JP2019157029A - ポリイソブチレン系重合体を含有する粘着剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリイソブチレン系重合体を含む粘着力に優れた粘着剤を与えることができる粘着剤用組成物を提供する。【解決手段】一般式(1)で表される基を1分子あたり0.8個以上有するポリイソブチレン系重合体(A)と、飽和環状炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物(B)と、ラジカル重合開始剤(C)とを含有する粘着剤用組成物。【化1】(R1は水素原子又はメチル基を示す。R2は炭素数2〜6の2価の飽和炭化水素基であって、ヘテロ原子を有しない基を示す。R3、R4はそれぞれ水素原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基又はアルコキシ基を示す。)【選択図】なし
Description
本発明は、硬化させることにより粘着剤を形成し得るポリイソブチレン系重合体を含有する粘着剤用組成物に関する。
例えば、インク、塗料、接着剤、シール剤、電気・電子用途の精密部品、造形物などの用途においては、加熱や活性エネルギー(例えば光)照射により硬化させることができる硬化性組成物が使用されている。これらの分野に用いる材料に要求される主な特性としては、耐久性、耐熱性、耐候性、耐水性、ガスバリア性などが挙げられ、そのような特徴を兼ね備えた樹脂の一例としては、ポリイソブチレン系重合体が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
近年、有機ELディスプレイの普及などにより、高い耐湿性を有する粘着剤の開発が望まれている。耐湿性が高い粘着剤を構成する重合体の一つとして、上記のポリイソブチレン系重合体を挙げることができる。しかしながら、ポリイソブチレン系重合体を主成分とした粘着剤は粘着力が充分に高いとは言えず、以前改善の余地があった。
したがって、本発明は、ポリイソブチレン系重合体を含む粘着力に優れた粘着剤を与えることができる粘着剤用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ポリイソブチレン系重合体と特定の(メタ)アクリレート化合物とラジカル重合開始剤とを含む粘着剤用組成物が、優れた粘着力を有する粘着剤を与えることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、例えば以下の発明を提供する。
[1]一般式(1)で表される基を1分子あたり0.8個以上有するポリイソブチレン系重合体(A)と、飽和環状炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物(B)と、ラジカル重合開始剤(C)とを含有する粘着剤用組成物。
(R1は水素原子又はメチル基を表す。R2は炭素数2〜6の2価の飽和炭化水素基であって、ヘテロ原子を有しない基を表す。R3、R4はそれぞれ水素原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基又はアルコキシ基を表す。)
[2]一般式(1)のR2が−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−及び−CH2CH2CH2CH2−からなる群から選ばれる少なくとも1種の2価の基である、[1]に記載の粘着剤用組成物。
[3]一般式(1)のR3およびR4が水素原子である、[1]又は[2]に記載の粘着剤用組成物。
[4]一般式(1)のR1が水素原子である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の粘着剤用組成物。
[5]飽和環状炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物(B)が、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート及びシクロヘキシルアクリレートからなる群より選択される少なくとも1種である、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の粘着剤用組成物。
[6]ポリイソブチレン系重合体(A)が、一般式(1)で表される基をポリイソブチレン主鎖の末端に1分子あたり0.8個以上有するポリイソブチレン系重合体である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の粘着剤用組成物。
[7]ラジカル重合開始剤(C)が光ラジカル重合開始剤である、[1]〜[6]のいずれか1つに記載の粘着剤用組成物。
[8][1]〜[7]のいずれか1つに記載の粘着剤用組成物を硬化させてなる粘着剤。
[9][8]に記載の粘着剤用組成物を光で硬化させてなる粘着剤。
本発明の粘着剤用組成物は上記構成を有するため、特に硬化させることにより(例えば、活性エネルギー線によって硬化させることにより)、優れた粘着力を示す粘着剤を得ることができる。
本発明の粘着剤用組成物は、一般式(1)で表される基を1分子あたり0.8個以上有するポリイソブチレン系重合体(A)(単に「ポリイソブチレン系重合体(A)」と称する場合がある)と、飽和環状炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物(B)(単に「(メタ)アクリレート化合物(B)」と称する場合がある)と、ラジカル重合開始剤(C)と、を必須成分として含む粘着剤用組成物である。本発明の粘着剤用組成物は、後述のように、上記必須成分以外のその他の成分を含んでいてもよい。また、本願における「粘着剤用組成物」には、例えば硬化させる等により粘着剤(粘着剤組成物)を形成可能な組成物の意味に加え、それ自体を粘着剤として使用し得る組成物の意味も含まれる。
[ポリイソブチレン系重合体(A)]
本発明の粘着剤用組成物におけるポリイソブチレン系重合体(A)は、ポリイソブチレン主鎖を有するポリイソブチレン系重合体であって、下記の一般式(1)で表される基を1分子あたり0.8個以上有するものである。なお、下記式(1)における*は、ポリイソブチレン主鎖との結合部分を示す。
本発明の粘着剤用組成物におけるポリイソブチレン系重合体(A)は、ポリイソブチレン主鎖を有するポリイソブチレン系重合体であって、下記の一般式(1)で表される基を1分子あたり0.8個以上有するものである。なお、下記式(1)における*は、ポリイソブチレン主鎖との結合部分を示す。
一般式(1)におけるR1は、水素原子又はメチル基を示す。R1が水素原子の場合は、一般式(1)はアクリロイル基を有する基となり、R1がメチル基の場合は、一般式(1)はメタクリロイル基を有する基となる。ポリイソブチレン系重合体(A)が、一般式(1)で表される基をポリイソブチレン主鎖の末端に有するものである場合、ポリイソブチレン系重合体(A)は主鎖末端に(メタ)アクリロイル基を有する重合体となる。
なお、本願において「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基(アクリロイル基及びメタクリロイル基のいずれか一方又は両方)を意味する。
一般式(1)におけるR2は、炭素数2〜6の2価の飽和炭化水素基であって、ヘテロ原子を含有しない基を示す。R2の具体例としては、例えば、炭素数2〜6のアルキレン基、より具体的には例えば、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2CH2CH2−等の2価の基が挙げられる。この中でも、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2−が、原料の入手性及び反応性の観点から好ましい。
一般式(1)におけるR3、R4は、それぞれ水素原子、炭素数1〜20の1価炭化水素基、又はアルコキシ基を示す。炭素数1〜20の1価炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられる。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖状のアルコキシ基等が挙げられる。この中でも、反応性の点からは水素原子又はメチル基が好ましく、原料の入手性も考慮に入れると、水素原子が更に好ましい。
ポリイソブチレン系重合体(A)における一般式(1)で表される基の位置は、特に限定されず、ポリイソブチレン主鎖の末端であってもよいし、側鎖であってもよい。ポリイソブチレン系重合体(A)は、一般式(1)で表される基をポリイソブチレン主鎖の末端のみに有するもの、ポリイソブチレン主鎖の側鎖のみに有するもの、ポリイソブチレン主鎖の末端と側鎖の両方に有するものであってもよい。中でも、合成の容易さの観点では、側鎖のみが好ましく、組成物を硬化させて得られる硬化物の物性の観点では、末端のみが好ましい。
本発明の粘着剤用組成物に含まれるポリイソブチレン系重合体(A)は、一般式(1)で表される基を1分子あたり0.8個以上有する。当該ポリイソブチレン系重合体(A)における一般式(1)で表される基の1分子あたりの数は、0.8個以上であればよく、特に限定されないが、0.9個以上が好ましく、2.0個以下が好ましく、より好ましくは1.8個以下である。中でも、本発明の粘着剤用組成物に含まれるポリイソブチレン系重合体(A)は、硬化させて得られる粘着剤の物性の観点で、一般式(1)で表される基をポリイソブチレン主鎖の末端に1分子あたり0.8個以上、2.0個以下(より好ましくは0.9個以上、1.8個以下)有するものであることが好ましい。
本発明の粘着剤用組成物に含まれるポリイソブチレン系重合体(A)の分子量は、特に限定されないが、硬化させて得られる粘着剤の物性の観点で、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)測定によるポリスチレン換算数平均分子量として、6,000〜500,000が好ましく、より好ましくは8,000〜200,000、さらに好ましくは10,000〜100,000である。6,000未満では、粘着剤の粘着力が低くなる傾向がある。一方、500,000を超えると、硬化性が低下し、粘着剤の作製が困難になる傾向がある。
本発明の粘着剤用組成物に含まれるポリイソブチレン系重合体(A)の分子量分布(SEC測定によりポリスチレン換算の数平均分子量Mnと重量平均分子量Mwの値を用いて、(重量平均分子量Mw)/(数平均分子量Mn)で表される値)は、特に限定されないが、ポリイソブチレンに特徴的な柔軟性の観点で、1.0〜1.8が好ましく、より好ましくは1.0〜1.5である。
ポリイソブチレン系重合体(A)を含む本発明の粘着剤用組成物は、当該粘着剤用組成物に対して分子内に一般式(1)で表される基を有するポリイソブチレン系重合体を配合することにより得ることができる。配合するポリイソブチレン系重合体としては、上述のポリイソブチレン系重合体(A)そのものを使用することもできるし、例えば、一般式(1)で表される基を1分子あたり0.8個未満有するポリイソブチレン系重合体と、一般式(1)で表される基を0.8個以上有するポリイソブチレン系重合体とを併用することもできる。結果的に、上述のポリイソブチレン系重合体(A)を含む粘着剤用組成物が得られればよい。
粘着剤用組成物の原料として使用するポリイソブチレン系重合体が1分子あたりに有する一般式(1)で表される基の数は、0.8個以上が好ましく、より好ましくは0.9個以上であり、また、2.0個以下が好ましく、より好ましくは1.8個以下である。例えば、一般式(1)で表される基を1分子あたり1.1〜2.0個(より好ましくは1.2〜1.8個)有するポリイソブチレン系重合体と、一般式(1)で表される基を1分子あたり0.8〜1.0個(より好ましくは0.9〜1.0個)有するポリイソブチレン系重合体とを併用することが、加工安定性や取り扱いやすさの観点で好ましい。
粘着剤用組成物の原料として使用する一般式(1)で表される基を有するポリイソブチレン系重合体の分子量は、特に限定されないが、硬化させて得られる粘着剤の物性の観点で、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)測定によるポリスチレン換算数平均分子量として、6,000〜500,000が好ましく、より好ましくは8,000〜200,000、さらに好ましくは10,000〜100,000である。6,000未満では、流動性が高くなり過ぎ、加工性が悪くなる傾向がある。一方、500,000を超えると、粘度が高くなり過ぎ、取り扱いにくくなる傾向がある。
粘着剤用組成物の原料として使用する一般式(1)で表される基を有するポリイソブチレン系重合体の分子量分布(SEC測定によりポリスチレン換算の数平均分子量Mnと重量平均分子量Mwの値を用いて、(重量平均分子量Mw)/(数平均分子量Mn)で表される値)は、特に限定されないが、得られる硬化物の機械物性の観点で、1.0〜1.8が好ましく、より好ましくは1.0〜1.5である。
ポリイソブチレン系重合体(A)の製造方法は、特に限定されず、公知乃至慣用の手段を適用できる。例えば、ポリイソブチレン系重合体(A)が、一般式(1)で表される基をポリイソブチレン系主鎖の末端に1分子あたり0.8個以上有するものである場合、一官能性及び多官能性重合開始剤を用い、TiCl4等のルイス酸触媒及び、含窒素化合物等の電子供与体成分の共存下に、イソブチレンのリビングカチオン重合によってポリイソブチレン系重合体の骨格(主鎖)を製造し、その後、主鎖の末端を(メタ)アクリル酸フェノキシアルキル系化合物等を用いて官能化する方法が、原料の入手性や生産性の観点から、工業的にも好適に使用できる(例えば、国際公開第2013/047314号公報等参照)。
上記製造方法において、一般式(1)で表される基を導入するための(メタ)アクリル酸フェノキシアルキル系化合物としては、原料の入手性の観点から、(メタ)アクリル酸2−フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸3−フェノキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−フェノキシブチル、(メタ)アクリル酸5−フェノキシペンチル、(メタ)アクリル酸6−フェノキシヘキシル等が好適に使用できる。これらの中でも特に、(メタ)アクリル酸2−フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸3−フェノキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−フェノキシブチルが反応性の観点からもより好ましい。
本発明の粘着剤用組成物に配合される他の配合剤との組合せに応じて、一般式(1)におけるアクリロイル基とメタクリロイル基とは、任意に選択することができる。例えば、(メタ)アクリレート化合物(B)としてアクリレート化合物を添加するときは、上記一般式(1)におけるR1として水素を選ぶと、各成分の反応性が等しくなり、均一な組成を有する硬化物が得られるため好ましい。
本発明の粘着剤用組成物においてポリイソブチレン系重合体(A)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の粘着剤用組成物におけるポリイソブチレン系重合体(A)の含有量は、特に限定されないが、粘着剤用組成物の固形分100重量%に対して、30〜95重量%が好ましく、より好ましくは50〜80重量%である。含有量を30重量%以上とすることにより、ポリイソブチレン系重合体に特徴的な性質(例えば、柔軟性やガスバリア性等)がより得られやすい傾向がある。一方、含有量を95重量%以下とすることにより、粘着剤に適した機械物性が得られる傾向がある。
[(メタ)アクリレート化合物(B)]
本発明の粘着剤用組成物は、飽和環状炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物(B)を含有する。飽和環状炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート等の多環式飽和炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物;シクロヘキシルアクリレート、トリシクロデカノールアクリレート、トリシクロデカノールメタクリレート等の単環式飽和炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。中でも、反応性や組成物を硬化させて得られる粘着剤の粘着力の点から、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート等の飽和環状炭化水素基を有するアクリレート化合物が好ましい。
本発明の粘着剤用組成物は、飽和環状炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物(B)を含有する。飽和環状炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート等の多環式飽和炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物;シクロヘキシルアクリレート、トリシクロデカノールアクリレート、トリシクロデカノールメタクリレート等の単環式飽和炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。中でも、反応性や組成物を硬化させて得られる粘着剤の粘着力の点から、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート等の飽和環状炭化水素基を有するアクリレート化合物が好ましい。
本発明の粘着剤用組成物において(メタ)アクリレート化合物(B)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の粘着剤用組成物における(メタ)アクリレート化合物(B)の含有量は、特に限定されないが、ポリイソブチレン系重合体(A)100重量部に対して、5〜200重量部が好ましく、より好ましくは10〜150重量部、さらに好ましくは25〜100重量部である。(メタ)アクリレート化合物(B)の含有量が少な過ぎると、粘度が高くなり過ぎて組成物の作業性が悪くなる傾向があり、さらに、得られる硬化物が十分な粘着力を示さない傾向にある。一方、(メタ)アクリレート化合物(B)の含有量が多過ぎると、得られる粘着剤が硬くなり過ぎ、優れた粘着力が得られない傾向にある。
[ラジカル重合開始剤(C)]
本発明の粘着剤用組成物は、上述のようにラジカル重合開始剤(C)を含有する。ラジカル重合開始剤としては、光又は熱によりラジカル種を発生する化合物等を使用することができる。
本発明の粘着剤用組成物は、上述のようにラジカル重合開始剤(C)を含有する。ラジカル重合開始剤としては、光又は熱によりラジカル種を発生する化合物等を使用することができる。
熱によりラジカル種を発生する化合物(以下、単に熱ラジカル重合開始剤とも言う)としては、特に限定されないが、例えば、アゾ系開始剤、過酸化物、過硫酸酸、及びレドックス開始剤が含まれる。
アゾ系開始剤としては、特に限定されないが、例えば、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(例えばVAZO 33)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(例えばVAZO 50)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(例えばVAZO 52)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(例えばVAZO 64)、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(例えばVAZO 67)、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)(例えばVAZO 88)(対応する製品は例えば、全てDuPont Chemicalから入手可能)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、及び2,2’−アゾビス(メチルイソブチレ−ト)(例えばV−601)(対応する製品は例えば、和光純薬より入手可能)等が挙げられる。
過酸化物開始剤としては、特に限定されないが、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過酸化デカノイル、過酸化ジクミル、ジセチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(例えばPerkadox16S、Akzo Nobelから入手可能)、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート(例えばLupersol 11、Elf Atochemから入手可能)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(例えばTrigonox 21−C50、Akzo Nobelから入手可能)等一般的な市販品が挙げられる。
光によりラジカル種を発生する化合物(以下、単に光ラジカル重合開始剤とも言う)としては、特に限定されないが、例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、キサントール、フルオレイン、ベンズアルデヒド、アンスラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−メチルアセトフェノン、3−ペンチルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−メトキシアセトフェン、3−ブロモアセトフェノン、4−アリルアセトフェノン、p−ジアセチルベンゼン、3−メトキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−クロロ−4’−ベンジルベンゾフェノン、3−クロロキサントーン、3,9−ジクロロキサントーン、3−クロロ−8−ノニルキサントーン、ベンゾイル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、ベンジルメトキシケタール、2−クロロチオキサントーン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1などがあげられる。これらの中でも、タック改善性があるという点で、フェニルケトン系化合物が好ましい。
また、UV照射時の深部硬化性に優れるアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤も配合することができる。アシルホスフィンオキサイド系重合開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−イソブチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−イソブチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられ、好ましくは、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイドである。上記の光ラジカル開始剤は、単独で用いてもよく2種以上を混合して用いても良い。なかでも、反応性が高いことから、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドが好ましい。
本発明の粘着剤用組成物では、上記アシルホスフィンオキサイド、及び、フェニルケトン系化合物を併用することもできる。
本発明の粘着剤用組成物においてラジカル重合開始剤(C)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の粘着剤用組成物におけるラジカル重合開始剤(C)の含有量は、特に限定されないが、ポリイソブチレン系重合体(A)100重量部に対して、0.001〜50重量部が好ましく、より好ましくは0.001〜20重量部である。含有量が少な過ぎると反応性が低下し、硬化物が得られない可能性があり、一方、含有量が多過ぎると重合体に対して影響を与え、硬化物の機械物性が低下する傾向がある。
ラジカル重合開始剤(C)が熱ラジカル重合開始剤の場合、本発明の粘着剤用組成物における熱ラジカル重合開始剤の含有量(添加量)は特に制限はないが、ポリイソブチレン系重合体(A)100重量部に対し、0.001〜50重量部が好ましく、より好ましくは0.001〜20重量部、さらに好ましくは0.05〜10重量部である。熱ラジカル重合開始剤の含有量が0.001重量部未満の場合、十分な硬化性が得られない場合がある。一方、50重量部超の場合、機械物性が不十分であったり、硬化に際して意図しない発泡が生じるといった不具合が生じる場合がある。
ラジカル重合開始剤(C)が光ラジカル重合開始剤の場合、本発明の粘着剤用組成物における光ラジカル重合開始剤の含有量(添加量)は、特に制限されないが、ポリイソブチレン系重合体(A)100重量部に対し、0.1〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.3〜3重量部である。光ラジカル重合開始剤の含有量がこの範囲を下回ると、十分な硬化性が得られない可能性が有り、また、光ラジカル重合開始剤の含有量がこの範囲を上回ると、硬化物に影響を及ぼす可能性がある。なお、光ラジカル重合開始剤の混合物が使用される場合には、混合物の合計量が上記範囲内にあることが好ましい。
本発明の粘着剤用組成物は、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、粘着付与樹脂、炭酸カルシウム、シリカ、有機バルーン、無機バルーン、可塑剤、チクソ性付与剤等が挙げられる。その他の成分は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。本発明の粘着剤用組成物におけるその他の成分の含有量は特に限定されないが、例えば、ポリイソブチレン系重合体(A)及び(メタ)アクリレート化合物(B)100重量部に対して0〜300重量部の範囲で適宜選択可能である。
本発明の粘着剤用組成物は、これ自体を粘着剤(粘着剤組成物)として使用してもよいが、硬化(ラジカル硬化)させることによって優れた粘着力を有する粘着剤とすることができる。本発明の粘着剤用組成物を硬化させる手段としては、公知乃至慣用の手段を採用でき、特に限定されないが、例えば、ラジカル重合開始剤(C)として熱ラジカル重合開始剤を用いる場合には熱(加熱)を、ラジカル重合開始剤(C)として光ラジカル重合開始剤を用いる場合には光(光照射)を採用することができる。
本発明の粘着剤用組成物を加熱により硬化させる際の加熱温度及び加熱時間は特に限定されず、使用する熱ラジカル重合開始剤の種類により異なるが、通常50℃〜250℃の範囲内が好ましく、70℃〜200℃の範囲内がより好ましい。加熱時間(硬化時間)は、使用する熱ラジカル重合開始剤の種類、添加剤、加熱温度(反応温度)等により異なるが、通常1分〜5時間の範囲内である。
本発明の粘着剤用組成物を光により硬化させる際には、活性エネルギー線源からの光(UV)又は電子線を照射することにより、硬化させることができる。活性エネルギー線源としては、特に限定されないが、使用する光重合開始剤の性質に応じて、例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、電子線照射装置、ハロゲンランプ、発光ダイオード、半導体レーザー、メタルハライド等が挙げられる。
本発明の粘着剤用組成物を硬化させることにより、本発明の粘着剤(本発明の粘着剤用組成物を硬化させてなる粘着剤)が得られる。本発明の粘着剤は各種用途に使用することができ、その用途は特に限定されないが、例えば、電子機器用粘着剤、医療用粘着剤、自動車用粘着剤、建築用粘着剤等として使用することができる。また、本発明の粘着剤は、シート状、テープ状等の各種形態で使用することができる。
以下に、本発明の具体的な実施例を比較例と併せて説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
(分子量測定)
下記実施例中、「数平均分子量」、「重量平均分子量」及び「分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)」は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。SECシステムとしてWaters社製LCModule1を、GPCカラム(固定相)としてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(Shodex GPC K−804及びGPC K−802.5;いずれも昭和電工株式会社製)、移動相としてクロロホルムを用いた。
下記実施例中、「数平均分子量」、「重量平均分子量」及び「分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)」は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。SECシステムとしてWaters社製LCModule1を、GPCカラム(固定相)としてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(Shodex GPC K−804及びGPC K−802.5;いずれも昭和電工株式会社製)、移動相としてクロロホルムを用いた。
(官能化率Fnの算出)
ポリイソブチレン系重合体(A−1)に導入された(メタ)アクリロイル基の数は次のようにして求めた。まず、上記分子量測定(GPC測定)により求めたポリマーの数平均分子量Mnから、ポリマー1分子あたりに含まれるポリイソブチレン由来のメチル基のプロトン数を求めた。次に1H−NMRスペクトル測定を行い、メチル基のプロトン数を先に求めた数としたときの(メタ)アクリロイル基に由来するビニルプロトンのピーク積分値から、ポリマー1分子あたりの(メタ)アクリロイル基の導入数(官能化率Fn)を求めた。
ポリイソブチレン系重合体(A−1)に導入された(メタ)アクリロイル基の数は次のようにして求めた。まず、上記分子量測定(GPC測定)により求めたポリマーの数平均分子量Mnから、ポリマー1分子あたりに含まれるポリイソブチレン由来のメチル基のプロトン数を求めた。次に1H−NMRスペクトル測定を行い、メチル基のプロトン数を先に求めた数としたときの(メタ)アクリロイル基に由来するビニルプロトンのピーク積分値から、ポリマー1分子あたりの(メタ)アクリロイル基の導入数(官能化率Fn)を求めた。
ポリイソブチレン系重合体(A−2)に導入された(メタ)アクリロイル基の数は、次のようにして求めた。すなわち、1H−NMRスペクトル測定により、使用した開始剤(下記合成例2では、クミルクロライド)由来のプロトンの積分値に対する(メタ)アクリロイル基に由来するビニルプロトンのピーク積分値から、ポリマー1分子あたりの(メタ)アクリロイル基の導入数を求めた。
(合成例1)
500mLのセパラブルフラスコの容器内を窒素置換した後、n−ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)25mL及び塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)225mLを加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら−70℃まで冷却した。次いで、イソブチレン120mL(1.27mol)、p−ジクミルクロライド1.72g(0.00744mol)及びトリエチルアミン0.24ml(0.0017mol)を加えた。反応混合物を−73℃まで冷却した後で、四塩化チタン1.22mL(0.0112mol)を加えて重合を開始させた。重合開始後、ガスクロマトグラフィーで残存イソブチレン濃度を測定して、投入したイソブチレンの99.9%以上が消費された段階で、イソブチレンの重合を終了させた。次に、アクリル酸フェノキシブチル4.91g(0.0223mol)と、四塩化チタン6.53mL(0.0595mol)とを加え、−75〜−80℃で更に3時間攪拌を続けることで、官能化反応(一般式(1)で表される基の導入反応)を行った。反応終了後、反応混合物を大量のメタノールに注ぐことで触媒を失活させた。メタノール、塩化ブチル、ヘキサンを主成分とする溶媒を除去し、粘ちょうな沈殿物を得た。この沈殿物を塩化ブチル650g(固形分濃度10.5%)に溶解させ、粉末活性炭14.5g(フタムラ化学株式会社製、製品名「太閤A」)を加えて、室温で一晩攪拌した。活性炭をろ過により除去し、得られたろ液に4−メトキシフェノール0.0152gを加えて、溶媒を減圧下に留去することで、両末端にアクリロイル基を有するポリイソブチレン系重合体(A−1)を得た。ポリイソブチレン系重合体(A−1)の数平均分子量Mn(ポリスチレン換算)は11,863、分子量分布Mw/Mnは1.2、1分子あたりのアクリロイル基導入数は1.8であった。
500mLのセパラブルフラスコの容器内を窒素置換した後、n−ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)25mL及び塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)225mLを加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら−70℃まで冷却した。次いで、イソブチレン120mL(1.27mol)、p−ジクミルクロライド1.72g(0.00744mol)及びトリエチルアミン0.24ml(0.0017mol)を加えた。反応混合物を−73℃まで冷却した後で、四塩化チタン1.22mL(0.0112mol)を加えて重合を開始させた。重合開始後、ガスクロマトグラフィーで残存イソブチレン濃度を測定して、投入したイソブチレンの99.9%以上が消費された段階で、イソブチレンの重合を終了させた。次に、アクリル酸フェノキシブチル4.91g(0.0223mol)と、四塩化チタン6.53mL(0.0595mol)とを加え、−75〜−80℃で更に3時間攪拌を続けることで、官能化反応(一般式(1)で表される基の導入反応)を行った。反応終了後、反応混合物を大量のメタノールに注ぐことで触媒を失活させた。メタノール、塩化ブチル、ヘキサンを主成分とする溶媒を除去し、粘ちょうな沈殿物を得た。この沈殿物を塩化ブチル650g(固形分濃度10.5%)に溶解させ、粉末活性炭14.5g(フタムラ化学株式会社製、製品名「太閤A」)を加えて、室温で一晩攪拌した。活性炭をろ過により除去し、得られたろ液に4−メトキシフェノール0.0152gを加えて、溶媒を減圧下に留去することで、両末端にアクリロイル基を有するポリイソブチレン系重合体(A−1)を得た。ポリイソブチレン系重合体(A−1)の数平均分子量Mn(ポリスチレン換算)は11,863、分子量分布Mw/Mnは1.2、1分子あたりのアクリロイル基導入数は1.8であった。
(合成例2)
1Lのセパラブルフラスコの容器内を窒素置換した後、n−ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)58mL及び塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)525mLを加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら−70℃まで冷却した。次いで、イソブチレン200mL(2.12mol)、クミルクロライド1.79g(0.0115mol)及びトリエチルアミン0.32ml(0.0023mol)を加えた。反応混合物を−73℃まで冷却した後で、四塩化チタン1.14mL(0.0104mol)を加えて重合を開始させた。重合開始後、ガスクロマトグラフィーで残存イソブチレン濃度を測定して、投入したイソブチレンの99.9%以上が消費された段階で、イソブチレンの重合を終了させた。次に、アクリル酸フェノキシブチル3.81g(0.0173mol)と、四塩化チタン5.06mL(0.0462mol)とを加え、−75〜−80℃で更に3時間攪拌を続けることで、官能化反応を行った。反応終了後、反応混合物を大量のメタノールに注ぐことで触媒を失活させた。メタノール、塩化ブチル、ヘキサンを主成分とする溶媒を除去し、粘ちょうな沈殿物を得た。この沈殿物を塩化ブチル1000g(固形分濃度11.7%)に溶解させ、粉末活性炭20g(フタムラ化学株式会社製、製品名「太閤A」)を加えて、室温で一晩攪拌した。活性炭をろ過により除去し、得られたろ液に4−メトキシフェノール0.0265gを加えて、溶媒を減圧下に留去することで、片末端にアクリロイル基を有するポリイソブチレン系重合体(A−2)を得た。ポリイソブチレン系重合体(A−2)の数平均分子量Mn(ポリスチレン換算)は12,080、分子量分布Mw/Mnは1.5、1分子あたりのアクリロイル基導入数は0.9であった。
1Lのセパラブルフラスコの容器内を窒素置換した後、n−ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)58mL及び塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)525mLを加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら−70℃まで冷却した。次いで、イソブチレン200mL(2.12mol)、クミルクロライド1.79g(0.0115mol)及びトリエチルアミン0.32ml(0.0023mol)を加えた。反応混合物を−73℃まで冷却した後で、四塩化チタン1.14mL(0.0104mol)を加えて重合を開始させた。重合開始後、ガスクロマトグラフィーで残存イソブチレン濃度を測定して、投入したイソブチレンの99.9%以上が消費された段階で、イソブチレンの重合を終了させた。次に、アクリル酸フェノキシブチル3.81g(0.0173mol)と、四塩化チタン5.06mL(0.0462mol)とを加え、−75〜−80℃で更に3時間攪拌を続けることで、官能化反応を行った。反応終了後、反応混合物を大量のメタノールに注ぐことで触媒を失活させた。メタノール、塩化ブチル、ヘキサンを主成分とする溶媒を除去し、粘ちょうな沈殿物を得た。この沈殿物を塩化ブチル1000g(固形分濃度11.7%)に溶解させ、粉末活性炭20g(フタムラ化学株式会社製、製品名「太閤A」)を加えて、室温で一晩攪拌した。活性炭をろ過により除去し、得られたろ液に4−メトキシフェノール0.0265gを加えて、溶媒を減圧下に留去することで、片末端にアクリロイル基を有するポリイソブチレン系重合体(A−2)を得た。ポリイソブチレン系重合体(A−2)の数平均分子量Mn(ポリスチレン換算)は12,080、分子量分布Mw/Mnは1.5、1分子あたりのアクリロイル基導入数は0.9であった。
(実施例1〜10)
ポリイソブチレン系重合体(A−1)、ポリイソブチレン系重合体(A−2)、イソボルニルアクリレート(B−1)、ジシクロペンタニルアクリレート(B−2)、シクロヘキシルアクリレート(B−3)、光ラジカル重合開始剤(C−1)、光ラジカル重合開始剤(C−2)を、表1に示す配合割合でディスポカップに加え、スパチュラにてよく撹拌し、シンキー製あわとり練太郎ARE−310にて、撹拌および脱泡を行い、粘着剤用組成物を得た。
ポリイソブチレン系重合体(A−1)、ポリイソブチレン系重合体(A−2)、イソボルニルアクリレート(B−1)、ジシクロペンタニルアクリレート(B−2)、シクロヘキシルアクリレート(B−3)、光ラジカル重合開始剤(C−1)、光ラジカル重合開始剤(C−2)を、表1に示す配合割合でディスポカップに加え、スパチュラにてよく撹拌し、シンキー製あわとり練太郎ARE−310にて、撹拌および脱泡を行い、粘着剤用組成物を得た。
厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上に、上記で得られた組成物を厚みが50μmになるように塗工し、塗工面側に離型性のPETフィルムを塗工面に貼付した。
PETフィルムを貼付した状態で、フュージョンUVシステム製UV照射装置(機種:LIGHT HAMMER 6)にてUV光を表1に示す条件で照射し、組成物を硬化させた。得られた硬化物(粘着剤)を25mm幅に切断して離型性PETフィルムを剥がし、粘着テープを作製した。
得られた粘着テープを表面仕上げがBAであるステンレス鋼板SUS#304(エンジニアリングテストサービス製)に2kgの圧着ローラーを用いて貼付した。貼付から3日後に、島津製オートグラフ(AG−2000A)を用いて、23℃、55RH、剥離速度300mm/minの条件で、180°剥離試験を行い、粘着力を測定した。
粘着剤用組成物の配合組成及び剥離試験の結果を表1に記載する。
(比較例1〜7)
ポリイソブチレン系重合体(A−1)、ポリイソブチレン系重合体(A−2)、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート化合物、光ラジカル重合開始剤(C−1)、光ラジカル重合開始剤(C−2)を使用し、実施例1〜10と同様の方法にて粘着剤用組成物及び粘着テープを作製し、180°剥離試験を行った。
ポリイソブチレン系重合体(A−1)、ポリイソブチレン系重合体(A−2)、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート化合物、光ラジカル重合開始剤(C−1)、光ラジカル重合開始剤(C−2)を使用し、実施例1〜10と同様の方法にて粘着剤用組成物及び粘着テープを作製し、180°剥離試験を行った。
粘着剤用組成物の配合組成及び剥離試験の結果を表2に記載する。
Claims (9)
- 一般式(1)のR2が−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−及び−CH2CH2CH2CH2−からなる群から選ばれる少なくとも1種の2価の基である、請求項1に記載の粘着剤用組成物。
- 一般式(1)のR3およびR4が水素原子である、請求項1又は2に記載の粘着剤用組成物。
- 一般式(1)のR1が水素原子である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着剤用組成物。
- 飽和環状炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物(B)が、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート及びシクロヘキシルアクリレートからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の粘着剤用組成物。
- ポリイソブチレン系重合体(A)が、一般式(1)で表される基をポリイソブチレン主鎖の末端に1分子あたり0.8個以上有するポリイソブチレン系重合体である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の粘着剤用組成物。
- ラジカル重合開始剤(C)が光ラジカル重合開始剤である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の粘着剤用組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の粘着剤用組成物を硬化させてなる粘着剤。
- 請求項8に記載の粘着剤用組成物を光で硬化させてなる粘着剤。
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WO2020149360A1 (ja) * | 2019-01-18 | 2020-07-23 | 積水化学工業株式会社 | 硬化物及び有機el表示素子 |
WO2020149363A1 (ja) * | 2019-01-18 | 2020-07-23 | 積水化学工業株式会社 | 有機el表示素子封止用樹脂組成物、硬化物、及び、有機el表示素子 |
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WO2020149363A1 (ja) * | 2019-01-18 | 2020-07-23 | 積水化学工業株式会社 | 有機el表示素子封止用樹脂組成物、硬化物、及び、有機el表示素子 |
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JPWO2020149363A1 (ja) * | 2019-01-18 | 2021-12-02 | 積水化学工業株式会社 | 有機el表示素子封止用樹脂組成物、硬化物、及び、有機el表示素子 |
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