JP2019000482A - 吸収性物品 - Google Patents
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Abstract
Description
また、特許文献2には、吸収性物品における体液の漏れ防止の観点から、表面シートと中間シートとの間に第1接着剤層を形成し、中間シートと吸収体との間に第2接着剤層を形成することが記載されている。第1接着剤層と第2接着剤層とはともに、長手方向に沿って形成されており、かつ、第2接着剤層は第1接着剤層よりも長くされている。
さらに吸収性物品においては、肌に触れる表面材について、液残りの低減とともに、体液の表面流れ(ランオフ)に対する防止性の向上が求められる。ランオフの防止性の向上は、物品の厚み方向の液透過性によって改善し得る。また、吸収性物品の吸収性能にとって、表面材と吸収体との間の浮きはできるだけ抑える必要がある。浮きとは、具体的には、装着時において表面材と吸収体の接着が弱くなり、表面材と吸収体が密着出来ずに空間が形成される状態のことをいう。このような浮きの発生を抑制することによって、表面材の下側に配置される液保持性の吸収体の吸収力(液引き込み力)が表面材に伝わりやすくなる。
また、本発明は、表面材、裏面材、及び前記表面材と前記裏面材とに挟まれた吸収体を有する吸収性物品であって、前記表面材の表面よりも裏面に、表面張力50mN/mの液体に対する拡張係数が15mN/m以上で、水溶解度が0g以上0.025g以下である化合物(C1)を多く有し、かつ、前記表面材と前記吸収体が一体化されてなる凹部を前記表面材上の受液領域に複数有する、吸収性物品を提供する。
また、本発明は、表面材、裏面材、及び前記表面材と前記裏面材とに挟まれた吸収体を有する吸収性物品であって、前記表面材の表面よりも裏面に、表面張力50mN/mの液体に対する拡張係数が0mN/mよりも大きく、水溶解度が0g以上0.025g以下であり、表面張力50mN/mの液体に対する界面張力が20mN/m以下である化合物(C2)を多く有し、かつ、前記表面材と前記吸収体が一体化されてなる凹部を前記表面材上の受液領域に複数有する、吸収性物品を提供する。
本発明においては、特に断らない限り、人体に接触する側を肌面側、肌当接面側又は表面側といい、これと反対側を非肌面側、非肌当接面側又は裏面側という。着用時に人体の前側に位置する方向を前方といいその端部を前端部とし、後側に位置する方向を後方といいその端部を後端部として説明する。また、吸収性物品の表面又は裏面の法線方向を厚み方向といい、その量を厚みという。
表面材1の両面における液膜開裂剤の有無は次の方法によって確認することができる。すなわち、表面材1の各面に対してあぶらとり紙をあてた後、厚み4mmのアクリル板をのせ、その上から600g/cm2となるように錘で30秒荷重する。荷重後、すぐに、該あぶらとり紙を剥がし、黒色の台紙に該あぶらとり紙を載せて色の変化を目視で確認する。色の変化があれば、その部分に液膜開裂剤が含まれていることを示す。上記のあぶらとり紙として種々のものを用いることができ、例えばカタニ産業株式会社製の金箔打紙製法あぶらとり紙を挙げることができる。
なお、吸収性物品において、測定対象の表面材と他の部材との接合に用いられる接着剤などをコールドスプレー等の冷却手段で弱めた後に、表面材を丁寧に剥がして取り出し、上記の確認を行う。
本発明で用いられる液膜開裂剤は、液膜を消失させる性質を有しており、斯かる性質により、該液膜開裂剤を、血漿成分を主体とする試験液又は人工尿に適用した場合に、液膜消失効果を発現し得る。人工尿は、尿素1.940質量%、塩化ナトリウム0.795質量%、硫酸マグネシウム0.110質量%、塩化カルシウム0.062質量%、硫酸カリウム0.197質量%、赤色2号(染料)0.010質量%、水(約96.88質量%)及びポリオキシエチレンラウリルエーテル(約0.07質量%)の組成を有する混合物を、表面張力を53±1dyne/cm(23℃)に調整したものである。ここでいう液膜消失効果には、試験液又は人工尿から形成される液膜によって空気が抱えこまれた構造体について、該構造体の液膜形成を阻害する効果と、形成された該構造体を消失させる効果との双方が含まれ、少なくとも一方の効果を発現する剤は、液膜消失効果を発現し得る性質を有していると言える。
前記試験液は、馬脱繊維血液(株式会社日本バイオテスト製)から抽出された液体成分である。具体的には、100mLの馬脱繊維血液を温度22℃、湿度65%の条件下で1時間静置すると、該馬脱繊維血液は上層と下層とに分離するところ、この上層が前記試験液である。上層は主に血漿成分を含み、下層は主に血球成分を含む。上層と下層とに分離した馬脱繊維血液から上層のみを取り出すには、例えばトランスファーピペット(日本マイクロ株式会社製)を用いることができる。
ある剤が前記の「液膜を消失させる性質」を有するか否かは、当該剤が適用された前記試験液又は人工尿から形成される液膜によって、空気が抱えこまれた構造体が発生しやすい状態にした場合の、該構造体即ち液膜の量の多少で判断される。すなわち、前記試験液又は人工尿を、温度25℃に調整し、その後、スクリュー管(株式会社マルエム製 No.5 胴径27mm、全長55mm)に10g入れて、標準サンプルを得る。また、測定サンプルとして、標準サンプルと同じものに、25℃に予め調整した測定対象の剤を0.01g添加したものを得る。標準サンプルと測定サンプルをそれぞれ前記スクリュー管の上下方向に2往復強く振とうした後、水平面上に速やかに載置する。このサンプルの振とうにより、振とう後のスクリュー管の内部には、前記構造体の無い液体層(下層)と、該液体層の上に形成された多数の該構造体からなる構造体層(上層)とが形成される。振とう直後から10秒経過後に、両サンプルの構造体層の高さ(液体層の液面から構造体層上面までの高さ)を測定する。そして、標準サンプルの構造体層の高さに対して、測定サンプルの構造体層の高さが90%以下となった場合、測定対象の剤は液膜開裂効果を有しているとする。
本発明で用いられる液膜開裂剤は、前記の性質に当てはまる単一の化合物若しくは前記の性質に当てはまる単一の化合物を複数組み合わせた混合物、又は複数の化合物の組み合わせによって前記の性質を満たす(液膜の開裂を発現し得る)剤である。つまり液膜開裂剤とは、あくまで前記定義によるところの液膜開裂効果があるものに限定した剤のことである。したがって、吸収性物品中に適用されている化合物に、前記定義に当てはまらない第三成分を含む場合には、液膜開裂剤と区別する。
なお、液膜開裂剤及び第三成分について、「単一の化合物」とは、同じ組成式を有するが、繰り返し単位数が異なることにより、分子量が異なる化合物を含める概念である。
液膜開裂剤としては、国際公開第2016/098796号の明細書の段落[0007]〜[0186]に記載のものから適宜に選んで用いることができる。液膜開裂剤の好ましい実施態様については更に後述する。
この液膜開裂剤が表面材1の裏面1B側にあることで、液膜開裂剤による液残り低減効果とともに、表面材1の表面1A側での液のランオフ(表面流れ)が防止され、厚み方向の液透過性を保持することができる。しかも、液膜開裂剤は、その拡張性によって、液との接触で繊維上を移行し、裏面1B側のみならず表面材1の厚み方向及び平面方向の広い範囲で液膜開裂作用を発現することができる。これにより、液膜開裂剤が裏面1B側にある場合でも、表面1Aにある場合と同様に、表面材1全体の液残り低減効果が得られる。加えて、液膜開裂剤は、表面材1の裏面1B側において、表面材1から吸収体3へと体液を引き渡す通路空間を保持し得る。また、該通路空間を介して、吸収体3が備える液引き込み力を表面1A側に伝達しやすくする。これにより、吸収体3と表面材1との間で液引き込みの連携性が高められ、ナプキン10の液吸収性が向上され得る。この液吸収性は、図2に示すように表面材1の表面1A側が凹凸形状にされていることによりさらに高められる。
凹部6は、表面材1の繊維層が表面1A側から裏面1B側に向かって吸収体3とともに窪んだ空間部分である。すなわち、凹部6は表面材1の表面1A側から見た窪みである。凹部6の平面形状は、図4(A)に示すような円形に限定されず種々の形状をとり得る。例えば、楕円形、三角形、矩形、菱形、ハート形又はこれらの組み合わせであってもよい。また、凹部6の平面方向の配置は、図4(A)に示すように、縦方向(Y方向)及び幅方向(X方向)において等間隔に離間配置される態様に限定されず種々のものとすることができる。
一つの凹部に着目し、該一つの凹部から最も近接している他の凹部を選択する。前記一つの凹部の端部から前記他の凹部の端部の最短距離を標準ノギスで測定する。
同様に、表面材1の表面1Aの平面視において、受液領域C1における凹部6の面積(複数の凹部6の合計の面積)(M1)は、1cm2以上が好ましく、2cm2以上がより好ましく、3cm2以上が更に好ましい。凹部6の面積(M1)は、10cm2以下が好ましく、8cm2以下がより好ましく、5cm2以下が更に好ましい。
凹部6の面積率(Q1)は下記の数式(61)に基づいて算出される。
面積率(Q1)=M1/CM (61)
M1:受液領域C1における凹部6の合計の面積
CM:受液領域C1の面積
まず、受液領域C1の面積CMについては、前述した区分に基づいて測定される。すなわち、吸収性物品の縦方向(Y方向)の股下部Cとして区分される領域(3等分した中央の領域、4等分した前方部Fから2番目の領域)の縦方向(Y方向)の長さ×該股下部Cにおける吸収体の全幅を3等分した際の中央の領域の横方向(X方向)の長さ(幅)として測定される。
次いで、表面材1を平面視して、受液領域C1における凹部6の面積を、標準ノギスを用いて各辺や直径を測定し、算出する。このとき、凹部6の形状の種類に応じて、下記の数式(62)、(63)のいずれかに基づいて、受液領域C1における凹部6の合計の面積を算出する。凹部6が、数種類ある場合は、それぞれの数と面積を測定し、数式(63)に基づいて全ての和から面積を求める。
M1=凹A部の面積×C1における凹A部の数(全てが同じ柄の場合) (式62)
M1=凹A部の面積×C1における凹A部の数+凹B部の面積×C1における凹B部の数(柄が2種類の場合) (式63)
前記(液膜開裂剤の有無の確認方法)に基づいて、あぶらとり紙の変色部分に対応する表面材1の裏面部分が液膜開裂剤の含有部であり、それ以外の部分が非含有部である。
図5(A)においては、含有部11及び非含有部12がともに縦方向(Y方向)に帯状に延出し、かつ、帯状の含有部11及び非含有部12が幅方向(X方向)に交互に配列されている。図5(B)においては、幅方向(X方向)に延出する含有部11及び非含有部12の帯が互いに縦方向(Y方向)に交互に配列されている。
この他にも、格子状の非含有部12の中に菱形に象られた含有部11が複数互いに離間して配列されていたり、格子状の含有部11の中に菱形に象られた非含有部12が複数互いに離間して配列されていたりしてもよい。また、非含有部12の中に円形(ドット状)にされた含有部11が互いに離間させて配列されていてもよい。
第2実施態様の液膜開裂剤は、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が0mN/mよりも大きい、すなわち正の値であり、水溶解度が0g以上0.025g以下であり、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力が20mN/m以下である。なお、この性質を有する化合物を化合物C2と言うことがある。
拡張係数はその数式からもわかるように、対象となる液の表面張力により、その数値が変化する。例えば、対象液の表面張力が72mN/m、液膜開裂剤の表面張力が21mN/m、これらの界面張力が0.2mN/mの場合、拡張係数は50.8mN/mとなる。
また、対象液の表面張力が30mN/m、液膜開裂剤の表面張力21mN/m、これらの界面張力が0.2mN/mの場合、拡張係数は8.8mN/mとなる。
いずれの場合においても、拡張係数が大きい剤ほど、液膜開裂効果は大きくなる。
本明細書では、表面張力50mN/mにおける数値を定義したが、表面張力が異なったとしても、その各物質同士の拡張係数の数値の大小関係に変化はないことから、体液の表面張力が仮に、日ごとの体調などで変化したとしても、拡張係数が大きい剤ほど優れた液膜開裂効果を示す。
液膜開裂剤の表面張力を上記のような範囲以下とすることで、液膜を張る対象液の表面張力が下がった場合でも、液膜開裂作用を効果的に発揮させることができる。
さらに、「表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数」は、液膜開裂剤の前記作用をより効果的なものとする観点から、9mN/m以上が好ましく、10mN/m以上がより好ましく、15mN/m以上が更に好ましい。その上限は特に制限されるものではないが、数式(1)より液膜を形成する液体の表面張力が上限となる観点から、50mN/m以下が実質的である。
液膜開裂剤の表面張力及び水溶解度のより好ましい範囲は、第1実施態様と同様である。
その中でも、ポリオキシアルキレン変性シリコーンやエポキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、ジオール変性シリコーンなど、変性シリコーンである液膜開裂剤が少なくとも一つの酸素原子を変性基中に有する構造を有する変性シリコーンが好ましく、特にポリオキシアルキレン変性シリコーンが好ましい。ポリオキシアルキレン変性シリコーンは、ポリシロキサン鎖を有することで、繊維の内部に浸透し難く表面に残りやすい。また、親水的なポリオキシアルキレン鎖を付加したことにより、水との親和性が高まり、界面張力が低いため、前述した液膜表面上での移動が起きやすく好ましい。そのため、前述した液膜表面上での移動が起きやすく好ましい。また、ポリオキシアルキレン変性シリコーンは、エンボス等の熱溶融加工が施されても、その部分において繊維の表面に残りやすく液膜開裂作用は低減し難い。特に液が溜まりやすいエンボス部分において液膜開裂作用が十分に発現するので好ましい。
具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、及びこれらの複合繊維を作成し、所定の長さにカットしてステープルを形成する前の段階で、各種親水化剤を塗工する。親水化剤としては、αオレフィンスルホン酸塩に代表される各種アルキルスルホン酸塩、アクリル酸塩、アクリル酸塩/アクリルアミド共重合体、エステルアミド、エステルアミドの塩、ポリエチレングリコール及びその誘導物、水溶性ポリエステル樹脂、各種シリコーン誘導物、各種糖類誘導物、及びこれらの混合物など、当業者公知の親水化剤による親水化処理を用いることができる。
また、吸収体3としては、シート状にしたものでもよい。前記シート状のものとしては、例えば、親水性繊維を原料として製造された紙やパルプシートなどがある。また、二枚の基材シート(吸収紙又は不織布)の間に高吸水性ポリマー材の集合体からなる吸収性コアを挟持固定した吸水性シート(例えば、特開平8−246395号に記載の吸水性シートや特開2004−275225号に記載のポリマーシート)などがある。
前記繊維集合体の繊維や前記親水性繊維は、例えば、針葉樹パルプや広葉樹パルプ等の木材パルプや植物パルプ等の天然繊維、キュプラやレーヨン等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、ポリオレフィン類、ポリアミド類、ポリエステル類等の合成繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、本実施形態の生理用ナプキン10において、液膜開裂剤は、表面材1に加えて、更に他の部材に含有されていてもよい。
上層の繊維ウエブとして、繊度1.2dtexの非熱収縮の繊維を用いて坪量22g/m2の上層繊維ウエブと、繊度2.3dtexの熱収縮の繊維を用いた坪量25g/m2の下層繊維ウエブとを準備した。次いで、上層繊維ウエブと下層繊維ウエブとを積層し、特開2015−186543号明細書に記載の実施例1と同様のエンボスパターンで上層繊維ウエブ側からエンボス処理を行って、表面材1(不織布)を作製した。作製した表面材1の裏面全面に、下記の液膜開裂剤をフレキソ印刷方式にて塗布した。表面材1における不織布質量に対する液膜開裂剤の含有割合(OPU)を1.6質量%とし、実施例1の表面材試料とした。
<液膜開裂剤>
ポリオキシエチレン(POE)変性ジメチルシリコーン(信越化学工業株式会社製 KF−6015)であって、構造X−YにおけるXが−Si(CH3)2O−からなるジメチルシリコーン鎖、Yが−(C2H4O)−からなるPOE鎖からなり、POE鎖の末端基がメチル基(CH3)であり、変性率が20%、ポリオキシエチレン付加モル数が3、質量平均分子量が4000の化合物。
前記液膜開裂剤は、表面張力21.0mN/m、水溶解度0.0001g未満であった。また、前記液膜開裂剤の、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数は28.8mN/mであり、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力は、0.2mN/mであった。これらの数値は、前述の測定方法により測定した。その際、「表面張力が50mN/mの液体」は、100gの脱イオン水にノニオン系界面活性物質であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(花王株式会社製、商品名レオオールスーパーTW−L120)をマイクロピペット(ACURA825、Socorex Isba SA社製)で3.75μL添加し、表面張力を50±1mN/mに調整した溶液を用いた。また、水溶解度は、0.0001g毎に剤を添加して測定した。その結果、0.0001gも溶けないと観察されたものは「0.0001g未満」とし、0.0001gは溶けて、0.0002gは溶けなかったと観察されたものは「0.0001g」とした。それ以外の数値についても同様の方法により測定した。
さらに、作製した生理用ナプキンの股下部に位置する液吸収領域に対して、表面材試料の上(表面1A側)から図4に示すパターンのピンエンボス圧搾処理を行って凹部を形成した。これにより、凹部の底部において表面材と吸収体とを一体化させた。凹部間の縦方向及び幅方向について離間距離は6.5mmとした。これにより、実施例1の生理用ナプキン試料を作製した。
表面材試料の裏面1Bに対する液膜開裂剤の塗布パターン(含有部と非含有部の配置パターン)、表面1A側からの凹部配置パターンを図6のものとし、表面材1における不織布質量に対する液膜開裂剤の含有割合(OPU)を0.4質量%とした以外は、実施例1と同様にして実施例2の生理用ナプキン試料を作製した。このとき、含有部の幅を1.25mmとし、非含有部の幅を3.75mmとして、含有部の面積率が25%になるようにした。また、凹部の縦方向の離間距離及び幅方向の離間距離をそれぞれ、6.5mmとした。
生理用ナプキン(花王株式会社製:ロリエエフ しあわせ素肌 30cm、2014年製)と同様のものを作製して、比較例の生理用ナプキン試料とした。
凹部を形成しなかった以外は実施例1と同様にして、参考例1の生理用ナプキン試料を作製した。
凹部を形成しなかった以外は実施例2と同様にして、参考例1の生理用ナプキン試料を作製した。
(1)表面材の液残り量
各生理用ナプキン試料の表面上に、内径1cmの透過孔を有するアクリル板を重ねて、該ナプキンに100Paの一定荷重を掛けた。斯かる荷重下において、該アクリル板の透過孔から経血に相当する擬似血液(株式会社日本バイオテスト研究所製の馬脱繊維血液を8.0cPに調整したもの)6.0gを流し込んだ。なお、用いた擬似血液は、東機産業株式会社のTVB10形粘度計にて、30rpmの条件下で調整した。馬脱繊維血液は、放置すると、粘度の高い部分(赤血球など)は沈殿し、粘度の低い部分(血漿)は、上澄みとして残る。その部分の混合比率を、8.0cPになるように調整した。合計6.0gの擬似血液を流し込んでから60秒後にアクリル板を取り除いた。次いで、不織布試料の重量(W2)を測定し、予め測定しておいた、擬似血液を流し込む前の不織布試料の重量(W1)との差(W2−W1)を算出した。以上の操作を3回行い、3回の平均値を液残り量(mg)とした。液残り量は、装着者の肌がどの程度濡れるかの指標となるものであり、液残り量が少ない程、良い結果である。
作製した生理用ナプキン試料を実際に装着し、装着3時間後の表面上に、擬似血液6gを無加圧で1分間かけて注入後、コールドスプレーを液注入部以外のところにかけて、60秒後に、表面材をなす不織布を生理用ナプキン試料から丁寧に取り外し、液注入部周辺のみをはさみでカットして液を含む不織布質量(W1)を測定した。その後、該不織布を水洗いした後に100℃の乾燥機に30分間入れて十分に不織布を乾燥させ、不織布質量(W2)を測定し、W2−W1をから液残り量(mg)を算出した。以上の操作を3回行い、3回の平均値を液残り量(mg)とした。
試験装置は、試験サンプルの載置面が水平面に対して45°傾斜している載置部を有するものを用いた。各生理用ナプキン試料を、表面材が上方を向くようにして前記載置部に載置した。各生理用ナプキン試料の表面上に、擬似血液を0.1g/秒の速度で0.5g滴下させた。初めに不織布に着液した地点から、試験液が不織布内部に引き込まれて流れなくなった地点までの距離を測定した。なお、用いた擬似血液は、前記表面材(不織布試料)の液残り量の測定と同様の方法で調整した。以上の操作を3回行い、3回の平均値を液流れ長さ(mm)とした。液流れ長さは、液が試験サンプルに吸収されずに表面上を流れ、装着時にどの程度漏れやすくなるかの指標となるものであり、液流れ長さが短いほど高評価となる。
生理用ナプキン試料を実際に装着し、装着3時間後の表面材と吸収体の接着部分を指で押し当てて表面材のみで皺を形成するかどうかを目視で確認して判断した。目視で判別しにくい場合には、該当部位で切断して、製品を幅方向の端部同士が接触するように、表面材側が谷側になるように折り、表面材と吸収体の空間が形成されるかどうかで判別した。
(5)表面材と吸収体との接着強度
プッシュプルゲージ(アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて測定を行った。製品から長さ7cm、幅4cmにはさみで切断し、その後表面材のみ一部を掴めるように浮かして測定用のサンプルを作製した。その後、プッシュプルゲージに測定用サンプルの吸収体部分を固定し、表面材を引っ張って剥がした際の強度を接着強度として測定した。
2 裏面材
3 吸収体
5 防漏溝
6 凹部
10 生理用ナプキン
11 含有部
12 非含有部
100 繊維
200 液膜
300 液膜開裂剤
Claims (8)
- 表面材、裏面材、及び、前記表面材と前記裏面材とに挟まれた吸収体を有する吸収性物品であって、
前記表面材の表面よりも裏面に液膜開裂剤を多く有し、かつ、
前記表面材と前記吸収体が一体化されてなる凹部を前記表面材上の受液領域に複数有する、吸収性物品。 - 表面材、裏面材、及び前記表面材と前記裏面材とに挟まれた吸収体を有する吸収性物品であって、
前記表面材の表面よりも裏面に、下記の化合物(C1)又は化合物(C2)を多く有し、かつ、
前記表面材と前記吸収体が一体化されてなる凹部を前記表面材上の受液領域に複数有する、吸収性物品。
化合物C1:表面張力50mN/mの液体に対する拡張係数が15mN/m以上で、水溶解度が0g以上0.025g以下である化合物
化合物C2:表面張力50mN/mの液体に対する拡張係数が0mN/mよりも大きく、水溶解度が0g以上0.025g以下であり、表面張力50mN/mの液体に対する界面張力が20mN/m以下である化合物 - 前記液膜開裂剤、前記化合物(C1)又は前記化合物(C2)が、シリコーン化合物からなる請求項1又は2記載の吸収性物品。
- 前記受液領域に配されている、隣接する凹部同士の離間距離が10mm以内である請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
- 前記表面材の表面の平面視において、前記受液領域の面積に占める前記凹部の面積率が10%以上50%以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
- 前記受液領域に配されている前記凹部の合計面積は、1cm2以上10cm2以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
- 前記表面材の裏面には、前記液膜開裂剤の含有部と非含有部とが配されており、前記表面材の裏面全体の面積に占める前記含有部の面積率が25%以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
- 前記表面材は裏面には、前記液膜開裂剤の含有部と非含有部とが配されており、前記含有部に対応する位置にのみ前記凹部が配されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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