JP2016069537A - 接着剤組成物及びそれを用いた接着剤塗布具 - Google Patents
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Abstract
【課題】塗出性が良好で、接着性に優れる接着剤組成物及びそれを用いた接着剤塗布具の提供。
【解決手段】少なくとも、水、粘着性樹脂、糖類からなる接着剤組成物。糖類が、デキストリン、シクロデキストリン、たんぱく加水分解物である接着剤組成物。デキストリンが、重量平均分子量10000以上である接着剤組成物。粘着性樹脂の接着剤組成物全量に対する含有量をA、前記糖類の接着剤組成物全量に対する含有量をBとした場合、0.01≦B/A≦1.0の関係である接着剤組成物。
【選択図】なし
【解決手段】少なくとも、水、粘着性樹脂、糖類からなる接着剤組成物。糖類が、デキストリン、シクロデキストリン、たんぱく加水分解物である接着剤組成物。デキストリンが、重量平均分子量10000以上である接着剤組成物。粘着性樹脂の接着剤組成物全量に対する含有量をA、前記糖類の接着剤組成物全量に対する含有量をBとした場合、0.01≦B/A≦1.0の関係である接着剤組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は接着剤組成物及びそれを用いた接着剤塗布具に関するものである。
従来より、紙などの被着体を接着する接着剤としては、スティック状の固体接着剤と、液状接着剤とがある。固形接着剤は、特許文献1のように接着剤高分子としての水溶性高分子、ゲル化剤としての脂肪酸石鹸、溶媒としての水及び溶剤を配合した組成物からなっている。しかしながら、この固体接着剤は速乾性であるものの、固体状のため被着体を濡らす能力(濡れ性)が乏しく、接着性及び接着力も限界があるため、剥れることがあり、接着の信頼性に欠ける難点がある。
そこで、接着性を向上する目的で、シラノール基を有するポリウレタン樹脂を必須成分として用いたものとして、特開2006−290970号公報や、酢酸ビニル由来の構造を構成骨格の一部ないし全部として有する重合体を用いたものとして、特開2001−3024号公報などの液状接着剤が開示されている。
しかし、特許文献2、3のような液状接着剤では、特定の樹脂を用いて、ある程度の接着性の向上はするが、固化することで接着力を出すために溶剤が入っており、しばらく使用しないでいると溶剤は気化し、残留した液状接着剤が塗布具先端部に固着してしまうため、形成した固着皮膜を除去しなければならず、特にひどい場合は、該固着皮膜によって塗布不能となってしまう問題が発生してしまった。
そのため、特許文献4では、塗布具の先端部をボールペンチップとし、その部材をセラミックスで形成して、液状接着剤が付着して固着した際にも、形成した固着皮膜を簡単に除去することで塗出性を良好とする技術があるが、コストがかかってしまう問題もあった。
また、塗布具先端部周りの気密を確保するために、塗布具先端部にキャップ等を用いて、被覆する構造とすると、使用する度にキャップの着脱を繰り返す必要が生じるため、使い勝手が非常に悪くなり、最近では、キャップの取外しが不要な塗布具が望まれている。
また、塗布具先端部周りの気密を確保するために、塗布具先端部にキャップ等を被覆する構造とすると、使用する度にキャップの着脱を繰り返す必要が生じるため、使い勝手が非常に悪くなり、最近では、キャップの取外しが不要な塗布具が望まれている。
本発明の目的は、塗出性が良好で、接着性に優れる接着剤組成物及びそれを用いた接着剤塗布具を提供することである。
本発明は、上記課題を解決するために
「1.少なくとも、水、粘着性樹脂、糖類からなることを特徴とする接着剤組成物。
2.前記糖類が、デキストリン、シクロデキストリン、たんぱく加水分解物であることを特徴とする第1項に記載の接着剤組成物。
3.前記糖類が、重量平均分子量10000以上のデキストリンであることを特徴とする第1項に記載の接着剤組成物。
4.前記粘着性樹脂の接着剤組成物全量に対する含有量をA、前記糖類の接着剤組成物全量に対する含有量をBとした場合、0.01≦B/A≦1.0の関係であることを特徴とする第1項ないし第3項のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
5. 前記接着剤組成物に、多価アルコールを含むことを特徴とする第1項ないし第4項のいずれか1項に記載の接着剤組成物
6. 20℃、剪断速度1.92sec−1における接着剤組成物の粘度が、50〜5000mPa・sであることを特徴とする第1項ないし第5項のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
7.接着剤収容筒の先端部に、ボールを回転自在に抱持したボールペンチップを直接又はチップホルダーを介して装着し、前記接着剤収容筒内に、第1項ないし第6項のいずれか1項に記載の接着剤組成物を収容してなる接着剤塗布具。
8.前記ボールの軸方向の移動量が、20μ m以上であることを特徴とする第7項に記載の接着剤塗布具。」とする。
「1.少なくとも、水、粘着性樹脂、糖類からなることを特徴とする接着剤組成物。
2.前記糖類が、デキストリン、シクロデキストリン、たんぱく加水分解物であることを特徴とする第1項に記載の接着剤組成物。
3.前記糖類が、重量平均分子量10000以上のデキストリンであることを特徴とする第1項に記載の接着剤組成物。
4.前記粘着性樹脂の接着剤組成物全量に対する含有量をA、前記糖類の接着剤組成物全量に対する含有量をBとした場合、0.01≦B/A≦1.0の関係であることを特徴とする第1項ないし第3項のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
5. 前記接着剤組成物に、多価アルコールを含むことを特徴とする第1項ないし第4項のいずれか1項に記載の接着剤組成物
6. 20℃、剪断速度1.92sec−1における接着剤組成物の粘度が、50〜5000mPa・sであることを特徴とする第1項ないし第5項のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
7.接着剤収容筒の先端部に、ボールを回転自在に抱持したボールペンチップを直接又はチップホルダーを介して装着し、前記接着剤収容筒内に、第1項ないし第6項のいずれか1項に記載の接着剤組成物を収容してなる接着剤塗布具。
8.前記ボールの軸方向の移動量が、20μ m以上であることを特徴とする第7項に記載の接着剤塗布具。」とする。
本発明は、塗布具先端部に柔らかい皮膜をすばやく形成することで、塗出性が良好で、経時しても安定した塗出性を保ち、接着性に優れる接着剤組成物及びそれを用いた接着剤塗布具を提供することができた。
本発明の特徴は、接着剤組成物中に、粘着性樹脂と、糖類を併用して用いることである。
本発明で用いる粘着性樹脂としては、接着性を持たせるため用いるが、具体的には、アクリル系樹脂エマルジョン、酢酸ビニル系樹脂エマルジョン、ウレタン系樹脂エマルジョン、スチレン−ブタジエン系樹脂エマルジョン、ポリエステル系樹脂エマルジョンなどの樹脂エマルジョンや、ポリアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂、テルペン樹脂、酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。これらは、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
しかし、前記粘着性樹脂は、接着性があるため、大気に触れると水分蒸発により強固な皮膜を形成してしまい、接着剤が塗布具先端部に残留して固着した場合に、形成した固着皮膜が接着剤の塗出を妨害してしまい、安定した塗出性を保つことが難しく、接着性が十分ではない。さらに、粘着性樹脂は、皮膜形成速度が遅いため、接着剤が漏れ出す量も多く、固着皮膜が厚くなり、接着剤の塗出を妨害しやすいなどの不具合があった。そこで、本発明では、糖類を用いることで、塗出性が良好になり、接着性に優れることを見出した。
本発明で用いる糖類については、粘着性樹脂と併用して用いることで、粘着性樹脂が強固な皮膜形成をする前に、水分を一部吸収して柔らかい皮膜をすばやく形成することで、塗出漏れを抑制し、塗布具先端部に残留する固着皮膜を抑え、さらに柔らかい皮膜であり、塗布時に皮膜が壊れやすいため、接着剤の塗出を妨害することなく良好に塗出することが可能となる。さらに、糖類と粘着性樹脂とを併用することで、塗布乾燥後の皮膜性向上により相乗的に接着性が向上する効果も得られる。
そのため、本発明では塗出性が良好で、経時しても安定した塗出性を保ち、接着性に優れるようにするためには、接着剤組成物中に、粘着性樹脂と、糖類を併用して用いることが重要である。その中でも、経時しても安定した塗出性をより向上させることを考慮すれば、粘着性樹脂としては、アクリル系樹脂エマルジョンを用いて併用することが好ましい。
また、本願発明のように、前記粘着性樹脂と前記糖類とを併用して用いる場合は、前記粘着性樹脂の接着剤組成物全量に対する含有量をA、前記糖類の接着剤組成物全量に対する含有量をBとした場合、0.001≦B/A≦1.0の関係とすること好ましい。これは、0.001<B/Aだと、柔らかい皮膜が形成しづらく、経時しても安定した塗出性を保ちづらく、B/A>1.0だと、粘着性樹脂の本来の効果が得られにくく、粘着阻害を起こし、接着力が劣りやすいためである。より、経時しても安定した塗出性や接着力を考慮すれば、0.01≦B/A≦0.5が好ましく、最も好ましくは、0.01≦B/A≦0.3が好ましい。
また、糖類として、デキストリン、シクロデキストリン、たんぱく加水分解物(大豆たんぱく質、小麦たんぱく質などの加水分解物)などが挙げられる。その中でも、デキストリンは柔らかい皮膜をすばやく形成するため、好ましい。さらに、デキストリンの中でも、重量平均分子量10000〜200000が好ましい。これは、重量平均分子量10000未満では、皮膜が形成しにくい傾向になるため、塗布具先端部の乾燥により接着剤の塗出を妨害しやすい。また、重量平均分子量が200000を超えると、塗布乾燥後の皮膜強度が低下しやすく、接着力も低下する傾向にあり、接着剤組成物の粘度が増加する傾向になり、塗出性が劣ったり、経時増粘により安定性が損なわれる傾向にあるためである。さらに、より考慮すれば、重量平均分子量30000〜120000が好ましい。この範囲とすることにより、塗布具先端部で柔らかい皮膜をすばやく形成することにより乾燥などを防止して接着剤の塗出が安定しやすい。また、塗布乾燥後の皮膜が十分な強度を有することにより、高い接着力を呈する等、優れた構成とすることができる。具体的には、三和澱粉工業(株)製の商品名;サンデック#30、同#70、同#100、同#150、同#180、同#185N、同#250、同#300や、塩水港精糖(株)製の商品名;デキシパールK00、同K−50、同K−100、同α−100、同β−100、同γ−100などが挙げられる。これらは、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
糖類の含有量は、接着剤組成物全量に対し、0.01〜5.0質量%が好ましい。これは、0.01質量%より少ないと、柔らかい皮膜が形成しづらく、接着剤の塗出を妨害しやすく、さらに接着性も劣りやすく、5.0質量%を越えると、接着剤組成物中で溶解しづらいためである。より考慮すれば、0.1〜3.0質量%が好ましく、最も好ましくは、0.5〜2.0質量%である。
また、糖類の溶解安定性や塗布具先端部での耐ドライアップ性を考慮し、溶剤を用いることが好ましい。エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール溶剤、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、t−ブタノール、プロパギルアルコール、アリルアルコール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタートやその他の高級アルコール等のアルコール系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、3−メトキシブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール等のグリコールエーテル系溶剤などが挙げられる。これらは、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
その中でも、糖類を溶解安定するのに用いる溶剤としては、多価アルコールを用いることが好ましい。これは、多価アルコールは、吸湿効果があり、含有することで、乾燥時に、糖類によって形成される皮膜をより和らげて、塗布時に皮膜が壊れやすくして、接着剤の塗出を妨害することなく良好に塗出しやすい効果が得られるためである。さらに、本発明で用いる糖類についても、溶解安定させる効果もあるため、より好ましい。
また、本発明には、粘度調整剤として樹脂を用いても良い。具体的には、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂、キサンタンガム、ウェランガム、サクシノグリカン、グアーガム、ローカストビーンガム、ダイユータンガムなどの多糖類や架橋型アクリル酸重合体、架橋型アクリルアミド系重合体等の剪断減粘性付与剤等が挙げられ、これらは、単独又は2種以上混合して使用してもよい。その中でも、剪断減粘性付与剤を用いることが好ましい、これは、剪断減粘性付与剤を用いると、静止時の粘度を高くして、接着剤が塗布具先端部から漏れを抑制して、乾燥して形成する固着皮膜を抑制しやすく、同時に塗布時の粘度を低くして、接着剤の塗布量を多くしやすくして、接着性を向上しやすいためである。その中でも、静止時の粘度を高くして、塗布時の粘度を低くしやすい多糖類を用いることが好ましく、最も好ましくは、サクシノグリカンである。
本発明の接着剤組成物の粘度は、特に限定されるものではないが、20℃、剪断速度1.92sec−1における接着剤組成物の粘度を、20℃、剪断速度1.92sec−1において50〜5000mPa・sである接着剤組成物を用いることが好ましい。これは、接着剤組成物の粘度が50mPa・ s未満の場合では、接着剤が塗布具先端部から漏れやすく、また、20℃、剪断速度1.92sec−1における接着剤組成物の粘度が5000mPa・sを越えても、接着剤の塗出量が少なく、接着性が劣りやすいためである。さらに、より考慮すれば、前記接着剤組成物の粘度は100〜3000mPa・sがより好ましい。
その他として、経時安定性や潤滑性を向上させるために、pH調整剤や潤滑剤としてリン酸エステル系界面活性剤、脂肪酸等、1,2ベンゾイソチアゾリン−3−オン等の防菌剤、尿素、ソルビット等の保湿剤、ベンゾトリアゾール等の防錆剤、エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤、着色剤として顔料や染料、pH指示薬などを添加することができる。これらは単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
また、接着剤の塗布量については、10mあたりの塗布量は、5〜80mgとすることが好ましい。これは、10mあたりの接着剤の塗布量が5mg未満だと、接着剤の塗出量が少なく、接着性が劣りやすいためで、また、10mあたりの接着剤の塗布量が80mgを越えると、接着剤が塗布具先端部から漏れやすいためで、より上記を考慮すれば、10〜40mgが好ましい。
なお、接着剤の塗布量については、20℃、筆記用紙JIS P3201筆記用紙上に塗布時の角度70°、筆記荷重200gの条件にて、筆記速度1m/minの速度で、試験サンプル3本を用いて、らせん塗布試験を行い、接着剤の塗布量の平均値を、10mあたりの接着剤の塗布量と定義する。
なお、接着剤の塗布量については、20℃、筆記用紙JIS P3201筆記用紙上に塗布時の角度70°、筆記荷重200gの条件にて、筆記速度1m/minの速度で、試験サンプル3本を用いて、らせん塗布試験を行い、接着剤の塗布量の平均値を、10mあたりの接着剤の塗布量と定義する。
また、本発明に用いる塗布具先端部の軸方向の移動量が、20μ m以上とすることが好ましい。これは、20μm未満であると、接着剤の塗出量が少なく、接着性が劣りやすいためである。接着性が劣るためで、より考慮すれば、塗布具先端部の軸方向の移動量は、50μm以上とするのが好ましく、最も好ましくは、70μ m以上である。
前記塗布具先端部には、ボールペンのように、ステンレス鋼からなるペン先本体の前端部にボールを抱持し、ペン先本体の前端縁部を内側にかしめることで、ボールを回転自在に抱持したボールペンチップタイプとすることが好ましい。これは、ボールが回転することで、スムーズな接着剤の塗布ができるため好適に用いることができる。さらに、前記ボールを前後動可能に配設し、且つボールの後方に、ボールを常時、押圧する弾発部材を配設することが好ましい、これは、前記塗布具先端部の気密を確保し、接着剤の乾燥固化を抑制し、さらに塗出漏れを抑制し、前記塗布具先端部のボールに残留する固着皮膜形成を抑制しやすく、チップ先端の微少な間隙も非使用時に閉鎖することが好ましいためである。また、前記弾発部材の押圧力は1〜30gfが好ましい、これは1gf未満だと接着剤の塗布量少なく、接着性が劣りやすいためで、30gfを越えると、ボールが回転しづらくなるためであり、より考慮すれば、5〜25gfが好ましい。
また、前記塗布具先端部に用いるボール表面の算術平均粗さ(Ra)については、0.1〜20nmとすることが好ましい。これは、算術平均粗さ(Ra)が0.1nm未満だと、ボール表面に十分に接着剤が載りづらく、十分な塗布量が得られにくく、接着性が劣りやすくなるためで、また算術平均粗さ(Ra)が20nmを越えると、ボール表面が粗すぎて、ボールとボール座の回転抵抗が大きくなり、引っかかり塗出量が安定しづらいためである。よりそのことを考慮すれば、1〜10nmが好ましく、より好ましくは、2〜8nmである。
なお、表面粗さの測定は(セイコーエプソン社製の機種名SPI3800N)で求めることができる。
なお、表面粗さの測定は(セイコーエプソン社製の機種名SPI3800N)で求めることができる。
また、ボールに用いる材料は、特に限定されるものではないが、タングステンカーバイドを主成分とする超硬合金ボール、ステンレス鋼などの金属ボール、炭化珪素、窒化珪素、アルミナ、シリカ、ジルコニアなどのセラミックスボール、ルビーボールなどが挙げられる。また、ボールの直径は、特に限定されないが、一般的には0.25mm〜2.0mm程度である。
本発明で用いる接着剤収容筒としては、特に限定されないが、耐薬品性、水分透過性、空気透過性等の観点から採用可能な材料に制限されるのも事実である。その点、ポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂などのポリオレフィン樹脂を材料として用いることが、好ましい。しかし、収容筒内を接着剤が移動する際、接着剤が内壁に付着しやすく、接着剤残量が分かりづらい。そのため、ポリオレフィン樹脂を収容筒とする場合はその収容筒内壁をシリコーンで処理することが好ましい。これは、シリコーンを接着剤収容筒内壁に塗布することで、収容筒材料であるポリオレフィン樹脂と接着剤とが直接接することなく、あくまでもシリコーンを中間に介在させた関係を維持し、接着剤が移動する際において収容筒内壁への付着防止することが可能ある。
シリコーンの材料としては、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、メチル水素シリコーン、アルキルアラルキルシリコーン、ポリエーテルシリコーン、高脂肪酸エステル脂肪酸シリコーンなどが挙げられる。
本発明に用いる接着剤組成物を用いたボールペン型接着剤塗布具の機構については特に限定されないが、接着剤組成物を接着剤収容筒内に充填後に加圧ガスを封入したり、ポンピング機構などにより接着剤収容筒内の空気を圧縮する等の加圧機構を用いて、強制的に接着剤組成物を塗出することで、経時的に接着剤組成物が増粘して、前記塗布具先端部に目詰まりなどがあっても、塗出性を良好にすることが可能となるため、好ましい。
次に実施例を示して本発明を説明する。
実施例1〜12の接着剤組成物は、粘着樹脂としてアクリル系樹脂エマルジョン、糖類としてデキストリンを用い、多価アルコール溶剤、防錆剤、防菌剤、水を採取し加温撹拌等して接着剤組成物を作成した。
尚、実施例1の接着剤組成物の粘度は、ブルックフィールド社製DV−II粘度計(CPE−42ローター)を用いて20℃の環境下で、剪断速度1.92sec−1(回転数0.5rpm)、剪断速度384sec−1(回転数100rpm)の2条件にて接着剤組成物を測定したところ、それぞれ180mPa・s、50mPa・ sであった。
また、実施例1の10mあたりの接着剤組成物の塗布量は、ボール径1.0mmの接着剤塗布具でらせん筆記試験を行ったところ、40mg/10mであった。
実施例1〜12の接着剤組成物は、粘着樹脂としてアクリル系樹脂エマルジョン、糖類としてデキストリンを用い、多価アルコール溶剤、防錆剤、防菌剤、水を採取し加温撹拌等して接着剤組成物を作成した。
尚、実施例1の接着剤組成物の粘度は、ブルックフィールド社製DV−II粘度計(CPE−42ローター)を用いて20℃の環境下で、剪断速度1.92sec−1(回転数0.5rpm)、剪断速度384sec−1(回転数100rpm)の2条件にて接着剤組成物を測定したところ、それぞれ180mPa・s、50mPa・ sであった。
また、実施例1の10mあたりの接着剤組成物の塗布量は、ボール径1.0mmの接着剤塗布具でらせん筆記試験を行ったところ、40mg/10mであった。
実施例1
粘着樹脂(アクリル系樹脂エマルジョン) 50.0質量%
糖類(重量平均分子量10000のデキストリン) 1.0質量%
多価アルコール溶剤(エチレングリコール) 10.0質量%
多価アルコール溶剤(グリセリン) 5.0質量%
防錆剤(ベンゾトリアゾール) 0.5質量%
防菌剤(1,2ベンゾイソチアゾリン−3−オン) 0.5質量%
水 33.0質量%
粘着樹脂(アクリル系樹脂エマルジョン) 50.0質量%
糖類(重量平均分子量10000のデキストリン) 1.0質量%
多価アルコール溶剤(エチレングリコール) 10.0質量%
多価アルコール溶剤(グリセリン) 5.0質量%
防錆剤(ベンゾトリアゾール) 0.5質量%
防菌剤(1,2ベンゾイソチアゾリン−3−オン) 0.5質量%
水 33.0質量%
実施例2〜12
表に示すように、各成分を変更した以外は、実施例1と同様な手順で接着剤組成物実施例2〜12の接着剤組成物を得た。表に測定、評価結果を示す。
表に示すように、各成分を変更した以外は、実施例1と同様な手順で接着剤組成物実施例2〜12の接着剤組成物を得た。表に測定、評価結果を示す。
実施例13の接着剤組成物は、剪断減粘性付与剤を添加する以外は、実施例1と同様な方法で接着剤組成物を作成し、その作製した接着剤組成物に剪断減粘性付与剤を投入して攪拌機を用いて均一な状態となるまで充分に混合攪拌して、実施例13の接着剤組成物を得た。
尚、実施例13の接着剤組成物の粘度は、ブルックフィールド社製DV−II粘度計(CPE−42ローター)を用いて20℃の環境下で、剪断速度1.92sec−1(回転数0.5rpm)、剪断速度384sec−1(回転数100rpm)の2条件にて接着剤組成物を測定したところ、それぞれ1100mPa・s、60mPa・ sであった。
また、実施例1の10mあたりの接着剤組成物の塗布量は、ボール径1.0mmの接着剤塗布具でらせん筆記試験を行ったところ、30mg/10mであった。
尚、実施例13の接着剤組成物の粘度は、ブルックフィールド社製DV−II粘度計(CPE−42ローター)を用いて20℃の環境下で、剪断速度1.92sec−1(回転数0.5rpm)、剪断速度384sec−1(回転数100rpm)の2条件にて接着剤組成物を測定したところ、それぞれ1100mPa・s、60mPa・ sであった。
また、実施例1の10mあたりの接着剤組成物の塗布量は、ボール径1.0mmの接着剤塗布具でらせん筆記試験を行ったところ、30mg/10mであった。
実施例14
表に示すように、各成分を変更した以外は、実施例13と同様な手順で接着剤組成物実施例14の接着剤組成物を得た。表に測定、評価結果を示す。
表に示すように、各成分を変更した以外は、実施例13と同様な手順で接着剤組成物実施例14の接着剤組成物を得た。表に測定、評価結果を示す。
比較例1、3、4
表に示すように、各成分を変更した以外は、実施例1と同様の手順で、比較例1〜3の接着剤組成物を得た。表に測定、評価結果を示す。
表に示すように、各成分を変更した以外は、実施例1と同様の手順で、比較例1〜3の接着剤組成物を得た。表に測定、評価結果を示す。
比較例2
表に示すように、各成分を変更した以外は、実施例13と同様な手順で比較例2のボールペン型接着剤塗布具を得た。表に測定、評価結果を示す。
表に示すように、各成分を変更した以外は、実施例13と同様な手順で比較例2のボールペン型接着剤塗布具を得た。表に測定、評価結果を示す。
試験及び評価
シリコーンで接着剤収容筒(ポリプロピレン製)内壁に塗布した接着剤収容筒2の先端部に、ボール径がφ1.0mmで、ボール表面の算術平均粗さ(Ra)5nmのボール4を回転自在に抱時したボールペンチップ3(ボールの軸方向の移動量:70μm)を装着するとともに、接着剤収容筒2内に、実施例1〜14及び比較例1〜4で作製した接着剤組成物6(1.0g)及びグリース状の追従体7を直に収容して塗布具用レフィル1を(株)パイロットコーポレーション製のノック式ボールペン用の本体(商品名:G-Knock)に配設して、接着剤塗布具を作製し筆記試験用紙として筆記用紙JIS P3201を用いて以下の試験及び評価を行った。
シリコーンで接着剤収容筒(ポリプロピレン製)内壁に塗布した接着剤収容筒2の先端部に、ボール径がφ1.0mmで、ボール表面の算術平均粗さ(Ra)5nmのボール4を回転自在に抱時したボールペンチップ3(ボールの軸方向の移動量:70μm)を装着するとともに、接着剤収容筒2内に、実施例1〜14及び比較例1〜4で作製した接着剤組成物6(1.0g)及びグリース状の追従体7を直に収容して塗布具用レフィル1を(株)パイロットコーポレーション製のノック式ボールペン用の本体(商品名:G-Knock)に配設して、接着剤塗布具を作製し筆記試験用紙として筆記用紙JIS P3201を用いて以下の試験及び評価を行った。
塗出性試験:紙に、直径5mmらせん状に接着剤組成物を1m塗布し、1ヵ月後再度塗布した時の接着剤組成物の塗出性を評価した。
初期と塗出性が変わらないもの ・・・◎
初期と比べると若干塗出性は劣るが、十分な塗出性があるもの ・・・○
初期と比べると劣るが、実用上問題ないレベルであるもの ・・・△
塗出するが、十分な塗出性ではなく、接着力に影響が出てしまうもの ・・・×
初期と塗出性が変わらないもの ・・・◎
初期と比べると若干塗出性は劣るが、十分な塗出性があるもの ・・・○
初期と比べると劣るが、実用上問題ないレベルであるもの ・・・△
塗出するが、十分な塗出性ではなく、接着力に影響が出てしまうもの ・・・×
接着性試験:紙に、直径5mmらせん状に接着剤組成物を塗布し、別の紙で押圧し、10分後に剥がして接着状態を評価した。
接着力が強く、紙が破れたもの ・・・◎
接着力が十分であるもの ・・・○
接着力は実用上問題ないレベルであるが、紙が全く破れないもの ・・・△
接着力が不十分なもの ・・・×
接着力が強く、紙が破れたもの ・・・◎
接着力が十分であるもの ・・・○
接着力は実用上問題ないレベルであるが、紙が全く破れないもの ・・・△
接着力が不十分なもの ・・・×
実施例1〜14では、接着性試験、塗出性試験ともに良好な性能が得られた。
比較例1〜4では、糖類を用いなかったため、接着剤が塗布具先端部に残留して固着して、塗出しないもしくは塗出を妨害してしまい、接着力が不十分であった。
表には記載していないが、各実施例の接着剤塗布具は、使用時に接着剤の消費にともない収容筒を移動するが、その際、シリコーンで接着剤収容筒(ポリプロピレン製)内壁に塗布しているため、接着剤収容筒の内壁に付着しないので、接着剤残量が明確に確認できた。一方、実施例1の接着剤組成物を用いて、シリコーンで接着剤収容筒(ポリプロピレン製)内壁に塗布しなかったところ、接着剤が接着剤収容筒の内壁に付着してしまい、接着剤残量が分かり難かった。
また、ノック式塗布具や回転繰り出し式塗布具などの出没式塗布具では、塗布具先端部での乾燥がしやすく、残留した接着剤組成物が塗布具先端部に固着しやすいため、本発明のように、塗布具先端部で柔らかい皮膜をすばやく形成することで、接着剤の塗出を妨害することなく良好に塗出することが可能となるため、出没式塗布具では好適に用いることが可能である。
また、本実施例では、便宜上、軸筒内に、接着剤組成物を直に収容した塗布具用レフィルを収容した接着剤塗布具を例示しているが、本発明の接着剤塗布具は、軸筒を接着剤収容筒とし、軸筒内に、接着剤組成物を直に収容した直詰め式の接着剤塗布具であってもよい。また、本実施例では便宜上、線材を切削によって形成したボールペンチップを例示しているが、パイプ材を押圧加工によって形成するボールペンチップであってもよい。
本発明は接着剤塗布具として利用でき、さらに詳細としては、該接着剤組成物を充填した、キャップ式、ノック式等の接着剤塗布具として広く利用することができる。
1 接着剤塗布具
2 接着剤収容筒
3 ボールペンチップ
4 ボール
5 チップホルダー
6 接着剤組成物
7 追従体
2 接着剤収容筒
3 ボールペンチップ
4 ボール
5 チップホルダー
6 接着剤組成物
7 追従体
Claims (8)
- 少なくとも、水、粘着性樹脂、糖類からなることを特徴とする接着剤組成物。
- 前記糖類が、デキストリン、シクロデキストリン、たんぱく加水分解物であることを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
- 前記糖類が、重量平均分子量10000以上のデキストリンであることを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
- 前記粘着性樹脂の接着剤組成物全量に対する含有量をA、前記糖類の接着剤組成物全量に対する含有量をBとした場合、0.01≦B/A≦1.0の関係であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
- 前記接着剤組成物に、多価アルコールを含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
- 20℃、剪断速度1.92sec−1における接着剤組成物の粘度が、50〜5000mPa・sであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
- 接着剤収容筒の先端部に、ボールを回転自在に抱持したボールペンチップを直接又はチップホルダーを介して装着し、前記接着剤収容筒内に、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の接着剤組成物を収容してなる接着剤塗布具。
- 前記ボールの軸方向の移動量が、20μ m以上であることを特徴とする請求項7に記載の接着剤塗布具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014200779A JP2016069537A (ja) | 2014-09-30 | 2014-09-30 | 接着剤組成物及びそれを用いた接着剤塗布具 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2014200779A JP2016069537A (ja) | 2014-09-30 | 2014-09-30 | 接着剤組成物及びそれを用いた接着剤塗布具 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020084059A (ja) * | 2018-11-27 | 2020-06-04 | ヘンケルジャパン株式会社 | 水系接着剤 |
-
2014
- 2014-09-30 JP JP2014200779A patent/JP2016069537A/ja active Pending
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JP2020084059A (ja) * | 2018-11-27 | 2020-06-04 | ヘンケルジャパン株式会社 | 水系接着剤 |
JP7289637B2 (ja) | 2018-11-27 | 2023-06-12 | ヘンケルジャパン株式会社 | 水系接着剤 |
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