JP2012122022A - 粘着剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】活性エネルギー線によって硬化し、優れた粘着力を示す粘着剤組成物を提供する。
【解決手段】下記(A)〜(D)成分を含有する粘着剤組成物(A)一般式(1):−OC(O)C(R1)=CH2(1)(式中、R1は水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。)で表される基を、1分子あたり少なくとも1個以上分子末端に有する(メタ)アクリル系重合体(B)(メタ)アクリロイル基を有し、分子量が2,000以下であるモノマー、および/または、数平均分子量が2,000以下であるオリゴマー(C)光重合開始剤(D)Hoy法で求めた溶解度パラメーター(SP値)が8.60〜9.40である粘着付与樹脂
【選択図】なし
【解決手段】下記(A)〜(D)成分を含有する粘着剤組成物(A)一般式(1):−OC(O)C(R1)=CH2(1)(式中、R1は水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。)で表される基を、1分子あたり少なくとも1個以上分子末端に有する(メタ)アクリル系重合体(B)(メタ)アクリロイル基を有し、分子量が2,000以下であるモノマー、および/または、数平均分子量が2,000以下であるオリゴマー(C)光重合開始剤(D)Hoy法で求めた溶解度パラメーター(SP値)が8.60〜9.40である粘着付与樹脂
【選択図】なし
Description
本発明は、活性エネルギー線により硬化し得る(メタ)アクリル系重合体含有粘着剤組成物に関する。
アクリル系粘着剤は、天然ゴム系粘着剤と並んで、大量に生産されている。しかし、溶剤型アクリル系粘着剤には溶剤による大気汚染などの問題、エマルジョン型アクリル系粘着剤には水を蒸発させるために多大なエネルギーを要するなどの問題がある。
これらの問題を解決するために、光重合性粘着剤が提案されている。しかし、この光重合性組成物には、多くの場合、(メタ)アクリロイル基を有する低分子化合物が用いられており、未反応化合物の硬化物中からの揮発による臭気が大きな問題となっている。そこで、臭気の問題を解決するために、(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーを使用することがあげられる。しかし、合成上の問題から分子量の大きなオリゴマーを得ることは難しい傾向にあった。
このような事情から、分子末端に(メタ)アクリロイル基を有し、分子量が大きいビニル系重合体を主成分とする粘着剤組成物が提案された(特許文献1)。しかしながら、このような組成物から得られる粘着剤の粘着力は低い傾向にあった。また、粘着力を強くする簡便な方法として、組成物に粘着付与樹脂を配合する方法があげられるが、ビニル系重合体と相溶する粘着付与樹脂はあまり知られておらず、粘着付与樹脂による粘着力の向上は困難であった。
本発明は、(メタ)アクリル系重合体を含有する粘着剤組成物であって、(メタ)アクリル系重合体と相溶する粘着付与樹脂を配合することにより、粘着力に優れた粘着剤を与える粘着剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記の課題を解決するために鋭意検討した結果、以下のことを見出して本発明を完成させた。
すなわち本発明は、
(I)
下記(A)〜(D)成分を含有する粘着剤組成物。
(A)一般式(1):
−OC(O)C(R1)=CH2 (1)
(式中、R1は水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。)で表される基を、1分子あたり少なくとも1個以上分子末端に有する(メタ)アクリル系重合体
(B)(メタ)アクリロイル基を有し、分子量が2,000以下であるモノマー、および/または、数平均分子量が2,000以下であるオリゴマー
(C)光重合開始剤
(D)Hoy法で求めた溶解度パラメーター(SP値)が8.60〜9.40である粘着付与樹脂
(I)
下記(A)〜(D)成分を含有する粘着剤組成物。
(A)一般式(1):
−OC(O)C(R1)=CH2 (1)
(式中、R1は水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。)で表される基を、1分子あたり少なくとも1個以上分子末端に有する(メタ)アクリル系重合体
(B)(メタ)アクリロイル基を有し、分子量が2,000以下であるモノマー、および/または、数平均分子量が2,000以下であるオリゴマー
(C)光重合開始剤
(D)Hoy法で求めた溶解度パラメーター(SP値)が8.60〜9.40である粘着付与樹脂
(II)
前記(B)成分が分子量500以下の(メタ)アクリルモノマー(b1)である(I)に記載の粘着剤組成物。
前記(B)成分が分子量500以下の(メタ)アクリルモノマー(b1)である(I)に記載の粘着剤組成物。
(III)
(メタ)アクリル系重合体(A)100重量部に対し、前記(B)成分を1〜50重量部含有する(I)、または、(II)のいずれかに記載の粘着剤組成物。
(メタ)アクリル系重合体(A)100重量部に対し、前記(B)成分を1〜50重量部含有する(I)、または、(II)のいずれかに記載の粘着剤組成物。
(IV)
前記(C)成分が光ラジカル開始剤(c1)である(I)から(III)のいずれかに記載の粘着剤組成物。
前記(C)成分が光ラジカル開始剤(c1)である(I)から(III)のいずれかに記載の粘着剤組成物。
(V)
(メタ)アクリル系重合体(A)100重量部に対し、前記(C)成分を0.001から10重量部含有する(I)から(IV)のいずれかに記載の粘着剤組成物。
(メタ)アクリル系重合体(A)100重量部に対し、前記(C)成分を0.001から10重量部含有する(I)から(IV)のいずれかに記載の粘着剤組成物。
(VI)
前記(D)成分がテルペンフェノール樹脂である(I)から(V)のいずれかに記載の粘着剤組成物。
前記(D)成分がテルペンフェノール樹脂である(I)から(V)のいずれかに記載の粘着剤組成物。
(VII)
(メタ)アクリル系重合体(A)100重量部に対し、前記(D)成分を5〜50重量部含有する(I)から(VI)のいずれかに記載の粘着剤組成物。
(メタ)アクリル系重合体(A)100重量部に対し、前記(D)成分を5〜50重量部含有する(I)から(VI)のいずれかに記載の粘着剤組成物。
(VIII)
(メタ)アクリル系重合体(A)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.8未満である(I)から(VII)のいずれかに記載の粘着剤組成物。
(メタ)アクリル系重合体(A)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.8未満である(I)から(VII)のいずれかに記載の粘着剤組成物。
(IX)
(メタ)アクリル系重合体(A)の主鎖がリビングラジカル重合により製造されたものである(I)から(VIII)に記載の粘着剤組成物。
(メタ)アクリル系重合体(A)の主鎖がリビングラジカル重合により製造されたものである(I)から(VIII)に記載の粘着剤組成物。
(X)
前記リビングラジカル重合が原子移動ラジカル重合である(IX)に記載の粘着剤組成物。
前記リビングラジカル重合が原子移動ラジカル重合である(IX)に記載の粘着剤組成物。
(XI)
前記原子移動ラジカル重合の触媒である遷移金属錯体が銅の錯体である(X)に記載の粘着剤組成物。
前記原子移動ラジカル重合の触媒である遷移金属錯体が銅の錯体である(X)に記載の粘着剤組成物。
(XII)
(メタ)アクリル系重合体(A)の主鎖が、連鎖移動剤を用いた(メタ)アクリル系モノマーの重合により製造されたものである(I)から(VIII)のいずれかに記載の粘着剤組成物。
(メタ)アクリル系重合体(A)の主鎖が、連鎖移動剤を用いた(メタ)アクリル系モノマーの重合により製造されたものである(I)から(VIII)のいずれかに記載の粘着剤組成物。
(XIII)
(メタ)アクリル系重合体(A)の主鎖が(メタ)アクリル酸エステルを主として重合し、製造されたものである(I)から(XII)のいずれかに記載の粘着剤組成物。
(メタ)アクリル系重合体(A)の主鎖が(メタ)アクリル酸エステルを主として重合し、製造されたものである(I)から(XII)のいずれかに記載の粘着剤組成物。
(XIV)
(メタ)アクリル系重合体(A)の主鎖がアクリル酸エステルを主として重合し、製造されたものである(XIII)に記載の粘着剤組成物。
(メタ)アクリル系重合体(A)の主鎖がアクリル酸エステルを主として重合し、製造されたものである(XIII)に記載の粘着剤組成物。
(XV)
(メタ)アクリル系重合体(A)の数平均分子量が3,000〜100,000である(I)から(XIV)のいずれかに記載の粘着剤組成物。
(メタ)アクリル系重合体(A)の数平均分子量が3,000〜100,000である(I)から(XIV)のいずれかに記載の粘着剤組成物。
(XVI)
(I)から(XV)のいずれかに記載の粘着剤組成物に活性エネルギー線を照射させることにより得られる粘着剤。
(I)から(XV)のいずれかに記載の粘着剤組成物に活性エネルギー線を照射させることにより得られる粘着剤。
本発明の粘着剤組成物を使用することにより、活性エネルギー線によって硬化し、優れた粘着力を示す粘着剤を得ることができる。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明の粘着剤組成物は、一般式(1):
−OC(O)C(R1)=CH2 (1)
(式中、R1は水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。)で表される基(以下、(メタ)アクリロイル系置換基と記載する場合もある。)を、1分子あたり少なくとも1個以上分子末端に有する(メタ)アクリル系重合体(A)を含有する。
−OC(O)C(R1)=CH2 (1)
(式中、R1は水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。)で表される基(以下、(メタ)アクリロイル系置換基と記載する場合もある。)を、1分子あたり少なくとも1個以上分子末端に有する(メタ)アクリル系重合体(A)を含有する。
重合体(A)の(メタ)アクリロイル系置換基の数は、特に限定されないが、重合体(A)同士が架橋するという点から、1分子あたり1個未満であると硬化性が低くなる傾向があるため、1個以上が好ましい。また、(メタ)アクリロイル系置換基は分子の側鎖、および/または、末端のいずれに存在していてもかまわないが、ゴム弾性の点から、分子の末端に存在することが好ましい。(メタ)アクリロイル系置換基のR1の具体例としては、特に限定されないが、例えば、−H、−CH3、−CH2CH3、−(CH2)nCH3(nは2〜19の整数を表す。)、−C6H5、−CH2OH、−CNなどがあげられる。反応性の観点から、−H、−CH3が好ましい。
重合体(A)の主鎖を構成する(メタ)アクリル系モノマーとしては、特に限定されないが、各種のモノマーを用いることができる。例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどの(メタ)アクリル酸エステルがあげられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても良い。なかでも、生成物の物性などから、アクリル酸エステル、および、メタクリル酸エステルが好ましく、アクリル酸エステルがより好ましく、さらに好ましくは、アクリル酸ブチルである。本発明においては、これらの好ましいモノマーを他のモノマーと共重合させても良く、その際は、これらの好ましいモノマーが重量比で40%以上含まれていることが好ましい。
重合体(A)の分子量分布[ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比]は、特に限定されないが、好ましくは1.8未満であり、さらに好ましくは1.7以下であり、より好ましくは1.6以下であり、特に好ましくは1.5以下であり、特別に好ましくは1.4以下であり、最も好ましくは1.3以下である。なお、本発明におけるGPC測定の際には、通常は、クロロホルム、または、テトラヒドロフランなどを移動相として、ポリスチレンゲルカラムなどを使用し、分子量の値はポリスチレン換算値などで求めている。
重合体(A)の数平均分子量は、特に限定されないが、500〜1,000,000の範囲が好ましく、3,000〜100,000がより好ましく、5,000〜80,000がさらに好ましく、8,000〜50,000が最も好ましい。分子量が低くなり過ぎると、ビニル系重合体の本来の特性が発現されにくい傾向があり、高くなり過ぎると、取扱いが困難になる傾向がある。
重合体(A)は、種々の重合法により得ることができ、特に限定されないが、モノマーの汎用性、制御の容易性などの点から、ラジカル重合法が好ましく、ラジカル重合の中でも、制御ラジカル重合がより好ましい。この制御ラジカル重合法は、「連鎖移動剤法」と「リビングラジカル重合法」とに分類することができる。得られる重合体(A)の分子量、分子量分布の制御が容易であるリビングラジカル重合がさらに好ましく、原料の入手性、重合体末端への官能基導入の容易さから、原子移動ラジカル重合が特に好ましい。上記ラジカル重合、制御ラジカル重合、連鎖移動剤法、リビングラジカル重合法、原子移動ラジカル重合は、公知の重合法ではあるが、これら各重合法については、例えば、特開2005−232419公報や特開2006−291073公報などの記載を参照できる。
本発明における重合体(A)の好ましい合成法の一つである原子移動ラジカル重合について以下に簡単に説明する。
原子移動ラジカル重合では、有機ハロゲン化物、特に、反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有するカルボニル化合物やベンジル位にハロゲンを有する化合物)、あるいは、ハロゲン化スルホニル化合物などが開始剤として用いられることが好ましい。具体的には特開2005−232419公報段落[0040]〜[0064]記載の化合物があげられる。
重合体(A)の末端構造を1分子内に2つ以上有する(メタ)アクリル系重合体を得るためには、2つ以上の開始点を持つ有機ハロゲン化物、または、ハロゲン化スルホニル化合物を開始剤として用いるのが好ましい。具体的に例示するならば、
などがあげられる。
原子移動ラジカル重合において用いられる(メタ)アクリル系モノマーとしては特に制約はなく、上述した(メタ)アクリル系モノマーをすべて用いることができる。
重合触媒として用いられる遷移金属錯体としては、特に限定されないが、好ましくは周期律表第7族、8族、9族、10族、または、11族元素を中心金属とする金属錯体であり、より好ましくは0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄、または、2価のニッケルを中心金属とする遷移金属錯体、特に好ましくは、銅の錯体があげられる。銅の錯体を形成するために使用される1価の銅化合物を具体的に例示すると、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅などである。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために2,2’−ビピリジル、もしくは、その誘導体、1,10−フェナントロリン、もしくは、その誘導体、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、もしくは、ヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミンなどのポリアミンが配位子として添加される。
重合反応は、無溶媒でも可能であるが、各種の溶媒中で行うこともできる。溶媒の種類としては、特に限定されず、特開2005−232419公報段落[0067]記載の溶剤があげられる。これらは、単独でも良く、2種以上を併用しても良い。また、エマルジョン系、もしくは、超臨界流体CO2を媒体とする系においても重合を行うことができる。
重合温度は、特に限定されないが、0〜200℃の範囲で行うことができ、好ましくは、室温〜150℃の範囲である。
得られた重合体(A)への(メタ)アクリロイル系置換基の導入方法としては、公知の方法を利用することができる。例えば、特開2004−203932公報段落[0080]〜[0091]記載の方法があげられる。これらの方法の中でも、制御がより容易であることから、下記一般式(2)の(メタ)アクリル系重合体の末端ハロゲン基を、下記一般式(3)のラジカル重合性の(メタ)アクリロイル系置換基を有する化合物で置換することにより、製造されたものであることが好ましい。
一般式(2):
−CR2R3X (2)
(式中、R2、R3は、(メタ)アクリル系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基。Xは、塩素、臭素、または、ヨウ素を表す。)
一般式(3):
M+−OC(O)C(R1)=CH2 (3)
(式中、R1は上記と同じ。M+はアルカリ金属、または、4級アンモニウムイオンを表す。)
一般式(2)で表される末端構造を有する(メタ)アクリル系重合体は、上述した有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属錯体を触媒として(メタ)アクリル系モノマーを重合する方法、あるいは、ハロゲン化合物を連鎖移動剤として(メタ)アクリル系モノマーを重合する方法により製造されるが、好ましくは前者である。
一般式(2):
−CR2R3X (2)
(式中、R2、R3は、(メタ)アクリル系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基。Xは、塩素、臭素、または、ヨウ素を表す。)
一般式(3):
M+−OC(O)C(R1)=CH2 (3)
(式中、R1は上記と同じ。M+はアルカリ金属、または、4級アンモニウムイオンを表す。)
一般式(2)で表される末端構造を有する(メタ)アクリル系重合体は、上述した有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属錯体を触媒として(メタ)アクリル系モノマーを重合する方法、あるいは、ハロゲン化合物を連鎖移動剤として(メタ)アクリル系モノマーを重合する方法により製造されるが、好ましくは前者である。
一般式(3)で表される化合物としては、特に限定されないが、R1の具体例としては、上記と同じものがあげられる。
M+はオキシアニオンの対カチオンであり、M+の種類としては、アルカリ金属イオン、具体的には、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、および、4級アンモニウムイオンがあげられる。4級アンモニウムイオンとしては、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラベンジルアンモニウムイオン、トリメチルドデシルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、および、ジメチルピペリジニウムイオンなどがあげられ、好ましくは、ナトリウムイオン、カリウムイオンである。一般式(3)のオキシアニオンの使用量は、一般式(2)のハロゲン基に対して、好ましくは1〜5当量、さらに好ましくは、1.0〜1.2当量である。この反応を実施する溶媒としては、特に限定されないが、求核置換反応であるため極性溶媒が好ましく、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、アセトニトリルなどが用いられる。反応を行う温度は限定されないが、一般に0〜150℃であり、重合性の末端基を保持するために、室温〜100℃で行うことが好ましい。
本発明の粘着剤組成物は、(メタ)アクリロイル基を有し、分子量が2,000以下であるモノマー、および/または、数平均分子量が2,000以下であるオリゴマー(B)を含有する。
上記のモノマーの具体例としては、(メタ)アクリレート系モノマー、環状アクリレート、N−ビニルピロリドン、スチレン系モノマー、アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、アクリルアミド系モノマー、共役ジエン系モノマー、ビニルケトン系モノマーなどがあげられる。(メタ)アクリレート系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニルや下式の化合物などをあげることができる。
多官能モノマーとしては、ネオペンチルグリコールポリプロポキシジアクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリアクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジアクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジアクリレート、ジペンタエリスリトールポリヘキサノリドヘキサクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートポリヘキサノリドトリアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート2−(2−アクリロイルオキシ−1,1−ジメチル)−5−エチル−5−アクリロイルオキシメチル−1,3−ジオキサン、テトラブロモビスフェノールAジエトキシジアクリレート、4,4−ジメルカプトジフェニルサルファイドジメタクリレート、ポリテトラエチレングリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレートなどがあげられる。
オリゴマーとしては、ビスフェノールA型エポキシアクリレート樹脂、フェノールノボラック型エポキシアクリレート樹脂、クレゾールノボラック型エポキシアクリレート樹脂などのエポキシアクリレート系樹脂、COOH基変性エポキシアクリレート系樹脂、ポリオール(ポリテトラメチレングリコール、エチレングリコールとアジピン酸のポリエステルジオール、ε−カプロラクトン変性ポリエステルジオール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端水添ポリイソプレン、水酸基末端ポリブタジエン、水酸基末端ポリイソブチレンなど)と有機イソシアネート(トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなど)から得られたウレタン樹脂を水酸基含有(メタ)アクリレート{ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートなど}を反応させて得られたウレタンアクリレート系樹脂、上記ポリオールにエステル結合を介して(メタ)アクリル基を導入した樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂などがあげられる。
上記(B)成分のなかでも、反応性や粘度低減による作業性の観点から、分子量500以下の(メタ)アクリルモノマー(b1)が好ましい。(b1)成分としては、特に限定されないが、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアミド、スチレン、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、メチロールアクリルアミド、グリシジルメタクリレート、無水マレイン酸、エチルカルビトールアクリレート、ラウリルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリシクロデカニルオキシエチルアクリレート、イソボロニルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、メトキシプロピレンアクリレート、テトラヒドロフリルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシジエチレングリコール、ノニルフェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシエチルアクリレートなどがあげられる。
(B)成分の使用量としては、表面硬化性の向上、タフネスの付与、粘度低減による作業性の観点から、重合体(A)100重量部に対し、1〜50重量部が好ましく、10〜30重量部がより好ましい。使用量がこれよりも少ない場合は、十分な効果が得られない傾向があり、より多い場合は、未反応の(B)成分が硬化物中から揮発する可能性がある。
本発明の粘着剤組成物は、光重合開始剤(C)を含有する。光重合開始剤(C)としては、特に限定されないが、光によりラジカルを発生するラジカル開始剤、光アニオン開始剤、近赤外光重合開始剤、レドックス系開始剤などがあげられる。これらの中では、反応性の点から光ラジカル開始剤(c1)が好ましい。
光ラジカル開始剤(c1)としては、特に限定されないが、例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、キサントール、フルオレイン、ベンズアルデヒド、アンスラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−メチルアセトフェノン、3−ペンチルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−メトキシアセトフェン、3−ブロモアセトフェノン、4−アリルアセトフェノン、p−ジアセチルベンゼン、3−メトキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−クロロ−4’−ベンジルベンゾフェノン、3−クロロキサントーン、3,9−ジクロロキサントーン、3−クロロ−8−ノニルキサントーン、ベンゾイル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、ベンジルメトキシケタール、2−クロロチオキサントーン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1などがあげられる。これらの中でも、タック改善性があるという点で、フェニルケトン系化合物が好ましい。
また、UV照射時の深部硬化性に優れるアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤も配合することができる。アシルホスフィンオキサイド系重合開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−イソブチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−イソブチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられ、好ましくは、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイドである。上記の光ラジカル開始剤は、単独で用いてもよく2種以上を混合して用いても良い。なかでも、反応性が高いことから、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドが好ましい。
本発明の粘着剤組成物では、上記アシルホスフィンオキサイド、および、フェニルケトン系化合物を併用することもできる。
光重合開始剤(C)の添加量は、特に制限されないが、重合体(A)100重量部に対し、0.001重量部から10重量部が好ましい。光重合開始剤(C)の添加量が、この範囲を下回ると、十分な硬化性が得られない可能性が有り、また、添加量がこの範囲を上回ると硬化物に影響を及ぼす可能性がある。なお、光重合開始剤(C)の混合物が使用される場合には、混合物の合計量が上記範囲内にあることが好ましい。
本発明の粘着剤組成物は、Hoy法で求めた溶解度パラメーター(SP値)が8.60〜9.40の粘着付与樹脂(D)を含有する。粘着付与樹脂(D)としては、例えば、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、スチレン樹脂があげられ、具体的には、芳香族変性テルペン樹脂としてはYSレジンTO、YSレジンTR、テルペンフェノール樹脂としてはYSポリスターU、YSポリスターT、YSポリスターS、マイティエースG、YSポリスターN、マイティエースK、スチレン樹脂としてはYSレジンSXがあげられる。
これらの中では、粘着剤の粘着力の観点から、YSポリスターS、マイティエースG、YSポリスターNなどのテルペンフェノール樹脂が好ましい。これら粘着付与樹脂は(D)成分として、二種類以上を併用しても良い。
(D)成分の使用量としては、重合体(A)100重量部に対し、5〜50重量部が好ましく、10〜30重量部がより好ましい。使用量がこの範囲を下回ると、十分な効果が得られない可能性が有り、また、この範囲を上回ると、作業性が低下する傾向がある。
本発明の粘着剤組成物は、ラジカル捕捉剤を含有していても良い。ここで言うラジカル捕捉剤とは、一般に、酸化防止剤、光安定剤と呼ばれるものなどを含む。
酸化防止剤としては、特に限定されず、例えば、ヒンダードフェノール系、モノフェノール系、ビスフェノール系、ポリフェノール系の酸化防止剤があげられ、これらの中でも、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。同様に、チヌビン622LD,チヌビン144,CHIMASSORB944LD,CHIMASSORB119FL(以上、いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製);MARK LA−57,MARK LA−62,MARK LA−67,MARK LA−63,MARK LA−68(以上、いずれも旭電化工業株式会社製);サノールLS−770,サノールLS−765,サノールLS−292,サノールLS−2626,サノールLS−1114,サノールLS−744(以上、いずれも三共株式会社製)に示されたヒンダードアミン系光安定剤を使用することもできる。酸化防止剤の具体例は、特開平4−283259号公報や特開平9−194731号公報にも記載されている。酸化防止剤の使用量は、重合体(A)100重量部に対して、0.1重量部から10重量部の範囲で使用するのが良く、さらに好ましくは、0.2重量部から5重量部である。使用量がこれよりも少ない場合は、十分な効果が得られない可能性が有り、使用量がこれよりも多い場合は、経済的に不利になるだけでなく、光ラジカル開始剤より発生したラジカルを酸化防止剤が補足し、硬化物の硬化不良が発生し、硬化物が良好な物性を発現しない可能性がある。
光安定剤としてベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系、ベンゾエート系化合物などがあげられ、これらの中でも、ヒンダードアミン系化合物が好ましい。光安定剤の使用量は、重合体(A)100重量部に対して、0.1重量部から10重量部の範囲で使用するのが好ましく、0.2重量部から5重量部がより好ましい。使用量がこれよりも少ない場合は、十分な効果が得られない可能性が有り、使用量がこれよりも多い場合は、経済的に不利になる可能性があるだけでなく、光ラジカル開始剤より発生したラジカルを酸化防止剤が補足し、硬化物の硬化不良が発生し、硬化物が良好な物性を発現しない可能性がある。光安定剤の具体例は特開平9−194731号公報にも示されている。
本発明の粘着剤組成物は、物性の調整、性状の調節などの目的により、可塑剤を含有していても良い。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ブチルベンジルフタレートなどのフタル酸エステル類;ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケートなどの非芳香族二塩基酸エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエートなどのポリアルキレングリコールのエステル類;トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェートなどのリン酸エステル類;塩化パラフィン類;アルキルジフェニル、部分水添ターフェニルなどの炭化水素系油などを単独、または2種以上混合して使用することができるが、必ずしも必要とするものではない。なお、これら可塑剤は、重合体製造時に配合することも可能である。
本発明の粘着剤組成物には、各種支持体(プラスチックフィルム、紙など)に対する接着性を向上させるために各種接着性改良剤を添加しても良い。例示するならば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシランなどのアルキルアルコキシシラン類;ジメチルジイソプロペノキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシランなどのアルキルイソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランなどの官能基を有するアルコキシシラン類;シリコーンワニス類;ポリシロキサン類などである。
本発明の粘着剤組成物の硬化は、活性エネルギー線源により、光(UV)又は電子線を照射して、硬化させることができる。
活性エネルギー線源としては、特に限定されないが、使用する光重合開始剤の性質に応じて、例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、電子線照射装置、ハロゲンランプ、発光ダイオード、半導体レーザー、メタルハライドなどがあげられる。
その硬化温度は、0℃〜150℃が好ましく、5℃〜120℃がより好ましい。その他の開始剤として、レドックス系開始剤を併用する場合、その硬化温度は、−50℃〜250℃が好ましく、0℃〜180℃がより好ましい。
本発明の粘着剤組成物は、テープ、シート、ラベル、箔などに広く適用することができる。例えば、合成樹脂製または変成天然物製のフィルム、紙、あらゆる種類の布、金属箔、金属化プラスチック箔、アスベストまたはガラス繊維布などの基質材料に溶剤型、エマルション型、または、ホットメルト型などの形で前記粘着剤組成物を塗布し、活性エネルギー線により硬化させれば良い。
以下に、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。
下記合成例中、「数平均分子量」及び「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。ただし、GPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(shodex GPC K−804;昭和電工(株)製)、GPC溶媒としてクロロホルムを用いた。また、「平均末端(メタ)アクリロイル基数」は、「重合体1分子当たりの末端に導入された(メタ)アクリロイル基数の平均値」であり、1H NMR分析、および、GPCにより求められた数平均分子量により算出した。
(合成例1)
臭化第一銅を触媒、ペンタメチルジエチレントリアミンを配位子、ジエチル−2,5−ジブロモアジペートを開始剤として、アクリル酸n−ブチルを重合し、数平均分子量25,200、分子量分布1.20の臭素基両末端ポリ(アクリル酸n−ブチル)(重合体(P−1))を得た。
臭化第一銅を触媒、ペンタメチルジエチレントリアミンを配位子、ジエチル−2,5−ジブロモアジペートを開始剤として、アクリル酸n−ブチルを重合し、数平均分子量25,200、分子量分布1.20の臭素基両末端ポリ(アクリル酸n−ブチル)(重合体(P−1))を得た。
重合体(P−1)100重量部をN,N−ジメチルアセトアミド280重量部に溶解させ、アクリル酸カリウム1.8重量部を加え、窒素雰囲気下、70℃で3時間攪拌し、アクリロイル基両末端ポリ(アクリル酸n−ブチル)(重合体(A−1))の混合物を得た。混合液中のN,N−ジメチルアセトアミドを減圧留去した後、トルエンを加えて、不溶分をろ過により除去した。ろ液のトルエンを減圧留去して、重合体(A−1)を精製した。精製後の重合体(A−1)の数平均分子量は27,100、分子量分布は1.31、平均末端アクリロイル基数は2.0であった。
(合成例2)
攪拌機付き反応槽に臭化第一銅4.2重量部、アセトニトリル44重量部を加え、窒素雰囲気下で、70℃で15分間攪拌した。これに、アクリル酸n−ブチル100重量部、2−ブロモブチル酸エチル9.5重量部を添加し、攪拌混合した。ペンタメチルジエチレントリアミン0.17重量部を添加し、重合を開始させた。80℃で攪拌しながら、アクリル酸n−ブチル400重量部を連続的に滴下した。アクリル酸n−ブチルの滴下途中、ペンタメチルジエチレントリアミン0.68重量部を分割添加した。モノマー反応率が96%に達した時点で、残モノマー、アセトニトリルを80℃で脱揮し、数平均分子量11,800、分子量分布1.08の臭素基片末端ポリ(アクリル酸n−ブチル)(重合体(P−2))を得た。
攪拌機付き反応槽に臭化第一銅4.2重量部、アセトニトリル44重量部を加え、窒素雰囲気下で、70℃で15分間攪拌した。これに、アクリル酸n−ブチル100重量部、2−ブロモブチル酸エチル9.5重量部を添加し、攪拌混合した。ペンタメチルジエチレントリアミン0.17重量部を添加し、重合を開始させた。80℃で攪拌しながら、アクリル酸n−ブチル400重量部を連続的に滴下した。アクリル酸n−ブチルの滴下途中、ペンタメチルジエチレントリアミン0.68重量部を分割添加した。モノマー反応率が96%に達した時点で、残モノマー、アセトニトリルを80℃で脱揮し、数平均分子量11,800、分子量分布1.08の臭素基片末端ポリ(アクリル酸n−ブチル)(重合体(P−2))を得た。
重合体(P−2)100重量部に対して、ろ過助剤2部(ラヂオライト900、昭和化学工業(株)製)、メチルシクロヘキサン100重量部を加えて、窒素雰囲気下で80℃にて攪拌し、固形分をろ別することにより、重合体(P−2)のメチルシクロヘキサン溶液を得た。
重合体(P−2)100重量部に対して、吸着剤4部(キョーワード500SH 2重量部/キョーワード700SL 2重量部:共に協和化学(株)製)を、重合体(P−2)のメチルシクロヘキサン溶液に加え、酸素・窒素混合ガス雰囲気下で80℃にて攪拌した。不溶分を除去し、重合体溶液を濃縮することで、数平均分子量11,800、分子量分布1.08の臭素基片末端ポリ(アクリル酸n−ブチル)(重合体(P−3))を得た。
重合体(P−3)100重量部をN,N−ジメチルアセトアミド100重量部に溶解し、アクリル酸カリウム(1.87重量部、浅田化学工業(株)製)、ヒドロキノンモノメチルエーテル0.01重量部を加え、70℃で8時間加熱攪拌した。反応終了時の重合体は、数平均分子量11,900、分子量分布は1.08であった。反応混合物から、100℃にて4時間減圧下でN,N−ジメチルアセトアミドを留去して、アクリロイル基片末端ポリ(アクリル酸n−ブチル)の粗生成物を得た。この粗生成物100重量部を100重量部のメチルシクロヘキサンで溶解させ、不溶分を除去し、重合体溶液から、80℃にて4時間減圧下で溶媒を留去して、アクリロイル基片末端ポリ(アクリル酸n−ブチル)(重合体(A−2))を得た。重合体(A−2)の数平均分子量は12,200、分子量分布は1.18、平均末端アクリロイル基数は0.87であった。
(実施例1、2)
(メタ)アクリル系重合体(A)に、アセトンに溶解させた粘着付与樹脂(D)を添加した後、80℃にてアセトンを減圧留去した。得られた混合物をミニカップに加え、アクリルモノマー(b1)、および、光ラジカル開始剤(c1)を添加し、スパチュラにてよく攪拌することで、粘着剤組成物を得た。
(メタ)アクリル系重合体(A)に、アセトンに溶解させた粘着付与樹脂(D)を添加した後、80℃にてアセトンを減圧留去した。得られた混合物をミニカップに加え、アクリルモノマー(b1)、および、光ラジカル開始剤(c1)を添加し、スパチュラにてよく攪拌することで、粘着剤組成物を得た。
得られた粘着剤組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム(幅25mm、厚さ50μm)上に、組成物の厚みが40μmになるように、アプリケーターを用いて塗布した。得られたフィルムをフュージョンUVシステム製UV照射装置(機種:LIGHT HAMMER 6、光源:水銀灯ランプ、積算光量:2000mJ/cm2)にて照射を行い、粘着テープを作製した。
照射後、すぐに、得られた粘着テープを、表面が240番耐水研磨紙にて研磨されたステンレス鋼板SUS#304((株)エンジニアリングテストサービス製)に2kgの圧着ローラーを用いて貼付した。貼付直後、島津製オートグラフ(AG−2000A)を用いて、23℃、65RH、剥離速度300mm/minの条件で、180度剥離試験を行い、粘着力を測定した。
粘着剤組成物の配合量、および、剥離試験の結果を表1に記載する。
(比較例1、2)
粘着付与樹脂(D)を添加しないこと以外は、実施例1、2と同様の方法により、粘着剤組成物、および、粘着テープを作製した。また、実施例1、2と同様の条件で、剥離試験を行った。
粘着付与樹脂(D)を添加しないこと以外は、実施例1、2と同様の方法により、粘着剤組成物、および、粘着テープを作製した。また、実施例1、2と同様の条件で、剥離試験を行った。
粘着剤組成物の配合量、および、剥離試験の結果を表1に記載する。
(比較例3)
粘着付与樹脂をYSレジンPX(テルペン樹脂 SP値8.26 ヤスハラケミカル(株)製)に変更した以外は、実施例1と同様の方法により、粘着剤組成物、および、粘着テープを作製した。また、実施例1と同様の条件で、剥離試験を行った。
粘着付与樹脂をYSレジンPX(テルペン樹脂 SP値8.26 ヤスハラケミカル(株)製)に変更した以外は、実施例1と同様の方法により、粘着剤組成物、および、粘着テープを作製した。また、実施例1と同様の条件で、剥離試験を行った。
粘着剤組成物の配合量、および、剥離試験の結果を表1に記載する。
実験例1、2の組成物から得られた粘着テープは、比較例に比べ、強い粘着力を示した。このことから、(メタ)アクリル系重合体(A)、アクリロイル基を有するモノマー、および/または、オリゴマー(B)、光重合開始剤(C)、SP値が8.60〜9.40がである粘着付与樹脂(D)を含有する本発明の粘着剤組成物により、優れた粘着力を示す粘着剤が得られることが明らかとなった。
Claims (16)
- 下記(A)〜(D)成分を含有する粘着剤組成物。
(A)一般式(1):
−OC(O)C(R1)=CH2 (1)
(式中、R1は水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。)で表される基を、1分子あたり少なくとも1個以上分子末端に有する(メタ)アクリル系重合体
(B)(メタ)アクリロイル基を有し、分子量が2,000以下であるモノマー、および/または、数平均分子量が2,000以下であるオリゴマー
(C)光重合開始剤
(D)Hoy法で求めた溶解度パラメーター(SP値)が8.60〜9.40である粘着付与樹脂 - 前記(B)成分が分子量500以下の(メタ)アクリルモノマー(b1)である請求項1に記載の粘着剤組成物。
- (メタ)アクリル系重合体(A)100重量部に対し、前記(B)成分を1〜50重量部含有する請求項1、または2のいずれかに記載の粘着剤組成物。
- 前記(C)成分が光ラジカル開始剤(c1)である請求項1から3のいずれかに記載の粘着剤組成物。
- (メタ)アクリル系重合体(A)100重量部に対し、前記(C)成分を0.001から10重量部含有する請求項1から4のいずれかに記載の粘着剤組成物。
- 前記(D)成分がテルペンフェノール樹脂である請求項1から5のいずれかに記載の粘着剤組成物。
- (メタ)アクリル系重合体(A)100重量部に対し、前記(D)成分を5〜50重量部含有する請求項1から6のいずれかに記載の粘着剤組成物。
- (メタ)アクリル系重合体(A)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.8未満である請求項1から7のいずれかに記載の粘着剤組成物。
- (メタ)アクリル系重合体(A)の主鎖がリビングラジカル重合により製造されたものである請求項1から8に記載の粘着剤組成物。
- 前記リビングラジカル重合が原子移動ラジカル重合である請求項9に記載の粘着剤組成物。
- 前記原子移動ラジカル重合の触媒である遷移金属錯体が銅の錯体である請求項10に記載の粘着剤組成物。
- (メタ)アクリル系重合体(A)の主鎖が、連鎖移動剤を用いた(メタ)アクリル系モノマーの重合により製造されたものである請求項1から8のいずれかに記載の粘着剤組成物。
- (メタ)アクリル系重合体(A)の主鎖が(メタ)アクリル酸エステルを主として重合し、製造されたものである請求項1から12のいずれかに記載の粘着剤組成物。
- (メタ)アクリル系重合体(A)の主鎖がアクリル酸エステルを主として重合し、製造されたものである請求項13に記載の粘着剤組成物。
- (メタ)アクリル系重合体(A)の数平均分子量が3,000〜100,000である請求項1から14のいずれかに記載の粘着剤組成物。
- 請求項1から15のいずれかに記載の粘着剤組成物に活性エネルギー線を照射させることにより得られる粘着剤。
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