JP2020084996A - オイルシール及びその装着方法 - Google Patents

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Takehiro Nakagawa
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Abstract

【課題】微妙な力加減の調節なしに、オイルシールをハンマーで叩いてハウジングに装着できるようにすること。【解決手段】円形の装着孔102を有するハウジング101を用意し、ともに弾性部材であるシールリップ51と外周シール71とを装着孔102の内径よりも小径の金属環31に設けたオイルシール11を用意する。ハウジング101にオイルシール11を装着するには、ハウジング101にオイルシール11を重ね合わせてオイルシール11の周方向上の複数個所をハンマーで叩き、装着孔102の内径よりも大きな外径を有する外周シール71を弾性変形させて装着孔102に押し込む。外周シール71が装着孔102に押し込まれる際、外周シール71の外周面73に周方向に沿って設けられた窪み74に、弾性変形する外周シール71の一部を逃がす。【選択図】図2

Description

本発明は、オイルシール及びその装着方法に関する。
例えば産業用ロボットや建設用機械の入出力軸には、比較的大径のオイルシールが用いられている。特許文献1、2にはこのようなオイルシールの一例が示されている。
特許文献1は、ロボットの出力軸(21)を二つのシール、第1シール部(41)と第2シール部(42)とによって密封するオイルシールの発明を開示している。第1シール部(41)は、ロボットの出力軸(21)とこれを回転自在に支持する固定部(22)との間を密封する。第2シール部(42)は、固定部に一体的に固定された第1カバー(31)と出力軸に一体的に固定された中間部(32)との間を密封する。
特許文献1は、第1シール部及び第2シール部の詳細構造については開示していない。
特許文献2は、ベース(50)に対して回転自在のキャリア(4)を歯車装置(1)で駆動する発明を開示している。この発明では、ベース側の外筒(2)とキャリア側の基板部(32c)との間をオイルシール(61)で密封している。
特許文献2は、オイルシールの詳細構造も開示している(段落[0030]−[0033]、図2参照)。このオイルシールは、外筒の内周面に嵌め込まれる基部(61a)と基板に密接するシール部(61b)とがつながった環状形状を有している。基部は、断面L字形状を有する金属製の補強リング(61a2)をニトリルゴムなどの弾性体部分(61a1)で覆っている。断面L字形状をなす補強リングは、外筒の内周面に平行な方向と基板部に向かう方向とのそれぞれに二つの辺を延ばしている。
特開2017−132016号公報 特開2014−109323号公報
オイルシールをハウジング等の基部に装着するに際しては、圧入という手法が採用される。基部に設けられた装着孔にオイルシールを圧入するという手法である。装着孔にオイルシールが圧入される際、オイルシールの外周面に設けられた外周シール(特許文献2の「弾性体部分61a1」)が弾性変形し、オイルシールの圧入を可能にする。
比較的小径のオイルシールであれば、人手によって圧入作業を行うことができる。特許文献1、2に開示されているような比較的大径のオイルシールの場合は、圧入プレスによって基部の装着孔にオイルシールを圧入することが一般的である。圧入プレスは、オイルシールが大径になればなるほど大型化し、設備投資の負担が増大する。経済的な観点からすると、圧入プレスのための設備投資は、生産数とのバランスの上に成り立つ。このため少量生産のユニットについては、圧入プレスの導入が非合理な場合も生じ得る。
このような事情から、たとえ大径のオイルシールであったとしても、人手によって基部に装着する手法が採用されることもある。この手法は、オイルシールにあて木をし、ハンマーで叩きながら基部の装着孔にオイルシールを圧入するという手法である。
より詳細には、圧入初期時、あて木を介してオイルシールの周方向の数カ所を順にハンマーで叩き、オイルシールの先端側の全周を装着孔に圧入する。オイルシールを装着孔にセットするわけである。説明の便宜上、この状態を初期セットと呼ぶ。
オイルシールを初期セットしたならば、本格的にハンマーで叩いて装着孔にオイルシールを圧入していく。初期セットのときと同様に、あて木を介してオイルシールの周方向の数カ所を順にハンマーで叩くことで、装着孔に対するオイルシールの圧入深さが徐々に深まる。この作業を繰り返すことで、オイルシールは装着孔に完全に圧入され、基部に対するオイルシールの装着作業が完了する。
このようなオイルシールの装着作業に際して、とりわけ圧入初期時には、オイルシールが過度に傾くことを抑制しなければならない。ハンマーで打ちつけた部分が装着孔に深く入りすぎると対角側が浮きあがり、一旦は圧入されて保持されていた装着孔から外れてしまうからである。このような状況が繰り返されると、オイルシールを基部に初期セットすること自体ができなくなってしまう。
オイルシールが過度に傾くことを抑制しなければならないのは、初期セット後においても同様である。オイルシールが過度に傾くことで、装着孔の内壁に密接する外周シールの弾性変形量が過剰になり、装着孔と外周シールとの間の摺動量も増大し、外周シールに加わる負担が増大するからである。
ところがハンマーで打ちつけることによってオイルシールを基部に入れる量を調節することは、意外にも難しい。ハンマーで打ちつける力が弱すぎるとオイルシールは基部に入っていかないし、強すぎると対角側に浮き上がりが生じてしまい、その間の力加減が微妙だからである。換言すると、ハンマーを叩く力加減の許容幅が狭い。その結果オイルシールの装着作業性は良好とはいい難く、改善が求められる。
本発明の課題は、オイルシールをハンマーで叩いて基部に装着する作業の作業性を改善することである。
本発明のオイルシールは、基部に設けられた円形の装着孔の内径よりも小径の金属環と、前記金属環に固定された弾性部材であり、前記装着孔内に配置される回転体の外周面に密接するシールリップと、前記金属環の外周面に固定された弾性部材であり、前記装着孔の内径よりも大きな外径を有する外周シールと、前記外周シールの外周面に周方向に沿って設けられた窪みとを備える。
本発明のオイルシールの装着方法は、円形の装着孔を有する基部を用意し、前記装着孔の内径よりも小径の金属環を有し、弾性部材であるシールリップを前記金属環の内周側に突出させ、弾性部材である外周シールを前記金属環の外周側に設けたオイルシールを用意し、前記基部に重ね合わされた前記オイルシールの周方向上の複数個所をハンマーで叩き、前記装着孔の内径よりも大きな外径を有する前記外周シールを弾性変形させて前記装着孔に押し込み、前記外周シールが前記装着孔に押し込まれる際、前記外周シールの外周面に周方向に沿って設けられた窪みに、弾性変形する前記外周シールの一部を逃がす。
本発明によれば、オイルシールをハンマーで叩いて基部の装着孔に圧入する際のハンマーを叩く力加減の許容幅を拡大することができ、オイルシールを基部に装着する作業の作業性を向上させることができる。
オイルシールの実施の一形態を示す垂直断面図。 断面形状を拡大して窪みの幅の一例を示す垂直断面図。 断面形状を拡大して窪みの幅の別の一例を示す垂直断面図。 オイルシールを装着するハウジングの模式図。 オイルシールの周方向上の複数個所を順にハンマーで叩く作業を視覚的に示す模式図。
実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施の形態は、産業用ロボットの入出力軸に用いられる比較的大型のオイルシール及びその装着方法を紹介する。
図1に示すように、本実施の形態のオイルシール11は、環状形状を有する金属環31を有している。この金属環31には、シールリップ51と外周シール71とが固着している。オイルシール11は基部、例えばハウジング101(図2〜図4参照)に設けられた装着孔102に嵌め込まれて使用される。
本実施の形態では、装着孔102に嵌め込まれる際、先頭側になる側をオイルシール11の先端側と呼ぶ。オイルシール11の先端側は、図1〜図3中の上方側である。
金属環31は、一方の端面側が直角に屈曲され、断面L字形形状を有している。断面にしたときに長辺となる領域は筒部32である。筒部32には外周シール71が固着している。断面にしたときに短辺となる領域はフランジ33である。フランジ33にはシールリップ51が固着している。筒部32とフランジ33とは、屈曲部34で連絡している。これらの筒部32、フランジ33、及び屈曲部34は、それぞれ別部品が接合したものではなく、金属プレス加工によって一体に成形されている。
図2に示すように、金属環31が有するフランジ33の先端部には、シールリップ51が設けられている。シールリップ51は、フランジ33に例えば加硫接着されたゴム状弾性体である。シールリップ51の内周面には主リップ52とダストリップ53とが成形されている。これらの主リップ52とダストリップ53とは、ハウジング101の内周側に配置されて回転自在に支持される回転体201の外周面202に密接する。したがって主リップ52及びダストリップ53の内径は、回転体201の外形よりも小径である。
主リップ52は断面三角形形状を有しており、機内O側に配置される。主リップ52の外周面に成形されている断面半円形状の溝は、図示しないコイルスプリングを収納するためのスプリング溝54である。スプリング溝54に収納されたコイルスプリングは、回転体201に対する主リップ52の密接力を増強する。
ダストリップ53は主リップ52よりも機外A側に配置され、機外A側に向けて斜めに延びる形状を有している。
図2に示すように、金属環31が有する筒部32の外周面35には、外周シール71が設けられている。外周シール71は、筒部32に例えば加硫接着されたゴム状弾性体である。外周シール71は筒部32の外周面35のみならず、筒部32の端面36及び内周面37、そして屈曲部34にまで回り込んでいる。屈曲部34にまで回り込んだ外周シール71は、シールリップ51にも連続している。これはシールリップ51と外周シール71とが同じ工程で一体に成形されているからである。
オイルシール11は、ハウジング101に設けられた装着孔102に嵌め込まれて固定される。ハウジング101の装着孔102に嵌め込まれたとき、オイルシール11は、筒部32の外周面35に配置された外周シール71を弾性変形させる。したがって外周シール71は、ハウジング101の装着孔102の内径よりも大きな外径寸法を有している。
本実施の形態では、ハウジング101の装着孔102に密接する外周シール71の領域を密接領域Cと呼ぶ。外周シール71は、筒部32の外周面35側を隆起させており、この隆起した部分に密接領域Cが設けられる。密接領域Cをなす外周シール71の厚みは、後述する窪み74の領域を除いて均等な厚みに成形されている。
ハウジング101の装着孔102に対して、オイルシール11はその先端側から挿入される。このとき外周シール71は、装着孔102の内径よりも大径なので、装着孔102の縁E(図4参照)に干渉する。本実施の形態では、装着孔102の縁Eに外周シール71が引っかかることなく円滑に入り込んでいくように、オイルシール11の先端側に位置する外周シール71の縁をテーパー面72としている。
外周シール71は、密接領域Cに位置する外周面73に窪み74を設けている。この窪み74は、外周シール71の周方向に沿って成形された溝形状を有しており、外周シール71の全周にエンドレスに設けられている。
窪み74が配置されているのは、密接領域C中、ハウジング101の装着孔102に対する挿入方向先端側、つまりオイルシール11の先端側に寄せた位置である。一例として窪み74の先端部は、密接領域Cの挿入方向先端から11:100前後、例えば10:100〜12:100程度の位置に位置づけられている。密接領域C中、テーパー面72から窪み74の間口に至るまでの距離は、距離L1である。
説明の便宜上、外周シール71の密接領域C中、距離L1を有する窪み74よりも先端側を先端領域75と呼び、後端側を主領域76と呼ぶ。先端領域75と主領域76とは、同一の外径寸法を有している。
窪み74は、テーパー状に幅を縮小する形状を有している。本実施の形態では、窪み74の間口幅OWはOW1に、底幅IWはIW1に設定されている。
図3は、外周シール71の密接領域Cについての別の一例を示している。本例は、主領域76よりも先端領域75の径を小径にした一例である。主領域76の直径はR1、先端領域75はR2であり、R1>R2の関係にある。
図3に示す一例は、先端領域75の軸方向長さ及び窪み74の幅についても図2に示す一例と相違する。先端領域75の軸方向長さの距離Lは、図2に示す一例がL1であるのに対して、図3に示す一例はL2であり、L1<L2に設定されている。その分だけ図2に示す一例よりも、窪み74の幅Wが間口幅OW2、底幅IW2と狭くなっている。図2に示す一例の窪み74はそれぞれ間口幅OW1、底幅IW1であり、OW1>OW2、IW1>IW2の関係を有している。
前述したように、図2に示す一例と図3に示す一例との間では、先端領域75の距離LがL1<L2の関係になる分だけ、窪み74の間口幅OW及び底幅IWがそれぞれOW1>OW2、IW1>IW2の関係になる。その理由は、先端領域75の距離Lに窪み74の間口幅OWを加えた寸法は、図2に示す一例と図3に示す一例とで共通しているからである。したがって図2及び図3にそれぞれ示す二つの構成例は、先端領域75から窪み74に至るまでの距離(L+W)を一致させた上で、先端領域75に類似した特性を持たせている。
そのための方策として図2に示す一例は、先端領域75の外径寸法を図3に示す一例よりも大径にして、先端領域75の軸方向長さ(距離L1)を図3に示す一例の長さ(距離L2)よりも短く設定している。図3に示す一例は反対に、先端領域75の外径寸法を図2に示す一例よりも小径にして、先端領域75の軸方向長さ(距離L2)を図2に示す一例の長さ(距離L1)よりも長く設定している。こうして得られる先端領域75の特性は、ハウジング101に設けられた装着孔102への挿入し易さに関係する特性である。詳しくは後述する。
図4は、ハウジング101及び装着孔102を単純化し、模式的に示している。以下、オイルシール11をハウジング101に装着するオイルシールの装着方法を説明する。この方法は、つぎに示す四つの工程によって成立する。
(1)基部を用意する工程
円形の装着孔102を有する基部、本実施の形態ではハウジング101を用意する工程である。
ハウジング101は回転体201を回転自在に支持している。このためハウジング101と回転体201との間には、隙間が不可避である。機内O側に貯留されたオイルやグリースが隙間を通って機外A側に漏れないようにするために、あるいは機外A側から異物が機内O側に入り込まないようにするために、隙間にはオイルシール11が装着される。
(2)オイルシールを用意する工程
オイルシール11を用意する工程である。オイルシール11は、装着孔102の内径よりも小径の金属環31を有し、弾性部材であるシールリップ51を金属環31の内周側に突出させ、弾性部材である外周シール71を金属環31の外周側に設けている。
(3)初期セット工程
図4に例示するハウジング101に設けられた装着孔102にオイルシール11を重ね合わせ、外周シール71のうちオイルシール11の先端部に位置する部分を装着孔102に圧入する工程である。この工程は、外周シール71を装着孔102に圧入する圧入初期時に実行される工程である。圧入初期は、オイルシール11の先端部から外周シール71を装着孔102に圧入しはじめた後、装着孔102内にオイルシール11が保持される程度までの期間である。
装着孔102内にオイルシール11が保持された状態は、オイルシール11が装着孔102にセットされたことを意味する。本実施の形態では、この状態を初期セットと呼ぶ。「初期セット工程」は、「基部を用意する工程」「オイルシールを用意する工程」の完了後、基部としてのハウジング101に対してオイルシール11を初期セット状態にするまでの工程であると定義づけられる。
図5に示すように、圧入初期時には、あて木(図示せず)を介してオイルシール11の周方向の数カ所を順にハンマー(図示せず)で叩き、オイルシール11の先端側の全周を装着孔102に圧入する。図5中の矢印つきサークルは、オイルシール11をハンマーで叩く際の時間の経過を示している。ハンマーで叩くオイルシール11の周方向の数カ所は、図5に示すように、アナログ時計に譬えるならば、一例として0時、3時、6時、及び9時の位置である。3時間刻みの位置と言い換えてもよい。
言うまでもなくこれは一例であり、4時間刻みの位置であるとか、2時間刻みの位置、あるいは1時間刻みの位置を順にハンマーで叩いてもよい。あるいは等しい時間間隔の位置に限らず、例えば0時、3時、5時、7時、及び9時などのように等しくない時間間隔の位置をハンマーで叩くことも許容される。
別の一例としては、一人又は複数人が複数個所を同時にハンマーで叩くようにしてもよい。例えば二人が0時と6時とに相当する箇所を同時にハンマーで叩き、続いて3時と9時とに相当する箇所を同時にハンマーで叩くようにしてもよい。あるいは四人が0時、3時、6時、及び9時の位置を同時にハンマーで叩くようにしてもよい。この場合には、オイルシール11の周方向の数カ所が順にハンマーで叩かれるのではなく、同時にハンマーで叩かれることになる。
初期セット工程では、外周シール71が装着孔102に押し込まれる際、外周シール71の外周面73に周方向に沿って設けられた窪み74は、オイルシール11をハウジング101に装着する作業の作業性を向上させる。詳しく説明する。
装着孔102にオイルシール11が押し込まれる際、装着孔102の縁Eには、まず外周シール71のテーパー面72が当たる。この状態でオイルシール11が加圧されると、外周シール71は弾性変形する。弾性変形した外周シール71は、装着孔102の内壁によって規制される。図2、図3中、外周シール71の外周面73は、装着孔102を示す一点鎖線よりも左側に位置づけられなければならない。このため外周シール71は、金属環31が有する筒部32の外周面35に近接する方向に縮むように弾性変形する。このようなオイルシール11の装着時、窪み74は、先端領域75に装着孔102への挿入し易さに関係する特性を生じさせ、これによって二つの作用効果を生じさせる。
(押し込み力の低減)
図1〜図3に示すように、密接領域C中、窪み74はオイルシール11の先端側に寄せた位置に配置されている。このような窪み74の配置上、窪み74は、テーパー面72と比較的近接した位置に位置づけられる。このため装着孔102の縁Eにテーパー面72を当てた外周シール71が押し込まれると、外周シール71は金属環31が有する筒部32の外周面35に近接する方向に縮むように弾性変形するのみならず、圧入方向にも弾性変形する。圧入方向に弾性変形した外周シール71の一部は、窪み74に逃げ込む。
弾性変形する外周シール71の一部が窪み74に逃げ込む結果、オイルシール11は、窪み74が設けられていないオイルシールと比べて、より弱い力で装着孔102に押し込まれる。実際の作業に即して考えると、あて木を介してハンマーでオイルシール11を叩く際、オイルシール11は、より弱い力で装着孔102に押し込まれていく。このためハンマーを叩く力加減の許容幅が拡大し、オイルシール11の微妙な押し込み量の調節が可能になる。
その結果オイルシール11をハウジング101に装着する作業の作業性を向上させることができる。これが装着作業性に関する窪み74の一つ目の作用効果である。
窪み74に逃げ込むようにも弾性変形する外周シール71の変形特性は、
(a)外周シール71のテーパー面72と窪み74との間の密接領域C上の距離L
(b)窪み74の間口幅OW及び底幅IW
(c)窪み74の深さ
などに依存する。実施に際しては、求める外周シール71の変形特性に応じて、図2に例示するオイルシール11を採用するか、図3に例示するオイルシール11を採用するか、あるいは上記(a)(b)(c)を適宜設定した別のオイルシールを採用するかを決定すればよい。
図2に示す構成例では、装着孔102に対する押し込み力の低減は、専ら外周シール71の一部が窪み74に逃げ込むことによって実現される。図3に示す構成例の場合、外周シール71の密接領域C中、主領域76よりも先端領域75の方が小径であることも、装着孔102に対する押し込み力の低減に一役買っている。
(スプリングバック現象の低減)
オイルシール11の外周シール71は、前述した通り、ハウジング101の装着孔102に装着されるに際して、金属環31が有する筒部32の外周面35に近接する方向に縮むように弾性変形する。このとき外周シール71は、装着孔102に対する圧入方向に歪むようにも弾性変形する。こうして圧入方向に弾性変形した部分は、荷重が取り除かれた直後、より具体的にはハンマーで叩かれて装着孔102に押し込まれた直後に戻りを生じる。いわゆるスプリングバックである。
弾性体の歪み量は圧入スピードが速く、圧入後の荷重保持時間が短いほど大きくなり、その結果戻り量も大きくなる。圧入プレスによってゆっくりと圧入するのに比べて、ハンマーで叩いて圧入した場合にスプリングバックが発生する所以である。
スプリングバックが発生したときの問題は、脱落である。装着孔102への装着時にスプリングバックが発生すると、外周シール71はその勢いによって装着孔102から脱落し易くなってしまうのである。このためスプリングバックは、オイルシール11をハウジング101に装着する作業の作業性を損なう。
本実施の形態のオイルシール11は、外周シール71に設けた窪み74によって、このようなスプリングバックの問題を緩和する。前述したように、オイルシール11の外周シール71は圧入方向に弾性変形し、その一部が窪み74に逃げ込む。これによって外周シール71の歪み量が減少し、その分スプリングバックによる影響が緩和される。
とりわけ図3に示す構成例の場合、外周シール71の密接領域C中、主領域76よりも先端領域75の方が小径であることから、初期セット工程において、外周シール71が圧入方向に弾性変形する度合いが少なくなる。その分撓み量も減少するため、スプリングバックがより一層生じにくくなり、その影響の緩和が加速される。
その結果オイルシール11をハウジング101に装着する作業の作業性を向上させることができる。これが装着作業性に関する窪み74の二つ目の作用効果である。
以上述べたように、本実施の形態のオイルシール11によれば、窪み74が設けられていないオイルシールと比べて、装着孔102に対する微妙な押し込み量の調節が可能になり、装着孔102内での保持力も低下せず、スプリングバックの影響も緩和あるいは解消される。その結果ハウジング101にオイルシール11を装着する作業の作業性を向上させることができる。
(4)圧入工程
オイルシール11を初期セットしたならば、本格的にハンマーで叩いて装着孔102にオイルシール11を圧入していく。初期セットのときと同様に、あて木を介してオイルシール11の周方向の数カ所を順にハンマーで叩くことで、装着孔102に対するオイルシール11の圧入深さが徐々に深まっていく。この作業を繰り返すことで、オイルシール11は装着孔102に完全に圧入され、ハウジング101に対するオイルシール11の装着作業が完了する。
実施に際しては、各種の変更や変形が許容される。
例えば上記実施の形態の窪み74は、外周シール71の周方向に沿って成形された溝形状を有し、外周シール71の全周にエンドレスに設けられた一例として示したが、実施に際してはこれに限らない。例えば外周シール71の周方向に沿って断続的に成形されたエンドレスではない窪みの集合体であってもよい。
その他、あらゆる変更や変形が可能である。
11 オイルシール
31 金属環
32 筒部
33 フランジ
34 屈曲部
35 外周面
36 端面
37 内周面
51 シールリップ
52 主リップ
53 ダストリップ
54 スプリング溝
71 外周シール
72 テーパー面
73 外周面
74 窪み
101 ハウジング(基部)
102 装着孔
201 回転体
202 外周面
A 機外
C 密接領域
O 機内

Claims (6)

  1. 基部に設けられた円形の装着孔の内径よりも小径の金属環と、
    前記金属環に固定された弾性部材であり、前記装着孔内に配置される回転体の外周面に密接するシールリップと、
    前記金属環の外周面に固定された弾性部材であり、前記装着孔の内径よりも大きな外径を有する外周シールと、
    前記外周シールの外周面に周方向に沿って設けられた窪みと、
    を備えることを特徴とするオイルシール。
  2. 前記窪みは、前記外周シールの全周にエンドレスに設けられている、
    ことを特徴とする請求項1に記載のオイルシール。
  3. 前記窪みは、前記基部に対する挿入方向先端側に寄せて配置されている、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のオイルシール。
  4. 前記外周シールの径は、前記窪みよりも前記基部に対する挿入方向後端側よりも先端側の方が小径である、
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一に記載のオイルシール。
  5. 前記外周シールは、前記金属環の外周面の全体を覆っている、
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一に記載のオイルシール。
  6. 円形の装着孔を有する基部を用意し、
    前記装着孔の内径よりも小径の金属環を有し、弾性部材であるシールリップを前記金属環の内周側に突出させ、弾性部材である外周シールを前記金属環の外周側に設けたオイルシールを用意し、
    前記基部に重ね合わされた前記オイルシールの周方向上の複数個所をハンマーで叩き、前記装着孔の内径よりも大きな外径を有する前記外周シールを弾性変形させて前記装着孔に押し込み、
    前記外周シールが前記装着孔に押し込まれる際、前記外周シールの外周面に周方向に沿って設けられた窪みに、弾性変形する前記外周シールの一部を逃がす、
    ことを特徴とするオイルシールの装着方法。
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