JP2020080691A - プランクトンの増殖方法並びにその増殖方法に用いるプランクトン増殖材およびプランクトン増殖装置 - Google Patents

プランクトンの増殖方法並びにその増殖方法に用いるプランクトン増殖材およびプランクトン増殖装置 Download PDF

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Abstract

【課題】プランクトン増殖に必要なフルボ酸鉄を安定して環境水に供給する方法を提供する。【解決手段】粒状の鉄材と粒状の炭素材と吸着材とを充填した網状容器からなるプランクトン増殖材と、腐葉土の入った網状容器の小箱とを少なくとも1組積層して、さらに大きな網状容器に格納したプランクトン増殖装置を、環境水中に載置し、かかる環境水の流れで前記鉄材と前記炭素材とを前記網状容器の中で間欠的に接触させて鉄イオンを生成し、前記鉄イオンと前記腐葉土の作用でプランクトンを増殖させるためのフルボ酸鉄を生成するとともに、前記フルボ酸鉄を前記吸着材に吸着させ、前記鉄イオンと腐葉土の作用で生成したフルボ酸鉄と前記吸着材に吸着したフルボ酸鉄とを持続的に、長期間、環境水に供給する。【選択図】図1

Description

本発明は、プランクトンの増殖方法並びにその増殖方法に用いるプランクトン増殖材およびプランクトン増殖装置に関する。
地球は水の惑星、鉄の惑星である。地球の生物は、鉄の恩恵を受けている。ヒトも鉄が不足すると貧血になる。ヒトの血液が赤いのは、鉄による。植物は、鉄によって要素物質クロロフィルの生成が促進される。しかし、キーマテリアルの鉄は、水中では極めて少ない。
地球上には植物が繁茂しない海域が存在する。その海域では窒素やリンが豊富に存在するのに、植物プランクトンが少なく、クロロフィル濃度が低い。これは鉄の不足が要因である。その海域に硫酸鉄を散布したところ、植物プランクトンの増殖が確認された。しかし、広大な海域に常に硫酸鉄を散布し続けることは極めて困難である。
水中に鉄分が増えると、プランクトンが増え、水中の植物が繁茂する。これらの植物から酸素が放出され、水中の溶存酸素濃度が増大し、水質浄化が進み透明度が向上する。それによって光合成はより活発になる。水中の植物(水草や海藻)が繁茂すると魚介類の隠れ場、産卵場が作られ魚介類は増殖される。さらに、海藻・海草等の植物の成長によって海水中の二酸化炭素が消費され、地球温暖化防止にも役立つ。このように、鉄分を海水に溶解することは、地球環境にとって一石二鳥の技術である。よって、鉄の持続的供給技術は、世界が求めている技術であるといっても過言ではない。
しかしながら、海水中に鉄分を溶かすことは、容易ではない。鉄棒を海水に浸けても極僅かしか溶けないからである。
そこで、海水中に鉄分を持続的に供給する方法として、従来、様々なことが行われてきた(特許文献1〜3)。
(山林整備法)
山に植林し、河川水中にフルボ酸鉄を生成させる方法である。しかし、効果が発揮されるのは、数十年後であり、早期解決策としては適用できない。また、経済性にも課題が多い。
(薬剤散布法)
海に鉄系薬剤を散布する方法である。薬剤は、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、ポリ鉄等である。産業排水など水量が限定される場合には使用可能であるが、海域等では莫大な使用量になり、陰イオンによる環境汚染の問題や、経済性が悪いなどの点から使用できない。
(鉄炭団子法)
使い捨てカイロを海水中に投げ入れる方法である。クエン酸を追加する方法もある。カイロの中身は、鉄粉と炭粉で、水中に投じると、炭粉と鉄粉が接触した部位でのみ反応し鉄イオンを放出するが持続性はない。開封後のカイロの鉄粉は、酸化鉄になっているが、酸化鉄と炭粉では鉄イオンの溶出はない。そのため、効果の持続性に難点がある。
(鉄鋼スラグ法)
鉄鋼スラグを海岸に埋設して海草を成長させる方法である。再現性に難点があるばかりか、スラグには有害な重金属を含む場合もあり、海の環境汚染につながりかねないなど問題山積である。
このように、どうすれば鉄を水に溶かすことができるかは極めて難しい問題である。鉄材のみを水中に入れても、上述したように鉄は溶けない。しかしながら、電気などのエネルギーや薬剤を使うことは環境に却って悪影響を及ぼしかねない。そこで、電気などのエネルギーや薬剤を使わないで、鉄を溶解することができないものかと、発明者は常々考えていた。
ここで、発明者は、今から30数年前、炭素繊維をモルタル中に混ぜて高強度の建築材をつくる研究を行っていた。その研究の中で、炭素繊維とセメントと水を混ぜ、それを鉄製の型枠中に流し入れ、1日後に型枠から取り外した際、型枠の内側表面が腐食するという現象を目にした。また、約20年前、魚礁の研究中、鉄棒に炭素繊維織物を巻きつけて海に沈めた1カ月後に、太さ3cmの鉄棒は針金のようにやせ細るという現象を目にした。
この二つの現象から、発明者は、炭素材を使って鉄を溶かす方法に気づいた。鉄は、炭素繊維や黒鉛などの炭素材と水中で接触すると溶ける。炭素材と金属鉄との間で一種の局部電池を形成し、鉄のイオン化が進行するからである。この方法ならば、電気も薬剤も不要なので、薬剤で水環境を汚染することはない。その時開発した新材料は、炭素と鉄とを接触させたので鉄分供給材と名付けた(特許文献4,5)。
鉄分供給材を牡蠣養殖場に設置すると、牡蠣の収量は30%増加、旨味のもとのグリコーゲン量は70%増えるという結果をもたらした。さらに、鉄分供給材は海草の繁茂を促進した。そこで、発明者は、宮城県奥松島の海に藻林を再生するプロジェクトに取り組んだ。その海域は、東日本大震災前にはアワビ、ウニ、魚や貝が沢山取れたが、大津波で海底に繁茂していた海藻は根こそぎ消失していた。そこに、鉄分供給材を海底に設置したところ、5ケ月後には海藻が繁茂する藻林が復活した。藻の中を魚たちが泳ぎ、海底にはウニやアワビが多数生育、豊かな海がよみがえった。
他方、日本の海は、磯焼けに悩まされている。磯焼けとは、海底に海藻が枯渇し成長しないことである。磯焼けが起こると、魚介類の生育場や産卵場がなくなり、水産業衰退の大きな原因となる。前記鉄分供給材は、それらを解決する技術となった。
これまでに使用されている鉄分供給材は、鉄板と炭素板を水中で接触させ、局部電池を形成することで鉄イオンを溶出するものであった。また、エネルギー、薬剤を使用しないで、鉄をイオン化することができることが特徴である。鉄材のみを水中に浸漬しても鉄は溶けないが、この構造を採用すると、鉄単独より溶出量は1桁大となる。なお、鉄の溶出量は、接触面積、水温、水の動きなどによって影響されるので、これまで種々の鉄分供給材を研究開発してきた。ただし、主に使用するのは鉄板/黒鉛板の組み合わせであった。また、海水中のプランクトンの発生量をより高めるために、腐葉土を近傍に配置する構成とする鉄分供給材もある。この場合の鉄分供給材の基本構造は、鉄/炭/腐葉土である。
前記の鉄分供給材は、いずれも長期間使用すると鉄材と炭素材とが剥離し、両者の接触が貧となり鉄溶解量が低下する。かかる剥離は、溶解した鉄が水中で酸化されて生成した鉄酸化物の付着、あるいは貝、ホヤ、海藻などの海洋生物が付着成長することで生じる。これらの問題を解決することを種々検討したが、具体的な方法は見出されていなかった。
また、これまでの鉄分供給材は、黒鉛板と鉄板を使用しているため、所定期間経過すると、鉄材が溶解するので交換が必要になる。しかし、漁業従事者から交換はほぼ不可能であると言われている。というのは、使用数量が莫大なので交換時間が確保できない、すなわち、前記交換を日常作業中に組み込むことは現実問題として不可能というものである。
このように、従来の鉄分供給材は、鉄材の交換方法の簡素化が必要であるが、具体的な方法はなかった。
特開2014−131488号公報 特開2017−046593号公報 特開2017−159260号公報 WO2016/024408号 特開2014−200213号公報
これまでの鉄分供給材は、鉄材と炭素材とが常に接触(電気的接続による接触含む)していた。しかし、鉄板の表面に酸化物あるいは海洋生物が付着成長し、炭素板と乖離した場合には、鉄分供給材としての機能が消失した。
そこで、発明者は、鉄板と炭素板とが常に接触するのではなく、間欠的に接触する構造を想起した。それは、板状の鉄、板状の炭素を使用するのではなく、粒状の鉄材および粒状の炭素材を用いることで、主に点接触を利用した鉄デバイスの機能を発揮する構成である。
本発明は、上記構成を利用してプランクトン増殖に必要なフルボ酸鉄を安定して、持続的に長期間、環境水に供給する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、かかる方法に用いて好適な鉄材の交換が容易なプランクトン増殖材およびプランクトン増殖装置を併せて提供することを目的とする。
発明者は、粒状の鉄材および粒状の炭素材を網状容器に入れ、それを海水中に吊り下げると、波、風、干潮・満潮など海水の動きで起こる海水の移動により、網状容器内で混合攪拌が発生し、網状容器内の粒状の鉄材および粒状の炭素材とに混合が起り、その結果として、鉄材と炭素材とに接触が発生することで、従来の鉄分供給材が持っていた、面と面との接触等による様々な課題を解消することができる、と考え、鋭意検討し、本発明を完成させた。
本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.粒状の鉄材と粒状の炭素材と吸着材とを充填した少なくとも一つの網状容器からなるプランクトン増殖材および/または粒状の鉄材と粒状の炭素材とを充填した網状容器に吸着材の入った網状容器の小箱を組み合わせたプランクトン増殖材と、腐葉土の入った網状容器の小箱とを少なくとも1組積層して、さらに大きな網状容器に格納したプランクトン増殖装置を、環境水中に載置し、かかる環境水の流れで前記鉄材と前記炭素材とを前記網状容器の中で間欠的に接触させて鉄イオンを生成し、前記鉄イオンと前記腐葉土の作用でフルボ酸鉄を生成するとともに、前記フルボ酸鉄を前記吸着材に吸着させ、前記鉄イオンと前記腐葉土の作用で生成したフルボ酸鉄と前記炭素材に吸着したフルボ酸鉄とを環境水に、持続的に供給するプランクトンの増殖方法。
2.前記1に記載のプランクトンの増殖方法に用いるプランクトン増殖材であって、粒状の鉄材と粒状の炭素材と吸着材とを充填した網状容器からなるプランクトン増殖材。
3.前記1に記載のプランクトンの増殖方法に用いるプランクトン増殖材であって、粒状の鉄材と粒状の炭素材とを充填した網状容器に吸着材の入った網状容器の小箱を組み合わせたプランクトン増殖材。
4.前記粒状の炭素材は、最長辺が20mm以下であってかつ電気伝導性をもつ前記2または3に記載のプランクトン増殖材。
5.前記吸着材は、木炭、活性炭、活性白土、珪藻土およびゼオライトのいずれかまたはそれらの混合物であってかつ比表面積が200m2/g以上である前記2ないし4のいずれか1に記載のプランクトン増殖材。
6.前記粒状の鉄材を、最長辺が20mm以下とする前記2ないし5のいずれか1に記載のプランクトン増殖材。
7.前記網状容器は、鉄、プラスチック、紙、生分解性繊維、生分解性樹脂および化学繊維のいずれか一の素材またはそれらを複合した素材で作られた網状素材で形成される前記2ないし6のいずれか1に記載のプランクトン増殖材。
8.前記1に記載のプランクトンの増殖方法に用いるプランクトン増殖装置であって、前記2ないし7のいずれか1項に記載のプランクトン増殖材と腐葉土の入った網状容器の小箱とを積層して、さらに大きな網状容器に格納したプランクトン増殖装置。
9.前記腐葉土の入った網状容器の小箱を、鉄、プラスチック、紙、生分解性繊維、生分解性樹脂および化学繊維のいずれか一の素材またはそれらを複合した素材で作られた網状素材で形成したものとする前記8に記載のプランクトン増殖装置。
10.前記プランクトン増殖材と前記小箱とを格納するさらに大きな網状容器を、鉄、プラスチック、紙、生分解性繊維、生分解性樹脂および化学繊維またはそれらの複合材で作られた網状素材で形成したものとする前記8または9に記載のプランクトン増殖装置。
本発明は、プランクトン増殖に必要なフルボ酸鉄を安定して、持続的に長期間、環境水に供給することができるプランクトンの増殖方法を提供する。
また、本発明は、かかるプランクトンの増殖方法に用いて好適なプランクトン増殖材およびプランクトン増殖装置を併せて提供する。
宝島ボックスの外観図を示した図である。(A)宝島ボックスの外容器を、横方 向から見た外観図。(B)筒状物および上蓋(下蓋)を構成する物は、網状であることを 示す図(一例)。(C)上蓋(網状物から構成されている)を上部からみた外観図。(D )網状物から作られている上蓋を横方向から見た外観図。 宝島ボックスの内部構造を示した図である。
本発明は、以下の作用でプランクトン増殖に必要なフルボ酸鉄を安定して、持続的に長期間、環境水に供給することができる。なお、本発明における環境水とは、プランクトンの増殖が望まれる水域で、海や川、沼や湖など多岐にわたる。
また、本発明は、粒状の鉄材と粒状の炭素材と吸着材とを充填した網状容器、または粒状の鉄材と粒状の炭素材とを充填した網状容器と吸着材の入った網状容器の小箱からなるプランクトン増殖材(本発明において宝島小箱ともいう)と、腐葉土の入った網状容器の小箱(本発明において単に小箱ともいう)とを少なくとも1組積層して、さらに大きな網状容器(本発明において外容器ともいう)に格納したプランクトン増殖装置(本発明において宝島ボックスともいう)を、環境水中に載置する。そして、かかるプランクトン増殖装置が載置された環境水の流れ等の動きを利用して、前記鉄材と前記炭素材とを前記宝島小箱の網状容器の中で間欠的に接触させて鉄イオンを生成する。さらに、この生成した鉄イオンと前記腐葉土とが接触し作用することでプランクトンを増殖させるためのフルボ酸鉄が生成する。なお、交換の手間と吸着材の性能の効率的な発現という点では、粒状の鉄材と粒状の炭素材とを充填した網状容器と吸着材の入った網状容器の小箱からなるプランクトン増殖材の方が粒状の鉄材と粒状の炭素材と吸着材とを充填した網状容器からなるプランクトン増殖材より好ましい。
この生成したフルボ酸鉄のうち、過剰なものは前記吸着材に一旦吸着する。そして、フルボ酸鉄の生成が少ないときは、前記炭素材に吸着したフルボ酸鉄が環境水中に溶出する。かくして、本発明のプランクトンの増殖方法は、前記プランクトン増殖装置を用いることで、プランクトン増殖に必要なフルボ酸鉄を安定して環境水に提供することができる。
さらに、本発明を具体的に説明すると以下のとおりである。
本発明の宝島ボックス内には、粒状の鉄材、粒状の炭素材、吸着材および腐葉土が含まれている。ここで、宝島ボックスを環境水中に入れると、炭素材である木炭と鉄材である鉄とが接触し鉄イオンが溶出する。溶け出した鉄イオンは、そのままにすると酸化して酸化鉄になる。この酸化鉄は、プランクトンの増殖には効果を示さない。
本発明では、上記溶け出した鉄イオンを鉄イオンで存在させるために腐葉土を加える。かかる鉄イオンと腐葉土の作用によってフルボ酸鉄が形成され、プランクトンの増殖をすることができる。しかし、フルボ酸鉄は水溶性であるので、短時間で溶出する物質である。すなわち、即効性という点では好ましいが、効果の持続性という点で問題がある。
そこで、発明者は、フルボ酸鉄を一時的に吸着し、徐々に溶出することができれば、プランクンの繁殖も持続することができると考え、フルボ酸鉄を一時的に吸着することができる吸着材を検討した。ここで、吸着材として様々なものがあるが、宝島ボックス用としては、細孔の発達した木炭あるいは活性炭やゼオライトが最適であるとの結論に達した。というのは、これらの物質は、適度なフルボ酸鉄の吸着性があるからである。
[プランクトン増殖材]
本発明のプランクトンの増殖方法に用いるプランクトン増殖材(宝島小箱)は、粒状の鉄材(以下粒鉄ともいう)と粒状の炭素材(以下粒炭ともいう)と吸着材とを充填した網状容器、または粒状の鉄材と粒状の炭素材とを充填した網状容器と吸着材の入った網状容器の小箱からなる。
ここで、本発明で粒状とは、環境水の動きで流動する(動いて鉄材と炭素材が接触離隔を繰り返すことができる)ものであれば特に限定はされない。よって、球状でも円柱状でも俵のような形状でも、棒状、薄片、フレーク状、繊維、針金状のような形でもそれらの表面が滑らかでもでこぼこしているものであっても、内部に隙間や空隙や孔があってもよい。また、屈曲したものや、中空であることも好ましい。
[炭素材]
前記粒状の炭素材は、最長辺を20mm以下とすることが好ましい。環境水中での鉄材との接触状態が安定し、鉄イオンの生成量が適当になるからである。
より好ましくは、前記最長辺を1mm以上5mm以下とする。取り扱いが最も簡便だからである。
なお、本発明における最長辺とは、前記粒状の炭素材1個を平面に投影した際の最も長い辺(対角線含む)を意味する。測定頻度は、公知の粉体の粒径の代表値を求める方法に従えばよいが、例えばJIS Z8833に準拠すればよい。
前記粒状の炭素材の中で、吸着機能をもつ炭素材は、比表面積を200m2/g以上とすることが好ましい。環境水中でのフルボ酸鉄の吸着量が適当になるからである。
好ましくは、100m2/g以上2000m2/g以下である。取り扱いが最も簡便だからである。
前記粒炭は、800〜1000℃、あるいは1200℃程度で炭化処理した木炭を使用することが好ましい。かかる条件とすることにより、電気伝導性が高まり、鉄材との接触で鉄の溶出が高まることになる。
なお、吸着材としての炭素材は、500〜800℃、好ましくは650℃で炭化したものが好ましい。これによって比表面積が300m2/g以上となってフルボ酸鉄を吸着し、長期間にわたって環境水中にフルボ酸鉄を供給することが可能となるからである。特に、プランクトンの増殖を早めるとともに、効果の持続性を高めるには、500〜800℃で製造した木炭と1200℃超で製造した木炭との両者を混合することで、両方の性能を発揮することが可能となるためより好ましい。
前記混合された木炭の混合比は、吸着材としての木炭/粒状の炭素材で、1/5〜5/1(質量比)、好ましくは1/1である。
[吸着材]
本発明に用いることのできる吸着材は、上述した木炭のほかに活性炭、ゼオライト、活性白土および珪藻土がある。これらを1種または2種以上、それぞれ分けてまたは混合して使用することができる。また、かかる吸着材の形状は特に限定されない。よって、フルボ酸鉄の所定の吸着性さえ有していれば、好ましくは比表面積が200m2/g以上であれば粒状の木炭であってもよい。
なお、前述した先行技術では、電気伝導性の高い炭素材のみを使用している。これらは、黒鉛や、炭素繊維、高温炭化した木炭等であった。ここで、木炭の電気伝導性および吸着性は、製造温度(炭化温度)によって影響される。高温で処理すればするほど、電気伝導性は高くなるが、吸着性は低下する。先行技術は、いずれも電気伝導性の高い高温処理品であったので、吸着性は低いものであった。
ここで、本発明では、従来に比べ電気伝導性がそれほど高くない炭素材を用いても、プランクトンの増殖に十分な鉄イオンの溶出量が確保できる。
この理由は、詳細にはわかっていないが、本発明では、炭素材として粒状の炭素材を使うことで、前記炭素材は流動する運動エネルギーを持つ。このことで、電気伝導性がそれほど高くなくても鉄イオンの溶出量をさほど低減することなく、吸着性を有することができると発明者は考えている。
さらに、二種類の炭素材、あるいは、高温処理の炭素材と他の吸着材を使用することで、鉄イオンの持続的かつ効果的な溶け出しが可能となる。
[鉄材]
前記粒状の鉄材は、最長辺が20mm以下とするとすることが好ましい。環境水中での粒炭との接触状態が安定し、鉄イオンの生成量が適当になるからである。
より好ましくは、前記最長辺を1mm以上5mm以下とする。取り扱いが最も簡便だからである。
なお、本発明における粒鉄の最長辺は、前記粒炭における最長辺と同義である。
また、本発明に用いることのできる粒鉄の鉄材としては、SS材あるいはSM材がある。
また、使用する粒鉄および粒炭は、所定割合に混合する。質量比で粒炭/粒鉄は、20/1〜1/20の範囲とするのが好ましい。使用する粒鉄の鉄材および粒炭の炭素材は、JIS規格を満足するものであることが好ましい。
宝島小箱への粒炭と粒鉄の混合物の充填の1例を説明する。かかる充填は、宝島小箱の容積と同量の混合物を容器内にいれ、上面を平坦にする。その際、上面から押すことはしない、環境水中での動きが抑制されるからである。
[網状容器]
前記網状容器(吸着材の入った網状容器含む)は、鉄、プラスチック、紙、生分解性繊維、生分解性樹脂および化学繊維のいずれか一の素材またはそれらを複合した素材で作られた網状の素材で形成される。どの素材を選択するかは、使用者の要望によって決めることができ、鉄とプラスチック等別の素材の容器を混在させてもよい。
なお、宝島小箱内の粒鉄、粒炭および吸着材を交換して使用する交換型の宝島ボックスの場合には、プラスチック製あるいは化学繊維製あるいは紙製の網を使うことが好ましい。また、宝島ボックスを回収しない場合には、鉄製の網、あるいは自然分解する生分解性材料製の網を使用することができる。
また、網目の大きさは、1〜5mmが好ましい。
[プランクトン増殖装置]
本発明のプランクトン増殖装置(宝島ボックス)は、上述したプランクトン増殖材(宝島小箱)と腐葉土の入った網状容器の小箱とを交互に積層(宝島小箱が粒状の鉄材と粒状の炭素材とを充填した網状容器に吸着材の入った網状容器の小箱を組み合わせたものである場合には腐葉土の入った網状容器の小箱が粒状の鉄材と粒状の炭素材とを充填した網状容器と吸着材の入った網状容器の小箱との間に挟まれる形としてもよい)して、さらに大きな網状容器(本発明において外容器ともいう)に格納したものである。
図1に宝島ボックスの外観図を示す。
図中、(A)は、宝島ボックスの外容器を、横方向から見た外観図である。また、外容器は、網状物から作られた筒状物であり、上部の網状物は上蓋。上蓋から左右に突き出している棒状物は、上蓋と筒状物を固定する用具である。
(B)は、筒状物および上蓋(下蓋)を構成する物は網状であることを示す図の一例である。
(C)は、上蓋(網状物から構成されている)を上部からみた外観図である。なお、左右に付きでている棒状物は、上蓋と外容器を固定する棒状の固定具である。
(D)は、網状物から作られている上蓋を横方向から見た外観図である。なお、中央部にある長方形(角が丸くなっている)は、上蓋と外容器を固定する棒状物である。また、外容器に用いられる筒には、網状素材で作られた上蓋、下蓋(図示せず)がある。
図2には、宝島ボックスの内部構造を示す。なお、図中の1は粒鉄と粒炭と吸着材の入った宝島小箱、図中の2は腐葉土の入った小箱である。同図に示したように、宝島ボックスの中には、網で作られた円筒状の容器が3個あるいは4個、積み重ねられる。これらの容器は、粒鉄と粒炭と吸着材の入った宝島小箱、および腐葉土の入った小箱である。
宝島ボックスには、小箱と、宝島小箱がそれぞれ詰められる。小箱と宝島小箱が少なくとも1組あれば本発明の効果が得られるが、小箱と宝島小箱を3個かさねる場合は、下部から小箱、宝島小箱、小箱の順が好ましい。また、小箱と宝島小箱を4個かさねる場合は、図2に示したように、下部から小箱、宝島小箱、宝島小箱、小箱の順が好ましい。さらに、宝島ボックス内の、小箱と、宝島小箱の合計が5つ以上であっても、フルボ酸鉄の溶出量を設定して適宜組み合わせをすれば本発明の効果を得ることができる。
また、上述したように、宝島小箱が粒状の鉄材と粒状の炭素材とを充填した網状容器に吸着材の入った網状容器の小箱を組み合わせたものである場合には、腐葉土の入った網状容器の小箱が粒状の鉄材と粒状の炭素材とを充填した網状容器と吸着材の入った網状容器の小箱との間に挟まれる形に積層してもよい。
さらに、本発明では、粒状の鉄材と粒状の炭素材と吸着材とを充填した少なくとも一つの網状容器からなるプランクトン増殖材と粒状の鉄材と粒状の炭素材とを充填した網状容器に吸着材の入った網状容器の小箱を組み合わせたプランクトン増殖材とを混在させることもできる。
宝島ボックスの大きさは、円筒状であって、縦横とも50cm以内が好ましい。より好ましくは30cm程度である。また質量は、船上およびイカダ上での作業が可能な10kg以下が好ましい。より好ましく5kg以下である。
腐葉土を追加あるいは交換する場合、または粒鉄を追加あるいは交換する場合は、宝島ボックスを設置してから数か月後、例えば3か月後、宝島ボックスを吊り上げ、小箱に腐葉土を追加あるいは宝島ボックス内の小箱を腐葉土が充填された小箱に交換し、または、宝島小箱に粒鉄を追加あるいは宝島ボックス内の宝島小箱を所定量の粒鉄が充填された宝島小箱に交換すればよい。
設置から数年後には、鉄製の宝島ボックスは、分解する。生分解性材料製の宝島ボックスの場合も同様である。プラスチックおよび化学繊維製の容器の場合は、そのままの形状を保っているので、宝島ボックスを回収後、宝島小箱に粒鉄を補充する、あるいは小箱に腐葉土を充填して再度使用することも可能である。
[腐葉土]
本発明における腐葉土は、森林生態系において地上部の植物により生産された有機物が朽木や落葉・落枝となり地表部に堆積し、それを資源として利用するバクテリアなどの微生物やミミズなど大小様々な土壌動物による生化学的な代謝作用により分解(落葉分解)されて土状になったものなので、厳密に言うと土ではないが、一般に、腐葉土または腐植土と呼ばれるものを用いる。
なお、小箱への腐葉土の充填は、宝島小箱容積の2倍量とするのが好ましい。
[小箱]
前記腐葉土の入った網状容器の小箱は、鉄、プラスチック、紙、生分解性繊維、生分解性樹脂および化学繊維のいずれか一の素材またはそれらを複合した素材で作られた網状の素材で形成される。どの素材を選択するかは、使用者の要望によって決めることができ、鉄とプラスチック等別の素材の容器を混在させてもよい。
小箱内の腐葉土を交換して使用する交換型の宝島ボックスの場合には、プラスチック製あるいは化学繊維製の網のいずれかを使うことが好ましい。なお、プラスチック製あるいは化学繊維製の網の容器を混在させてもよい。
宝島ボックスを回収しない場合には、鉄製の網を使用する。あるいは自然分解する生分解性材料製の網を使用することができる。
また、網目の大きさは、1〜5mmが好ましい。
[さらに大きな網状容器(外容器)]
前記プランクトン増殖材と前記小箱とを格納するさらに大きな網状容器(外容器)は、鉄、プラスチック、紙、生分解性繊維、生分解性樹脂および化学繊維のいずれか一の素材またはそれらを複合した素材(複合材)で作られた網状の素材で形成される。どの素材を選択するかは、使用者が適宜選択すればよい。
なお、宝島小箱内の粒鉄、粒炭および吸着材、小箱内の腐葉土のいずれかを交換して使用する交換型の宝島ボックスの場合には、プラスチック製あるいは化学繊維製の網を使うことが好ましい。また、宝島ボックスを回収しない場合には、鉄製の網あるいは自然分解する生分解性材料製の網を使用することができる。
また、網目の大きさは、1〜10mmが好ましい。
[プランクトンの増殖方法]
本発明は、前述したように、粒状の鉄材と粒状の炭素材と吸着材とを充填した少なくとも一つの網状容器からなるプランクトン増殖材または粒状の鉄材と粒状の炭素材とを充填した網状容器に吸着材の入った網状容器の小箱を組み合わせたプランクトン増殖材(宝島小箱)と、腐葉土の入った網状容器の小箱とを少なくとも1組積層して、さらに大きな網状容器(外容器)に格納した構成からなるプランクトン増殖装置を、環境水中に載置するプランクトンの増殖方法である。
すなわち、前記プランクトン増殖装置が載置された環境水の流れを利用して、粒鉄と粒炭とが宝島小箱の中で間欠的に接触することで鉄イオンが生成する。そして、この鉄イオンが前記腐葉土と接触し作用することでプランクトンを増殖させるためのフルボ酸鉄が生成する。さらに、このフルボ酸鉄の生成が過剰な時はフルボ酸鉄が粒炭に吸着して、環境水に供給するフルボ酸鉄を制御し、フルボ酸鉄の生成が不足の時は、前記粒炭に吸着したフルボ酸鉄が溶出することで、長期に亘り安定してフルボ酸鉄を環境水に供給するのが、本発明のプランクトンの増殖方法である。
なお、宝島ボックスは、牡蠣養殖場のイカダ、あるいは、延べ縄に取付け、吊り下げる。吊り下げ位置は、海面下3mまで、養殖場での最適な深さにすることが好ましい。
また、宝島ボックスからはフルボ酸鉄が長期に亘り安定して溶出する。それによって、海水中のプランクトンの生成速度が高まり、プランクトン濃度が増大する。特に、牡蠣の餌となるプランクトンは、牡蠣の成長を促進する等の優れた効果を招来する。
さらに、上記本発明のプランクトンの増殖方法は、粒状の鉄材と粒状の炭素材と吸着材とを充填した少なくとも一つの網状容器からなるプランクトン増殖材と粒状の鉄材と粒状の炭素材とを充填した網状容器に吸着材の入った網状容器の小箱を組み合わせたプランクトン増殖材とを混在させてもよい。
図2に示したような、宝島小箱と小箱を4個(プランクトン増殖材2個と小箱2個)積層した宝島ボックスを作製した。プランクトン増殖材には、粒状の炭素材(1200℃で高温炭化した木炭、最長辺の平均2mm)と粒状の鉄材(最長辺の平均2mm)を4:1の質量比で合計1000g充填した。また、小箱には、腐葉土(あかぎ園芸製、上質な広葉・落葉樹の葉を、粉砕・発酵熟成させて仕上げた有機質の代表的な用土)を400g充填した。
別の小箱には、吸着材として粒状の木炭を600g充填した。使用した木炭(株式会社イシコー製)は、米粒状で、杉材を650℃で炭化したもので、比表面積500m2/gであった。これを牡蠣養殖場のイカダから吊り下げた。宝島ボックスの吊り下げ位置は、海面下1mとした。
海水中の鉄濃度は、宝島ボックスの吊り下げ前は検出限界(0.01mg/L)未満で数値として測定できなかった。しかし、宝島ボックスの吊り下げ後は測定可能となり鉄濃度:0.01〜0.02mg/Lであった。なお、フルボ酸鉄濃度の測定はできなかったが、海水中の鉄濃度が高まったことから、フルボ酸鉄の濃度も高まったと考えている。
設置から2か月後、宝島ボックスを吊り下げた牡蠣養殖イカダの周囲には、大量の海藻が発生した。宝島ボックスを設置したイカダから50m離れた同程度の牡蠣養殖イカダでは、海藻の成長はわずかであった。これは宝島ボックスによる効果を示している。
海水中の植物プランクトン量の測定を行った。宝島ボックスのあるイカダ内の海水中には、植物プランクトンが、宝島ボックスの非設置のイカダに比べ2倍多く生息していた。動物プランクトンは4倍多く生息していた。このように、本発明に従う宝島ボックスの設置によって牡蠣の餌となるプランクトンが増えていることが確認された。
6か月後、前記宝島ボックスのあるイカダ内の牡蠣を引き上げ、質量を測定した。宝島ボックスを吊り下げたイカダの牡蠣の殻付き質量は、非設置のイカダ内の牡蠣と比べて、50%ほど質量が増加していた。牡蠣のむき身の質量でも同程度の違いが見られた。
また、宝島ボックスを引き上げ、プランクトン増殖材を取り出し、鉄材を追加する作業を行った。当前記作業は、いたって簡単であった(1セット当たり作業時間:5分間)。従来の、黒鉛板と鉄板を接触させたものを使用していた場合には、交換作業は困難で長時間を要した(1セット当たり作業時間:20分間)。これらのことから、明らかに交換作業が簡単になっていることがわかる。
実施例2は、実施例1とは、水質や、水温、海水の流れ等、宝島小箱の設置環境が全く異なっている別の牡蠣養殖場で同様の試みを行った例を述べる。
本実施例では、図2に示す宝島小箱を4個(プランクトン増殖材2個と小箱2個)積層した宝島ボックスを使用した。プランクトン増殖材には、粒状の炭素材(1200℃で高温炭化した木炭、最長辺の平均2mm)と粒状の鉄材(最長辺の平均2mm)を4:1の質量比で合計1000g充填した。また、小箱には、腐葉土(あかぎ園芸製、上質な広葉・落葉樹の葉を、粉砕・発酵熟成させて仕上げた有機質の代表的な用土)を400g充填した。
別の小箱には、吸着材として粒状の木炭を600g充填した。使用した木炭(株式会社イシコー製)は、米粒状で、杉材を650℃で炭化したもので、比表面積500m2/gであった。これを牡蠣養殖場のイカダに吊り下げた。宝島ボックスの吊り下げ位置は、海面下1mとした。
海水中の鉄濃度は、宝島ボックスの吊り下げ前は検出限界(0.01mg/L)未満で数値として測定できなかった。しかし、宝島ボックスの吊り下げ後は測定可能となり鉄濃度:0.01〜0.02mg/Lであった。
設置から2か月後、宝島ボックスを吊り下げた牡蠣養殖イカダの中央の表面水を採水し、植物プランクトンの生息数、動物プランクトンの細胞数を測定した。このイカダから400m離れた同程度の牡蠣養殖イカダからも、海水を採水しプランクトンの生息数及び細胞数の測定を行った。
宝島ボックスを設置してから2か月後、植物および動物プランクトンの生息数/細胞数を測定した。いずれの場合も、宝島ボックスを吊り下げたイカダの方が大であった(植物プランクトンは1.4倍の生息数、動物プランクトンは2.2倍の細胞数であった)。
さらに、設置4か月後では、1.5倍の生息数と2.3倍の細胞数であり、6か月後では、1.4倍の生息数と2.2倍の細胞数が維持できていた。
このように、本発明に従う宝島ボックスの設置によって牡蠣の餌となるプランクトンが増え、維持できていることが確認された。
6か月後、前記宝島ボックスを設置したイカダ内の牡蠣を引き上げ、牡蠣の質量を測定した。宝島ボックスを吊り下げたイカダの牡蠣のむき身の質量は、宝島ボックスの非設置のイカダ内の牡蠣のむき身の質量に比べて、50%ほど質量が増加していることが確認された。
以上の結果から、本発明の宝島ボックスは、作業性に優れ、プランクトンの増殖を促すことにより、牡蠣養殖等の生産性の向上に寄与することが明らかになった。
以上、本発明に従うことで、環境水中のプランクトンが効果的に増殖できることが確認された。本実施例では、牡蠣を例にとったが、同様にプランクトンを餌とするホタテやアサリ、アカガイ、ホタテカガイ、ムールガイ、サザエ、ハマグリおよび真珠養殖用のアコヤガイ等の貝類やスズキ、タイおよびブリ等の魚類、ナマコやウニ等の棘皮動物、エビ等の節足動物並びにカニ等の甲殻動物であれば同様の効果を得ることができる。また、植物プランクトンの一種であるワカメや、コンブ、ノリ等の海藻・海草類は、本発明に従うことで生産性の向上を図ることができる。
1 宝島小箱(プランクトン増殖材)
2 腐葉土の入った網状容器の小箱

Claims (10)

  1. 粒状の鉄材と粒状の炭素材と吸着材とを充填した少なくとも一つの網状容器からなるプランクトン増殖材および/または粒状の鉄材と粒状の炭素材とを充填した網状容器に吸着材の入った網状容器の小箱を組み合わせたプランクトン増殖材と、腐葉土の入った網状容器の小箱とを少なくとも1組積層して、さらに大きな網状容器に格納したプランクトン増殖装置を、環境水中に載置し、かかる環境水の流れで前記鉄材と前記炭素材とを前記網状容器の中で間欠的に接触させて鉄イオンを生成し、前記鉄イオンと前記腐葉土の作用でフルボ酸鉄を生成するとともに、前記フルボ酸鉄を前記吸着材に吸着させ、前記鉄イオンと前記腐葉土の作用で生成したフルボ酸鉄と前記炭素材に吸着したフルボ酸鉄とを環境水に、持続的に供給するプランクトンの増殖方法。
  2. 請求項1に記載のプランクトンの増殖方法に用いるプランクトン増殖材であって、粒状の鉄材と粒状の炭素材と吸着材とを充填した網状容器からなるプランクトン増殖材。
  3. 請求項1に記載のプランクトンの増殖方法に用いるプランクトン増殖材であって、粒状の鉄材と粒状の炭素材とを充填した網状容器に吸着材の入った網状容器の小箱を組み合わせたプランクトン増殖材。
  4. 前記粒状の炭素材は、最長辺が20mm以下であってかつ電気伝導性をもつ請求項2または3に記載のプランクトン増殖材。
  5. 前記吸着材は、木炭、活性炭、活性白土、珪藻土およびゼオライトのいずれかまたはそれらの混合物であってかつ比表面積が200m2/g以上である請求項2ないし4のいずれか1項に記載のプランクトン増殖材。
  6. 前記粒状の鉄材を、最長辺が20mm以下とする請求項2ないし5のいずれか1項に記載のプランクトン増殖材。
  7. 前記網状容器は、鉄、プラスチック、紙、生分解性繊維、生分解性樹脂および化学繊維のいずれか一の素材またはそれらを複合した素材で作られた網状素材で形成される請求項2ないし6のいずれか1項に記載のプランクトン増殖材。
  8. 請求項1に記載のプランクトンの増殖方法に用いるプランクトン増殖装置であって、請求項2ないし7のいずれか1項に記載のプランクトン増殖材と腐葉土の入った網状容器の小箱とを積層して、さらに大きな網状容器に格納したプランクトン増殖装置。
  9. 前記腐葉土の入った網状容器の小箱を、鉄、プラスチック、紙、生分解性繊維、生分解性樹脂および化学繊維のいずれか一の素材またはそれらを複合した素材で作られた網状素材で形成したものとする請求項8に記載のプランクトン増殖装置。
  10. 前記プランクトン増殖材と前記小箱とを格納するさらに大きな網状容器を、鉄、プラスチック、紙、生分解性繊維、生分解性樹脂および化学繊維またはそれらの複合材で作られた網状素材で形成したものとする請求項8または9に記載のプランクトン増殖装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115259403A (zh) * 2022-08-05 2022-11-01 中煤科工重庆设计研究院(集团)有限公司 一种生态浮床的制备及其治理水体富营养化的方法

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