JP5884631B2 - 水域環境保全容器体 - Google Patents

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Description

本発明は、水域、特に海域に設置され、内部に、水域で生育する藻類や微生物等に対する栄養分となる施肥材料が収容される容器であって、該容器から藻類や微生物等に対して栄養分を供給し、藻類や微生物を繁茂させて水域環境を保全するための水域環境保全容器体に関する。
近年、水域では、生物の生育に必要な鉄分の不足による生物生産量の低下が生じている。例えば沿岸部の海域では、岩場から海藻が消えて石灰藻に覆われる磯焼け、即ち海の砂漠化が急速に拡がり、昆布、ウニ、アワビ等の沿岸水産資源の減少が顕著になっている。
沿岸部の鉄分は、森林の腐植土壌中で生成する水溶性のフルボ酸鉄(フルボ酸と二価の鉄イオンがキレート化したもの)などの有機鉄イオンとして河川を下り、海に供給されていたものであるが、近年の森林の荒廃によってフルボ酸鉄の溶出量が減少したことに磯焼けの根本的な原因があるといわれている。
このような問題に対し、従来、二価の鉄イオンを含む施肥材料を収容した容器を海中に沈設しておくことで、容器から藻類や微生物等に対して栄養分となる有機鉄イオンを供給し、藻類や微生物を繁茂させて水域環境を保全する技術が提案されている。
そのような施肥材料を収容した水域環境保全容器体として、例えば、特許文献1には、容器内の施肥材料が流出せず、波に対する強度を保有するために、上面にのみ開口を有する鋼製ボックスを用いた水域環境保全容器体が開示されている。
また、特許文献2には、ヘドロ沈降による開口閉塞を防止するために、上面には開口を設けず、側面に2以上の開口を設けた鋼製ボックスを用いた水域環境保全容器体が開示されている。また、底面にも開口を設けてもよいことも記載されている。
特許第4351708号公報 特開2011−24443号公報
しかしながら、本発明者らの検討によれば、水域環境保全容器体の容器本体の上面や側面のみに開口を形成する構成では、容器本体内に鉄分が滞留しやすく、海流などの条件によっては藻類や微生物を繁茂させるために十分な栄養分を供給できるとは限らないことが見出された。引用文献2には、底面にも開口を設けることについても記載されているが、その形態については何ら具体的に示されていない。
また、より藻類や微生物を繁茂させることができる効果的な肥料の供給方法についての観点から、保全容器の開口をどのように形成するがよいかについての検討も十分になされていない。
そこで、本発明は、施肥材料による栄養分がより迅速に水域に供給され、かつ藻類や微生物の繁茂にとってより効果的に栄養が供給される水域環境保全容器体を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明に係る水域環境保全容器体は、以下の事項を要旨とするものである。
(1) 設置面となる底面部と上面部と側壁部とからなる容器内に、鉄鋼スラグを含有する施肥材料、或いはこの施肥材料を充填させた透水性の袋体が収容されてなる水域環境保全容器体であって、
上面部と底面部に施肥材料から供給される養分を供給するための複数の開口が形成されており、上面部と底面部と側壁部の合計面積に対する開口の総面積の比率が0.2〜2.0%であり、かつ容器全体に形成された開口の合計面積に対する底面部に形成された開口の面積の比率が30〜50%であることを特徴とする水域環境保全容器体。
(2) さらに前記開口が側壁部にも形成されており、容器全体に形成された開口の合計面積に対する側壁部に形成された開口の面積の割合が1/3未満であることを特徴とする上記(1)に記載の水域環境保全容器体。
(3) 前記容器は、H形鋼をそのウエブが側壁部を構成するように枠状に組み合わせ、組み合わされたH形鋼の一方のフランジ側に上面部となる鋼板が固定され、他方のフランジ側に底面部となる鋼板が固定されて形成されていることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の水域環境保全容器体。
本発明によれば、少なくとも上面と底面に複数の開口が設けられた容器本体内に、二価鉄含有施肥材料又は鉄鋼スラグを含有する施肥材料を収容することによって容器内の通水性が良くなり、溶出した鉄分の容器外への移送と拡散が促進できるため、藻類及び微生物等の生育を促進する養分の供給が効果的になされる。
本発明の水域環境保全容器体の一例を模式的に示す斜視図である。 図2の水域環境保全容器体の断面図である。 鉄分濃度と鉄分溶出速度の関係の一例を示す図である。 H形鋼と鋼板とで形成された本発明の水域環境保全容器体の他の一例を模式的に示す斜視図である。 図4に示された水域環境保全容器体の底面図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本実施形態の水域環境保全容器体1を示している。この水域環境保全容器体1は、硬質材料で形成された容器2内に、図2に示すように施肥材料3が収容されて構成されており、容器の外面に形成された孔4a、4bにより、水域に生育する藻類及び微生物等の海洋生物に対して栄養成分を供給するものである。
このような容器2は、内部に施肥材料を収容するために、水底への設置面となる底面部7と、それに対向する上面部5と、それらを支持する側壁部6とからなる箱型に形成されており、例えば、鋼材又はコンクリート、あるいはそれらを組み合わせたものを使用して作製されている。施肥材料は、全体をそのまま容器2内に収容されるか、複数の透水性の袋体にそれぞれ充填された状態で収容される。
容器の壁面(図1に示すものでは、上面部5と底面部7)には開口4となる孔が穿設されており、溶解した施肥材料が開口4を通して海水中に拡散するようにして、施肥効果を発揮するようになっている。
施肥材料としては、鉄鋼スラグなどの水との接触によって二価の鉄イオンを溶出する物質に、腐植含有物質やアンモニア化成する窒素化合物(家畜の糞尿、魚粉などの農林水産副産物)を混合したものが用いられる。
二価の鉄イオンは水中の酸素によってすぐに酸化して、三価の鉄イオンとなって粒鉄として沈殿する。そのため、溶出した二価の鉄イオンを、腐植含有物質によってキレート化して水中で安定に存在することができるフルボ酸鉄としたり、窒素化合物から分解したアンモニアと反応させて錯体イオンとしたりする。これにより、溶出した二価の鉄イオンを効率的に、長時間、広範囲に亘って生物へ供給することが可能となる。
従来、開口4の形成位置の効果は、容器の上面あるいは側面に形成する場合ついて検討されていた。しかし、本発明者の検討では、鉄分は容器内に滞留しやすく、上面のみや側面のみの開口では、鉄分が容器内から海水中に十分に拡散せず、容器内に滞留することが認められた。
そこで、鉄分を容器から水中に溶出を促進する手段について検討した結果、容器の下面にも開口を設けることで鉄分溶出効果を促進することができることを見出した。
一般的に物質の固液界面の濃度勾配が大きいほど、拡散現象により固体からの物質の溶出量は大きいため、容器内部の海水の鉄分濃度が小さいほどスラグからの鉄分溶出効果が大きくなる。
本発明者らは、流体解析の結果、上面のみ、又は側面のみの開口はもちろん、上面と側面の両方に開口を設けた場合と比較し、上面と下面の両方に開口のある容器の方が、容器内部の海水の通水性向上によりスラグから溶出した鉄分が容器外に輸送され、容器内の海水の鉄分濃度は小さくなる。その結果、スラグからの鉄分溶出効果が大きくなるため、鉄分施肥効果は促進されることが見出された。
以下に、そのような知見が得られた流体解析の内容を示す。
解析のモデルとして、縦1.4m、横1.4m、高さ0.5mの箱型容器に、開口として、径10mmの円形の孔を開口比が0.2〜9.0%の範囲になるように形成したものを用いた。なお開口比は、容器の上面部と壁面部と底面部の合計面積に対する開口の総面積の比率(%で表す)、すなわち、(開口の総面積)/(容器の上面部と壁面部と底面部の合計面積)×100をいう。
その容器に孔を上面のみに形成したもの(ケース1)、壁面のみに形成したもの(ケース2)、上面と底面に形成したもの(ケース3)、上面と壁面と底面に形成したもの(ケース4)の四つのケースについて、施肥材料を容器に1.25トン充填した場合を想定して流体解析を進め、容器内の鉄分濃度分布を求めた。
また、流体解析に当たり、鉄分濃度と鉄分溶出速度の関係を次のようにして求めた。
施肥材料として、製鉄スラグに腐植土を混合したものを円筒に充填し、人工海水を種々の流速(通水量)で円筒内に通液し、施肥材料を通過した浸透水の鉄分濃度を測定して、人工海水の流速と鉄分濃度の値から鉄分溶出速度を求めた。
求められた鉄分濃度と鉄分溶出速度の関係の一例を図3に示す。
上記ケース1〜4のそれぞれについて、容器に形成する開口比を変化させて、容器内を通過する通水量と容器内部の鉄分濃度を流体解析により求め、予め求めておいた鉄分濃度と鉄分溶出速度の関係からそれぞれのケースについて開口比ごとの鉄分溶出速度を求めた。
開口比が0.2%、0.5%、2.0%、9.0%となるように開口を形成した場合について、流体解析結果の一例を表1〜4に示す。
表1〜4に示すように、容器の上面部と底面部に開口を形成した場合(ケース3)は、開口比が0.2%、0.5%、2.0%の場合において、容器の上面部あるいは側面部のみに開口を形成した場合(ケース1、2)に比べて、通水量が多く、容器あたりの鉄分溶出量も多くなる結果が得られた。さらに、容器の上面部と側面部と底面部に開口を形成した場合(ケース4)では、ケース3に比べて、容器あたりの鉄分溶出量が多くなる結果が得られた。但し、開口比が0.2%〜2.0%の範囲では、開口比が小さいほど、その効果は顕著である。
これに対し、開口比が9.0%では、前記のケース1と、前記のケース3、ケース4とでは、容器あたりの鉄分溶出量はほぼ同等であるという結果が得られた。これは、開口比が大きすぎるため、鉄分溶出量の効果に差が見られなかったものと考えられる。
この結果を受けて、さらに種々の開口比で同様の検討を行った結果、開口比が2.0%を超えると、前記のケース1と、前記のケース3、4とでは、容器あたりの鉄分溶出量はほぼ同等であったので、開口比を0.2%〜2.0%の範囲とすることが有効であることが見出された。
Figure 0005884631
Figure 0005884631
Figure 0005884631
Figure 0005884631
ところで、フルボ酸鉄のような有機態鉄分は嫌気性条件下で溶出するため、見出された開口比0.2%〜2.0%の範囲で、嫌気性条件が維持できているかどうかを調べる必要がある。
そこで、まず、開口比に応じて、容器内へ新たに流入する海水の流量(入れ替わり流量)と容器内を嫌気性雰囲気にするための必要酸素消費量がどのように変化するかを解析した。表5にその結果を示す。
表5に示されるように、開口比が大きくなると、外部からの酸素流入量が多くなり、容器内を嫌気性にするために必要な酸素消費量も多くなる。
Figure 0005884631
次に、容器内の酸素消費量を、上記の解析モデルをベースとして検討した。
具体的には、施肥材料として製鉄スラグに腐植土を混合したものを円筒に充填し、溶存酸素で飽和した人工海水を円筒内に通液して施肥材料を通過した浸透水の溶存酸素濃度を測定し、その結果より算出される施肥材料の単位質量当たりの酸素消費速度を求めた。
そして、この施肥材料の単位質量当たりの酸素消費速度に、容器内の施肥材料質量(今回の解析モデルでは1.5kg)を乗じることにより、容器内の酸素消費量として6.0×10−4g/secの値が得られた。
表5より、開口比が9.0%の場合の必要酸素消費量が6.0×10−4g/secであることから、開口比が9.0%を超えると、容器外部からの流入酸素量が多すぎるため容器内部が嫌気性に到らない結果が得られたので、開口比が0.2%〜2.0%の範囲では、嫌気性条件を維持することが可能であることが確認された。
以上の結果により、開口比の上限を2.0%以下と定めた。また、開口比が小さくなると、鉄分を溶出するために必要な海水の流量が得られないので、開口比の下限は、表1で効果が確認される0.2%以上とした。
以上のように底面にも開口を設けることが有効であることが分かったので、さらに、容器全体に形成された開口の合計面積に対する底面部に形成された開口の面積の比率(%で表す)、すなわち、(底面部に形成された開口の面積)/(容器全体に形成された開口の合計面積)×100、で表される底面の開口比についても検討した。
まず、容器の上面部と底面部に開口を形成した場合について検討したところ、底面の開口比が30〜50%であるとより高い鉄分溶出速度が得られる結果が得られた。
この検討に当たっては、上面と底面に形成する開口の個数を変えた容器を準備し、底面の開口比と鉄分溶出速度との関係について流体解析を行った。結果の一例を表6に示すが、底面の開口比が小さい場合には鉄分溶出速度の増加は顕著ではないが、底面の開口比が30%を超えると顕著となり、50%を超えると流出する開口の面積が律速となって急速に減少することがわかった。
Figure 0005884631
この結果が得られた理由は、明確ではないが、以下のように推察される。
容器内へ流入した新たな海水は、主に流入した面よりその反対側の面の方向に施肥材料の中を浸透しながら通液すると考えられることから、海水の流入に寄与する開口の合計面積に対して、海水の流出に寄与する開口の合計面積が小さいと、流入した海水の全量が流出できない。
底面の開口比が50%を超えると、上面の開口比が50%未満となるが、この状態で海水が流出しにくくなったということから、主に、海水は底面から流入し、上面から流出しているものと考えられる。このため、底面の開口比が50%であれば、上面の開口比も50%であるため、この状態が、底面の開口比の上限となったものと考えられる。
この様に、容器の上面部と底面部に開口を形成した場合には、容器の底面部から流入した海水が施肥材料の中を浸透しながら容器の上面部へ向かって通液することで容器内の通水量が増大し、容器上面部からの鉄分の拡散量も多くなったものと考えられる。
一方、底面の開口比が30%未満の場合、底面から流入する海水量が少なくなり、上面から流入して上面から流出する海水量が増加したとしても、施肥材料の上部のみを浸透しながら通液される量が増加するのみであることから、容器上面部からの鉄分の拡散量が少なくなったものと考えられる。
次に、上記表1〜2から、容器の上面部と底面部に開口を形成することに加えて、側壁部にも開口を形成することがより好ましいことが分かったので、側壁部にも開口を形成する場合の条件についても検討した。
ちなみに、側壁部にも開口を形成した場合も、側壁部の壁面から流入した海水は、その面と反対側の壁面に向かって浸透していくと考えられる。但し、実際には底面部から流入した海水の浸透流れと混合して、多少は複雑な流れとなると思われるが、基本的には、側壁面に形成された開口のほぼ半分は海水の流入に寄与し、残りは流出に寄与するものと考えられる。
ただし、表1〜表4に示される様に、側壁面のみに開口を形成した場合は、上面部に開口を形成した場合に比べて鉄分溶出量が少なく、側壁面の開口の通液促進効果は上面部ほどの効果は発現していないことから、側壁部の開口の合計面積は上面部の開口の合計面積未満(側壁部の開口の合計面積<上面部の開口の合計面積)に設定するのが好ましい。
そこで、流体解析により検討したところ、容器全体に形成された開口の合計面積に対する側壁部の開口の面積の割合(側壁部の開口割合)が1/3を超えると、鉄分溶出量が減少する場合があった。
この理由は、明確ではないが、底面部から上面部への海水の流れの方が、側壁面から反対側の側壁面への海水の流れよりも、強い流れとなっており、側壁部の開口の面積の割合が大きくなると、相対的に底面部および上面部の開口比が低下したものと考えられる。
さらに、容器の形成する個々の開口の大きさについて検討した結果、径が5mm〜50mmの範囲が好ましいことが確認された。ここで、径は、開口が円形の場合はその直径、それ以外の場合は、開口の内幅の最大値をいう。
径が5mm未満の開口では、海水中に長期間設置される過程で錆による閉塞が生じる。また、50mmを超える開孔では、容器内に収容された施肥材料が容器外に流出する可能性が高まるので適当でない。
以上の結果を踏まえ、後述の実施例に記載した通り、上記ケース1とケース3のように開口を設けた容器を、実際に海水を満たした水槽に沈設して、それぞれの場合の鉄分溶出効果について調べた。
その結果、開口を容器の上面部のみに設けた場合と上面部と底壁部と底面部の全てに設けた場合とで容器直上の鉄分濃度を比較したところ、底面部に開口を設けることで、同じ開口比であっても容器周囲の鉄分濃度が高くなり、藻類などの生育に必要な鉄分などの供給が効率良く実施できるという結果が得られた。
本発明の水域環境保全容器体は、以上説明したように構成されるものであるが、さらに好ましい態様について説明する。
水域環境保全容器体に使用する容器としては、設置面となる底面部と上面部と側壁部とからなる箱型であれば、形状やサイズの点で特定のものに特に限定されるものではない。
また、容器を構成する材料についても、海水中で耐久性があり、安価で入手が容易である材料であれば、特に限定されるものではない。
例えば、コンクリートを用いて側壁を形成し、上下の開放部分を鋼板で覆うようにすれば、側壁の断面形状を方形でも円形でも自由に形成でき、上下の鋼板に自由に開口を形成することができる。
また、H形鋼を組み合わせて側壁を形成し、上下の開放部分を鋼板で覆うようにすれば、上下に加えて側壁にも容易に開口が形成できるので好適である。図4、5にそのように形成された水域環境保全容器体11の例を示す。図4はその容器の斜視図であり、図5はその容器の底面図である。
この水域環境保全容器体11で用いられる容器12は、4個のH形鋼13a〜13dを、そのウエブ19が側壁部を構成するように枠状に組み合わせ、接合部を溶接して枠体を形成し、枠体を形成するH形鋼の一方のフランジ20側に上面部となる鋼板15が固定され、他方のフランジ21側に底面部となる鋼板16が固定されて形成されている。
そして、側壁部となるH形鋼のウエブ部分と上面側の鋼板15と底面側の鋼板16には、二価鉄含有施肥材料中の栄養成分を水域に拡散させるための開口となる複数の孔14a〜14cが形成されている。
この容器12では、H形鋼による枠体の底面側に鋼板16を溶接により固定して箱体を形成した後、鉄鋼スラグなどの二価鉄含有物と腐葉土などからなる施肥材料を枠体内に収容し、最後に溶接等によって鋼板15をH形鋼13a〜13dのフランジ0に固定されるが、その際、鋼板14の全周を固定する必要はなく、鋼板14が枠体から分離しない程度に固定されていればよい。
また、この容器12には、フランジ20に吊り具18が設けられていて、ロープ等をこの吊り具18に取り付けて、容器を海底に降ろしたり海中から引き上げたりする。
容器2、12には、前述のように、鉄鋼スラグなどの水との接触によって二価の鉄イオンを溶出する二価鉄含有物質に、腐植含有物質やアンモニア化成する窒素化合物含有物質を混合した施肥材料が充填される。
鉄鋼スラグとしては、高炉スラグや、転炉スラグ、電気炉スラグ、二次精錬スラグなどの製鋼スラグのうち1種または2種以上を混合したものが用いられる。また、腐植含有物質には、天然の腐植土や廃木材等を発酵させて製造した人工のものが用いられ、窒素化合物含有物質には、家畜の糞尿や水産物の加工残渣、魚粉などが用いられる。
施肥材料は、全体をそのまま容器2内に充填してもよいが、そのままでは容器外へ流出しやすいので、取り扱いやすい大きさの麻袋などの透水性の袋体に充填した状態で、容器内に収容するのが好ましい。充填する高さは、あまり低いと効率的でなく、容器内の上部まで充填すると鉄分の流出量が少なくなるので、容器の側壁部の内面高さの80〜95%が好ましい。
また、施肥材料を充填する際、底面上に砂利を施設し、その上に施肥材料を充填することにより、容器内の通水性を向上させることができる。
以上説明した本発明の水域環境保全容器体は、例えば、離岸堤、潜堤、防波堤の捨石部、浅場造成部、藻場造成捨石礁、漁礁及び湧昇流発生用マウンドの近傍等に、コンクリート及び天然岩石等からなる藻場造成用のブロック体と共に設置される。その際、容器の底面側を設置面とし設置するとともに、容器の開口が水中に没するようにすると共に、水域環境保全容器と藻場造成用ブロック体とは近接配置する。
これにより、容器の開口から二価鉄含有施肥材料中の鉄イオン等の栄養分が、藻場造成用ブロック体周辺の水域に拡散されるため、海藻類等のこれを栄養分とする海洋生物が育成を促進して、藻場を造成することができる。本発明の水域環境保全容器体では、容器底部にも開口が形成されているので、より効果的に栄養分を供給することができる。
以下実施例により本願発明の実施可能性及び効果について説明する。
本実施例においては、水流のある大型水槽内に施肥材料を充填した容器を浸漬し、10日経過後の容器直上の鉄分濃度を測定した。開口を様々に配置した容器を用いて実施した結果のうち、典型的な検討例について実施例1、2の2例をあげる。各実施例に共通する条件は以下のようにした。
容器の主寸法(内面) : 1.4m×1.4m×0.5m
施肥材料の充填量 : 1.25トン
実験用大型水槽(内容積) : 30m
水流 : 0.8m/sec.
なお、大型水槽は溶解性鉄濃度<0.01mg/Lの海水にて水張りを行った。また、水流は24時間連続で、浸漬した容器側面より与えた。
2例の開口仕様と得られた結果を、表7、8に示す。
<実施例1>
Figure 0005884631
<実施例2>
Figure 0005884631
実施例1、2に示す溶解鉄濃度の測定結果は、流体解析で得られた結果とほぼ同じ傾向であり、他の開口仕様においても、ほぼ一致する結果となった。
このように、本発明の容器を用いると、容器の開口比が同じであっても水中に溶出する鉄分濃度が従来の容器に比べて高くなり、容器体外への鉄分供給を効率良く実施できることが可能となった。
1、11 水域環境保全容器体
2、12 容器
3 施肥材料
4a〜4c 開口
5 容器の上面部
6 容器の壁面部
7 容器の底面部
8、18 吊り具
13a〜13d H形鋼
14a〜14c 開口
15、16 鋼板
19 H形鋼のウエブ
20 H形鋼のフランジ

Claims (3)

  1. 設置面となる底面部と上面部と側壁部とからなる容器内に、鉄鋼スラグを含有する施肥材料、或いはこの施肥材料を充填させた透水性の袋体が収容されてなる水域環境保全容器体であって、
    上面部と底面部に施肥材料から供給される養分を供給するための複数の開口が形成されており、上面部と底面部と側壁部の合計面積に対する開口の総面積の比率が0.2〜2.0%であり、かつ容器全体に形成された開口の合計面積に対する底面部に形成された開口の面積の比率が30〜50%であることを特徴とする水域環境保全容器体。
  2. さらに前記開口が側壁部にも形成されており、容器全体に形成された開口の合計面積に対する側壁部に形成された開口の面積の割合が1/3未満であることを特徴とする請求項1に記載の水域環境保全容器体。
  3. 前記容器は、H形鋼をそのウエブが側壁部を構成するように枠状に組み合わせ、H形鋼の一方のフランジ側に上面部となる鋼板が固定され、他方のフランジ側に底面部となる鋼板が固定されて形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の水域環境保全容器体。
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