JP2020081476A - 吸収性物品 - Google Patents
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Abstract
Description
また、吸収性物品においては、従来よりも厚みがあってクッション性の良い不織布が肌触りの向上の観点から求められている。しかし、厚みをより大きくした不織布を吸収体よりも肌側に配置した場合、該不織布の肌側表面から吸収体までの距離が大きくなるため、該不織布から排泄液(体液)を引き抜く点において改善の余地があった。
測定対象の不織布を10cm×10cmに切る。10cm×10cmがとれない場合はできるだけ大きな面積に切る。なお、50Pa荷重は少なくとも凸部2か所以上に加えるものする。レーザー厚み計(オムロン株式会社製ZSLD80)を使用し、50Paの荷重時の厚みを測定する。3箇所測定し、平均値を測定対象の不織布の見掛け厚みとする。
また、測定対象の不織布が生理用品や使い捨ておむつなどの吸収性物品に組み込まれた部材(例えば、表面シート)である場合は、コールドスプレー等の冷却手段で接着剤等の接着力を弱め、取り外して上記測定を行う。この不織布を取り出す手段は、本明細書中の他の測定においても同様である。
まず、KES圧縮試験機(カトーテック株式会社製KES FB−3)を用い、不織布について、端子のスピードを0.1mm/sに設定した以外は通常モードで5kPaまでの圧縮を行う。次に、0.1〜2.5kPaまでの変形量を抽出し、圧縮変形量とする。圧縮変形量が大きい程、人が触る荷重に対して、大きく変形するために、クッション性を感じやすくなる。
本発明で用いられる液膜開裂剤は、液膜を消失させる性質を有しており、斯かる性質により、該液膜開裂剤を、血漿成分を主体とする試験液又は人工尿に適用した場合に、液膜消失効果を発現し得る。血漿成分を主体とする試験液は、馬脱繊維血液(株式会社日本バイオテスト研究所製)を使用する。馬脱繊維血液は、放置すると、粘度の高い部分(赤血球など)は沈殿し、粘度の低い部分(血漿)は、上澄みとして残る。その部分の混合比率を8.0cPになるように粘度計(東機産業株式会社製TVB10形)にて調整し、血漿成分を主体とする試験液とする。人工尿は、尿素1.940質量%、塩化ナトリウム0.795質量%、硫酸マグネシウム0.111質量%、塩化カルシウム0.062質量%、硫酸カリウム0.198質量%、赤色2号(染料)0.005質量%、水(96.882質量%)及びポリオキシエチレンラウリルエーテル(0.007質量%)の組成を有する混合物を、表面張力を53±1mN/m(23℃)に調整したものである。
前記試験液は、上述の試験液と同一である。
ここでいう液膜消失効果には、試験液又は人工尿から形成される液膜によって空気が抱えこまれた構造体について、該構造体の液膜形成を阻害する効果と、形成された該構造体を消失させる効果との双方が含まれ、少なくとも一方の効果を発現する剤は、液膜消失効果を発現し得る性質を有していると言える。具体的には、ある剤が前記の「液膜を消失させる性質」の程度は、当該剤が適用された前記試験液又は人工尿から形成される前記構造体が発生しやすい状態にした場合の、該構造体即ち液膜の量の多少で判断される。すなわち、前記試験液又は人工尿を、温度25℃に調整し、その後、スクリュー管(株式会社マルエム製 No.5 胴径27mm、全長55mm)に10g入れて、標準サンプルを得る。また、測定サンプルとして、標準サンプルと同じものに、25℃に予め調整した測定対象の剤を0.01g添加したものを得る。標準サンプルと測定サンプルをそれぞれ前記スクリュー管の上下方向に2往復強く振とうした後、水平面上に速やかに載置する。このサンプルの振とうにより、振とう後のスクリュー管の内部には、前記構造体の無い液体層(下層)と、該液体層の上に形成された多数の該構造体からなる構造体層(上層)とが形成される。振とう直後から10秒経過後に、両サンプルの構造体層の高さ(液体層の液面から構造体層上面までの高さ)を測定する。そして、標準サンプルの構造体層の高さに対して、測定サンプルの構造体層の高さが90%以下となった場合、測定対象の剤は液膜開裂効果を有しているとする。
本発明で用いられる液膜開裂剤は、前記の性質に当てはまる単一の化合物もしくは前記の性質に当てはまる単一の化合物を複数組み合わせた混合物、又は複数の化合物の組み合わせによって前記の性質を満たす(液膜の開裂を発現し得る)剤である。つまり液膜開裂剤とは、あくまで前記定義によるところの液膜開裂効果があるものに限定した剤のことである。したがって、吸収性物品中に適用されている化合物に、前記定義に当てはまらない第三成分を含む場合には、液膜開裂剤と区別する。
なお、液膜開裂剤及び第三成分について、「単一の化合物」とは、同じ組成式を有するが、繰り返し単位数が異なることにより、分子量が異なる化合物を含める概念である。
液膜開裂剤としては、国際公開第2016/098796号の明細書の段落[0007]〜[0186]に記載のものから適宜に選んで用いることができる。液膜開裂剤の好ましい実施態様については更に後述する。
S=γw−γo−γwo ・・・・・ (1)
γw:液膜(液体)の表面張力
γo:液膜開裂剤の表面張力
γwo:液膜開裂剤の液膜との界面張力
拡張係数はその数式からもわかるように、対象となる液の表面張力により、その数値が変化する。例えば、対象液の表面張力が72mN/m、液膜開裂剤の表面張力が21mN/m、これらの界面張力が0.2mN/mの場合、拡張係数は50.8mN/mとなる。
また、対象液の表面張力が30mN/m、液膜開裂剤の表面張力21mN/m、これらの界面張力が0.2mN/mの場合、拡張係数は8.8mN/mとなる。
本明細書では、表面張力50mN/mにおける数値を定義したが、表面張力が異なったとしても、その各物質同士の拡張係数の数値の大小関係に変化はないことから、体液の表面張力が仮に、日ごとの体調などで変化したとしても、拡張係数が大きい剤ほど優れた液膜開裂効果を示す。
液膜開裂剤又は化合物Aは、不織布において後述する液膜開裂効果を有するためには、液膜開裂剤が体液に触れた際に液状として存在する必要がある。この点から、液膜開裂剤が含む化合物Aの融点は40℃以下であることが好ましく、35℃以下であることがより好ましい。さらに、本発明に係る液膜開裂剤が含む化合物Aの融点は−220℃以上が好ましく、−180℃以上がより好ましい。
上記の質量比、各含有割合(OPU)は、国際公開第2016/098796号の明細書の段落[0018]に記載の方法を準用して測定することができる。なお、上記の不織布全体に対する液膜開裂剤の含有割合(OPU)を測定する際には不織布全体を測定対象とし、上記の不織布凸部に対する液膜開裂剤の含有割合(OPU)を測定する際には、不織布を厚み方向に3等分し、切り出した凸部のみを測定対象とする。
測定対象の不織布の質量を測定した後、エタノール、水などの溶剤・溶媒を使用し、表面材に付着している液膜開裂剤及びその他の成分(接着剤など)を取り出す。その残渣の質量から液膜開裂剤及びその他の成分を合計した質量を算出する。
その後、抽出物をカラム・溶媒などの測定条件を適切に設定した上で、液体クロマトグラフィーを用いて、分離、単離する。そのときの分離物の質量比で、液膜開裂剤及びその他の成分を明らかにする。
質量比と前記残渣の質量、及び分析に用いた不織布質量を用いて、各成分の質量%を算出する。
尚、分離物の中で、どれが液膜開裂剤及びその他の成分かどうかは、下記の測定法により物質の分子構造を同定し、該当する構造物単体を入手して物性を測定した上で判断する。
前記分離物を質量分析(MS)、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC)のいずれかの分析法を用いて、分子量を測定する。
その他、1H−NMR、13C−NMR、29Si−NMRを利用して、分子骨格を同定し、IRを用いて、所有する官能基を同定し、元素分析を用いて元素の割合を明らかにした上で、上記全ての情報を総合して分子構造を同定する。
分離カラム:GMHHR−H+GMHHR−H(カチオン)
溶離液:LファーミンDM20/CHCl3
溶媒流速:1.0mL/min
分離カラム温度:40℃
上記観点から、該POA基の付加モル数が1以上であるものが好ましい。この下限値以上とすることで、上記の液膜開裂作用にとって界面張力が低くなることにより、拡張係数が大きくなることから、十分な液膜開裂効果を得ることができる。また同様の観点から、付加モル数は2以上がより好ましく、3以上がさらに好ましい。一方、付加モル数は、6以下が好ましく、5以下がより好ましく、4以下が更に好ましい。付加モル数をこの上限値以下とすることで、見かけ厚み3mm以上の不織布において液膜開裂剤の開裂速度が最適となり、液残り低減効果を最大化することができる。
変性シリコーンの変性率は、液膜開裂作用(特に拡張性)に必要な親水性を保持するため、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、20%以上が更に好ましい。また、液膜開裂作用に必要な水不溶性を保つため、50%以下が好ましく、40%以下がより好ましく30%以下が更に好ましい。なお、前記変性シリコーンの変性率とは、変性シリコーン1分子中のシロキサン結合部の繰り返し単位の総個数に対する、変性したシロキサン結合部の繰り返し単位の個数の割合である。例えば、国際公開第2016/098796号の段落[0042]〜[0046]に記載の式[I]及び[IV]では(n/m+n)×100%であり、式[II]では、(2/m)×100%であり、式[III]では(1/m)×100%である。
また、前述の拡張係数及び水溶解度は、POA変性シリコーンにおいて、それぞれ、上記したもの以外にも、変性基を水可溶性のPOE基と水不溶性のPOP基及びPOB基を併用すること、水不溶性のシリコーン鎖の分子量を変化させること、変性基としてPOA変性に加えてアミノ基、エポキシ基、カルボキシ基、水酸基、カルビノール基などを導入すること等により、所定の範囲に設定できる。
また、前述の拡張係数、表面張力、界面張力及び水溶解度は、それぞれ、ポリエーテル化合物やノニオン界面活性剤において、水溶性のPOE基と水不溶性のPOP基及びPOB基を併用すること、炭化水素鎖の鎖長を変化させること、炭化水素鎖に分岐鎖を有するものを用いること、炭化水素鎖に二重結合を有するものを用いること、炭化水素鎖にベンゼン環やナフタレン環を有するものを用いること、又は上記を適宜組み合わせること等により、所定の範囲に設定できる。
また、液膜開裂剤の成分が、主鎖がシロキサン鎖を有する化合物又は炭素原子数1以上20以下の炭化水素化合物である場合、不織布質量に対する含有割合(OPU)は、前述の分析手法により得た物質の質量を基に、その液膜開裂剤の含有量を繊維の質量で割ることにより求めることができる。
この区分において、第1面Z1側の外面繊維層1(縦畝部11及び横畝部12)は凸部6の頂部61であり、第2面Z2側の外面繊維層2は凹部8の底部81である。言い換えると、凸部6の頂部61及び凹部8の底部81は、第1面Z1及び第2面Z2それぞれにおいて、最も外側に位置する繊維層の部分である。
壁部7の繊維密度M2は、凸部より繊維密度を下げ、凸部に液を残して、液膜開裂剤による開裂効果を高める観点から、350本/mm2以下が好ましく、250本/mm2以下がより好ましく、200本/mm2以下が更に好ましい。また、壁部7の繊維密度M2は、特に制限されるものではないが、不織布として形状を保つ観点から、10本/mm2以上が好ましく、20本/mm2以上がより好ましく、30本/mm2以上が更に好ましい。具体的には、壁部7の繊維密度M2は、10本/mm2以上350本/mm2以下が好ましく、20本/mm2以上250本/mm2以下がより好ましく、30本/mm2以上200本/mm2以下が更に好ましい。
凹部8の底部81の繊維密度M3は、凸部や壁部の繊維密度より下げ、凸部や液部に液を残して、液膜開裂剤による開裂効果を高める観点から、330本/mm2以下が好ましく、210本/mm2以下がより好ましく、100本/mm2以下が更に好ましい。また、凹部8の底部81の繊維密度M3は、特に制限されるものではないが、不織布として形状を保つ観点から、10本/mm2以上が好ましく、20本/mm2以上がより好ましく、30本/mm2以上が更に好ましい。具体的には、凹部8の底部81の繊維密度M3は、10本/mm2以上330本/mm2以下が好ましく、20本/mm2以上210本/mm2以下がより好ましく、30本/mm2以上100本/mm2以下が更に好ましい。
この作用の観点から、凸部6、特に凸部6の頂部61が化合物Aを有することが好ましい。また同様の観点から、第1実施形態の吸収性物品用不織布10の非肌当接面側に吸収体を配し、第1実施形態の吸収性物品用不織布10の凸部6側(第1面Z1側)を肌当接面側に向けて配することが好ましい。
剃刀(品番FAS−10、フェザー安全剃刀株式会社製)を用いて不織布10を厚さ方向に沿って切断する。不織布10の切断面を3等分し、第1面Z1側から凸部6、壁部7及び凹部8に区分する。凸部6の最も外側(第1面Z1側)にある頂部61(外面繊維層1)、壁部7、凹部8の最も外側(第2面Z2側)にある底部81それぞれの部位について、走査電子顕微鏡を用いて拡大(繊維断面が30〜60本程度計測できる倍率に調整;150〜500倍)する。観察において、一定面積当たり(0.5mm2程度)の切断面によって切断されている繊維の断面数を数える。次に各部位の測定値について、1mm2当たりの繊維の断面数に換算する。測定は3箇所行い、平均した値を、不織布10の各部位の繊維密度とする。走査電子顕微鏡には、日本電子株式会社製のJCM−5100(商品名)を用いる。
連結部3は、繊維の縦配向率を60%以上とし、かつ繊維同士の一部融着を有していることによって、まるで柱のような状態で起立し、不織布10の厚み方向に適度な弾力を付与する。これに対し、従来の不織布の繊維においては、不織布10の連結部3のような繊維の縦配向率を有しないため、厚み方向に押圧した際に、作用した力に合わせて不織布は繊維間を埋めるように変形し、力に合わせて変形量は増加する。しかし、不織布10では、連結部3は柱のようにして外面繊維層1及び2を支える。これにより、不織布10は、厚み方向に垂直にあるため同方向からのわずかな力には耐え、大きな力が加わると柱が折れるように変形をする。つまり従来の不織布にはない、いわゆる座屈現象に近い変形が生じる(以下、座屈変形ともいう。)。ただし、不織布10は、座屈現象のように連結部3が屈曲した場合でも、後述する弾力性により元の厚みを回復し得る。
外面繊維層1及び2並びに連結部3の繊維の縦配向率は、下記(1)〜(3)に基づいて測定することができる。
(1)不織布の断面の作製
第1面側Z1の外面繊維層1及び第2面側Z2の外面繊維層2を通る、不織布の断面(縦断面)であって、連結部3が平面方向に延出する方向に直交し、該延出する長さの中央を通る位置における厚み方向の断面を作製する。または、不織布10が後述のように空間部4を有する場合は、第1面側Z1の外面繊維層1及び第2面側Z2の外面繊維層2を通る、不織布の断面(縦断面)であって、空間部4の中心を通る位置における厚み方向の断面を作製する。例えば、図1におけるA−A線、B−B線を通る厚み方向の断面(図2及び3)を作製する。図2に示すA−A線を通る厚み方向の断面は、連結部31が延出する不織布の長手方向Yに直交する断面である。ここでは連結部31、第1面側Z1の外面繊維層1(縦畝部11)及び第2面側Z2の外面繊維層2の不織布幅方向Xの長さT1、T2及びT3を示している。図3に示すB−B線を通る厚み方向の断面は、連結部32が延出する不織布の幅方向Xに直交する断面である。ここでは、連結部32、第1面側Z1の外面繊維層1(横畝部12)及び第2面側Z2の外面繊維層2の不織布長手方向Yの長さT4、T5及びT6を示している。なお、上記断面は、測定対象の不織布を5mm×5mm以上切り取るものとする。
上記厚み方向の断面を有する不織布を平らな平面におき、荷重2.9Paをその不織布の上に加え、それを断面から観察する。具体的には、不織布を株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープ(VHX−900)の台座に載せる。その不織布の上に目付300g/m2の黒い(不織布が白いと判断が容易になるため)厚紙(目付300g/m2)を置き、株式会社キーエンス製VHZ20Rレンズを用いて断面から20倍で観察することによって、前記厚み方向の断面における外面繊維層1及び2の境界を判断することができる。
より具体的には、図4に示すような断面観察において、前記厚み方向の断面を示した繊維層のうち、台座201に接触している範囲を外面繊維層2の平面方向の長さT3(又はT6)と画定し、それぞれの境界(両端縁)をS2と規定する。前記厚み方向の断面にされた繊維層のうち、厚紙202に接触している範囲を外面繊維層1の平面方向の長さT2(又はT5)と画定し、それぞれの境界(両端縁)をS1と規定する。なお、従来のフラットな不織布の場合は断面観察すると通常台座201にも厚紙202にも、どの断面でも接触をしている。このときは、T2およびT3(又はT5およびT6)の概念は存在しない。
また、前記厚み方向の断面を示した繊維層において、連結部3の平面方向の長さT1(又はT4)を確定する。本実施形態においては、連結部3は、第1面側Z1の外面繊維層1及び第2面側Z2の外面繊維層2の端部同士を厚み方向に繋ぐように配在されている。この連結部3の平面方向の長さT1(又はT4)は、隣り合ったT2およびT3の間(又はT5およびT6の間)の長さとなる。より具体的には、外面繊維層1及び2の平面方向における長さの境界(端縁)S1とS2とを厚み方向に伸ばした仮想線間に挟まれる断面繊維層の平面方向の長さを連結部3の平面方向の長さT1(又はT4)とする。なお、T2、T3の間(又はT5、T6の間)にT1(又はT4)の長さが存在しない場合(すなわち、境界S1とS2とが重なる場合)はT1(又はT4)の長さは0とする。ただし、連結部3が外面繊維層1、2に対して垂直な配置に近づくほど、図2及び図3に示すように、連結部3の平面方向の長さT1(又はT4)は、外面繊維層1,2の平面方向の長さT2とT3(又はT5とT6)とが一部重なる部分の長さとなる。
それぞれ断面観察により画定される各平面方向の長さT1、T2、T3(又はT4、T5、T6)は、それぞれ4か所測定を行い、平均値をその長さとする。
外面繊維層1及び2並びに連結部3の繊維の縦配向率は、それぞれのT1、T2、T3の範囲の部位に対し、下記の手順で測定を行う。
すなわち、厚み方向の断面において画定された外面繊維層1の平面方向の長さT2(又はT5)、外面繊維層2の平面方向の長さT3(又はT6)、連結部3の平面方向の長さT1(又はT4)それぞれの領域を、厚み方向の断面をSEM(日本電子株式会社製JCM−6000Plus)で35倍に拡大して観察する。観察画像に基準線として0.5mm×0.5mmの正方形の線を作製する。正方形の各辺(基準線)は、不織布断面における厚み方向及び平面方向それぞれと直交する辺とする。正方形の各辺からなる基準線に繊維が通過する延べ本数をそれぞれ数える。不織布の平面方向に直交する正方形の基準線を通る繊維を「横繊維本数」、不織布の厚み方向に直交する正方形の基準線を通る繊維を「縦繊維本数」と定義する。縦配向率として、(縦繊維本数)/(横繊維本数+縦繊維本数)×100=縦配向率(%)として算出する。それらを各4点測定し、平均したものを縦配向率の値とする。外面繊維層および連結部をそれぞれ切出し測定する。
すなわち、連結部3の繊維の配向性により、不織布10の一方の面側(例えば第1面側Z1)を指で撫でる程度(100Pa未満の力である。)では繊維の剛性により沈み込まず、弾力が高いものとなる。本実施形態10の不織布は、この連結部3の厚み方向及び前述の外面繊維層1及び2の平面方向のそれぞれの繊維、部位同士の繊維が融着して面を構成しているため、触ったときの弾力が高く、クッション感が従来の凹凸不織布よりもはるかに高い。触れた指には不織布がふくよかで厚み感のあるものであると感じることができる。
さらに不織布10の一方の面側に厚み方向に押し込む押圧力(吸収性物品の表面シートを使用時に触ることを想定した力であり、2.5kPa程度の力である。)が加わると、該押圧力は、力点付近から平面方向に分散するよりも厚み方向に集中して作用しやすくなる。これに対し、従来の縦配向率が低い一般的な凹凸不織布では、力は平面方向に分散され、前述したように変形量と押圧力に相関があり、本発明のような適度な弾力性が得られなかった。しかし、第1実施形態の不織布10においては、高い縦配向率を連結部3が有することで押圧力は、連結部3において繊維の配向方向に沿った方向に伝わる。その結果、押圧力によって、連結部3全体が倒れるような変形ではなく、連結部3の中間位置で前述した座屈現象に近い変形(屈曲)が生ずる。これにより、不織布10の立体構造が平面状に潰れる(へたる)変形が回避され、坪量を増やさずとも優れたクッション性が得られる。そして押圧力の集中により、不織布10の沈み込む圧縮変形量が従来のものよりも大きくなる。しかも、このような圧縮変形は、不織布10の力点付近での部分的な沈み込みとして生じる。具体的には、例えば人の指で押した場合、その領域及びその周辺を含めた指の大きさとほぼ同面積の4cm2範囲の領域が厚み方向に沈み込み、他の領域では変形が抑えられ厚みが保持されやすい。これにより、高荷重時の深い沈み込みが、不織布10の限定された範囲で生じ、不織布10全体の立体構造が保持されて、不織布10のふっくらした柔らかさが保持され得る。さらに、これにより押した指の周りには厚みのある不織布に包まれているような感覚が得られる。風合いは指の腹だけでなく周りでも感じていると言われている(日本バーチャルリアリティ学会論文誌 Vol.9, No.2, 2004、指先の接触面積と反力の同時制御による柔軟弾性物体の提示)。そのため、全体の包まれる感触によってさらに風合いがよいものだと感じていると考えられる。
加えて、不織布10は、連結部3の前述の融着する繊維の縦配向性により、圧縮変形後の厚み回復性に優れる。すなわち、前記押圧力による圧縮変形が解かれると、連結部3の繊維の弾性によって不織布10は元の見掛け厚みを回復する。これにより、不織布10は繰り返し触っても、クッション性が戻り、該クッション性の持続力が高い。その結果、不織布10は、触って一旦変形しても、手を放すとすぐに厚みが戻りやすく、弾力性のある心地よい風合いのよいものとなる。
また平面方向に配向された外面繊維層はクッション感以外の風合いを向上させる作用も有する。風合いを確かめるときなどに人は押す動作以外にも撫でる動作を行う。この場合に撫でる方向に沿っている配向をもつ外面が存在することで、より滑らかな風合いを実現している。平面方向への配向で滑らかさ、厚み方向で座屈を有したクッション感をもつことで、不織布10は従来にはない感触を実現している。また、撫でる力に対しては連結部3の弾力が作用して、不織布10の厚み(嵩高さ)が保持され、滑らかな風合いをより感じやすくする。また、前記弾力によるふっくらした風合いをも同時に感じることができる。
横畝部12の高さH2を縦畝部11の高さH1よりも低くすることで、第1面Z1を肌に接触させる面とした場合に、不織布20における肌との接触面をより少なくすることができる。また、横畝部12は、第1面Z1側の空間部4を第1実施形態の場合よりも低い位置で区切っている。そのため、第1面Z1側の空間部4をより大きくとることができ、通気性の向上の観点から好ましい。また、横畝部12の高さH2を低くすることで、空間部4を、縦畝部11に沿う方向に連通しやすくすることができる。
不織布を2cm×2cmの正方形に切出して試料とし、第1面Z1側から観察する。観察には、上述のSEMを用いる。SEM観察では、事前に推奨の方法で試料に蒸着処理を行っておくことが好ましい。50倍の倍率で縦畝部の中心を拡大し、観察画面の中央に示す。次に縦畝部と平行になるように、画面の中心を対角線の交点とした一辺が500μmの正方形を描き、縦畝部11の延びる方向と平行になっている両側の二辺を通る繊維の数を数える(繊維数N1とする)。また同様に縦畝部の延びる方向と垂直に交わっている二辺を通る繊維の数を数える(繊維数N2とする)。縦畝部11の繊維配向度は下記(式1)に基づいて求める。
={繊維数N2/(繊維数N1+繊維数N2)}×100 (式1)
横畝部12の繊維配向度を測定する場合は、上記と同様に50倍の倍率で横畝部12の中心を拡大し、観察画面の中央に示す。次に前記縦畝部と平行になるように、画面の中心を対角線の交点とした一辺が500μmの正方形を描き、縦畝部11の延びる方向と平行になっている両側の二辺を通る繊維の数を数える(繊維数N1とする)。また同様に縦畝部11の延びる方向と垂直に交わっている二辺を通る繊維の数を数える(繊維数N2とする)。横畝部12の、縦畝部11の延びる方向を基準とした繊維配向度は前記(式1)に基づいて求める。
横畝部12に沿った繊維配向度(%)
={繊維数N4/(繊維数N3+繊維数N4)}×100 (式2)
また、不織布20に第1面Z1側から肌面(図示せず)によって荷重をかけた場合、第1面Z1の肌面との接触が縦畝部11による線状の接触になることから、縦畝部11の全体で若干変形しながらも荷重をしっかりと支えることができる。しかも縦畝部11に繋がる横畝部21によって縦畝部11の他方向(X方向)への変形が抑制されるため、不織布20が厚さ方向(Z方向)において潰れ(へたり)が生じ難くなり、形状が保持されやすくなる。したがって、不織布10は、厚さが保持されやすく、通常の凹凸不織布に比べて厚さが出やすい。即ち、縦畝部11の部分で圧縮時に変形量が大きく、横畝部12による形状保持性を伴ったクッション感が得られやすい。また、異なる配向方向によって、荷重が分散しやすく、同じ方向に倒れづらい。つまり、圧縮方向に対して垂直に荷重がかかりやすく、触った時に変形量が大きくさらにクッション感が得られやすくなる。
また、凸条部31に隣接する領域には、第1面Z1側の縦畝部11の中空部5に相当する凹状部36が配されている。すなわち、凸条部31及び凹条部36はそれぞれ、不織布20の第2面Z1側から見て、該不織布20の平面視において、一方向に筋状に延出した凸部及び凹部であり、該凸条部31及び凹条部36は、前記一方向と交差する他の方向に沿って交互に複数配されている。不織布20においては、凹状部36を介して、前述の凸条部31におけるへこみ部35が凸条部31と交差する方向に直線状に離間配置されている。さらに不織布20においては、凸条部31において、幅が細い部分と太い部分とが交互に繋がって配されていることが好ましく、幅が細い部分が前述のへこみ部35にあることが好ましい。このような形状において、幅の太い部分が球状になり、凸条部31全体が数珠つなぎのような形状になる。これにより、凸条部31の幅の太い部分が、前述した凹部8の底部81として、形状安定性の高いものとなる。この第2面Z2側の凹凸構造が、第1面Z1側の縦畝部11及び横畝部12による凹凸構造と組み合わさって、不織布20に好適な弾力感を付与し、不織布20はクッション性に優れ、圧縮変形量を大きくすることができる。また、第2面Z2側の凹凸構造によって、不織布20は、通気性に優れ、加えて、第1面Z1側からの触感がふっくらした風合いのものとなる。
支持体雌材130において、突起131、131間の距離は、支持体雄材120の突起121の幅よりも広くされている。その距離は、支持体雄材120の突起121と支持体雌材130の突起131とで繊維ウエブ110を挟み込んで繊維が厚さ方向に配向する連結部3を好適に賦形できるよう適宜設定される。
その中でも、本発明の吸収性物品用不織布の非肌当接面側を表面シート又はセカンドシートとし、その非肌当接面側に吸収体を配し、本発明の吸収性物品用不織布の凸部側を肌当接面側に向けて配する吸収性物品とすることが好ましい。
凹部と中空の凸部とを有し、
50Pa荷重下の見掛け厚みが3mm以上であり、好ましくは3.5mm以上、より好ましくは4mm以上、また、好ましくは10mm以下、より好ましくは9mm以下、更に好ましくは8mm以下であり、
表面張力50mN/mの液体に対する拡張係数が0mN/超で、水溶解度が0g以上0.025g以下である化合物を有し、前記水溶解度は、好ましくは0.0025g以下、より好ましくは0.0017g以下、更に好ましくは0.0001g未満である、吸収性物品用不織布。
前記中空とは繊維密度が20本/mm2以下となる空間である、前記<1>に記載の吸収性物品用不織布。
<3>
前記凹部と前記凸部よりなる高低差は、前記凹部及び前記凸部が配される面側において、厚み方向の最も高い位置の部位と最も低い位置の部位との間の差であり、該高低差が、前記吸収性物品用不織布の見掛け厚みの3分の2以上である、前記<1>又は<2>に記載の吸収性物品用不織布。
<4>
前記50Pa荷重下の見掛け厚みが4mm以上8mm以下である、前記<1>〜<3>のいずれか1に記載の吸収性物品用不織布。
前記化合物の、表面張力50mN/mの液体に対する拡張係数が5.4超16.3未満であり、好ましくは6mN/m以上、より好ましくは8mN/m以上、また、好ましくは15mN/m以下、より好ましくは14mN/m以下である、前記<1>〜<4>のいずれか1に記載の吸収性物品用不織布。
<6>
前記化合物の、表面張力50mN/mの液体に対する拡張係数は、8mN/m以上14mN/m以下である、前記<1>〜<4>のいずれか1に記載の吸収性物品用不織布。
<7>
前記凹部及び前記凸部は、前記吸収性物品用不織布の表裏両方の面に配されている前記<1>〜<6>のいずれか1に記載の吸収性物品用不織布。
前記吸収性物品用不織布は前記凸部と前記凹部を繋ぐ壁部を有し、前記凸部の頂部の繊維密度が前記壁部の繊維密度よりも高い、前記<1>〜<7>のいずれか1に記載の吸収性物品用不織布。
<9>
前記50Pa荷重下の見掛け厚みを3等分し、それぞれの領域における繊維層の部分を、一方の面側から順に、前記凸部、前記壁部及び前記凹部が区分される、前記<8>に記載の吸収性物品用不織布。
前記壁部の繊維密度が前記凹部の底部の繊維密度よりも高い、前記<8>又は<9>に記載の吸収性物品用不織布。
<11>
前記壁部の繊維密度の、前記凹部の底部の繊維密度に対する比は、1.1以上6以下であり、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、また、好ましくは5以下、より好ましくは4以下である、前記<10>に記載の吸収性物品用不織布。
<12>
前記壁部の繊維密度の前記凹部の底部の繊維密度に対する比は、3以上4以下である、前記<10>に記載の吸収性物品用不織布。
前記凸部の頂部の繊維密度が前記凹部の底部の繊維密度よりも高い、前記<1>〜<12>のいずれか1に吸収性物品用不織布。
<14>
前記凸部の頂部の繊維密度の、前記凹部の底部の繊維密度に対する比は、1.1以上10以下であり、好ましくは3以上、より好ましくは5以上、また、好ましくは8以下、より好ましくは6以下である、前記<13>に記載の吸収性物品用不織布。
<15>
前記凸部の頂部の繊維密度の、前記凹部の底部の繊維密度に対する比は、5以上6以下である、前記<13>に記載の吸収性物品用不織布。
前記凸部の頂部の繊維密度の、前記壁部の繊維密度に対する比は、1.1以上3以下であり、好ましくは1.3以上、より好ましくは1.5以上、また、好ましくは2.6以下、より好ましくは2.2以下である、前記<8>〜<15>のいずれか1に記載の吸収性物品用不織布。
一方の面側から見て、前記凸部及び前記凹部が、前記吸収性物品用不織布の平面視における一方向に筋状に延出しており、該筋状に延出した前記凸部及び前記凹部は、前記一方向と交差する他の方向に沿って、交互に複数配されている、前記<1>〜<16>のいずれか1に記載の吸収性物品用不織布。
前記吸収性物品用不織布は前記凸部と前記凹部を繋ぐ壁部を有し、
前記凸部の頂部及び前記凹部の底部では繊維が前記吸収性物品用不織布の平面方向に配向しており、前記壁部では繊維が前記吸収性物品用不織布の厚み方向に配向しており、前記凸部及び前記凹部のそれぞれが、前記壁部と相互に一部繊維が融着している、前記<1>〜<17>のいずれか1に記載の吸収性物品用不織布。
<19>
前記凸部の頂部が、一方の面側における一方向に延びる縦畝部と、前記一方向に交差する方向に延びる横畝部とを有する、前記<18>に記載の吸収性物品用不織布。
<20>
前記吸収性物品用不織布が、前記凸部の頂部である外面繊維層と、前記凹部の底部である外面繊維層とを備え、
前記凸部の頂部である外面繊維層と、前記凹部の底部である外面繊維層とは、前記吸収性物品用不織布の厚み方向に立設された連結部によって連結されている、前記<18>又は<19>に記載の吸収性物品用不織布。
前記凸部が前記化合物を有する、前記<1>〜<20>のいずれか1に記載の吸収性物品用不織布。
<22>
前記凸部における前記化合物の含有割合(OPU)は、0.1質量%以上17質量%以下であり、好ましくは0.14質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である、前記<21>に記載の吸収性物品用不織布。
<23>
前記化合物の、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力は、0mN/m超20mN/m以下であり、好ましくは5mN/m以上、また、好ましくは17mN/m以下、より好ましくは13mN/m以下、更に好ましくは10mN/m以下、より更に好ましくは9mN/m以下である、前記<1>〜<22>のいずれか1に記載の吸収性物品用不織布。
<24>
前記化合物の表面張力は、20mN/m以上32mN/m以下であり、好ましくは22mN/m以上、また、好ましくは30mN/m以下、より好ましくは25mN/m以下である、前記<1>〜<23>のいずれか1に記載の吸収性物品用不織布。
1枚の不織布からなる前記<1>〜<24>のいずれか1に記載の吸収性物品用不織布。
<26>
複数の不織布からなり、1枚の不織布が前記吸収性物品用不織布の前記50Pa荷重下の見掛け厚みの80%以上を占める、前記<1>〜<24>のいずれか1に記載の吸収性物品用不織布。
<27>
吸収性物品の表面シートとして用いられる前記<1>〜<26>のいずれか1に記載の吸収性物品用不織布。
<28>
圧縮変形量が2.1mm超であり、好ましくは2.1mm超、より好ましくは2.5mm以上、更に好ましくは3mm以上、また、好ましくは10mm以下、より好ましくは7.5mm以下、更に好ましくは5mm以下である前記<1>〜<27>のいずれか1に記載の吸収性物品用不織布
前記<1>〜<28>のいずれか1に記載の吸収性物品用不織布と、該吸収性物品用不織布の非肌当接面側に配された吸収体とを備え、前記凸部側を肌当接面側に向けて配した吸収性物品。
<30>
前記<1>〜<28>のいずれか1に記載の吸収性物品用不織布の前記凹部及び前記凸部が配される面側を肌当接面側に向けて用いた吸収性物品。
(1)原料不織布の作製
図11に示す製造方法によって、表1に示す目付、見掛け厚み及び繊維密度を有し、図1に示す凹凸構造を有する不織布を作製した。この不織布から、大きさ400mm×140mmの実施例1の原料不織布を作製した。
(2)塗布液の作製
液膜開裂剤として下記の化合物A(A1)を用い、室温25℃の条件下で溶質エタノールに溶解させ、液膜開裂剤の有効成分1.0質量%として、塗布液を作製した。
<液膜開裂剤;化合物A(A1)>
ポリオキシプロピレン(POP)アルキルエーテルで、構造Zが−CH2−からなる炭化水素鎖からなるものであり、Yが−(C3H6O)−からなるPOP鎖からなるものであり、ポリオキシプロピレン基のモル数が15のもの。
これらの数値の測定の際、「表面張力が50mN/mの液体」は、100gの脱イオン水にノニオン系界面活性物質であるPOEソルビタンモノラウレート(花王株式会社製、商品名レオオールスーパーTW−L120)をマイクロピペット(Socorex Isba SA社製、商品名ACURA825)で3.75μL添加し、表面張力を50±1mN/mに調整した溶液を用いた。水溶解度は、0.0001g毎に剤を添加して測定した。その結果、0.0001gも溶けないと観察されたものは「0.0001g未満」とし、0.0001gは溶けて、0.0002gは溶けなかったと観察されたものは「0.0001g」とした。それ以外の数値についても同様の方法により測定した。
(3)不織布試料の作製
前記原料不織布の第1面Z1(肌当接面となる面)側の外面繊維層1(縦畝部11及び横畝部12)を頂部とする凸部6に対して、フレキソ印刷方式にて、前記塗布液を塗布し、不織布試料1を作製した。
液膜開裂剤として下記の化合物A(A2)を用いた以外は、実施例1と同様にして不織布試料2を作製した。
<液膜開裂剤;化合物A(A2)>
トリカプリル酸・カプリン酸グリセリンで、構造Z―YにおけるZが*−O−CH(CH2O−*)2(*は結合部を示す。)であり、YがC8H15O−やC10H19O−の炭化水素鎖からなるものであり、脂肪酸組成がカプリル酸を82%、カプリン酸を18%からなるもの。
液膜開裂剤として下記の化合物A(A3)を用いた以外は、実施例1と同様にして不織布試料3を作製した。
<液膜開裂剤;化合物A(A3)>
ポリオキシプロピレン(POP)アルキルエーテルで、構造Z−YにおけるZが−CH2−からなる炭化水素鎖、Yが−(C3H6O)−からなるPOP鎖からなるものであり、ポリオキシプロピレン付加モル数が5のもの。
液膜開裂剤として下記の化合物A(A4)を用いた以外は、実施例1と同様にして不織布試料4を作製した。
<液膜開裂剤;化合物A(A4)>
ポリプロピレングリコールで、構造XにおけるXがPOP鎖からなるものであり、ポリオキシプロピレン基のモル数が52のもの。
液膜開裂剤として下記の化合物A(A5)を用いた以外は、実施例1と同様にして不織布試料5を作製した。
<液膜開裂剤;化合物A(A5)>
ポリオキシエチレン(POE)変性ジメチルシリコーンで、構造X−YにおけるXが−Si(CH3)2O−からなるジメチルシリコーン鎖、Yが−(C2H4O)−からなるPOE鎖からなり、POE鎖の末端基がメチル基(CH3)であり、変性率が20%、ポリオキシエチレン付加モル数が3のもの。
液膜開裂剤として実施例3の化合物A(A3)を用い、凹部8に対して第2面Z2側の外層繊維層2(凹部8の底部81)から、塗布液を塗布した以外は、実施例1と同様にして不織布試料6を作製した。
液膜開裂剤として実施例3の化合物A(A3)を用い、室温25℃の条件下で溶質エタノールに溶解させ、液膜開裂剤の有効成分0.1質量%として、塗布液を作製した。原料不織布を塗工液に浸漬し、不織布試料7を作製した。
表2に示す目付、見掛け厚み、繊維密度及び繊維密度の比(M1/M2、M2/M3、M1/M3)とした以外は、実施例1〜5と同様にして不織布試料8〜12を作製した。
表3に示す目付、見掛け厚み、繊維密度及び繊維密度の比(M1/M2、M2/M3、M1/M3)とした以外は、実施例1〜5と同様にして不織布試料13〜17を作製した。
図11に示す製造方法によって、表5に示す目付、見掛け厚み、繊維密度及び繊維密度の比(M1/M2、M2/M3、M1/M3)を有し、第1面側に図5に示す凹凸構造、第2面側に図10に示す凹凸構造を有する不織布を作製した以外は、実施例1〜5と同様にして不織布試料18〜22を作製した。
図12に示す凹凸構造を有し、表6に示す目付、見掛け厚み、繊維密度及び繊維密度の比(M1/M2、M2/M3、M1/M3)を有する原料不織布を、特開2012−136791号の段落[0031]及び[0032]に記載の製造方法に基づいて作製した以外は、実施例2と同様にして不織布試料23を作製した。
液膜開裂剤として実施例4で用いた化合物A(A4)を用いた以外は、実施例23と同様にして不織布試料34を作製した。
原料不織布について、実施例23及び24の不織布を裏返して凸部と凹部の繊維密度を逆転した不織布試料25及び26を用いた。
実施例1、8及び13で作製した原料不織布と同様のものを不織布試料C1〜C3として作製した。
表4に示す目付、見掛け厚み、繊維密度及び繊維密度の比(M1/M2、M2/M3、M1/M3)とした以外は、実施例1と同様にして作製した原料不織布を不織布試料C4とした。
(比較例5)
エアスルー製造方法によって凹凸のないフラットな不織布試料C5を作製した。なお、目付、見掛け厚みは表4に示すとおりとした。この不織布試料には凸部、壁部、凹部が存在しないため、繊維密度及び繊維密度の比(M1/M2、M2/M3、M1/M3)は、規定できなかった。
(比較例6)
国際公開第2016/098796号の段落[0100]〜[0103]に記載の方法を用いて中実の不織布試料C6を作製した。なお、目付、見掛け厚みは表4に示すとおりとした。凹部の底部はフィルム化しており、繊維本数の測定が不可能であった。
実施例18で作製した原料不織布と同様のものを不織布試料C7として作製した。
実施例23及び25で作製した原料不織布と同様のものを不織布試料C8及びC9として作製した。
表4に示す目付、見掛け厚み、繊維密度及び繊維密度の比(M1/M2、M2/M3、M1/M3)とした以外は、実施例1〜5と同様にして不織布試料R1〜R5を作製した。
[1]不織布試料の液残り量
生理用ナプキン(花王株式会社製、商品名ロリエエフ しあわせ素肌 22.5cm、2016年製)から表面シートを取り除き、各不織布試料を表面シートとして、第1面側を肌当接面側にして積層し、周囲を固定して、評価用の生理用ナプキン試料とした。
各生理用ナプキン試料の表面上に、内径1cmの透過孔を有するアクリル板を重ねて、該ナプキンに100Paの一定荷重を掛けた。斯かる荷重下において、該アクリル板の透過孔から経血に相当する擬似血液(株式会社日本バイオテスト研究所製の馬脱繊維血液を8.0cPに調整したもの)6.0gを流し込んだ。なお、用いた擬似血液は、東機産業株式会社製のTVB10形粘度計にて、30rpmの条件下で調整した。馬脱繊維血液は、放置すると、粘度の高い部分(赤血球など)は沈殿し、粘度の低い部分(血漿)は、上澄みとして残る。その部分の混合比率を、8.0cPになるように調整した。合計6.0gの擬似血液を流し込んでから60秒後にアクリル板を取り除く。次いで、不織布試料の質量(W2)を測定し、予め測定しておいた、擬似血液を流し込む前の不織布試料の質量(W1)との差(W2−W1)を算出した。以上の操作を3回行い、3回の平均値を液残り量(mg)とした。液残り量は、装着者の肌がどの程度濡れるかの指標となるものであり、液残り量が少ないほど程、液残り低減効果が高い。
液残り低減率は下記数式(2)によって算出した。なお、それぞれの液残り量は、上記記載の試験方法にて測定を行った。
前述の(圧縮変形量の測定方法)に基づいて各試料のクッション性を示す圧縮変形量を測定した。
さらに、実施例の中では、液膜開裂剤の拡張係数が5.4mN/m以下である実施例1、8、13、18に対し、液膜開裂剤の拡張係数が5.4mN/m超の実施例2、3、9、10、14、15、19、20は液残り量がさらに低減し、液残り低減率が向上していた。また、液膜開裂剤の拡張係数が16.3mN/m以上である実施例4、5、11、12、16、17、21、22に対し、拡張係数が16.3mN/m未満である実施例2、3、9、10、14、15、19、20は、液膜開裂速度が見掛け厚み3mm以上の不織布における排液速度を下回り、排液中に開裂が起こりにくく、液が分断されにくいため、液残り量がさらに低減し、液残り低減率が向上していた。このことは、実施例23と実施例24との対比、実施例25と実施例26との対比においても同様の結果が示された。また、実施例1〜6と実施例6及び7との対比から、凸部に液膜開裂剤が含有されていることによる液残り低減効果が高かった。
11 縦畝部
12 横畝部
2 (第2面側の)外面繊維層
3 連結部
4 空間部
5 中空部
6 凸部
61 凸部の頂部
7 壁部
8 凹部
81 凹部の底部
31 (第2面側の)凸条部
35 (第2面側の)へこみ部
36 (第2面側の)凹条部
10、20、30 不織布
Claims (8)
- 凹部と中空の凸部とを有し、
50Pa荷重下の見掛け厚みが3mm以上であり、
表面張力50mN/mの液体に対する拡張係数が0mN/超で、水溶解度が0.025g以下である化合物を有する吸収性物品用不織布。 - 前記化合物の、表面張力50mN/mの液体に対する拡張係数が5.4超16.3未満である、請求項1記載の吸収性物品用不織布。
- 前記吸収性物品用不織布は前記凸部と前記凹部を繋ぐ壁部を有し、前記凸部の頂部の繊維密度が前記壁部の繊維密度よりも高い、請求項1又は2記載の吸収性物品用不織布。
- 前記壁部の繊維密度が前記凹部の底部の繊維密度よりも高い、請求項3記載の吸収性物品用不織布。
- 前記凸部の頂部の繊維密度が前記凹部の底部の繊維密度よりも高い、請求項1〜4のいずれか1項に吸収性物品用不織布。
- 前記吸収性物品用不織布は前記凸部と前記凹部を繋ぐ壁部を有し、
前記凸部の頂部及び前記凹部の底部では繊維が前記吸収性物品用不織布の平面方向に配向しており、前記壁部では繊維が前記吸収性物品用不織布の厚み方向に配向しており、前記凸部及び前記凹部のそれぞれが、前記壁部と相互に一部繊維が融着している、請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品用不織布。 - 前記凸部が前記化合物を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品用不織布。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸収性物品用不織布と、該吸収性物品用不織布の非肌当接面側に配された吸収体とを備え、前記凸部側を肌当接面側に向けて配した吸収性物品。
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