JP6173001B2 - 鉄分供給材および鉄分供給方法 - Google Patents

鉄分供給材および鉄分供給方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6173001B2
JP6173001B2 JP2013080455A JP2013080455A JP6173001B2 JP 6173001 B2 JP6173001 B2 JP 6173001B2 JP 2013080455 A JP2013080455 A JP 2013080455A JP 2013080455 A JP2013080455 A JP 2013080455A JP 6173001 B2 JP6173001 B2 JP 6173001B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
iron
carbon
humus
supply
carbon material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013080455A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014200213A (ja
Inventor
小島 昭
昭 小島
昌生 藤重
昌生 藤重
敏明 石井
敏明 石井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Institute of National Colleges of Technologies Japan
Ishii Corp
Original Assignee
Institute of National Colleges of Technologies Japan
Ishii Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Institute of National Colleges of Technologies Japan, Ishii Corp filed Critical Institute of National Colleges of Technologies Japan
Priority to JP2013080455A priority Critical patent/JP6173001B2/ja
Publication of JP2014200213A publication Critical patent/JP2014200213A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6173001B2 publication Critical patent/JP6173001B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
    • Y02A40/80Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in fisheries management
    • Y02A40/81Aquaculture, e.g. of fish

Landscapes

  • Artificial Fish Reefs (AREA)
  • Cultivation Of Seaweed (AREA)
  • Farming Of Fish And Shellfish (AREA)
  • Treatment Of Sludge (AREA)

Description

本発明は、環境水中に対して、鉄分を適度に供給できる鉄分供給材およびその鉄分供給材を用いた鉄分供給方法に関するものである。
「森は海の恋人」という言葉がある。この言葉は、海が森から流れ込む鉄分によって活性化していることを端的に表した言葉である。しかし、現実の日本の海は、世界第6位の海域を保有していながら、貧血状態で磯焼けが起って、コンブが不作となり、魚介類も不漁となっている。これらの要因は、様々であるが、森から流れ込む鉄分不足もその一つである。
一方、海の中に植物が繁茂しない海域が、地球上には存在する。その海域は、窒素やリンが豊富に存在するのに、植物プランクトンが増えないで、クロロフィル濃度が低い傾向にある。これは、微量栄養素の鉄分の不足が要因である。
従って、鉄分を供給することは、植物プランクトを増やし、それを餌とするエビ、牡蠣、貝類を殖やし、さらには、コンブや海藻も、繁殖させることを可能にする。
ここに、鉄分を持続的に供給することで、コンブやワカメ等の有用資源を養殖し食糧源とすることを考えた場合、大型藻類が成長するには、それの餌となる炭素源が必要であるが、これは海水中の二酸化炭素を利用するものである。その結果、海水中の二酸化炭素濃度が低下する。そして、それを補充するべく大気中の二酸化炭素が海水に溶解する。このような二酸化炭素消費のサイクルが確立すると、二酸化炭素が海水に溶解する溶解速度が大きくなって、最終的には地球温暖化防止に貢献することができるのである。
すなわち、海水中に鉄分を増やすことは、下記の効果がある。
(1) クロロフィルを増やす。
(2) 海草、海藻が繁殖する。
(3) 海藻から酸素ガスが放出する。
(4) 水質を浄化し、ヘドロを分解し、海の透明度が向上する。
(5) 磯焼けを防止する。
(6) 魚介類が繁殖する。
(7) 海藻による二酸化炭素の吸収がある。
(8) 大気中の二酸化炭素の海水への溶解促進がある。
(9) 地球の温暖化を防止する。
等である。
加えて、環境水中に鉄分を供給することは、水質を浄化するとともに、海水では藻場を形成し、魚介類および海藻類を増殖する効果を有している。しかしながら、海水中の鉄分は、極微量でしか存在しないため、海水中の生物体が吸収できる高濃度の鉄分を持続的に供給する技術は、地球工学的見地から求められている。
すなわち、陸水中の鉄濃度は、数mg/Lオーダーであるのに対し、海水中の鉄濃度は、数ng/Lオーダーであって、陸水の百万分の一にしかすぎない。
鉄は、ヒトはもとより、その他の生物体にとっても不可欠な元素である。特に、牡蠣、昆布、わかめ、海苔の養殖業では、鉄分の供給が切実な問題であって、これまで種々の方法が検討されてはいるものの、決定的な鉄分供給材は開発されていない。
例えば、特許文献1においては、製鋼スラグとフルボ酸を含む浚渫土、好ましくはフルボ酸含有量が0.002質量%以上の浚渫土を混合した混合物を水中に設置することで、製鋼スラグから溶出する鉄分(二価鉄)と浚渫土中に含まれるフルボ酸が結合してフルボ酸鉄が生成し、このフルボ酸鉄を水中に長期間にわたって供給することができる技術が開示されている。
また、特許文献2には、海底に、製鋼スラグなどの鉄含有物質を水没材として沈めることによって、干潮時における平均水深が2〜15メートルの範囲となる埋め戻し部を形成し、この埋め戻し部内にフルボ酸鉄溶出ユニットを埋設する技術が開示されている。特に、このフルボ酸鉄溶出ユニットは、ヤシノミ繊維製のイオン溶出性収容体内に、ダム湖底に堆積した腐植物等の堆積物を採取して固形化した固形有機態と、製鋼スラグ等の鉄含有物質とを収納している。なお、この鉄含有物質は、弱酸性の固形有機態と反応させてアルカリ調整され、溶出を遅らせることができる。
さらに、特許文献3には、廃木材チップに石炭溶融灰または転炉スラグの少なくとも一方を混合したものが詰め込まれたココナッツ繊維製の袋を海中に沈設しておくことで、フルボ酸鉄を安定的に供給できる技術が開示されている。
特開2011−155993号公報 特開2010−110255号公報 特許第3829140号公報 特開2011−153353号公報
ここで、特許文献1〜3に記載された技術では、いずれも、製鋼スラグ等を用いることが肝要であるが、この製鋼スラグ中には、有害金属が含まれているおそれ、並びに近年使用が自粛されている金属等が種々含有しており、魚類への生物濃縮が課題として懸念される。
この問題に対し、特許文献4では、製鋼スラグを用いずに、鉄粉、酸化鉄、炭素および2価の鉄イオンとキレートを形成する有機酸とを含有し、水中への鉄イオンを供給する鉄粉混合物が開示されている。
しかしながら、特許文献4に記載された技術では、高価な薬剤である2価の鉄イオンとキレートを形成する有機酸を用いることが必須であって、コスト的な問題があった。
さらに、発明者らが検討した結果、特許文献1〜3に記載されたような、フルボ酸を含む物質に、鉄粉、酸化鉄および炭素をそのまま適用したとしてもフルボ酸鉄が効果的に生じないという問題があることが新たに分かった。
そこで、発明者らが上記新たな問題を鋭意検討した結果、フルボ酸を含む物質として腐葉土を選択し、さらに、酸素分が所定値以下の鉄材と、炭素材とを併せて用いることによって、最も経済的であって、かつフルボ酸鉄が効果的に生成することが分かった。
本発明は、上記した現状に鑑み開発されたもので、安全性が高く、経済性に優れると同時に、フルボ酸鉄の生成速度も速い鉄分供給材を、それを用いた鉄分供給方法と共に提供することを目的とする。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.環境水中に対して鉄分を供給する鉄分供給材であって、腐葉土と、炭素材と、さらに酸素含有量が1質量%以下の鉄材を含み、該炭素材と該鉄材との少なくとも一部が接触している鉄分供給材。
2.前記鉄材が、酸素含有量:1質量%以下の純鉄である前記1に記載の鉄分供給材。
3.前記炭素材の電気伝導度が体積抵抗率で103Ω・cm以下である前記1または2に記載の鉄分供給材。
4.前記炭素材が、炭素繊維強化プラスチック、膨張黒鉛シート、木炭、黒鉛材、炭素材、竹炭および炭素繊維のうちから選んだ少なくとも1種である前記1〜3のいずれかに記載の鉄分供給材。
5.前記鉄材および炭素材を鉄分供給材の中心とし、その外周に前記腐葉土を配置する前記1〜4のいずれかに記載の鉄分供給材。
6.前記腐葉土の外側から、自己収縮性を持つ固縛材で包んだ前記1〜5のいずれかに記載の鉄分供給材。
7.前記1〜6のいずれかに記載の鉄分供給材を、河川中、湖沼中および海中のうちから選んだ少なくとも1箇所の環境水中に設置し、鉄錯体として鉄分を該環境水中に溶出させる鉄分供給方法。
本発明によれば、安全性が高く、経済性に優れると同時に、フルボ酸鉄の生成速度も速い鉄分供給材を、それを用いた鉄分供給方法と共に提供することができる。
本発明に従う環境水中に対して鉄分を供給する鉄分供給材の例を示した図である。 本発明に従う持続的鉄分供給材の構成の1例を示した図である。 図2に示した持続的鉄分供給材の一単位の構成の1例を示した図である。 本発明に従う持続的鉄分供給材のうち、炭素材と鉄材との構成の1例を示した図である。 本発明に従う鉄分供給材の配置例を示した図である。 実施例に用いた腐葉土を示した図である。 実施例に用いた鉄材を示した図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明は、図1に示すように、環境水中に対して鉄分を供給する鉄分供給材であって、腐葉土と、炭素材と、さらに、酸素含有量が1質量%以下の鉄材とを含み、該炭素材と該鉄材との少なくとも一部が接触していることを特徴としている。
本発明で使用する鉄材は、酸素含有量が1質量%以下であって、鉄成分、すなわち金属鉄が含まれていれば、特に材質は制限されず、鉄ニッケル合金などFeを含む合金で有っても良いが、環境への溶出物質を考えると、純鉄であることが最も望ましい。
また、本発明で使用する鉄材は、炭素材との接触面積が大きいことが求められているので、平面、あるいは曲面をもつ板状および筒状の形状を有することが望ましい。特に、線状、棒状の鉄材の利用が好ましい。また、フィルム状鉄板も期間限定であるならば利用可能である。
他方、本発明で使用する炭素材は、炭素成分が含まれていれば、特に材質は制限されず、黒鉛構造炭素が含まれていても良い。また、上記炭素材の電気伝導度は、体積抵抗率で103Ω・cm以下であることが好ましい。というのは、鉄イオンの溶出量が制御しやすいからである。
また、上記炭素材は、その純度や形状も制限されずに鉄イオンの溶出量や設置場所等に応じて適宜選択することができる。すなわち、上記炭素材は、炭素繊維からなる織物であっても良いが、波浪などの激しい海域で使用する場合には、耐久性が重要である。そのため、炭素繊維強化プラスチック(以下、CFRPともいう)が望ましい。さらに、波浪の激しくない制限された海域であるならば、膨張黒鉛シートからつくられた炭素材シートや、木炭、黒鉛材、炭素材、竹炭なども用いることができる。また、炭素成分を含んだ導電性のゴムや黒鉛含有塗料なども使用可能である。
さらに、上記炭素材の形状は、特に限定されないものの、鉄材との接触面積が大きいことが望まれるので、粉や粒形状よりは、炭素繊維製織物で一般的な形状や、板状、フィルム状である方が好ましい。
本発明における腐葉土は、森林生態系において地上部の植物により生産された有機物が朽木や落葉・落枝となり地表部に堆積し、それを資源として利用するバクテリアなどの微生物やミミズなど大小様々な土壌動物による生化学的な代謝作用により分解(落葉分解)されて土状になったものなので、厳密に言うと土ではないが、一般に、腐葉土または腐植土と呼ばれるものを用いる。
自然にできた腐葉土は、成分が窒素に偏っていることが多いが、燐酸やカリウムなどはミミズ、その他の動物の糞や微生物などの働きによって補われることがある。なお、人工的に作られた腐葉土は、成分が人工的に調整されているが、本発明への使用に問題はない。
ここで、腐葉土になりやすい葉は、落葉樹や、広葉樹など、油分が少なく発酵しやすい種類で、杉、松などの油分が多い葉は腐葉土になりにくい。
自然にできた腐葉土は、発酵して出来上がるのに1〜2年以上かかるが、人工的に作る場合は、米糠などを使って発酵しやすい環境を作る。そのため出来上がるまでの期間は2ヶ月程まで縮まる。なお、腐葉土中の鉄含有量は、購入した腐葉土中の鉄含有量をX線分析装置で測定した結果、0.5質量%程度であった。
このように、腐葉土の性質は、原料、製造方法によって、性状が異なるが、最適な腐葉土を選定することが重要である。
具体的に、腐葉土は、シイノキ、シラカシ、アラカシ、ブナ、クヌギ、コナラ、クリなど葉肉が厚く広葉樹の落ち葉を堆積し適度に発酵させたものが好ましい。使用する状態は、手でもむと、直ぐにくずれる程度に発酵したものがよく、コナラ、クリなどブナ科の落ち葉を使ったものが特に最良である。さらに、ミネラル成分として、海藻の成長にとって必須元素である、鉄、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどを含むものが好ましい。
発酵が不十分な腐葉土では、フルボ酸の含有量が少なく、効果が少ない。一方で、完熟状態になると、無酸素状態が作りにくくなって、効果が低下する場合がある。
本発明では、炭素材と鉄材との反応によって水酸化鉄および/または酸化鉄が生成するが、この生成した水酸化鉄および/または酸化鉄は除去されることが望まれる。といのは、水酸化鉄および/または酸化鉄が両者の界面付近に存在することで、両者の接触を妨害し、反応を阻害するからである。そこで、本発明では、腐葉土を用いることによって、無酸素状態を作り出し、水酸化鉄および/または酸化鉄が効率よく除去される構造になっている。
また、本発明に用いる鉄材は、炭素材と接触した箇所から溶解するため、消耗していく、そして、消耗した鉄材は、交換することが必要となるため、図2〜4に示すような持続的鉄分供給材の構造を採ることが好ましい。
ここで、図2は、本発明に従う持続的鉄分供給材の構成の1例を示した図である。天然繊維の袋を入れる容器(例えば、コンクリート製や金属製)に、腐葉土と、炭素材と、さらに酸素含有量が1質量%以下の鉄材とを一つの天然繊維の袋(一単位)に詰めて装入してある。
また、図3は、図2に示した天然繊維の袋、すなわち一単位の構成の1例を示した図である。腐葉土と、炭素材と、さらに鉄材とを詰めてある。
さらに、図4は、本発明に従う持続的鉄分供給材のうち炭素材と鉄材との構成の1例を示した図である。
本発明では、効果的に鉄を溶出させるため、図1に示したように、前記鉄材および炭素材を鉄分供給材の中心とし、その外周に前記腐葉土を配置することが好ましい。
また、前記腐葉土の外側から、自己収縮性を持つ固縛材で包むこともできる。かかる構成とすることにより、鉄材と炭素材とが安定して常に接触できるからである。なお、本発明における固縛材とは、メッシュ形状をしているゴム材やナイロン製の網であることが好ましいが、例えば、単にゴム紐で留めたり、ナイロン製の糸などで固縛したりすることも含まれる。
その際の鉄材および炭素材の形状は、特に限定されないが、特に鉄材は棒状であることが望ましい。安定して固縛できるからである。
また、円筒状の竹炭の中に鉄線を充填する、あるいは、半月形の竹炭の凹部に番線を充填することでも可能である。
本発明における鉄分供給材の配置について、図5を用いて説明する。
腐葉土中に鉄材と炭素材を一緒にしたものをネットあるいは通水性の容器(あるいは袋)の中に充填する。それをコンクリート製ボックス内に配置する(図5中、Aとして示されたもの)。
あるいは、腐葉土だけをいれた袋、炭素材と鉄材とをいれた袋を共に別の大きめの袋の中に充填したものを、コンクリート製ボックス内に配置する(図5中、BまたはCとして示されたもの)。
あるいは、コンクリート製ボックスの代わりに、鉄筒を使用する場合もある。この鉄の中に、腐葉土中に鉄材と炭素材を一緒にしたものをネットあるいは通水性の容器(あるいは袋)の中に充填する。また、腐葉土だけをいれた袋、炭素材と鉄材とをいれた袋を共に別の大きめの袋の中に充填したものを、鉄筒の中に配置する。この場合、鉄筒は長期間使用後には、溶解することになる。
本発明に従う鉄分供給材は、鉄の供給を必要とする場所(環境水中)、すなわち河川中、湖沼中および海中のいずれかに設置することで、鉄分を鉄錯体として効果的に環境水中に溶出させることができる。
〔実施例1〕
腐葉土は、図6に示すSB(アカギ園芸製、広葉樹)を使用した。鉄材は、図7に示す鉄線(1本の長さ:50cm、直径:0.8mm、質量:2.27g、なまし鉄線、JIS規格番号:JIS G 3532、記号:SMW-A)、および粒状の鉄材(通称ではビレットと呼ばれている)を使用した。炭素材は、炭素繊維製織物(20cm×15cm、質量:30g)を用いた。ここで、鉄線中の酸素は、電子プローブマイクロアナライザ(電子線マイクロアナライザ)で観察した結果、検出限界以上の存在は認められなかった。また、木炭に簡易型テスターの両端子をあてたところ、電流の流れるのを確認した。
鉄線は、束ねたものを腐葉土中に挿入した。鉄材と炭素材を使用する場合は、炭素繊維織物の中に、鉄線の束を巻き込むようにして使用した。
腐葉土、鉄材および炭素材をいれる容器は、広口びん(容量:2L、ポリエチレン製)を使用し、水は、腐葉土、鉄材および炭素材が水中に埋没するように1500mLを加えた。ついで、広口びんの蓋をした状態で静置した。表1に示すように、鉄と炭素材との構成を変えて、5種類の試料水溶液を作製した。
10日後、各水溶液をくみ出し、鉄濃度をICP法(誘導結合プラズマ発光分析法)で測定する準備を行った。容器内からくみ出した水溶液は、水切りネットで固形物を取り除いた。メスフラスコ50mLの中にイオン交換水:約25mLを入れ、そこに試料水溶液:5mLと12M-HCl:0.5mLを加えた。次に、イオン交換水を加えて50mLに正確に希釈した。希釈した試料水溶液は、孔径:0.45μmのミニザルトで濾過した。鉄濃度は、ICP法で測定した。
測定結果を表1に併記する。
同表より、腐葉土単独の場合(1−1)よりも、鉄材と共存(1−2)させることで、鉄濃度は13.6倍も大きくなったことが分かる。さらに、炭素材と接触(1−3)させることで、腐葉土単独の場合よりも、鉄濃度が18.0倍も高濃度となったことが分かる。
上記鉄濃度を測定後、容器内の水溶液を取り出し、新たな水を加えた。10日後、同様の処理を行い、鉄濃度を測定した。腐葉土単独の場合(1−1)よりも、鉄材と共存(1−2)させることで、鉄濃度は12.2倍も大きくなったことが分かる。さらに、炭素材と接触(1−3)させることで、鉄濃度は20.9倍も高濃度となったことが分かる。
一方、鉄材として粒状鉄を使用した場合も、8.7倍(1−4)、10.5倍(1−5)も高濃度となった。これらの実験結果から、腐葉土中に炭素材と鉄材を接触させると、鉄の溶解量は著しく向上した。
さらに、水を交換してから10日後(実験開始から20日後)、容器内の水溶液を取り出し、上記と同様の処理を行い、鉄濃度を測定した。腐葉土単独の場合(1−1)よりも、鉄材と共存(1−4)させることで、鉄濃度は9.1倍も大となった。さらに、炭素材と接触(1−5)させることで、鉄濃度は10.8倍も高濃度となった。
〔実施例2〕
腐葉土中での鉄の溶解状況は、海水でも同様の挙動であるか否かを検討した。
腐葉土は、SBを160g使用した。鉄材は、実施例1のなまし鉄線:150gあるいは粒状鉄材(ビレット):150gを使用した。炭素材は、炭素繊維製織物(20cm×15cm、質量:30g)を用いた。鉄材は、腐葉土中に挿入した。鉄材と炭素材を併用する場合は、炭素繊維織物の中に、巻き込むようにして使用した。これらをいれる容器は、広口びん(容量:2L、ポリエチレン製)を使用した。海水と同程度の塩濃度である3%−塩化ナトリウム水溶液を使用し、これを腐葉土、鉄材、炭素材が水中に浸るように1500mLを加え、その後、容器に蓋をした状態で保持した。鉄と炭素材との構成を変えて、表2に示す5種類の試料水溶液を作製した。
実験は、2013年2月20日に開始。7日後、水溶液をくみ出し、鉄濃度を測定する準備を行った。容器内からくみ出した水溶液は、水切りネットで固形物を取り除いた。イオン交換水:約25mLを入れてあるメスフラスコに、試料水溶液:5mLと12M-HCl:0.5mLを加えた。次に、イオン交換水を加えて50mLに正確に希釈した。希釈した試料水溶液は、孔径:0.45μmのミニザルトで濾過した。鉄濃度は、ICP法で測定した。
測定結果を表2に併記する。
同表より、腐葉土単独の場合(2−1)の鉄濃度は、0.36mg/Lであったが、鉄材を加える(2−2)と42.6mg/Lと118倍も高濃度となった。さらに、鉄材に炭素材を接触させる(2−3)と76.4mg/Lとなり、腐葉土単独の場合よりも212倍も高くなった。炭素材の有無によって1.8倍も鉄の溶解が促進された。
一方、鉄材として粒状鉄を使用した場合には、腐葉土単独の4.9倍(2−4)、炭素材との併用(2−5)では7.0倍程度であった。使用する鉄材は、粒状鉄よりも、線状の鉄材の方が効果的であった。
〔実施例3〕
3%−塩化ナトリウムを使用し、腐葉土/鉄線、腐葉土/鉄線/炭素繊維織物を使用し、毎日、塩水溶液を交換した場合の鉄の溶出量を求めた。
腐葉土は、SBを100g、鉄材は、実施例1のなまし鉄線:100gをそれぞれ使用した。また、炭素材は、炭素繊維製織物(35cm×15cm、質量:50g)を用いた。
鉄材を単独で用いる場合は、鉄材を腐葉土中に挿入した。鉄材と炭素材を併用する場合は、炭素繊維織物の中に、巻き込むようにして使用した。
これらを入れる容器は、広口びん(容量:1L、ポリエチレン製)を使用した。試料3−1は、腐葉土と鉄、試料3−2は、腐葉土と鉄と炭素材(炭素繊維)をいれた。この容器の中に、海水と同程度の塩濃度である3%−塩化ナトリウム水溶液を、腐葉土、鉄材、炭素材が水中に浸るように700mLを加え、その後、容器に蓋をした状態で保持した。
実験は、2013年3月21日に開始。1日後、容器を傾けて中の水溶液をほぼくみ出し、新たに調製した3%−塩化ナトリウム水溶液を700ml加えた。
所定期間経過後、容器内の塩化ナトリウム水溶液をくみだし、新たな塩化ナトリウム水溶液を加える操作を行った。交換した期日は、1日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、および11日後であった。
くみだした容器内液は、鉄濃度を測定する準備を行った。容器内からくみ出した水溶液は、水切りネットで固形物を取り除いた。イオン交換水:約25mLを入れてあるメスフラスコに、試料水溶液:5mLと12M-HCl:0.5mLを加えた。次に、イオン交換水を加えて50mLに正確に希釈した。希釈した試料水溶液は、孔径:0.45μmのミニザルトで濾過した。鉄濃度は、ICP法で測定した。
測定結果を表3に併記する。
表3より、1日後の腐葉土/鉄の場合(3−1)の鉄濃度は、10.6mg/Lであったが、炭素材を加えると32.1mg/Lと約3倍も高濃度となった。
いずれの場合も、炭素材を加えることで、鉄の溶出量は大となっていた。各7回の測定値を累計すると、炭素材をくわえることで、鉄の溶解は、1.5倍も促進された。
なお、上述していないその他の実施形態、例えば、炭素繊維強化プラスチック、膨張黒鉛シート、木炭、黒鉛材、炭素材、および竹炭のうちから選んだ少なくとも1種であれば、上記の実施例同様の優れた鉄溶出効果を有していることを確認している。
また、本発明は、炭素材と鉄材との少なくとも一部が接触していることが重要であり、その形状や接触態様は、鉄分供給材の実際の設置条件によって、適宜変更できることは言うまでもない。
本発明に従う鉄分供給材を利用することによって、クロロフィルを増やし、海草や海藻を繁殖させ、水質を浄化し、ヘドロを分解し、海の透明度を向上させることができる。
また、磯焼けを防止して、魚介類を繁殖させる。
さらには、海藻による二酸化炭素の吸収および大気中の二酸化炭素の海水への溶解促進効果を通じて、地球の温暖化を防止することができる。

Claims (6)

  1. 環境水中に対して鉄分を供給する鉄分供給材であって、腐葉土と、炭素材と、さらに酸素含有量が1質量%以下の鉄材を含み、該炭素材と該鉄材との少なくとも一部が接触し、かつ前記鉄材および前記炭素材を前記鉄分供給材の中心とし、その外周に前記腐葉土を配置している鉄分供給材。
  2. 前記鉄材が、酸素含有量:1質量%以下の純鉄である請求項1に記載の鉄分供給材。
  3. 前記炭素材の電気伝導度が体積抵抗率で103Ω・cm以下である請求項1または2に記載の鉄分供給材。
  4. 前記炭素材が、炭素繊維強化プラスチック、膨張黒鉛シート、木炭、黒鉛材、炭素材、竹炭および炭素繊維のうちから選んだ少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の鉄分供給材。
  5. 前記腐葉土の外側から、自己収縮性を持つ固縛材で包んだ請求項1〜のいずれかに記載の鉄分供給材。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の鉄分供給材を、河川中、湖沼中および海中のうちから選んだ少なくとも1箇所の環境水中に設置し、鉄錯体として鉄分を該環境水中に溶出させる鉄分供給方法。
JP2013080455A 2013-04-08 2013-04-08 鉄分供給材および鉄分供給方法 Active JP6173001B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013080455A JP6173001B2 (ja) 2013-04-08 2013-04-08 鉄分供給材および鉄分供給方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013080455A JP6173001B2 (ja) 2013-04-08 2013-04-08 鉄分供給材および鉄分供給方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014200213A JP2014200213A (ja) 2014-10-27
JP6173001B2 true JP6173001B2 (ja) 2017-08-02

Family

ID=52351246

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013080455A Active JP6173001B2 (ja) 2013-04-08 2013-04-08 鉄分供給材および鉄分供給方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6173001B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017046593A (ja) * 2014-01-09 2017-03-09 石井商事株式会社 貝類の、卵および幼生の付着成長促進材並びにそれを用いた貝類の採苗方法および養殖方法
JP6524445B2 (ja) * 2014-11-21 2019-06-05 日本製鉄株式会社 鉄分の供給材、鉄分の供給材の製造方法、及び鉄分の供給方法
JP6604017B2 (ja) * 2015-03-31 2019-11-13 日本製鉄株式会社 水域環境保全材料の施用方法
JP2016195579A (ja) * 2015-04-06 2016-11-24 株式会社神戸製鋼所 鉄分供給方法、鉄分供給物、植物の栽培方法、ユーグレナの培養方法及び魚介類の養殖方法
JP5864811B1 (ja) * 2015-10-08 2016-02-17 株式会社 イチキン 水中用二価鉄イオン供給装置
CN108713527A (zh) * 2018-06-15 2018-10-30 胡从武 一种竹鼠的养殖方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005006625A (ja) * 2003-06-17 2005-01-13 ▲高▼島産業株式会社 海藻類育成用コンクリートブロック
JP5258171B2 (ja) * 2006-03-10 2013-08-07 幹生 杉本 鉄イオン溶出体
JP4556038B2 (ja) * 2008-06-11 2010-10-06 石井商事株式会社 水質浄化材
JP2010104362A (ja) * 2008-10-02 2010-05-13 Komiya Kensetsu:Kk 藻場造成用硬化物
JP2011173104A (ja) * 2010-02-26 2011-09-08 Tadashi Miyamoto 排水処理材の製造方法
JP5112483B2 (ja) * 2010-08-11 2013-01-09 中川特殊鋼株式会社 海洋緑化用缶詰、海洋緑化用缶詰の使用方法、及び海洋緑化用缶詰の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014200213A (ja) 2014-10-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6173001B2 (ja) 鉄分供給材および鉄分供給方法
de Souza Machado et al. Metal fate and effects in estuaries: a review and conceptual model for better understanding of toxicity
Jović et al. Mussels as a bio-indicator of the environmental quality of the coastal water of the Boka Kotorska Bay (Montenegro)
JP4556038B2 (ja) 水質浄化材
JP3829140B2 (ja) 磯焼け修復方法
Troell et al. Cage fish farming in the tropical Lake Kariba, Zimbabwe: impact and biogeochemical changes in sediment
JP4710036B2 (ja) 鉄キレート発生材及びその使用方法
Zhang et al. Carbon budgets of two typical polyculture pond systems in coastal China and their potential roles in the global carbon cycle
JPWO2016024408A1 (ja) 環境水への鉄分供給材、鉄分供給材の保守方法および環境水への鉄分供給方法
Lacerda et al. Fate of copper in intensive shrimp farms: bioaccumulation and deposition in pond sediments
Xu et al. Impacts of estuarine dissolved organic matter and suspended particles from fish farming on the biogeochemical cycling of mercury in Zhoushan island, eastern China Sea
Akizuki et al. A multifunctional single-stage process for the effective methane recovery and denitrification of intermittently discharged wastes
Olowoyo et al. Assessing the levels of trace metal from two fish species harvested from treated waste water stored in a manmade lake Pretoria, South Africa
JP2013081901A (ja) 水質及び環境改善具
JP5884631B2 (ja) 水域環境保全容器体
Babu et al. Phosphorus accumulation associated with intense diagenetic metal-oxide cycling in sediments along the eastern continental margin of India
JP2013183676A (ja) 藻場形成用鉄イオンの溶出体およびそれを用いた藻場形成用鉄イオンの溶出方法
Hou et al. Effect of the bioturbation derived from sea cucumber Apostichopus japonicus (Selenka) farming on the different occurrence forms of sedimentary inorganic carbon
JP5134200B2 (ja) 水底土壌改良剤並びにそれによる水底土壌の改良方法
JP2005342624A (ja) 貝殻からなる底質浄化材の製造方法
JP2020000016A (ja) 水溶性鉄供給装置およびその装置を用いた水溶性鉄供給方法
JP2015167473A (ja) 金属供給材および金属供給方法
Panchang Sand mining and industrial effluents threaten mangroves along central west coast of India
JP2018143907A (ja) 水質改善方法及び貝類生育促進方法
JP6090665B2 (ja) 底質改善・施肥材及びその利用方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160408

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20160411

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161220

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170217

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170613

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170704

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6173001

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250