JP2020082205A - ボールエンドミル - Google Patents

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Abstract

【課題】切刃の先端部における刃先強度は確保してチッピングや欠損を防ぎつつ、切刃の外周部には鋭い切れ味を与えて、仕上げ面粗さや仕上げ面精度の向上と切削抵抗の低減を図る。【解決手段】軸線回りに回転されるエンドミル本体の先端部外周に、軸線回りの回転軌跡が軸線上に中心を有し、この中心において軸線に直交する平面を越えてエンドミル本体の後端側に向けて延びる球状をなす切刃が形成され、切刃の回転軌跡の軸線に沿った断面において、切刃上の1点と中心とを結ぶ直線が中心からエンドミル本体の先端側に延びる軸線に対してなす挟角θが40°〜60°の第1の角度範囲A内で切刃の径方向すくい角αは最小となり、挟角θが80°〜100°の第2の角度範囲B内では、切刃の径方向すくい角αが最大となる。【選択図】図9

Description

本発明は、軸線回りに回転されるエンドミル本体の先端部外周に、上記軸線回りの回転軌跡が該軸線上に中心を有する球状をなす切刃が形成され、この切刃が、エンドミル本体の先端側から、上記中心において上記軸線に直交する平面を越えて後端側に向けて延びているボールエンドミルに関するものである。
金型等のアンダーカット部の裏面取り加工や5軸加工等の工作機械の主軸を傾斜させる軸傾斜切削に用いられるボールエンドミルとして、特許文献1には、軸線回りに回転されるエンドミル本体の先端部に、該軸線回りの回転軌跡が球面状をなす切刃が、上記軸線方向先端側から後端側に向けて、上記球面の中心を通り該軸線に垂直な平面を越えるように延設されており、上記切刃は、上記平面よりも上記軸線方向先端側では後端側に向かうに従いエンドミル回転方向の後方側に捩れるように形成される一方、該平面を越えた上記軸線方向後端側では、上記軸線に対する捩れ角が後端側に向かうに従い漸次小さくなるようにされたものが記載されている。
特開2010−030023号公報
ところで、このように軸線回りの回転軌跡が軸線上に中心を有する球状をなす切刃がエンドミル本体の先端側から上記中心において上記軸線に直交する平面を越えて後端側に向けて延びているボールエンドミルでは、回転軌跡が球状をなす切刃の外周部は軸線からの半径が大きいので周速が高く、切れ味が鋭くなるために専ら仕上げ加工に使用されることが多い。また、この外周部よりもエンドミル本体の先端側の切刃の先端部は専ら荒加工に使用されることが多い。
しかしながら、そのようなボールエンドミルにおいて、切刃の先端部における刃先強度が乏しいと、荒加工の際に切屑の厚さが厚くなることにより作用する大きな切削抵抗や切削負荷によって切刃にチッピングや欠損が生じてしまい、工具寿命が短縮されてしまうおそれがある。一方、切刃の外周部では、切刃の切れ味が鈍いと、周速が速くても仕上げ加工において良好な仕上げ面粗さや仕上げ面精度を得ることができなくなるとともに、切削抵抗の増大を招いてしまうおそれがある。
本発明は、このような背景の下になされたもので、切刃がエンドミル本体の先端側から切刃の回転軌跡がなす球の中心において軸線に直交する平面を越えて後端側に向けて延びているボールエンドミルにおいて、切刃の先端部における刃先強度は確保してチッピングや欠損を防ぎつつ、切刃の外周部には鋭い切れ味を与えることができて、仕上げ面粗さや仕上げ面精度の向上と切削抵抗の低減を図ることが可能なボールエンドミルを提供することを目的としている。
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は、軸線回りに回転されるエンドミル本体の先端部外周に、上記エンドミル本体の先端から後端側に向けて延びる切屑排出溝が形成され、この切屑排出溝のエンドミル回転方向を向いてすくい面とされる壁面と上記すくい面に交差する逃げ面との交差稜線部に、上記軸線回りの回転軌跡が上記軸線上に中心を有する球状をなす切刃が形成されたボールエンドミルであって、上記切刃は、上記エンドミル本体の先端側から、上記中心において上記軸線に直交する平面を越えて上記エンドミル本体の後端側に向けて延びており、上記切刃の上記軸線回りの回転軌跡の上記軸線に沿った断面において、上記切刃上の1点と上記中心とを結ぶ直線が上記中心から上記エンドミル本体の先端側に延びる上記軸線に対してなす挟角が40°〜60°の第1の角度範囲内で、上記1点を通り上記軸線に直交する断面における上記切刃の径方向すくい角は最小となり、上記切刃の上記軸線回りの回転軌跡の上記軸線に沿った断面において、上記切刃上の1点と上記中心とを結ぶ直線が上記中心から上記エンドミル本体の先端側に延びる上記軸線に対してなす挟角が80°〜100°の第2の角度範囲内では、上記1点を通り上記軸線に直交する断面における上記切刃の径方向すくい角が最大となることを特徴とする。
このように構成されたボールエンドミルでは、球状をなす上記回転軌跡の上記軸線に沿った断面において、上記切刃上の1点と上記中心とを結ぶ直線が上記中心から上記エンドミル本体の先端側に延びる上記軸線に対してなす挟角が40°〜60°の第1の角度範囲内、すなわち切刃の先端部で、上記1点を通り上記軸線に直交する断面における切刃の径方向すくい角は最小となるので、切刃の刃物角を大きくすることができる。このため、切刃の刃先強度を確保して、荒加工の際の大きな切削負荷に対してもチッピングや欠損が生じるのを防ぐことができる。
その一方で、上記挟角が80°〜100°の第2の角度範囲内、すなわち切刃の外周部では、切刃の径方向すくい角が最大となり、切れ味を鋭くすることができる。このため、切刃の外周部を仕上げ加工に用いる場合において、軸線からの半径が大きいために周速が速いこととも相俟って良好な仕上げ面粗さや仕上げ面精度を得ることができるとともに、切削抵抗の低減を図ることができる。
ここで、切刃の径方向すくい角が最小となる位置が、上記挟角が40°〜60°の第1の角度範囲よりもエンドミル本体の先端側に位置していると、軸線近傍の切刃の先端部における径方向すくい角が小さくなりすぎてしまう。上記挟角が40°未満の角度範囲の軸線近傍の最先端部は周速が遅いため、径方向すくい角が小さすぎると切刃が被削材を擦り付けるような切削形態となり、切刃の摩耗が著しくなる。さらに、この軸線近傍の最先端部において切刃により生成される切屑は厚さが薄いため切刃に作用する切削負荷は小さいので、上記挟角が40°未満の角度範囲の切刃の径方向すくい角は最小の径方向すくい角より大きくてもよい。
また、切刃の径方向すくい角が最小となる位置が、上記挟角が40°〜60°の第1の角度範囲よりもエンドミル本体の後端側に位置していたり、切刃の径方向すくい角が最大となる位置が、上記挟角が80°〜100°の第2の角度範囲よりもエンドミル本体の先端側に位置していたりすると、切刃の先端部と外周部との間で径方向すくい角を急激に変化させなければならなくなって、すくい面に歪みが生じて切削抵抗の増大を招くおそれがある。
さらに、切刃の径方向すくい角が最大となる位置が、上記挟角が80°〜100°の第2の角度範囲よりもエンドミル本体の後端側に位置していると、周速が速いために仕上げ加工の際に専ら使用される切刃の外周部に最も鋭い切れ味を与えることができず、非効率的である。
なお、上記第1の角度範囲における上記切刃の最小の径方向すくい角は−15°以上であることが望ましい。この第1の角度範囲における上記切刃の最小の径方向すくい角が−15°を下回るほど小さいと、切刃の先端部を荒加工に用いた際に作用する切削抵抗による切削負荷が大きくなりすぎて、刃物角を大きくすることができてもチッピングや欠損が生じるおそれがある。このような先端部における荒加工の際の切刃のチッピングや欠損を一層確実に防ぐには、この第1の角度範囲における切刃の最小の径方向すくい角は、−10°以上であることがより望ましい。
一方、上記第2の角度範囲における上記切刃の最大の径方向すくい角は+15°以下であることが望ましい。この第2の角度範囲における切刃の最大の径方向すくい角が15°を上回ると、切刃の外周部における刃物角が小さくなりすぎて刃先強度が損なわれ、切屑の厚さが薄い仕上げ加工に用いた場合においても切刃にチッピングや欠損が生じるおそれがある。このような外周部における仕上げ加工の際の切刃のチッピングや欠損を一層確実に防ぐには、この第2の角度範囲における上記切刃の最大の径方向すくい角は+10°以下であることがより望ましい。
また、上述のように上記挟角が40°未満の角度範囲の切刃の最先端部では、切刃により生成される切屑は厚さが薄いため切刃に作用する切削負荷は小さいので、上記第1の角度範囲における上記切刃の径方向すくい角は、上記エンドミル本体の先端側から後端側に向かうに従い漸次小さくなって上記最小の径方向すくい角となり、次いで漸次大きくなっていればよい。
さらに、最も周速が速い上記挟角が90°付近となる切刃の最外周部近傍において最も鋭い切れ味を確保するには、上記第2の角度範囲における上記切刃の径方向すくい角も、上記エンドミル本体の先端側から後端側に向かうに従い漸次大きくなって上記最大の径方向すくい角となり、次いで漸次小さくなっているのが望ましい。
以上説明したように、本発明によれば、切刃がエンドミル本体の先端側から切刃の回転軌跡がなす球の中心において軸線に直交する平面を越えて後端側に向けて延びているボールエンドミルにおいて、上記第1の角度範囲の切刃の先端部においては刃先強度を確保してチッピングや欠損を防ぐことができるとともに、上記第2の角度範囲の切刃の外周部においては鋭い切れ味を切刃に与えることができ、仕上げ面粗さ、仕上げ面精度の向上や切削抵抗の低減を図ることが可能となる。
本発明の一実施形態を示すエンドミル本体の先端部の斜視図である。 図1に示す実施形態の正面図である。 図1に示す実施形態の側面図である。 図3におけるVV断面図(切刃上の1点と切刃の中心とを結ぶ直線が切刃の中心からエンドミル本体の先端側に延びる軸線に対してなす挟角が30°の位置における上記切刃上の1点を通りエンドミル本体の軸線に直交する断面図)である(ただし、長切刃が上下に位置するように示されている。)。 図3におけるWW断面図(切刃上の1点と切刃の中心とを結ぶ直線が切刃の中心からエンドミル本体の先端側に延びる軸線に対してなす挟角が第1の角度範囲内である50°の位置における上記切刃上の1点を通りエンドミル本体の軸線に直交する断面図)である(ただし、長切刃が上下に位置するように示されている。)。 図3におけるXX断面図(切刃上の1点と切刃の中心とを結ぶ直線が中心からエンドミル本体の先端側に延びる軸線に対してなす挟角が70°の位置における上記切刃上の1点を通りエンドミル本体の軸線に直交する断面図)である(ただし、長切刃が上下に位置するように示されている。)。 図3におけるYY断面図(切刃上の1点と切刃の中心とを結ぶ直線が切刃の中心からエンドミル本体の先端側に延びる軸線に対してなす挟角が第2の角度範囲内である90°の位置における上記切刃上の1点を通りエンドミル本体の軸線に直交する断面図)である(ただし、長切刃が上下に位置するように示されている。また、クーラント孔は図示が略されている。)。 図3におけるZZ断面図(切刃上の1点と切刃の中心とを結ぶ直線が切刃の中心からエンドミル本体の先端側に延びる軸線に対してなす挟角が110°の位置における上記切刃上の1点を通りエンドミル本体の軸線に直交する断面図)である(ただし、長切刃が上下に位置するように示されている。また、クーラント孔は図示が略されている。)。 図1に示す実施形態における切刃の軸線回りの回転軌跡の軸線に沿った断面において、切刃上の1点と切刃の中心とを結ぶ直線が切刃の中心からエンドミル本体の先端側に延びる軸線に対してなす挟角と、この切刃上の1点を通り軸線に直交する断面における径方向すくい角との関係を示す図である。
図1ないし図9は、本発明の一実施形態を示すものである。本実施形態において、エンドミル本体1は、超硬合金等の硬質材料によって軸線Oを中心とした概略円柱状に一体に形成されている。このエンドミル本体1の後端部(図1において右上側の部分。図3においては右側部分)の部分は円柱状のままのシャンク部2とされるとともに、エンドミル本体1の先端部(図1において左下側の部分。図3においては左側部分)は切刃部3とされている。
このようなボールエンドミルは、シャンク部2が工作機械の主軸に把持されて軸線O回りにエンドミル回転方向Tに回転されつつ、切刃部3によって被削材に切削加工を施し、金型等のアンダーカット部の裏面取り加工や5軸加工等の工作機械の主軸を傾斜させる軸傾斜切削に用いられる。
切刃部3には、エンドミル本体1の先端から後端側に向かうに従いエンドミル回転方向Tとは反対側に捩れる複数条(本実施形態では4条)の切屑排出溝4が周方向に間隔をあけて形成されている。そして、これらの切屑排出溝4のエンドミル回転方向Tを向いてすくい面5とされる壁面と、周方向に隣接する切屑排出溝4の間を切刃部3の先端内周部から後端外周部に延びてこのすくい面5に交差する逃げ面6との交差稜線部には、切刃7がそれぞれ形成されている。
これらの切刃7は、互いの軸線O回りの回転軌跡が重なり合うとともに、この軸線O回りの回転軌跡が軸線O上に中心Cを有する球状に形成されている。さらに、これらの切刃7が軸線O回りになす回転軌跡は、切刃部3の先端から後端側に向けて上記中心Cを通り軸線Oに直行する平面Pを越える範囲にまで形成されている。
すなわち、通常の底刃の回転軌跡が半球状となるボールエンドミルでは、切刃の軸線回りの回転軌跡の軸線に沿った断面においては、この回転軌跡が半球状の底刃の後端とその中心とを結ぶ直線が上記中心からエンドミル本体の先端側に延びる軸線に対してなす挟角は90°である。これに対して、本実施形態では、切刃7の後端と上記中心Cとを結ぶ直線が中心Cからエンドミル本体1の先端側に延びる軸線Oに対してなす挟角θが例えば120°とされている。従って、切刃部3の後端に連なる上記シャンク部2の先端部の外径は、切刃7の最大外径である上記中心Cに垂直な平面Pの位置における外径よりも小さくされている。
また、4つの切刃7のうち、軸線Oを間にして反対側に位置する2つの切刃7は、切刃部3先端の軸線O近傍から延びる長切刃7aとされている。これに対して、残りの2つの切刃7は、その逃げ面6の切刃部3における先端側部分(軸線Oの周辺部分)が切り欠かれることにより、軸線Oから外周側に間隔をあけた位置から後端側に延びる短切刃7bとされている。なお、エンドミル本体1の切刃部3は、軸線Oに関して180°回転対称形状とされている。
さらに、切屑排出溝4には、切刃部3の先端側の部分に、上記すくい面5から切屑排出溝4のエンドミル回転方向Tとは反対側を向く壁面を切り欠くようにして、凹溝状のギャッシュ4aが形成されている。従って、切刃部3の先端側、例えば上記挟角θが90°以下の範囲では、切刃7は、このギャッシュ4aのエンドミル回転方向Tを向く壁面と上記逃げ面6との交差稜線部に形成される。
さらに、本実施形態では、切屑排出溝4が上述のようにエンドミル本体1の先端から後端側に向かうに従いエンドミル回転方向Tとは反対側に捩れていて、すくい面5も切刃部3の先端内周部から後端外周部に向かうに従いエンドミル回転方向Tとは反対側に延びていることから、切刃7もエンドミル本体1の先端から後端側に向かうに従いエンドミル回転方向Tとは反対側に捩れている。これにより、切刃7には正角のすくい角が与えられている。
そして、この切刃7の1点を通り軸線Oに直交する断面における径方向すくい角αは、切刃7の軸線O回りの回転軌跡の軸線Oに沿った断面において、切刃7上の1点と上記中心Cとを結ぶ直線が上記中心Cからエンドミル本体1の先端側に延びる軸線Oに対してなす挟角θが40°〜60°の第1の角度範囲A内で最小となる。本実施形態では、後述する図9に示すように上記挟角θが略55°の切刃7の1点において最小の径方向すくい角αが約−8.88°の負角となる。
一方、この切刃7の1点を通り軸線Oに直交する断面における径方向すくい角αは、同じく切刃7の軸線O回りの回転軌跡の軸線Oに沿った断面において、切刃7上の1点と上記中心Cとを結ぶ直線が上記中心Cからエンドミル本体1の先端側に延びる軸線Oに対してなす挟角θが80°〜100°の第2の角度範囲B内で図7に示すように最大となる。本実施形態では、次述する図9に示すように上記挟角θが略90°の切刃7の1点において図7に示した最大の径方向すくい角αが約+9.80°の正角となる。
ここで、図9は、本実施形態における切刃部3の切刃7の軸線O回りの回転軌跡の軸線Oに沿った断面において、切刃7上の1点と切刃7の中心Cとを結ぶ直線が切刃7の中心Cからエンドミル本体1の先端側に延びる軸線Oに対してなす挟角θと、この切刃7上の1点を通り軸線Oに直交する断面における径方向すくい角α(°)との関係を示す図である。
この図9から分かるように、切刃7の径方向すくい角αは、上記第1の角度範囲Aにおいては、エンドミル本体1の先端側から後端側に向かうに従い漸次小さくなって上記最小の径方向すくい角αとなり、次いで漸次大きくなっている。また、上記第2の角度範囲における切刃7の径方向すくい角θは、第1の角度範囲Aから引き続きエンドミル本体1の後端側に向かうに従い漸次大きくなって上記最大の径方向すくい角αとなり、次いで漸次小さくなっている。
なお、エンドミル本体1には、シャンク部2の後端面から軸線Oに沿ってクーラント孔8が先端側に向けて延びるように形成されている。そして、このクーラント孔8は、切刃部3の上記中心Cにおいて切屑排出溝4と同数(本実施形態では4つ)に分岐して中心Cから放射状に延び、上記第1の角度範囲Aと第2の角度範囲Bとの間の切刃7上の1点と上記中心Cとを結ぶ直線が中心Cからエンドミル本体1の先端側に延びる軸線Oに対してなす挟角θが60°〜80°の角度範囲において、切屑排出溝4のエンドミル回転方向Tとは反対側を向く壁面のすくい面5側に開口している。ここで、クーラント孔8は断面円形である。
このように構成されたボールエンドミルでは、球状をなす切刃7の回転軌跡の軸線Oに沿った断面において、切刃7上の1点と上記中心Cとを結ぶ直線が中心Cからエンドミル本体1の先端側に延びる軸線Oに対してなす挟角θが40°〜60°の第1の角度範囲A内で、上記1点を通り軸線Oに直交する断面における切刃7の径方向すくい角αが最小となる。このため、この第1の角度範囲Aでは、切刃7の刃物角を大きくして刃先強度を確保することができる。
そして、この第1の角度範囲A内は、専ら荒加工に使用される切刃7の先端部であるので、この荒加工の際に厚さの厚い切屑が生成されることにより作用する大きな切削負荷に対して、切刃7にチッピングや欠損が生じるのを防いで、工具寿命を延長することが可能となる。
一方、上記挟角θが80°〜100°の第2の角度範囲Bは、専ら仕上げ加工に使用される切刃7の外周部であり、上記構成のボールエンドミルでは、この第2の角度範囲Bにおいて切刃7の径方向すくい角αが最大となる。このため、仕上げ加工においては、切れ味を鋭くすることができ、軸線Oからの半径が大きいために周速が速いこととも相俟って良好な仕上げ面粗さや仕上げ面精度を得ることができるとともに、切削抵抗の低減を図ることが可能となる。
ここで、切刃7の径方向すくい角αが最小となる位置が、上記挟角θが40°〜60°の第1の角度範囲Aよりもエンドミル本体1の先端側に位置していると、軸線Oからの距離が短いために周速が遅くて切刃が被削材を擦り付けるような切削形態となる軸線O近傍の切刃7の先端部における径方向すくい角αが小さくなりすぎてしまい、切刃7の摩耗が著しくなって工具寿命が短縮することになる。一方、この軸線O近傍の最先端部において切刃7により生成される切屑は厚さが薄くて切刃7に作用する切削負荷は小さいので、上記挟角θが40°未満の角度範囲の切刃7の径方向すくい角αは最小の径方向すくい角より大きくてもよい。
また、切刃7の径方向すくい角αが最小となる位置が、上記挟角θが40°〜60°の第1の角度範囲Aよりもエンドミル本体1の後端側に位置していたり、切刃7の径方向すくい角αが最大となる位置が、上記挟角θが80°〜100°の第2の角度範囲Bよりもエンドミル本体1の先端側に位置していたりすると、切刃7の先端部と外周部との間で径方向すくい角αを急激に変化させなければならず、すくい面5に歪みが生じて切削抵抗の増大を招くおそれがある。
さらに、切刃7の径方向すくい角αが最大となる位置が、上記挟角θが80°〜100°の第2の角度範囲Bよりもエンドミル本体1の後端側に位置していると、周速が速いために仕上げ加工の際に専ら使用される切刃7の外周部に最も鋭い切れ味を与えることができなくなって、非効率的となる。
なお、上記第1の角度範囲Aにおける切刃7の最小の径方向すくい角αは−15°以上であることが望ましい。この第1の角度範囲Aにおける切刃7の最小の径方向すくい角αが−15°を下回るほど小さいと、切刃7の先端部を荒加工に用いた際に作用する切削抵抗による切削負荷が大きくなりすぎて、刃物角を大きくすることができてもチッピングや欠損が生じるおそれがある。ここで、このような切刃7の先端部におけるチッピングや欠損を一層確実に防ぐには、この第1の角度範囲Aにおける切刃7の最小の径方向すくい角αは、−10°以上であることがより望ましい。
一方、上記第2の角度範囲Bにおける切刃7の最大の径方向すくい角αは+15°以下であることが望ましい。この第2の角度範囲Bにおける切刃7の最大の径方向すくい角αが15°を上回ると、切刃7の外周部における刃物角が小さくなりすぎて刃先強度が損なわれ、切屑の厚さが薄い仕上げ加工に用いた場合においても切刃7にチッピングや欠損が生じるおそれがある。ここで、このような外周部における切刃7のチッピングや欠損を一層確実に防ぐには、この第2の角度範囲Bにおける切刃7の最大の径方向すくい角αは+10°以下であることがより望ましい。
また、上述のように第1の角度範囲Aよりも先端側の上記挟角θが40°未満の角度範囲の切刃7の最先端部では、切刃7によって生成される切屑は厚さが薄いため切刃7に作用する切削負荷は小さい。このため、上記第1の角度範囲Aにおける切刃7の径方向すくい角αは、エンドミル本体1の先端側から後端側に向かうに従い漸次小さくなって上記最小の径方向すくい角αとなり、次いで漸次大きくなっていればよい。
さらに、最も周速が速い上記挟角が90°付近となる切刃7の最外周部近傍において最も鋭い切れ味を確保するには、上記第2の角度範囲Bにおける切刃7の径方向すくい角αも、エンドミル本体1の先端側から後端側に向かうに従い漸次大きくなって上記最大の径方向すくい角αとなり、次いで漸次小さくなるのが望ましい。
さらにまた、本実施形態では、エンドミル本体1に軸線Oに沿ってクーラント孔8が形成されており、このクーラント孔8は、切刃部3の上記中心Cにおいて切屑排出溝4と同数に分岐して中心Cから放射状に延びている。そして、分岐したクーラント孔8は、上記第1の角度範囲Aと第2の角度範囲Bとの間の、切刃7上の1点と上記中心Cとを結ぶ直線が中心Cからエンドミル本体1の先端側に延びる軸線Oに対してなす挟角θが60°〜80°の角度範囲において、切屑排出溝4のエンドミル回転方向Tとは反対側を向く壁面のすくい面5側に開口している。
従って、切削加工時にエンドミル本体1の後端側からクーラント孔8にクーラントを供給すると、このクーラントは分岐したクーラント孔8から上記第2の角度範囲Bよりも僅かにエンドミル本体1の先端側に噴出させられる。ここで、本実施形態における切屑排出溝4および切刃7は、上述のようにエンドミル本体1の先端から後端側に向かうに従いエンドミル回転方向Tとは反対側に捩れているので、こうして第2の角度範囲Bよりもエンドミル本体1の先端側に噴出したクーラントは、エンドミル本体1の回転に伴い切屑排出溝4のエンドミル本体1後端側に流れ込む。
このため、本実施形態によれば、仕上げ加工の際に、こうして第2の角度範囲Bに流れ込んだクーラントを上記挟角θが90°付近の切刃7の外周部に集中的に供給して、切刃7の外周部や仕上げ加工の際の被削材の切削部位の潤滑、冷却を図ることにより、工具寿命を一層延長させることができる。また、こうして切刃7の外周部に供給されたクーラントは、さらにエンドミル本体1の後端側に流れ込むので、このクーラントに伴って切屑を効率的に排出することができ、切屑詰まりの発生を防いで切削抵抗をさらに低減することが可能となる。
ただし、クーラント孔8が分岐するのは必ずしも切刃部3の中心Cではなくてもよく、また分岐するクーラント孔8は切屑排出溝4と同数でなくてもよく、さらに分岐したクーラント孔8が開口するのも、切刃7上の1点と上記中心Cとを結ぶ直線が中心Cからエンドミル本体1の先端側に延びる軸線Oに対してなす挟角θが60°〜80°の角度範囲において、切屑排出溝4のエンドミル回転方向Tとは反対側を向く壁面のすくい面5側でなくてもよい。
なお、本実施形態では、エンドミル本体1の切刃7が形成された切刃部3がシャンク部2と一体に形成されたソリッドタイプのボールエンドミルに本発明を適用した場合について説明したが、例えば切刃部3が形成されたヘッド部材が超硬合金や鋼材により形成されたシャンク部2の先端部に着脱可能に取り付けられたヘッド交換式のボールエンドミルに本発明を適用することも可能である。
1 エンドミル本体
2 シャンク部
3 切刃部
4 切屑排出溝
5 すくい面
6 逃げ面
7 切刃
8 クーラント孔
O エンドミル本体1の軸線
T エンドミル回転方向
C 切刃7の軸線O回りの回転軌跡がなす球の中心
P 中心Cを通り軸線Oに直行する平面
θ 切刃7の軸線O回りの回転軌跡の軸線Oに沿った断面において、切刃7上の1点と中心Cとを結ぶ直線が中心Cからエンドミル本体1の先端側に延びる軸線Oに対してなす挟角
α 軸線Oに直交する断面における切刃7の径方向すくい角
A 第1の角度範囲
B 第2の角度範囲

Claims (7)

  1. 軸線回りに回転されるエンドミル本体の先端部外周に、上記エンドミル本体の先端から後端側に向けて延びる切屑排出溝が形成され、この切屑排出溝のエンドミル回転方向を向いてすくい面とされる壁面と上記すくい面に交差する逃げ面との交差稜線部に、上記軸線回りの回転軌跡が上記軸線上に中心を有する球状をなす切刃が形成されたボールエンドミルであって、
    上記切刃は、上記エンドミル本体の先端側から、上記中心において上記軸線に直交する平面を越えて上記エンドミル本体の後端側に向けて延びており、
    上記切刃の上記軸線回りの回転軌跡の上記軸線に沿った断面において、上記切刃上の1点と上記中心とを結ぶ直線が上記中心から上記エンドミル本体の先端側に延びる上記軸線に対してなす挟角が40°〜60°の第1の角度範囲内で、上記1点を通り上記軸線に直交する断面における上記切刃の径方向すくい角は最小となり、
    上記切刃の上記軸線回りの回転軌跡の上記軸線に沿った断面において、上記切刃上の1点と上記中心とを結ぶ直線が上記中心から上記エンドミル本体の先端側に延びる上記軸線に対してなす挟角が80°〜100°の第2の角度範囲内では、上記1点を通り上記軸線に直交する断面における上記切刃の径方向すくい角が最大となることを特徴とするボールエンドミル。
  2. 上記第1の角度範囲における上記切刃の最小の径方向すくい角は−15°以上であることを特徴とする請求項1に記載のボールエンドミル。
  3. 上記第2の角度範囲における上記切刃の最小の径方向すくい角は−10°以上であることを特徴とする請求項1に記載のボールエンドミル。
  4. 上記第1の角度範囲における上記切刃の最大の径方向すくい角は+15°以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のボールエンドミル。
  5. 上記第2の角度範囲における上記切刃の最大の径方向すくい角は+10°以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のボールエンドミル。
  6. 上記第1の角度範囲における上記切刃の径方向すくい角は、上記エンドミル本体の先端側から後端側に向かうに従い漸次小さくなって上記最小の径方向すくい角となり、次いで漸次大きくなることを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載のボールエンドミル。
  7. 上記第2の角度範囲における上記切刃の径方向すくい角は、上記エンドミル本体の先端側から後端側に向かうに従い漸次大きくなって上記最大の径方向すくい角となり、次いで漸次小さくなることを特徴とする請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載のボールエンドミル。
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