JP2020084090A - 導電性組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗布性が良好であり、レジスト層の膜減りが少ない導電膜を形成できる導電性組成物の提供。【解決手段】酸性基を有する導電性ポリマーと、水と、炭素数1〜3の低級アルコールを含む導電性組成物であって、前記導電性組成物の総質量に対して前記低級アルコールの含有量が0.1〜15質量%であり、前記低級アルコール由来の硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、及びプロピオン酸イオンの含有量が、前記低級アルコールの総質量に対して、それぞれ1000質量ppm以下であり、前記低級アルコール由来のカルシウム、マグネシウム及び亜鉛の含有量が、前記低級アルコールの総質量に対して、それぞれ10質量ppb以下である、導電性組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、導電性組成物及びその製造方法に関する。
電子線やイオン線等の荷電粒子線を用いたパターン形成技術は、光リソグラフィーの次世代技術として期待されている。荷電粒子線を用いる場合、生産性向上にはレジスト層の感度向上が重要である。
従って、露光部分又は荷電粒子線が照射された部分に酸を発生させ、続いてポストエクスポージャーベーク(PEB)処理と呼ばれる加熱処理により架橋反応又は分解反応を促進させる、高感度な化学増幅型レジストの使用が主流となっている。
また、近年、半導体デバイスの微細化の流れに伴い、数nmオーダーでのレジスト形状の管理も要求されるようになってきている。
ところで、荷電粒子線を用いるパターン形成方法においては、特に基板が絶縁性の場合、基板の帯電(チャージアップ)によって発生する電界が原因で、荷電粒子線の軌道が曲げられ、所望のパターンが得られにくいという課題がある。
この課題を解決する手段として、導電性ポリマーを含む導電性組成物をレジスト層の表面に塗布して導電膜を形成し、前記導電膜でレジスト層の表面を被覆する技術が有効であることが既に知られている。
導電性ポリマーとして、酸性基を有する導電性ポリマーが知られている。酸性基を有する導電性ポリマーは、ドープ剤を添加することなく導電性を発現できる。
例えば、特許文献1には、酸性基を有する導電性ポリマーと、水酸化テトラブチルアンモニウム等の塩基性化合物と、溶剤とを含む導電性組成物が開示されている。
国際公開第2014/017540号
しかしながら、特許文献1に記載の導電性組成物を化学増幅型レジストに適用すると、レジスト層が膜減りすることがある。
また導電性組成物には、レジスト層の表面上に塗布する際の塗布性が良好であることが求められる。
本発明は、塗布性が良好であり、レジスト層の膜減りが少ない導電膜を形成できる導電性組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、導電性組成物の溶剤の一部として有機溶剤を用いると塗布性が向上する一方で、レジスト層の膜減りが生じやすくなる場合があることを知見した。そして、精製したアルコール系溶剤を特定量用いることで、塗布性の向上と膜減りの抑制を両立できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は以下の態様を有する。
[1] 酸性基を有する導電性ポリマーと、水と、炭素数1〜3の低級アルコールを含む導電性組成物であって、前記導電性組成物の総質量に対して前記低級アルコールの含有量が0.1〜15質量%であり、前記低級アルコール由来の硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、及びプロピオン酸イオンの含有量が、前記低級アルコールの総質量に対して、それぞれ1000質量ppm以下であり、前記低級アルコール由来のカルシウム、マグネシウム及び亜鉛の含有量が、前記低級アルコールの総質量に対して、それぞれ10質量ppb以下である、導電性組成物。
[2] 荷電粒子線描画時の帯電防止用である、[1]の導電性組成物。
[3] 酸性基を有する導電性ポリマーと、水と、炭素数1〜3の低級アルコールを混合する工程を含む、導電性組成物の製造方法であって、前記導電性組成物の総質量に対して前記低級アルコールの含有量が0.1〜15質量%であり、前記低級アルコール中の硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、及びプロピオン酸イオンの含有量が、それぞれ1000質量ppm以下であり、前記低級アルコール中のカルシウム、マグネシウム及び亜鉛の含有量が、それぞれ10質量ppb以下である、導電性組成物の製造方法。
本発明によれば、塗布性が良好であり、レジスト層の膜減りが少ない導電膜を形成できる導電性組成物及びその製造方法を提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための単なる例示であって、本発明をこの実施の形態にのみ限定することは意図されない。本発明は、その趣旨を逸脱しない限り、様々な態様で実施することが可能である。
なお、本発明において「導電性」とは、1×1011Ω/□以下の表面抵抗値を有することである。表面抵抗値は、一定の電流を流した場合の電極間の電位差より求められる。
また、本明細書において「溶解性」とは、単なる水、塩基及び塩基性塩の少なくとも一方を含む水、酸を含む水、水と水溶性有機溶媒との混合物のうち、10g(液温25℃)に、0.1g以上均一に溶解することを意味する。また、「水溶性」とは、上記溶解性に関して、水に対する溶解性のことを意味する。
また、本明細書において、「末端疎水性基」の「末端」とは、ポリマーを構成する繰り返し単位以外の部位を意味する。
また、本明細書において「質量平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって測定される質量平均分子量(ポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算)である。
[導電性ポリマー]
本発明における導電性ポリマー(A)は、酸性基を有する。導電性ポリマー(A)が酸性基を有していれば、水溶性が高まる。その結果、導電性ポリマー(A)を含む導電性組成物の塗布性が高まり、均一な厚さの塗膜が得られやすくなる。
導電性ポリマー(A)としては、分子内にスルホン酸基、及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの基を有していれば、本発明の効果を有する限り特に限定されず、公知の導電性ポリマーを用いることができる。例えば、特開昭61−197633号公報、特開昭63−39916号公報、特開平1−301714号公報、特開平5−504153号公報、特開平5−503953号公報、特開平4−32848号公報、特開平4−328181号公報、特開平6−145386号公報、特開平6−56987号公報、特開平5−226238号公報、特開平5−178989号公報、特開平6−293828号公報、特開平7−118524号公報、特開平6−32845号公報、特開平6−87949号公報、特開平6−256516号公報、特開平7−41756号公報、特開平7−48436号公報、特開平4−268331号公報、特開2014−65898号公報等に示された導電性ポリマーなどが、溶解性の観点から好ましい。
導電性ポリマー(A)としては、具体的には、α位若しくはβ位が、スルホン酸基、及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されたフェニレンビニレン、ビニレン、チエニレン、ピロリレン、フェニレン、イミノフェニレン、イソチアナフテン、フリレン、及びカルバゾリレンからなる群から選ばれた少なくとも1種を繰り返し単位として含む、π共役系導電性ポリマーが挙げられる。
また、前記π共役系導電性ポリマーがイミノフェニレン、及びガルバゾリレンからなる群から選ばれた少なくとも1種の繰り返し単位を含む場合は、前記繰り返し単位の窒素原子上に、スルホン酸基、及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの基を有する、又はスルホン酸基、及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されたアルキル基、若しくはエーテル結合を含むアルキル基を前記窒素原子上に有する導電性ポリマーが挙げられる。
この中でも、導電性や溶解性の観点から、β位がスルホン酸基、及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されたチエニレン、ピロリレン、イミノフェニレン、フェニレンビニレン、カルバゾリレン、及びイソチアナフテンからなる群から選ばれた少なくとも1種をモノマーユニット(単位)として有する導電性ポリマーが好ましく用いられる。
導電性ポリマー(A)は、高い導電性や溶解性を発現できる観点から、下記一般式(1)〜(4)で表される単位からなる群より選ばれた1種以上のモノマーユニットを、導電性ポリマーを構成する全単位(100mol%)中に20〜100mol%含有する導電性ポリマーが好ましい。
Figure 2020084090
Figure 2020084090
Figure 2020084090
Figure 2020084090
式(1)〜(4)中、Xは硫黄原子、又は窒素原子を表し、R〜R15は各々独立に、水素原子、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子(−F、−Cl、−Br又はI)、−N(R16、−NHCOR16、−SR16、−OCOR16、−COOR16、−COR16、−CHO、又は−CNを表す。R16は炭素数1〜24のアルキル基、炭素数1〜24のアリール基、又は炭素数1〜24のアラルキル基を表す。
ただし、一般式(1)のR、Rのうちの少なくとも1つ、一般式(2)のR〜Rのうちの少なくとも1つ、一般式(3)のR〜R10のうちの少なくとも1つ、一般式(4)のR11〜R15のうちの少なくとも1つは、それぞれ酸性基又はその塩である。
ここで、「酸性基」とは、スルホン酸基(スルホ基)又はカルボン酸基(カルボキシ基)を意味する。
スルホン酸基は、酸の状態(−SOH)で含まれていてもよく、イオンの状態(−SO )で含まれていてもよい。さらに、スルホン酸基には、スルホン酸基を有する置換基(−R17SOH)も含まれる。
一方、カルボン酸基は、酸の状態(−COOH)で含まれていてもよく、イオンの状態(−COO)で含まれていてもよい。さらに、カルボン酸基には、カルボン酸基を有する置換基(−R17COOH)も含まれる。
前記R17は炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアリーレン基、又は炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアラルキレン基を表す。
酸性基の塩としては、スルホン酸基又はカルボン酸基のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、又は置換アンモニウム塩などが挙げられる。
アルカリ金属塩としては、例えば、硫酸リチウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム及びこれらの骨格を有する誘導体などが挙げられる。
アルカリ土類金属塩としては、例えばマグネシウム塩、カルシウム塩などが挙げられる。
置換アンモニウム塩としては、例えば脂肪族アンモニウム塩、飽和脂環式アンモニウム塩、不飽和脂環式アンモニウム塩などが挙げられる。
脂肪族アンモニウム塩としては、例えば、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、メチルエチルアンモニウム、ジエチルメチルアンモニウム、ジメチルエチルアンモニウム、プロピルアンモニウム、ジプロピルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ジイソプロピルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ジブチルアンモニウム、メチルプロピルアンモニウム、エチルプロピルアンモニウム、メチルイソプロピルアンモニウム、エチルイソプロピルアンモニウム、メチルブチルアンモニウム、エチルブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラメチロールアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラn−ブチルアンモニウム、テトラsec−ブチルアンモニウム、テトラt−ブチルアンモニウムなどが挙げられる。
飽和脂環式アンモニウム塩としては、例えば、ピペリジニウム、ピロリジニウム、モルホリニウム、ピペラジニウム及びこれらの骨格を有する誘導体などが挙げられる。
不飽和脂環式アンモニウム塩としては、例えば、ピリジニウム、α−ピコリニウム、β−ピコリニウム、γ−ピコリニウム、キノリニウム、イソキノリニウム、ピロリニウム、及びこれらの骨格を有する誘導体などが挙げられる。
導電性ポリマー(A)としては、高い導電性を発現できる観点から、上記一般式(4)で表される単位を有することが好ましく、その中でも特に、溶解性にも優れる観点から、下記一般式(5)で表されるモノマーユニットを有することがより好ましい。
Figure 2020084090
式(5)中、R18〜R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、又はハロゲン原子(−F、−Cl、−Br又はI)を表す。また、R18〜R21のうちの少なくとも1つは酸性基又はその塩である。
前記一般式(5)で表される単位としては、製造が容易な点で、R18〜R21のうち、いずれか1つが炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基であり、他のいずれか1つがスルホン酸基であり、残りが水素であるものが好ましい。
導電性ポリマー(A)は、pHに関係なく水及び有機溶媒への溶解性に優れる観点から、該導電性ポリマー(A)を構成する全単位(100mol%)のうち、前記一般式(5)で表される単位を10〜100mol%含有することが好ましく、50〜100mol%含有することがより好ましく、100mol%含有することが特に好ましい。
また、導電性ポリマー(A)は、導電性に優れる観点で、前記一般式(5)で表される単位を1分子中に10以上含有することが好ましい。
また、導電性ポリマー(A)において、溶解性がより向上する観点から、ポリマー中の芳香環の総数に対する、酸性基が結合した芳香環の数は、50%以上であることが好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましく、90%以上が特に好ましく、100%が最も好ましい。
ポリマー中の芳香環の総数に対する、酸性基が結合した芳香環の数は、導電性ポリマー(A)製造時の、モノマーの仕込み比から算出した値のことを指す。
また、導電性ポリマー(A)において、モノマーユニットの芳香環上の酸性基以外の置換基は、モノマーへの反応性付与の観点から電子供与性基が好ましく、具体的には、炭素数1〜24のアルキル基、炭素数1〜24のアルコキシ基、ハロゲン基(−F、−Cl、−Br又はI)等が好ましく、このうち、電子供与性の観点から、炭素数1〜24のアルコキシ基であることが最も好ましい。
さらに、導電性ポリマー(A)は、前記一般式(5)で表される単位以外の構成単位として、溶解性、導電性及び性状に影響を及ぼさない限り、置換又は無置換のアニリン、チオフェン、ピロール、フェニレン、ビニレン、二価の不飽和基、二価の飽和基からなる群より選ばれる1種以上の単位を含んでいてもよい。
導電性ポリマー(A)としては、高い導電性と溶解性を発現できる観点から、下記一般式(6)で表される構造を有する化合物であることが好ましく、下記一般式(6)で表される構造を有する化合物の中でも、ポリ(2−スルホ−5−メトキシ−1,4−イミノフェニレン)が特に好ましい。
Figure 2020084090
式(6)中、R22〜R37は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、又はハロゲン原子(−F、−Cl、−Br又はI)を表す。また、R22〜R37のうち少なくとも1つは酸性基又はその塩である。また、nは重合度を示す。本発明においては、nは5〜2500の整数であることが好ましい。
導電性ポリマー(A)に含有される酸性基は、導電性向上の観点から少なくともその一部が遊離酸型であることが望ましい。
導電性ポリマー(A)の質量平均分子量は、GPCのポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算で、導電性、溶解性及び成膜性の観点から、1000〜100万が好ましく、1500〜80万がより好ましく、2000〜50万がさらに好ましく、2000〜10万が特に好ましい。導電性ポリマー(A)の質量平均分子量が1000未満の場合、溶解性には優れるものの、導電性及び成膜性が不足する場合がある。一方、質量平均分子量が100万を超える場合、導電性には優れるものの、溶解性が不充分な場合がある。
ここで、「成膜性」とは、ハジキ等が無い均一な膜となる性質のことを指し、ガラス上へのスピンコート等の方法で評価することができる。
<導電性ポリマー(A)の製造方法>
導電性ポリマー(A)の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、本発明の効果を有する限り特に限定はされない。
具体的には、前述のいずれかのモノマーユニットを有する重合性単量体(原料モノマー)を化学酸化法、電解酸化法などの各種合成法により重合する方法等が挙げられる。このような方法としては、例えば特開平7−196791号公報、特開平7−324132号公報に記載の合成法などを適用することができる。
以下に、導電性ポリマー(A)の製造方法の一例について説明する。
本実施形態の導電性ポリマー(A)の製造方法は、重合溶媒及び酸化剤の存在下、導電性ポリマー(A)の原料モノマーを重合する工程(重合工程)を含む。さらに、重合工程で得られた反応生成物を精製する工程(精製工程)を含むことが好ましい。
(重合工程)
重合工程は、重合溶媒及び酸化剤の存在下、導電性ポリマー(A)の原料モノマーを重合する工程である。
原料モノマーの具体例としては、上述したモノマーユニットの由来となる重合性単量体が挙げられ、具体的には酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩及び置換アンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
酸性基置換アニリンとしては、例えば酸性基としてスルホン酸基を有するスルホン酸基置換アニリンが挙げられる。
スルホン基置換アニリンとして代表的なものは、アミノベンゼンスルホン酸類であり、具体的にはo−,m−,p−アミノベンゼンスルホン酸、アニリン−2,6−ジスルホン酸、アニリン−2,5−ジスルホン酸、アニリン−3,5−ジスルホン酸、アニリン−2,4−ジスルホン酸、アニリン−3,4−ジスルホン酸などが好ましく用いられる。
アミノベンゼンスルホン酸類以外のスルホン基置換アニリンとしては、例えばメチルアミノベンゼンスルホン酸、エチルアミノベンゼンスルホン酸、n−プロピルアミノベンゼンスルホン酸、iso−プロピルアミノベンゼンスルホン酸、n−ブチルアミノベンゼンスルホン酸、sec−ブチルアミノベンゼンスルホン酸、t−ブチルアミノベンゼンスルホン酸等のアルキル基置換アミノベンゼンスルホン酸類;メトキシアミノベンゼンスルホン酸、エトキシアミノベンゼンスルホン酸、プロポキシアミノベンゼンスルホン酸等のアルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類;ヒドロキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類;ニトロ基置換アミノベンゼンスルホン酸類;フルオロアミノベンゼンスルホン酸、クロロアミノベンゼンスルホン酸、ブロムアミノベンゼンスルホン酸等のハロゲン置換アミノベンゼンスルホン酸類などを挙げることができる。
これらの中では、導電性や溶解性に特に優れる導電性ポリマー(A)が得られる点で、アルキル基置換アミノベンゼンスルホン酸類、アルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類、ヒドロキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類、又はハロゲン置換アミノベンゼンスルホン酸類が好ましく、製造が容易な点で、アルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び置換アンモニウム塩が特に好ましい。
これらのスルホン酸基置換アニリンは、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
重合溶媒としては、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合溶媒などが挙げられる。有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、エチルイソブチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル等のエチレングリコール類;プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル等のプロピレングリコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のピロリドン類などが挙げられる。
重合溶媒としては、水、又は水と有機溶媒との混合溶媒が好ましい。
酸化剤としては、標準電極電位が0.6V以上である酸化剤であれば限定はないが、例えばペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム等のペルオキソ二硫酸類;過酸化水素などが挙げられる。
これらの酸化剤は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
重合工程は、重合溶媒及び酸化剤に加えて、塩基性反応助剤の存在下で原料モノマーを重合してもよい。
塩基性反応助剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の無機塩基;アンモニア;メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルメチルアミン、エチルジメチルアミン、ジエチルメチルアミン等の脂式アミン類;環式飽和アミン類;ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、キノリン等の環式不飽和アミン類などが挙げられる。
これらの中では、無機塩基、脂式アミン類、環式不飽和アミン類が好ましく、環式不飽和アミン類がより好ましい。
これらの塩基性反応助剤は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
重合の方法としては、例えば、酸化剤溶液中に原料モノマー溶液を滴下する方法、原料モノマー溶液に酸化剤溶液を滴下する方法、反応容器等に原料モノマー溶液と、酸化剤溶液を同時に滴下する方法などが挙げられる。原料モノマー溶液には、必要に応じて塩基性反応助剤が含まれていてもよい。
酸化剤溶液及び原料モノマー溶液の溶媒としては、上述した重合溶媒を用いることができる。
重合反応の反応温度は、50℃以下が好ましく、−15〜30℃がより好ましく、−10〜20℃がさらに好ましい。重合反応の反応温度が50℃以下、特に30℃以下であれば、副反応の進行や、生成する導電性ポリマー(A)の主鎖の酸化還元構造の変化による導電性の低下を抑止できる。重合反応の反応温度が−15℃以上であれば、十分な反応速度を維持し、反応時間を短縮できる。
重合工程により、反応生成物である導電性ポリマー(A)が重合溶媒に溶解または沈殿した状態で得られる。
反応生成物が重合溶媒に溶解している場合は、重合溶媒を留去して反応生成物を得る。
反応生成物が重合溶媒に沈殿している場合は、遠心分離器等の濾過器により重合溶媒を濾別して反応生成物を得る。
反応生成物には、未反応の原料モノマー、副反応の併発に伴うオリゴマー、酸性物質、塩基性物質(塩基性反応助剤や、酸化剤の分解物であるアンモニウムイオンなど)等の低分子量成分が含まれている場合がある。これら低分子量成分は不純物であり、導電性を阻害する要因となる。
前記酸性物質は、導電性ポリマー(A)から脱離した酸性基(例えば、カルボン酸、スルホン酸、硫酸、硝酸、塩酸、炭酸等由来の遊離の酸性基など)、導電性ポリマー(A)の製造に用いた酸化剤の分解物(例えば硫酸イオンなど)、反応中に副生する成分(例えば硝酸など)等が挙げられる。酸性物質はレジスト層の膜減りの要因にもなる。
そのため、重合工程の後、反応生成物を精製して、導電性ポリマー(A)を得ることが好ましい。
導電性ポリマー(A)は、レジスト層の膜減りをより抑制できる観点から、酸性物質を実質的に含まないことが好ましい。
ここで、「酸性物質を実質的に含まない」とは、導電性ポリマー(A)の総質量に対して分子量が100以下の酸性物質の含有量が10000質量ppm以下であることを意味する。
酸性物質の含有量は、イオンクロマトグラフィーにより測定できる。具体的には、後述の低級アルコール(B1)中の硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、及びプロピオン酸イオンの含有量の測定方法と同様の手順で測定できる。
(精製工程)
精製工程は、重合工程で得られた反応生成物を精製する工程である。
反応生成物を精製する方法としては、洗浄溶媒を用いた洗浄法、膜濾過法、イオン交換法、加熱処理による不純物の除去、中和析出などあらゆる方法を用いることができる。これらの中でも、純度の高い導電性ポリマー(A)を容易に得ることができる観点から、洗浄法、イオン交換法が有効である。その中でも特に、原料モノマー、オリゴマー、酸性物質を効率よく除去できる観点から、洗浄法が好ましい。また、洗浄法とイオン交換法とを組み合わせて用いてもよい。
洗浄法を用いる場合、洗浄溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、3−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−ペンタノール、n−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチルブチノール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメトキシエタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、グリセリルモノアセテート等の多価アルコール誘導体;アセトン;アセトニトリル;N,N−ジメチルホルムアミド;N−メチルピロリドン;ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらの中でも、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、アセトニトリルが効果的である。
洗浄後の反応生成物、すなわち洗浄後の導電性ポリマー(A)を乾燥すれば、原料モノマー、オリゴマー、酸性物質が充分に除去された固体状の導電性ポリマー(A)が得られる。
なお、洗浄後の導電性ポリマー(A)を必要に応じてイオン交換法によりさらに精製してもよい。イオン交換法を用いることにより、導電性ポリマー(A)の酸性基と塩を形成した状態で存在する金属などを効果的に除去できる。
導電性ポリマー(A)はNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnを実質的に含まないことが好ましい。
ここで、「実質的に含まない」とは、導電性ポリマー(A)の総質量に対してNa、K、Mg、Ca、Cr、Fe、Ni、Cu及びZnの含有量がそれぞれ1質量ppm以下であることを意味する。
これらの金属の含有量は、高周波誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS−Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometer)により金属分析することにより求められる。
イオン交換法としては、陽イオン交換樹脂や陰イオン交換樹脂等のイオン交換樹脂を用いたカラム式、バッチ式の処理;電気透析法などが挙げられる。
なお、イオン交換法で反応生成物を精製する場合は、反応生成物を所望の固形分濃度になるように水性媒体に溶解させ、ポリマー溶液としてからイオン交換樹脂に接触させることが好ましい。
水性媒体としては、後述する溶剤(B)と同様のものが挙げられる。
ポリマー溶液中の導電性ポリマー(A)の濃度としては、工業性や精製効率の観点から、0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。
イオン交換樹脂を用いたイオン交換法の場合、イオン交換樹脂に対する試料液の量は、例えば固形分濃度5質量%のポリマー溶液の場合、イオン交換樹脂に対して10倍の容積までが好ましく、5倍の容積までがより好ましい。陽イオン交換樹脂としては、例えばオルガノ株式会社製の「アンバーライトIR−120B」などが挙げられる。陰イオン交換樹脂としては、例えばオルガノ株式会社製の「アンバーライトIRA410」などが挙げられる。
イオン交換処理後の導電性ポリマー(A)は、水性媒体に溶解した状態である。従って、エバポレータなどで水性媒体を全て除去すれば固体状の導電性ポリマー(A)が得られるが、導電性ポリマー(A)は水性媒体に溶解した状態のまま導電性組成物の製造に用いてもよい。
[導電性組成物]
本発明の導電性組成物は、導電性ポリマー(A)と、溶剤(B)とを含む。溶剤(B)は、水と、炭素数1〜3の低級アルコール(B1)を含む。
導電性組成物は、必要に応じて塩基性化合物(C)、界面活性剤(D)などを含んでいてもよい。
<導電性ポリマー(A)>
導電性ポリマー(A)は、上述した導電性ポリマー(A)であり、その説明を省略する。
導電性ポリマー(A)の含有量は、導電性組成物の総質量に対して、0.1〜5質量%が好ましく、0.2〜3質量%がより好ましく、0.5〜2質量%がさらに好ましい。
また、導電性ポリマー(A)の含有量は、導電性組成物の固形分の総質量に対して、50〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好ましく、95〜100質量%がさらに好ましい。なお、導電性組成物の固形分は、導電性組成物から溶剤(B)を除いた残分である。
導電性ポリマー(A)の含有量が上記範囲内であれば、導電性組成物の塗布性と、導電性組成物より形成される塗膜の導電性のバランスにより優れる。
<溶剤(B)>
溶剤(B)は、水と、炭素数1〜3の低級アルコール(B1)を含む混合溶剤である。水及び低級アルコール(B1)以外に他の溶剤を含んでもよい。他の溶剤は導電性ポリマー(A)と、後述の塩基性化合物(C)及び界面活性剤(D)を溶解することができる溶剤であれば、本発明の効果を有する限り特に限定はされない。他の溶剤としては、導電性ポリマー(A)の製造方法の説明において先に例示した重合溶媒のうちの有機溶媒(ただし炭素数1〜3の低級アルコールを除く。)が挙げられる。
水としては、イオン交換水、純水、蒸留水などが挙げられる。
低級アルコール(B1)としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロピルアルコールからなる群から選ばれる1種以上を用いる。低級アルコール(B1)は導電性組成物の塗布性の向上に寄与する。低級アルコール(B1)の炭素数が3以下であると、導電性組成物の均一性に優れ、塗膜の平滑性に優れる。
本発明の導電性組成物は、低級アルコール(B1)由来の硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、及びプロピオン酸イオンの含有量が、低級アルコール(B1)の総質量に対して、それぞれ1000質量ppm以下である。
すなわち、低級アルコール(B1)中の硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、及びプロピオン酸イオンの含有量は、それぞれ1000質量ppm以下である。
これらの酸イオンの含有量が1000質量ppm以下であれば、低級アルコール(B1)を含む導電性組成物をレジスト層の表面に塗布して導電膜を形成したときに、導電膜からレジスト層への酸イオンの移行が軽減され、レジスト層の膜減りを抑制できる。
低級アルコール(B1)中の、硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、及びプロピオン酸イオンの含有量は、それぞれ1000質量ppm以下であり、500質量ppm以下がより好ましく、100質量ppm以下がさらに好ましい。
これらの酸イオンの含有量は少ないほど好ましく、下限値は0質量ppmが好ましい。
低級アルコール(B1)中の硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、及びプロピオン酸イオンの含有量は、イオンクロマトグラフィーにより測定できる。具体的には、以下のようにして測定できる。
まず、水に炭酸ナトリウムを固形分濃度が1.8mmol/Lになるように添加して、炭酸ナトリウム水溶液を調製する。同様に、水に炭酸水素ナトリウムを固形分濃度が1.7mmol/Lになるように添加して、炭酸水素ナトリウム水溶液を調製する。得られた炭酸ナトリウム水溶液と、炭酸水素ナトリウム水溶液とを質量比1:1の割合で混合して溶離液を得る。得られた溶離液に低級アルコール(B1)を加えて溶解させ、試験溶液を調製する。
得られた試験溶液について、イオンクロマトグラフを用いて硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、及びプロピオン酸イオンの各濃度を測定し、クロマトグラムを得る。このクロマトグラム上の各酸イオンに相当するピークの面積または高さを読み取り、予め作成しておいた検量線から、低級アルコール中の硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、及びプロピオン酸イオンの各含有量を求める。
低級アルコール(B1)中の硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、及びプロピオン酸イオンの含有量を上記上限値以下に低減させるためには、低級アルコール(B1)を、例えばイオン交換処理したり、蒸留したりして、精製して用いればよい。
本発明の導電性組成物は、低級アルコール(B1)由来のカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)及び亜鉛(Zn)の含有量が、低級アルコール(B1)の総質量に対して、それぞれ10質量ppb以下である。
すなわち、低級アルコール(B1)中のカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)及び亜鉛(Zn)の含有量は、低級アルコールの総質量に対して、それぞれ10質量ppb以下である。
低級アルコール(B1)中のこれら金属の含有量がそれぞれ10質量ppb以下であれば、低級アルコール(B1)を含む導電性組成物をレジスト層の表面に塗布して得られる導電膜中の金属量を軽減できる。すなわち、異物の少ない導電膜が得られるので、荷電粒子線による描画後にラインの断線等の問題が生じにくく、パターニング不良を抑制できる。
低級アルコール(B1)中のCa、Mg及びZnの含有量は、それぞれ7質量ppb以下が好ましい。
これらの金属の含有量は少ないほど好ましく、下限値は0質量ppbが好ましい。
低級アルコール(B1)中の金属の含有量は、高周波誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS−Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometer)により金属分析することにより求められる。
低級アルコール(B1)中のCa、Mg及びZnの含有量を上記上限値以下に低減させるためには、低級アルコール(B1)を、例えばイオン交換処理したり、蒸留したりして、精製して用いればよい。
導電性組成物の総質量に対して、溶剤(B)の含有量は、1〜99.9質量%が好ましく、10〜98質量%がより好ましく、50〜98質量%がさらに好ましい。
なお、導電性ポリマー(A)を、精製などして水性媒体に溶解した状態(以下、この状態の導電性ポリマー(A)を「導電性ポリマー溶液」ともいう。)で用いる場合、導電性ポリマー溶液由来の水性媒体も導電性組成物中の溶剤(B)の含有量に含まれる。
導電性組成物の総質量に対して、低級アルコール(B1)の含有量は、0.1〜15質量%であり、0.1〜13質量%が好ましく、1〜9質量%がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると、導電性組成物の塗布性の向上効果に優れ、上限値以下であるとレジスト層の膜減りが抑制されやすい。
<塩基性化合物(C)>
導電性組成物は、塩基性化合物(C)を含んでいてもよい。
導電性組成物が塩基性化合物(C)を含んでいれば、導電性ポリマー(A)の安定性を高めることが可能になると考えられる。
塩基性化合物(C)としては、塩基性を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、下記の4級アンモニウム塩(c−1)、塩基性化合物(c−2)、塩基性化合物(c−3)などが挙げられる。
第4級アンモニウム塩(c−1):窒素原子に結合する4つの置換基のうちの少なくとも1つが炭素数3以上の炭化水素基である第4級アンモニウム化合物。
塩基性化合物(c−2):1つ以上の窒素原子を有する塩基性化合物(ただし、第4級アンモニウム塩(c−1)及び塩基性化合物(c−3)を除く。)。
塩基性化合物(c−3):同一分子内に塩基性基と2つ以上のヒドロキシ基とを有し、かつ30℃以上の融点を有する塩基性化合物。
第4級アンモニウム化合物(c−1)において、4つの置換基が結合する窒素原子は、第4級アンモニウムイオンの窒素原子である。
第4級アンモニウム化合物(c−1)において、第4級アンモニウムイオンの窒素原子に結合する炭化水素基としては、アルキル基、アラルキル基、アリール基などが挙げられる。
第4級アンモニウム化合物(c−1)としては、例えば、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラペンチルアンモニウム、水酸化テトラヘキシルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムなどが挙げられる。
塩基性化合物(c−2)としては、例えば、アンモニア、ピリジン、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノメチルピリジン、3,4−ビス(ジメチルアミノ)ピリジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、及びそれらの誘導体などが挙げられる。
塩基性化合物(c−3)において、塩基性基としては、例えば、アレニウス塩基、ブレンステッド塩基、ルイス塩基等で定義される塩基性基が挙げられる。具体的には、アンモニア等が挙げられる。ヒドロキシ基は、−OHの状態であってもよいし、保護基で保護された状態であってもよい。保護基としては、例えば、アセチル基;トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基等のシリル基;メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基等のアセタール型保護基;ベンゾイル基;アルコキシド基などが挙げられる。
塩基性化合物(c−3)としては、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸などが挙げられる。
これらの塩基性化合物は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
これらの中でも、導電性ポリマー(A)の酸性基と塩を形成しやすい点から、第4級アンモニウム塩(c−1)及び塩基性化合物(c−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
塩基性化合物(C)の含有量は、導電性組成物の塗布性がより向上する観点から、導電性ポリマー(A)を構成する単位のうち、酸性基を有する単位1molに対して、0.1〜1mol当量が好ましく、0.1〜0.9mol当量がより好ましい。さらに、導電膜としての性能の保持性に優れ、導電性ポリマー(A)中の酸性基をより安定にできる観点から、0.25〜0.85mol当量が特に好ましい。
<界面活性剤(D)>
導電性組成物は、界面活性剤(D)を含んでいてもよい。
導電性組成物が界面活性剤(D)を含んでいれば、導電性組成物を基材やレジスト層の表面に塗布する際の塗布性が向上する。
界面活性剤としては、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの界面活性剤は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
陰イオン系界面活性剤としては、例えば、オクタン酸ナトリウム、デカン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ペルフルオロノナン酸、N‐ラウロイルサルコシンナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム、アルファスルホ脂肪酸メチルエステル塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェノールスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルリン酸、ラウリルリン酸ナトリウム、ラウリルリン酸カリウムなどが挙げられる。
陽イオン系界面活性剤としては、例えば、塩化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化オクチルトリメチルアンモニウム、塩化デシルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化アルキルトリメチルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、臭化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、モノメチルアミン塩酸塩、ジメチルアミン塩酸塩、トリメチルアミン塩酸塩、塩化ブチルピリジニウム、塩化ドデシルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム などが挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ドデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、オクタデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルメチル−β−アラニン、ラウリルジメチルアミン−N−オキシド、オレイルジメチルアミンN−オキシドなどが挙げられる。
非イオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、オクチルフェノールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヘキシタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルポリエチレングリコール、ラウリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、オクチルグルコシド、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールなどが挙げられる。
非イオン系界面活性剤として、上述した以外にも、含窒素官能基及び末端疎水性基を有する水溶性ポリマーを用いてもよい。この水溶性ポリマーは従来の界面活性剤とは異なり、含窒素官能基を有する主鎖部分(親水性部分)と、末端の疎水性基部分とによって界面活性能を有し、塗布性の向上効果が高い。よって、他の界面活性剤を併用しなくても、優れた塗布性を導電性組成物に付与できる。しかも、この水溶性ポリマーは酸や塩基を含まないうえ、加水分解により副生成物が生じにくいことから、レジスト層等への悪影響が特に少ない。
含窒素官能基としては、溶解性の観点から、アミド基が好ましい。
末端疎水性基としては、例えばアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基、一級又は二級のアルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、アリールアミノ基などが挙げられる。これらの中でも、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基が好ましい。
末端疎水性基の炭素数は、3〜100が好ましく、5〜50がより好ましく、7〜30が特に好ましい。
水溶性ポリマー中の末端疎水性基の数は特に制限されない。また、同一分子内に末端疎水性基を2つ以上有する場合、末端疎水性基は同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
水溶性ポリマーとしては、含窒素官能基を有するビニルモノマーのホモポリマー、又は含窒素官能基を有するビニルモノマーと、含窒素官能基を有さないビニルモノマー(その他のビニルモノマー)とのコポリマーを主鎖構造とし、かつ、ポリマーを構成する繰り返し単位以外の部位に疎水性基を有する化合物が好ましい。
含窒素官能基を有するビニルモノマーとしては、アクリルアミド及びその誘導体、含窒素官能基を有する複素環状モノマー等が挙げられ、その中でもアミド結合を持つものが好ましい。具体的には、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N−ビニル−N−メチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等が挙げられる。これらの中でも、溶解性の観点から、アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等が特に好ましい。
その他のビニルモノマーとしては、含窒素官能基を有するビニルモノマーを共重合可能であれば特に制限されないが、例えば、スチレン、アクリル酸、酢酸ビニル、長鎖α−オレフィンなどが挙げられる。
水溶性ポリマーへの末端疎水性基の導入方法としては特に制限されないが、通常、ビニル重合時の連鎖移動剤を選択することにより導入するのが簡便で好ましい。この場合、連鎖移動剤としてはアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基等の疎水性基を含む基が、得られる重合体の末端に導入されるものであれば特に限定はされない。例えば、末端疎水性基としてアルキルチオ基、アラルキルチオ基、又はアリールチオ基を有する水溶性ポリマーを得る場合は、これらの末端疎水性基に対応する疎水性基を有する連鎖移動剤、具体的にはチオール、ジスルフィド、チオエーテルなどを用いてビニル重合することが好ましい。
水溶性ポリマーの主鎖部分は水溶性であり、含窒素官能基を有する。主鎖部分の単位数(重合度)は、1分子中に2〜1000が好ましく、3〜1000がより好ましく、5〜10が特に好ましい。含窒素官能基を有する主鎖部分の単位数が大きすぎる場合は、界面活性能が低下する傾向がある。
水溶性ポリマー中の主鎖部分と、末端疎水性基部分(例えばアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基などの部分)との分子量比(主鎖部分の質量平均分子量/末端疎水性基部分の質量平均分子量)は、0.3〜170であることが好ましい。
界面活性剤(D)としては、上述した中でもレジスト層への影響が少ない点で、非イオン系界面活性剤が好ましい。
界面活性剤(D)の含有量は、導電性ポリマー(A)と塩基性化合物(C)と界面活性剤(D)の合計を100質量部としたときに、5〜80質量部が好ましく、10〜70質量部がより好ましく、10〜60質量部がさらに好ましい。界面活性剤(D)の含有量が上記範囲内であれば、導電性組成物のレジスト層への塗布性がより向上する。
<任意成分>
導電性組成物は、必要に応じて、導電性ポリマー(A)、溶剤(B)、塩基性化合物(C)及び界面活性剤(D)以外の成分(任意成分)を含んでいてもよい。
任意成分としては、例えば高分子化合物(導電性ポリマー(A)、塩基性化合物(C)及び界面活性剤(D)を除く)、添加剤などが挙げられる。
高分子化合物としては、例えばポリビニールホルマール、ポリビニールブチラール等のポリビニルアルコール誘導体類、ポリアクリルアミド、ポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸等のポリアクリルアミド類、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸類、水溶性アルキド樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性尿素樹脂、水溶性フェノール樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリブタジエン樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性ウレタン樹脂、水溶性アクリルスチレン共重合体樹脂、水溶性酢酸ビニルアクリル共重合体樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性スチレンマレイン酸共重合樹脂、水溶性フッ素樹脂及びこれらの共重合体が挙げられる。
添加剤としては、例えば顔料、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱性向上剤、レベリング剤、たれ防止剤、艶消し剤、防腐剤などが挙げられる。
<導電性組成物の製造方法>
本発明の導電性組成物の製造方法は、導電性ポリマー(A)と、水と、低級アルコール(B1)を混合する混合工程を含む。混合工程において、他の溶剤、塩基性化合物(C)、界面活性剤(D)及び任意成分の1つ以上を混合してもよい。混合する順序は特に限定されない。
低級アルコール(B1)は、導電性ポリマー(A)と混合する前に精製したものを用いる。
<作用効果>
導電性組成物中の溶剤(B)の一部として、硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、及びプロピオン酸イオンの含有量が特定の範囲に低減された低級アルコール(B1)を、15質量%以下の添加量で用いることにより、導電膜中の酸性成分がレジスト層へ移行することに起因する膜減り、及び導電膜中のアルコールがレジスト層と接触することに起因する膜減りを抑制しながら、塗布性を向上させることができる。
<用途>
本発明の導電性組成物は、荷電粒子線描画時の帯電防止用として好適である。具体的には、本発明の導電性組成物を、化学増幅型レジストを用いた荷電粒子線によるパターン形成法のレジスト層の表面に塗布して導電膜を形成する。こうして形成された導電膜がレジスト層の帯電防止膜となる。
また、上述した以外にも、本発明の導電性組成物は、例えばコンデンサ、透明電極、半導体等の材料として使用することもできる。
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明するが、以下の実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
なお、実施例及び比較例における各種測定・評価方法は以下の通りである。
[測定・評価方法]
<硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、プロピオン酸イオンの含有量の測定>
低級アルコール(B1)0.1gに以下の溶離液100gを加えて、試験溶液を調製した。得られた試験溶液について、以下のイオンクロマトグラフ(IC)測定条件にて、硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、プロピオン酸イオンの濃度を測定し、クロマトグラムを得た。得られたクロマトグラム上の各イオンに相当するピークの面積又は高さを読み取り、予め作成しておいた検量線から、低級アルコール(B1)の総質量に対する硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、プロピオン酸イオンの各含有量を求めた。
<<IC測定条件>>
・装置:イオンクロマトグラフ IC−2010(東ソー株式会社製)
・カラム:TSKguard Column Super IC−Anion HS C−No W00052
・溶離液:1.8mmol/Lの炭酸ナトリウム水溶液と、固形分濃度が1.7mmol/Lの炭酸水素ナトリウムとの混合液(質量比1:1)
・流速:1.5mL/分
・測定温度:40℃
・試料注入量:30μL
<金属の含有量の測定>
高周波誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS− Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometer:Agilent Technologies製7500cs)により、Ca、Mg及びZnを金属分析し、低級アルコール(B1)の各総質量に対する各金属の含有量を求めた。
<導電性の評価>
基材としてガラス基材上に導電性組成物を2.0mL滴下し、基材表面全体を覆うように、スピンコーターにて2000rpm×60秒間の条件で回転塗布して塗膜を形成した後、ホットプレートにて80℃で2分間加熱処理を行い、基材上に膜厚約30nmの導電膜を形成して導電体を得た。
ハイレスタUX−MCP−HT800(株式会社三菱ケミカルアナリテック製)を用い2端子法(電極間距離20mm)にて、導電膜の表面抵抗値[Ω/□]を測定した。
<導電性の評価>
4インチのシリコンウエハ上に導電性組成物を1mL滴下し、スピンコーターにて塗布し、目視で塗布状態を観察し、下記の基準で塗布性を判定した。AとBを合格とする。
A:ウエハの80%以上にムラなく塗布できている。
B:ウェハの80%以上に塗布できているが、ムラが有る。
C:ウエハの80%未満にしか塗布できていない。
<膜減り試験による評価>
(膜減り量の測定)
化学増幅型電子線レジスト(以下、「レジスト」と略す。)を使用し、レジスト層の膜減り量を以下の手順(1A)〜(8A)で測定した。
(1A)レジスト層の形成:基材として4インチシリコンウエハー上にレジスト0.2μmをスピンコーターにて2000rpm×60秒間の条件で回転塗布した後、ホットプレートにて130℃で90秒間プリベークを行い、溶剤を除去し、基材上にレジスト層を形成した。
(2A)レジスト層の膜厚測定1:基材上に形成されたレジスト層の一部を剥離し、基材面を基準位置として、触針式段差計(Stylus profiler P−16+, KLA−Tencor Corporation製)を用い、初期のレジスト層の膜厚a[nm]を測定した。
(3A)導電膜の形成:レジスト層上に導電性組成物2mLを滴下し、レジスト層の表面全体を覆うように、スピンコーターにて2000rpm×60秒間の条件で回転塗布した後、ホットプレートにて80℃で2分間加熱処理を行い、レジスト層上に膜厚約30nmの導電膜を形成した。
(4A)ベーク処理:導電膜とレジスト層が積層した基材を空気雰囲気下、ホットプレ−トにて120℃×20分加熱し、この状態の基材を空気中、常温(25℃)で90秒静置した。
(5A)水洗:導電膜を20mLの水で洗い流した後、スピンコーターにて2000rpm×60秒間で回転させ、レジスト層の表面の水を除去した。
(6A)現像:2.38質量%テトラメチルアンモニウムハドロオキサイド(TMAH)水溶液からなる現像液20mLをレジスト層の表面に滴下した。60秒静置した後、スピンコーターにて2000rpm×60秒間で回転させ、レジスト層の表面の現像液を除去し、引き続き60秒間回転を維持して乾燥した。
(7A)レジスト層の膜厚測定2:前記(2A)においてレジスト層を一部剥離した部分から5mm以内におけるレジスト層の一部を剥離した後、触針式段差計を用いて現像後のレジスト層の膜厚b[nm]を測定した。
(8A)膜減り量の算出:上記膜厚aの値から膜厚bの値を差し引いて、レジスト層の膜減り量c[nm](c=a−b)を算出した。
(基準膜減り量の測定)
レジスト層は、レジスト層形成後の保管期間によって個々のレジストに特有の膜減り量(以下、「基準膜減り量」という。)d[nm]が存在する。導電膜に起因しないこの基準膜減り量dを以下の手順(1B)〜(6B)で測定した。
(1B)レジスト層の形成:前記(1A)と同様にして、基材上にレジスト層を形成した。
(2B)レジスト層の膜厚測定1:前記(2A)と同様にして、初期のレジスト層の膜厚a[nm]を測定した。
(3B)ベーク処理:レジスト層が積層した基材を用いた以外は、前記(4A)と同様にしてベーク処理した。
(4B)現像:前記(6A)と同様にして、現像を行った。
(5B)レジスト層の膜厚測定2:前記(2B)においてレジスト層を剥離した部分から5mm以内におけるレジスト層の一部を剥離した後、触針式段差計を用いて現像後のレジスト層の膜厚e[nm]を測定した。
(6B)膜減り量の算出:上記膜厚aの値から膜厚eの値を差し引いて、レジスト層の基準膜減り量d(d=a−e)を算出した。
なお、レジスト層の基準膜減り量dは、3nmであった。
(導電膜中の成分が原因となるレジスト層の膜減り量の算出)
上記レジスト層の膜減り量cの値からレジスト層の基準膜減り量dの値を差し引いて、導電膜からレジスト層へ移行した、分子量が100以下の酸性物質が原因となるレジスト層の膜減り量f[nm](f=c−d)を算出し、以下の評価基準にて評価した。膜減り量fが少ないほど好ましく、AとBを合格とする。
A:膜減り量fが5nm未満である。
B:膜減り量fが5nm以上、20nm未満である。
C:膜減り量fが20nm以上である。
[製造例1]
低級アルコール(B1)として、イソプロピルアルコール(以下、IPAともいう。)を用いた。IPAを下記の条件で蒸留して、精製IPAを得た。
精製IPA中の硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、及びプロピオン酸イオンの含有量は、いずれも100質量ppm以下であった。
なお、精製前のIPA中の硝酸イオンの含有量は200質量ppm、硫酸イオンの含有量は1100質量ppm、リン酸イオンの含有量は800質量ppm、プロピオン酸イオンの含有量は1500質量ppm、Caの含有量は4質量ppb、Mgの含有量は5質量ppb、Znの含有量は2質量ppbであった。
<蒸留条件>
冷却管及び枝月連結管を付したガラス製フラスコに、IPAを加え、加熱留出させ、流出したIPAを超純水で洗浄された容器に採取する方法で、蒸留操作を行った。
[製造例2]
<導電性ポリマー(A)の製造>
2−アミノアニソール−4−スルホン酸100mmolに、ピリジン100mmolと水100mLを添加して、モノマー溶液を得た。
得られたモノマー溶液に、ペルオキソ二硫酸アンモニウム100mmolの水溶液(酸化剤溶液)を10℃で滴下した。滴下終了後、25℃で15時間さらに攪拌した後、35℃まで昇温してさらに2時間撹拌して、反応生成物が沈殿した反応液を得た(重合工程)。
得られた反応液を遠心濾過器にて濾過し、沈殿物(反応生成物)を回収して、1Lのメタノールにて反応生成物を洗浄した後に乾燥させ、粉末状の導電性ポリマー(A1)を得た(精製工程)。
精製工程で用いたメタノールの量は、導電性ポリマー(A1)100質量部に対して5000質量部に相当する。
得られた導電性ポリマー(A1)は、酸性物質を実質的に含まなかった。
[実施例1]
<導電性組成物の調製>
導電性ポリマー(A1)1質量部と、水96質量部と、調製例1で得た精製IPAの4質量部とを混合し、導電性組成物を得た。
得られた導電性組成物について、導電性及び塗布性を評価し、膜減り試験を行った。これらの結果を表1に示す。
[実施例2〜3、比較例1〜3]
表1に示すとおりに配合を変更したほかは、実施例1と同様にして導電性組成物を調製し、評価および試験を行った。結果を表1に示す。
Figure 2020084090
表1の結果に示されるように、精製した低級アルコール(B1)を15質量%以下の含有量となるように添加した、実施例1〜3の導電性組成物は、塗布性が良好であり、膜減りも抑制された。
低級アルコール(B1)を用いなかった比較例1は塗布性が劣った。
比較例2は低級アルコール(B1)を用いず、その代わりに界面活性剤を用いた例であるが、塗布性が不充分であった。
精製した低級アルコール(B1)の添加量が多すぎる比較例3は、膜減りが顕著に生じた。

Claims (3)

  1. 酸性基を有する導電性ポリマーと、水と、炭素数1〜3の低級アルコールを含む導電性組成物であって、
    前記導電性組成物の総質量に対して前記低級アルコールの含有量が0.1〜15質量%であり、
    前記低級アルコール由来の硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、及びプロピオン酸イオンの含有量が、前記低級アルコールの総質量に対して、それぞれ1000質量ppm以下であり、
    前記低級アルコール由来のカルシウム、マグネシウム及び亜鉛の含有量が、前記低級アルコールの総質量に対して、それぞれ10質量ppb以下である、導電性組成物。
  2. 荷電粒子線描画時の帯電防止用である、請求項1に記載の導電性組成物。
  3. 酸性基を有する導電性ポリマーと、水と、炭素数1〜3の低級アルコールを混合する工程を含む、導電性組成物の製造方法であって、
    前記導電性組成物の総質量に対して前記低級アルコールの含有量が0.1〜15質量%であり、
    前記低級アルコール中の硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、及びプロピオン酸イオンの含有量が、それぞれ1000質量ppm以下であり、
    前記低級アルコール中のカルシウム、マグネシウム及び亜鉛の含有量が、それぞれ10質量ppb以下である、導電性組成物の製造方法。
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