JP2020084059A - 水系接着剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】ホルムアルデヒドを含むフェノール樹脂組成物と比較しても、製造される成形材の強度及び弾性率等の力学的特性の向上に寄与できる、ホルムアルデヒドを含まない水系接着剤、及びその水系接着剤を用いて得られる成形材を提供する。【解決手段】糖類と、沸点が200〜285℃の多価アルコールを含み、該糖類及び該多価アルコールの総重量100重量部(固形分換算)に対し、多価アルコールが5.0〜30.0重量部(固形分換算)である、水系接着剤である。その水系接着剤は、成形材の効率良い生産に貢献することができ、成形材のせん断強度、引張強度及び引張弾性率等の力学的特性が向上し得る。【選択図】なし

Description

本発明は、水系接着剤、及びその水系接着剤を用いて製造される成形体に関する。
従来、グラスウール、ロックウール及びセラミックファイバー等の無機繊維を用いた断熱材、防音材及び木材ボード製品等の成形体の製造に用いられる組成物として、機械的強度等の性能に優れ、低コストであることからフェノール樹脂組成物が利用されている。
無機繊維を用いた成形体を製造する際、無機繊維に組成物を付着させ、目的とする成形体の形状に、組成物が付着した無機繊維を成形した後、加熱により組成物を硬化させて、目的の成形体を得る。
従来、組成物として、ホルムアルデヒドを含むフェノール樹脂組成物が広く用いられていたが、近年、環境基準が厳しくなり、ホルムアルデヒドを使用しない組成物が望まれている。
特許文献1〜2には、ホルムアルデヒドを使用しない組成物として、糖類を主成分とし、ポリカルボン酸のアンモニウム塩又は無機酸アンモニウム塩等を配合した組成物が開示されている。
特許文献1は、ファイバーマット上に、ホルムアルデヒドを含まない水性バインダー溶液を吹き付ける工程を含む断熱又は防音繊維ガラス製品を作製する方法を開示している。水性バインダー溶液は、メイラード反応物を含み、メイラード反応物は、(i)ポリカルボン酸のアンモニウム塩等からなるアミン反応物及び(ii)1つ以上の還元糖を有する1つ以上の炭水化物反応物等から選択される(引用文献1請求項1〜5等参照)。
特許文献2は、糖質、アンモニウム塩、界面活性剤、シランカップリング剤、撥水剤を有する熱硬化型バインダーを開示する(請求項1参照)。熱硬化型バインダーの態様として、さらに、エチレングリコール等の硬化調整剤をさらに含むバインダーの組成が実施例に示されている(請求項13、[0063][0091]〜[0093]の表22,表23,表24)。
特許第5628889号公報 特開2017−165859号公報
従来のホルムアルデヒドを使用しない組成物を、成形体の製造に用いた場合、ホルムアルデヒドを含むフェノール樹脂組成物と比べ、熱硬化後の強度や弾性率が劣っていることがあった。
特許文献1〜2の組成物は、ホルムアルデヒドを含まないので環境面では好ましいが、無機繊維成形材や木質成形材の力学的特性(例えば引張弾性率及び引張強度)を十分に向上させることが難しい。
さらに、特許文献1〜2の組成物は、硬化速度が遅いので成形材の生産効率を低下させ、粘度上昇が早いので塗布が困難となり、成形材の物性(せん断強度、引張強度)を低下させる可能性がある。さらに、製造された成形材は、空気中の水分を吸収し易くなることがあり、成形材の耐水性も低くなり得る。
本発明は、このような事情を鑑みなされたものであり、ホルムアルデヒドを含むフェノール樹脂組成物と比較しても、製造される成形材の強度及び弾性率等の力学的特性の向上に寄与できる、ホルムアルデヒドを含まない水系接着剤、及びその水系接着剤を用いて得られる成形材を提供することを目的とする。
本研究者らは、鋭意研究を続けた結果、特定の多価アルコールを含む水系接着剤は、粘度上昇が抑制されつつ、硬化速度が速くなり、成形材の効率的な製造に有用であり、成形材の力学的特性をより向上させるだけでなく、耐水性についてもより高いレベルまで向上させることを見いだし、本発明を完成するに至った。
本発明は、一の要旨において、糖類と、沸点が200〜285℃の多価アルコールを含み、
該糖類及び該多価アルコールの総重量100重量部(固形分換算)に対し、多価アルコールが5.0〜30.0重量部(固形分換算)である、水系接着剤を提供する。
本発明は、一の態様において、上記多価アルコールは、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコールから選ばれる少なくとも1種を含む、上述の水系接着剤を提供する。
本発明は、他の態様において、更に、無機酸塩を含む、上述の水系接着剤を提供する。
本発明は、好ましい態様において、無機酸塩が無機酸アンモニウム塩を含む、上述の水系接着剤を提供する。
本発明は、他の要旨において、上述の水系接着剤の硬化物を有する成形材を提供する。
本発明の実施形態の水系接着剤は、糖類と、沸点が200〜285℃の多価アルコールを含み、該糖類及び該多価アルコールの総重量100重量部(固形分換算)に対し、多価アルコールが5.0〜30.0重量部(固形分換算)であるので、粘度上昇が抑制されつつ、硬化速度が速くなり、塗布又は散布された材料(成形材)の効率良い生産に貢献することができる。粘度上昇抑制と、硬化速度向上は相反する性質であるので、本発明の実施形態の水系接着剤は、これら相反する性質が共に優れている。
本発明の実施形態の水系接着剤の粘度上昇が抑制されると、成形材の基材に水系接着剤を均一に塗布又は散布できるようになる。
本発明の実施形態の水系接着剤の均一な塗布や散布によって、得られる成形材(成形体又は成形品)のせん断強度、引張強度及び引張弾性率が向上し、成形材の耐水性が向上し、空気中の水分を成形材が吸収し難くなる。
本発明の実施形態の水系接着剤の硬化物を含む成形材の性質を考慮すると、本発明の実施形態の水系接着剤は、様々な成形材を製造するために有用であるが、無機繊維を含む成形材及び木質材料を含む成形材の製造に最適である。
本発明の実施形態の水系接着剤は、糖類を含む。
本明細書における糖類は、(a)一般的な糖類(未変性糖)、及び後述する(A)変性糖から選択される少なくとも1種を含み、本発明が目的とする水系接着剤を得られる限り、特に限定されることはない。
本明細書において、「(a)一般的な糖類(未変性糖)」とは、一般に糖類と呼ばれ、本発明が目的とする水系接着剤を得られる限り特に制限されることはない。(a)糖類は、例えば、単糖類、二糖類、三糖類、四糖類、多糖類、及びその他オリゴ糖を含む。
「単糖類」として、具体的に以下のものを例示できる。
グルコース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、フコース、フクロース及びラムノース等のヘキソース;
ケトトリオース(ジヒドロキシアセトン)及びアルドトリオース(グリセルアルデヒド)等のトリオース;
エリトリロース、エリトロース及びトレオース等のテトロース;及び
リブロース、キシルロース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース及びデオキシリボース等のペントース。
「二糖類」として、例えば、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、ツラノース及びセロビオースを例示できる。
「三糖類」として、例えば、ラフィノース、メレジトース、マルトトリオース及び1−ケストース(GF2)を例示できる。
「四糖類」として、例えば、アカルボース、スタキオース及びニストース(GF3)を例示できる。
「多糖類」として、例えば、グリコーゲン、デンプン(アミロース、アミロペクチン)、セルロース、デキストリン、グルカン、N-アセチルグルコサミン、キチン質及びイヌリン(フラクトフラノシルニストース:GF4を含む)を例示できる。
「その他のオリゴ糖」として、例えば、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖及びマンナンオリゴ糖を例示できる。
これらの「糖類」は、単独で又は組み合わせて用いることができる。
「(a)糖類」は、スクロースに由来する構造を含むことが好ましい。スクロースは、グルコースとフルクトースが結合した糖であり、加水分解するとグルコースとフルクトースを生じる。
「(a)糖類」は、更に、異性化糖を含むことができる。本明細書では、異性化糖とは、主にブドウ糖からなるコーンシロップを、酵素かアルカリによって異性化した果糖とブドウ糖を主成分とする糖をいう。異性化糖の主成分は、果糖とブドウ糖であるから、一般的な糖類と何ら変わりが無いからである。
本発明では、(a)糖類は、更に、例えば、糖蜜を含むことができる。「糖蜜」とは、サトウキビ、テンサイ、サトウカエデ及びオウギヤシ等の砂糖原料から得られる繊維質および不純物を取り除いた糖液(シロップ)であるか、又は、砂糖を原料から精製するときに得られ、糖分以外の成分も含む粘性のある液体(モラッセス)をいう。
糖蜜は、例えば、廃糖蜜、氷糖蜜、白蜜、カラメル、粗糖、砂糖溶液、及び砂糖原料(サトウキビ、テンサイ、サトウカエデ及びオウギヤシ等)の絞り汁を含む。
糖蜜は、廃糖蜜、氷糖蜜及び粗糖から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
本明細書において、(A)変性糖は、(必要であれば、水性媒体中で、)上述の(a)一般的な糖類(未変性糖)の化学構造が(b)ラジカル開始剤によって変化した生成物(化合物)をいう。
一般的に、(a)糖類は、ヒドロキシ基とカルボニル基(アルデヒドまたはケトン)をもつ直鎖(open chain) 構造と、自己のヒドロキシ基を巻き込んで環状アセタール(ないしはケタール)の環構造の二つの構造をとることができる。(A)変性糖は、(a)糖類の環状アセタール構造が(b)ラジカル開始剤によって酸化されて、カルボキシル基及び/又はフラン構造が生成し、さらに分解及び/又は結合、重合した化合物を含むと推察される。
本発明の実施形態の水系接着剤は、(A)変性糖がカルボキシル基及び/又はフラン構造を含むことによって、硬化速度が高まり、成形材の引張強度及び引張弾性率等の力学的特性を高めることができる。
本明細書において、(b)ラジカル開始剤とは、ラジカル反応を進めるために穏和な反応条件でラジカルを発生させる化合物をいう。ラジカルとは、不対電子を持つ原子、分子、又はイオンをいう。一般的に、フリーラジカル又は遊離基と称される。
ラジカル開始剤は、本発明の目的を損なわない限り、特に制限されることはなく、例えば、アゾ化合物及び過酸化物等が該当する。
アゾ化合物は、熱および光によって分解し、炭素ラジカルを発生するアゾ基(R−N=N−R’)をもつ化合物である。具体的には、2,2’−アゾビスブチロニトリル(AIBN)が挙げられる。
過酸化物は、有機過酸化物、無機過酸化物、過酸化水素に大別される。
有機過酸化物は、ペルオキシド構造(−O−O−)を含む化合物であり、例えば、過酸化ベンゾイルが代表的である。
無機過酸化物は、過酸化物イオン(O 2-)を含む化合物であり、具体的には、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等が挙げられる。
過酸化水素とは、化学式Hで表される化合物である。
水性媒体への溶解性や、(a)糖類との相溶性を考慮すると、本発明では、(b)ラジカル開始剤は、過酸化物を含むことが好ましい。
(A)変性糖の製造は、(c)アミン類存在下で、(a)糖類と(b)ラジカル開始剤を反応させることができる。
本明細書では、(c)アミン類は、アンモニア及びアミンを含む総称とする。
アンモニアとは、分子式がNHで表される無機化合物であり、常温常圧で無色の気体である。
アミンとは、アンモニアの水素原子が炭化水素基及び芳香族原子団等の置換基で置換された化合物の総称であり、置換された水素の数が1つであれば第一級アミン、2つであれば第二級アミン、3つであれば第三級アミンである。更に置換基が第三級アミンに結合して第四級アンモニウムカチオンとなる。
アミンは、脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環式アミンに大別される。
脂肪族アミンとして、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
芳香族アミンとして、アニリン、フェネチルアミン、トルイジン、カテコールアミン等が挙げられる。
複素環式アミンとして、ピロリジン、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、オキサゾール、チアゾール等が挙げられる。
本発明の実施形態の水系接着剤は、(c)アミン類がアンモニアを含むことが好ましい。(c)アミン類がアンモニアを含む場合、水系接着剤の硬化物を含む成形材料の力学的特性(引張強度、引張弾性率)が向上する。
本発明の実施形態の水系接着剤は、(B)沸点が200〜285℃の多価アルコールを含む。本明細書において、沸点とは、1気圧で液体が沸騰する温度をいう。
本明細書において、(B)沸点が200〜285℃の多価アルコールとは、2以上の水酸基を有し、200〜285℃の沸点を有するアルコールであって、本発明が目的とする水系接着剤を得られる限り、特に制限されることはない。
(B)沸点が200〜285℃の多価アルコールとして、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコールを例示できる。これら多価アルコールは、単独で用いられても、複数種類が用いられても良く、特に、ジエチレングリコール及び/又はジプロピレングリコールを含むのが最も望ましい。
(B)多価アルコールの沸点は、200℃〜285℃であり、200〜280℃が好ましく、220〜260℃が最も望ましい。
本発明の実施形態の水系接着剤は、(B)多価アルコールを含むので、塗布される際の粘度上昇を抑えつつ、硬化速度が向上し得る。成形材に塗工する際の水系接着剤の粘度上昇を抑制できるので、成形材に水系接着材をより均一に塗工可能であり、成形材の物性(特に、せん断強度)も向上し得る。
本発明の実施形態の水系接着剤は、糖類と(B)多価アルコールの総重量100重量部(固形分換算)に対し、(B)多価アルコールが5.0〜30.0重量部含まれており、特に5.0〜20.0重量部含まれるのが好ましく、5.0〜10.0重量部含まれるのが最も望ましい。(B)多価アルコールの含量が5.0重量部以上の場合、水系接着剤の粘度上昇をより抑制することができ、成形材の物性(特に、せん断強度)をより向上し得る。(B)多価アルコールの含量が30.0重量部以下の場合、水系接着剤の硬化速度をより維持することができ、成形材の殆どの物性も維持できる。
本発明の実施形態の水系接着剤は、(C)無機酸塩を含むことが好ましい。(C)無機酸塩を含む場合、本発明の実施形態の水系接着剤は、硬化速度が速くなり、成形材の引張強度や引張弾性率等の力学的特性を向上させることができる。
本発明において、(C)無機酸塩とは、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されることはないが、アンモニウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩及びマグネシウム塩から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、特に、無機酸アンモニウム塩を含むことが最も望ましい。無機酸アンモニウム塩を含む場合、本発明の実施形態の水系接着剤は、硬化速度がより優れ、成形材の引張強度及び引張弾性率等の力学的特性をより向上させることができる。
無機酸アンモニウム塩とは、一般に、無機酸のアンモニウム塩と呼ばれるものであって、本発明が目的とする水系接着剤を得ることができる限り、特に制限されることはない。
「無機酸アンモニウム塩」として、例えば、硫酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、ハロゲン化アンモニウム塩(例えば、塩化アンモニウム、フッ化アンモニウム、臭化アンモニウム及びヨウ化アンモニウム)、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム及びリン酸二水素アンモニウムを例示することができる。
「無機酸アンモニウム塩」として、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸水素アンモニウム及びリン酸二水素アンモニウムから選択される少なくとも一種が好ましい。
「(C)無機酸アンモニウム塩」が、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸水素アンモニウム及びリン酸二水素アンモニウムから選択される一種である場合、本発明の実施形態の水系接着剤は、より優れた硬化性を有し、成形材の物性(引張強度及び引張弾性率等の力学的特性)をより向上させることができる。
「無機酸アンモニウム塩」は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
「無機酸アンモニウム塩」として、市販品を使用することができる。
本発明では、(C)無機酸塩は、「無機酸アンモニウム塩」の他に、無機酸金属塩を含むことができ、例えば、カリウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩及びマグネシウム塩から選択される少なくとも1種を含むことができる。
「無機酸金属塩」として、具体的には、
硫酸カリウム、硫酸水素カリウム、ハロゲン化カリウム(例えば、フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム及びヨウ化カリウム)、リン酸カリウム、リン酸水素カリウム及びリン酸二水素カリウム等のカリウム塩;
硫酸カルシウム、硫酸水素カルシウム、ハロゲン化カルシウム(例えば、フッ化カルシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム及びヨウ化カルシウム)、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム及びリン酸二水素カルシウム等のカルシウム塩;
硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、ハロゲン化ナトリウム(例えば、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム及びヨウ化ナトリウム)、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム及びリン酸二水素ナトリウム等のナトリウム塩;及び
硫酸マグネシウム、硫酸水素マグネシウム、ハロゲン化マグネシウム(例えば、フッ化マグネシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム及びヨウ化マグネシウム)、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム及びリン酸二水素マグネシウム等のマグネシウム塩
などを例示できる。
本発明では、「無機酸金属塩」は、硫酸カリウム、塩化カリウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム及び塩化マグネシウムから選択される少なくとも一種を含むことが特に好ましい。
「無機酸金属塩」は、硫酸カリウム、塩化カリウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム及び塩化マグネシウムから選択される少なくとも一種を含む場合、本発明の実施形態の水系接着剤を用いて製造された成形材は、より低温で、かつより短時間、加熱及び加圧することで硬化し、引張強度及び引張弾性率がより高くなりえる。
「無機酸金属塩」は、塩化マグネシウムを含むことが最も好ましく、塩化マグネシウムを含む場合、本発明の実施形態の成形材は、より低温で、かつより短時間、加熱及び加圧することで硬化し、引張強度及び引張弾性率がさらに高くなりえる。
本発明の実施形態の水系接着剤は、糖類、(B)多価アルコール及び(C)無機酸塩を含む場合、糖類と(B)多価アルコールとの総重量100重量部(固形分換算)に対し、(C)無機酸塩が1.5〜15.0重量部であるのが好ましく、1.5〜10.0重量部であるのが特に好ましく、3.0〜10.0重量部であるのが特に好ましい。
成分(C)が上記範囲内にある場合、本発明の実施形態の水系接着剤は、粘度上昇の抑制と硬化速度とのバランスに優れ、耐水性にも優れる。本発明の実施形態の成形材は、せん断強度、引張強度及び引張弾性率が向上し、耐水性も向上し、空気中の水分を吸収し難くなり得る。
本発明の実施形態の水系接着剤は、上述の糖類、(B)多価アルコール、必要に応じて(C)無機酸塩、及びその他の成分が水に溶解若しくは分散した形態(溶液、懸濁液又は分散液の形態)を有し、様々な材料(例えば、無機繊維、木質材料)、基材、被着体等に塗布され、成形され、硬化する。
本明細書において「水」とは、一般的に「水」と呼ばれ、本発明が目的の水系接着剤を得ることができる限り、特に制限されることはないが、例えば、蒸留水、イオン交換水、純水、水道水及び工業用水等を例示することができる。
本発明の実施形態の水系接着剤に含まれる水の量は、本発明が目的とする水系接着剤を得ることができる限り特に制限されることはなく、使用される糖類、成分(B)、(C)及び任意成分や添加剤などによって、適宜選択される。
本発明の実施形態の水系接着剤は、水溶液、懸濁液、又は水分散液の形態を有するので、様々な材料(例えば、無機繊維、木質材料)、基材、被着体等への塗布及び散布が容易である。更に、本発明の実施形態の水系接着剤は、有機溶媒を好ましくは使用せず、地球環境の保護、及び作業者の作業環境の保護に優れる。
本発明の形態の水系接着剤は、その他の成分を含むことができる。そのような成分として、例えば、貯蔵安定剤、力学特性改良剤、増粘剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤及び分散安定化剤等を例示できる。
貯蔵安定剤として、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、エルソルビン酸等の多価カルボン酸を例示できる。
力学特性改良剤として、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、(メタ)アクリル酸アミド、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、フルフリルアルコール、(メタ)アクリル酸グリシジル等の側鎖に反応性を有するビニル系重合性モノマーを例示できる。
増粘剤とは、接着剤を加圧し加熱する際に、その粘度が低下することを防止するために使用し、本発明が目的とする水系接着剤を得ることができる限り特に制限されることはない。そのような増粘剤は、例えば、有機系増粘剤と無機系増粘剤に分類される。
無機系増粘剤として、例えば、クレイ、タルク及びシリカなどを例示できる。
有機系増粘剤として、例えば、カルボキシメチルセルロース、植物粉末の小麦粉、コーンスターチ、上新粉、クルミ粉及びヤシ粉等の天然系増粘剤、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の合成系増粘剤を例示できる。
これらの増粘剤は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
本発明の実施形態の水系接着剤は、上述の糖類、成分(B)、水、必要に応じて成分(C)及び必要に応じてその他の成分などを加えて、攪拌して製造することができる。糖類、成分(B)、成分(C)、水及びその他の成分を加える順序、各成分及び水を加える方法及び攪拌方法などは、本発明が目的とする水系接着剤を得ることができる限り、特に限定されることはない。
従って、本発明は、糖類、成分(B)、及び水を混合することを含む、水系接着剤の製造方法を提供する。
水系接着剤が、糖類として、(A)変性糖を含む場合、
水系接着剤の製造方法は、
工程(i):(a)糖類(未変性)及び(b)ラジカル開始剤を反応させて、(A)変性糖を製造すること
を含む。
水系接着剤の製造方法において、(A)変性糖を製造する際に(c)アミン類を用いる場合、本発明の実施形態の水系接着剤の製造方法は、上述の工程(i)の代わりに、
工程(ii):(c)アミン類の存在下、(a)糖類(未変性)及び(b)ラジカル開始剤を反応させて、(A)変性糖を製造すること
を含む。
本発明は、工程(i)及び
(A)変性糖、成分(B)、及び水を混合すること
を含む、水系接着剤の製造方法を提供する。
更に、本発明の実施形態の水系接着剤が、(C)無機酸塩を含む場合、
本発明は、工程(i)及び
工程(iii):(A)変性糖、成分(B)、成分(C)及び水を混合すること
を含む、水系接着剤の製造方法を提供する。
本発明の実施形態の水系接着剤の製造方法は、工程(iii)を含む場合、水系接着剤の粘度上昇が抑制され、さらに、硬化速度も高くなり、成形材のせん断強度、引張強度及び引張弾性率がより向上し得る。
本発明の実施形態の水系接着剤を用いて得られる材料として、無機繊維、珪酸カルシウム、石膏、ロックウール、コンクリート、セメント、モルタル及びスレート等の材料が種々の形態(板、ブロック等)で得られた成形材が挙げられる。
無機繊維としては、例えばロックウール、ストーンウール、ミネラルウール、グラスウール、ミネラルグラスウール等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明では、これら無機繊維のいずれか1種を単独で用いるか、2種以上を組み合わせて用いて、無機繊維成形材を製造することが好ましい。無機繊維としては、汎用性、断熱性、防音性等の観点から、グラスウール又はロックウールを用いることが好ましい。
本発明では、無機繊維成形材以外にも、本発明の実施形態に係る水系接着剤で木材(木材チップ、木材繊維等)、鋳物砂等を成形することで、木質材、鋳型等の成形材を提供することができる。
本発明の実施形態の木質材は、本発明の実施形態の水系接着剤と木質要素(原料)(例えば、木質又は草本植物の繊維、小片及び単板など)との混合物である。水系接着剤が木質要素に塗布又は散布され、木質要素が加熱され、結合(接着)され、成形されて木質材が製造される。
木質要素(原料)として、木材から切削等して得られる、例えば、挽き板、単板、木質ストランド、木質チップ、木質繊維及び植物繊維などを例示することができる。
木質材として、例えば、木質要素が接着剤によって接着されて得られる、集成材、合板、パーティクルボード、繊維板及び中密度繊維板(MDF)等を例示できる。
本発明の実施形態の水系接着剤は、種々の被着体(例えば、無機繊維、紙、木質繊維及び合板等を接着するために使用することができる。
本発明の実施形態の成形材を製造する場合、水系接着剤の塗布量、塗布方法、成形圧力、成形温度及び成形時間などの製造条件は、成形材の種類、形状及び寸法などによって、適宜選択され、本発明が目的とする成形材を得ることができる限り、特に制限されることはない。成形材の製造効率を考慮すると、無機繊維を水系接着剤に含浸する方法や、水系接着剤をスプレー等で無機繊維や木質要素へ散布する方法、ロール等で水系接着剤を塗布する方法が好ましい。
成形圧力は、0.5〜6.0MPaであることが好ましい。成形圧力が、6.0MPa以下の場合、圧力が大きすぎないので、成形材に痛みを生じにくい。成形圧力が、0.5MPa以上の場合、成形材の構成要素を十分に接着することができる。
成形温度は、140〜230℃であることが好ましく、140〜200℃であることがより好ましく、140〜180℃であることが特に好ましい。成形温度が、230℃以下の場合、温度が高すぎず、エネルギーの消費が小さく、成形材も痛みにくい。成形温度が、140℃以上の場合、接着が適度の時間で進行し得る。
成形時間は、3〜10分であることが好ましく、3〜9分であることがより好ましく、3〜7分であることが特に好ましい。成形時間が、10分以下の場合、時間が長くかかりすぎないので、エネルギーの消費が小さく、成形材も痛みにくい。成形時間が、3分以上の場合、適度の接着時間が確保され、適度の接着強度を確保できる。
上述のようにして得られる成形材は、従来と同様に、例えば、建築資材及び家具等、種々の用途に使用することができる。
以下に本発明を実施例及び比較例を用いて説明するが、これらの例は本発明を説明するためのものであり、本発明を何ら限定するものではない。
水系接着剤の成分として、以下の成分を準備した。尚、本明細書に記載された部数は重量部を意味する。
(a)糖類
(a−1)スクロース(和光純薬(株)社製)
(a−2)グルコース(和光純薬(株)社製)
(a−3)ガラクトース(和光純薬(株)社製)
(a−4)マンノース(和光純薬(株)社製)
(a−5)フルクトース(和光純薬(株)社製)
(b)ラジカル開始剤
(b−1)過硫酸アンモニウム(三菱ガス化学(株)社製)
(b−2)32.5%過酸化水素水(和光純薬(株)社製)
(c)アミン類
(c−1)25%アンモニア水(和光純薬(株)社製)
(c−2)ヘキサメチレンジアミン(和光純薬(株)社製)
(c−3)ピペラジン6水和物(和光純薬(株)社製)
(B)沸点が200〜285℃の多価アルコール
(B−1)ジエチレングリコール(沸点:245℃)(和光純薬(株)社製)
(B−2)ジプロピレングリコール(沸点:232℃)(和光純薬(株)社製)
(B−3)トリエチレングリコール(沸点:285℃)(和光純薬(株)社製)
(B−4)トリプロピレングリコール(沸点:270℃)(和光純薬(株)社製)
(B’−5)グリセロール(沸点:290℃)(和光純薬(株)社製)
(B’−6)エチレングリコール(沸点:198℃)(和光純薬(株)社製)
(B’−7)プロピレングリコール(沸点:189℃)(和光純薬(株)社製)
(C)無機酸アンモニウム塩
(C−1)硫酸アンモニウム(和光純薬工業(株))
(C−2)リン酸水素二アンモニウム(和光純薬工業(株))
(C−3)リン酸二水素アンモニウム(和光純薬工業(株))
<(A)変性糖の製造>
(A−1)変性糖の製造
338gの水、926gの(a−1)スクロース、36gの(c−1)25%アンモニア水を2リットルの反応容器に入れた。
攪拌翼、還流管及び温度計等を反応容器へ取り付けた後、同反応容器を95℃の温浴につけ、混合物を加熱しながら攪拌し、(a−1)スクロースを溶解させて、スクロース溶液を得た。
次に65gの(b−1)過硫酸アンモニウムと、106gの水を別の容器に入れて、(b−1)を溶解させ、ラジカル開始剤溶液(38重量%)を調製した。そのラジカル開始剤溶液を、滴下漏斗に入れ、この滴下漏斗を反応容器に取り付けた。
反応容器内のスクロース溶液を攪拌しながら、このスクロース溶液が90℃以上に到達したことを確認後、滴下漏斗からラジカル開始剤溶液171gを4時間かけてスクロース溶液に滴下した。滴下終了後、90℃以上で、反応容器内の調製液をさらに1時間攪拌し熟成させた後、40℃以下まで冷却し、変性糖含有溶液を得た。
変性糖の溶液は、ラジカル開始剤を含み、固形分濃度が68.0重量%であった。尚、固形分濃度とは、水溶液中に溶解している(A−1)変性糖と(b−1)過硫酸アンモニウムの総量から算出される。
(A−2)〜(A−5)及び(A−7)変性糖の製造
表1に示される組成に基づき、(a)、(b)及び(c)の各々を表1に記載の量で使用したことを除き、(A−1)変性糖の製造方法と同様の方法を用いて各変性糖(A−2)〜(A−5)及び(A−7)を製造した。
(A−6)変性糖の製造
表1に示される組成に基づき、(a−1)の代わりに(a−2)を表1記載の量で用いたこと、(b−1)の代わりに(b−2)33%過酸化水素水を用いてラジカル開始剤溶液を調製したこと、(c−1)を表1記載の量で用いたことを除き、(A−1)変性糖の製造方法と同様の方法を用いて(A−6)変性糖を製造した。
Figure 2020084059
<水系接着剤の製造>
[実施例1]
(a−2)グルコース、(B−1)ジエチレングリコール及び(C−1)硫酸アンモニウムを表2に示される割合で蒸留水に加え、常温で攪拌して溶解し、アンモニア水でpHを6.0〜9.0に調整し、実施例1の水系接着剤を得た。(a−2)、(B−1)、(C−1)及び蒸留水の割合は表2に示されるとおりである。表2に示される配合割合は重量部であり、(a−2)の重量部数は固形分換算値である。
[実施例2〜19]及び、[比較例1〜9]水系接着剤の製造
実施例2〜19及び、比較例1〜9の水系接着剤の組成を表2〜4に示す。
表2〜4に示された組成及び配合に基づき、糖類、(B)、(C)及び水を表2〜4に記載の量で用いたことを除いて、実施例1と同様の方法を用いて、実施例2〜19及び比較例1〜19の水系接着剤を製造した。
Figure 2020084059
Figure 2020084059
Figure 2020084059
実施例及び比較例の水系接着剤について、その性能を評価した。評価項目及び評価基準は、以下のとおりである。
<水系接着剤の硬化後固形分濃度の測定>
実施例、比較例で調整した水系接着剤を1gアルミカップにとり105℃で20分間乾燥後、190℃の電気炉の中で15分間硬化させた。硬化後固形分濃度は以下の計算式で求めた。
硬化後固形分濃度(%)= 硬化後の重量×100/乾燥・硬化前の樹脂量
実施例及び比較例の各々の水系接着剤に水を添加して、固形分濃度が33重量%になるよう調製して、評価用の各サンプル液を得た。このサンプル液を、以下に記述する測定で使用した。
<硬化速度:ゲルタイム測定>
JIS6910 B法に準じ、160℃のゲルタイムと、180℃のゲルタイムを測定した。評価基準を以下に示す。
160℃及び、180℃に加熱したホットプレート上に0.2mlのサンプル液を垂らし、サンプル液をスプーンでかき混ぜながら測定をおこなった。ゲルタイムの判定基準は、樹脂が硬化して糸が引かなくなった時点をゲルタイムとした。
ゲルタイムの評価基準(160℃)
◎・・・・・・160秒未満
○・・・・・・160秒以上190秒未満
△・・・・・・190秒以上220秒未満
×・・・・・・220秒以上
ゲルタイムの評価基準(180℃)
◎・・・・・・80秒未満
○・・・・・・80秒以上90秒未満
△・・・・・・90秒以上100秒未満
×・・・・・・100秒以上
<付着性評価>
ゲルタイム測定で用いた160℃に加熱したホットプレートにサンプル液0.2mlを垂らし、10秒後、20秒後、30秒後、40秒後にスプーンでサンプル液を掬いとり、コピー紙(幅:10mm、長さ:50mm)に塗りつけた。その直後に、サンプル液を介し、このコピー用紙と、別のコピー紙1枚を重ね合わせた。1分後、重ね合わせたコピー紙を手で剥がし、コピー紙が破れるか否かで水系接着剤(サンプル液)の付着性(被着体への付着性)を評価した。
付着性の評価基準は以下のとおりである。
付着性評価基準(水系接着剤が粘度上昇する迄の時間(秒))
◎・・・・・・40秒
○・・・・・・30秒
△・・・・・・20秒
×・・・・・・10秒
<耐水性:溶出率試験>
30mm×30mmの正方形にカットしたガラス繊維フィルター(ワットマン社 製品名GF/A)重量約0.05gに、サンプル液0.5mlを均一に塗布した。
ガラス繊維フィルターに塗布したサンプル液を105℃で30分間乾燥させた後、190℃のオーブン内に15分間放置し、試験片を得た。
試験片を常温水50mlに24時間浸漬した後、130℃で1時間乾燥した。浸漬した水に、試験片から溶出した接着剤の量を求め、下記式で水の溶出率を求め、耐水性を評価した。
(数式1)
試験片に存する接着剤の割合=[試験片(水に浸漬処理後)−ガラス繊維フィルターの重量]/[試験片(190℃処理後)−ガラス繊維フィルターの重量]
(数式2)
溶出率(%)=(1−試験片に残存する接着剤の割合)×100
溶出率に基づく耐水性の評価基準を以下に示す。
溶出率評価基準
◎・・・・・・2.0%未満
○・・・・・・2.0%以上4.5%未満
△・・・・・・4.5%以上6.0%未満
×・・・・・・6.0%以上
<力学的特性:引張強度、引張弾性率の測定>
20mm×100mmの長方形にカットしたガラス繊維フィルター(ワットマン社 製品名GF/A)重量約0.10gに、サンプル液1.0mlを均一に塗布した。
ガラス繊維フィルターに塗布したサンプル液を105℃で30分間乾燥させた後、190℃のオーブン内に15分間放置し、試験片を得た。
試験片を恒温恒湿器(23℃、湿度50%)に入れ、2時間放置後、引張試験を行った。引張試験機としてインストロン社製モデル5585を用い、引張速度25.4mm/分で引張強度と引張り性率を測定した。引張り強度は破断強度(最大強度)値とした。
引張強度(23℃、湿度50%)の評価基準は以下のとおりである。
引張強度評価基準
◎・・・・・・強度が15MPa以上
○・・・・・・強度が14MPa以上15MPa未満
△・・・・・・強度が12MPa以上14MPa未満
×・・・・・・強度が12MPa未満
引張弾性率は、試験片のたるみを除く、歪量0.1%の傾きから求めた。
引張弾性率(23℃、湿度50%)の評価基準は下記のとおりである。
引張弾性率の評価基準
◎・・・・・・弾性率が1100MPa以上
○・・・・・・弾性率が1000MPa以上1100MPa未満
△・・・・・・弾性率が900MPa以上1000MPa未満
×・・・・・・弾性率が900MPa未満
<せん断強度測定>
せん断強度試験はJIS K 6850に準じて実施した。
ゲルタイム測定で用いた160℃に加熱したホットプレートにサンプル液0.2mlを垂らし、サンプル液を20秒後にスプーンで掬いとり、ガラス板(厚み: 幅:25mm、長さ:100mm)に塗りつけた。1分後、このガラス板と別のガラス板1枚を、サンプル液を介して重ね合わせた。重ねられたガラス板を190℃の電気炉で15分間加熱し、サンプル液を硬化させ、ガラス片を貼り合わせることで試験片を得た。
せん断試験を実施する際、試験片のつかみ部に、エポキシ樹脂を介して合板を接着し、つかみ部とした。
せん断試験機としてインストロン社製モデル5585を用い、引張速度2.0mm/分でせん断強度を測定した。最大強度値をせん断強度として評価した。
せん断強度の評価基準は以下のとおりである。
せん断強度評価基準
◎・・・・・・強度が0.6MPa以上
○・・・・・・強度が0.5MPa以上0.6MPa未満
△・・・・・・強度が0.4MPa以上0.5MPa未満
×・・・・・・強度が0.4MPa未満
表2〜3に示されるように、実施例1〜19の水系接着剤は、(B)沸点が200℃以上の多価アルコールを含み、糖類と(B)との総重量100重量部(固形分換算)に対し、(B)が5.0〜30.0重量部(固形分換算)であることによって、硬化速度が速く、粘度上昇が抑制されて被着体への付着性に優れる。実施例1〜19の成形材は、各物性(溶出率(耐水性)、引張強度、引張弾性率、せん断強度)が改善されることが実証された。
特に、実施例7〜19の水系接着剤は、糖類として(A)変性糖を含むので、硬化速度がより速い。さらに、実施例7〜19の成形材は、耐水性、引張強度及び引張弾性率のいずれも良好である。
これに対し、表4に示されるように、比較例1〜9の水系接着剤は、実施例と比べると、硬化速度が著しく遅く、粘度上昇抑制が十分でないため被着体への付着性が極端に劣る。比較例1〜9の成形材も、実施例の成形材と比べると、せん断速度が著しく悪く、引張強度、引張弾性率、耐水性のバランスが悪い。
本発明は、水系接着剤を提供する。本発明の実施形態の水系接着剤は、ガラス繊維等の無機繊維、及び木質要素を成形する際に用いることができる。

Claims (5)

  1. 糖類と、沸点が200〜285℃の多価アルコールを含み、
    該糖類及び該多価アルコールの総重量100重量部(固形分換算)に対し、多価アルコールが5.0〜30.0重量部(固形分換算)である、水系接着剤。
  2. 上記多価アルコールは、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコールから選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1に記載の水系接着剤。
  3. 更に、無機酸塩を含む、請求項1または2に記載の水系接着剤。
  4. 無機酸塩が無機酸アンモニウム塩を含む、請求項3に記載の水系接着剤。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の水系接着剤の硬化物を有する成形材。
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