無)
・「3」:香味の強さが丁度良く、爽やかな香味が感じられる。
・「2」:香味がやや弱い、もしくは香味がやや強いが、爽やかな香味がやや感じられる

・「1」:香味が弱い、もしくは、香味が強すぎる。
そして、5人のパネラーの平均値に基づき、以下の基準で「日光臭の抑制効果」及び「
爽やかな香味の有無」をそれぞれ評価した。
・「〇」:5人のパネラーの平均値が、2.0超3.0以下。
・「△」:5人のパネラーの平均値が、1.0超2.0以下。
・「×」:5人のパネラーの平均値が、1.0(5人全員が「1」評価)。
また、各パネラーが試飲した際の、ビールテイスト飲料としての総合評価を、五段階評
価をした(評価順:「5」>「4」>「3」>「2」>「1」)。
そして、5人のパネラーの平均値を基に、以下の基準で「総合評価」をした。
・「〇」:5人のパネラーの平均値が、3.0超5.0以下。
・「△」:5人のパネラーの平均値が、2.0超3.0以下。
・「×」:5人のパネラーの平均値が、2.0以下。
[爽やかな香味の有無、程よい苦味、総合評価]
実施例及び比較例で調製し、4℃程度まで冷却したビールテイスト飲料を、各パネラー
が試飲し、「爽やかな香味の有無」及び「程よい苦味の有無」をそれぞれ下記基準で三段
階評価した。なお、「爽やかな香味の有無」及び「程よい苦味の有無」の評価前に、予め
、それぞれの評価が「2」となるサンプルを用意し、各パネラー間での基準の統一を図っ
た。
(爽やかな香味の有無)
・「3」:香味の強さが丁度良く、優れた爽やかな香味が感じられる。
・「2」:香味がやや弱い、もしくは香味がやや強いが、爽やかな香味がやや感じられる

・「1」:香味が弱い、もしくは、香味が強すぎる。
(程よい苦味の有無)
・「3」:苦味の強さが丁度良く、良好な程よい苦味が感じられる。
・「2」:苦味がやや弱い、もしくは苦味がやや強いが、程よい苦味が感じられる。
・「1」:苦味が弱い、もしくは、苦味が強すぎる。
そして、5人のパネラーの平均値に基づき、以下の基準で「爽やかな香味の有無」及び
「程よい苦味」をそれぞれ評価した。
・「〇」:5人のパネラーの平均値が、2.0超3.0以下。
・「△」:5人のパネラーの平均値が、1.0超2.0以下。
・「×」:5人のパネラーの平均値が、1.0(5人全員が「1」評価)。
[総合評価]
また、各パネラーが試飲した際の、「爽やかな香味」及び「程よい苦味」のバランスを
考慮した総合評価を、下記基準による五段階評価をした。
・「5」:爽やかな香味及び程よい苦味のバランスに非常に優れている。
・「4」:爽やかな香味及び程よい苦味のバランスに優れている。
・「3」:爽やかな香味及び程よい苦味のバランスはある程度良好である。
・「2」:香味又は苦味の一方がやや強い、もしくは、一方がやや弱い。
・「1」:香味又は苦味の一方が強すぎる、もしくは、一方が弱すぎる。
そして、5人のパネラーの平均値を基に、以下の基準で「総合評価」をした。
・「◎」:5人のパネラーの平均値が、4.0超5.0以下。
・「〇」:5人のパネラーの平均値が、3.0超4.0以下。
・「△」:5人のパネラーの平均値が、2.0超3.0以下。
・「×」:5人のパネラーの平均値が、2.0以下。
実施例1A〜3A、比較例1A〜2A
粉砕した麦芽10kgを、52℃で保持された温水40Lが入った仕込槽に投入した後
、52℃で30分間保持し、続いて70℃で40分間、さらに76℃で5分間と段階的に
温度を上げて保持した後、濾過して麦芽粕を除去し麦汁を得た。前記麦汁を煮沸釜に投入
し、液糖(糖化スターチ、加藤化学株式会社製)18.3kg、酵母エキス(HY−YE
ST504、KERRY社製)0.4kg、大豆たんぱく分解物(ハイニュートDC、不
二製油株式会社製)0.04kgの原料混合物を添加し、温水で100Lに調整した。
続いて麦汁を煮沸してから冷却した後、得られた醗酵前液にビール酵母を添加して約1
週間発酵させた後、さらに約1週間の熟成期間を経て、酵母をろ過で除去して、エキス調
整水、及び小麦に由来するスピリッツを添加し、発酵後原料液を得た。
その後、表1に示す種類の香気成分を、表1に示す含有量となるように、発酵後原料液
に配合し、ビールテイスト飲料を調製した。なお、調製したビールテイスト飲料は、いず
れも酢酸エチルの含有量は45質量ppm前後であり、二酸化硫黄の含有量は7質量pp
m前後であった。
各ビールテイスト飲料について、上述の官能評価に基づき、「日光臭の抑制効果」、「
爽やかな香味の有無」、及び「総合評価」について評価した。評価の結果を表1に示す。
なお、表1のいずれの官能評価においても、各パネラー間での2段階以上の評価の差異は
確認されなかった。
表1より、実施例1A〜3Aで調製したビールテイスト飲料は、日光臭の発生が抑制さ
れており、爽やかな香味を有するとの評価が得られた。一方で、比較例1Aで調製したビ
ールテイスト飲料は、香気成分を含有していないため、香味が感じられず、後味が劣るも
のであった。また、比較例2Aで調製したビールテイスト飲料は、ホップに由来するイソ
α酸が紫外線により変質し、日光臭の発生が確認された。
実施例1B〜14B、比較例1B〜3B
上述の実施例1A等と同様の方法で調製した発酵後原料液に、表2に示す種類の香気成
分を、表2に示す含有量となるように配合して、ビールテイスト飲料を調製した。なお、
調製したビールテイスト飲料は、いずれも、イソα酸の含有量は0.01質量ppm未満
であり、酢酸エチルの含有量は45質量ppm前後であり、二酸化硫黄の含有量は7質量
ppm前後であった。
各ビールテイスト飲料について、上述の官能評価に基づき「爽やかな香味の有無」につ
いて評価した。評価の結果を表2に示す。なお、表2のいずれの官能評価においても、各
パネラー間での2段階以上の評価の差異は確認されなかった。
表2より、実施例1B〜14Bで調製したビールテイスト飲料は、爽やかな香味を有す
るとの評価が得られた。一方で、比較例1B〜3Bで調製したビールテイスト飲料は、香
気成分を含有しておらず、爽やかな香味が感じられず、後味が劣るものであった。
実施例1C〜2C
上述の実施例1A等と同様の方法で調製した発酵後原料液に、香気成分であるカンファ
ー及び苦味成分であるナリンジンを、表3に示す含有量となるように配合して、ビールテ
イスト飲料を調製した。なお、調製したビールテイスト飲料は、いずれも、イソα酸の含
有量は0.01質量ppm未満であり、酢酸エチルの含有量は45質量ppm前後であり
、二酸化硫黄の含有量は7質量ppm前後であった。
各ビールテイスト飲料について、上述の官能評価に基づき「爽やかな香味の有無」、「
程よい苦味の有無」及び「総合評価」について評価した。評価の結果を表3に示す。なお
、表3のいずれの官能評価においても、各パネラー間での2段階以上の評価の差異は確認
されなかった。
表3より、実施例2Cで調製したビールテイスト飲料は、苦味成分を含有したため、程
よい苦味が付与され、爽やかな香味と程よい苦味のバランスに優れたものとなり、また優
れた後味を有することが確認された。
実施例1D〜8D、比較例1D
上述の実施例1A等と同様の方法で調製した発酵後原料液に、香気成分であるカンファ
ー及び苦味成分であるナリンジンを、表4に示す含有量となるように配合し、ビールテイ
スト飲料を調製した。なお、調製したビールテイスト飲料は、いずれも、イソα酸の含有
量は0.01質量ppm未満であり、酢酸エチルの含有量は45質量ppm前後であり、
二酸化硫黄の含有量は7質量ppm前後であった。
各ビールテイスト飲料について、上述の官能評価に基づき「爽やかな香味の有無」、「
程よい苦味の有無」及び「総合評価」について評価した。評価の結果を表4に示す。なお
、表4のいずれの官能評価においても、各パネラー間での2段階以上の評価の差異は確認
されなかった。
表4より、実施例1D〜8Dで調製したビールテイスト飲料は、苦味成分を含有したた
め、程よい苦味が付与され、爽やかな香味と程よい苦味のバランスに優れたものとなり、
また優れた後味を有することが確認された。
実施例1E〜7E、比較例1E
上述の実施例1A等と同様の方法で調製した発酵後原料液に、香気成分であるカンファ
ー及び苦味成分であるキニーネを、表5に示す含有量となるように配合して、ビールテイ
スト飲料を調製した。なお、調製したビールテイスト飲料は、いずれも、イソα酸の含有
量は0.01質量ppm未満であり、酢酸エチルの含有量は45質量ppm前後であり、
二酸化硫黄の含有量は7質量ppm前後であった。
各ビールテイスト飲料について、上述の官能評価に基づき「爽やかな香味の有無」、「
程よい苦味の有無」及び「総合評価」について評価した。評価の結果を表5に示す。なお
、表5のいずれの官能評価においても、各パネラー間での2段階以上の評価の差異は確認
されなかった。
表5より、実施例1E〜7Eで調製したビールテイスト飲料についても、爽やかな香味
と程よい苦味のバランスに優れたものとなり、また優れた後味を有することが確認された
実施例1F〜9F、比較例1F
上述の実施例1A等と同様の方法で調製した発酵後原料液に、香気成分であるα−ピネ
ン及び苦味成分であるナリンジンを、表6に示す含有量となるように配合し、ビールテイ
スト飲料を調製した。なお、調製したビールテイスト飲料は、いずれも、イソα酸の含有
量は0.01質量ppm未満であり、酢酸エチルの含有量は45質量ppm前後であり、
二酸化硫黄の含有量は7質量ppm前後であった。
各ビールテイスト飲料について、上述の官能評価に基づき「爽やかな香味の有無」、「
程よい苦味の有無」及び「総合評価」について評価した。評価の結果を表6に示す。なお
、表6のいずれの官能評価においても、各パネラー間での2段階以上の評価の差異は確認
されなかった。
表6より、実施例1F〜9Fで調製したビールテイスト飲料は、苦味成分を含有したた
め、程よい苦味が付与され、爽やかな香味と程よい苦味のバランスに優れたものとなり、
また優れた後味を有することが確認された。
実施例1G〜9G、比較例1G
上述の実施例1A等と同様の方法で調製した発酵後原料液に、香気成分であるα−ピネ
ン及び苦味成分であるキニーネを、表7に示す含有量となるように配合して、ビールテイ
スト飲料を調製した。なお、調製したビールテイスト飲料は、いずれも、イソα酸の含有
量は0.01質量ppm未満であり、酢酸エチルの含有量は45質量ppm前後であり、
二酸化硫黄の含有量は7質量ppm前後であった。
各ビールテイスト飲料について、上述の官能評価に基づき「爽やかな香味の有無」、「
程よい苦味の有無」及び「総合評価」について評価した。評価の結果を表7に示す。なお
、表7のいずれの官能評価においても、各パネラー間での2段階以上の評価の差異は確認
されなかった。
表7より、実施例1G〜9Gで調製したビールテイスト飲料についても、爽やかな香味
と程よい苦味のバランスに優れたものとなり、また優れた後味を有することが確認された
実施例1H〜9H、比較例1H
上述の実施例1A等と同様の方法で調製した発酵後原料液に、香気成分であるγ−テル
ピネン及び苦味成分であるナリンジンを、表8に示す含有量となるように配合し、ビール
テイスト飲料を調製した。なお、調製したビールテイスト飲料は、いずれも、イソα酸の
含有量は0.01質量ppm未満であり、酢酸エチルの含有量は45質量ppm前後であ
り、二酸化硫黄の含有量は7質量ppm前後であった。
各ビールテイスト飲料について、上述の官能評価に基づき「爽やかな香味の有無」、「
程よい苦味の有無」及び「総合評価」について評価した。評価の結果を表8に示す。なお
、表8のいずれの官能評価においても、各パネラー間での2段階以上の評価の差異は確認
されなかった。
表8より、実施例1H〜9Hで調製したビールテイスト飲料は、苦味成分を含有したた
め、程よい苦味が付与され、爽やかな香味と程よい苦味のバランスに優れたものとなり、
また優れた後味を有することが確認された。
実施例1I〜8I、比較例1I
上述の実施例1A等と同様の方法で調製した発酵後原料液に、香気成分であるγ−テル
ピネン及び苦味成分であるキニーネを、表9に示す含有量となるように配合して、ビール
テイスト飲料を調製した。なお、調製したビールテイスト飲料は、いずれも、イソα酸の
含有量は0.01質量ppm未満であり、酢酸エチルの含有量は45質量ppm前後であ
り、二酸化硫黄の含有量は7質量ppm前後であった。
各ビールテイスト飲料について、上述の官能評価に基づき「爽やかな香味の有無」、「
程よい苦味の有無」及び「総合評価」について評価した。評価の結果を表9に示す。なお
、表9のいずれの官能評価においても、各パネラー間での2段階以上の評価の差異は確認
されなかった。
表9より、実施例1I〜8Iで調製したビールテイスト飲料についても、爽やかな香味
と程よい苦味のバランスに優れたものとなり、また優れた後味を有することが確認された


Claims (9)

  1. イソα酸の含有量が0.1質量ppm以下であり、
    酢酸エチルを含み、
    カンファー、ピネン、及びテルピネンからなる群より選択される少なくとも一種を含む
    香気成分(A)を含有する、ビールテイスト飲料。
  2. 香気成分(A)として前記カンファーを含有する場合、当該カンファーの含有量が、前
    記ビールテイスト飲料の全量基準で、0.0010質量ppm以上0.50質量ppm未
    満であり、
    香気成分(A)として前記ピネンを含有する場合、当該ピネンの含有量が、前記ビール
    テイスト飲料の全量基準で、0.0050〜45質量ppmであり、
    香気成分(A)として前記テルピネンを含有する場合、当該テルピネンの含有量が、前
    記ビールテイスト飲料の全量基準で、0.0010〜5.0質量ppmである、
    請求項1に記載のビールテイスト飲料。
  3. さらに、ナリンジン及びキニーネからなる群より選択される少なくとも一種を含む苦味
    成分(B)を含有する、請求項1又は2に記載のビールテイスト飲料。
  4. 苦味成分(B)として前記ナリンジンを含有する場合、当該ナリンジンの含有量が、前
    記ビールテイスト飲料の全量基準で、3.00〜480質量ppmであり、
    苦味成分(B)として前記キニーネを含有する場合、当該キニーネの含有量が、前記ビ
    ールテイスト飲料の全量基準で、0.120〜4.80質量ppmである、請求項3に記
    載のビールテイスト飲料。
  5. 穀物に由来するスピリッツを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のビールテイス
    ト飲料。
  6. 香気成分(A)が、植物種子に由来する成分である、請求項1〜5のいずれか一項に記
    載のビールテイスト飲料。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料を製造する方法であって、
    下記工程(1)及び(2)を有し、ホップを配合する工程を有しない、ビールテイスト
    飲料の製造方法。
    ・工程(1):水及び麦芽を含む原料液に、酵母を添加して、アルコール発酵を行う工程

    ・工程(2):カンファー、ピネン、及びテルピネンからなる群より選択される少なくと
    も一種を含む香気成分(A)を配合する工程。
  8. さらに、下記工程(3)を有する、請求項7に記載のビールテイスト飲料の製造方法。
    ・工程(3):ナリンジン及びキニーネからなる群より選択される少なくとも一種を含む
    苦味成分(B)を配合する工程。
  9. さらに、下記工程(4)を有する、請求項7又は8に記載のビールテイスト飲料の製造
    方法。
    ・工程(4):穀物に由来するスピリッツを添加する工程。
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