JP7281345B2 - ビールテイスト飲料、およびビールテイスト飲料の製造方法 - Google Patents

ビールテイスト飲料、およびビールテイスト飲料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ビールテイスト飲料、およびビールテイスト飲料の製造方法に関する。
一般的なビールや発泡酒のようなビールテイスト飲料には、主原料として麦芽とホップ
が用いられる。原料として、麦芽が使用されることによって、麦芽由来の旨味や味わいが
豊かな飲料が製造できる。また、原料としてホップが使用されることによって、ホップ特
有の苦味や渋みおよびその他の香味により、苦味や香りが付与された飲料が製造できる。
しかし、原料に麦芽を多く用いると、飲料の安定性が低くなり、時間経過に伴い、濁り
が生じることがある。また、麦芽由来のタンパクや、麦芽およびホップ由来のポリフェノ
ールが重合し、飲料の品質に悪影響を与えることがある。
そこで、これらの問題を解決するために、原料に発芽豆類を使用し、麦芽を使用しない
発泡性アルコール飲料が開発された(特開2009-136186号公報(特許文献1))
特開2009-136186号公報
しかし、麦芽の使用量を減らすと、濁りが生じにくくなり安定性は向上するが、麦芽由
来のタンパクおよびポリフェノールの含有量が少なくなり、風味の厚みが減少し、ホップ
の苦味が目立ってしまう。このような苦味を抑制するためにホップの使用量を減らすとホ
ップ特有の苦味がなくなり風味がなくなってしまう。
そこで、麦芽に起因する濁りを抑制し、風味の優れたビールテイスト飲料が求められて
いる。
本発明は、ホップに含まれるイソα酸を実質的に含有しないビールテイスト飲料であっ
て、全窒素量、総ポリフェノールおよびリナロールの含有量が所定の範囲内のビールテイ
スト飲料を提供する。
本発明には以下の態様の発明が含まれる。
[1]
イソα酸の含有量が0.1質量ppm以下、全窒素量が8~45mg/100ml、総
ポリフェノール量が10~60質量ppm、および、リナロールの含有量が1400pp
b以下である、ビールテイスト飲料。
[2]
全窒素量が10~40mg/100ml、総ポリフェノール量が12~50質量ppm
、および、リナロールの含有量が10~1000ppbである、[1]に記載のビールテ
イスト飲料。
[3]
全窒素量(mg/100ml)/総ポリフェノール量(質量ppm)が0.3~4.5
である、[1]または[2]に記載のビールテイスト飲料。
[4]
窒素またはポリフェノールの少なくとも一部が麦芽由来である、[1]~[3]のいず
れかに記載のビールテイスト飲料。
[5]
[1]~[4]のいずれかに記載のビールテイスト飲料を製造する方法であって、
水および麦芽を含む原料に、酵母を添加して、アルコール発酵を行う工程を有する、ビ
ールテイスト飲料の製造方法。
[6]
ホップを配合する工程を有しない、[5]に記載のビールテイスト飲料の製造方法。
[7]
麦芽比率が5~20質量%である、[5]または[6]に記載のビールテイスト飲料の
製造方法。
[8]
さらに、酵母が資化可能な原料からなる群から選ばれる1種以上を配合する工程を有す
る、[5]~[7]のいずれかに記載のビールテイスト飲料の製造方法。
[9]
さらに、穀物に由来するスピリッツを添加する工程を有する、[5]~[8]のいずれ
かに記載のビールテイスト飲料の製造方法。
[10]
さらに、リナロールを含有する原料を添加する工程を有する、[5]~[9]のいずれ
かに記載のビールテイスト飲料の製造方法。
本発明の好適な一態様によれば、麦芽に起因する濁りを抑制でき、また、風味の優れた
ビールテイスト飲料が提供される。
1.ビールテイスト飲料
本発明のビールテイスト飲料は、イソα酸の含有量が0.1質量ppm以下、全窒素量
が8~45mg/100ml、総ポリフェノール量が10~60質量ppmであり、リナ
ロールの含有量が1400ppb以下のビールテイスト飲料である。
なお、本明細書において、「ビールテイスト飲料」とは、ビール様の風味をもつアルコ
ール含有またはノンアルコールの炭酸飲料をいう。つまり、本明細書のビールテイスト飲
料は、特に断わりがない場合、ビール風味を有するいずれの炭酸飲料をも包含する。した
がって、麦汁に酵母を添加して発酵させて製造される飲料に限定されず、エステルや高級
アルコール(例えば、酢酸イソアミル、酢酸エチル、n-プロパノール、イソブタノール
、アセトアルデヒド)等を含むビール香料が添加された炭酸飲料をも包含する。
本発明の一態様のビールテイスト飲料の種類としては、例えば、アルコール含有のビー
ルテイスト飲料、アルコール度数が1(v/v)%未満のビールテイスト飲料等も含まれ
る。
本発明のビールテイスト飲料は、イソα酸の含有量を0.1質量ppm以下に制限して
いる。イソα酸は、ホップに多く含まれる苦味成分である。つまり、イソα酸の含有量が
0.1質量ppm以下であるビールテイスト飲料は、「ホップに由来する成分を実質的に
含まない」ビールテイスト飲料であることを意味する。
なお、本明細書において、「ホップに由来する成分を実質的に含まない」とは、ビール
テイスト飲料を製造する際に、原材料として、ホップおよびホップに由来する成分をいず
れも積極的に添加しないこと意味し、ビールテイスト飲料の製造の際にホップ由来の成分
が不可避的に混入する態様は包含する。
また、ビールテイスト飲料の原材料として、ホップおよびホップに由来する成分が積極
的に添加されているか否かは、酒税法、食品表示法、食品衛生法、JAS法、景品表示法
、健康増進法あるいは業界団体が定めた規約や自主基準等によって定められた原材料表示
から確認することもできる。例えば、ホップおよびホップに由来する成分が含まれている
場合、原材料表示の原材料名に「ホップ」のように表記される。一方、「ホップに由来す
る成分を実質的に含まない」ビールテイスト飲料では、原材料表示の原材料名に「ホップ
」との表記がされない。
本発明のビールテイスト飲料は、安定性の向上のために麦芽の使用量を減らされたこと
によって苦味が目立ちやすくなるが、ホップに多く含まれるイソα酸の含有量が0.1質
量ppm以下に制限されているため、風味の優れたビールテイスト飲料となる。
上記観点から、本発明の一態様のビールテイスト飲料において、イソα酸の含有量は、
当該ビールテイスト飲料の全量(100質量%)基準で、0.1質量ppm以下であるが
、好ましくは0.05質量ppm以下、より好ましくは0.01質量ppm以下である。
なお、本明細書において、イソα酸の含有量は、改訂BCOJビール分析法(2013
年増補改訂)に記載の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析法により測定された
値を意味する。
本発明のビールテイスト飲料の全窒素量は8~45mg/100mlである。本発明に
おける「全窒素量」とは、タンパク質、アミノ酸等の全ての窒素化合物の総量である。
全窒素量は飲み応え、味の厚み、味わい等に影響する。全窒素量を8mg/100mL
以上とすることによって飲み応え、味の厚み、味わいを向上させることができる。これら
をさらに向上させる観点から全窒素量は11mg/100mL以上が好ましく、14mg
/100mL以上がより好ましく、17mg/100mL以上がより好ましく、20mg
/100mL以上がさらに好ましい。
他方、全窒素量が多過ぎると、飲料の混濁安定性が低下し、また飲み口も重くなってし
まう。そこで、本発明の飲料の全窒素量は45mg/100ml以下であり、40mg/
100ml以下が好ましく、35mg/100ml以下がより好ましく、30mg/10
0ml以下がさらに好ましい。
本発明のビールテイスト飲料の全窒素量は、比較的窒素含有量が多く、酵母が資化可能
な原材料の使用量を調整することによって制御できる。具体的には、窒素含有量の多い麦
芽等の使用量を増やすことにより全窒素量を増加させることができる。窒素含有量の多い
原料としては、例えば、麦芽、大豆、酵母エキス、エンドウ、未発芽の穀物などが挙げら
れる。また未発芽の穀物としては、例えば、未発芽の大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、オ
ート麦、ハト麦、エン麦、大豆、エンドウ等が挙げられる。
本発明に係るビールテイスト飲料の全窒素量は、例えば、改訂BCOJビール分析法(
公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集20
13年増補改訂)に記載されている方法によって測定することができる。
本発明のビールテイスト飲料の総ポリフェノール量は10~60質量ppmである。
ポリフェノールとは、芳香族炭化水素の2個以上の水素がヒドロキシル基で置換された
化合物をいう。ポリフェノールとしては、例えば、フラボノール、イソフラボン、タンニ
ン、カテキン、ケルセチン、アントシアニンなどが挙げられる。
本発明における「総ポリフェノール量」とは、ビールテイスト飲料に含まれるこれらポ
リフェノールの総量である。
総ポリフェノール量は飲み応え、味の厚み、味わい等に影響する。総ポリフェノール量
を10質量ppm以上とすることによって飲み応え、味の厚み、味わいを向上させること
ができる。これらをさらに向上させる観点から総ポリフェノール量は12質量ppm以上
が好ましく、14質量ppm以上がより好ましく、16質量ppm以上がより好ましく、
18質量ppm以上がより好ましく、20質量ppm以上がさらに好ましい。
他方、総ポリフェノール量が多過ぎると、飲料の混濁安定性が低下し、また飲み口も重
くなってしまう。そこで、本発明の飲料の総ポリフェノール量は60質量ppm以下であ
り、55質量ppm以下が好ましく、50質量ppm以下がより好ましく、45質量pp
m以下がより好ましく、40質量ppm以下がさらに好ましい。
本発明のビールテイスト飲料の総ポリフェノール量は、例えば、大麦麦芽、麦芽のハス
ク(穀皮)などのポリフェノール含有量の多い原材料の使用量を調整することによって制
御できる。具体的には、ポリフェノール含有量の多い麦芽等の原材料の使用量を増やすこ
とにより総ポリフェノール量を増加させることができる。
一般的に、ハスク(穀皮)がある麦芽等は窒素およびポリフェノールの含有量が多く、
大豆、酵母エキス、小麦、小麦麦芽等は窒素の含有量が多いがポリフェノールの含有量が
少ない。そこで、ビールテイスト飲料における全窒素量および総ポリフェノール量は、原
料の配合割合を調整することによって、増減させることができる。以下、全窒素量および
総ポリフェノール量を増減させる代表的な方法(1)~(4)を挙げる。
(1)ハスクがある麦芽等の使用量を増やすことによって、ビールテイスト飲料の全窒素
量および総ポリフェノール量を増やす。
(2)大豆、酵母エキス等の使用量を増減させることによって、総ポリフェノール量を維
持しながら、ビールテイスト飲料の全窒素量を増減させる。
(3)ハスクがある麦芽等の使用量を増やし大豆、酵母エキス等の使用量を減らすことに
よって、全窒素量を維持しながら、総ポリフェノール量を増やす。
(4)ハスクがある麦芽等の使用量を減らし大豆、酵母エキス等の使用量を増やすことに
よって、全窒素量を維持しながら、総ポリフェノール量を減らす。
本発明のビールテイスト飲料の総ポリフェノール量は、例えば、改訂BCOJビール
分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕
編集2013年増補改訂)に記載されている方法によって測定することができる。
本発明のビールテイスト飲料において、全窒素量が総ポリフェノールに対して大きすぎ
ると飲み口が重くなり、小さすぎると水っぽくなってしまう。そこで、本発明のビールテ
イスト飲料における全窒素量と総ポリフェノール量との割合である全窒素量(mg/10
0ml)/総ポリフェノール量(質量ppm)が0.3~4.5であることが好ましく、
0.7~3.3であるとさらに好ましい。
本発明のビールテイスト飲料のリナロールの含有量は1400ppb以下である。
リナロールは、モノテルペンアルコールの一種であり、一般的に香料として使用されて
いる。リナロールは特徴的な香りを有するため、ビールテイスト飲料の飲用時の味の感じ
方にも影響を及ぼし得る。本発明のビールテイスト飲料は、リナロールを所定量含むこと
でビールらしい軽快なのどごしを付与することができる。特に、イソα酸の含有量が0.
1質量ppm以下のビールテイスト飲料はホップ由来の特有な苦味を感じにくいため、リ
ナロールを一定量含有するとビールらしい軽快なのどごしを効果的に付与できる。そこで
、本発明のビールテイスト飲料のリナロールの含有量は10ppb以上が好ましく、50
ppb以上がさらに好ましく、100ppb以上が特に好ましい。
他方、ビールテイスト飲料がリナロールを過度に含有すると芳香剤のようなコスメティ
ックな香りが強くなり、ビールテイスト飲料の飲み易さを損なう虞がある。そこで、本発
明の飲料のリナロールの含有量は1000ppb以下が好ましく、800ppb以下がさ
らに好ましく、500ppb以下が特に好ましい。
本発明のビールテイスト飲料のリナロールの含有量は、例えば、リナロールや、リナロ
ール含有量の多い原材料(例えば、コリアンダー、コリアンダーシードまたは香料)の使
用量を調整することによって制御できる。
本発明のビールテイスト飲料のリナロールの含有量は、例えば、ガスクロマトグラフ
質量分析装置(GC-MS)によって測定することができる。
本発明のビールテイスト飲料はノンアルコールビールテイスト飲料を含む。本発明のビ
ールテイスト飲料のアルコール度数は限定されず、好ましくは0~20(v/v)%、よ
り好ましくは1~15(v/v)%、更に好ましくは3~10(v/v)%である。
なお、本明細書において、アルコール度数は、体積/体積基準の百分率(v/v%)で
示されるものとする。また、飲料のアルコール含有量は、公知のいずれの方法によっても
測定することができるが、例えば、振動式密度計によって測定することができる。
また、本発明の一態様のビールテイスト飲料は、アルコール成分として、さらに、穀物
に由来するスピリッツを含有してもよい。
本明細書において、スピリッツとは、麦、米、そば、とうもろこし等の穀物を原料とし
て、麦芽または必要により酵素剤を用いて糖化し、酵母を用いて発酵させた後、更に蒸留
して得られる酒類を意味する。スピリッツの原材料である穀物としては、麦が好ましい。
本発明の一態様のビールテイスト飲料の色は、特に限定されないが、通常のビールのよ
うな琥珀色や黄金色、黒ビールのような黒色、または、無色透明であってもよく、あるい
は着色料などを添加して、所望の色を付けてもよい。ビールテイスト飲料の色は、肉眼で
も判別することができるが、全光線透過率や色度等によって規定してもよい。
本発明の一態様のビールテイスト飲料のpHは、特に限定されないが、好ましくは2.
0~4.5である。ビールテイスト飲料のpHが4.5以下であれば、微生物の発生を抑
制でき、pHが2.0以上であれば飲料の香味が向上しやすい。
また、アルコールを含有するビールテイスト飲料のpHは、好ましくは3.0~4.5
であり、ノンアルコールビールテイスト飲料のpHは、好ましくは4.0未満である。
本発明の一態様のビールテイスト飲料の総エキス量は、特に限定されないが、ビールテ
イスト飲料に軽快な飲み口を付与する観点から、アルコールを含むビールテイスト飲料の
場合は、好ましくは5~18質量%、より好ましくは8~15質量%、更に好ましくは1
1~13質量%である。また、ノンアルコールビールテイスト飲料の場合は、好ましくは
0.10~1.5重量%、より好ましくは0.20~1.1重量%、さらに好ましくは0
.30~0.80重量%である。
なお、本明細書における「総エキス量」は、アルコール度数が1(v/v)%以上の飲
料においては、日本の酒税法におけるエキス分、すなわち、温度15℃の時において原容
量100cm中に含有する不揮発性成分のグラム数をいい、アルコール度数が1(v/
v)%未満の飲料においては、脱ガスしたサンプルをビール酒造組合国際技術委員会(B
COJ)が定める「ビール分析法 7.2 エキス」に従い測定したエキス値(質量%)
をいう。
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、容器詰の態様に適している。容器の例として
は、ビン、ペットボトル、缶、または樽が挙げられるが、特に持ち運びが容易であるとの
観点から、缶、ビン、ペットボトルが好ましい。
なお、無色透明のビンやペットボトルを使用する場合、通常の缶や有色のビンでの場合
と異なり、太陽光や蛍光灯の光にさらされることになる。しかしながら、本発明の一態様
のビールテイスト飲料は、ホップに由来する成分を実質的に含有していないため、日光の
照射に起因した日光臭の発生が抑制される。そのため、本発明の一態様のビールテイスト
飲料は、このような無色透明のビンやペットボトルに充填することもできる。
本発明のビールテイスト飲料に含まれる、穀物、甘味料等の任意の添加原料については
、「1.1原材料」において詳述する。
1.1 原材料
本発明の一態様のビールテイスト飲料の主な原材料は、窒素、ポリフェノール等を含有
する麦芽および水であり、ホップを実質的に使用しないが、その他に、リナロール、甘味
料、水溶性食物繊維、苦味料または苦味付与剤、酸化防止剤、香料、酸味料等を用いても
よい。
麦芽とは、大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦、エン麦などの麦類の種
子を発芽させて乾燥させ、除根したものをいい、産地や品種は、いずれのものであっても
よい。本発明においては、好ましくは大麦麦芽を用いる。大麦麦芽は、日本のビールテイ
スト飲料の原料として最も一般的に用いられる麦芽の1つである。大麦には、二条大麦、
六条大麦などの種類があるが、いずれを用いてもよい。さらに、通常麦芽のほか、色麦芽
なども用いることができる。なお、色麦芽を用いる際には、種類の異なる色麦芽を適宜組
み合わせて用いてもよいし、一種類の色麦芽を用いてもよい。
また、麦芽と共に、麦芽以外の穀物、タンパク、酵母エキス、糖液等を用いてもよい。
そのような穀物としては、例えば、麦芽には該当しない麦(大麦、小麦、ライ麦、カラス
麦、オート麦、ハト麦、エン麦等)、米(白米、玄米等)、とうもろこし、こうりゃん、
ばれいしょ、豆(大豆、えんどう豆等)、そば、ソルガム、粟、ひえ、およびそれらから
得られたデンプン、これらの抽出物(エキス)等が挙げられる。また、タンパクとしては
、大豆タンパク、エンドウ豆タンパク、酵母エキス、これらの分解物等が挙げられる。
また、本発明においては、全窒素量および総ポリフェノール量が一定量以下であるため
、原料における麦芽の比率を抑制することが好ましい。麦芽の比率を抑制する場合、酵母
が資化可能な原料(炭素源、窒素源)を増量することが好ましい。酵母が資化可能な原料
の炭素源としては単糖、二糖、三糖、それらの糖液等が挙げられ、窒素源としては酵母エ
キス、大豆タンパク、麦芽、大豆、酵母エキス、エンドウ、小麦麦芽、未発芽の穀物、こ
れらの分解物等が挙げられる。また未発芽の穀物としては、例えば、未発芽の大麦、小麦
、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦、エン麦、大豆、エンドウ等が挙げられる。
麦芽には、窒素化合物およびポリフェノールが含まれており、本発明の飲料の製造の際
、原材料の穀物として麦芽を用いることが好ましい。また、ビールテイスト飲料の全窒素
量および総ポリフェノール量を本発明で規定される範囲内とするために、麦芽比率が5~
20質量%であることが好ましく、10~15質量%であることがさらに好ましい。
麦芽比率を上記の範囲内とすることにより、麦芽等に起因する濁りを抑制し、風味がよ
り優れたビールテイスト飲料を製造できる。
本明細書において、麦芽比率は、平成30年4月1日が施工日の酒税法および酒類行政
関係法令等解釈通達に従って計算された値を意味する。
本発明の一態様のビールテイスト飲料に含まれるリナロールは、原材料に含まれるリナ
ロールを利用してもよく、また、リナロールまたはリナロールを含む添加剤(例えば香料
)を添加してもよい。
コリアンダーおよびコリアンダーシード(乾燥したコリアンダー果実)には、リナロー
ルが含まれている。そこで、本発明のビールテイスト飲料の原材料に、ハーブ・スパイス
類としてコリアンダー、コリアンダーシードまたはこれらの抽出物を用いることが好まし
い。
コリアンダーとは、セリ目セリ科コエンドロ属コエンドロ種に属する植物の一種である
。和名でコエンドロともカメムシソウともいわれる。葉(リーフ)と種子(シード、植物
学上は果実)のいずれもが利用されるが、本発明では、コリアンダーシードを原材料に用
いることが好ましい。コリアンダーシードは、一般に市販されているものを用いてもよい
。乾燥した果実(ホール)をそのまま用いてもよいし、成分抽出が容易となるように粉砕
処理されたパウダー状のものを用いてもよい。抽出時間の短縮という観点からは、パウダ
ー状のものが好ましい。本明細書では、いずれの状態のものもコリアンダーシードと呼ぶ

コリアンダーシード抽出物は、コリアンダーシードを、水やアルコールなどの溶媒また
はこれらを混合した溶液にて抽出し、必要に応じて濃縮したものである。例えば抽出に用
いるアルコールは、通常酒類に用いられるものが好ましい。配合後に設計品質を変化させ
ないという目的から、抽出に用いるアルコールは、ほとんど無味無臭である連続式蒸留機
を使用して得られる蒸留酒類が好ましい。連続式蒸留機を使用して得られる蒸留酒類とし
ては、ウォッカや原料用アルコールなどのスピリッツ類、連続式蒸留焼酎(いわゆる甲類
焼酎)が挙げられる。コリアンダーシード抽出物の製造方法は例えば特開2012-10
5572号に記載された公知の方法が用いられる。
甘味料としては、穀物由来のデンプンを酸または酵素等で分解した市販の糖化液、市販
の水飴等の糖類、三糖類以上の糖、糖アルコール、ステビア等の天然甘味料、人工甘味料
等が挙げられる。
これらの糖類の形態は、溶液等の液体であってもよく、粉末等の固体であってもよい。
また、デンプンの原料穀物の種類、デンプンの精製方法、および酵素や酸による加水分
解等の処理条件についても特に制限はない。例えば、酵素や酸による加水分解の条件を適
宜設定することにより、マルトースの比率を高めた糖類を用いてもよい。その他、スクロ
ース、フルクトース、グルコース、マルトース、トレハロース、マルトトリオースおよび
これらの溶液(糖液)等を用いることもできる。
また、人工甘味料としては、例えば、アスパルテーム、アセスルファムカリウム(アセ
スルファムK)、スクラロース、ネオテーム等が挙げられる。
水溶性食物繊維としては、例えば、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、グア
ーガム分解物、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸、ラミナリン、フコイジン、カラ
ギーナン等が挙げられ、安定性や安全性等の汎用性の観点から、難消化性デキストリンま
たはポリデキストロースが好ましい。
ホップに多く含まれる苦味成分の1種であるイソα酸の含有量が0.1質量ppm以下
という範囲内で、使用される苦味料または苦味付与剤は、特に限定されず、例えば、マン
ネンロウ、レイシ、姫茴香、杜松実、セージ、迷迭香、マンネンタケ、月桂樹、迷迭香、
マンネンタケ、クワシン、柑橘抽出物、ニガキ抽出物、コーヒー抽出物、茶抽出物、ゴー
ヤ抽出物、ハス胚芽抽出物、キダチアロエ抽出物、マンネンロウ抽出物、レイシ抽出物、
ローレル抽出物、セージ抽出物、キャラウェイ抽出物、ナリンギン、ニガヨモギおよびニ
ガヨモギ抽出物等が挙げられる。
酸化防止剤としては、特に限定されず、通常のビールや発泡酒に酸化防止剤として用い
られるものが使用でき、例えば、アスコルビン酸、エリソルビン酸、およびカテキン等が
挙げられる。
香料としては、特に限定されず、一般的なビール香料を用いることができる。ビール香
料は、ビール様の風味付けのために用いるものであり、発酵により発生する醸造成分等が
含まれる。ビール香料の具体例としてはエステルや高級アルコール等が挙げられ、更に具
体的には、酢酸イソアミル、n-プロパノール、イソブタノール、およびアセトアルデヒ
ド等が挙げられる。
酸味料としては、酸味を有する物質であれば特に限定されないが、例えば、リン酸、ク
エン酸、グルコン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、フィチン酸、酢酸、コハク酸、グルコノ
デルタラクトンまたはそれらの塩が挙げられる。
これらの酸味料の中でも、リン酸、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、
フィチン酸、酢酸、コハク酸またはそれらの塩が好ましく、リン酸、クエン酸、乳酸、酒
石酸、酢酸またはそれらの塩がより好ましい。
これらの酸味料は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
1.2 炭酸ガス
本発明の一態様のビールテイスト飲料に含まれる炭酸ガスは、原材料に含まれる炭酸ガ
スを利用してもよく、また、炭酸水との混和または炭酸ガスの添加等で溶解させてもよい

本発明の一態様のビールテイスト飲料は、アルコール発酵を行うため、この発酵工程で
生じた炭酸ガスをそのまま用いることができるが、適宜炭酸水を加えて、炭酸ガスの量を
調製してもよい。
本発明の一態様のビールテイスト飲料に含まれる炭酸ガスの量は、飲料の炭酸ガス圧に
よって表されるが、これは、本発明の効果を妨げない限り、特に限定されない。典型的に
は、飲料の炭酸ガス圧の上限は5.0kg/cm、4.5kg/cm、または4.0
kg/cmであり、下限は0.20kg/cm、0.50kg/cm、または1.
0kg/cmであり、これらの上限および下限のいずれを組み合わせてもよい。例えば
、飲料の炭酸ガス圧は、0.20kg/cm以上5.0kg/cm以下、0.50k
g/cm以上4.5kg/cm以下、または、1.0kg/cm以上4.0kg/
cm以下であってよい。
本明細書において、ガス圧とは、特別な場合を除き、容器内におけるガス圧をいう。
圧力の測定は、当業者によく知られた方法、例えば20℃にした試料をガス内圧計に固
定した後、一度ガス内圧計の活栓を開いてガスを抜き、再び活栓を閉じ、ガス内圧計を振
り動かして指針が一定の位置に達したときの値を読み取る方法を用いて、または市販のガ
ス圧測定装置を用いて測定することができる。
1.3 その他の添加物
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じ
て、様々な添加物を添加してもよい。
そのような添加物としては、例えば、着色料、泡形成剤、発酵促進剤、酵母エキス、ペ
プチド含有物等のタンパク質系物質、アミノ酸等の調味料が挙げられる。
着色料は、飲料にビール様の色を与えるために使用するものであり、カラメル色素など
を用いることができる。泡形成剤は、飲料にビール様の泡を形成させるため、あるいは飲
料の泡を保持させるために使用するものであり、大豆サポニン、キラヤサポニン等の植物
抽出サポニン系物質、コーン、大豆などの植物タンパク、およびペプチド含有物、ウシ血
清アルブミン等のタンパク質系物質、酵母エキスなどを適宜使用することができる。
発酵促進剤は、酵母による発酵を促進させるために使用するものであり、例えば、酵母
エキス、米や麦などの糠成分、ビタミン、ミネラル剤などを単独または組み合わせて使用
することができる。
1.4 容器詰飲料
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、容器に詰められた容器詰飲料であってもよい
。容器詰飲料にはいずれの形態・材質の容器を用いてもよく、容器の例としては、ビン、
缶、樽またはペットボトルが挙げられるが、特に持ち運びが容易であるとの観点から、缶
、ビンやペットボトルが好ましい。
2. ビールテイスト飲料の製造方法
本発明の一態様のビールテイスト飲料の製造方法としては、水および麦芽を含む原料に
、酵母を添加して、アルコール発酵を行う工程(1)、ならびに、リナロールを添加する
工程(4)を有することが好ましく、さらに下記工程(2)および(3)を有してもよい
・工程(2):酵母が資化可能な原料を1種以上配合する工程。
・工程(3):穀物に由来するスピリッツを添加する工程。
なお、上記の工程(1)~(4)の順序は特に限定されない。
例えば、工程(1)でアルコール発酵を行った原料液に、工程(2)として、酵母が資
化可能な原料を配合してもよく、また、工程(2)として、水および麦芽と共に、酵母が
資化可能な原料を配合して、発酵前の原料を調製した後、工程(1)として、酵母が資化
可能な原料を含む原料に対してアルコール発酵を行ってもよい。
また、工程(3)についても、同様に、それぞれの工程を行う順序は特に限定されず、
例えば、工程(3)で行う各成分の配合は、工程(1)の前の発酵前の原料に対して行っ
てもよく、工程(1)の後の発酵後の原料に対して行ってもよい。
工程(4)についても、同様に、それぞれの工程を行う順序は特に限定されず、例えば
、工程(4)で行うリナロールの添加は、工程(1)の前の発酵前の原料に対して行って
もよく、工程(1)の後の発酵後の原料に対して行ってもよいが、工程(4)は最後に行
うことが好ましい。具体的には、工程(4)以外の工程(例えば、工程(1)~(3))
に基づいてビールテイストベース飲料を製造し、当該ベース飲料に工程(4)に基づいて
リナロールを添加することが好ましい。
本発明の一態様のビールテイスト飲料の製造方法はホップを配合する工程を有しないこ
とが好ましい。本発明の製造方法がホップを配合する工程を有さない場合でも、不可避的
に混入する態様までを除外するわけではない。
<工程(1)>
工程(1)は、水および麦芽を含む原料に、酵母を添加して、アルコール発酵を行う工
程である。
原料の調製方法としては、原料を仕込釜または仕込槽に投入し、必要に応じてアミラー
ゼ等の酵素を添加し、糊化、糖化を行わせ、ろ過して煮沸し、清澄タンクにて凝固タンパ
ク等の固形分を取り除く。その後、さらに酵母を添加して発酵させ、ろ過機等で酵母を取
り除き、必要に応じて水や香料、酸味料、色素等の添加剤を加えて、原料を調製すること
ができる。
なお、酸化防止剤、苦味付与剤、香料、酸味料、色素等は、発酵工程後において所定量
添加してもよいが、糊化・糖化工程を含む製造工程中の任意のタイミングで添加してもよ
く、添加タイミングは限定されない。
本工程で用いる酵母は、製造すべき発酵飲料の種類、目的とする香味や発酵条件等を考
慮して適宜選択することができ、例えば、Weihenstephan-34株等の市販の酵母を用いるこ
とができる。
酵母は、酵母懸濁液のまま原料に添加しても良いし、遠心分離あるいは沈降により酵母
を濃縮したスラリーを原料に添加してもよい。また、遠心分離の後、完全に上澄みを取り
除いたものを添加しても良い。酵母の原液への添加量は適宜設定できるが、例えば、5×
10cells/ml~1×10cells/ml程度である。
アルコール発酵を行う際の発酵温度および発酵期間等の諸条件は、適宜設定することが
できるが、例えば、通常のビールや発泡酒の製造のための発酵条件である、8~25℃、
5~10日間、の条件で発酵させてもよい。発酵工程の途中で発酵液の温度(昇温または
降温)もしくは圧力を変化させてもよい。
発酵工程を行った後は、貯酒工程および過工程等の当業者に周知のビールテイスト飲料
の製造で行われる工程を行ってもよい。
<工程(2)、(3)>
工程(2)は酵母が資化可能な原料1種以上を配合する工程である。工程(2)におけ
る酵母が資化可能な原料としては、窒素源および炭素源となる麦芽以外の原料であり、例
えば、エンドウ豆、トウモロコシ、コメ、大豆、酵母エキスなどを用いることができるが
、これら以外の原料を用いることも可能である。なお、これらの原料もビールテイスト飲
料の呈味と香りに影響を与えるので飲用者の嗜好に合わせて適宜選択するのが好ましい。
また、工程(3)は、穀物に由来するスピリッツを添加する工程である。
<工程(4)>
工程(4)は、リナロールを添加する工程である。
本発明のビールテイスト飲料はリナロールを含むことが好ましく、このような飲料は工
程(4)を含む工程を実施することによって製造することができる。工程(4)はリナロ
ールを添加してもよいし、リナロールを含む添加剤を添加してもよい。添加されるリナロ
ールは、これらを含む組成物であっても、単離生成された化合物であってもよく、これら
は天然物由来のもの(例えばコリアンダー由来のリナロール)であっても人工的な合成物
であってもよい。
工程(2)~(4)において、各工程で配合する成分は、発酵前の原料に対して配合し
てもよく、発酵後の原料に対して配合してもよい。また、一度に添加してもよく、複数回
に分けて添加してもよい。
また、酵母が資化可能な原料およびスピリッツを同時に配合し、工程(2)~(4)を
同時に行ってもよい。
さらに、工程(2)~(4)を行う際に、他の添加剤も同時に配合してもよい。
このようにして得られた本発明の一態様のビールテイスト飲料は、所定の容器に充填さ
れ、製品として市場に流通する。
ビールテイスト飲料の容器詰め方法としては、特に限定されず、当業者に周知の容器詰
め方法を用いることができる。容器詰め工程によって、本発明のビールテイスト飲料は容
器に充填・密閉される。容器詰め工程には、いずれの形態・材質の容器を用いてもよく、
容器の例としては、「1.4 容器詰飲料」に記載の容器が挙げられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によって
は制限されない。
なお、以下のビールテイスト飲料の評価は、同一の6人のパネラーが、各飲料の臭いの
確認および試飲をし、以下のように行った。
[味わいと飲みやすさ]
4℃程度まで冷却したビールテイスト飲料を、各パネラーが試飲し、「味わいと飲みや
すさ」をそれぞれ下記基準によって3段階で評価した。なお、「味わいと飲みやすさ」の
評価前に、予め、それぞれの評価が「2」となるサンプルを用意し、各パネラー間での基
準の統一を図った。
(味わいと飲みやすさの評価)
・「3」:味わいと飲みやすさがある。
・「2」:味わいと飲みやすさがある程度ある。
・「1」:味わいと飲みやすさがない。
そして、6人のパネラーの平均値を基に、以下の基準で評価をし、2以上を合格とした
[混濁安定性]
20℃で15週間保存したビールテイスト飲料を、以下の手順で混濁安定性を測定した

(1)試料を0℃の恒温水槽に入れ48時間保持する。
(2)試料を均一にする為、軽く振盪する。
(3)気泡の消えるまで再び0℃恒温水槽に数分間保持する。
(4)濁度計(シグリスト社製 LabScat)により混濁度を測定する。
(混濁安定性の評価)
・「3」:混濁度が50Helm未満。
・「2」:混濁度が50Helm以上100Helm未満。
・「1」:混濁度が100Helm以上。
[ビールテイスト飲料の総合評価1]
また、各パネラーが試飲した際の、「味わいと飲みやすさ」および「混濁安定性」に基
づき総合評価1を、下記基準によって3段階で評価した。
・「〇」:「味わいとのみやすさ」および「混濁度」の評価の両者が2.5以上。
・「△」:「○」および「×」に該当しない。
・「×」:「味わいとのみやすさ」および「混濁度」の評価のどちらか一方が2未満。
また、ビールテイスト飲料にリナロールを加えて得られた実施例および比較例のビール
テイスト飲料について以下のとおり評価した。
[ビールらしい軽快なのどごし]
4℃程度まで冷却したビールテイスト飲料を、各パネラーが試飲し、「ビールらしい軽
快なのどごし」をそれぞれ下記基準によって3段階で評価した。なお、「ビールらしい軽
快なのどごし」の評価前に、予め、それぞれの評価が「2」となるサンプルを用意し、各
パネラー間での基準の統一を図った。
(ビールらしい軽快なのどごしの評価)
・「3」:非常に良い。
・「2」:良い。
・「1」:悪い。
そして、6人のパネラーの平均値を基に、以下の基準で評価をし、2以上を合格とした
[コスメティックな香り]
4℃程度まで冷却したビールテイスト飲料を、各パネラーが試飲し、「コスメティック
な香り」をそれぞれ下記基準によって3段階で評価した。なお、「コスメティックな香り
」の評価前に、予め、それぞれの評価が「2」となるサンプルを用意し、各パネラー間で
の基準の統一を図った。
(コスメティックな香り)
・「3」:感じない。
・「2」:ほとんど感じない。
・「1」:感じる。
そして、6人のパネラーの平均値を基に、以下の基準で評価をし、2以上を合格とした
[ビールテイスト飲料の総合評価2]
また、各パネラーが試飲した際の、「ビールらしい軽快なのどごし」および「コスメテ
ィックな香り」に基づき総合評価2を、下記基準によって3段階で評価した。
・「〇」:「ビールらしい軽快なのどごし」および「コスメティックな香り」の評価の両
者が2.5以上。
・「△」:「○」および「×」に該当しない。
・「×」:「ビールらしい軽快なのどごし」および「コスメティックな香り」の評価のど
ちらか一方が2未満。
リナロールを含まないビールテイスト飲料の製造(実施例1~4、比較例1~5)
粉砕した大麦麦芽を、52℃で保持された温水40Lが入った仕込槽に投入した後、5
2℃で30分間保持し、続いて70℃で40分間、さらに76℃で5分間と段階的に温度
を上げて保持した後、濾過して麦芽粕を除去し麦汁を得た。前記麦汁を煮沸釜に投入し、
糖液(糖化スターチ、加藤化学株式会社製)、酵母エキス(HY-YEST504、KE
RRY社製)、大豆たんぱく分解物(ハイニュートDC、不二製油株式会社製)の原料混
合物を添加し、温水で100Lに調整した。ビールテイスト飲料中の麦芽比率、酵母エキ
スおよび大豆タンパク分解物の投入量は表1に示す。比較例5では、さらにイソホップ(
ISO HOP)を麦汁に投入した。
続いて麦汁を煮沸してから冷却した後、得られた醗酵前液にビール酵母を添加して約1
週間発酵させた後、さらに約1週間の熟成期間を経て、酵母をろ過で除去して、エキス調
整水、および小麦に由来するスピリッツを添加しビールテイスト飲料を調製した。
これらのビールテイスト飲料の総エキス量、全窒素量、総ポリフェノール量およびイソ
α酸の含有量は表1に示すとおりであった。
また、総エキス量、全窒素量、総ポリフェノール量、イソα酸の含有量は、改訂BCO
Jビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析
委員会〕編集2013年増補改訂)に記載されている方法に基づいて測定した。
各ビールテイスト飲料の評価の結果を表1に示す。なお、表1のいずれの官能評価にお
いても、各パネラー間での2段階以上の評価の差異は確認されなかった。
Figure 0007281345000001
表1に示すとおり、実施例1~4は、優れた味わいと飲みやすさを有し、混濁安定性も
高かった。これに対して、比較例1および3は水っぽさを感じるものであった。また、比
較例2および4の混濁安定性は低かった。また、比較例5は、苦味が顕著に目立ち、ビー
ルテイスト飲料としては味わいと飲みやすさが極めて悪かった。
リナロールを含むビールテイスト飲料の製造
総合評価1が○または△の実施例1~4の飲料をベース飲料として、表2の濃度になる
ようにリナロールを添加しビールテイスト飲料を製造した。リナロールの含有量は、J. A
gric. Food Chem., 2013, 61 (47), pp 11303-1131(Characterization of the Key Arom
a Compounds in Two Bavarian Wheat Beers by Means of the Sensomics Approach)に記
載のガスクロマトグラフ質量分析装置(GC-MS)を用いて測定した。添加したリナロール
として、R体とS体の混合物を用いた。得られた飲料について、ビールらしい軽快なのど
ごし、および、コスメティックな香りについて評価した。結果は表2のとおりであった。
なお、実施例1~4のビールテイスト飲料(ベース飲料)にリナロールを添加しても、味
わいと飲みやすさ、および、混濁安定性に変化はなかった。
Figure 0007281345000002
表2に示すとおり、実施例1-1~1-3、実施例2-1~2-3、実施例3-1~3
-3、および、実施例4-1~4-3の総合評価2が△以上であったのに対して、リナロ
ールの含有量が1500ppbの比較例6~9はビールらしい軽快なのどごしおよびコス
メティックな香りの評価が低く、これらの飲料の総合評価2は×であった。

Claims (17)

  1. リナロールを含み、イソα酸の含有量が0.1質量ppm以下、全窒素量が8~45mg/100ml、総ポリフェノール量が10~60質量ppm、および、リナロールの含有量が1400ppb以下であり、アルコール度数が0~20(v/v)%である、ビールテイスト飲料。
  2. 原材料として、麦を含む、請求項1に記載のビールテイスト飲料。
  3. 原材料の麦の少なくとも一部として、麦芽を含む、請求項2に記載のビールテイスト飲料。
  4. 原材料の麦の少なくとも一部として、麦芽には該当しない麦を含む、請求項2または3に記載のビールテイスト飲料。
  5. リナロールの含有量が10~1400ppbである、請求項1~のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
  6. 全窒素量(mg/100ml)/総ポリフェノール量(質量ppm)が0.3~4.5である、請求項1~のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
  7. 全窒素量(mg/100ml)/総ポリフェノール量(質量ppm)が0.7~3.3である、請求項1~のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
  8. 原材料として、酵母エキスを含む、請求項1~のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
  9. 原材料として、大豆、大豆タンパク、およびこれらの分解物を含む、請求項1~のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
  10. 麦芽比率が20質量%以下である、請求項1~のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
  11. アルコール度数が1~20(v/v)%である、請求項1~10のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
  12. アルコール度数が3~15(v/v)%である、請求項1~11のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
  13. スピリッツを含む、請求項1~12のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
  14. pHが3.0~4.5である、請求項1~13のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
  15. 総エキス量が5~18質量%である、請求項1~14のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
  16. 発酵飲料である、請求項1~15のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
  17. 混濁度が100Helm未満である、請求項1~16のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
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