JP2020085668A - 磁気センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】感磁部の製造ばらつきの影響を受けずに、高精度な検査を行うことが可能な磁気センサを提供する。【解決手段】感磁部105と、感磁部105上における配線領域に絶縁膜12を介して設けられ、感磁部105の中心軸からの少なくとも一つの動径方向に複数本位置するように配置された導電体部1101、1102、1103、1104、1105を含み、自身に電流が流れることにより感磁部105の表面に対して垂直な方向の磁場を感磁部105に与える励磁用配線110とを備え、励磁用配線110に流れる電流密度の絶対値が感磁部105の中心付近で零となり、感磁部105の外側に向かって連続的に増大していくように複数本の導電体部1101、1102、1103、1104、1105が構成されている。【選択図】図2
Description
本発明は、磁気センサに関し、特に、感度検査のための励磁用配線を備えた磁気センサに関する。
従来から、半導体基板に形成された磁気センサ素子の感度検査技術として、磁気センサ素子の製造工程の中で、磁気センサ素子の感磁部近傍に励磁用配線を形成し、励磁用配線に電流を印加することにより検査用磁場を発生させる技術が提案されている。
半導体基板表面に対して垂直方向の磁場を検知する磁気センサ素子に用いられる励磁用配線としては、感磁部の上部に配置されたらせん状の配線や、感磁部の横に配置された直線状の配線などが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、非特許文献1、および非特許文献2参照)。
A. Ajbl et al., IEEE Sensors Journal, vol. 13, 2271 (2013)
J. Trontelj et al., IEEE Proceedings of IMTC’94
励磁用配線を用いた磁気センサ素子の感度検査に関して、非特許文献2では、検査用磁場の不均一性について述べられている。多くの場合、磁気センサ素子は、均一な磁場の下で使用されるため、励磁用配線を用いた磁気センサ素子の感度検査では、不均一な検査用磁場を均一磁場に換算することが必要となる。換算にあたっては、磁気センサ素子の感磁部と検査用磁場の空間分布の重なりを考慮することが必要である。
ここで、例えば、磁気センサ素子としてホール素子を用いた場合には、感磁部の形状は、ホール電流の分布に依存するため、ホール素子を形成するための不純物インプラントの工程や拡散工程の影響により変化する。そのため、励磁用配線によって発生する検査用磁場の分布が同一であっても、感磁部の形状によって、不均一な検査用磁場を均一磁場に換算する係数が変化してしまう。
このように、従来の励磁用配線を用いた磁気センサ素子の感度検査では、感磁部の製造ばらつきの影響を受けてしまうため、高精度な検査が困難であった。
したがって、本発明の目的は、感磁部の製造ばらつきの影響を受けずに、高精度な検査を行うことが可能な磁気センサを提供することにある。
本発明の磁気センサは、感磁部と、前記感磁部上における配線領域に絶縁膜を介して設けられ、前記感磁部の中心軸からの少なくとも一つの動径方向に複数本位置するように配置された導電体部を含み、自身に電流が流れることにより前記感磁部の表面に対して垂直な方向の磁場を前記感磁部に与える励磁用配線とを備え、前記励磁用配線に流れる電流密度の絶対値が前記感磁部の中心付近で零となり、前記感磁部の外側に向かって連続的に増大していくように前記複数本の導電体部が構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、励磁用配線に流れる電流密度の絶対値が前記感磁部の中心付近で零となり、前記感磁部の外側に向かって連続的に増大していくように励磁用配線が構成されていることにより、感磁部の中心付近から外側へ向かう所定の範囲において、励磁用配線によって発生する検査用磁場が均一となる。したがって、感磁部の大きさを上記所定の範囲内とすることにより、検査用磁場を感磁部内で均一にすることが可能となる。その結果、感度検査を行うに当たり、不均一磁場から均一磁場への換算が不要になるため、感磁部の製造ばらつきの影響を受けない、高精度な感度検査を実現することができる。
本発明の実施形態について説明する前に、従来技術による磁気センサ140について説明する(例えば、非特許文献2参照)。
図14は、従来技術による磁気センサ140を示す上面図である。磁気センサ140は、ホール素子1400と励磁用配線1410とを備えて構成されている。
ホール素子1400は、感磁部1405と、感磁部1405の表面に設けられた電極1401、1402、1403、1404とを有している。
励磁用配線1410は、感磁部1405の上部に図示しない絶縁膜を介して設けられ、感磁部1405の中心軸からの動径方向(例えば、L−L線に沿った動径方向)に配置された複数本(ここでは4本)の導電体部14101、14102、14103、14104を有している。隣接する導電体部14101、14102、14103、14104の中心間の間隔は一定であり、導電体部14101、14102、14103、14104のそれぞれ幅は、全て同一である。かかる励磁用配線1410に電流を印加することにより、ホール素子1400の感磁部1405に対して、感磁部1405の表面に垂直な方向に、印加する電流の大きさと向きに応じた検査用磁場が印加される。
図15は、図14に示すL−L線上における励磁用配線1410を流れる電流密度Jpの分布と、励磁用配線1410を流れる電流によって発生する垂直方向の検査用磁場Btpの分布とを示すグラフである。ホール素子1400の感磁部1405は、例えば、−20μm<x<20μmに位置しており、励磁用配線1410を流れる電流によって発生する検査用磁場Btpは、ホール素子1400の感磁部1405上で不均一になる。
このような磁気センサ140において、感度検査を行なう方法を説明する。まず、励磁用配線1410に電流を印加し、検査用磁場Btpを発生させる。検査用磁場Btpは、上述のとおり、ホール素子1400の感磁部1405上で不均一となっている。ホール素子1400を駆動すると、不均一な検査用磁場Btpに応じた出力信号が図示しない出力回路により処理されて、不均一な検査用磁場Btpに応じた測定値Stpが得られる。不均一な検査用磁場Btpを均一磁場Btp'に換算することにより、測定値Stpと均一磁場Btp'との相関が得られる。よって、均一磁場Btp'に対する測定値Stpと均一磁場Btp'に対する設計値Sdpとを比較することにより、感度検査を行うことができる。
ここで、不均一な検査用磁場Btpから均一磁場Btp'への換算を行うにあたっては、予め、同様の素子に対し、均一磁場環境と不均一な検査用磁場環境とのそれぞれで測定を行った結果を比較した表を用いるか、数値計算による換算が行われる。いずれの場合に関しても、検査用磁場Btpから均一磁場Btp'への換算の精度は、ホール素子1400の製造ばらつきによって低下してしまう。
これに対し、以下に詳述する本発明の実施形態によれば、不均一磁場から均一磁場への換算を不要とすることができる。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
図1は、図2〜13に示す本発明の各実施形態および実施形態の変形例において、励磁用配線を流れる電流密度Jの分布と、発生する垂直方向の検査用磁場Btの分布の一例を示すグラフである。励磁用配線を流れる電流密度Jは、その絶対値が磁気センサ素子の感磁部の中心付近で零となり、感磁部の外側に向かって連続的に増大していく。励磁用配線を流れる電流密度Jが図1に示したような分布であれば、磁気センサ素子の感磁部を、例えば、−20μm<x<20μmとすると、感磁部全体にわたって均一な検査用磁場Btを発生させることが可能となる。したがって、磁気センサ素子に製造ばらつきがある場合でも、高い精度で所定の検査用磁場を印加することができ、高精度な感度検査を実現することができる。
次に、図1に示すような励磁用配線の電流密度分布を実現するための具体的な実施形態および実施形態の変形例につき、図面を用いて説明する。なお、図2〜13において相互に対応する構成要素には同一符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
[第1の実施形態]
図2は、本発明の第1の実施形態の磁気センサ10を説明するための図であり、図2(a)は、磁気センサ10の上面図、図2(b)は、図2(a)におけるL−L線に沿った断面図である。
図2は、本発明の第1の実施形態の磁気センサ10を説明するための図であり、図2(a)は、磁気センサ10の上面図、図2(b)は、図2(a)におけるL−L線に沿った断面図である。
図2に示すように、第1の実施形態の磁気センサ10は、磁気センサ素子としてのホール素子100と励磁用配線110とを備えて構成されている。
ホール素子100は、半導体基板11の表面に設けられた感磁部105と、感磁部105の表面の四隅に設けられた電極101、102、103、104とを有している。ホール素子100においては、感磁部105に磁場が印加された状態で、電極101および103を駆動電流供給電極として、電極101−103間にホール電流を印加すると、ローレンツ力に起因する電位差がホール電圧出力電極となる電極102−104間に発生する。この電極102−104間に発生する電位差を測定することにより、感磁部105に印加されている磁場に比例する出力信号を得ることができる。
ここで、電極101、102、103、104は、ホール素子100に電流または電圧を印加する図示しない入力回路およびホール素子100の出力信号を処理する図示しない出力回路に電気的に接続され、ホール素子100は、例えば、駆動電流供給電極とホール電圧出力電極とを交互に切り替えるスピニングカレント方式で駆動される。
励磁用配線110は、感磁部105の上部に、半導体基板11上に形成された絶縁膜12を介して設けられ、感磁部105の中心軸Cからの動径方向(例えば、L−L線に沿った動径方向)に配置された複数本(ここでは5本)の導電体部1101、1102、1103、1104、1105、および電流を注入するための入出力端子110io1、110io2を有している。
そして、本実施形態の主な特徴として、導電体部1101、1102、1103、1104、1105は、隣接する導電体部の中心間の間隔P1、P2、P3、P4が、図2(a)に示すように、P1>P2>P3>P4となっている、すなわち、感磁部105の中心軸Cから動径方向に離れるにしたがって小さくなっている。
かかる構成によれば、入出力端子110io1、110io2を介して励磁用配線110に所定の電流を印加することにより、感磁部105の全体にわたって図1に示すような均一な検査用磁場Btを発生させることが可能となる。以下にその理由を説明する。
感磁部105の中心軸C付近には、励磁用配線110が配置されていないため、電流密度は実質的に零となっている。感磁部105の中心軸Cから動径方向に離れていくと、励磁用配線110を構成する導電体部1101、1102、1103、1104、1105が順に配置されているが、中心軸Cに近いほど導電体部の密度が小さいため、電流密度が小さい。一方、中心軸Cから動径方向に離れるほど、すなわち感磁部105の外側に向かうほど、導電体部1101、1102、1103、1104、1105の密度が大きくなるため、電流密度が大きくなる。したがって、導電体部1101、1102、1103、1104、1105の中心間の間隔P1、P2、P3、P4を適切に配置することにより、図1に示した電流密度分布を近似的に実現することができ、感磁部105の全体にわたって均一な検査用磁場を発生させることが可能となる。
次に、第1の実施形態の磁気センサ10における感度検査の方法を説明する。まず、入出力端子110io1、110io2を介して励磁用配線110に電流を印加し、検査用磁場Btを発生させる。この状態でホール素子100を駆動すると、検査用磁場Btに応じた出力信号が出力回路により処理されて、測定値Stが得られる。検査用磁場Btは感磁部105上で均一であるため、検査用磁場Btに対する測定値Stと、検査用磁場Btに対する設計値Sdとを比較することにより、感度検査を行うことができる。
ここで、測定値Stと設計値Sdとのずれに応じて、入力回路や出力回路の一部、例えば、ホール素子100の駆動電流やホール素子100の出力信号を処理する出力回路内のアンプのゲインを調整してもよい。このような調整により、感度が補正された高精度な磁気センサを得ることもできる。
このように、本実施形態の磁気センサ10によれば、図14に示す従来技術による磁気センサ140とは異なり、不均一な検査用磁場Btpから均一磁場Btp’への換算が不要となるため、ホール素子100の製造ばらつきによらない、高精度な感度検査が実現できる。
第1の実施形態の磁気センサ10は、例えば、以下のようにして製造する。
まず、半導体基板11としてP型の導電性を有する単結晶シリコン基板11を用意し、単結晶シリコン基板11に、不純物として、例えばリン原子をイオン注入することにより、N型の感磁部105を形成する。その後、リン原子を選択的にイオン注入することにより、感磁部105の表面に電極101、102、103、104を形成する。これによりホール素子100が形成される。続いて、ホール素子100を覆うように単結晶シリコン基板11上にシリコン酸化膜の化学気相成長により絶縁膜12を形成する。そして、一般的な半導体製造のアルミニウム配線工程と同様に、アルミニウムのスパッタ製膜とフォトリソグラフィおよびエッチングにより絶縁膜12上に励磁用配線110を形成する。
まず、半導体基板11としてP型の導電性を有する単結晶シリコン基板11を用意し、単結晶シリコン基板11に、不純物として、例えばリン原子をイオン注入することにより、N型の感磁部105を形成する。その後、リン原子を選択的にイオン注入することにより、感磁部105の表面に電極101、102、103、104を形成する。これによりホール素子100が形成される。続いて、ホール素子100を覆うように単結晶シリコン基板11上にシリコン酸化膜の化学気相成長により絶縁膜12を形成する。そして、一般的な半導体製造のアルミニウム配線工程と同様に、アルミニウムのスパッタ製膜とフォトリソグラフィおよびエッチングにより絶縁膜12上に励磁用配線110を形成する。
[第2の実施形態]
図3は、本発明の第2の実施形態の磁気センサ20を説明するための図であり、図3(a)は、磁気センサ20の上面図、図3(b)は、図3(a)におけるL−L線に沿った断面面である。
図3は、本発明の第2の実施形態の磁気センサ20を説明するための図であり、図3(a)は、磁気センサ20の上面図、図3(b)は、図3(a)におけるL−L線に沿った断面面である。
図3に示すように、第2の実施形態の磁気センサ20は、第1の実施形態の磁気センサ10におけるホール素子と同一構成のホール素子100と励磁用配線210とを備えて構成されている。
励磁用配線210は、感磁部105の上部に、半導体基板11上に形成された絶縁膜12を介して設けられ、感磁部105の中心軸Cからの動径方向(例えば、L−L線に沿った動径方向)に配置された複数本(ここでは5本)の導電体部2101、2102、2103、2104、2105、および電流を注入するための入出力端子210io1、210io2を有している。
そして、本実施形態の磁気センサ20の主な特徴の一つとして、まず、第1の実施形態と同様、導電体部2101、2102、2103、2104、2105は、隣接する導電体部の中心間の間隔P1、P2、P3、P4が、図3(a)に示すように、P1>P2>P3>P4となっている、すなわち、感磁部105の中心軸Cから動径方向に離れるにしたがって小さくなっている。また、本実施形態のさらなる特徴として、導電体部2101、2102、2103、2104、2105の幅W1、W2、W3、W4、W5が、W1>W2>W3>W4>W5となっている、すなわち、感磁部105の中心軸Cから動径方向に離れるにしたがって小さくなっている。
ここで、各導電体部の幅W1、W2、W3、W4、W5は、例えば、均一な磁場分布を実現するためのP1、P2、P3、P4に対して、隣接する導電体部間の距離Sが一定となるように決定することができる。導電体部間の距離Sは、例えば、製造工程で安定に生産することが可能な最小の配線間隔と、エレクトロマイグレーション耐性で決まる最小の配線幅から決定される値とすることが好ましい。
かかる構成によれば、入出力端子210io1、210io2を介して励磁用配線210に所定の電流を印加することにより、第1の実施形態と比べて、感磁部105の全体にわたってより均一な検査用磁場を発生させることが可能となる。以下にその理由を説明する。
例えば、図2に示す第1の実施形態において、各導電体部1101、1102、1103、1104、1105の幅を一定とした場合、導電体部内部での電流密度は、中心軸Cからの距離によらず、いずれの導電体部においても等しい。また、中心軸Cに近づくにつれて、隣接する導電体間の距離が大きくなる。このような場合において、特に、半導体基板11に垂直な方向における感磁部105と励磁用配線110との距離hが小さく、かつ、隣接する導電体部間の距離が大きく、かつ、導電体部内部での電流密度が大きいと、導電体部の近傍で局所的に大きな磁場変化が発生するため、検査用磁場の均一性が低下する。
これに対し、第2の実施形態では、中心軸Cから動径方向に離れるにしたがって、励磁用配線210を構成する導電体部の密度が大きくなるため、第1の実施形態と同様に、図1に示した電流密度分布を近似的に実現することができることに加え、次のような効果が得られる。第2の実施形態では、感磁部105の中心軸Cに近づくにしたがって、励磁用配線210を構成する導電体部2101、2102、2103、2104、2105の幅が広くなっているため、導電体部内部での電流密度は、中心軸Cに近づくにしたがって段階的に小さくなる。同時に、隣接する導電体部間の距離Sは、中心軸Cからの距離によらず小さく保たれる。すなわち、中心軸Cの近傍においても、励磁用配線210を構成する導電体部内部の電流密度が小さく、かつ、隣接する導電体部間の距離Sが小さいため、導電体部の近傍における局所的な磁場変化を抑制することができ、検査用磁場の均一性をさらに向上させることができる。
ここで、第2の実施形態の磁気センサ20は、第1の実施形態の磁気センサ10と同様の方法で製造することができる。
[第3の実施形態]
図4は、本発明の第3の実施形態の磁気センサ30を説明するための図であり、図4(a)は、磁気センサ30の上面図、図4(b)は、図4(a)におけるL−L線に沿った断面図である。
図4は、本発明の第3の実施形態の磁気センサ30を説明するための図であり、図4(a)は、磁気センサ30の上面図、図4(b)は、図4(a)におけるL−L線に沿った断面図である。
図4に示すように、第3の実施形態の磁気センサ30は、ホール素子300と、第1の励磁用配線310、第2の励磁用配線320、第3の励磁用配線330を含む励磁用配線とを備えて構成されている。
ホール素子300は、半導体基板11の表面に設けられた感磁部305と、感磁部305の表面の四隅に設けられた電極301、302、303、304とを有している。本実施形態のホール素子300の感磁部305は、第1および第2の実施形態のホール素子100の感磁部105よりもサイズが大きい。ホール素子300の動作、駆動方法等は、第1および第2の実施形態のホール素子100と同様であるため、その説明は省略する。
励磁用配線310は、感磁部305の上部における第1の配線領域A31に、半導体基板11上に形成された絶縁膜12を介して設けられ、感磁部305の中心軸Cからの動径方向(例えば、L−L線に沿った動径方向)に配置された複数本(ここでは3本)の導電体部3101、3102、3103、および電流を注入するための入出力端子310io1、310io2を有している。
励磁用配線320は、感磁部305上において第1の配線領域A31の内側に位置する第2の配線領域A32に、半導体基板11上に形成された絶縁膜12を介して設けられ、感磁部305の中心軸Cからの動径方向に配置された複数本(ここでは3本)の導電体部3201、3202、3203、および電流を注入するための入出力端子320io1、320io2を有している。励磁用配線330は、感磁部305上における配線領域A32に、半導体基板11上に形成された絶縁膜12を介して設けられ、感磁部305の中心軸Cからの動径方向に配置された複数本(ここでは3本)の導電体部3301、3302、3303、および電流を注入するための入出力端子330io1、330io2を有している。励磁用配線320の導電体部3201、3202、3203と励磁用配線330の導電体部3301、3302、3303とは、交互に配置されている。励磁用配線320の入出力端子320io1と励磁用配線330の入出力端子330io1とは、励磁用配線310の入出力端子310io2に電気的に並列に接続されている。
次に、第3の実施形態の磁気センサ30の主な特徴について説明する。図4(a)に示すように、励磁用配線310の導電体部3101と導電体部3102の中心間の間隔P1と導電体部3102と導電体部3103の中心間の間隔P2がP1>P2、励磁用配線320の導電体部3201、3202、3203の中心間の間隔Q2+Q3、Q4+Q5がQ2+Q3>Q4+Q5、励磁用配線330の導電体部3301、3302、3303の中心間の間隔Q1+Q2、Q3+Q4がQ1+Q2>Q3+Q4となっている、すなわち、励磁用配線310、320、330それぞれの導電体部の中心間の間隔が感磁部305の中心軸Cから動径方向に離れるにしたがって小さくなっている。また、本実施形態においても、励磁用配線310、320、330それぞれの導電体部の幅(符号は付していないが)は、感磁部305の中心軸Cから動径方向に離れるにしたがって小さくなっている。
かかる構成によれば、感磁部305が大きい場合でも、高い近似精度で図1に示したような電流密度分布を実現することができ、高精度な感度検査が可能となる。以下にその理由を説明する。
感磁部の中心軸Cから動径方向に離れるにしたがって、導電体部の中心間の間隔を小さくしていくと、中心軸Cからの距離D(図4(b)参照)がある値以上の領域において、導電体部の中心間の間隔が、製造工程で安定に生産できる最小配線間隔よりも小さくなる。ここで、距離Dは、例えば、励磁用配線320、330における導電体部の中心間距離Q1、Q2、Q3、Q4、Q5、製造工程で安定に生産することができる最小配線間隔、エレクトロマイグレーション耐性を確保するための最小配線幅などの組み合わせによって決まる。感磁部の中心軸Cから感磁部の任意の一辺までの長さが、距離Dよりも十分に小さい場合には、第1および第2の実施形態で示したように、単一の励磁用配線で均一な検査用磁場を感磁部に印加することができる。しかし、感磁部の中心軸Cから感磁部の任意の一辺までの長さが距離Dよりも大きい場合には、単一の励磁用配線のみでは、均一な磁場を印加することは困難となる。
そこで、第3の実施形態では、図4(b)に示すように、感磁部305の中心軸Cから距離Dまでの領域を配線領域A32、中心軸Cから距離Dよりも離れた領域を配線領域A31とし、配線領域A31に配置された導電体部を流れる電流が配線領域A32に配置された導電体部を流れる電流よりも大きくなるように構成している。そして、配線領域A31と配線領域A32の境界において、隣接する導電体部の中心間の間隔をP1>Q5とすることにより、図1に示した電流密度分布の実現を可能としている。すなわち、第3の実施形態の磁気センサ30における励磁用配線310、320、330によれば、中心軸Cから動径方向に離れるにしたがって、配線領域A31、A32それぞれの中では、導電体部の中心間の間隔は小さくなっていくが、中心軸Cからの距離Dを境に隣接する導電体部の中心間の間隔を広げることができるため、中心軸Cから距離D以上の広い範囲にわたって、均一な検査用磁場を発生させることができる。
ここで、第3の実施形態の磁気センサ30は、第1の実施形態の磁気センサ10と同様の方法で製造することができる。
図5は、第3の実施形態における励磁用配線310、320、330の電気的接続の各種の例を示す回路図である。図中、らせんで示した記号は、励磁用配線を表しており、らせんの内側に記載されている記号は、励磁用配線に電流を流すことにより発生する検査用磁場の向きを表している。
図5(a)は、励磁用配線310、320、330の電気的接続の一例を示す回路図である。入出力端子310io1から印加された電流Ic1は、励磁用配線320を流れる電流Ic2と励磁用配線330を流れる電流Ic3に並列に分流される。その結果、励磁用配線310、320、330に流れる各電流は、Ic1>Ic2、Ic1>Ic3、すなわち、配線領域A31の方が配線領域A32よりも大きくなる。したがって、例えば、導電体部3301と導電体部3201の中心間の間隔Q1と、導電体部3101と導電体部3102の中心間の間隔P1との関係がQ1=P1、導電体部3201と導電体部3302の中心間の間隔Q2と導電体部3102と導電体部3103の中心間の間隔P2との関係がQ2=P2、すなわち、配線領域A31における導電体部の中心間の間隔が配線領域A32における導電体部の中心間の間隔と等しい場合でも、励磁用配線を流れる電流密度は、配線領域A31の方が配線領域A32よりも大きくなる。
なお、励磁用配線310、320、330における導電体部の中心間の間隔や導電体部の幅に応じて、励磁用配線310、320、330を流れる電流Ic1、Ic2、Ic3の関係が設計されることが好ましい。例えば、Ic1=Ic2+Ic3、かつ、Ic2=Ic3、となる時に、検査用磁場が均一となるような励磁用配線310、320、330の構造を有する場合、励磁用配線320と励磁用配線330の電気抵抗が等しくなるように、図5(b)に示すように、入出力端子320io2および330io2にそれぞれ抵抗R21、R31を付加することが好ましい。あるいは、入出力端子310io1、320io2、330io2の電位を図示しない外部回路で制御しても良い。
また、例えば、Ic1≠Ic2+Ic3とするために、図5(c)に示すように、電流Ic4が流れ、検査用磁場には関与しない抵抗R42を、励磁用配線320および330と並列になるように励磁用配線310に接続しても構わない。この場合も、励磁用配線320、330のそれぞれに抵抗R22、R32を付加することが好ましい。
また、図5(a)〜(c)では、励磁用配線310、320、330を流れる電流の向きが同一となる場合を例に挙げて説明したが、例えば、図5(d)に示すように、励磁用配線320の入出力端子320io1と励磁用配線330の入出力端子330io2を励磁用配線310の入出力端子310io2に接続し、励磁用配線330を流れる電流の向きと、励磁用配線310、320を流れる電流の向きとが逆向きとなるように接続しても構わない。この時、励磁用配線320、330に流れる電流が逆向きになるので、配線領域A32における電流密度が配線領域A31における電流密度よりも小さくなるという効果を得ることができる。なお、この場合も、入出力端子320io2および330io1にそれぞれ抵抗R23、R33を付加することが好ましい。
また、図4(a)、(b)および図5(a)〜(d)では、検査用磁場に関与する励磁用配線が励磁用配線310、320、330のみからなる構造を一例として示したが、必要に応じてさらなる励磁用配線を用いても構わない。すなわち、上記では、配線領域A31、A32の二つの配線領域からなる構造を一例として示したが、必要に応じて、図5(e)、(f)に示すように、さらなる配線領域A33を配線領域A32の内側に設けても構わない。この場合、隣接する配線領域の励磁用配線について、配線領域A31、A32と同様の接続を行うことができる。かかる構成によって、より広い領域にわたって均一な検査用磁場を発生させることが可能となる。
具体的には、例えば、図5(e)に示す例では、励磁用配線330の入出力端子330io2に並列に接続された励磁用配線340、350が配線領域A33に設けられている。このとき、入出力端子320io2には抵抗R24を付加することが好ましい。また、図5(f)に示す例では、励磁用配線320の入出力端子320io2および励磁用配線330の入出力端子330io2がそれぞれ抵抗R25、R26を介して共通接続された接続点に並列に接続された励磁用配線360、370、380が配線領域A33に設けられている。このとき、励磁用配線360、370、380と並列に抵抗R45を接続し、励磁用配線360、370、380の入出力端子360io2、370io2、380io2にそれぞれ抵抗R65、R75、R85を付加することが好ましい。
[第4の実施形態]
図6は、本発明の第4の実施形態の磁気センサ40を説明するための図であり、図6(a)は、磁気センサ40の上面図、図6(b)は、図6(a)におけるL−L線に沿った断面図である。
図6は、本発明の第4の実施形態の磁気センサ40を説明するための図であり、図6(a)は、磁気センサ40の上面図、図6(b)は、図6(a)におけるL−L線に沿った断面図である。
図6に示すように、第4の実施形態の磁気センサ40は、第3の実施形態の磁気センサ30におけるホール素子と同一構成のホール素子300、すなわちサイズの大きい感磁部305を有するホール素子300と、第1の励磁用配線410および第2の励磁用配線420を含む励磁用配線とを備えて構成されている。
励磁用配線410は、感磁部305の上部における第1の配線領域A41に、半導体基板11上に形成された絶縁膜12を介して設けられ、感磁部305の中心軸Cからの動径方向(例えば、L−L線に沿った動径方向)に配置された複数本(ここでは3本)の導電体部4101、4102、4103、および電流を注入するための入出力端子410io1、410io2を有している
励磁用配線420は、感磁部305上において第1の配線領域A41の内側に位置する第2の配線領域A42に、半導体基板11上に形成された絶縁膜12を介して設けられ、感磁部305の中心軸Cからの動径方向に配置された複数本(ここでは5本)の導電体部4201、4202、4203、4204、4205、および電流を注入するための入出力端子420io1、420io2を有している。
次に、第4の実施形態の磁気センサ40の主な特徴について説明する。図6(a)に示すように、励磁用配線410の導電体部4101、4102、4103は、隣接する導電体部の中心間の間隔P1、P2がP1>P2となっており、励磁用配線420の導電体部4201、4202、4203、4204、4205の中心間の間隔Q1、Q2、Q3、Q4がQ1>Q2>Q3>Q4となっている。すなわち、励磁用配線410、420のそれぞれにおいて、隣接する導電体部の中心間の間隔が感磁部305の中心軸Cから動径方向に離れるにしたがって小さくなっている。また、本実施形態においても、励磁用配線410、420それぞれの導電体部の幅(符号は付していないが)は、感磁部305の中心軸Cから動径方向に離れるにしたがって小さくなっている。また、本実施形態のさらなる特徴として、励磁用配線410の入出力端子410io1または410io2と励磁用配線420の入出力端子420io1または420io2とが接続されていない、すなわち、励磁用配線410と励磁用配線420とは、互いに電気的に分離されている。
かかる構成によれば、励磁用配線410と励磁用配線420にそれぞれ独立に異なる電流を印加することができる。したがって、配線領域A41に配置された導電体部を流れる電流が配線領域A42に配置された導電体部を流れる電流よりも大きくなるように励磁用配線410と励磁用配線420にそれぞれ入出力端子410io1、410io2と入出力端子420io1、420io2を介して電流を印加することにより、第3の実施形態と同様の原理により、感磁部305が大きい場合でも、高い近似精度で図1に示したような電流密度分布を実現することができ、高精度な感度検査が可能となる。
ここで、第4の実施形態の磁気センサ40は、第1の実施形態の磁気センサ10と同様の方法で製造することができる。
本実施形態の説明では、励磁用配線が第1の励磁用配線410と第2の励磁用配線420からなる構成を示したが、必要に応じて、励磁用配線がさらに第3の励磁用配線を含んで構成されてもよい。この場合、入出力端子410io1、410io2、420io1、420io2とは独立した入出力端子を介して、第3の励磁用配線に励磁用配線410と励磁用配線420それぞれに印加する電流と異なる電流が印加されることが好ましい。また、励磁用配線410、420のそれぞれについて、第3の実施形態のように、複数の配線領域と複数の励磁用配線からなる励磁用配線を用いた構成としても構わない。
[第5の実施形態]
図7は、本発明の第5の実施形態の磁気センサ50を説明するための図であり、図7(a)は、磁気センサ50の上面図、図7(b)は、図7(a)におけるL−L線に沿った断面図である。
図7は、本発明の第5の実施形態の磁気センサ50を説明するための図であり、図7(a)は、磁気センサ50の上面図、図7(b)は、図7(a)におけるL−L線に沿った断面図である。
図7に示すように、第5の実施形態の磁気センサ50は、第1の実施形態の磁気センサ10におけるホール素子と同一構成のホール素子100と、第1の励磁用配線510および第2の励磁用配線520を含む励磁用配線とを備えて構成されている。
励磁用配線510は、感磁部105の上部に、半導体基板11上に形成された絶縁膜12を介して設けられ、感磁部105の中心軸Cからの動径方向(例えば、動径方向DR)に配置された複数本(ここでは3本)の導電体部5101、5102、5103、および電流を注入するための入出力端子510io1、510io2を有している。
励磁用配線520は、励磁用配線510の上部に、層間絶縁膜53を介して設けられ、感磁部105の中心軸Cからの動径方向(例えば、動径方向DR)に配置された複数本(ここでは4本)の導電体部5201、5202、5203、5204、および電流を注入するための入出力端子520io1、520io2を有している。
また、図7(b)に示すように、コンタクトプラグ54を介して入出力端子510io2と520io1とを接続することにより励磁用配線510と励磁用配線520とが直列に接続されている。
次に、第5の実施形態の磁気センサ50の主な特徴について説明する。図7(a)に示すように、導電体部5201と導電体部5101の中心間の間隔をP1、導電体部5101と導電体部5202の中心間の間隔をQ1、導電体部5202と導電体部5102の中心間の間隔をP2、導電体部5102と導電体部5203の中心間の間隔をQ2、導電体部5203と導電体部5103の中心間の間隔をP3、導電体部5103と導電体部5204の中心間の間隔をQ3とすると、図7(b)に示すように、P1+Q1>P2+Q2>P3+Q3、Q1+P2>Q2+P3となっている、すなわち、励磁用配線510、520は、それぞれ、導電体部の中心間の間隔が感磁部105の中心軸Cから動径方向に離れるにしたがって小さくなっている。また、本実施形態のさらなる特徴として、励磁用配線510の導電体部の間に、励磁用配線520の導電体部が配置されている。。
かかる構成によれば、第1の実施形態と比べ、より高い精度で、図1に示した電流密度の分布を実現し、かつ、よりエレクトロマイグレーション耐性等に優れた、信頼性の高い励磁用配線が実現できる。その理由を以下に示す。
中心軸Cから離れるにしたがって、導電体部の中心間の間隔を小さくしていく場合、導電体部の幅も小さくしていくことが必要となる。導電体部の幅が小さい箇所が存在すると、エレクトロマイグレーションへの耐性が低下する等、信頼性が低下する要因となる。一方で、導電体部の中心間の間隔を大きくすると、励磁用配線を流れる電流密度の分布が離散的になるため、図1で示した電流密度分布に対する近似精度が低下し、検査用磁場の均一性が低下する。本実施形態では、図7(b)に示すように、励磁用配線510の導電体部の間に、励磁用配線520の導電体部を配置し、また、上述のとおり励磁用配線510と励磁用配線520とを直列に接続している。したがって、入出力端子510io1、520io2を介して励磁用配線510、520に所定の電流を印加すると、励磁用配線510による磁場Bt1と励磁用配線520による磁場Bt2が合成された検査用磁場Bt1+Bt2が感磁部105に印加される。ここで、検査用磁場Bt1+Bt2は、一層の励磁用配線を用い、その導電体部の間隔をP1、Q1、P2、Q2、P3、Q3とした場合の検査用磁場とほぼ同一となる。すなわち、第5の実施形態によれば、検査用磁場の均一性を保ったまま、励磁用配線の導電体部の中心間の間隔ならびに導電体部の幅を大きくすることが可能となる。
次に、第5の実施形態を製造する具体的な方法を説明する。第5の実施形態におけるホール素子100および励磁用配線510は、第1の実施形態と同様の方法で製造することができる。励磁用配線510を形成した後、層間絶縁膜53を形成する。ここで、層間絶縁膜53は、例えば、シリコン酸化膜の化学気相成長またはスピンオングラスのスピンコートにより形成することができる。また、層間絶縁膜53の表面は、化学機械研磨やエッチバックにより平坦化されることが好ましい。励磁用配線520は、層間絶縁膜53の上に、例えば、アルミニウムのスパッタ製膜を行い、その後、フォトリソグラフィとエッチングを行うことにより形成することができる。なお、励磁用配線510と520とは、層間絶縁膜53を貫通するビアを形成し、例えばタングステンの化学気相成長により、ビアを導電体で埋めこんだコンタクトプラグ54を介して、電気的に直列に接続することができる。
なお、本実施形態の説明では、励磁用配線510の全ての導電体部の間に励磁用配線520の導電体部を配置する場合を一例として示したが、励磁用配線510を流れる電流密度の分布と励磁用配線520を流れる電流密度の分布を合わせて考えたときに、図1に示した電流密度分布が実現されていれば良く、図7で示した以外の導電体部の配置を除外するものではない。
また、本実施形態の説明では、励磁用配線510、520を流れる電流の向きが同一となる場合について説明したが、例えば、らせん状の励磁用配線520とらせん状の励磁用配線510について、らせん構造の向きを逆にし、励磁用配線520を流れる電流の向きと、励磁用配線510を流れる電流の向きとが逆向きとなるように接続しても構わない。ここで、励磁用配線520では、中心軸Cから動径方向DRに離れるにしたがって、導電体部の中心間の間隔が大きくなるように導電体部を配置し、励磁用配線510では、中心軸Cから動径方向に離れるにしたがって、導電体部の中心間の間隔が小さくなるように導電体部を配置することが好ましい。かかる構成によって、励磁用配線510における電流密度Jc1は、中心軸Cに近づくほど小さくなり、かつ、励磁用配線520における電流密度Jc2は、電流密度Jc1とは逆符号を有し、中心軸Cに近づくほど大きなる。その結果、励磁用配線510における電流密度Jc1と励磁用配線520における電流密度Jc2とを合わせた電流密度Jc1+Jc2は、電流密度Jc1に比べて、中心軸Cに近づくにつれて電流密度がより大きく減少する。すなわち、電流密度Jc1+Jc2が図1で示した電流密度の分布を近似的に実現する場合、電流密度Jc1の分布は、図1で示した電流密度分布よりも緩やかな分布となる。その結果、励磁用配線510の導電体部の中心間の間隔ならびに導電体部の幅は、第1の実施形態よりも大きくすることが可能となり、図7に示した構成により得られる上述の効果と同等の効果が得られる。
また、本実施形態の説明では、励磁用配線510と励磁用配線520とをコンタクトプラグ54により電気的に直列に接続された構造を一例として示したが、第4の実施形態と同様に、入出力端子510io2と520io1を電気的に接続せず、それぞれに独立に異なる電流を印加するようにしても構わない。
また、本実施形態の説明では、励磁用配線が第1の励磁用配線510と第2の励磁用配線520のみからなる構造を一例として示したが、必要に応じて、励磁用配線がさらに第3の励磁用配線を含んで構成されてもよい。
また、第1の励磁用配線510を流れる電流と第2の励磁用配線520を流れる電流とが異なるように、検査用磁場には関与しない第3の励磁用配線(図示せず)を第2の励磁用配線520と並列に第1の励磁用配線510に接続しても構わない。また、励磁用配線510、520のそれぞれについて、図4に示す第3の実施形態の磁気センサ30のように、複数の配線領域と複数の励磁用配線からなる励磁用配線を用いた構成としても構わない。
[第6の実施形態]
図8は、本発明の第6の実施形態の磁気センサ60を説明するための図であり、図8(a)は、磁気センサ60の上面図、図8(b)は、図8(a)におけるL−L線に沿った断面図である。
図8は、本発明の第6の実施形態の磁気センサ60を説明するための図であり、図8(a)は、磁気センサ60の上面図、図8(b)は、図8(a)におけるL−L線に沿った断面図である。
図8に示すように、第6の実施形態の磁気センサ60は、第1の実施形態の磁気センサ10におけるホール素子と同一構成のホール素子100と、励磁用配線610とを備えて構成されている。
励磁用配線610は、感磁部105の上部に、半導体基板11上に形成された絶縁膜12を介して設けられ、感磁部105の中心軸Cからの少なくとも一つの動径方向(例えば、動径方向DR)に配置された複数本(ここでは6本)の導電体部6101、6102、6103、6104、6105、6106を含んでいる。
次に、第6の実施形態の磁気センサ60の主な特徴について説明する。図8(a)に示すように、磁気センサ60では、隣接する導電体部の中心間の間隔Pが等しくなっている。さらに、磁気センサ60では、図8(a)に示すように、複数の導電体部610i(i=1、2、3、4、5、6)がそれぞれ電流を注入するための入出力端子610iio1および610iio2を有し、全て独立している。すなわち、複数の導電体部610i(i=1、2、3、4、5、6)は、互いに電気的に分離されている。
かかる構成によれば、各導電体部の中心座標をxi、各導電体部を流れる電流をIci(i=1、2、3、4、5、6)としたとき、電流Iciと中心座標xiとの関係が図1に示した電流密度分布と一致するように各入出力端子610iio1、610iio2を介して励磁用配線610に電流Iciを印加することにより、感磁部105に均一な検査用磁場を印加することができる。
ここで、第6の実施形態の磁気センサ60は、第1の実施形態の磁気センサ10と同様の方法で製造することができる。
[第7の実施形態]
図9は、本発明の第7の実施形態の磁気センサ70を説明するための上面図である。断面図については、図3に示す第2の実施形態の磁気センサ20と略同等であるため、図示は省略する。
図9は、本発明の第7の実施形態の磁気センサ70を説明するための上面図である。断面図については、図3に示す第2の実施形態の磁気センサ20と略同等であるため、図示は省略する。
図9に示すように、第7の実施形態の磁気センサ70は、第1の実施形態の磁気センサ10におけるホール素子と同一構成のホール素子100と、励磁用配線710とを備えて構成されている。
励磁用配線710は、感磁部105の上部に、半導体基板11上に形成された絶縁膜12を介して設けられ、感磁部105の中心軸Cからの少なくとも一つの動径方向DR1に配置された複数本(ここでは5本)の直線状の導電体部7101、7102、7103、7104、7105と、感磁部105の中心軸Cからの少なくとも一つの動径方向DR2に配置された複数本(ここでは5本)の直線状の導電体部7106、7107、7108、7109、71010とを含んでいる。
次に、第7の実施形態の磁気センサ70の主な特徴について説明する。図9に示すように、磁気センサ70では、隣接する導電体部7101、7102、7103、7104、7105の中心間の間隔P1、P2、P3、P4がP1>P2>P3>P4となっており、隣接する導電体部7106、7107、7108、7109、71010の中心間の間隔(符号は図示せず)も同様となっている。すなわち、感磁部105の中心軸Cから動径方向DR1、DR2それぞれの方向に離れるにしたがって、隣接する導電体部の中心間の間隔が小さくなっている。
さらに、磁気センサ70では、図9に示すように、複数の導電体部710i(i=1、2、3、4、5、6、7、8、9、10)がそれぞれ電流を注入するための入出力端子710iio1および710iio2を有し、全て独立している。すなわち、複数の導電体部610i(i=1、2、3、4、5、6、7、8、9、10)は、互いに電気的に分離されている。ただし、本実施形態では、第6の実施形態とは異なり、各導電体部710iに異なる電流を印加するわけではない。本実施形態では、例えば、入出力端子7105io1から電流を入力し、入出力端子7105io2から出力された電流を入出力端子71010io2に入力し、入出力端子71010io1から出力された電流を入出力端子7104io1に入力し・・・というように、外側の導電体部から内側の導電体部へ順に電流が流れ、導電体部7101、7102、7103、7104、7105に流れる電流の方向と導電体部7106、7107、7108、7109、71010に流れる電流の方向とが逆方向になるように励磁用配線710に電流を印加する。
かかる構成によっても、上述の各実施形態と同様、図1に示した電流密度分布を近似的に実現することができ、感磁部105の全体にわたって均一な検査用磁場を発生させることが可能となる。
なお、本実施形態においては、励磁用配線を一層の励磁用配線710で構成した例を示したが、励磁用配線710上に層間絶縁膜を介して、励磁用配線710と同様の構成の励磁用配線を励磁用配線710と垂直方向となるようにさらに設けてもよい。
以上のように、本発明の磁気センサによれば、励磁用配線に電流を印加して発生する検査用磁場を用いた磁気センサ素子の感度検査に関して、検査用磁場を磁気センサ素子の感磁部で均一にすることができ、高精度な感度検査を実現することが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態では、励磁用配線の外形が四角型であり、かつ、励磁用配線の外形の各辺が感磁部の各辺と並行である場合を例として説明したが、これに限られるものではない。例えば、図10に示す第1の変形例による磁気センサM10のように、励磁用配線1010の外形を八角型としても良く、あるいは、図示は省略するが、円形や不等辺多角形等としても良い。、さらに、図11に示す第2の変形例による磁気センサM20のように、励磁用配線2010の外形の各辺は感磁部105の各辺に対して並行でなくても良い。
また、励磁用配線は、必ずしも半導体基板上の絶縁膜上に形成する構成としなくてもよい。例えば、図12に示す第3の変形例による磁気センサM30のように、プリント基板3001上の配線を用いて励磁用配線3010を構成し、ホール素子100を内包したプラスチックパッケージ3002を当該プリント基板3001に実装するようにしても良い。または、図13(a)に示す第4の変形例による磁気センサM40のように、単一のプラスチックパッケージ4003内に、二つの半導体チップ4001および4002を対向させて配置した構成とすることも可能である。すなわち、図13(b)に示すように、半導体チップ4001の表面にホール素子100を形成し、図13(c)に示すように、半導体チップ4002の表面に励磁用配線4010を形成し、ホール素子100と励磁用配線4010とが対向するようパッケージングするようにしてもよい。あるいは、図示しないが、ウェハプローバ内に設置された配線を用いて励磁用配線を構成するようにしても良い。
また、励磁用配線における導電体部の本数および中心間の間隔は、感磁部の大きさや形状に応じて設計されるものであり、各実施形態および前述の各変形例で示した本数や間隔に限定されるものではない。
さらに、上記実施形態では、磁気センサ素子としてホール素子を用いた例を説明したが、磁気センサの種類はホール素子に限定されるものではなく、磁気抵抗素子、磁気インピーダンス素子などに置き換えることも可能である。特に、磁場検出感度を上げるために、配線長を長くした磁気抵抗素子や磁気インピーダンス素子では、感磁部全体に均一に磁場を印加するにあたって、本発明による励磁用配線を用いることが好ましい。
また、上記実施形態では、半導体製造工程のアルミニウム配線工程を用いて、励磁用配線を形成する例を説明したが、アルミニウム以外の導電膜を用いて励磁用配線を構成しても良い。
J 電流密度
Bt 検査用磁場
10、20、30、40、50、60、70、M10、M20、M30、M40、140 磁気センサ
11 半導体基板
12 絶縁膜
53 層間絶縁膜
54 コンタクトプラグ
100、300、1400 ホール素子
101、102、103、104、301、302、303、304、1401、1402、1403、1404 電極
105、305、1405 感磁部
110、210、310、320、330、340、350、360、370、380、410、420、610、710、1010、1410、2010、3010、4010 励磁用配線
1101、1102、1103、1104、1105、2101、2102、2103、2104、2105、3101、3102、3103、3201、3202、3203、3301、3302、3303、4101、4102、4103、4201、4202、4203、4204、4205、5101、5102、5103、5201、5202、5203、5204、6101、6102、6103、6104、6105、6106、7101、7102、7103、7104、7105、7106、7107、7108、7109、71010、14101、14102、14103、14104 導電体部
110io1、110io2、210io1、210io2、310io1、310io2、320io1、320io2、330io1、330io2、360io2、370io2、380io2、410io1、410io2、420io1、420io2、510io1、510io2、520io1、520io2、6101io1、6101io2、6102io1、6102io2、6103io1、6103io2、6104io1、6104io2、6105io1、6105io2、6106io1、6106io2、7101io1、7101io2、7102io1、7102io2、7103io1、7103io2、7104io1、7104io2、7105io1、7105io2、7106io1、7106io12、7107io1、7107io2、7108io1、7108io2、7109io1、7109io2、71010io1、71010io2、 入出力端子
A31、A32、A33、A41、A42 配線領域
Ic1、Ic2、Ic3、Ic4 電流
3001 プリント基板
3002、4003 プラスチックパッケージ
4001、4002 半導体チップ
Bt 検査用磁場
10、20、30、40、50、60、70、M10、M20、M30、M40、140 磁気センサ
11 半導体基板
12 絶縁膜
53 層間絶縁膜
54 コンタクトプラグ
100、300、1400 ホール素子
101、102、103、104、301、302、303、304、1401、1402、1403、1404 電極
105、305、1405 感磁部
110、210、310、320、330、340、350、360、370、380、410、420、610、710、1010、1410、2010、3010、4010 励磁用配線
1101、1102、1103、1104、1105、2101、2102、2103、2104、2105、3101、3102、3103、3201、3202、3203、3301、3302、3303、4101、4102、4103、4201、4202、4203、4204、4205、5101、5102、5103、5201、5202、5203、5204、6101、6102、6103、6104、6105、6106、7101、7102、7103、7104、7105、7106、7107、7108、7109、71010、14101、14102、14103、14104 導電体部
110io1、110io2、210io1、210io2、310io1、310io2、320io1、320io2、330io1、330io2、360io2、370io2、380io2、410io1、410io2、420io1、420io2、510io1、510io2、520io1、520io2、6101io1、6101io2、6102io1、6102io2、6103io1、6103io2、6104io1、6104io2、6105io1、6105io2、6106io1、6106io2、7101io1、7101io2、7102io1、7102io2、7103io1、7103io2、7104io1、7104io2、7105io1、7105io2、7106io1、7106io12、7107io1、7107io2、7108io1、7108io2、7109io1、7109io2、71010io1、71010io2、 入出力端子
A31、A32、A33、A41、A42 配線領域
Ic1、Ic2、Ic3、Ic4 電流
3001 プリント基板
3002、4003 プラスチックパッケージ
4001、4002 半導体チップ
Claims (10)
- 感磁部と、
前記感磁部上における配線領域に絶縁膜を介して設けられ、前記感磁部の中心軸からの少なくとも一つの動径方向に複数本位置するように配置された導電体部を含み、自身に電流が流れることにより前記感磁部の表面に対して垂直な方向の磁場を前記感磁部に与える励磁用配線とを備え、
前記励磁用配線に流れる電流密度の絶対値が前記感磁部の中心付近で零となり、前記感磁部の外側に向かって連続的に増大していくように前記複数本の導電体部が構成されていることを特徴とする磁気センサ。 - 前記動径方向において隣接する前記導電体部の中心間の間隔が前記感磁部の中心軸から離れるほど小さくなっていることを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ。
- 前記動径方向において前記複数本の導電体部の幅が前記感磁部の中心軸から離れるほど小さくなっていることを特徴とする請求項2に記載の磁気センサ。
- 前記配線領域は、第1の配線領域と前記第1の配線領域の内側に位置する第2の配線領域とを含み、
前記励磁用配線は、前記第1の配線領域に設けられた第1の励磁用配線と、前記第2の配線領域に設けられた第2および第3の励磁用配線とを含み、
前記複数本の導電体部は、前記動径方向に複数本位置するように配置された前記第1の励磁用配線を構成する第1の導電体部と、前記動径方向に複数本位置するように配置された前記第2の励磁用配線を構成する第2の導電体部と、前記動径方向に複数本位置するように前記第2の導電体部と交互に配置された前記第3の励磁用配線を構成する第3の導電体部とを含み、
前記動径方向において隣接する前記第1の導電体部の中心間の間隔が前記感磁部の中心軸から離れるほど小さくなっており、
前記動径方向において隣接する前記第2の導電体部の中心間の間隔が前記感磁部の中心軸から離れるほど小さくなっており、
前記動径方向において隣接する前記第3の導電体部の中心間の間隔が前記感磁部の中心軸から離れるほど小さくなっており、
前記第2の励磁用配線と前記第3の励磁用配線とが前記第1の励磁用配線に電気的に並列に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ。 - 前記動径方向において前記複数本の第1の導電体部の幅が前記感磁部の中心軸から離れるほど小さくなっており、
前記動径方向において前記複数本の第2の導電体部の幅が前記感磁部の中心軸から離れるほど小さくなっており、
前記動径方向において前記複数本の第3の導電体部の幅が前記感磁部の中心軸から離れるほど小さくなっていることを特徴とする請求項4に記載の磁気センサ。 - 前記配線領域は、第1の配線領域と前記第1の配線領域の内側に位置する第2の配線領域とを含み、
前記励磁用配線は、前記第1の配線領域に設けられた第1の励磁用配線と、前記第2の配線領域に設けられた第2の励磁用配線とを含み、
前記複数本の導電体部は、前記動径方向に複数本位置するように配置された前記第1の励磁用配線を構成する第1の導電体部と、前記動径方向に複数本位置するように配置された前記第2の励磁用配線を構成する第2の導電体部とを含み、
前記動径方向において隣接する前記第1の導電体部の中心間の間隔が前記感磁部の中心軸から離れるほど小さくなっており、
前記動径方向において隣接する前記第2の導電体部の中心間の間隔が前記感磁部の中心軸から離れるほど小さくなっており、
前記第1の励磁用配線と前記第2の励磁用配線とが互いに電気的に分離されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ。 - 前記動径方向において前記複数本の第1の導電体部の幅が前記感磁部の中心軸から離れるほど小さくなっており、
前記動径方向において前記複数本の第2の導電体部の幅が前記感磁部の中心軸から離れるほど小さくなっていることを特徴とする請求項6に記載の磁気センサ。 - 前記励磁用配線は、前記絶縁膜上に設けられた第1の励磁用配線と、前記第1の励磁用配線と重なるように層間絶縁膜を介して設けられた第2の励磁用配線とを備え、
前記複数本の導電体部は、前記動径方向に複数本位置するように配置された前記第1の励磁用配線を構成する第1の導電体部と、前記動径方向に複数本位置するように配置された前記第2の励磁用配線を構成する第2の導電体部とを含み、
前記動径方向において隣接する前記第1の導電体部の中心間の間隔が前記感磁部の中心軸から離れるほど小さくなっており、
前記動径方向において前記第2の導電体部の少なくとも1つが、隣接する前記第1の導電体部の間に位置していることを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ。 - 前記動径方向において前記複数本の第1の導電体部の幅が前記感磁部の中心軸から離れるほど小さくなっていることを特徴とする請求項8に記載の磁気センサ。
- 前記動径方向において隣接する前記導電体部の中心間の間隔が一定であり、
前記複数本の導電体部は、互いに電気的に分離されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ。
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---|---|---|---|
JP2018220867A Abandoned JP2020085668A (ja) | 2018-11-27 | 2018-11-27 | 磁気センサ |
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DE102007041230B3 (de) | 2007-08-31 | 2009-04-09 | Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. | Kalibrierbarer mehrdimensionaler magnetischer Punktsensor sowie entsprechendes Verfahren und Computerprogramm dafür |
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