JP2020083984A - 粘着剤用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】光によって硬化し、優れた粘着力を示す粘着剤用組成物を提供する。【解決手段】下記(A)〜(D)成分を含有する粘着剤用組成物。(A)(メタ)アクリロイル基を1分子あたり少なくとも1個以上分子末端に有する(メタ)アクリル系重合体100重量部、(B)イソボロニルアクリレート30〜65重量部、(C)光ラジカル重合開始剤0.1〜10重量部、バルーンフィラー(D)0.07〜15重量部。【選択図】なし

Description

本発明は、光により硬化し得る(メタ)アクリル系重合体を含有する粘着剤用組成物、及び粘着剤に関する。
アクリル系粘着剤は、天然ゴム系粘着剤と並んで、大量に生産されている。しかし、溶剤型アクリル系粘着剤には溶剤による大気汚染などの問題、エマルジョン型アクリル系粘着剤には水を蒸発させるために多大なエネルギーを要するなどの問題がある。
これらの問題を解決するために、光重合性粘着剤が提案されている。しかし、この光重合性粘着剤には、多くの場合、(メタ)アクリロイル基を有する低分子化合物が用いられており、未反応化合物の硬化物中からの揮発による臭気が大きな問題となっている。そこで、臭気の問題を解決するために、(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーを使用することがあげられる。しかし、合成上の問題から分子量の大きなオリゴマーを得ることは難しい傾向にあった。
このような事情から、分子末端に(メタ)アクリロイル基を有し、分子量が大きいビニル系重合体を主成分とする粘着剤組成物が提案された(特許文献1)。しかしながら、このような組成物から得られる粘着剤の粘着力は低い傾向にあった。さらに、環式構造を有するビニル系モノマーを含有する硬化性組成物についても公開されているが(特許文献2、3)、優れた粘着力は得られない傾向にある。また、環式構造を有するモノマーとして、イソボロニルアクリレートを含有する粘着剤は非常に強い粘着力を示すが、粘着剤を貼付する基材によっては、剥離時にStick−Slip現象(粘着力が周期的に強くなったり、弱くなったりする現象であり、ビリビリ音が生じたり、粘着テープに縞状のすじが入ることがある。)が生じ、安定した粘着力が得られない傾向にあった(特許文献4)。
特開2001−55551号公報 特開2007−77182号公報 特開2015−071719号公報 WO2018/084308
本発明は、光によって硬化し、優れた粘着力かつStick−Slip現象が生じず安定した粘着力を示す粘着剤を得ることを目的とする。
本発明者らは、前記の課題を解決するために鋭意検討した結果、以下のことを見出して本発明を完成させた。
すなわち本発明は、以下の構成を有するものである。
(1)下記(A)〜(D)成分を含有する粘着剤用組成物。
一般式(1):−OC(O)C(R)=CH (1)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。)で表される基を1分子あたり少なくとも1個以上分子末端に有し、数平均分子量が3,000〜100,000かつ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.8未満である(メタ)アクリル系重合体(A)100重量部、
イソボロニルアクリレート(B)30〜65重量部
光ラジカル重合開始剤(C)0.1〜10重量部
バルーンフィラー(D)0.07〜15重量部
(2)(メタ)アクリル系重合体(A)がモノマー成分としてアクリル酸−n−ブチルとアクリル酸−2−エチルヘキシルを含む共重合体であることを特徴とする(1)に記載の粘着剤用組成物。
(3)(メタ)アクリル系重合体(A)を構成するアクリル酸−n−ブチルとアクリル酸−2−エチルヘキシルの重量比(アクリル酸−n−ブチル/アクリル酸−2−エチルヘキシル)が20/80〜80/20であることを特徴とする(2)に記載の粘着剤用組成物。
(4)バルーンフィラー(D)が無機バルーンである(1)から(3)のいずれかに記載の粘着剤用組成物。
(5)バルーンフィラー(D)がガラスバルーン、もしくは、シラスバルーンである(4)に記載の粘着剤用組成物。
(6)バルーンフィラー(D)が有機バルーンである(1)から(3)のいずれかに記載の粘着剤用組成物。
(7)(1)から(6)のいずれかに記載の粘着剤用組成物が光にて硬化した粘着剤。
(8)光源が、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、UV−LED、LEDの中から選択されたものであることを特徴とする(7)に記載の粘着剤。
本発明の粘着剤用組成物を使用することにより、光によって硬化し、優れた粘着力を示す粘着剤を得ることができる。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明の粘着剤用組成物は、一般式(1):
−OC(O)C(R)=CH (1)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。)で表される基を1分子あたり少なくとも1個以上分子末端に有し、数平均分子量が3,000〜100,000かつ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.8未満である(メタ)アクリル系重合体(A)を含有する。なお、本明細書において(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルのいずれか一方又は両方を意味する。
(メタ)アクリル系重合体(A)の1分子あたりの一般式(1)で表される基の数は、1個以上であり、硬化性向上の観点から、1.5個以上が好ましい。一方、粘着力向上の観点から、3個以下が好ましく、より好ましくは2.5個以下である。また、(メタ)アクリル系重合体(A)が有する一般式(1)で表される基は、ゴム弾性の観点から少なくとも分子末端に存在することが好ましい。(メタ)アクリロイル系重合体(A)が有する分子末端の一般式(1)で表される基の数は、硬化性と粘着力の観点から、1個以上、2個以下が好ましい。
一般式(1)中のRの具体例としては、特に限定されないが、例えば、−H、−CH、−CHCH、−(CHCH(nは2〜19の整数を表す。)、−C、−CHOH、−CNなどがあげられる。反応性の点から、−H、−CHが好ましい。
(メタ)アクリル系重合体(A)の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した場合に、3,000〜100,000であり、30,000〜80,000が好ましい。分子量が低くなりすぎると、硬化物の柔軟性が損なわれ、伸びが低下するなど十分なゴム弾性が得られなくなる。一方、高くなりすぎると、粘度が高くなり取扱いが困難になる傾向がある。
(メタ)アクリル系重合体(A)の分子量分布(GPCで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn))は、1.8未満であり、好ましくは1.7以下であり、さらに好ましくは1.6以下であり、よりさらに好ましくは1.5以下であり、特に好ましくは1.4以下であり、最も好ましくは1.3以下である。分子量分布が大きすぎると、得られる硬化物の機械物性のコントロールが困難になる傾向にある。本発明でのGPC測定は、移動相としてクロロホルムを用い、測定はポリスチレンゲルカラムにて行い、数平均分子量等はポリスチレン換算で求めることができる。
(メタ)アクリル系重合体(A)の主鎖を構成する(メタ)アクリル系モノマーとしては、特に限定されないが、各種のモノマーを用いることができる。例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどの(メタ)アクリル酸エステルがあげられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても良い。なかでも、得られる粘着剤が優れた粘着力を示すことから、(メタ)アクリル系重合体(A)はモノマー成分としてアクリル酸−n−ブチル、及び/又は、アクリル酸−2−エチルヘキシルを含むことが好ましく、(メタ)アクリル系重合体(A)はモノマー成分としてアクリル酸−n−ブチルとアクリル酸−2−エチルヘキシルを含む共重合体であることがさらに好ましい。アクリル酸−n−ブチルとアクリル酸−2−エチルヘキシルを含む共重合体である場合、より優れた粘着力が得られる点から、(メタ)アクリル系重合体(A)を構成するアクリル酸−n−ブチルとアクリル酸−2−エチルヘキシルの重量比(アクリル酸−n−ブチル/アクリル酸−2−エチルヘキシル)は20/80〜80/20が好ましい。
(メタ)アクリル系重合体(A)は、種々の重合法により得ることができ、特に限定されないが、モノマーの汎用性、制御の容易性などの点から、ラジカル重合法が好ましく、ラジカル重合の中でも、制御ラジカル重合がより好ましい。この制御ラジカル重合法は、「連鎖移動剤法」と「リビングラジカル重合法」とに分類することができる。得られる(メタ)アクリル系重合体(A)の分子量、分子量分布の制御が容易であるリビングラジカル重合がさらに好ましく、原料の入手性、重合体末端への官能基導入の容易さから、原子移動ラジカル重合が特に好ましい。上記ラジカル重合、制御ラジカル重合、連鎖移動剤法、リビングラジカル重合法、原子移動ラジカル重合は、公知の重合法ではあるが、これら各重合法については、例えば、特開2005−232419公報や特開2006−291073公報などの記載を参照できる。
(メタ)アクリル系重合体(A)の好ましい合成法の一つである原子移動ラジカル重合については、例えば、特開2016−88944公報の段落[0054]〜[0080]を挙げることができる。
(メタ)アクリル系重合体(A)の一般式(1)で表される基の導入方法としては、例えば、特開2016−88944公報の段落[0081]〜[0087]を挙げることができる。
本発明の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系重合体(A)100重量部に対し、イソボロニルアクリレート(B)30〜65重量部含有する。この範囲を下回ると十分な効果が得られず、優れた粘着力が得られない傾向があり、この範囲を上回ると粘着剤が硬くなり過ぎ、優れた粘着力が得られない傾向にある。イソボロニルアクリレート(B)の配合量の下限値は35重量部以上が好ましく、45重量部以上がより好ましく、50重量部以上がさらに好ましい。イソボロニルアクリレート(B)の配合量の上限値は64重量部以下が好ましく、62重量部以下がより好ましく、60重量部以下がさらに好ましい。
本発明ではイソボロニルアクリレートを前記範囲で含有することによって、特異的に優れた粘着力を発揮することができる。イソボロニルアクリレートの代わりに、他のアクリレートエステルを配合しても本発明と同等の粘着力は達成することができない。イソボロニルアクリレートによりこの優れた粘着力を発現する機構は、粘着剤用組成物より得られる硬化物中で(メタ)アクリル系重合体(A)が形成するドメイン、イソボロニルアクリレートの重合体が形成するドメイン、及び、(メタ)アクリル系重合体(A)とイソボロニルアクリレート(B)の重合体が形成するドメインが存在しており、この特異なモルフォロジーによって該硬化物が高強度および高伸び化しているためと推定される。
本発明の粘着剤用組成物は、光ラジカル重合開始剤(C)を含有する。光ラジカル重合開始剤(C)としては、特に限定されないが、例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、キサントール、フルオレイン、ベンズアルデヒド、アンスラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−メチルアセトフェノン、3−ペンチルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−メトキシアセトフェン、3−ブロモアセトフェノン、4−アリルアセトフェノン、p−ジアセチルベンゼン、3−メトキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−クロロ−4’−ベンジルベンゾフェノン、3−クロロキサントーン、3,9−ジクロロキサントーン、3−クロロ−8−ノニルキサントーン、ベンゾイル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、ベンジルメトキシケタール、2−クロロチオキサントーン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1などがあげられる。これらの中でも、タック改善性があるという点で、フェニルケトン系化合物が好ましい。
また、UV照射時の深部硬化性に優れるアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤も配合することができる。アシルホスフィンオキサイド系重合開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−イソブチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−イソブチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられ、好ましくは、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイドである。上記の光ラジカル重合開始剤は、単独で用いてもよく2種以上を混合して用いても良い。なかでも、反応性が高いことから、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドが好ましい。
本発明の粘着剤用組成物では、上記アシルホスフィンオキサイド、および、フェニルケトン系化合物を併用することもできる。
本発明の粘着剤用組成物は、(メタ)アクリル系重合体(A)100重量部に対し、光ラジカル重合開始剤(C)0.1重量部〜10重量部含有する。光ラジカル重合開始剤(C)の含有量が、この範囲を下回ると、十分な硬化性が得られない可能性が有り、また、含有量がこの範囲を上回ると硬化物に影響を及ぼす可能性がある。なお、光重合開始剤(C)の混合物が使用される場合には、混合物の合計量が上記範囲内にあることが好ましい。
本発明の粘着剤組成物は、バルーンフィラー(D)を0.07〜15重量部含有する。バルーンフィラーは、球状体充填剤で内部が中空のものである。このバルーンフィラーの材料としては、ガラス、シラス、シリカなどの無機バルーン、および、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリスチレン、サランなどの有機バルーンがあげられる。また、バルーンフィラーは、その表面を加工ないしコーティングしたものを使用することもできる。たとえば、有機系のバルーンを炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどでコーティングしたり、無機系のバルーンをシランカップリング剤で表面処理することなどがあげられる。
バルーンフィラー(D)としては、特に限定されず、無機バルーン、有機バルーンを使用することができ、なかでも、扱い易さの観点から、ガラスバルーン、シラスバルーンが好ましい。
バルーンフィラーを含有することにより、粘着剤をポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン基材から剥離する際、Stick−Slip現象が生じず、安定した粘着力が得られるようになる。バルーンフィラーを含有することにより、粘着剤の剥離先端の形状が変化し、Stick−Slip現象が生じなくなると推定できる。これまで、バルーンフィラーでは、炭酸カルシウムやシリカなどの汎用的なフィラーと同様の効果、すなわち、機械強度、耐摩耗性の向上などの効果しか得られていなかったが、本発明では、バルーンフィラーによる新たな効果を見出した。
本発明の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系重合体(A)100重量部に対し、バルーンフィラー(D)0.07〜15重量部含有する。バルーンフィラー(D)の含有量が、この範囲を下回ると、Stick−Slip現象改善の効果が得られなくなる可能性が有り、また、含有量がこの範囲を上回ると組成物の硬化性を低下させる可能性がある。なお、バルーンフィラー(D)の混合物が使用される場合には、混合物の合計量が上記範囲内にあることが好ましい。
本発明の粘着剤用組成物はさらに、従来の粘着剤に使用される公知乃至慣用のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、粘着付与樹脂、可塑剤、チクソ性付与剤、酸化防止剤、UV安定剤等、を挙げることができる。
本発明の粘着剤用組成物は、例えば、各構成成分を配合し、必要に応じて混合や脱泡することにより得ることができる。
本発明の粘着剤用組成物の硬化は、光により、硬化させることができる。光源としては、特に限定されないが、使用する光ラジカル重合開始剤の性質に応じて、例えば、低圧水銀ランプ、冷陰極蛍光管(CCFL)、蛍光灯、白熱電球、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、ガリウムランプ、タングステンランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ、ジルコニウムランプ、フィールドエミッションランプ、紫外線エキシマ蛍光ランプ、有機EL、LED、UV−LEDなどがあげられる。その中でも、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、UV−LED、LEDであることが取り扱いのし易さや経済性の理由で好ましい。
コンベアでサンプルを搬送する光照射装置を使用する場合、ピーク照度は、1〜10,000mW/cmが好ましく、10〜5,000mW/cmが好ましく、100〜3,000mW/cmが好ましい。この範囲を下回ると粘着剤組成物の硬化不良が生じる可能性があり、この範囲を上回ると得られる粘着剤の粘着特性が低下する懸念がある。また、積算光量は、10〜10,000mJ/cmが好ましく、100〜5,000mJ/cmが好ましく、500〜3,000mJ/cmが好ましい。この範囲を下回ると粘着剤組成物の硬化不良が生じる傾向があり、この範囲を上回ると粘着剤組成物を塗布した基材に影響を与える可能性がある。
本発明の粘着剤用組成物は、光によって硬化し、優れた粘着力を示す粘着剤となる。粘着力の測定方法としては、例えば、JISZ0237に記載の剥離試験の方法などをあげることができるが、粘着剤の使用目的にあった方法を採用することができる。
本発明の粘着剤は、特に限定されないが、例えば、UV硬化型粘着剤(Optical Clear Resin:OCR)、光学粘着シート(Optically Clear Adhesive:OCA)、電子機器用粘着剤、医療用粘着剤、自動車用粘着剤、建築用粘着剤などとして、使用することができる。
以下に、本発明の具体的な実施例を比較例と併せて説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
(合成例1)
公知の方法(特開2012−211216号公報記載)に従い、臭化第一銅を触媒、ペンタメチルジエチレントリアミンを配位子、ジエチル−2,5−ジブロモアジペートを開始剤、アクリル酸−n−ブチル50部とアクリル酸−2−エチルヘキシルが50部の混合物をモノマーとし、モノマー/(ジエチル−2,5−ジブロモアジペート)比を400にして重合し、末端臭素基ポリ(アクリル酸n−ブチル)/(アクリル酸2-エチルへキシル)共重合体を得た。
この重合体をN,N−ジメチルアセトアミドに溶解させ、アクリル酸カリウムを加え、窒素雰囲気下、70℃で加熱攪拌した。この混合液中のN,N−ジメチルアセトアミドを減圧留去したのち、残渣に酢酸ブチルを加えて、不溶分を濾過により除去した。濾液の酢酸ブチルを減圧留去して、両末端にアクリロイル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル)/(アクリル酸2-エチルへキシル)共重合体(A1)を得た。
重合体(A1)の数平均分子量は約60,000、分子量分布は1.4であった。なお、「数平均分子量」および「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。ただし、GPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(shodex GPC K−804、K−802.5;昭和電工社製)を、GPC溶媒としてクロロホルムを用いた。
重合体1分子当たりに導入された平均のアクリロイル基の数をH−NMR分析により求めたところ約1.9個であった。なお、重合体1分子当たりに導入された官能基数は、H−NMRによる濃度分析、および、GPCにより求まる数平均分子量を基に算出した。ただしNMRはBruker社製ASX−400を使用し、溶媒として重クロロホルムを用いて23℃にて測定した。
(実施例1〜8)
合成例1で得られた重合体(A1)、イソボロニルアクリレート、光ラジカル重合開始剤、バルーンフィラーをディスポカップに加え、スパチュラにてよく撹拌し、シンキー製あわとり練太郎ARE−310にて、撹拌および脱泡を行い、粘着剤用組成物を得た。
幅25mm、長さ200mm、厚さ100μmのアルミ箔を内寸が幅25mm、長さ125mm、厚さ2mmのテフロン製型枠の底に置き、得られた組成物を流し込んだ。静置することにより、脱泡を行った後、組成物に幅25mm、長さ150mm、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(フジコー製CA01)を貼付した。
ポリエチレンテレフタレートフィルムを貼付した状態で、フュージョンUVシステム製UV照射装置(機種:LIGHT HAMMER 6、光源:水銀灯ランプ)にてUV光を照射し、組成物を硬化させることによって、片面に裏打ち材としてアルミ箔が貼付された粘着テープを作製した。
得られた粘着テープをポリプロピレン製の試験片(エンジニアリングテストサービス製)に6kgの圧着ローラーを用いて貼付した。貼付から3日後に、島津製オートグラフ(AG−2000A)を用いて、23℃、55RH、剥離速度300mm/minの条件で、90°剥離試験を行い、粘着力を測定した。
粘着剤用組成物の配合量、および、剥離試験の結果を表1に記載する。なお、表中の剥離状態の評価では、Stick−Slip現象が生じない場合は〇、生じる場合は×とした。
Figure 2020083984
(比較例1〜8)
合成例1で得られた重合体(A1)、イソボロニルアクリレート、光ラジカル開始剤、バルーンフィラー、もしくは、バルーン形状でないフィラーを使用し、実施例1〜8と同様の方法にて、粘着剤を作製し、90°剥離試験を行った。
粘着剤用組成物の配合量、および、剥離試験、剥離状態の結果を表2に記載する。
Figure 2020083984
実施例1から8に記載の粘着剤用組成物は、Stick−Slip現象を示さず、安定した粘着力を示すことが明らかである。

Claims (8)

  1. 下記(A)〜(D)成分を含有する粘着剤用組成物。
    一般式(1):
    −OC(O)C(R)=CH (1)
    (式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。)で表される基を1分子あたり少なくとも1個以上分子末端に有し、数平均分子量が3,000〜100,000かつ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.8未満である(メタ)アクリル系重合体(A)100重量部、
    イソボロニルアクリレート(B)30〜65重量部
    光ラジカル重合開始剤(C)0.1〜10重量部
    バルーンフィラー(D)0.07〜15重量部
  2. (メタ)アクリル系重合体(A)がモノマー成分としてアクリル酸−n−ブチルとアクリル酸−2−エチルヘキシルを含む共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の粘着剤用組成物。
  3. (メタ)アクリル系重合体(A)を構成するアクリル酸−n−ブチルとアクリル酸−2−エチルヘキシルの重量比(アクリル酸−n−ブチル/アクリル酸−2−エチルヘキシル)が20/80〜80/20であることを特徴とする請求項2に記載の粘着剤用組成物。
  4. バルーンフィラー(D)が無機バルーンである請求項1から3のいずれかに記載の粘着剤用組成物。
  5. バルーンフィラー(D)がガラスバルーン、もしくは、シラスバルーンである請求項4に記載の粘着剤用組成物。
  6. バルーンフィラー(D)が有機バルーンである請求項1から3のいずれかに記載の粘着剤用組成物。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の粘着剤用組成物が光にて硬化した粘着剤。
  8. 光源が、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、UV−LED、LEDの中から選択されたものであることを特徴とする請求項7に記載の粘着剤。
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