JP2020084734A - 耐震用スリット材 - Google Patents
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Abstract
Description
フェノール樹脂発泡体はアルカリによって腐食される性質を有するところ、コンクリートは非常に強いアルカリである。そのためフェノール樹脂発泡体とコンクリートが接する箇所ではフェノール樹脂発泡体は劣化し易く、強度低下等の問題が生じる恐れがある。さらに鉄筋コンクリート構造においてはフェノール樹脂発泡体の酸によって中性化され、内部の鉄筋の不導態被膜が破れ、腐食するため構造の脆化を引き起こす恐れがある。さらにコンクリート打設時の側圧に耐えるためには50N/cm2以上が必要と言われている。フェノール樹脂発泡体の曲げ強度は約40N/cm2であるため、曲げ強度を向上させる何らかのシート状補強材を用いなければならない。以上よりフェノール樹脂発泡体の表面には非通気性のシート状補強材を使用しなければならない。しかしながらフェノール樹脂発泡体はその製造方法の制約によってこれら非通気性のシート状補強材と一体成型して製造することができない。そのため非通気性のシート状補強材は接着剤等で貼り付ける他なく、施工効率を低下させる要因となる。また耐震用スリット材には変形復帰性が求められる。変形復帰性が高ければ、地震によって合成樹脂板状体が圧縮変形した場合でも、元の状態に近い形まで戻ることができる。そのため地震後に隙間が生じる恐れを低減でき、初期性能を維持することができる。しかしながらフェノール樹脂発泡体の変形復帰性は小さい。
ポリカーボネート樹脂はアルカリによって腐食される性質を有するところ、コンクリートは非常に強いアルカリである。そのため樹脂とコンクリートが接すると、ポリカーボネート樹脂の強度低下等の問題が生じる恐れがある。また、ポリカーボネート発泡体の熱伝導率は高く、コンクリート建造物の断熱性の低下を引き起こす。またポリカーボネート樹脂は熱可塑性樹脂であり単独では耐火性に劣るため、実際に建材として使用する際には耐火性シートの積層が必要となる。結果として経済的、時間的なコストの増大を招く。
前記合成樹脂板状体が、イソシアネート指数が170〜610であるポリイソシアヌレート発泡体を含む、耐震用スリット材を提供する。
前記ポリイソシアヌレート発泡体の見掛け密度は25〜55kg/m3であってもよい。
前記ポリイソシアヌレート発泡体の独立気泡率は80%以上であってもよい。
前記ポリイソシアヌレート発泡体は、発泡体全量基準で0.5〜25重量%の難燃剤を含んでもよい。前記難燃剤はリン酸エステルでもよい。
前記ポリイソシアヌレート発泡体は、ポリオール成分100重量%のうちポリエステルポリオールの割合が5重量%以上である原料組成物を発泡させたものであってもよい。
前記ポリイソシアヌレート発泡体は、物理的発泡剤としてシクロペンタン、もしくはハイドロフルオロオレフィン(HFO)、もしくはその両方を使用して原料組成物を発泡させたものであってもよい。
ヌレート化率(%)=[a/(a+b+c+d)]×100
a:ヌレート環に基づく吸収ピーク位置:1410cm−1、面積位置:1347.03〜1464.67cm−1の面積
b:ウレタン・ウレアの[N−H]に基づく吸収ピーク位置:1510cm−1、面積位置:1460.81〜1562.06cm−1の面積
c:ウレアの「C=O]に基づく吸収ピーク位置:1595cm−1、面積位置:1566.88〜1638.23cm−1の面積
d:ウレタン・ヌレートの「C=O]に基づく吸収ピーク位置:1710cm−1、面積位置:1636.3〜1768.4cm−1の面積
1)酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム等の金属酸化物類;
2)メトキシナトリウム、エトキシナトリウム、プロポキシナトリウム、ブトキシナトリウム、メトキシカリウム、エトキシカリウム、プロポキシカリウム、ブトキシカリウム等のアルコキシド類;
3)酢酸カリウム、オクチル酸カリウム、カプリル酸カリウム、シュウ酸鉄等の有機金属塩類;
4)2,4,6‐トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N’,N”‐トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン、トリエチレンジアミン等の3級アミン類;
5)エチレンイミンの誘導体;
6)アルカリ金属、アルミニウム、遷移金属類のアセチルアセトンのキレート類、4級アンモニウム塩;
実施例及び比較例で原料として使用した化合物は以下の通りである。
ポリオール化合物2:ポリプロピレンエーテルポリオール(三洋化成株式会社製、商品名「PP−400」)、OHV400mgKOH/g、数平均分子量280.5
ポリオール化合物3:ジエチレングリコール、OHV1057mgKOH/g、数平均分子量106
整泡剤:エボニックジャパン株式会社製、品番「B8443」
三量化触媒:オクチル酸カリウム65%と酢酸カリウム35%の混合物
物理的発泡剤2:ハイドロフルオロオレフィン(HFO)(ハネウェル社製、商品名「Solstice 1233zd(E)」)
実施例及び比較例のポリイソシアヌレート発泡体の合成樹脂板状体を製造した手順の概要を以下に説明する。
ASTM D2856に基づいて測定した。
ヌレート化率は、発泡体の表面から深さ3mmの部位を切り出したものをサンプルとし、赤外線吸収スペクトル法に基づいて測定した。より具体的には、ヌレート環に基づく吸収ピーク面積を、ヌレート環、ウレタン・ウレアのN−H、ウレアのC=O、ウレタン・ヌレートのC=Oに基づく吸収ピーク面積との総和で割ることによって、全体の部分構造に対するヌレート環の割合を算出した。より具体的には以下のように算出した。
ヌレート化率(%)=[a/(a+b+c+d)]×100
a:ヌレート環に基づく吸収ピーク位置:1410cm−1、面積位置:1347.03〜1464.67cm−1の面積
b:ウレタン・ウレアの[N−H]に基づく吸収ピーク位置:1510cm−1、面積位置:1460.81〜1562.06cm−1の面積
c:ウレアの「C=O]に基づく吸収ピーク位置:1595cm−1、面積位置:1566.88〜1638.23cm−1の面積
d:ウレタン・ヌレートの「C=O]に基づく吸収ピーク位置:1710cm−1、面積位置:1636.3〜1768.4cm−1の面積
JIS K7222に基づいて測定した。
「独立行政法人都市再生機構」が制定した「機材の品質判定基準(平成26年5月版):スリット材の性能試験方法」に基づいて測定した。具体的な試験方法は以下のとおりである。100mm×100mm×30mmにカットした合成樹脂板状体の試験片を15mmまで圧縮し、荷重を0に戻す。これを5回繰り返して、荷重0にしたのち、23(±5)℃、相対湿度50(+20−10)%の状態下で3時間以上放置させ、測定した厚さを復帰厚さとした。荷重速度は、500mm/min程度とした。
以下の手順の評価試験に基づいて測定した。
液化ブタンを75重量%〜85重量%、液化プロパンを15重量%〜25重量%含むボンベ、および直径22mmの火口径のトーチを組み合わせたハンドバーナーを使用し、200mm×200mm×30mmに切断した試験体の中央にバーナーの炎がトーチ先端から50mmの距離で当たるようにして燃焼させる。30mmの厚さの試験体が燃焼し、炎の当たっている面の反対面に炎が貫通するのに要する時間を測定する。
JIS K7221−2に基づいて測定した。具体的には得られたポリイソシアヌレート発泡体から250mm×50mm×15mmに切断した試験体を200mmの距離にある2つの半径15mmの円柱状端支点上に対称に置き、半径15mmの円柱状端くさびを万能試験機をもちいて20mm/minの一定速度で移動させて試験片の長さ方向に対して垂直に荷重を加える。曲げ強度は破壊するまでの最大荷重を使用して算出する。
JIS A9521に基づいて測定した。
Claims (7)
- コンクリート建造物における梁部または柱部と壁部との間に埋設される用途に使用される、合成樹脂板状体を芯材に含む耐震用スリット材であって、
前記合成樹脂板状体が、イソシアネート指数が170〜610であるポリイソシアヌレート発泡体を含む、耐震用スリット材。 - 前記ポリイソシアヌレート発泡体の見掛け密度が25〜55kg/m3であることを特徴とする請求項1に記載の耐震用スリット材。
- 前記ポリイソシアヌレート発泡体の独立気泡率が80%以上であることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の耐震用スリット材。
- 前記ポリイソシアヌレート発泡体が、発泡体全量基準で0.5〜25重量%の難燃剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐震用スリット材。
- 前記難燃剤が、リン酸エステルであることを特徴とする請求項4に記載の耐震用スリット材。
- 前記ポリイソシアヌレート発泡体が、ポリオール成分100重量%のうちポリエステルポリオールの割合が5重量%以上である原料組成物を発泡させたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐震用スリット材。
- 前記ポリイソシアヌレート発泡体が、物理的発泡剤としてシクロペンタン、もしくはハイドロフルオロオレフィン(HFO)、もしくはその両方を使用して原料組成物を発泡させたものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の耐震用スリット材。
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