JP2020083400A - 製袋方法、製袋装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】内容物の付着を抑制することが可能な製袋方法を提供する。【解決手段】本発明によれば、塗布工程と、乾燥工程と、ヒートシール工程を備える、製袋方法であって、前記塗布工程では、原反ロールから巻き戻されたフィルムに分散液を塗布し、前記分散液は、分散媒と、前記分散媒中に分散された撥水性粒子を含み、前記乾燥工程では、前記分散媒を蒸発させて前記フィルムを乾燥させ、前記ヒートシール工程では、前記乾燥工程の後に、前記フィルムをヒートシールすることによって前記フィルムを袋状にする、製袋方法が提供される。【選択図】図1

Description

本発明は、製袋方法、及び製袋装置に関する。
特許文献1には、原反ロールから巻き戻したフィルムをヒートシールすることによって、フィルムを袋状にする工程を備える製袋方法が開示されている。
特開2015−24506号公報
特許文献1の方法で製造された袋は、内容物が袋の内面に付着されやすい。このため、内容物の付着を抑制可能な製袋方法が望まれている。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、内容物の付着を抑制することが可能な製袋方法を提供するものである。
本発明によれば、塗布工程と、乾燥工程と、ヒートシール工程を備える、製袋方法であって、前記塗布工程では、原反ロールから巻き戻されたフィルムに分散液を塗布し、前記分散液は、分散媒と、前記分散媒中に分散された撥水性粒子を含み、前記乾燥工程では、前記分散媒を蒸発させて前記フィルムを乾燥させ、前記ヒートシール工程では、前記乾燥工程の後に、前記フィルムをヒートシールすることによって前記フィルムを袋状にする、製袋方法が提供される。
本発明では、撥水性粒子を含む分散液をフィルムに塗布し、フィルムを乾燥させた後にヒートシールを行って袋を形成している。このような方法で製造される袋の内面には、撥水性粒子が付着しているので、内容物の付着が抑制される。
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記記載の製袋方法であって、前記塗布工程では、前記フィルムに張力が加わった状態で前記分散液が塗布される、製袋方法である。
好ましくは、前記記載の製袋方法であって、前記ヒートシール工程では、前記ヒートシールが間欠的に行われ、前記塗布工程では、前記分散液を塗布する位置の前後に設けられたテンションローラと送りローラによって前記フィルムに常時張力が加えられる、製袋方法である。
好ましくは、前記記載の製袋方法であって、前記塗布は、スプレーによって行われる、製袋方法である。
好ましくは、前記記載の製袋方法であって、前記ヒートシールは、前記フィルムの長手方向に垂直な方向の横シールを含み、前記塗布工程では、前記横シールを行う領域には前記フィルムに前記分散液を塗布しない、製袋方法である。
好ましくは、前記記載の製袋方法であって、前記ヒートシールは、前記フィルムの長手方向に沿った方向の縦シールを含み、前記塗布工程では、前記縦シールを行う領域には前記フィルムに前記分散液を塗布しない、製袋方法である。
好ましくは、前記記載の製袋方法であって、前記塗布工程では、前記分散液は前記フィルムの一方の面に塗布され、前記乾燥工程では、前記フィルムはガイドローラを経由して案内され、前記ガイドローラは、前記一方の面に接触しないように配置される、製袋方法である。
好ましくは、前記記載の製袋方法であって、前記塗布は、前記フィルムに、前記分散液を含む浸漬槽内を通過させることによって行われる、製袋方法である。
好ましくは、前記記載の製袋方法であって、前記乾燥工程は、前記フィルムを前記浸漬槽から引き上げながら行う、製袋方法である。
好ましくは、前記記載の製袋方法であって、前記分散液は、前記分散媒中に分散された樹脂ビーズを含む、製袋方法である。
好ましくは、前記記載の製袋方法であって、前記塗布工程は、第1及び第2塗布工程を含み、第1塗布工程では、前記フィルムに第1分散液を塗布し、第2塗布工程では、前記フィルムに第2分散液を塗布し、第1分散液は、第1分散媒と、第1分散媒中に分散された前記樹脂ビーズを含み、第2分散液は、第2分散媒と、第2分散媒中に分散された前記撥水性粒子を含み、第1及び第2塗布工程は、別々の工程である、製袋方法である。
好ましくは、前記記載の製袋方法であって、第2塗布工程は、第1塗布工程の後に行われる、製袋方法である。
好ましくは、前記記載の製袋方法であって、前記乾燥工程は、第1塗布工程後と、第2塗布工程後のそれぞれに、同一の乾燥部において行われる、製袋方法である。
好ましくは、前記記載の製袋方法であって、前記フィルムは、前記塗布工程の前の時点で凹凸形状を有している、製袋方法である。
好ましくは、塗布部と、乾燥部と、ヒートシール部を備える製袋装置であって、前記塗布部では、原反ロールから巻き戻されたフィルムに分散液を塗布し、前記分散液は、分散媒と、前記分散媒中に分散された撥水性粒子を含み、前記乾燥部では、前記分散媒を蒸発させて前記フィルムを乾燥させ、前記ヒートシール部では、前記乾燥工程の後に、前記フィルムをヒートシールすることによって前記フィルムを袋状にする、製袋装置である。
本発明の第1実施形態の製袋装置1の構成を示す模式的な正面図である。 図2Aは、図1のスプレー機構7及び乾燥チャンバー8近傍の平面図(乾燥チャンバー8は断面図)であり、図2Bは、図2Aの左側面図であり、図2Cは、図2A中のA−A断面図である。 本発明の第2実施形態の製袋装置1の乾燥チャンバー8近傍の平面図(乾燥チャンバー8は断面図)である。 本発明の第3実施形態の製袋装置1のスプレー機構7a,7b及び乾燥チャンバー8近傍の構成を示す模式的な正面図である。 本発明の第4実施形態の製袋装置1の浸漬槽17近傍の構成を示す模式的な正面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
1.第1実施形態
図1〜図2を用いて、本発明の第1実施形態の製袋装置1について説明する。製袋装置1は、原反ロール12と、ガイドローラ3a〜3kと、テンションローラ4と、送りローラ5a〜5cと、ダンサーローラ6と、スプレー機構(「塗布部」の一例)7と、乾燥チャンバー(「乾燥部」の一例)8と、冷却チャンバー9と、フィルム加工機構10と、ヒートシール部11を備える。製袋装置1によって、本発明の一実施形態の製袋方法が実施可能である。
<原反ロール12>
原反ロール12は、フィルム2が巻かれたロールである。送りローラ5aがフィルム2を送り出す力によって、原反ロール12からフィルム2が巻き戻される。原反ロール12を装着する軸12aを回転駆動してフィルム2を送り出すようにしてもよい。
<フィルム2>
フィルム2は、ヒートシール層を有していてフィルム同士が熱溶着可能なものであればよい。フィルム2としては、例えば、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂からなる単層のフィルムや、シート類、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂を他の熱可塑性樹脂等と積層した多層フィルムなどが挙げられる。また、ヒートシール性の良好な材料としては、例えば、公知の低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン一エチレン共重合体、エチレン一酢酸ビニル共重合体、エチレン系不飽和カルボン酸あるいはその無水物でグラフト変性されたオレフィン樹脂等のオレフィン系樹脂、比較的低融点あるいは低軟化点のポリアミドあるいはコポリアミド樹脂、ポリエステルあるいはコポリエステル樹脂、ポリカーボネイト樹脂などが挙げられる。また、積層する他のプラスチック材料としては、各種バリアフイルムを使用することができる。なお、積層フィルムを用いる場合は、融点の低い樹脂などヒートシ一ル性の良好な熱可塑性樹脂層同士を内面側にして熱溶着することが好ましい。
<ガイドローラ3a〜3c、テンションローラ4>
原反ロール12と送りローラ5aの間には、ガイドローラ3a、テンションローラ4,ガイドローラ3b,3cがこの順で配置されている。ガイドローラは、フィルム2の蛇行、シワ、弛み等を抑制するために設けられるものであり、本数、設置場所は適宜設定される。
テンションローラ4は、フィルム2に張力を加えるように構成されている。具体的には、自重やバネなどの付勢手段によってテンションローラ4が常にフィルム2に向かって付勢されている。
<スプレー機構7>
スプレー機構7は、テンションローラ4と送りローラ5aの間に配置されている。スプレー機構7の前後に設けられたテンションローラ4と送りローラ5aによって、フィルム2に常時張力が加えられるので、スプレー機構7では、フィルム2に張力が加わった状態で分散液13(詳細は後述)をフィルム2にスプレー(「塗布」の一例)する(塗布工程)。フィルム2が弛んだ状態で分散液13を塗布すると、分散液13が不均一に塗布されてしまう虞があるが、本実施形態では、フィルム2に張力が加わった状態で分散液13をフィルム2に塗布するので、分散液13を均一に塗布することが可能になっている。
スプレー機構7が分散液13を塗布する領域は、特に限定されず、フィルム2の全面に塗布してもよく、一部の領域に塗布してもよい。縦シール又は横シールを行う領域に分散液13を塗布すると、シール強度が低下する虞があるので、縦シールを行う領域と横シールを行う領域には、分散液13を塗布しないことが好ましい。縦シールとは、フィルムの長手方向に沿った方向のヒートシールであり、横シールとは、フィルムの長手方向に垂直な方向のヒートシールである。
本実施形態では、図2Bに示すように、フィルム2の両端近傍の領域をカバー14で覆うことによって、縦シールを行う領域に分散液13が塗布されないようにしている。また、分散液のスプレーを停止させた状態でフィルム2を長手方向に移動させることによって、横シールを行う領域に分散液13が塗布されないようにしている。
このため、スプレー機構7を通過した後のフィルム2の一方の面には、分散液13が塗布された塗布領域2aと、縦シールを行う領域を含む非塗布領域2bと、横シールを行う領域を含む非塗布領域2cが形成される。フィルム2の他方の面には分散液13が塗布されておらず、全面が非塗布領域である。
<分散液13>
分散液13は、分散媒と、樹脂ビーズと、撥水性粒子を含む。このような成分の分散液13を塗布した後、乾燥工程で、分散媒を蒸発させると、樹脂ビーズによってフィルム2表面に凹凸形状が形成され、凹凸形状の表面に撥水性粒子が付着した構造が得られる。このような構造が製造される袋の内面に形成されると、凹凸形状による物理作用と撥水性粒子による化学作用によって内容物が付着しにくくなる。
分散液13は、分散媒と、樹脂ビーズと、撥水性粒子を含む。分散媒は、樹脂ビーズ及び撥水性粒子を分散可能な液体であればよく、水やアルコール(例:エタノール)などが挙げられる。
・樹脂ビーズ
樹脂ビーズは、フィルム2に付着させることによって、より優れた耐摩耗性等を包装材料に付与することができる。
樹脂ビーズとしては、例えばアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド等の樹脂成分(又は有機高分子成分)のビーズを好適に用いることができる。
樹脂ビーズの形状は限定的でなく、例えば球状、回転楕円体状、不定形状、涙滴状、扁平状、中空状、多孔質状等のいずれであっても良い。
樹脂ビーズの平均粒径は、特に限定されず、例えば1〜50μm、好ましくは1〜30μmの範囲内で適宜設定することができる。ただし、樹脂ビーズどうしの間隙を積極的に利用する関係上、樹脂ビーズの平均粒径を撥水性粒子の一次粒子平均径より大きくすることが好ましい。
樹脂ビーズの融点は、ヒートシール層の融点より低くすることが望ましく、160℃以下とするのがより好ましい。このような融点の樹脂ビーズを採用することにより、ヒートシール層に対する樹脂ビーズの密着性が良くなり、耐摩耗性及び非付着性をより効果的に持続させることができる。かかる見地より、樹脂ビーズの材質はポリオレフィン系樹脂が好ましく、例えばポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブテン樹脂等の少なくとも1種を好適に用いることができる。
樹脂ビーズの融点がヒートシール層の融点より高い場合であっても、融点が低いヒートシール層を採用すれば、樹脂ビーズとヒートシール層の密着性は良くなり、上記同様耐摩耗性及び非付着性を効果的に持続させることができる。すなわち、樹脂ビーズの一部とヒートシール層の表面の一部が溶着することにより、樹脂ビーズがヒートシール上に強固に固定され、その間隙や表面に付着した撥水性粒子との相乗作用により耐摩耗性及び非付着性をより効果的に持続させることができる。
なお、樹脂ビーズの平均粒径は、レーザー回折式粒度分布計によって測定すれば良いが、レーザー回折式粒度分布計による測定が困難な場合は、顕微鏡での観察、例えば走査型電子顕微鏡等で観察(あるいは写真撮影)し、粒子形状が球状の場合はその直径、非球状の場合はその最長径と最短径との平均値を直径とみなし、走査型電子顕微鏡等による観察により任意に選んだ20個分の粒子の直径の平均を平均粒径とすれば良い。
本発明の包装材料中の樹脂ビーズの付着量は、樹脂ビーズの種類、平均粒径等に応じて適宜変更できるが、通常1.0〜10.0g/m程度とするのが好ましく、2.0〜4.0g/m程度とするのがさらに好ましい。
・撥水性粒子
撥水性粒子としては、疎水性を有するものであれば特に限定されず、具体的には疎水性を有する酸化物微粒子等を用いることができる。また、表面処理により疎水化されたものであっても良い。例えば、親水性酸化物微粒子をシランカップリング剤等で表面処理を施し、表面状態を疎水性とした微粒子を用いることもできる。
酸化物微粒子としては、より具体的にはシリカ(二酸化ケイ素)、アルミナ、チタニア等の少なくとも1種を好適に用いることができる。この中でも、疎水性シリカ微粒子を好適に用いることができる。とりわけ、より優れた非付着性が得られるという点において、表面にトリメチルシリル基を有する疎水性シリカ微粒子が好ましい。これに対応する市販品としては、例えば前記「AEROSIL R812」、「AEROSIL R812S」(いずれもエボニック デグサ社製)等が挙げられる。
包装材料の表面に付着させる撥水性粒子の付着量(乾燥後重量)は限定的ではないが、通常0.01〜10g/mとするのが好ましく、0.2〜1.5g/mとするのがより好ましく、0.2〜1g/mとするのが最も好ましい。上記範囲内に設定することによって、より優れた非付着性が長期にわたって得ることができる上、撥水性粒子の脱落抑制、コスト等の点でもいっそう有利となる。包装材料の表面に付着した撥水性粒子は、三次元網目状構造を有する多孔質層を形成していることが好ましく、その厚みは0.1〜5μm程度が好ましく、0.2〜2.5μm程度がさらに好ましい。このようなポーラスな層状態で付着することにより、当該層に空気を多く含むことができ、より優れた非付着性を発揮することができる。
撥水性粒子の一次粒子平均径は3nm〜20μm程度が好ましく、3〜100nmがより好ましく、5〜50nmが最も好ましい。本発明において、一次粒子平均径の測定は、走査型電子顕微鏡(SEM、FE−SEM)で実施することができ、走査型電子顕微鏡の分解能が低い場合には透過型電子顕微鏡等の他の電子顕微鏡を併用して実施しても良い。具体的には、粒子形状が球状の場合はその直径、非球状の場合はその最長径と最短径との平均値を直径とみなし、走査型電子顕微鏡等による観察により任意に選んだ20個分の粒子の直径の平均を一次粒子平均径とする。
<送りローラ5a>
送りローラ5aは、一対のローラでフィルム2を把持した状態で回転駆動されることによってフィルム2を長手方向に沿って移動させる機能を有する。送りローラ5aは、塗布工程でのフィルム2の通過速度が一定となるように送り速度を調整する。これによって分散液13の均一塗布が可能になる。
本実施形態では、送りローラ5aは、図2Cに示すように、左送りローラ5a1と、右送りローラ5a2を備える。左送りローラ5a1は、一対のローラ5a1u,5a1bで構成される。右送りローラ5a2は、一対のローラ5a2u,5a2bで構成される。左送りローラ5a1と、右送りローラ5a2は、それぞれ、非塗布領域2bを把持するように構成されている。このような構成によれば、送りローラ5aが塗布領域2aに接触しないので、分散液13が送りローラ5aに付着することが抑制される。なお、ローラ5a1bとローラ5a2bを連結して1つのローラとしてもよい。フィルム2の下側の面は全面が非塗布領域であるので、そのように構成しても分散液13がローラに付着することがない。
<乾燥チャンバー8>
乾燥チャンバー8内は、高温になっており、フィルム2に乾燥チャンバー8内を通過させることによって分散媒を蒸発させてフィルムを乾燥させる(乾燥工程)。これによって、樹脂ビーズと撥水性粒子をフィルム2に付着させることができる。乾燥工程は、乾燥チャンバー8を用いずに、例えば、ヒーターを用いて熱線をフィルム2に照射してフィルム2を加熱することによって行ってもよい。
乾燥温度は、分散媒の蒸発が可能な温度であればよいが、樹脂ビーズの融点以上の温度であることが好ましい。この場合、樹脂ビーズがフィルム2に強固に融着される。また、乾燥温度は、ヒートシール層が実質的に原形を保ち、かつ、樹脂ビーズがヒートシール層表面に溶着するような温度に設定することが好ましい。より具体的にはヒートシール層の融点未満、かつ、樹脂ビーズの融点以上に加熱するのが好ましい。特に130〜200℃とすることが好ましい。乾燥温度は、例えば130〜200℃が好ましい。
乾燥チャンバー8内では、ガイドローラ3d〜3fを経由してフィルム2が乾燥チャンバー8の壁面に沿って案内される。フィルム2が壁面に沿って案内されることによって、フィルム2が乾燥チャンバー8内に滞在する時間が長くなり、乾燥が十分に進みやすくなる。ガイドローラ3d〜3fは、フィルム2の、分散液13が塗布された面に接触しないように配置されている(つまり、塗布領域2aがある面とは反対側の面に接触するように配置されている)。このため、分散液13がガイドローラ3d〜3fに付着することが抑制される。
<冷却チャンバー9>
乾燥チャンバー8からのフィルム2は、ガイドローラ3g,3hによって冷却チャンバー9に案内される。冷却チャンバー9では、乾燥チャンバー8において高温になったフィルム2を冷却する。冷却チャンバー9では、この後の工程で不都合がない程度でフィルム2を冷却すればよい。冷却チャンバー9は不要な場合には省略可能である。
<送りローラ5b>
冷却チャンバー9からのフィルム2は、ガイドローラ3iによって送りローラ5bに案内される。送りローラ5bは、一対のローラでフィルム2を把持した状態で回転駆動されることによってフィルム2を長手方向に沿って移動させる機能を有する。乾燥チャンバー8の下流側に送りローラ5bを設けることによって、乾燥条件の調整が容易になる。送りローラ5bは、一定速度で連続的にフィルム2を送る。
送りローラ5a,5bの一方は省略可能である。一方を省略する場合、送りローラ5aを省略することが好ましい。
フィルム2が送りローラ5bに接触する時点では、フィルム2はすでに乾燥しているので、送りローラ5bは、塗布領域2aに接触する構造であってもよい。この場合、送りローラ5bをフィルム2の幅方向の全体に接触させてフィルム2を送ることができるので、フィルム2の送りを安定して行うことができる。
<ダンサーローラ6,フィルム加工機構10と、ヒートシール部11,送りローラ5c>
送りローラ5bと送りローラ5cの間には、ダンサーローラ6,ガイドローラ3j,3kが設けられている。ガイドローラ3j,3kの間には、フィルム加工機構10と、ヒートシール部11が設けられている。
フィルム加工機構10は、ヒートシールによって所望の袋が得られるようにフィルム2の加工を行う。ここでの加工とは、フィルムの折り曲げ、切断などを意味する。また、フィルム加工機構10では、ヒートシールを行う部位が複数層になるようにフィルム2を重ねて積層フィルム2dを形成する。袋の種類は限定されず、二方袋、三方袋、チャック付三方袋、合掌袋、ガゼット袋、底ガゼット袋、スタンド袋、スタンドチャック袋、四方柱平底ガゼット袋、サイドシール袋、ボトムシール袋などの何れであってもよい。
ヒートシール部11では、積層フィルム2dに対してヒートシールを行って袋状にして製袋済みフィルム2eを形成する(ヒートシール工程)。ヒートシールは、ヒートシール層を溶融可能な温度に加熱されたシールバーを、複数層に重ねたフィルム2に対して押し付けることによって行うことができる。ヒートシールは、フィルム2の長手方向に垂直な方向の横シールと、フィルム2の長手方向に沿った方向の縦シールを含むことができる。横シールと、縦シールは、どちらを先に行ってもよい。
ヒートシール部11は、内容物の充填を行う充填部を備えてもよい。この場合、例えば、縦型製袋充填機が好ましく、上方のみが開口する袋が形成されるようにヒートシールを行った後に、内容物の充填を行い、その後に内容物の上方をヒートシールして内容物を密閉することができる。
本実施形態では、小袋(100mL未満)ではなく、詰め替え用パウチや、業務用パウチの製袋を想定している。内容量として、250ml、300ml、500ml、1L、2L、5L、10L、15L、20Lなどである。そのため、シール強度を高めるために、連続シールではなく、間欠駆動のシールを行う。
間欠駆動のヒートシールでは、積層フィルム2dを停止させた状態でシールバーを積層フィルム2dに押し付ける。このため、必要な強度を得るのに十分な時間、シールバーを押し付けることが可能であるので、シール強度を高めることができる。
間欠駆動のヒートシールでは、積層フィルム2dを所定長さ分だけ送る工程と、ヒートシール工程とを繰り返すことによって、製袋済みフィルム2eを製造することができる。
内容物を充填する場合は、積層フィルム2dを所定長さ分だけ送る工程と、第1ヒートシール工程と、内容物充填工程と、第2ヒートシール工程を繰り返す。第1ヒートシール工程では、上方のみが開口する袋が形成されるようにヒートシールを行い、第2ヒートシール工程では、内容物の上方をヒートシールして内容物を密閉する。
ところで、送りローラ5cは、一対のローラで製袋済みフィルム2eを把持した状態で回転駆動されることによって製袋済みフィルム2e及びこれと繋がった積層フィルム2d及びフィルム2を長手方向に沿って移動させる機能を有する。送りローラ5bは、フィルム2を一定速度で送り、送りローラ5cは、シール時間や充填時間に合わせて、間欠的に動作して製袋済みフィルム2eを送る。
送りローラ5cが停止している間も送りローラ5bは動作を継続する。この際にフィルム2が弛むことを防ぐべく、ダンサーローラ6が位置6aと6bの間を移動するように駆動される。具体的には、送りローラ5cが停止した直後はダンサーローラ6が位置6bに配置され、その後、ダンサーローラ6は、送りローラ5bによるフィルム2の送りと同期して位置6aに向かって徐々に移動する。ダンサーローラ6がこのように移動することによってフィルム2に弛みが発生することが抑制される。
また、送りローラ5cが回転駆動される際に、ダンサーローラ6が位置6bに移動する。これによって、送りローラ5cによるフィルム2の送りがスムーズになる。ダンサーローラ6の代わりにテンションローラを用いることも可能であるが、ダンサーローラ6は、位置6aから位置6bに能動的に移動させることができるので、テンションローラよりもフィルムの送りをスムーズにすることができるという利点がある。
製袋済みフィルム2eは、送りローラ5cの下流側で必要に応じて、個別の袋が形成されるようにカットされる。
2.第2実施形態
図3を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は第1実施形態に類似しており、乾燥チャンバー8の構成の違いが主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
本実施形態では、乾燥チャンバー8内にはガイドローラ3u,3vが非平行に配置されている。フィルム2は、ガイドローラ3u,3vに螺旋状に巻かれるように案内されている。このような構成によれば、フィルム2が乾燥チャンバー8内に滞在する時間を長くすることができ、フィルム2を効果的に乾燥させることができる。
3.第3実施形態
図4を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は第1実施形態に類似しており、スプレー機構及び乾燥チャンバーの構成の違いが主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
本実施形態では、第1及び第2スプレー機構(「塗布部」の一例)7a,7bが設けられている。第1スプレー機構7aは、第1分散液13aを塗布する(第1塗布工程)。第2スプレー機構7bは、第2分散液13bを塗布する(第2塗布工程)。第1及び第2塗布工程は、別々の工程であり、第2塗布工程が第1塗布工程の後に行われる。第1分散液13aは、第1分散媒と、第1分散媒中に分散された樹脂ビーズを含む。第2分散液13bは、第2分散媒と、第2分散媒中に分散された撥水性粒子を含む。第1及び第2分散媒は、同一であっても異なっていてもよい。分散媒、樹脂ビーズ、撥水性粒子は、第1実施形態で説明した通りである。
第1塗布工程で第1分散液13aが塗布されたフィルム2は、乾燥チャンバー8に導入されて乾燥される。乾燥チャンバー8から導出されたフィルム2に対して第2塗布工程で第2分散液13bが塗布され、このフィルム2が再度乾燥チャンバー8に導入されて乾燥される。このように本実施形態では、第1塗布工程後の乾燥と、第2塗布工程後の乾燥が同一の乾燥チャンバー8で行われる。このため、設備コストを低減することができる。
また、第1分散液13aに含まれる樹脂ビーズに対しては、2回の乾燥工程が行われることになるので、樹脂ビーズがフィルム2に溶着されやすくなる。
なお、フィルム2は、ガイドローラ3b〜3f及び3l〜3pによって案内される。ガイドローラの配置及び数は、適宜変更可能である。
4.第4実施形態
図5を用いて、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は第1実施形態に類似しており、塗布部の構成の違いが主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
本実施形態の製袋装置1は、浸漬槽(塗布部」の一例)17を備える。浸漬槽17内には、第1実施形態と同様の分散液13が入っており、フィルム2に浸漬槽17内を通過させることによって、フィルム2に分散液13を塗布することができる。
本実施形態の方法では、分散液13は、フィルム2の両面の全面に塗布されるので、塗布面にローラが接触しないようにローラを配置することができない。
そこで、本実施形態は、乾燥チャンバー8の下流側に送りローラ5fを配置し、送りローラ5fでフィルム2を浸漬槽17から引き上げるように構成している。送りローラ5fは、フィルム2が乾燥した後にフィルム2に接触するので、分散液13が送りローラ5fに付着することがない。送りローラ5fが一定速度でフィルム2を引き上げることによって分散液13がフィルム2に均一に塗布される。
浸漬槽17の上流側には、送りローラ5d,5eが設けられ、送りローラ5d,5eの間にガイドローラ3sが設けられている。送りローラ5d〜5fの機能は、送りローラ5aと同様である。
送りローラ5dが原反ロール12からフィルム2を引き出し、送りローラ5dとガイドローラ3sの間においてフィルム2をたるませる。これによって、送りローラ5eにおいてフィルム2の送り速度の調整が容易になる。
送りローラ5eは、フィルム2の送り出し側が浸漬槽17の上方に位置するように配置されることが好ましい。この場合、送りローラ5eから送り出されたフィルム2がスムーズに浸漬槽17内に入る。
送りローラ5eによるフィルム2の送り速度は、送りローラ5fによるフィルム2の送り速度以上であることが好ましく、送りローラ5e,5fによるフィルム2の送り速度が等しいことがさらに好ましい。
本実施形態は、以下の変形例で実施することも可能である。
・変形例1
変形例1では、送りローラ5dが設けられず、軸12aを回転駆動することによって原反ロール12からフィルム2を巻き戻す。原反ロール12とガイドローラ3sの間においてフィルム2をたるませる。
・変形例2
変形例2では、送りローラ5dとガイドローラ3sが設けられず、送りローラ5eの送り力のみによって原反ロール12からフィルム2を巻き戻す。
・変形例3
変形例3では、浸漬槽17の代わりに、分散液13をミスト化させて形成してミストが充満したミスト室を準備し、フィルム2にミスト室内を通過させてフィルム2に分散液13のミストを付着させることによって、フィルム2に分散液13を塗布する。ミスト室は、陽圧であることが好ましい。
5.第5実施形態
本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態は第1実施形態に類似しており、分散液13及びフィルム2の違いが主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
本実施形態では、フィルム2は、塗布工程の前の時点で凹凸形状を有している。例えば、凹凸形状を形成可能な粒子を含む原料樹脂を用いてフィルム2を形成することによって、フィルム2に凹凸形状を形成することができる。このような粒子としては、上記撥水性粒子よりも大きな粒子であって、フィルム2を製造する際の成形条件で溶融しないものが好ましく、例えばシリカなどの無機粒子が挙げられる。
フィルム2が凹凸形状を有する場合、分散液13としては、樹脂ビーズを含まず、分散媒と撥水性粒子を含むものを用いることができる。凹凸形状がすでにフィルム2に形成されているからである。
6.その他
分散液13を塗布する場合の塗布方法は、上記のものに限定されず、例えばロールコーティング、グラビアコーティング、バーコート、ドクターブレードコーティング、コンマコーター、刷毛塗り等の公知の方法をいずれも採用することができる。撥水性粒子を凹凸面に塗布する場合は、ロール塗布よりもスプレーや浸漬槽による塗布の方が好ましい。凹部の細部まで撥水性粒子を付着させやすいからである。
内容物としては、ゼリー菓子、プリン、ヨーグルト、液体洗剤、練り歯磨き、カレールー、シロップ、ワセリン、マヨネーズ、ケチャップ、ソース、ドレッシング、油脂、バター、マーガリン、フラワーペースト、チョコレート、ジャム、液卵、チーズ、洗顔クリーム、洗顔ムース等のように、食品、飲料品、医薬品、化粧品、化学品等がある。また、内容物の性状も固体、半固体、液体、粘性体、ゲル状物等のように様々なものがある。さらに、内容物は、油性、水性、両性の何れであってもよい。内容物が油性である場合、撥水性粒子として、撥油性も有するものを用いることが好ましい。内容物には、固形物が含まれていてもよい。
製袋装置1の仕様は、適宜設定可能であり、製袋装置1を構成する種々の構成要素の数や配置は、適宜設定可能である。
製袋装置1において、分散液の塗布及びフィルムの乾燥を行うことの利点としては以下のものが挙げられる。
・比較的安価なフィルムが利用可能である。
・フィルム構成(層構成、厚み、など)の制限がなくなる。
・1つの原反ロールで、分散液を塗布する製品と塗布しない製品を両方製造可能になる。例えば、内容物を充填する場合、内容物の変更に伴い、塗布の有無を選択することが可能となるので、原反ロールの交換が不要となる。
1 :製袋装置
2 :フィルム
2a :塗布領域
2b :非塗布領域
2c :非塗布領域
2d :積層フィルム
2e :フィルム
3a〜3v:ガイドローラ
4 :テンションローラ
5a〜5f:送りローラ
6 :ダンサーローラ
7 :スプレー機構
7a :第1スプレー機構
7b :第2スプレー機構
8 :乾燥チャンバー
9 :冷却チャンバー
10 :フィルム加工機構
11 :ヒートシール部
12 :原反ロール
12a :軸
13 :分散液
13a :第1分散液
13b :第2分散液
14 :カバー
17 :浸漬槽

Claims (15)

  1. 塗布工程と、乾燥工程と、ヒートシール工程を備える、製袋方法であって、
    前記塗布工程では、原反ロールから巻き戻されたフィルムに分散液を塗布し、
    前記分散液は、分散媒と、前記分散媒中に分散された撥水性粒子を含み、
    前記乾燥工程では、前記分散媒を蒸発させて前記フィルムを乾燥させ、
    前記ヒートシール工程では、前記乾燥工程の後に、前記フィルムをヒートシールすることによって前記フィルムを袋状にする、製袋方法。
  2. 請求項1に記載の製袋方法であって、
    前記塗布工程では、前記フィルムに張力が加わった状態で前記分散液が塗布される、製袋方法。
  3. 請求項2に記載の製袋方法であって、
    前記ヒートシール工程では、前記ヒートシールが間欠的に行われ、
    前記塗布工程では、前記分散液を塗布する位置の前後に設けられたテンションローラと送りローラによって前記フィルムに常時張力が加えられる、製袋方法。
  4. 請求項2又は請求項3に記載の製袋方法であって、
    前記塗布は、スプレーによって行われる、製袋方法。
  5. 請求項1〜請求項4の何れか1つに記載の製袋方法であって、
    前記ヒートシールは、前記フィルムの長手方向に垂直な方向の横シールを含み、
    前記塗布工程では、前記横シールを行う領域には前記フィルムに前記分散液を塗布しない、製袋方法。
  6. 請求項1〜請求項5の何れか1つに記載の製袋方法であって、
    前記ヒートシールは、前記フィルムの長手方向に沿った方向の縦シールを含み、
    前記塗布工程では、前記縦シールを行う領域には前記フィルムに前記分散液を塗布しない、製袋方法。
  7. 請求項1〜請求項6の何れか1つに記載の製袋方法であって、
    前記塗布工程では、前記分散液は前記フィルムの一方の面に塗布され、
    前記乾燥工程では、前記フィルムはガイドローラを経由して案内され、
    前記ガイドローラは、前記一方の面に接触しないように配置される、製袋方法。
  8. 請求項1に記載の製袋方法であって、
    前記塗布は、前記フィルムに、前記分散液を含む浸漬槽内を通過させることによって行われる、製袋方法。
  9. 請求項8に記載の製袋方法であって、
    前記乾燥工程は、前記フィルムを前記浸漬槽から引き上げながら行う、製袋方法。
  10. 請求項1〜請求項9の何れか1つに記載の製袋方法であって、
    前記分散液は、前記分散媒中に分散された樹脂ビーズを含む、製袋方法。
  11. 請求項1〜請求項9の何れか1つに記載の製袋方法であって、
    前記塗布工程は、第1及び第2塗布工程を含み、
    第1塗布工程では、前記フィルムに第1分散液を塗布し、
    第2塗布工程では、前記フィルムに第2分散液を塗布し、
    第1分散液は、第1分散媒と、第1分散媒中に分散された前記樹脂ビーズを含み、
    第2分散液は、第2分散媒と、第2分散媒中に分散された前記撥水性粒子を含み、
    第1及び第2塗布工程は、別々の工程である、製袋方法。
  12. 請求項11に記載の製袋方法であって、
    第2塗布工程は、第1塗布工程の後に行われる、製袋方法。
  13. 請求項11又は請求項12に記載の製袋方法であって、
    前記乾燥工程は、第1塗布工程後と、第2塗布工程後のそれぞれに、同一の乾燥部において行われる、製袋方法。
  14. 請求項1〜請求項11の何れか1つに記載の製袋方法であって、
    前記フィルムは、前記塗布工程の前の時点で凹凸形状を有している、製袋方法。
  15. 塗布部と、乾燥部と、ヒートシール部を備える製袋装置であって、
    前記塗布部では、原反ロールから巻き戻されたフィルムに分散液を塗布し、
    前記分散液は、分散媒と、前記分散媒中に分散された撥水性粒子を含み、
    前記乾燥部では、前記分散媒を蒸発させて前記フィルムを乾燥させ、
    前記ヒートシール部では、前記乾燥工程の後に、前記フィルムをヒートシールすることによって前記フィルムを袋状にする、製袋装置。
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