JP2020088217A - 基板小片の切り出し方法及び切出装置 - Google Patents

基板小片の切り出し方法及び切出装置 Download PDF

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剛史 池田
生芳 高松
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生芳 高松
勉 上野
Tsutomu Ueno
勉 上野
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Abstract

【課題】樹脂基板から基板小片を切り出す際に、電極が意図せず電気的に接続されることを回避する。【解決手段】OLED層dとOLED層dを外部と接続するための複数の電極d1が形成された樹脂基板P1から、複数の電極d1と交差する第1辺とOLED層dに沿って延びる第2辺とを有する基板小片SP1を切り出す方法は、第1辺に沿って第1切断線SL1を形成し、第2辺に沿って第2切断線SL2を形成して、基板小片SP1を切り出すステップと、基板小片SP1の第1辺とOLED層dとの間に存在する複数の電極d1に、当該複数の電極d1と交差する方向に延びる無電極領域d11を形成するステップと、を備える。【選択図】図7

Description

本発明は、素子と当該素子を外部と接続するための電極が形成された樹脂基板から、この電極と交差する第1辺と素子に沿って延びる第2辺とを有する基板小片を切り出す方法、及び、上記基板小片を切り出す切出装置に関する。
従来、OLED基板のような、樹脂基板上に、複数の素子と、当該複数の素子のそれぞれを外部に接続するための複数の電極と、を形成した基板が知られている。この基板からは、1つの素子と上記複数の電極とを含む1つの電子素子とした基板小片が切り出される。
また、樹脂基板から基板小片を切り出すための切断線の形成方法としては、樹脂基板の一方の面からレーザ光を当該基板小片の辺に沿って照射して切断ラインを形成する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2018−15784号公報
上記樹脂基板から1つの電子素子を含む基板小片を切り出す際には、樹脂基板に形成された複数の電極と交差する切断ラインが形成される。特に、複数の電極と交差する切断ラインがレーザ光の照射を使用して形成される場合、レーザ光の照射により樹脂基板が炭化されることにより生じる炭化物が、この複数の電極同士を接続することがある。
一般的に、樹脂基板の炭化により生じる炭化物は導電性を有する。よって、本来は絶縁状態にあるべき複数の電極が炭化物により接続されると、この複数の電極が導通状態となり、基板小片に含まれる電子素子が誤動作及び/又は故障することがある。
本発明の目的は、素子と当該素子を外部と接続するための複数の電極が形成された樹脂基板から、この複数の電極と交差する第1辺と素子に沿って延びる第2辺とを有する基板小片を切り出す際に、複数の電極が意図せず電気的に接続されることを回避することにある。
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明の一見地に係る切り出し方法は、素子と当該素子を外部と接続するための複数の電極が形成された樹脂基板から、複数の電極と交差する第1辺と素子に沿って延びる第2辺とを有する基板小片を切り出す方法である。切り出し方法は、以下のステップを備える。
◎第1辺に沿って第1切断線を形成し、第2辺に沿って第2切断線を形成して、基板小片を切り出すステップ。
◎基板小片の第1辺と素子との間に存在する複数の電極に、当該複数の電極と交差する方向に延びる無電極領域を形成するステップ。
上記の基板小片の切り出し方法においては、基板小片の複数の電極と交差する第1辺と素子との間に、当該複数の電極と交差するよう無電極領域を形成している。
これにより、基板小片の切り出しのために複数の電極と交差するよう第1切断線を形成したときに、第1辺又はその近傍において当該複数の電極が電気的に接続された場合でも、無電極領域よりも素子側において複数の電極が電気的に接続されることがない。その結果、切り出し後の基板小片において、電子素子が誤動作及び/又は故障することを回避できる。
第1切断線は、電極及び樹脂基板にレーザ光を照射することにより形成されてもよい。これにより、基板小片へのダメージを最小限としつつ、電極及び樹脂基板に容易に第1切断線を形成できる。
無電極領域は、少なくとも電極にレーザ光を照射することにより形成されてもよい。これにより、基板小片へのダメージを最小限としつつ、無電極領域を容易に形成できる。
無電極領域を形成するステップは、基板小片を切り出すステップの後に実行されてもよい。これにより、基板小片毎に個別に無電極領域を形成できる。
無電極領域を形成するステップは、基板小片を切り出すステップの前に実行されてもよい。これにより、基板小片を切り出す前の樹脂基板に予め無電極領域を形成できる。
本発明の他の見地に係る切出装置は、素子と当該素子を外部と接続するための複数の電極が形成された樹脂基板から、複数の電極と交差する第1辺と素子に沿って延びる第2辺とを有する基板小片を切り出す装置である。この切出装置は、第1切断手段と、第2切断手段と、を備える。
第1切断手段は、第1辺に沿って第1切断線を形成し、第1辺と素子との間に存在する複数の電極に、当該複数の電極と交差する方向に延びる無電極領域を形成する。第2切断手段は、第2辺に沿って第2切断線を形成する。
上記の切出装置は、基板小片の複数の電極と交差する第1辺と素子との間に、第1切断手段により、当該複数の電極と交差するよう無電極領域を形成している。
これにより、基板小片の切り出しのために複数の電極と交差するよう第1切断線を形成したときに、第1辺又はその近傍において当該複数の電極が電気的に接続された場合でも、無電極領域よりも素子側において複数の電極が電気的に接続されることがない。その結果、切り出し後の基板小片において、電子素子が誤動作及び/又は故障することを回避できる。
基板小片の複数の電極と交差する第1辺と素子との間に無電極領域を形成することにより、無電極領域よりも素子側において複数の電極が電気的に接続されることがなくなるので、切り出し後の基板小片において、電子素子が誤動作及び/又は故障することを回避できる。
樹脂基板の断面構造を示す図。 樹脂基板の平面構造を示す図。 第1実施形態に係る切出装置の構成を示す図。 基板小片の切り出し方法を樹脂基板の断面方向から見た場合を模式的に示す図(その1)。 基板小片の切り出し方法を樹脂基板の断面方向から見た場合を模式的に示す図(その2)。 基板小片の切り出し方法を樹脂基板の平面方向から見た場合を模式的に示す図(その1)。 基板小片の切り出し方法を樹脂基板の平面方向から見た場合を模式的に示す図(その2)。
1.第1実施形態
(1)樹脂基板の構造
以下、本発明の一実施形態による樹脂基板から基板小片を切り出す方法について説明する。以下においては、複数のOLED層d(素子の一例)がアレイ状に形成された樹脂基板から、1つのOLED層dと当該OLED層dを外部と接続する電極d1とを含む基板小片SP1を切り出す方法を、基板小片SP1の切り出す方法の一例として説明する。従って、最初に、図1及び図2を用いて、樹脂基板P1の構成を説明する。図1は、樹脂基板の断面構造を示す図である。図1は、樹脂基板の断面構造を示す。図2は、樹脂基板の平面構造を示す図である。
図1及び図2において、樹脂基板P1の横方向を「X方向」と定義し、縦方向を「Y方向」と定義する。また、樹脂基板P1の縦方向(Y方向)を第1方向と定義し、横方向(X方向)を第2方向と定義する。
樹脂基板P1は、X方向及びY方向に延びる矩形の基板である。樹脂基板P1は、樹脂層L1と、OLED層d(有機LED)と、電極d1と、を有している。
樹脂層L1は、例えば、ポリイミド(PI)製の基板である。湿分をバリアするため、樹脂層L1の一方の表面であって、樹脂層L1とOLED層d及び電極d1との間に第1保護層L2が形成されている。第1保護層L2は、例えば、SiOなどの無機膜である。
OLED層dは、上記の第1保護層L2の表面に、X方向及びY方向にアレイ状に並んで複数形成されている。具体的には、OLED層dは、例えば、発光層と、発光層による発光を制御するための駆動用素子(例えば、TFT(薄膜トランジスタ))と、OLED層dの配線と、が形成されている。
電極d1は、第1保護層L2の表面に、OLED層dからY方向に延びて複数形成された、平面視で矩形を有する導電性を有する金属(例えば、クロム、アルミニウム、金、銀、銅など)薄膜である。電極d1は、基板小片SP1において、OLED層dと外部回路とを接続するための端子となる。
本実施形態において、電極d1は、樹脂基板P1において、基板小片SP1のY方向の境界を越えて形成されている。後述するように、基板小片SP1を切り出す際には、電極d1をX方向に横切るようにして、基板小片SP1のY方向の第1辺(図7の(e))が形成される。
樹脂基板P1は、第2保護層L3を有している。第2保護層L3は、例えば、SiO膜などの無機膜であり、湿分をバリアするためOLED層d上に形成されている。
後述するように、無機膜である第1保護層L2及び第2保護層L3が存在しない領域をスクライブホイールSWでスクライブする。
本実施形態の樹脂基板P1は、第1PET層L4と、第2PET層L5と、をさらに有している。第1PET層L4及び第2PET層L5は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルムであり、OLED層d及び電極d1を保護する。
第1PET層L4は、樹脂層L1のOLED層d及び電極d1が形成された側の表面に接着されている。一方、第2PET層L5は、樹脂層L1のOLED層d及び電極d1が形成された側とは反対側の表面に接着されている。
なお、第1PET層L4のうち電極d1を覆っている部分については、基板小片SP1を切り出す際に剥離される。
(2)切出装置
次に、図3を用いて、本実施形態の切出装置1の構成を説明する。図3は、第1実施形態に係る切出装置の構成を示す図である。切出装置1は、上記の構成を有する樹脂基板P1から、1つのOLED層dとそれに対応する電極d1とを含む基板小片SP1を切り出す装置である。
切出装置1は、第1切断線形成手段11と、第2切断線形成手段13と、機械駆動系15と、制御部17と、を備える。
第1切断線形成手段11(第1切断手段の一例)は、第1レーザ光LA1を樹脂層L1に照射することで、樹脂層L1に切断線を形成する装置である。
第1切断線形成手段11は、第1レーザ光LA1を出力するレーザ発振器と、当該第1レーザ光LA1を後述する機械駆動系15に伝送する伝送光学系と、を有している(いずれも図示せず)。伝送光学系は、例えば、図示しないが、集光レンズ、複数のミラー、プリズム、ビームエキスパンダ等を有する。また、伝送光学系は、例えば、レーザ発振器及び他の光学系が組み込まれたレーザ照射ヘッド(図示せず)をX軸方向に移動させるためのX軸方向移動機構(図示せず)を有している。第1切断線形成手段11のレーザ発振器は、例えば、紫外域のレーザ光を出力するUVレーザ、緑色のレーザ光を出力するGreenレーザなどである。
上記のように、樹脂層L1と電極d1及びOLED層dの間には無機膜である第1保護層L2が形成されており、OLED層d上には第2保護層L3が形成されている。そのため、樹脂基板P1のOLED層d及び電極d1の近傍は脆くなっている。よって、基板小片SP1を切り出す際に、これらの保護層が形成された箇所にスクライブホイールSWにより切断線を形成しようとすると、基板小片SP1の境界線(辺)近傍の電極d1及び/又はOLED層dが破壊される可能性がある。
従って、基板小片SP1の辺のうち、特に、電極d1と交差する辺に対応する第1切断線SL1は、第1レーザ光LA1の照射により形成する。これにより、脆い保護層等を破壊することなく、電極d1の近傍において基板小片SP1を切り出すための切断線を形成できる。
また、第1切断線形成手段11は、電極d1のOLED層dと基板小片SP1のY方向の境界(第1辺)との間に、電極d1が存在しない無電極領域d11を形成する。無電極領域d11を形成する場合、第1切断線形成手段11は、第1切断線SL1を形成する場合よりも弱い強度の第1レーザ光LA1を、電極d1のうち無電極領域d11を形成したい場所に照射する。
第2切断線形成手段13(第2切断手段の一例)は、樹脂基板P1から基板小片SP1を切り出すための切断線のうち、基板小片SP1の上記第1辺以外の第2辺(図7の(e))に沿って切断線(第2切断線SL2と呼ぶ)を形成する装置である。
第2切断線形成手段13は、第2切断線SL2を形成する際には、レーザ光の照射によりPET層に溝を形成し、当該溝にスクライブホイールSW(後述)を通して樹脂層L1に切断線を形成する。
また、第2切断線形成手段13は、第1PET層L4の電極d1が形成された箇所を剥離するための切断線(ピーリング線)を形成する。このとき、第2切断線形成手段13は、レーザ光の照射により、第1PET層L4のOLED層dと電極d1との境界線に対応する箇所に、上記ピーリング線としての溝を形成する。
具体的には、第2切断線形成手段13は、第2レーザ装置13Aと、スクライブホイール切断装置13Bと、を有する。
第2レーザ装置13Aは、第2レーザ光LA2を出力するレーザ発振器と、当該第2レーザ光LA2を後述する機械駆動系15に伝送する伝送光学系と、を有している(いずれも図示せず)。伝送光学系は、例えば、図示しないが、集光レンズ、複数のミラー、プリズム、ビームエキスパンダ等を有する。また、伝送光学系は、例えば、レーザ発振器及び他の光学系が組み込まれたレーザ照射ヘッド(図示せず)をX軸方向に移動させるためのX軸方向移動機構(図示せず)を有している。第2レーザ装置13Aのレーザ発振器は、例えば、COレーザである。
スクライブホイール切断装置13Bは、スクライブホイールSWを転動させて基板を切断する装置である。本実施形態では、スクライブホイール切断装置13Bは、樹脂基板P1の樹脂層L1に第2切断線SL2を形成するために用いられる。
スクライブホイールSWは、外周部分がV字形に形成された円板状の部材である。スクライブホイールSWの上記外周部分が、樹脂層L1に切断線を形成する刃となる。スクライブホイールSWは、例えば、直径が5〜15mmであり、V字形の刃先の頂角が20〜50°とされている。
機械駆動系15は、樹脂基板P1を水平方向に移動させ、中心軸回りに回転する機構である。具体的には、機械駆動系15は、ベッド15Aと、樹脂基板P1が載置される加工テーブル15Bと、加工テーブル15Bをベッド15Aに対して水平方向に移動させる移動装置15Cとを有している。移動装置15Cは、ガイドレール、移動テーブル、回転機構、モータ等を有する公知の機構である。
本実施形態の切出装置1においては、移動装置15Cが、樹脂基板P1を第1切断線形成手段11及び第2切断線形成手段13に対して相対的に移動させることにより、樹脂基板P1に切断線を形成する。
また、機械駆動系15は、樹脂基板P1(加工テーブル15B)を回転させる機構、及び、樹脂基板P1の表裏を反転させる機構(いずれも図示せず)を備えている。
制御部17は、プロセッサ(例えば、CPU)と、記憶装置(例えば、ROM、RAM、HDD、SSDなど)と、各種インターフェース(例えば、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェースなど)を有するコンピュータシステムである。制御部17は、記憶部(記憶装置の記憶領域の一部又は全部に対応)に保存されたプログラムを実行することで、各種制御動作を行う。
制御部17は、単一のプロセッサで構成されていてもよいが、各制御のために独立した複数のプロセッサから構成されていてもよい。
制御部17には、図示しないが、樹脂基板P1の大きさ、形状及び位置を検出するセンサ、各装置の状態を検出するためのセンサ及びスイッチ、並びに情報入力装置が接続されている。
この実施形態では、制御部17は、第1切断線形成手段11、第2切断線形成手段13、及び、移動装置15Cを制御できる。
(3)基板小片の切り出し方法
以下、図4〜図7を用いて、複数のOLED層dがアレイ状に形成された樹脂基板P1から、1つのOLED層dと対応する電極d1とを含む基板小片SP1を切り出す方法を説明する。図4及び図5は、基板小片の切り出し方法を樹脂基板の断面方向から見た場合を模式的に示す図である。図6及び図7は、基板小片の切り出し方法を樹脂基板の平面方向から見た場合を模式的に示す図である。以下においては、長方形を有する基板小片SP1を切り出す方法を説明する。
切り出しをする前に、樹脂基板P1の第1PET層L4側(OLED層d及び電極d1が形成された側)を上にし、かつ、樹脂基板P1のY方向と切出装置1における樹脂基板P1の移動方向とが平行になるように、加工テーブル15B上に樹脂基板P1を載置する。
加工テーブル15Bに樹脂基板P1を載置後、基板小片SP1を切り出す切断線を形成する。上記の多層構造を有する樹脂基板P1においては、(i)PET層に溝を形成する、(ii)PET層に形成した溝にスクライブホイールSWを挿入して樹脂層L1に切断線を形成するか、又は、この溝から第1レーザ光LA1を照射して樹脂層L1及び保護層に切断線を形成する、との工程により上記切断線が形成される。
最初に、第1PET層L4に、スクライブホイールSW及び第1レーザ光LA1を通すための溝が形成される。
具体的には、図4の(a)及び図6の(a)に示すように、第2レーザ光LA2を、基板小片SP1の電極d1が形成された側の境界線に沿ってX方向に走査することで、基板小片SP1の電極d1と交差する第1辺に対応する位置に第1溝G1が形成される。
なお、第1溝G1を形成する場合、第2レーザ光LA2は、電極d1のY方向の端部よりもわずかにOLED層d側にてX方向に走査される。
次に、第2レーザ光LA2を、OLED層dの電極d1が形成された側とは反対側の境界線に沿ってX方向に走査し、OLED層dのX方向の境界線に沿ってY方向に走査することで、基板小片SP1の上記第1辺以外の3つの第2辺に対応する位置に、第2溝G2が形成される。
さらに、第2レーザ光LA2を、OLED層dと電極d1との境界線に沿ってX方向に走査することで、OLED層dと電極d1との境界線に、第1PET層L4を電極d1が形成された部分から剥離するための溝(ピーリング線PL)が形成される。
なお、第2レーザ光LA2にて形成する溝は、その開口角度θを45°〜100°の範囲とすることが好ましい。開口角度θは、溝の2つの側壁がなす角度と定義される。また、溝幅は40μm〜200μmの範囲とすることが好ましい。
第1溝G1及び第2溝G2を形成後、基板小片SP1の第2辺に対応する第2切断線SL2が形成される。
具体的には、図4の(b)及び図6の(b)に示すように、OLED層dのX方向の境界線に沿って延びる第2溝G2内にスクライブホイールSWを通し、所定の荷重をかけてスクライブホイールSWの刃先を樹脂層L1に押し込んだ状態で、樹脂基板P1をY方向に移動させ、さらにスクライブホイールSWを転動させる。これにより、OLED層dのX方向の2つの境界線に沿って、樹脂層L1に第2樹脂切断線PS2が形成される。
上記のようにして、基板小片SP1のX方向の2つの境界線に対応する位置に、第2溝G2と第2樹脂切断線PS2とにより構成される第2切断線SL2が形成される。
また、OLED層dの電極d1が形成された側とは反対側の境界線に沿って延びる第2溝G2内にスクライブホイールSWを通し、所定の荷重をかけてスクライブホイールSWの刃先を樹脂層L1に押し込んだ状態で、樹脂基板P1をX方向に移動させ、さらにスクライブホイールSWを転動させる。これにより、OLED層dのY方向の境界線のうち電極d1が形成されていない側の境界線に沿って、樹脂層L1に第2樹脂切断線PS2を形成できる。
上記のようにして、基板小片SP1のY方向の境界線のうち電極d1が形成された側とは反対側に、第2溝G2と第2樹脂切断線PS2とにより構成される第2切断線SL2が形成される。
第2切断線SL2を形成後、基板小片SP1の第1辺に対応する第1切断線SL1を形成する。
具体的には、図4の(c)及び図6の(c)に示すように、第1切断線形成手段11から出力される第1レーザ光LA1を、第1溝G1を通して樹脂層L1、第1保護層L2、及び電極d1に照射することにより、第1樹脂切断線PS1を形成する。
上記のようにして、基板小片SP1の複数の電極d1と交差する第1辺に対応する位置に、第1溝G1と第1樹脂切断線PS1とにより構成される第1切断線SL1が形成される。
上記の第1樹脂切断線PS1を形成する際の第1レーザ光LA1の照射条件は、例えば、フルエンス(単位面積あたりのエネルギー量)が1〜20J/cm(好ましくは、4〜10J/cm)である。照射回数は1回でも、複数回でもよい。1回あたりのエネルギー量を低減して複数回(例えば、3回以上)照射することによって、樹脂層L1の炭素化を低減できる。
第1切断線SL1及び第2切断線SL2を形成後、樹脂基板P1の表裏を反転し、図5の(d)及び図7の(d)に示すように、第2PET層L5の第1切断線SL1及び第2切断線SL2に対応する位置に、第3溝G3を形成する。
第3溝G3は、第2レーザ装置13Aにより、第2PET層L5の第1切断線SL1及び第2切断線SL2に対応する位置に第2レーザ光LA2を照射しつつ、移動装置15Cの移動により第2レーザ光LA2を樹脂基板P1に対して移動させることにより形成される。
樹脂基板P1から基板小片SP1を切り出すための第1切断線SL1及び第2切断線SL2を形成後、基板小片SP1の電極d1が形成された部分から、第1PET層L4を剥離する。
具体的には、例えば、第1PET層L4の剥離したい部分を粘着テープに付着させ、当該粘着テープを基板小片SP1から離間することで、ピーリング線PL、第1切断線SL1(第1溝G1)、及び第2切断線SL2(第2溝G2)で囲まれた第1PET層L4の部分を、基板小片SP1から剥離する。
以上のようにして、樹脂基板P1から、図5の(e)に示すような断面構造を有し、図7の(e)に示すような平面構造を有する基板小片SP1を切り出すことができる。基板小片SP1は、電極d1と交差する第1辺と、その他の第2辺とを有する。
基板小片SP1の第1辺に対応する第1切断線SL1は、第1レーザ光LA1を樹脂層L1に照射して形成される。このときに、第1レーザ光LA1の照射により樹脂層L1が炭化することで、基板小片SP1の第1辺及びその近傍に炭化物が形成されることがある。
また、第1切断線SL1を形成する際に、第1レーザ光LA1は、電極d1と交差する方向に走査されている。従って、第1切断線SL1の形成時に、複数の電極d1を「橋渡し」した状態で上記炭化物が生成されることがある。
炭化物が複数の電極d1を橋渡しした状態で生成されると、本来は互いに絶縁状態であるべき複数の電極d1がショートし、OLED層dが誤動作又は故障する可能性がある。なぜなら、樹脂層L1から生成される炭化物は、一般的には導電性を有しているからである。
従って、本実施形態では、基板小片SP1を切り出した後に、当該基板小片SP1の複数の電極d1のOLED層dと第1辺との間の位置において、複数の電極d1と交差するように、電極d1を取り除いた無電極領域d11を形成する。
具体的には、図5の(f)及び図7の(f)に示すように、複数の電極d1のOLED層dと第1辺との間の位置において、第1レーザ光LA1をX方向に走査しながら照射して、対応する位置の電極d1及び第2保護層L3を除去する。
なお、電極d1と第2保護層L3を除去して無電極領域d11を形成するとき、第1レーザ光LA1の強度は、上記の第1切断線SL1(第1樹脂切断線PS1)の形成時の強度よりも弱くしておく。これにより、この第1レーザ光LA1の照射により、樹脂層L1にまで切断線が形成されることを回避できる。
無電極領域d11の形成時の第1レーザ光LA1の照射条件は、例えば、フルエンス(単位面積あたりのエネルギー量)が1〜20J/cm(好ましくは、4〜10J/cm)であり、照射回数は1回である。
電極d1のOLED層dと第1辺との間の位置において、複数の電極d1と交差するように、電極d1を取り除いた無電極領域d11を形成することで、複数の電極d1を、OLED層d側の電極d1と、第1辺側の電極d1とに分離できる。
上記の場合において、第1辺に形成される炭化物により第1辺側の電極d1はショートしている可能性がある一方、OLED層d側の電極d1は上記炭化物の影響を受けない。従って、OLED層d側の電極d1を外部回路と接続することで、基板小片SP1のOLED層dが誤動作又は故障することを回避できる。
2.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
(A)上記の第1実施形態では、第2切断線SL2の形成後に第1切断線SL1が形成されているが、これに限られず、第1切断線SL1を形成後に第2切断線SL2を形成してもよい。
(B)無電極領域d11の形成は、基板小片SP1を切り出す前(第1切断線SL1及び第2切断線SL2の形成前)に、予め実行されてもよい。例えば、第1樹脂切断線PS1を形成後に樹脂基板P1をY方向にわずかに移動させた後、再度第1レーザ光LA1をX方向に走査しつつ照射することで、無電極領域d11を形成できる。
または、その逆に、第1レーザ光LA1をX方向に沿って照射して無電極領域d11を形成後に、樹脂基板P1をY方向にわずかに移動させた後、第1レーザ光LA1を第1辺に沿って走査しつつ照射することで、第1樹脂切断線PS1を形成できる。
(C)基板小片SP1の形状は、長方形に限られず、任意の形状とできる。この場合でも、電極d1と交差する辺を第1辺と、他の辺を第2辺と定義し、上記にて説明した方法と同様にして、基板小片SP1を切り出すことができる。
本発明は、電気回路を有する樹脂基板からの基板小片の切り出しに広く適用できる。
1 切出装置
11 第1切断線形成手段
LA1 第1レーザ光
13 第2切断線形成手段
13A 第2レーザ装置
LA2 第2レーザ光
13B スクライブホイール切断装置
SW スクライブホイール
15 機械駆動系
15A ベッド
15B 加工テーブル
15C 移動装置
17 制御部
P1 樹脂基板
SP1 基板小片
d OLED層
d1 電極
d11 無電極領域
L1 樹脂層
L2 第1保護層
L3 第2保護層
L4 第1PET層
L5 第2PET層
G1 第1溝
G2 第2溝
G3 第3溝
PL ピーリング線
PS1 第1樹脂切断線
PS2 第2樹脂切断線
SL1 第1切断線
SL2 第2切断線

Claims (6)

  1. 素子と前記素子を外部と接続するための複数の電極が形成された樹脂基板から、前記複数の電極と交差する第1辺と前記素子に沿って延びる第2辺とを有する基板小片を切り出す方法であって、
    前記第1辺に沿って第1切断線を形成し、前記第2辺に沿って第2切断線を形成して、前記基板小片を切り出すステップと、
    前記第1辺と前記素子との間に存在する前記複数の電極に、当該複数の電極と交差する方向に延びる無電極領域を形成するステップと、
    を備える、切り出し方法。
  2. 前記第1切断線は、前記電極及び前記樹脂基板にレーザ光を照射することにより形成される、請求項1に記載の切り出し方法。
  3. 前記無電極領域は、少なくとも前記電極にレーザ光を照射することにより形成される、請求項1又は2に記載の切り出し方法。
  4. 前記無電極領域を形成するステップは、前記基板小片を切り出すステップの後に実行される、請求項1〜3のいずれかに記載の切り出し方法。
  5. 前記無電極領域を形成するステップは、前記基板小片を切り出すステップの前に実行される、請求項1〜3のいずれかに記載の切り出し方法。
  6. 素子と前記素子を外部と接続するための複数の電極が形成された樹脂基板から、前記複数の電極と交差する第1辺と前記素子に沿って延びる第2辺とを有する基板小片を切り出す装置であって、
    前記第1辺に沿って第1切断線を形成し、前記第1辺と前記素子との間に存在する前記複数の電極に、当該複数の電極と交差する方向に延びる無電極領域を形成する第1切断手段と、
    前記第2辺に沿って第2切断線を形成する第2切断手段と、
    を備える、切出装置。
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