JP2020087012A - 設計支援方法および設計支援装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ワイヤハーネスの全体を分割して適切なサブハーネスを形成する際の設計を支援するために役立つ設計支援方法を提供すること。【解決手段】入力図面データの中に、電線毎に該当する電線の回路が所属する機器系統を表すシステムコードが含まれている状況下で、ワイヤハーネスの各電線を、システムコードに基づき複数グループに区分し、同じグループに区分された各構成要素を、ワイヤハーネスの中間部品である1つのサブハーネスに対応付ける。複数のシステムコードが対応付けられた共通回路については、回路の使用数が最大のサブハーネスのみに割り当てる。各端子の先嵌め/後嵌めを判定する際に、コネクタ毎に回路数が最大のサブハーネスの端子を優先的に先嵌めにする。または事前に決められた「先嵌め必須」、「先嵌め推奨」の条件を考慮して各サブハーネスの構成を決定する。【選択図】図7

Description

本発明は、ワイヤハーネスの製造工程に関連する設計を支援する出力図面データを生成する設計支援方法および設計支援装置に関する。
車両においては、例えばメインバッテリーやオルタネータ(発電機)などで構成される電源から車両上の様々な箇所に配置される多数の電装品の各々に対して、それぞれ個別に電源電力を供給する必要がある。また、複数の電子制御ユニット(ECU)の間で相互に通信ができるように、これらを相互に接続する必要がある。また、様々なスイッチやセンサが出力する信号を所定の電子制御ユニットに伝達する必要がある。また、電子制御ユニットの出力する信号により様々な負荷のオンオフ等を個別に制御する必要がある。
したがって、一般的な車両においては、多数の電線の集合体であるワイヤハーネスの各部を車両上で所定の配索経路に沿って配置し、車両上の各部をワイヤハーネスを介して接続している。
実際には、例えば数百本程度の電線や、端子、コネクタ、クランプ等の構成要素を、設計図面の内容に従って組み付けると共に、設計図面で定めた配索経路に沿って配置されるような形状に形成したワイヤハーネスの製品を部品メーカで製造する。そして、車両メーカでは、部品メーカから購入したワイヤハーネスを車体に組み付けて車両を製造する。
このようなワイヤハーネスを製造する場合には、全体の重量の低減、製造時の作業性、製造コストの低減、製造品質など様々な事項を考慮しなければならない。したがって、ワイヤハーネスに関する様々な技術が従来より提案されている。
例えば、特許文献1はワイヤハーネス等の車両用回路体を製造する際に、総重量やコストの観点からジョイント位置を最適化するための技術を示している。具体的には、車両用回路体の構成を表す基本設計データに基づいて、車両用回路体の配索経路や構成を表す可視情報を画面上に表示し、ジョイント部位の指定および最適化の指示に対して、互いに異なる複数の位置のそれぞれにジョイント部位を配置した場合の各電線の長さ、合計電線長を自動的に算出し、算出した位置毎の合計電線長の比較結果を反映して、ジョイント部位の最適な位置を表示する。位置の違いによる合計線長の差分も表示する。合計線長の他に、総重量の変化やコストの変化を考慮して最適な位置を自動的に決定する。決定した最適な位置以外の位置の選択も受け付ける。
また、特許文献2の製造支援方法は、ワイヤハーネスの製造、検査、設計変更検討等の作業を効率化するために役立つ番号を出力する技術を示している。具体的には、ワイヤハーネス上の各採寸点を表すノード毎に固有の番地情報を生成し、出力の設計図面データ上でノードに番地情報を割り当てると共に、番地情報の番号を決定する際には、ワイヤハーネスの配索経路に沿って、順番に番号を割り当てる。ユーザ入力により選択された要素位置を基点として番号の割り当てを開始する。配索経路の中で端末に近いノードから優先的に小さい番号を割り当てる。配索経路中の分岐点を表す分岐ノードを処理する場合には、分岐ノードの特性を表す属性の数値が小さい方から優先的に小さい番号を割り当てる。桁数の小さい番号を使用でき、接続関係の把握も容易になる。
特開2018−67104号公報 特開2018−67431号公報
ところで、例えば車両メーカ(A社)が製造する車両に搭載されるワイヤハーネスを部品メーカ(B社)で製造する場合には、通常はA社が必要とするワイヤハーネスを表す設計図面データ(第1の設計図面データ)が、A社からB社に提供される。この設計図面データは、A社が導入している特定のCAD(Computer Aided Design)システムの上で利用可能なデータであり、A社で使いやすい形式のデータとして作成される。
B社では、A社から受け取った設計図面データに基づいてワイヤハーネスの製品を製造する。また、製造したワイヤハーネスの製品がA社の要求する仕様を満足していることを寸法の実測を含む検査により確認し、検査に合格したワイヤハーネスの製品をB社がA社に納品する。A社はB社から納品されたワイヤハーネスを特定の車体に搭載し、車両を製造する。
一方、B社が製造すべきワイヤハーネスの製品は、数百本程度の電線や、端子、コネクタ、クランプ等の多数の構成要素で構成され、しかも複雑な形状および構造になっている。したがって、複雑な構造のワイヤハーネス全体の部品を一気に組み付けるのは極めて困難であり、効率よく製造することができない。
そこで、B社が実際にワイヤハーネスを製造する場合には、目的とするワイヤハーネスを予め複数の部位に分割した形態で設計しておき、それぞれの部位を中間部品(サブアセンブリ)であるサブハーネスとしてそれぞれ製造する。そして、多数のサブハーネスを互いに組み付けて一体化し、ワイヤハーネスの全体、すなわち製品を構成する。
例えば、B社がワイヤハーネスの各サブハーネスを実際に製造する場合には、冶具板上の実際の三次元空間において、作業者が、あるいは自動製造設備が、様々な長さの線材、コネクタ、端子、外装材などの多数の部品を順番に選択し、事前に決められた配索経路を通過するように配置して組み付け作業を実施する。そして、製造した多数のサブハーネスのそれぞれを水平な竿に掛けて横方向に並べた状態で、これらの組み付け作業を実施する。
上記のような製造工程においては、ワイヤハーネス全体をどのように分割して各サブハーネスを構成するのかが重要であり、作業効率や製造コストに影響を及ぼすことになる。例えば、1つのコネクタに複数のサブハーネスを接続する場合には、それぞれのサブハーネスを製造する工程において、複数のサブハーネスのうち1つだけにしか該当するコネクタを接続できない。コネクタを接続できるサブハーネスの電線については、サブハーネス製造工程で、各電線の端子をコネクタの各キャビティに装着可能である。つまり「先嵌め作業」が可能である。一方、コネクタを接続できないサブハーネスの電線については、サブハーネス製造工程では端子を開放状態にしておき、複数のサブハーネスを合体した後で各電線の端子を目的のコネクタに装着する。つまり「後嵌め作業」を行う必要がある。
ここで、各サブハーネスは構造や形状が比較的単純であるため、「先嵌め作業」の場合は自動化して製造可能であり、効率よく製造できる。一方、「後嵌め作業」の場合はワイヤハーネス等の形状や構造が複雑であるため、作業工程の自動化が困難であり、製造効率の低下に繋がる。更に、手作業で製造する場合には、コネクタの違う位置に間違って端子を接続する可能性もある。したがって、「先嵌め」の比率を高め、「後嵌め」の比率を下げることで、ワイヤハーネスを効率よく、しかも高品質で製造することが容易になる。つまり、ワイヤハーネスをどのように分割して各サブハーネスを製造するかが、「先嵌め」の比率を高めるために重要になる。
上記以外に、例えば1つのサブハーネスを構成する電線数が多すぎると、サブハーネス製造時の作業性が悪化する。また、1つのサブハーネスを構成する複数の電線に配索経路上で交差が発生する場合や、ループが発生する場合には電線間の絡みが生じる原因となり製品品質の低下に繋がる。また、配索方向の流れと逆方向に向かう電線は、組み付け時の作業性を低下させたり、製品品質の低下を招く可能性がある。
また、例えばエアバッグの回路のように最も高い品質を要求される特別な回路もある。また、防水タイプのコネクタのように特別な作業を必要とする回路もある。更に、例えば端子の変形が生じやすいため特別に注意して作業すべき回路も存在する。
したがって、B社においては、ワイヤハーネスの製造開始に先だって、ワイヤハーネス全体やそれを構成するサブアセンブリ毎に、各線材の実際の配索経路とその流れを表す組み立て図を設計者の手書きにより作成していた。
また、設計者は手書きにより作成した図面の内容に基づき設計上の問題の有無を調査し、何らかの問題を発見した場合には設計の変更についてA社に依頼し、修正データを送って貰うようになっていた。また、作業者は手書きの組み立て図と第1の設計図面データの両方を参照しながらワイヤハーネスの各サブアセンブリを製造していた。更に、実際にワイヤハーネスを製造する際の配索作業性の確認を可能にするために、ワイヤハーネス全体や各サブアセンブリの試作品を作成していた。そして、設計者は、作成した試作品を見ながら配索経路等の再検討を実施していた。また、検討の結果、変更が必要になった場合には、新たな組み立て図を設計者の手書きにより再び作成し、試作品も作成していた。そのため、B社が前記第1の設計図面データを受け取ってからワイヤハーネスの製造を開始するまでの間の準備として、多くの人手や工数がかかっていた。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ワイヤハーネスの全体を分割して適切なサブハーネスを形成する際の設計を支援するために役立つ設計支援方法および設計支援装置を提供することにある。
前述した目的を達成するために、本発明に係る設計支援方法および設計支援装置は、下記(1)〜(5)を特徴としている。
(1) 構成要素として複数の電線および複数のコネクタを含む所望のワイヤハーネスの製造仕様を表す設計図面データに基づいて、前記ワイヤハーネスの製造工程に関連する設計を支援する出力図面データを生成する設計支援方法であって、
前記設計図面データの中に、電線毎に、該当する電線の回路が所属する機器系統を表すシステムコードが含まれている状況下で、
前記ワイヤハーネスの各構成要素を、前記システムコードに応じて複数のグループに区分し、
同じグループに区分された各構成要素を、前記ワイヤハーネスの中間部品である1つのサブハーネスに対応付ける出力図面データを生成する、
ことを特徴とする設計支援方法。
(2) 前記設計図面データの中で、1つの電線に対して複数の前記システムコードが共通に割り当てられている場合には、割り当てられた複数の前記システムコードの中で電線の回路数が最大のグループに、該当する電線を優先的に割り当てる、
ことを特徴とする上記(1)に記載の設計支援方法。
(3) 各グループのサブハーネスにそれぞれ電線を割り当てた後、
接続先が同じコネクタである電線の中で、前記コネクタに接続する電線数が最大の特定サブハーネスを抽出し、前記特定サブハーネスに属する電線に対して、該当するコネクタに対する先嵌め属性を優先的に割り当てる、
ことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の設計支援方法。
(4) 構成要素として複数の電線および複数のコネクタを含む所望のワイヤハーネスの製造仕様を表す設計図面データに基づいて、前記ワイヤハーネスの製造工程に関連する設計を支援する出力図面データを生成する設計支援方法であって、
前記設計図面データの中から、電線毎の接続先部品に対する先嵌め条件を表す先嵌め情報を取得し、
前記ワイヤハーネスの各構成要素を、前記先嵌め情報に基づいて、複数のグループに区分し、
同じグループに区分された各構成要素を、前記ワイヤハーネスの中間部品である1つのサブハーネスに対応付けて前記出力図面データを生成する、
ことを特徴とする設計支援方法。
(5) 構成要素として複数の電線および複数のコネクタを含む所望のワイヤハーネスの製造仕様を表す設計図面データに基づいて、前記ワイヤハーネスの製造工程に関連する設計を支援する出力図面データを生成する設計支援装置であって、
電線毎に、該当する電線の回路が所属する機器系統を表すシステムコードが含まれている前記設計図面データを入力する入力手段と、
前記ワイヤハーネスの各構成要素を、前記システムコードに応じて複数のグループに区分する区分手段と、
前記区分手段によって同じグループに区分された各構成要素を、前記ワイヤハーネスの中間部品である1つのサブハーネスに対応付ける出力図面データを生成する生成手段と、
前記生成手段によって生成された出力図面データを出力する出力手段と、
を有することを特徴とする設計支援装置。
上記(1)の構成の設計支援方法および上記(5)の構成の設計支援装置によれば、ワイヤハーネスの全体を自動的に分割して適切な複数のサブハーネスの構成をそれぞれ生成することが可能である。すなわち、出力図面データとして生成される各サブハーネスの構成は、同じシステムコードに対応する1つのグループに含まれる電線等の回路により形成される。したがって、例えば車両の機器系統毎に、それぞれ独立したサブハーネスが形成される。すなわち、車両上に配置された2つの機器同士を接続する配線の多くは、ほぼ同じ共通の配索経路を通過する確率が高いので、サブハーネスを構成する複数の電線の形状および構成を単純化できる可能性が高くなり、同じサブハーネス内における電線の交差やループの発生を抑制できる。また、車両上には通常多数の機器が搭載されるので、システムコード毎にサブハーネスを構成することにより、分割数を増やし、各サブハーネスの電線数を減らすことが可能である。つまり、各サブハーネスの構造を単純化することにより、サブハーネスの製造の自動化が容易になる。
上記(2)の構成の設計支援方法によれば、複数のシステムコードの機器が共通に使用する共通回路の電線を、その使用数が最も多い特定システムコードのサブハーネスのみに割り当てることができる。したがって、特定システムコードのサブハーネス以外には該当する共通回路の電線を装備する必要がなく、ワイヤハーネス全体における電線の総数を減らすことができる。また、使用数が最も多い特定システムコードを選択することにより、共通回路に必要とされる全ての回路をいずれかのサブハーネスに割り当てることができる。
上記(3)の構成の設計支援方法によれば、各サブハーネスを製造する際に、先嵌め作業を実施する端子数を増やすことができる。すなわち、複数のサブハーネスが1つのコネクタと共通に接続される場合に、当該コネクタに接続される電線数が最大の特定サブハーネスの電線のみを「先嵌め」し、それ以外のサブハーネスの電線は「後嵌め」にすることにより、ワイヤハーネス全体における「先嵌め」の比率が高くなる。したがって、ワイヤハーネスの製造時の作業効率および品質を高めることができる。
上記(4)の構成の設計支援方法によれば、先嵌め情報を考慮して自動的に分割し、適切な複数のサブハーネスをそれぞれ形成することが可能である。例えば、車両の特性や品質を考慮して車両メーカが特定の端子の先嵌めが必須であることをワイヤハーネスの仕様として指定したような場合には、ワイヤハーネスを製造する部品メーカにおいて、該当する先嵌めの端子を有する電線から優先的に選択してそれぞれのサブハーネスを生成することが想定される。これにより、指定された端子やコネクタの先嵌めを確実に実施して、その製造品質を確保することができる。また、先嵌めが必須のサブハーネスとそれ以外のサブハーネスとを分離して効率よく製造することも可能になる。
本発明の設計支援方法および設計支援装置によれば、ワイヤハーネスの全体を自動的に分割して適切なサブハーネスを形成することが容易になる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
図1(a)および図1(b)は、2種類のサブハーネスの構成例を示す実体配線図である。 図2(a)、図2(b)および図2(c)は、3種類のサブハーネスの構成例を示す実体配線図である。 図3は、1つのサブハーネスの構成例を示す実体配線図である。 図4は、ワイヤハーネスを製造する前の設計業務の概要を示すフローチャートである。 図5は、入力図面データの構成例を示す模式図である。 図6は、中間データの構成例を示す模式図である。 図7は、システムサブ分割の処理手順の例を示すフローチャートである。 図8は、先嵌め/後嵌め判定の処理手順の例を示すフローチャートである。 図9は、サブ分割−2の処理手順の例を示すフローチャートである。
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
<ワイヤハーネス及びサブハーネスの説明>
本発明の設計支援方法の理解を容易にするために、まず最初にワイヤハーネス及びサブハーネスについて説明する。
2種類のサブハーネス10A、10Bの構成例を図1(a)、図1(b)に示す。また、3種類のサブハーネス10C、10D、および10Eの構成例を図2(a)、図2(b)および図2(c)に示す。また、サブハーネス10Fの構成例を図3に示す。
例えば、部品メーカが製品として車両メーカに提供するワイヤハーネスは、数百本程度の電線や、端子、コネクタ、クランプ等の構成要素を、車両メーカの指定した仕様を表す設計図面の内容に従って組み付けると共に、設計図面で定めた配索経路に沿って配置されるような形状に形成したものである。
このようなワイヤハーネスを部品メーカが実際に製造する場合には、ワイヤハーネス全体の回路を小回路の複数グループに分割し、分割された小回路のグループ毎に中間的な部品、すなわちサブアセンブリを初期の段階で製造する。このサブアセンブリがサブハーネスを意味する。そして、製造した複数のサブハーネスを組み合わせて一体化することにより、目的のワイヤハーネスを効率よく製造することが可能になる。
但し、製造前の設計の段階で、ワイヤハーネス全体の回路をどのように分割して、それぞれのサブハーネスをどのように構成するかに応じて、ワイヤハーネス製造時の効率や製造品質に大きな違いが発生する可能性がある。一般的な工程においては、人間が手書きで作成した実体配線図などの図面や、試作品などを利用して、設計者の判断と試行錯誤により分割数や各サブハーネスの適切な構成を決定しているので、このような作業に非常に時間と手間がかかる。
また、サブハーネスの規模については、回路の大きさにより、例えば次の(1)〜(3)のように複数の種類に分類される。
(1)大サブアセンブリ:回路数が50〜100程度であり組み立てのために冶具を必要とする。
(2)中サブアセンブリ:回路数が20〜50程度であり端末の寸法出しをすることもある。
(3)小サブアセンブリ:回路数が1〜20程度の一般的なサブハーネス
例えば、上記の小サブアセンブリを複数合体して1つの中サブアセンブリ又は大サブアセンブリに置き換えるような設計変更を実施する可能性もある。
<サブハーネス10Aの説明>
図1(a)に示したサブハーネス10Aは、構成要素として複数本の電線11、12、および13と、複数個のコネクタ14、15、16、および17とを備えている。そして、コネクタ14、15の間が電線11で接続され、コネクタ14、16の間が電線12で接続され、コネクタ15、17の間が電線13で接続されている。実際には、各電線11、12、13の両端部に装着されたそれぞれの端子が、各コネクタの該当するキャビティ(開口部)に挿入され固定される。
図1(a)の例では、配索方向を揃えるためにコネクタ14を親、すなわちヘッドとし、コネクタ15、16を子とし、コネクタ17を孫とし、階層的に接続している。ここで、サブハーネス内の回路の繋がりを3階層、つまり親から孫までに制限することにより、電線間に絡みが生じるのを抑制できる。
<サブハーネス10Bの説明>
図1(b)に示したサブハーネス10Bにおいては、複数の電線25〜30および電線31〜36をコネクタ21の内部で圧接し接続する場合を想定している。このような場合は、コネクタ21とそれに接続される電線25〜30、31〜36を1つの独立したサブハーネスとして構成する。また、図1(b)に示した例のように、電線26の右端側と接続するコネクタ23のピン数が1であり他の電線がコネクタ23に接続されない場合には、電線26の右端の端子を先嵌めとする。また、電線29、30の右端側と接続するコネクタ22のピン数が2であり他の電線がコネクタ22に接続されない場合には、電線29、30の右端の各端子を先嵌めとする。
なお、図示しないが、ワイヤハーネスの中で、アースジョイントの箇所については、絡みが生じやすいので、アースジョイント自体を1つのサブハーネスとして構成する。
<サブハーネス10Cの説明>
図2(a)に示したサブハーネス10Cは、親のコネクタ41、子のコネクタ42、43と、これらの間を接続する電線44〜47とで構成されている。そして、図2(a)の例では電線45と電線46とが交差部位48で交差している。このような交差がある場合には、ワイヤハーネスの配索時に電線間の絡みが生じやすい。したがって、絡みの発生を避けるために何らかの変更を加えることが望まれる。
<サブハーネス10Dの説明>
図2(b)に示したサブハーネス10Dは、親のコネクタ51、子のコネクタ52、53と、孫のコネクタ54と、これらの間を接続する電線55〜58とで構成されている。そして、図2(b)の例では電線56、57、58の箇所にループが形成されている。このようなループが存在する場合も、ワイヤハーネスの配索時に電線間の絡みが生じやすい。したがって、絡みの発生を避けるために何らかの変更を加えることが望まれる。
<サブハーネス10Eの説明>
図2(c)に示したサブハーネス10Eは、親のコネクタ51と、子のコネクタ52、53と、孫のコネクタ54と、これらの間を接続する電線55、56、57を備えている。ここで、電線55、56は親から孫に向かう方向に流れるように配索経路が形成されているが、電線57は、逆方向、つまり子から親に向かう方向に配索されている。このような逆方向に向かう電線57は、ワイヤハーネス組み付け時の作業性を低下させることに繋がるので、構成を変更する必要がある。
<サブハーネス10Fの説明>
図3に示したサブハーネス10Fは、複数のコネクタ61〜63と、複数の電線64〜69などを備えている。サブハーネス10Fに備わっている各電線は、製造工程においてコネクタ61〜63を優先的に使用できる。つまり、コネクタ61〜63がサブハーネス10Fに備わっているので、各電線の端子をコネクタ61〜63に先嵌めすることができる。
図3の例では、コネクタ61の先嵌め部61a、61b、61d、61f、61g、61hにサブハーネス10F内の各電線の端子がそれぞれ先嵌めされる。また、コネクタ61の後嵌め部61c、61e、61iの各キャビティに対しては、サブハーネス10F以外の他のサブハーネスと一体化した後で、他のサブハーネスの端子が後嵌めとして挿入される。このような後嵌め作業を減らすことにより、自動化技術などを利用してワイヤハーネスを効率よく組み付けることが可能になり、製品の品質も向上する。
また、図示しないが、例えばエアバッグの回路のように非常に高い信頼性を要求される回路については、各電線の端子を先嵌めできるようにサブハーネスを構成する必要がある。また、防水タイプのコネクタはコンベア上でゴム栓を通す作業に時間を要するので、先嵌めできるようにサブハーネスを構成する必要がある。同様に、特定のコネクタなどの部品を使用する場合には、端子が変形しやすい傾向があるので、先嵌めできるようにサブハーネスを構成することが望ましい。
<設計業務の手順>
ワイヤハーネスを製造する前の設計業務の手順概要を図4に示す。すなわち、ワイヤハーネスを製造する部品メーカが車両メーカからワイヤハーネスの仕様を表す設計図面データを受け取った後、効率よくワイヤハーネスを製造できるように、部品メーカが製造を開始する前に図4の設計業務を実施する。
まず、ステップS01では、車両メーカから受け取ったワイヤハーネス全体の設計図面データに基づき、車載システムの構成を考慮して分割数や各電線の各サブハーネスへの割り当てを決定する。また、次のステップS02では、各コネクタの各キャビティに対する各電線の端子の先嵌め/後嵌めの判定を実施する。
詳細については後述するが、図4のステップS01、S02は自動的に実施できる。すなわち、汎用的なコンピュータ上で、所定の設計図面データを扱うことが可能なアプリケーションソフトウェアを起動し、インターフェイスを介して設計図面データを入力し、更に特別に用意された専用のツールを使用することにより、自動的にステップS01、S02を処理できる。
図4のステップS03では、ステップS01、S02の結果として得られた各サブハーネスの構成を表すデータを形態図としてコンピュータの画面上に表示する。設計者等のユーザは、画面上に表示された形態図を参照し、正しいサブハーネスとして成立するかどうかを確認する。また、先嵌め/後嵌めの優先順位や、組み付け時の作業性の善し悪しについて設計者等が検討する。
先嵌め/後嵌めなどの変更が必要な場合には、次のステップS04で設計者等が変更事項をコンピュータに入力し変更を指示する。その場合は、変更後の各サブハーネスの構成を表す形態図をステップS03に戻って再び画面上に表示し、その内容を設計者等が確認する。
設計者等は、各サブハーネスが全体として正しく構成されているかどうかをステップS05で画面表示に基づき確認する。また、生産要件の各チェック項目に問題がないことを画面表示により確認する。問題がなければ、ステップS01〜S04で生成された各サブハーネスの構成を表す設計図面データをステップS06で出力する。
<入力図面データの構成例>
入力図面データ70の構成例を図5に示す。入力図面データ70は、例えばワイヤハーネスを製造する部品メーカが車両メーカから必要なワイヤハーネスの仕様を表す設計図面データの一部分として受け取るデータに相当し、実体配線図の内容に相当する。
したがって、図5の入力図面データ70は、目的のワイヤハーネスに含まれる多数の電線のそれぞれの接続状態を表す電線データDA1〜DA8、DB〜1DB4、DC1〜DC5、DD1〜DD3、・・・・を含んでいる。また、それぞれの電線データは、接続元情報71、接続先情報72、およびシステムコード情報73を含んでいる。
接続元情報71および接続先情報72は、該当する電線の一端および他端を接続する箇所の様々な車載機器の電源や信号の箇所を特定可能な固有のIDである。システムコード情報73は、1つの車両上における様々な車載機器をシステムの系統毎に区分した場合のそれぞれの系統に割り当てられたシステムコードを表している。
例えば、以下に示すような系統毎にそれぞれ事前に固有のシステムコードが割り当てられている。
電子燃料噴射装置(EFI)−電子制御トランスミッション(ECT)系統
シャーシ−アンチロックブレーキ(ABS)系統
ベース−スタータ−イグニッション系統
ベース−スタータ−プッシュボタン系統
シャーシ−デフロック系統
外部照明−ブレーキランプ系統
ベース−オルタネータ系統
ベース−CAN通信系統
オイル−警報系統
例えば、図5に示した電線データDA1の電線は、その一端を接続すべき接続元の箇所が接続元情報71の「F−A1」で表され、他端を接続すべき接続先の箇所が接続先情報72の「T−A1」で表され、システムコード情報73の「SC−A1」に該当するシステム系統に所属することが示されている。
つまり、例えば電線データDA1〜DA8の8本の電線は、それぞれが同じシステムコード「SC−A1」のシステム系統に所属している。また、例えば電線データDB1〜DB3の3本の電線は、それぞれが、システムコード「SC−B1」のシステム系統と、システムコード「SC−B2」のシステム系統とにそれぞれ所属している。また、電線データDA4は、システムコード「SC−B1」、「SC−B2」、「SC−B3」の3つのシステム系統にそれぞれ所属している。
したがって、例えば、システムコード「SC−B1」のシステム系統における電線データDB1の電線と、システムコード「SC−B2」のシステム系統における電線データDB1の電線とは共通の回路である。また、このような共通回路については、単一の電線だけで複数のシステム系統の回路を構成することも可能である。
ワイヤハーネスの設計図面データから、このワイヤハーネスを分割してサブハーネスのデータを生成する際に、入力図面データ70のようなデータに基づいて図4に示したステップS01の処理を実施する。この処理の詳細は後で説明する。
<中間データの構成例>
中間データ80の構成例を図6に示す。図6に示した中間データ80は、ワイヤハーネスを分割してサブハーネスのデータを生成する処理の途中で生成される。この中間データ80は、グループ区分情報81および回路数情報82を含んでいる。
<システムサブ分割>
「システムサブ分割」の処理手順の例を図7に示す。すなわち、図7に示した「システムサブ分割」の処理は、図4に示したステップS01の詳細であり、ワイヤハーネスの全体を分割してサブハーネスのデータを生成するための機能を有している。実際には、図7の処理は、所定のコンピュータ上で実行可能なワイヤハーネス専用のアプリケーションソフトウェアの一部分、つまり特別な専用ツールとして構成され、コンピュータ内のCPUによって実行される。図7の処理手順について以下に説明する。
コンピュータ上の上記ツールは、ステップS11で所定の入力図面ファイルF1上の入力図面データから各電線のデータを取得する。ここで入力図面ファイルF1は、ワイヤハーネスを製造する部品メーカが車両メーカから受け取るワイヤハーネスの設計仕様を表すもののうち、実体配線図に相当するデータファイルである。例えば、図5に示した入力図面データ70のようなデータが入力図面ファイルF1上に存在している。したがって、S11において、例えば図5中の電線データDA1〜DA8、DB〜1DB4、DC1〜DC5、DD1〜DD3、・・・・のそれぞれを順番に取得する。
上記ツールは、ステップS12で各電線のデータからシステムコード情報73を抽出する。また、該当する電線が共通回路に該当するか否かを次のS13で識別する。共通回路の場合には、図5に示したように、システムコード情報73の中にカンマ区切りのデータとして複数のシステムコードが並んで記述されている。したがって、上記ツールは、1つの電線データのシステムコード情報73に複数のシステムコードが含まれているかどうかを調べて共通回路か否かを識別する。
該当する電線のデータが共通回路に該当する場合には、上記ツールは、ステップS14で同じ電線データのシステムコード情報73の中から複数のシステムコードをそれぞれ抽出する。例えば、図5に示した電線データDB4を処理する場合には、「SC−B1」、「SC−B2」、「SC−B3」の3つがそれぞれS14で抽出される。
上記ツールは、電線データ毎にS12、又はS14で抽出した1つ以上のシステムコードのそれぞれについて、ステップS15でシステムコードの区分に対応するグループを生成し、該当するグループに各電線の回路を割り当てる。
上記ツールは、ステップS11〜S16の処理を繰り返すことにより、ワイヤハーネス全体を構成する全ての電線データをそれぞれ処理する。つまり、全ての電線データについて、電線の回路と、グループとの関係をシステム系統毎に割り当てる。
上記ツールは、ステップS11〜S16の処理の結果を次のS17で集計し、グループ毎の回路数を算出する。ステップS17の結果として、例えば図6に示した中間データ80のようなデータが得られる。
図6に示した例では、システムコードSC−A1、SC−B1、SC−B2、SC−C1、SC−C2、・・・の各グループに割り当てられた電線の回路数がそれぞれ「n1」、「n2」、「n3」、「n4」、「n5」、・・・になっている。
上記ツールは、次のS18で共通回路について特別な処理を実施する。すなわち、各グループに割り当てられた電線の回路のうち、共通回路については、それを使用する回路数が最大のグループのみに割り当て、それ以外のグループからは割り当てを削除する。
例えば、図5に示した入力図面データ70において、電線データDB1〜DB4の各電線は共通回路であるので、システムコードSC−B1、SC−B2の各グループにS15でそれぞれ割り当てられる。そして、ステップS17の集計結果として図6の中間データ80が得られた場合に、例えば「n2>n3」であれば、共通回路である電線データDB1〜DB4の各電線をS18でシステムコードSC−B1のグループに再び割り当てて、システムコードSC−B2のグループからは除外する。これにより、ワイヤハーネス全体について、共通回路の電線総数を減らすことができる。
上記ツールは、ステップS15で各グループに割り当てた各電線のデータにステップS18の結果を反映した内容に基づいて、次のステップS19で各グループに対応するサブハーネスの出力図面データを生成する。
その結果、例えば図5に示した入力図面データ70から次のようなサブハーネスSH1〜SH4を表すデータがそれぞれ生成される。
SH1:「SC−A1」に対応するグループの電線データDA1〜DA8の各回路を含むサブハーネス
SH2:「SC−B1」に対応するグループの電線データDB1〜DB4の各回路を含むサブハーネス
SH3:「SC−C1」に対応するグループの電線データDC1〜DC5の各回路を含むサブハーネス
SH4:「SC−D1」に対応するグループの電線データDD1〜DD3の各回路を含むサブハーネス
上記ツールは、ステップS19で生成した出力図面データを次のステップS20でコンピュータの画面に表示したり、プリンタで印刷したり、出力図面ファイルF2に出力する。
<先嵌め/後嵌め判定>
「先嵌め/後嵌め判定」の処理手順の例を図8に示す。すなわち、図8に示した「先嵌め/後嵌め判定」の処理は、図4に示したステップS02の詳細であり、ステップS01で決定された各サブハーネスの構成に基づいて、各電線端部の各端子をコネクタ等に先嵌めするか、後嵌めするかを自動的に判定するための機能を有している。この処理は、所定のコンピュータ上で実行可能なワイヤハーネス専用のアプリケーションソフトウェアの一部分として構成される専用のツールである。図8の処理手順について以下に説明する。
コンピュータ上の上記ツールは、ステップS31で入力図面ファイルF3上の入力図面データの中から、各コネクタのデータを取得する。なお、入力図面ファイルF3上の入力図面データは、ステップS01の処理結果なので、サブハーネス毎に区分された各電線のデータを含んでいる。また、各電線の両端部と、それに接続するコネクタおよびコネクタ上のキャビティ位置を特定する情報も入力図面データに含まれている。
上記ツールは、入力図面データに基づき、当該コネクタの各キャビティに接続する電線のサブハーネス区分、すなわちシステム系統を表すグループをステップS32で特定する。そして、当該コネクタに接続するサブハーネス毎の回路数をステップS33で集計する。
上記ツールは、ステップS33の集計結果から、当該コネクタに接続する各サブハーネスの中で回路数が最大のサブハーネスを特定する。また、当該コネクタに接続する各サブハーネスの中で回路数が最大のサブハーネスが複数存在するかどうかを確認する。そして、回路数が最大のサブハーネスが複数存在する場合には、ステップS34からS35の処理に進み、回路総数が最大のサブハーネスを優先的に選択する。
例えば、特定のコネクタCN1に対して3つのサブハーネスSH1、SH2、SH3がそれぞれ接続される場合に次のように処理する。
前提条件:
SH1n=SH2n
SH1n,SH2n>SH3n
SH20>SH10
SH1n:SH1の電線の中でCN1と接続する回路数
SH2n:SH2の電線の中でCN2と接続する回路数
SH3n:SH3の電線の中でCN3と接続する回路数
SH10:SH1の電線の回路総数
SH20:SH2の電線の回路総数
この場合は、CN1に接続する回路数が最大のものが2つのサブハーネスSH1、SH2であるが、「SH20>SH10」なので1つのサブハーネスSH2のみをステップS35で優先的に選択する。
上記ツールは、当該コネクタと接続する各電線のうち、ステップS33で集計した回路数が最大のサブハーネス、又はステップS35で優先的に選択されたサブハーネスに所属している全ての電線の該当端子に、ステップS36で先嵌め属性をそれぞれ割り当てる。なお、先嵌め属性が割り当てられなかった各端子は後嵌め属性になる。
上記ツールは、ステップS31〜S37の処理を繰り返し、1つのワイヤハーネスに含まれる全てのコネクタについてそれぞれ処理を実施する。その結果、全てのコネクタについて、それに接続される1つのサブハーネスの各端子に先嵌め属性がそれぞれ割り当てられる。
上記ツールは、上記の処理で決定された各サブハーネスの電線毎の各端子の先嵌め属性データをステップS38で出力図面ファイルF4の出力図面データに反映する。
<サブ分割−2>
「サブ分割−2」の処理手順の例を図9に示す。図9に示した「サブ分割−2」は、ワイヤハーネス全体を自動分割して複数のサブハーネスの構成を生成するための機能を実現する手順であり、図7の「システムサブ分割」の変形例に相当する。
ワイヤハーネスを製造する部品メーカが車両メーカから受け取るワイヤハーネスの設計図面の中には、「総合チェックポイント」としてワイヤハーネスを構成する各電線の端子の中で、「先嵌め必須」や「先嵌め推奨」を事前に指定する情報が含まれている場合がある。あるいは、ワイヤハーネスの部品メーカが独自に「先嵌め必須」や「先嵌め推奨」を事前に決定する可能性も考えられる。
例えば、車両に搭載されるエアバッグの回路については、接続の間違いが生じないことを最優先する必要があるので、「先嵌め必須」とすることが想定される。また、特定の種類の電線、特定の種類のコネクタなどについても、「先嵌め必須」又は「先嵌め推奨」とすることが想定される。
図9に示した「サブ分割−2」においては、事前に決定された上記の「総合チェックポイント」の内容を重視したアルゴリズムを用いてワイヤハーネスの自動分割を実施する。図9の「サブ分割−2」について以下に説明する。
図9に示した入力図面ファイルF5は、上記の「総合チェックポイント」のデータを含む入力図面データを予め保持している。
図9の「サブ分割−2」の内容を実行するツールは、上記の「総合チェックポイント」に該当する「先嵌め必須」や「先嵌め推奨」を含むコネクタや端子の条件を表す情報をステップS41で入力図面ファイルF5から取得する。
上記ツールは、ワイヤハーネスの構成に含まれる各電線のデータをステップS42で入力図面ファイルF5から取得する。次に、上記ツールは、ステップS43で、電線の端子毎に、ステップS41で取得した「先嵌め必須」の条件に該当するか否かを自動的に識別する。例えば、電線、端子、コネクタの大きさ、形状、種類などが特定の条件を満たす箇所は、「先嵌め必須」と判定する。
上記ツールは、ステップS44で、電線の端子毎に、ステップS41で取得した「先嵌め推奨」の条件に該当するか否かを自動的に識別する。例えば、電線、端子、コネクタの大きさ、形状、種類(防水、ボンダー、アース端子、特殊形状等)などが特定の条件を満たす箇所は、「先嵌め推奨」と判定する。
上記ツールは、ステップS43、S44で特定した「先嵌め必須」、「先嵌め推奨」の属性を考慮した優先順位に従い、ステップS45で各電線の回路を各グループに順番に割り当てる。例えば、「先嵌め必須」の電線の回路については、先嵌めの優先順位を最大にする必要があるので、最優先で新たなグループを作成し、「先嵌め必須」以外のグループと区別する。
上記ツールは、ステップS42〜S46の処理を繰り返し、全ての電線の回路のそれぞれをいずれかのグループに割り当てる。全ての電線の処理が終了すると、ステップS47に進み、それぞれのグループに対応するサブハーネスのデータを生成して、これを出力図面データに反映する。更に、次のステップS48で、画面やプリンタなどの出力手段を用いて、出力図面データの画面表示、印刷、出力図面ファイルF6への出力を実行する。
<設計支援方法の利点>
例えば図7に示した「システムサブ分割」や図9に示した「サブ分割−2」のような設計支援方法を実施する場合には、ワイヤハーネスを分割して複数のサブハーネスを生成する作業をコンピュータが自動的に処理できる。したがって、ワイヤハーネス製造前の設計作業の工数を大幅に減らすことが可能になる。
しかも、図7に示した「システムサブ分割」を実施する場合は、車載機器のシステム系統毎にサブハーネスを生成するので、分割数を増やし、各サブハーネスの製造を自動化できる可能性が高くなる。また、システム系統毎にサブハーネスを生成するので、電線間の交差やループの発生を抑制したり、先嵌めの比率を向上させることが可能になる。
また、図9に示した「サブ分割−2」を実行する場合には、事前に決定した先嵌め優先条件を考慮して各サブハーネスを生成できるので、「先嵌め必須」の箇所が後嵌めになるのを避けることができる。つまり、各サブハーネスを自動生成した後で、生成された各サブハーネスの構成に変更を加える必要性が小さくなる。
また、図8に示した「先嵌め/後嵌め判定」を実行することにより、各端子の先嵌め属性、後嵌め属性を自動的に決定することができる。しかも、先嵌めになる端子の比率を高めることが可能である。
ここで、上述した本発明の実施形態に係る設計支援方法および設計支援装置の特徴をそれぞれ以下[1]〜[5]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 構成要素として複数の電線および複数のコネクタを含む所望のワイヤハーネスの製造仕様を表す設計図面データ(入力図面ファイルF1)に基づいて、前記ワイヤハーネスの製造工程に関連する設計を支援する出力図面データ(出力図面ファイルF2)を生成する設計支援方法であって、
前記設計図面データの中に、電線(電線データDA1〜DA8、DB1〜DB4、・・・)毎に、該当する電線の回路が所属する機器系統を表すシステムコード(システムコード情報73)が含まれている状況下で、
前記ワイヤハーネスの各構成要素を、前記システムコードに応じて複数のグループに区分し(S15)、
同じグループに区分された各構成要素を、前記ワイヤハーネスの中間部品である1つのサブハーネスに対応付ける出力図面データを生成する(S19)、
ことを特徴とする設計支援方法。
[2] 前記設計図面データの中で、1つの電線に対して複数の前記システムコードが共通に割り当てられている場合には、割り当てられた複数の前記システムコードの中で電線の回路数が最大のグループに、該当する電線を優先的に割り当てる(S17,S18)、
ことを特徴とする上記[1]に記載の設計支援方法。
[3] 各グループのサブハーネスにそれぞれ電線を割り当てた後、
接続先が同じコネクタである電線の中で、前記コネクタに接続する電線数が最大の特定サブハーネスを抽出し、前記特定サブハーネスに属する電線に対して、該当するコネクタに対する先嵌め属性を優先的に割り当てる(S36)、
ことを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の設計支援方法。
[4] 構成要素として複数の電線および複数のコネクタを含む所望のワイヤハーネスの製造仕様を表す設計図面データ(入力図面ファイルF5)に基づいて、前記ワイヤハーネスの製造工程に関連する設計を支援する出力図面データ(出力図面ファイルF6)を生成する設計支援方法であって、
前記設計図面データの中から、電線毎の接続先部品に対する先嵌め条件を表す先嵌め情報を取得し(S41)、
前記ワイヤハーネスの各構成要素を、前記先嵌め情報に基づいて、複数のグループに区分し(S45)、
同じグループに区分された各構成要素を、前記ワイヤハーネスの中間部品である1つのサブハーネスに対応付けて前記出力図面データを生成する(S47)、
ことを特徴とする設計支援方法。
[5] 構成要素として複数の電線および複数のコネクタを含む所望のワイヤハーネスの製造仕様を表す設計図面データ(入力図面ファイルF1)に基づいて、前記ワイヤハーネスの製造工程に関連する設計を支援する出力図面データ(出力図面ファイルF2)を生成する設計支援装置であって、
電線(電線データDA1〜DA8、DB1〜DB4、・・・)毎に、該当する電線の回路が所属する機器系統を表すシステムコード(システムコード情報73)が含まれている前記設計図面データを入力する入力手段(インターフェイス、S11)と、
前記ワイヤハーネスの各構成要素を、前記システムコードに応じて複数のグループに区分する区分手段(CPU、S15)と、
前記区分手段によって同じグループに区分された各構成要素を、前記ワイヤハーネスの中間部品である1つのサブハーネスに対応付ける出力図面データを生成する生成手段(CPU、S19)と、
前記生成手段によって生成された出力図面データを出力する出力手段(S20)と、
を有することを特徴とする設計支援装置。
10A,10B,10C,10D,10E,10F サブハーネス
11,12,13 電線
14,15,16,17 コネクタ
21,22,23 コネクタ
25,26,27,28,29,30 電線
31,32,33,34,35,36 電線
41,42,43 コネクタ
44,45,46,47 電線
48 交差部位
51,52,53,54 コネクタ
55,56,57,58 電線
61,62,63 コネクタ
61a,61b,61d,61f,61g,61h 先嵌め部
61c,61e,61i 後嵌め部
64,65,66,67,68,69 電線
70 入力図面データ
71 接続元情報
72 接続先情報
73 システムコード情報
80 中間データ
81 グループ区分情報
82 回路数情報
DA1〜DA8 電線データ
DB1〜DB4 電線データ
DC1〜DC5 電線データ
DD1〜DD3 電線データ
SC−A1,SC−B1,SC−B2,SC−B3 システムコード
SC−C1,SC−C2,SC−D1 システムコード
F1,F3,F5 入力図面ファイル
F2,F4,F6 出力図面ファイル

Claims (5)

  1. 構成要素として複数の電線および複数のコネクタを含む所望のワイヤハーネスの製造仕様を表す設計図面データに基づいて、前記ワイヤハーネスの製造工程に関連する設計を支援する出力図面データを生成する設計支援方法であって、
    前記設計図面データの中に、電線毎に、該当する電線の回路が所属する機器系統を表すシステムコードが含まれている状況下で、
    前記ワイヤハーネスの各構成要素を、前記システムコードに応じて複数のグループに区分し、
    同じグループに区分された各構成要素を、前記ワイヤハーネスの中間部品である1つのサブハーネスに対応付ける出力図面データを生成する、
    ことを特徴とする設計支援方法。
  2. 前記設計図面データの中で、1つの電線に対して複数の前記システムコードが共通に割り当てられている場合には、割り当てられた複数の前記システムコードの中で電線の回路数が最大のグループに、該当する電線を優先的に割り当てる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の設計支援方法。
  3. 各グループのサブハーネスにそれぞれ電線を割り当てた後、
    接続先が同じコネクタである電線の中で、前記コネクタに接続する電線数が最大の特定サブハーネスを抽出し、前記特定サブハーネスに属する電線に対して、該当するコネクタに対する先嵌め属性を優先的に割り当てる、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の設計支援方法。
  4. 構成要素として複数の電線および複数のコネクタを含む所望のワイヤハーネスの製造仕様を表す設計図面データに基づいて、前記ワイヤハーネスの製造工程に関連する設計を支援する出力図面データを生成する設計支援方法であって、
    前記設計図面データの中から、電線毎の接続先部品に対する先嵌め条件を表す先嵌め情報を取得し、
    前記ワイヤハーネスの各構成要素を、前記先嵌め情報に基づいて、複数のグループに区分し、
    同じグループに区分された各構成要素を、前記ワイヤハーネスの中間部品である1つのサブハーネスに対応付けて前記出力図面データを生成する、
    ことを特徴とする設計支援方法。
  5. 構成要素として複数の電線および複数のコネクタを含む所望のワイヤハーネスの製造仕様を表す設計図面データに基づいて、前記ワイヤハーネスの製造工程に関連する設計を支援する出力図面データを生成する設計支援装置であって、
    電線毎に、該当する電線の回路が所属する機器系統を表すシステムコードが含まれている前記設計図面データを入力する入力手段と、
    前記ワイヤハーネスの各構成要素を、前記システムコードに応じて複数のグループに区分する区分手段と、
    前記区分手段によって同じグループに区分された各構成要素を、前記ワイヤハーネスの中間部品である1つのサブハーネスに対応付ける出力図面データを生成する生成手段と、
    前記生成手段によって生成された出力図面データを出力する出力手段と、
    を有することを特徴とする設計支援装置。
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