JP2019000482A - 吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】液膜開裂剤を用いて、体液のランオフを防止し、装着時における表面材と吸収体との浮きの発生を抑制し、優れた液吸収性能を発現し得る吸収性物品を提供する。【手段】表面材、裏面材、及び、前記表面材と前記裏面材とに挟まれた吸収体を有する吸収性物品であって、前記表面材の表面よりも裏面に液膜開裂剤を多く有し、かつ、前記表面材と前記吸収体が一体化されてなる凹部を前記表面材上の受液領域に複数有する、吸収性物品。【選択図】図4

Description

本発明は、生理用ナプキン等の吸収性物品に関する。
近年、吸収性物品の肌に触れる表面材等に用いられる不織布について、ドライ性など着用感を高める提案がされてきた。例えば、特許文献1には、液膜開裂剤によって、不織布の繊維間の狭空間に生じる液膜を開裂し、不織布における液残りをより高いレベルで低減できることが記載されている。これにより、不織布のドライ性を大きく向上させることができる。
また、特許文献2には、吸収性物品における体液の漏れ防止の観点から、表面シートと中間シートとの間に第1接着剤層を形成し、中間シートと吸収体との間に第2接着剤層を形成することが記載されている。第1接着剤層と第2接着剤層とはともに、長手方向に沿って形成されており、かつ、第2接着剤層は第1接着剤層よりも長くされている。
特開2016−117981号公報 特開2016−154634号公報
本発明者らは、特許文献1記載の液膜開裂剤を用いて、表面材となる不織布の液残り低減の向上を実現できた。
さらに吸収性物品においては、肌に触れる表面材について、液残りの低減とともに、体液の表面流れ(ランオフ)に対する防止性の向上が求められる。ランオフの防止性の向上は、物品の厚み方向の液透過性によって改善し得る。また、吸収性物品の吸収性能にとって、表面材と吸収体との間の浮きはできるだけ抑える必要がある。浮きとは、具体的には、装着時において表面材と吸収体の接着が弱くなり、表面材と吸収体が密着出来ずに空間が形成される状態のことをいう。このような浮きの発生を抑制することによって、表面材の下側に配置される液保持性の吸収体の吸収力(液引き込み力)が表面材に伝わりやすくなる。
本発明は、上記の液膜開裂剤を用いて、体液のランオフを防止し、装着時における表面材と吸収体との浮きの発生を抑制し、優れた液吸収性能を発現し得る吸収性物品を提供することに関する。
本発明は、表面材、裏面材、及び、前記表面材と前記裏面材とに挟まれた吸収体を有する吸収性物品であって、前記表面材の表面よりも裏面に液膜開裂剤を多く有し、かつ、前記表面材と前記吸収体が一体化されてなる凹部を前記表面材上の受液領域に複数有する、吸収性物品を提供する。
また、本発明は、表面材、裏面材、及び前記表面材と前記裏面材とに挟まれた吸収体を有する吸収性物品であって、前記表面材の表面よりも裏面に、表面張力50mN/mの液体に対する拡張係数が15mN/m以上で、水溶解度が0g以上0.025g以下である化合物(C1)を多く有し、かつ、前記表面材と前記吸収体が一体化されてなる凹部を前記表面材上の受液領域に複数有する、吸収性物品を提供する。
また、本発明は、表面材、裏面材、及び前記表面材と前記裏面材とに挟まれた吸収体を有する吸収性物品であって、前記表面材の表面よりも裏面に、表面張力50mN/mの液体に対する拡張係数が0mN/mよりも大きく、水溶解度が0g以上0.025g以下であり、表面張力50mN/mの液体に対する界面張力が20mN/m以下である化合物(C2)を多く有し、かつ、前記表面材と前記吸収体が一体化されてなる凹部を前記表面材上の受液領域に複数有する、吸収性物品を提供する。
本発明の吸収性物品は、体液のランオフを防止し、装着時における表面材と吸収体との浮きの発生を抑制し、優れた液吸収性能を発現できる。
本発明に係る吸収性物品の好ましい実施形態を示す一部切欠斜視図である。 本実施形態の吸収性物品における表面材の好ましい態様を模式的に示す一部断面斜視図である。 図2に示す表面材の一部断面を拡大して模式的に示す断面図である。 (A)は本実施形態の受液領域における凹部の配置を示す平面図であり、(B)は(A)におけるS1−S1線断面を示す断面図である。 (A)及び(B)は、表面材の裏面の受液領域における、液膜開裂剤の含有部と非含有部とを交互配置したパターンについて好ましい態様を模式的に示す平面図であり、(A)は含有部及び非含有部がともに縦方向(Y方向)に沿うストライプ状のパターンであり、(B)、含有部及び非含有部がともに幅方向(X方向)に沿うストライプ状のパターンである。 (A)は本実施形態の受液領域における凹部の配置に、液膜開裂剤の含有部と非含有部の配置パターンを投影させて示す平面図であり、(B)は(A)におけるS2−S2線断面を示す断面図である。
本発明に係る吸収性物品について、その好ましい実施形態としての生理用ナプキン10を示し、図面を参照しながら以下に説明する。
本発明においては、特に断らない限り、人体に接触する側を肌面側、肌当接面側又は表面側といい、これと反対側を非肌面側、非肌当接面側又は裏面側という。着用時に人体の前側に位置する方向を前方といいその端部を前端部とし、後側に位置する方向を後方といいその端部を後端部として説明する。また、吸収性物品の表面又は裏面の法線方向を厚み方向といい、その量を厚みという。
図1に示すように、本実施形態の生理用ナプキン10(以下、単にナプキン10ともいう。)は、肌当接面側に配置される表面材1、非肌当接面側に配置される裏面材2、及び表面材1と裏面材2とに挟まれた液保持性の吸収体3を有する。さらに、生理用ナプキン10の肌当接面側には、表面シート1から吸収体3にかけて圧搾した防漏溝5が配されており、該防漏溝5は平面視、環形状をなしている。なお、防漏溝5は任意に配設でき、その形状及び数も使用目的等に応じて適宜設定することができる。また、ナプキン10においては、他の構成部材を含んでもよい。例えば、表面材1と吸収体3との間に液拡散性の中間シートを含んでもよく、ナプキン10の長手方向両側に着衣に固定するための一対のウイング部を有していてもよい。
ナプキン10は、縦方向(Y方向)と、該縦方向と直交する横方向(X方向)とを有する、縦長形状である。ナプキン10は、表面シート1側を着用者の肌当接面側に向け、かつ、その縦方向を下腹部側から臀部側にかけて配し、その幅方向を左右の足をつなぐラインに沿う方向に向けて配して着用される。上記の着用状態に対応して、ナプキン10は縦方向(Y方向)に、着用者の排泄部を覆う股下部C、股下部Cよりも前方の下腹部側に対応する前方部F、後方の臀部側に対応する後方部Rを有する。ナプキン10の股下部Cには、幅方向中央に、排泄液を直接受ける受液領域C1がある。受液領域C1がある股下部Cの「幅方向中央」とは、股下部Cにおける吸収体の全幅を3分割した際の中央の領域の範囲を意味する。本実施形態においては、受液領域C1は、股下部における防漏溝5で囲まれた領域である。
股下部C、前方部F及び後方部Rの区分位置は、使用目的等によって設定される吸収性物品の長さに応じて適宜設定され得る。本実施形態の生理用ナプキン10は、昼用などとして設定される形状の例を示しており、縦方向の長さを3等分して、前方部F、股下部C及び後方部Rが設定されている。これとは異なる具体例としては、例えば夜用などとして、臀部を覆う幅広の後方フラップを有し、後方部Rが前方部F及び股下部Cよりも長くされた形状がある(図示せず)。この場合、股下部Cはナプキンの前方寄りとなり、例えばナプキンを長手方向に4等分に区分した前方部Fから2番目の領域が相当し得る。ナプキン10がどのような形状であっても一般的には、股下部Cは、前方部Fからの一定の距離の位置にある部位として設定され得る。同様に、大人用若しくは幼児用のおむつなどについても、長手方向に4等分に区分した前方部Fから2番目の領域が相当し得る。また、尿取りパッドなどについては、縦方向の長さを3等分して、前方部F、股下部C及び後方部Rが設定されている
表面材1は、親水性の不織布からなり、体液の排泄を受けて内部の吸収体3へと液を素早く引き込む液透過性を有する。表面材1の形状としては、吸収性物品に通常用いられる種々の形態を特に制限なく採用することができる。本実施形態においては、図2に示すように、表面(肌当接面)1A側及び裏面(非肌当接面)1B側が凹凸形状にされたものを用いている。表面1Aが凹凸形状であることにより、肌と表面材1との接触面積が低減され、べたつき感やムレ感が抑制されてドライ感に優れたものとなる。また、凹凸形状における凸部が繊維で満たされたドーム状であると、肌に触れたときのクッション性が高くなり好ましい。
表面材1には、表面1A側よりも裏面1B側に液膜開裂剤を多く含有している。この場合、裏面1B側から表面材1の厚み方向の所定範囲まで液膜開裂剤が含有されていてもよい。そして、後述する液残り低減と体液の表面流れ(ランオフ)防止の観点からは、液膜開裂剤は、表面材1の表面1A側にないことがより好ましく、裏面(非肌当接面)1B側にのみあることが更に好ましい。図3は、図2に示した表面材1の一部断面について、裏面1B全体に層状に液膜開裂剤が含有されている状態を模式的に示している。この態様では表面1Aには液膜開裂剤は配されていない。図3においては、液膜開裂剤の配置位置の理解のため、液膜開裂剤が含有された部分を含有部11とし、含有部11に模様を付して示しているが、実際には目視によって含有部11を判別できるとは限らない。
(液膜開裂剤の有無の確認方法)
表面材1の両面における液膜開裂剤の有無は次の方法によって確認することができる。すなわち、表面材1の各面に対してあぶらとり紙をあてた後、厚み4mmのアクリル板をのせ、その上から600g/cmとなるように錘で30秒荷重する。荷重後、すぐに、該あぶらとり紙を剥がし、黒色の台紙に該あぶらとり紙を載せて色の変化を目視で確認する。色の変化があれば、その部分に液膜開裂剤が含まれていることを示す。上記のあぶらとり紙として種々のものを用いることができ、例えばカタニ産業株式会社製の金箔打紙製法あぶらとり紙を挙げることができる。
なお、吸収性物品において、測定対象の表面材と他の部材との接合に用いられる接着剤などをコールドスプレー等の冷却手段で弱めた後に、表面材を丁寧に剥がして取り出し、上記の確認を行う。
表面材1に含まれる液膜開裂剤とは、下記(液膜を消失させる性質)を有する剤である。具体的には、液、例えば、経血等の高粘性の液や尿などの排泄液(体液)が不織布に触れて不織布の繊維間ないしは繊維表面に形成される液膜を開裂させたりして、液膜の形成を阻害する剤をいう。液膜開裂剤は、形成された液膜を開裂させる作用と、液膜の形成を阻害する作用とを有する。前者は主たる作用、後者は従たる作用ということができる。例えば、液膜開裂剤は、国際公開第2016/098796号の明細書の段落[0024]、[0025]、図1及び2に記載したような作用をする。このように液膜開裂剤は、液膜の表面張力を下げるなどの液改質をするのではなく、繊維間や繊維表面に生じる液膜自体を押しのけながら開裂し、阻害することで不織布中からの液の排液を促す。これにより、表面材1の液残りを低減することができる。また、表面材1から吸収体3までの液透過路が確保される。これにより、液の透過性が高まり、表面材1の表面での液流れが抑制され、液の吸収速度が高まる。特に、粘性の高い経血など繊維間に留まりやすい液の吸収速度を高めることができる。そして、表面材1における赤み等の汚れが目立ちにくく、吸収力を実感できる、安心で信頼性の高い吸収性物品となる。
(液膜を消失させる性質)
本発明で用いられる液膜開裂剤は、液膜を消失させる性質を有しており、斯かる性質により、該液膜開裂剤を、血漿成分を主体とする試験液又は人工尿に適用した場合に、液膜消失効果を発現し得る。人工尿は、尿素1.940質量%、塩化ナトリウム0.795質量%、硫酸マグネシウム0.110質量%、塩化カルシウム0.062質量%、硫酸カリウム0.197質量%、赤色2号(染料)0.010質量%、水(約96.88質量%)及びポリオキシエチレンラウリルエーテル(約0.07質量%)の組成を有する混合物を、表面張力を53±1dyne/cm(23℃)に調整したものである。ここでいう液膜消失効果には、試験液又は人工尿から形成される液膜によって空気が抱えこまれた構造体について、該構造体の液膜形成を阻害する効果と、形成された該構造体を消失させる効果との双方が含まれ、少なくとも一方の効果を発現する剤は、液膜消失効果を発現し得る性質を有していると言える。
前記試験液は、馬脱繊維血液(株式会社日本バイオテスト製)から抽出された液体成分である。具体的には、100mLの馬脱繊維血液を温度22℃、湿度65%の条件下で1時間静置すると、該馬脱繊維血液は上層と下層とに分離するところ、この上層が前記試験液である。上層は主に血漿成分を含み、下層は主に血球成分を含む。上層と下層とに分離した馬脱繊維血液から上層のみを取り出すには、例えばトランスファーピペット(日本マイクロ株式会社製)を用いることができる。
ある剤が前記の「液膜を消失させる性質」を有するか否かは、当該剤が適用された前記試験液又は人工尿から形成される液膜によって、空気が抱えこまれた構造体が発生しやすい状態にした場合の、該構造体即ち液膜の量の多少で判断される。すなわち、前記試験液又は人工尿を、温度25℃に調整し、その後、スクリュー管(株式会社マルエム製 No.5 胴径27mm、全長55mm)に10g入れて、標準サンプルを得る。また、測定サンプルとして、標準サンプルと同じものに、25℃に予め調整した測定対象の剤を0.01g添加したものを得る。標準サンプルと測定サンプルをそれぞれ前記スクリュー管の上下方向に2往復強く振とうした後、水平面上に速やかに載置する。このサンプルの振とうにより、振とう後のスクリュー管の内部には、前記構造体の無い液体層(下層)と、該液体層の上に形成された多数の該構造体からなる構造体層(上層)とが形成される。振とう直後から10秒経過後に、両サンプルの構造体層の高さ(液体層の液面から構造体層上面までの高さ)を測定する。そして、標準サンプルの構造体層の高さに対して、測定サンプルの構造体層の高さが90%以下となった場合、測定対象の剤は液膜開裂効果を有しているとする。
本発明で用いられる液膜開裂剤は、前記の性質に当てはまる単一の化合物若しくは前記の性質に当てはまる単一の化合物を複数組み合わせた混合物、又は複数の化合物の組み合わせによって前記の性質を満たす(液膜の開裂を発現し得る)剤である。つまり液膜開裂剤とは、あくまで前記定義によるところの液膜開裂効果があるものに限定した剤のことである。したがって、吸収性物品中に適用されている化合物に、前記定義に当てはまらない第三成分を含む場合には、液膜開裂剤と区別する。
なお、液膜開裂剤及び第三成分について、「単一の化合物」とは、同じ組成式を有するが、繰り返し単位数が異なることにより、分子量が異なる化合物を含める概念である。
液膜開裂剤としては、国際公開第2016/098796号の明細書の段落[0007]〜[0186]に記載のものから適宜に選んで用いることができる。液膜開裂剤の好ましい実施態様については更に後述する。
表面材1が液膜開裂剤を有するとは、主に繊維の表面に付着していることをいう。ただし、液膜開裂剤は、繊維の表面に残存する限り、繊維内に内包しているようなものや、内添により繊維内部に存在しているようなものがあってもよい。液膜開裂剤を繊維の表面に付着させる方法としては、通常用いられる各種の方法を特に制限なく採用することができる。例えば、フレキソ印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、噴霧、刷毛塗布等が挙げられる。これらの処理は、繊維を各種の方法でウエブ化した後に行ってもよいし、その後、該ウエブを不織布にした後に行ってもよい。液膜開裂剤が表面に付着した繊維は、例えば、熱風送風式の乾燥機により、繊維樹脂の融点より十分に低い温度(例えば120℃以下)で乾燥される。また、前記付着方法を用いて繊維へ付着させる場合、必要により液膜開裂剤を溶媒に溶解させた液膜開裂剤を含む溶液、ないしは液膜開裂剤の乳化液、分散液を用いてもよい。液膜開裂剤は、不織布において後述する液膜開裂効果を有するためには、液膜開裂剤が体液に触れた際に液状として存在する必要がある。この点から、液膜開裂剤の融点は40℃以下であることが好ましく、35℃以下であることがより好ましい。さらに、本発明に係る液膜開裂剤の融点は−220℃以上が好ましく、−180℃以上がより好ましい。
液膜開裂剤は、後述するように表面張力が、不織布繊維に用いられる従来の親水化処理剤等に比べて小さいため、繊維の接触角を大きくする方向に作用する。そのため、液膜開裂剤を含んだ繊維は、液膜開裂剤を含まない繊維に比べて液の濡れ性が低くなる。
この液膜開裂剤が表面材1の裏面1B側にあることで、液膜開裂剤による液残り低減効果とともに、表面材1の表面1A側での液のランオフ(表面流れ)が防止され、厚み方向の液透過性を保持することができる。しかも、液膜開裂剤は、その拡張性によって、液との接触で繊維上を移行し、裏面1B側のみならず表面材1の厚み方向及び平面方向の広い範囲で液膜開裂作用を発現することができる。これにより、液膜開裂剤が裏面1B側にある場合でも、表面1Aにある場合と同様に、表面材1全体の液残り低減効果が得られる。加えて、液膜開裂剤は、表面材1の裏面1B側において、表面材1から吸収体3へと体液を引き渡す通路空間を保持し得る。また、該通路空間を介して、吸収体3が備える液引き込み力を表面1A側に伝達しやすくする。これにより、吸収体3と表面材1との間で液引き込みの連携性が高められ、ナプキン10の液吸収性が向上され得る。この液吸収性は、図2に示すように表面材1の表面1A側が凹凸形状にされていることによりさらに高められる。
さらにナプキン10においては、図4(A)及び(B)に示すように、表面材1と吸収体3とが一体化されてなる凹部6を表面材1上(表面1A)の受液領域C1に複数有する。すなわち、ナプキン10の受液領域C1において、表面材1の裏面1Bにおける液膜開裂剤の配置領域に対応して、表面材1の表面1A側から凹部6が配されている。ここで言う一体化とは、表面材1と吸収体3とが接合されていることを言う。
凹部6は、表面材1の繊維層が表面1A側から裏面1B側に向かって吸収体3とともに窪んだ空間部分である。すなわち、凹部6は表面材1の表面1A側から見た窪みである。凹部6の平面形状は、図4(A)に示すような円形に限定されず種々の形状をとり得る。例えば、楕円形、三角形、矩形、菱形、ハート形又はこれらの組み合わせであってもよい。また、凹部6の平面方向の配置は、図4(A)に示すように、縦方向(Y方向)及び幅方向(X方向)において等間隔に離間配置される態様に限定されず種々のものとすることができる。
凹部6はエンボス加工によって圧搾成形されている。凹部6の底部7(以下、凹部底部7ともいう。)は、図4(B)に示すように、表面材1の繊維と吸収体3の繊維とが部分的に圧密化された、繊維の高密集部とされている。凹部底部7においては、表面材1及び吸収体3の互いの繊維が前記圧搾によって熱融着され接合されて、繊維間距離が他の部分よりも極端に狭くされた状態にある。場合によっては、繊維の樹脂成分からなるフィルム面を有することがある。
凹部底部7においては、表面材1と吸収体3とが繊維同士の融着によって接合強度が高められて、両部材の密着性が高められている。これにより、使用時に高まりかねない表面材1と吸収体3との剥離性を抑えることができる。この剥離性は、液吸収時の濡れに伴って接着剤の接着力が弱まることによる。また、表面材1の裏面1B側に配される液膜開裂剤が、後述する第1実施態様として示されたシリコーン系の化合物を含むものである場合、該液膜開裂剤が接着剤の接着力を弱めるように作用する。これに対し本実施形態において、凹部6がこの剥離性を補って表面材1と吸収体3との接合強度を高める。これにより、凹部6が複数配されたナプキン10の受液領域C1は、表面材1と吸収体3との間の浮きの発生が抑えられ密着性が高くなる。その結果、ナプキン10は、吸収体3の液引き込み力の表面材1への伝達性が高く、優れた液吸収性能を備えるものとなる。表面材1と吸収体3との間の浮き抑止と密着性の維持は、凹部6と、両部材間にホットメルト型等の接着剤とを併用することで更に高められる。この場合、必要な接合強度を保持しながら、凹部6におけるエンボス圧搾の程度を抑えることができるので、吸収性物品の柔らかさを保持する観点から好ましい。なお、凹部6は、受液領域C1に配置されている限り、ナプキン10の他の領域にも配されていてもよい。また、前記接着剤は、表面材と吸収体との間の液透過性を阻害しないよう、間欠的を塗工(例えば、線状、スパイラル状、Ω字状、サミット状等の塗工)をすることが好ましい。該接着剤は、受液領域C1のみに塗工されてもよく、表面材1と吸収体3との間の界面全体に塗工されてもよい。
受液領域C1において、隣接する凹部6同士の最短離間距離(H1)は、装着時の違和感を低減する観点から、1mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましく、5mm以上が更に好ましい。最短離間距離(H1)は、受液領域C1の領域全体における表面材1と吸収体3との密着性を高くする観点から、10mm以下が好ましく、9mm以下がより好ましく、7mm以下が更に好ましい。なお、隣接する凹部6同士の最短離間距離(H1)は、最短であれば、図4に示すような縦方向(Y方向)、横方向(X方向)における離間距離に限らず、これらの方向に対して交差する方向における離間距離であってもよい。
(凹部6の最短離間距離(H1)の測定方法)
一つの凹部に着目し、該一つの凹部から最も近接している他の凹部を選択する。前記一つの凹部の端部から前記他の凹部の端部の最短距離を標準ノギスで測定する。
表面材1の表面1Aの平面視において、受液領域C1の面積に占める凹部6の面積率(Q1)は、受液領域C1の領域全体における表面材1と吸収体3との密着性を高くする観点から、10%以上が好ましく、15%以上がより好ましく、20%以上が更に好ましい。面積率(Q1)は、吸液性を担保する観点から、50%以下が好ましく、40%以下がより好ましく、30%以下が更に好ましい。
同様に、表面材1の表面1Aの平面視において、受液領域C1における凹部6の面積(複数の凹部6の合計の面積)(M1)は、1cm以上が好ましく、2cm以上がより好ましく、3cm以上が更に好ましい。凹部6の面積(M1)は、10cm以下が好ましく、8cm以下がより好ましく、5cm以下が更に好ましい。
(凹部6の面積率(Q1)の測定方法)
凹部6の面積率(Q1)は下記の数式(61)に基づいて算出される。
面積率(Q1)=M1/CM (61)
M1:受液領域C1における凹部6の合計の面積
CM:受液領域C1の面積
まず、受液領域C1の面積CMについては、前述した区分に基づいて測定される。すなわち、吸収性物品の縦方向(Y方向)の股下部Cとして区分される領域(3等分した中央の領域、4等分した前方部Fから2番目の領域)の縦方向(Y方向)の長さ×該股下部Cにおける吸収体の全幅を3等分した際の中央の領域の横方向(X方向)の長さ(幅)として測定される。
次いで、表面材1を平面視して、受液領域C1における凹部6の面積を、標準ノギスを用いて各辺や直径を測定し、算出する。このとき、凹部6の形状の種類に応じて、下記の数式(62)、(63)のいずれかに基づいて、受液領域C1における凹部6の合計の面積を算出する。凹部6が、数種類ある場合は、それぞれの数と面積を測定し、数式(63)に基づいて全ての和から面積を求める。
M1=凹部の面積×C1における凹部の数(全てが同じ柄の場合) (式62)
M1=凹部の面積×C1における凹部の数+凹部の面積×C1における凹部の数(柄が2種類の場合) (式63)
本実施形態において、前記液膜開裂剤は表面材1の裏面1Bの全面に配されていてもよく、裏面1Bに液膜開裂剤の含有部と非含有部とが配されていてもよい。しかし、液膜開裂剤の含有部と非含有部とが表面材1の裏面1Bに配されていると、接着強度が向上し好ましい。この観点から、表面材1の裏面1Bの全体の面積(含有部と非含有部との合計面積)に占める含有部の面積率(T1)は、25%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、15%以下が更に好ましい。また、前記含有部の面積率(T1)は、優れた吸収性能を発現させる観点から、5%以上が好ましく、7%以上がより好ましく、10%以上が更に好ましい。液膜開裂剤の含有部と非含有との組み合わせは、表面材1の裏面1Bにおいて、少なくとも受液領域C1に配されていることが好ましく、受液領域C1から更に周辺領域に広がって配されていることがより好ましい。
(表面材1の裏面1Bにおける含有部及び非含有部の測定方法)
前記(液膜開裂剤の有無の確認方法)に基づいて、あぶらとり紙の変色部分に対応する表面材1の裏面部分が液膜開裂剤の含有部であり、それ以外の部分が非含有部である。
液膜開裂剤の含有部と非含有部とは、液膜開裂剤の作用と表面材1及び吸収体3の高い密着性とをより効果的に発現させる観点から、表面材1の裏面1Bにおいて交互に配置されることが好ましい。含有部と非含有部との交互配置パターンは、少なくとも受液領域C1に配されていることが好ましく、受液領域C1から更に周辺領域に広がって配されていることがより好ましい。
含有部と非含有部との交互配置のパターンとしては、特に制限することなく種々のものを採用することができる。例えば、図5に示されるようなものが挙げられる。なお、これらの図においては、含有部11と非含有部12の配置領域及び配置パターンの理解のため含有部11に模様を付して示しているが、実際には目視によって区別できるとは限らない。
図5(A)においては、含有部11及び非含有部12がともに縦方向(Y方向)に帯状に延出し、かつ、帯状の含有部11及び非含有部12が幅方向(X方向)に交互に配列されている。図5(B)においては、幅方向(X方向)に延出する含有部11及び非含有部12の帯が互いに縦方向(Y方向)に交互に配列されている。
この他にも、格子状の非含有部12の中に菱形に象られた含有部11が複数互いに離間して配列されていたり、格子状の含有部11の中に菱形に象られた非含有部12が複数互いに離間して配列されていたりしてもよい。また、非含有部12の中に円形(ドット状)にされた含有部11が互いに離間させて配列されていてもよい。
さらに本実施形態においては、表面材1の裏面1Bに液膜開裂剤の含有部と非含有部とが配されている場合、前述した凹部6が次のような配置であることが好ましい。すなわち、凹部6は、表面材1の表面1Aの平面視において、裏面1Bに配された液膜開裂剤の含有部に対応する位置にのみ配されていることが好ましい。これにより、装着感の悪化を抑えながら、表面材の浮きを低減することが可能となる。図6には具体例が示されている。このような凹部6と液膜開裂剤の含有部との組み合わせは、少なくとも受液領域C1に配されていることが好ましく、受液領域C1から更に周辺領域に広がって配されていることがより好ましい。また、表面材1と吸収体3との密着性は、前述のとおり凹部6に加えて、両部材間にホットメルト型等の接着剤を間欠的に塗工することでより高められる。該接着剤は、含有部及び非含有部に対応する領域を含む限り、受液領域C1のみに塗工されてもよく、表面材1と吸収体3との間の界面全体に塗工されてもよい。
図6に示す具体例おいては、表面材1の裏面1Bにおいて縦方向(Y方向)に帯状に延びる複数条の含有部6に対応して、図4に示す円形の凹部6が表面材1の表面1A側から配されている。ただし、凹部6と液膜開裂剤の含有部11との組み合わせは、この態様に限定されるものではなく種々の態様をとり得る。なお、図6においては、凹部6と含有部11との配置関係の理解のため、表面材1の表面1A側から見た凹部6の配置に対して、裏面1B側の含有部11及び非含有部12の配置パターンを投影させて示した。また、図6においては、図5と同様に、含有部11と非含有部12の配置領域及び配置パターンの理解のため含有部11に模様を付して示しているが、実際には目視によって区別できるとは限らない。
次に、前記液膜開裂剤の好ましい実施態様について説明する。液膜開裂剤の好ましい実施態様としては、国際公開第2016/098796号の段落[0013]〜[0088]に記載のものが挙げられる。具体的には、下記の第1実施態様及び第2実施態様のものが挙げられる。
第1実施態様の液膜開裂剤は、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が15mN/m以上であり、水溶解度が0g以上0.025g以下である。なお、この性質を有する化合物を化合物C1と言うことがある。
第2実施態様の液膜開裂剤は、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が0mN/mよりも大きい、すなわち正の値であり、水溶解度が0g以上0.025g以下であり、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力が20mN/m以下である。なお、この性質を有する化合物を化合物C2と言うことがある。
第1及び第2実施態様で規定する、液膜開裂剤が有する「表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数」及び「水溶解度」の定義、並びに、液膜(表面張力が50mN/mの液体)の表面張力(γ)、液膜開裂剤の表面張力(γ)、液膜開裂剤の液膜との界面張力(γwo)、及び液膜開裂剤の水溶解度の測定方法は、国際公開第2016/098796号の段落[0015]〜[0022]に記載されたとおりである。
第1実施態様の液膜開裂剤においては、拡張係数が15mN/m以上であることで、液膜開裂剤は、繊維間の狭小空間領域で生じる液膜の表面上での移動性、すなわち拡散性の高いものとなる。さらに、液膜開裂剤は、表面材1の含有された領域から含有されていない位置まで移動する拡張性をも有する。これらの拡張性を充分に発揮させる観点から、前記液膜開裂剤の拡張係数は、20mN/m以上がより好ましく、25mN/m以上が更に好ましく、30mN/m以上が特に好ましい。一方、その上限は特に制限されるものではないが、国際公開第2016/098796号の段落[0015]に記載の数式(1)から、表面張力が50mN/mの液体を用いた場合は上限値が50mN/m、表面張力が60mN/mの液体を用いた場合は上限値が60mN/m、表面張力が70mN/mの液体を用いた場合には上限値が70mN/mといったように、液膜を形成する液体の表面張力が上限となる。そこで、本発明では、表面張力が50mN/mの液体を用いている観点から、50mN/m以下である。
また、第1実施態様の液膜開裂剤においては、水溶解度が0g以上0.025g以下であることで、液膜開裂剤は、溶解しにくく液膜との界面を形成して、上記の拡散性をより効果的なものとする。同様の観点から、液膜開裂剤の水溶解度は、0.0025g以下が好ましく、0.0017g以下がより好ましく、0.0001g未満が更に好ましい。また、前記水溶解度は小さいほどよく、0g以上であり、液膜への拡散性の観点から、1.0×10−9g以上とすることが実際的である。なお、上記の水溶解性は、水分を主成分とする経血や尿等に対しても当てはまるものと考えられる。
第1実施態様の液膜開裂剤は、さらに、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力が20mN/m以下であることが好ましい。すなわち、前述した数式(1)における拡張係数(S)の値を定める1変数である「液膜開裂剤の液膜との界面張力(γwo)」が20mN/m以下であることが好ましい。「液膜開裂剤の液膜との界面張力(γwo)」を低く抑えることで、液膜開裂剤の拡張係数が上がり、繊維表面から液膜中心付近へ液膜開裂剤が移行しやすくなり、前述の作用がより明確となる。この観点から、液膜開裂剤の「表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力」は、17mN/m以下がより好ましく、13mN/m以下が更に好ましく、10mN/m以下がより更に好ましく、9mN/m以下が特に好ましく、1mN/m以下がとりわけ好ましい。一方、その下限は特に制限されるものではなく、液膜への不溶性の観点から0mN/mより大きければよい。なお、界面張力が0mN/m、すなわち溶解する場合には、液膜と液膜開裂剤間での界面を形成することができないため、数式(1)は成り立たず、剤の拡張は起きない。
拡張係数はその数式からもわかるように、対象となる液の表面張力により、その数値が変化する。例えば、対象液の表面張力が72mN/m、液膜開裂剤の表面張力が21mN/m、これらの界面張力が0.2mN/mの場合、拡張係数は50.8mN/mとなる。
また、対象液の表面張力が30mN/m、液膜開裂剤の表面張力21mN/m、これらの界面張力が0.2mN/mの場合、拡張係数は8.8mN/mとなる。
いずれの場合においても、拡張係数が大きい剤ほど、液膜開裂効果は大きくなる。
本明細書では、表面張力50mN/mにおける数値を定義したが、表面張力が異なったとしても、その各物質同士の拡張係数の数値の大小関係に変化はないことから、体液の表面張力が仮に、日ごとの体調などで変化したとしても、拡張係数が大きい剤ほど優れた液膜開裂効果を示す。
第1実施態様の液膜開裂剤の表面張力は、32mN/m以下が好ましく、30mN/m以下がより好ましく、25mN/m以下が更に好ましく、22mN/m以下が特に好ましい。また、前記表面張力は小さいほどよく、その下限は特に限定されるものではない。液膜開裂剤の耐久性の観点から、1mN/m以上が実際的である。
液膜開裂剤の表面張力を上記のような範囲以下とすることで、液膜を張る対象液の表面張力が下がった場合でも、液膜開裂作用を効果的に発揮させることができる。
次に、第2実施態様の液膜開裂剤においては、前記「表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力」を20mN/m以下とすることは、前述のように液膜開裂剤の液膜上での拡散性が高まることを意味する。これにより、前記「表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数」が15mN/m未満であるような拡張係数が比較的小さい場合でも、拡散性が高いため繊維表面から多くの液膜開裂剤が液膜内に分散し、多くの位置で液膜を押しのけることにより、第1実施態様の場合と同様の作用を奏し得る。
第2実施態様において、液膜開裂剤の前記作用をより効果的なものとする観点から、前記「表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力」は、17mN/m以下が好ましく、13mN/m以下がより好ましく、10mN/m以下が更に好ましく、9mN/m以下がより更に好ましく、1mN/m以下が特に好ましい。下限値については、第1実施態様と同様に特に制限されるものでなく、液膜(表面張力が50mN/mの液体)に溶解しない観点から、0mN/mより大きくするのが実際的である。
さらに、「表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数」は、液膜開裂剤の前記作用をより効果的なものとする観点から、9mN/m以上が好ましく、10mN/m以上がより好ましく、15mN/m以上が更に好ましい。その上限は特に制限されるものではないが、数式(1)より液膜を形成する液体の表面張力が上限となる観点から、50mN/m以下が実質的である。
液膜開裂剤の表面張力及び水溶解度のより好ましい範囲は、第1実施態様と同様である。
以上のとおり、第1実施態様の液膜開裂剤は上記の拡張係数及び水溶解度を有することによって、また第2実施態様の液膜開裂剤は、上記の拡張係数、界面張力及び水溶解度を有することによって、液膜の表面上で、溶解することなく広がり、液膜の中心付近から液膜の層を押しのけることができる。これにより、液膜を不安定化させて開裂する。
第1実施態様の液膜開裂剤を含む表面材1及び第2実施態様の液膜開裂剤を含む表面材1は、さらにリン酸エステル型のアニオン界面活性剤を含有することが好ましい。これにより、繊維表面の親水性が高まり、濡れ性が向上することによって、液膜と液膜開裂剤が接する面積が大きくなる。そして、血液や尿は生体由来のリン酸基を有する界面活性物質を有することから、リン酸基を有する界面活性剤を液膜開裂剤と併用すると、該界面活性剤は液膜開裂剤と相溶性を有し、さらに血液や尿に含まれるリン脂質との親和性もよい。そのため、液膜開裂剤が液膜に移行しやすくなり、液膜の開裂がさらに促進される。液膜開裂剤とリン酸エステル型のアニオン界面活性剤との含有比率は、質量比(液膜開裂剤:リン酸エステル型のアニオン界面活性剤)で、1:1〜19:1が好ましく、2:1〜15:1がより好ましく、3:1〜10:1が更に好ましい。特に、前記含有比率は、質量比で、5:1〜19:1が好ましく、8:1〜16:1がより好ましく、11:1〜13:1が更に好ましい。
リン酸エステル型のアニオン界面活性剤としては特に制限なく用いられる。例えば、国際公開第2016/098796号の段落[0031]に記載のものなどを用いることができる。
次に、第1実施態様及び第2実施態様における液膜開裂剤の具体例について説明する。これらは前述した特定の数値範囲にあることで水に溶けないか水難溶性の性質を有し、前記液膜開裂の作用をする。これに対し、従来の繊維処理剤として使用される界面活性剤などは実用上、水に対して溶解して使用する基本的には水溶性のものであり、本発明の液膜開裂剤ではない。
第1実施態様及び第2実施態様における液膜開裂剤としては、質量平均分子量が500以上の化合物が好ましい。この質量平均分子量は液膜開裂剤の粘度に大きく影響する。液膜開裂剤は、粘度を高く保つことで、液が繊維間を通過する際に流れ落ちにくく、不織布における液膜開裂効果の持続性を保つことができる。液膜開裂効果を十分に持続させる粘度とする観点から、液膜開裂剤の質量平均分子量は、1000以上がより好ましく、1500以上が更に好ましく、2000以上が特に好ましい。一方、液膜開裂剤が配された繊維から液膜への液膜開裂剤の移行、即ちマクロ及びミクロの拡散性を保持する粘度とする観点から、50000以下が好ましく、20000以下がより好ましく、10000以下が更に好ましい。この質量平均分子量の測定は、国際公開第2016/098796号の段落[0035]に記載の方法により行う。
また、第1実施態様における液膜開裂剤としては、国際公開第2016/098796号の段落[0036]〜[0039]に記載の化合物が好ましい。
上記化合物の具体例として、シリコーン系の界面活性剤の有機変性シリコーン(ポリシロキサン)が挙げられる。例えば、国際公開第2016/098796号の段落[0040]に記載のものが挙げられる。
その中でも、ポリオキシアルキレン変性シリコーンやエポキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、ジオール変性シリコーンなど、変性シリコーンである液膜開裂剤が少なくとも一つの酸素原子を変性基中に有する構造を有する変性シリコーンが好ましく、特にポリオキシアルキレン変性シリコーンが好ましい。ポリオキシアルキレン変性シリコーンは、ポリシロキサン鎖を有することで、繊維の内部に浸透し難く表面に残りやすい。また、親水的なポリオキシアルキレン鎖を付加したことにより、水との親和性が高まり、界面張力が低いため、前述した液膜表面上での移動が起きやすく好ましい。そのため、前述した液膜表面上での移動が起きやすく好ましい。また、ポリオキシアルキレン変性シリコーンは、エンボス等の熱溶融加工が施されても、その部分において繊維の表面に残りやすく液膜開裂作用は低減し難い。特に液が溜まりやすいエンボス部分において液膜開裂作用が十分に発現するので好ましい。
ポリオキシアルキレン変性シリコーンとしては、国際公開第2016/098796号の段落[0041]〜[0049]に記載のものが挙げられる。
第2実施態様における液膜開裂剤としては、国際公開第2016/098796号の段落[0050]〜[0086]に記載の化合物が好ましい。
本発明に係る表面材1をなす不織布において、上述した液膜開裂剤の他に、必要により他の成分を含有させてもよい。また、第1実施態様の液膜開裂剤、第2実施態様の液膜開裂剤は、別々に用いる形態以外にも、両者の剤を組み合わせて用いてもよい。この点は、第2実施態様の液膜開裂剤における第1の化合物と第2の化合物についても同じである。
なお、本発明に係る表面材1をなす不織布において、含有される液膜開裂剤やリン酸エステル型のアニオン界面活性剤の同定、液膜開裂剤の成分が、主鎖がシロキサン鎖を有する化合物又は炭素原子数1以上20以下の炭化水素化合物である場合の該液膜開裂剤の、表面材1をなす不織布質量に対する含有割合(OPU)は、の測定は、国際公開第2016/098796号の段落[0088]に記載の方法により行うことができる。
本実施形態の生理用ナプキン10は、液膜開裂剤の上記作用により、液残りの低減を達成でき、液透過性に優れたものとなる。これに加えて、表面材1の表面1Aにおける体液のランオフ(表面流れ)が効果的に防止される。更に、表面材1と吸収体3との間の浮きの発生が抑えられて高い密着性が保持される。その結果、生理用ナプキン10は、優れた液吸収性能を実現できる。
本実施形態の生理用ナプキン10の表面材1においては、国際公開第2016/098796号の段落[0095]〜[0096]に記載のようにして、少なくとも一部の繊維交絡点付近又は繊維融着点付近に液膜開裂剤が局在化していることが好ましい。
表面材1は、液膜開裂剤の含有部11は種々の方法を用いて形成することができる。例えば、国際公開第2016/098796号の段落[0098]及び[0099]に記載の方法を用いることができる。
本実施形態の生理用ナプキン10の構成部材の素材としては、この種の物品に採用されるものを特に制限なく用いることができる。
表面材1は、液透過性であり、この種の物品に用いられるものを特に制限なく用いることができる。排泄された体液を速やかに吸収し、吸収体に伝達する観点と肌触りのよさの観点とから親水性のサーマルボンド不織布が好ましく、特にエアスルー不織布が好ましい。親水化処理された熱可塑性樹脂繊維であり、かつ、該繊維が2次クリンプ又は3次クリンプのような立体捲縮がなされた繊維であることが好ましい。図2に示す凹凸形状の表面材としては、例えば特開2015−110846号公報明細書の段落[0010]〜[0055]に記載の不織布からなるものが挙げられる。
具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、及びこれらの複合繊維を作成し、所定の長さにカットしてステープルを形成する前の段階で、各種親水化剤を塗工する。親水化剤としては、αオレフィンスルホン酸塩に代表される各種アルキルスルホン酸塩、アクリル酸塩、アクリル酸塩/アクリルアミド共重合体、エステルアミド、エステルアミドの塩、ポリエチレングリコール及びその誘導物、水溶性ポリエステル樹脂、各種シリコーン誘導物、各種糖類誘導物、及びこれらの混合物など、当業者公知の親水化剤による親水化処理を用いることができる。
吸収体3としては、この種の物品に用いられるものを特に制限することなく任意に採用できる。例えば、親水性の繊維集合体からなる吸収性コアをコアラップシートで被覆してなるものなどが挙げられる。前記吸収性コアにはさらに高吸水性ポリマーが含有されていてもよい。前記コアラップシートの素材としては、親水性繊維を原料として製造された紙やパルプシート、親水性の不織布などが挙げられる。
また、吸収体3としては、シート状にしたものでもよい。前記シート状のものとしては、例えば、親水性繊維を原料として製造された紙やパルプシートなどがある。また、二枚の基材シート(吸収紙又は不織布)の間に高吸水性ポリマー材の集合体からなる吸収性コアを挟持固定した吸水性シート(例えば、特開平8−246395号に記載の吸水性シートや特開2004−275225号に記載のポリマーシート)などがある。
前記繊維集合体の繊維や前記親水性繊維は、例えば、針葉樹パルプや広葉樹パルプ等の木材パルプや植物パルプ等の天然繊維、キュプラやレーヨン等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、ポリオレフィン類、ポリアミド類、ポリエステル類等の合成繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
裏面材2の素材としては、透湿性フィルム単独、又はフィルムと不織布とを貼り合わせた積層体、撥水性の不織布(SMSやSMMS等)を用いることができる。コスト面やズレ止め粘着剤とのマッチングなどから、透湿フィルム単独を防漏材として用いることが最も好ましい。この場合のフィルム材としては、熱可塑性樹脂と、これと相溶性のない無機フィラーを溶融混練して押し出したフィルムを所定の寸法に延伸して微細孔をあけたフィルム、または、本質的に水分の相溶性が高く、浸透膜のように水蒸気排出可能な無孔性のフィルムが挙げられる。
本実施形態の生理用ナプキン10は、上記の構成に限定されるものではなく、種々の変形形態であってもよく、他の構成部材を含むものであってもよい。例えば、防漏溝5を環状ではなく、複数に分離した溝の組み合わせであってもよい。また、後方部Rに、着用者の臀部を覆うように長く広がる後部フラップ部等を有するものであってもよく、股下部Cに、下着のクロッチに固定させる一対のウイング部を有するものであってもよい。さらに、表面材1上の縦方向(Y方向)の両側に、排泄液の横漏れを防ぐ、撥水性のサイドシートが配されていてもよい。また、裏面材2の非肌当接面側に、下着に固定する粘着部を有していてもよく、さらに該粘着部を剥離可能に覆う剥離シートなどがあってもよい。
また、本実施形態の生理用ナプキン10において、液膜開裂剤は、表面材1に加えて、更に他の部材に含有されていてもよい。
本発明の吸収性物品は、上記の生理用ナプキンに限定されるものではなく、排泄液を吸収保持する種々のものとすることができる。例えば、パンティライナーや失禁パッド、おむつ、尿とりパッドなどであってもよい。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳しく説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。なお、本実施例において「部」および「%」とは特に断らない限りいずれも質量基準である。また、拡張係数、界面張力、表面張力及び水溶解度は、前述のとおり、温度25℃、相対湿度(RH)65%の環境領域で測定したものである。下記実施例における、液膜開裂剤の表面張力、水溶解度及び界面張力は、上記で示した国際公開第2016/098796号の段落[0015]〜[0022]に記載の測定方法により行った。
(実施例1)
上層の繊維ウエブとして、繊度1.2dtexの非熱収縮の繊維を用いて坪量22g/mの上層繊維ウエブと、繊度2.3dtexの熱収縮の繊維を用いた坪量25g/mの下層繊維ウエブとを準備した。次いで、上層繊維ウエブと下層繊維ウエブとを積層し、特開2015−186543号明細書に記載の実施例1と同様のエンボスパターンで上層繊維ウエブ側からエンボス処理を行って、表面材1(不織布)を作製した。作製した表面材1の裏面全面に、下記の液膜開裂剤をフレキソ印刷方式にて塗布した。表面材1における不織布質量に対する液膜開裂剤の含有割合(OPU)を1.6質量%とし、実施例1の表面材試料とした。
<液膜開裂剤>
ポリオキシエチレン(POE)変性ジメチルシリコーン(信越化学工業株式会社製 KF−6015)であって、構造X−YにおけるXが−Si(CHO−からなるジメチルシリコーン鎖、Yが−(CO)−からなるPOE鎖からなり、POE鎖の末端基がメチル基(CH)であり、変性率が20%、ポリオキシエチレン付加モル数が3、質量平均分子量が4000の化合物。
前記液膜開裂剤は、表面張力21.0mN/m、水溶解度0.0001g未満であった。また、前記液膜開裂剤の、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数は28.8mN/mであり、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力は、0.2mN/mであった。これらの数値は、前述の測定方法により測定した。その際、「表面張力が50mN/mの液体」は、100gの脱イオン水にノニオン系界面活性物質であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(花王株式会社製、商品名レオオールスーパーTW−L120)をマイクロピペット(ACURA825、Socorex Isba SA社製)で3.75μL添加し、表面張力を50±1mN/mに調整した溶液を用いた。また、水溶解度は、0.0001g毎に剤を添加して測定した。その結果、0.0001gも溶けないと観察されたものは「0.0001g未満」とし、0.0001gは溶けて、0.0002gは溶けなかったと観察されたものは「0.0001g」とした。それ以外の数値についても同様の方法により測定した。
次いで、生理用ナプキン(花王株式会社製:ロリエエフ しあわせ素肌 30cm、2014年製)から表面シートを取り除き、ホットメルト型の接着剤を、塗工坪量が4.0gsmとなるようにサミュット状に間欠的に塗工し、作製した表面材試料を積層してその周囲を固定した。
さらに、作製した生理用ナプキンの股下部に位置する液吸収領域に対して、表面材試料の上(表面1A側)から図4に示すパターンのピンエンボス圧搾処理を行って凹部を形成した。これにより、凹部の底部において表面材と吸収体とを一体化させた。凹部間の縦方向及び幅方向について離間距離は6.5mmとした。これにより、実施例1の生理用ナプキン試料を作製した。
(実施例2)
表面材試料の裏面1Bに対する液膜開裂剤の塗布パターン(含有部と非含有部の配置パターン)、表面1A側からの凹部配置パターンを図6のものとし、表面材1における不織布質量に対する液膜開裂剤の含有割合(OPU)を0.4質量%とした以外は、実施例1と同様にして実施例2の生理用ナプキン試料を作製した。このとき、含有部の幅を1.25mmとし、非含有部の幅を3.75mmとして、含有部の面積率が25%になるようにした。また、凹部の縦方向の離間距離及び幅方向の離間距離をそれぞれ、6.5mmとした。
(比較例)
生理用ナプキン(花王株式会社製:ロリエエフ しあわせ素肌 30cm、2014年製)と同様のものを作製して、比較例の生理用ナプキン試料とした。
(参考例1)
凹部を形成しなかった以外は実施例1と同様にして、参考例1の生理用ナプキン試料を作製した。
(参考例2)
凹部を形成しなかった以外は実施例2と同様にして、参考例1の生理用ナプキン試料を作製した。
(試験方法)
(1)表面材の液残り量
各生理用ナプキン試料の表面上に、内径1cmの透過孔を有するアクリル板を重ねて、該ナプキンに100Paの一定荷重を掛けた。斯かる荷重下において、該アクリル板の透過孔から経血に相当する擬似血液(株式会社日本バイオテスト研究所製の馬脱繊維血液を8.0cPに調整したもの)6.0gを流し込んだ。なお、用いた擬似血液は、東機産業株式会社のTVB10形粘度計にて、30rpmの条件下で調整した。馬脱繊維血液は、放置すると、粘度の高い部分(赤血球など)は沈殿し、粘度の低い部分(血漿)は、上澄みとして残る。その部分の混合比率を、8.0cPになるように調整した。合計6.0gの擬似血液を流し込んでから60秒後にアクリル板を取り除いた。次いで、不織布試料の重量(W2)を測定し、予め測定しておいた、擬似血液を流し込む前の不織布試料の重量(W1)との差(W2−W1)を算出した。以上の操作を3回行い、3回の平均値を液残り量(mg)とした。液残り量は、装着者の肌がどの程度濡れるかの指標となるものであり、液残り量が少ない程、良い結果である。
(2)一定時間使用後を想定した表面材の液残り量
作製した生理用ナプキン試料を実際に装着し、装着3時間後の表面上に、擬似血液6gを無加圧で1分間かけて注入後、コールドスプレーを液注入部以外のところにかけて、60秒後に、表面材をなす不織布を生理用ナプキン試料から丁寧に取り外し、液注入部周辺のみをはさみでカットして液を含む不織布質量(W1)を測定した。その後、該不織布を水洗いした後に100℃の乾燥機に30分間入れて十分に不織布を乾燥させ、不織布質量(W2)を測定し、W2−W1をから液残り量(mg)を算出した。以上の操作を3回行い、3回の平均値を液残り量(mg)とした。
(3)表面材表面における液流れ(ランオフ)長さ
試験装置は、試験サンプルの載置面が水平面に対して45°傾斜している載置部を有するものを用いた。各生理用ナプキン試料を、表面材が上方を向くようにして前記載置部に載置した。各生理用ナプキン試料の表面上に、擬似血液を0.1g/秒の速度で0.5g滴下させた。初めに不織布に着液した地点から、試験液が不織布内部に引き込まれて流れなくなった地点までの距離を測定した。なお、用いた擬似血液は、前記表面材(不織布試料)の液残り量の測定と同様の方法で調整した。以上の操作を3回行い、3回の平均値を液流れ長さ(mm)とした。液流れ長さは、液が試験サンプルに吸収されずに表面上を流れ、装着時にどの程度漏れやすくなるかの指標となるものであり、液流れ長さが短いほど高評価となる。
(4)浮き発生の有無
生理用ナプキン試料を実際に装着し、装着3時間後の表面材と吸収体の接着部分を指で押し当てて表面材のみで皺を形成するかどうかを目視で確認して判断した。目視で判別しにくい場合には、該当部位で切断して、製品を幅方向の端部同士が接触するように、表面材側が谷側になるように折り、表面材と吸収体の空間が形成されるかどうかで判別した。
(5)表面材と吸収体との接着強度
プッシュプルゲージ(アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて測定を行った。製品から長さ7cm、幅4cmにはさみで切断し、その後表面材のみ一部を掴めるように浮かして測定用のサンプルを作製した。その後、プッシュプルゲージに測定用サンプルの吸収体部分を固定し、表面材を引っ張って剥がした際の強度を接着強度として測定した。
上記実施例及び比較例、参考例についての試験結果は下記表1のとおりである。
Figure 2019000482
表1に示すとおり、実施例1と実施例2は比較例に比べて、液残り量及び一定時間使用後想定での液残り量で優れていた。これは液膜開裂効果の発現によるものと理解できる。加えて、裏面側に液膜開裂剤が付与され、ピンエンボスによる凹部が形成されていない参考例1,2と対比して、一定時間使用後想定での液残り量が著しく改善していた。これは、表面材と吸収体の間に浮きの発生が抑制され、それにより表面材中の液が吸収体にスムーズに移行し、残りにくくなったためだと考えられる。すなわち、表面材裏面に液膜開裂剤を塗工しながら、ピンエンボスによる凹部を形成されることで、実使用場面において、常に優れた液残り量を使用者に提供することが可能になる。
1 表面材
2 裏面材
3 吸収体
5 防漏溝
6 凹部
10 生理用ナプキン
11 含有部
12 非含有部
100 繊維
200 液膜
300 液膜開裂剤

Claims (8)

  1. 表面材、裏面材、及び、前記表面材と前記裏面材とに挟まれた吸収体を有する吸収性物品であって、
    前記表面材の表面よりも裏面に液膜開裂剤を多く有し、かつ、
    前記表面材と前記吸収体が一体化されてなる凹部を前記表面材上の受液領域に複数有する、吸収性物品。
  2. 表面材、裏面材、及び前記表面材と前記裏面材とに挟まれた吸収体を有する吸収性物品であって、
    前記表面材の表面よりも裏面に、下記の化合物(C1)又は化合物(C2)を多く有し、かつ、
    前記表面材と前記吸収体が一体化されてなる凹部を前記表面材上の受液領域に複数有する、吸収性物品。
    化合物C1:表面張力50mN/mの液体に対する拡張係数が15mN/m以上で、水溶解度が0g以上0.025g以下である化合物
    化合物C2:表面張力50mN/mの液体に対する拡張係数が0mN/mよりも大きく、水溶解度が0g以上0.025g以下であり、表面張力50mN/mの液体に対する界面張力が20mN/m以下である化合物
  3. 前記液膜開裂剤、前記化合物(C1)又は前記化合物(C2)が、シリコーン化合物からなる請求項1又は2記載の吸収性物品。
  4. 前記受液領域に配されている、隣接する凹部同士の離間距離が10mm以内である請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記表面材の表面の平面視において、前記受液領域の面積に占める前記凹部の面積率が10%以上50%以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  6. 前記受液領域に配されている前記凹部の合計面積は、1cm以上10cm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  7. 前記表面材の裏面には、前記液膜開裂剤の含有部と非含有部とが配されており、前記表面材の裏面全体の面積に占める前記含有部の面積率が25%以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  8. 前記表面材は裏面には、前記液膜開裂剤の含有部と非含有部とが配されており、前記含有部に対応する位置にのみ前記凹部が配されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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