JP2020080662A - 泡用粉剤、泡用液剤、および泡状食品 - Google Patents
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Abstract
Description
〔1〕ゼラチン、ペプチド、および増粘多糖類を含み、前記ゼラチン、前記ペプチド、および前記増粘多糖類の総重量を100重量部としたとき、前記ゼラチンの含有割合は40重量部以上95重量部以下であり、前記ペプチドの含有割合は2重量部以上40重量部以下であり、前記増粘多糖類の含有割合は0.2重量部以上40重量部以下である、泡用粉剤。
〔2〕前記ペプチドはカゼインである、〔1〕に記載の泡用粉剤。
〔3〕前記増粘多糖類は2種以上の増粘多糖類を含む、〔1〕または〔2〕に記載の泡用粉剤。
〔4〕前記増粘多糖類は、ジェランガムおよびタマリンドガムを含む、〔1〕〜〔3〕に記載の泡用粉剤。
〔5〕〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の泡用粉剤を液状媒体に溶解させてなる、泡用液剤。
〔6〕〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の泡用粉剤により起泡した、泡状食品。
〔7〕〔5〕に記載の泡用液剤により起泡した、泡状食品。
本発明の泡用粉剤は、ゼラチン、ペプチド、および増粘多糖類を含む。泡用粉剤は、さらに他の成分を含んでも良い。他の成分としては、トレハロース、環状オリゴ糖、デキストリンなどが挙げられる。
泡用粉剤に含まれるゼラチンは粉末状である。ゼラチンとしては、動物由来のゼラチンが挙げられる。動物としては、牛、豚などの哺乳動物、鶏、ダチョウなどの鳥類、サメ、ティラピアなどの魚類が挙げられる。動物由来のゼラチンは、骨、皮、腱、鱗などのコラーゲンを含有する材料を、塩酸、硫酸などの無機酸もしくは石灰などの無機塩基を用いて処理することにより得ることができる。一般に、無機酸を用いて処理することにより得たゼラチンを酸処理ゼラチン、無機塩基を用いて処理することにより得たゼラチンをアルカリ処理ゼラチンと称する。
泡用粉剤に含まれるペプチドは粉末状である。ペプチドとしては、牛、豚、ヤギなどの哺乳動物由来のペプチド、および大豆、小麦などの植物由来のペプチドが挙げられる。動物由来のペプチドとしては、牛骨ペプチド、豚皮ペプチド、魚ペプチド、乳ペプチドなどが挙げられる。植物由来のペプチドとしては、小麦ペプチド、大豆ペプチドなどが挙げられる。
泡用粉剤に含まれる増粘多糖類は粉末状である。増粘多糖類としては、タマリンドガム、ローカストビーンガム、グアーガム、寒天、ジェランガム、カラギーナン、などが挙げられる。列挙される増粘多糖類のうち、タマリンドガム、ローカストビーンガム、グアーガムは増粘機能を有し、ゲル化機能を有さない多糖類(以下、A群多糖類」ともいう)であり、寒天、ジェランガム、およびカラギーナンは、増粘機能とゲル化機能とを有する多糖類(以下、「B群多糖類」ともいう)である。
泡用粉剤におけるゼラチン、ペプチド、および増粘多糖類の総重量を100重量部としたとき、各成分の配合割合は以下を満たす。以下を満たす場合に、泡状食品における起泡性および泡保持性が優れ、また、泡状食品の食感および味が優れる。
ゼラチン:40〜95重量部
ペプチド:2〜40重量部
増粘多糖類:0.2〜40重量部。
泡用粉剤は、上記3成分の他に、トレハロース、環状オリゴ糖、デキストリンなどの他の成分を含んでいてもよい。特に泡用粉剤は、トレハロースおよび環状オリゴ糖の少なくとも一方を含むことが好ましい。泡用粉剤がさらにトレハロースを含む場合、泡用粉剤を用いて作製された泡状食品を冷凍した際に、泡のしぼみを効果的に抑制することができる。泡用粉剤がさらに環状オリゴ糖を含む場合、泡用粉剤を用いて作製された泡状食品における泡のきめをより細かくすることができる。
泡用粉剤を気泡させてなる泡状食品は、たとえば、以下の水溶液調製工程、混合液調製工程、および泡立て工程をこの順に経ることにより製造することができる。
まず、泡用粉剤に水を加え、85℃程度になるまで加熱攪拌する。これにより、泡用粉剤が溶解した水溶液を調製する。水溶液は、泡用粉剤が2.5〜20重量%含まれるように調製されることが好ましい。2.5重量%に満たないと、十分な泡立ちが得られないおそれがあり、20重量%を超えると、泡立ちが不十分となるおそれがある。
次に、調製された水溶液と食品とを混合して混合液を調製する。すなわち混合液は、泡用粉剤が溶解し、かつ食品を含む液状組成物である。食品が液状食品の場合、泡用粉剤の量が、全体の10w/v%となるように混合・調製することが好ましい。液状食品の比率が低すぎると、液状食品の風味が低下するおそれがあり、液状食品の比率が高すぎると、泡の安定性が低下するおそれがある。食品が粉状食品の場合にも同様に、泡用粉剤の量が全体の10w/v%となるように混合・調製することが好ましい。粉状食品の比率が低すぎると、粉状食品の風味が低下するおそれがあり、粉状食品の比率が高すぎると、十分な泡立ちが得られないおそれがある。
次に、調製された混合液を18℃程度まで冷却した後、ハンドミキサーなどで泡立てる。このとき、混合液を氷水などでさらに冷やしながら泡立てることにより、より安定した泡を作製することができる。以上により、泡状食品が作製される。
本発明の泡用液剤は、上述の泡用粉剤を水などの液状媒体に溶解させてなる。具体的には、本発明の泡用液剤は、上述の泡用粉剤を液状媒体に溶解させ、これを加圧加熱殺菌処理することにより得られる。
ゼラチン:40〜95重量部
ペプチド:2〜40重量部
増粘多糖類:0.2〜40重量部。
泡用液剤を気泡させてなる泡状食品は、以下の混合液調製工程、および泡立て工程をこの順に経ることにより製造することができる。
まず、泡用液剤と食品とを混合して、混合液を調製する。すなわち混合液は、泡用液剤と食品とが混合されてなる液状組成物であるとともに、泡用粉剤が溶解し、かつ食品を含む液状組成物である。
次に、調製された混合液を18℃程度まで冷却した後、ハンドミキサーなどで泡立てる。以上により、泡状食品が作製される。
本発明の泡状食品は、上述の泡用粉剤または上述の泡用液剤を気泡させてなる。泡用粉剤を気泡させてなる泡状食品、および泡用液剤を気泡させてなる泡状食品の作製方法は、上述のとおりである。
ゼラチン:1〜4重量部
ペプチド:0.05〜1重量部
増粘多糖類:0.03〜1重量部。
ゼラチン:2〜8重量部
ペプチド:0.1〜2重量部
増粘多糖類:0.06〜2重量部。
泡用粉剤および泡用液剤を用いて泡状食品を作製し、特性評価を行った。各特性の評価方法は以下のとおりである。
泡立てる前の液状食品の体積と、泡立てた後の泡状食品の体積とを測定し、オーバーラン(%)を測定した。オーバーランの各値に関し、以下の5段階で評価した。評価ランクが大きくなるほど、起泡性に優れる。
ランク1:51〜70%
ランク2:71〜100%
ランク3:101〜130%
ランク4:131〜160%
ランク5:160%以上。
作製された泡状食品に対し、以下の3つの評価を実施し、以下の3段階で評価した。
室温評価:泡状食品を常温(24℃)環境下で15分間静置して、泡の状態を観察する
冷蔵評価:泡状食品を冷蔵(5℃)環境下で17時間静置して、泡の状態を観察する
冷凍評価:泡状食品を17時間冷凍(−18℃)環境下に静置した後、冷蔵環境下(5℃)に3時間静置(解凍)し、泡の状態を観察する
A:泡が保持されており、分離も見られない
B:泡は保持されているが、分離が見られる
C:泡がしぼんでいる。
5人のパネラーによって、泡状食品の口当たりについて以下の5段階で評価した。
ランク1:軽すぎる
ランク2:やや軽い
ランク3:ちょうど良い
ランク4:やや重い
ランク5:重い。
《検討1:試料No.1〜8》
試料No.1〜8においては、泡用粉剤におけるゼラチンの含有割合およびゼラチンの種類について検討した。泡用粉剤としては、ゼラチン、ペプチド、増粘多糖類、およびデキストリンからなる泡用粉剤を調製した。泡用粉剤における各成分の配合量(g)を表1に示す。また、ゼラチン、ペプチド、および増粘多糖類の総重量を100重量部としたときの各成分の配合割合を表2に示す。
試料No.9〜19においては、泡用粉剤におけるペプチドの含有割合およびペプチドの種類について検討した。泡用粉剤としては、ゼラチン、ペプチド、増粘多糖類、およびデキストリンからなる泡用粉剤を調製した。泡用粉剤における各成分の配合量(g)を表4に示す。また、ゼラチン、ペプチド、および増粘多糖類の総重量を100重量部としたときの各成分の配合割合を表5に示す。
乳ペプチド(カゼイン):森永乳業株式会社
大豆ペプチド:KERRY社
小麦ペプチド:奥野製薬工業株式会社
牛骨ペプチド:新田ゼラチン株式会社(プロトタイプ)
豚皮ペプチド:新田ゼラチン株式会社(SCP3100)
魚ペプチド:新田ゼラチン株式会社(GBB50SP)。
試料No.20〜28においては、泡用粉剤における増粘多糖類の含有割合および増粘多糖類の種類について検討した。泡用粉剤としては、ゼラチン、ペプチド、増粘多糖類、およびデキストリンからなる泡用粉剤を調製した。泡用粉剤における各成分の配合量(g)を表7に示す。また、ゼラチン、ペプチド、および増粘多糖類の総重量を100重量部としたときの各成分の配合割合を表8に示す。
タマリンドガム:DSP五協フード&ケミカル株式会社
キサンタンガム:CPケルコ社
グアーガム:Habgen Guargums Limited
ローカストビーンガム:CPケルコ社
ジェランガム:CPケルコ社
カラギーナン:CPケルコ社
寒天:伊那食品工業株式会社。
《検討4:試料No.51〜65》
試料No.51〜65においては、泡用液剤におけるゼラチンの含有割合およびゼラチンの種類について検討した。まず、泡用粉剤として、ゼラチン、ペプチド、増粘多糖類、およびデキストリンからなる泡用粉剤を調製した。泡用粉剤における各成分の配合量(g)を表10に示す。また、ゼラチン、ペプチド、および増粘多糖類の総重量を100重量部としたときの各成分の配合割合を表11に示す。
試料No.66〜75においては、泡用液剤におけるペプチドの含有割合およびペプチドの種類について検討した。まず、泡用粉剤として、ゼラチン、ペプチド、増粘多糖類、およびデキストリンからなる泡用粉剤を調製した。泡用粉剤における各成分の配合量(g)を表13に示す。また、ゼラチン、ペプチド、および増粘多糖類の総重量を100重量部としたときの各成分の配合割合を表14に示す。
試料No.76〜88においては、泡用液剤における増粘多糖類の含有割合および増粘多糖類の種類について検討した。まず、泡用粉剤として、ゼラチン、ペプチド、増粘多糖類、およびデキストリンからなる泡用粉剤を調製した。泡用粉剤における各成分の配合量(g)を表16に示す。また、ゼラチン、ペプチド、および増粘多糖類の総重量を100重量部としたときの各成分の配合割合を表17に示す。
各結果を参照し、ゼラチン、ペプチド、および増粘多糖類の3成分を含み、かつゼラチン、ペプチド、および増粘多糖類の総重量を100重量%としたとき、各成分の配合割合が以下を満たす場合に、泡状食品における起泡性および泡保持性が特に優れ、また、泡状食品の食感および味が特に優れることが確認された。
ゼラチン:40〜95重量%
ペプチド:2〜40重量%
増粘多糖類:0.2〜40重量%。
泡用粉剤を用いて、イチゴピューレを用いた泡状食品の作製を行った。具体的には、No.23の泡用粉剤(総重量:13.825g)、7.5gの砂糖、約70mlの水を加え、85℃になるまで湯煎した。これにより、泡用粉剤が溶解した水溶液が調製された。次に、25gのイチゴピューレを加え、さらに水を加えて全量が100gとなるように調製した。これにより、混合液が調製された。そして、氷水をはったボウルを用いて混合液を冷却しながらハンドミキサーで180秒間泡立てることにより、100gの泡状食品(泡状イチゴピューレ)を作製した。作成された泡状食品について各評価を行った。各評価結果を以下に示す。
起泡性評価:ランク4
冷蔵評価:A
冷凍評価:A。
泡用液剤を用いて、イチゴピューレを用いた泡状食品の作製を行った。具体的には、No.70の泡用液剤を用い、泡用液剤、イチゴピューレ、砂糖が、それぞれ50g、25g、7.5gの配合割合となるように混合し、さらに水を加えて全量が100gとなるように調製した。これにより、混合液が調製された。そして、氷水をはったボウルを用いて混合液を冷却しながらハンドミキサーで180秒間泡立てることにより、100gの泡状食品(泡状イチゴピューレ)を作製した。作成された泡状食品について各評価を行った。各評価結果を以下に示す。
起泡性評価:ランク5
冷蔵評価:A
冷凍評価:A。
泡用液剤を用いて、ワサビ醤油を用いた泡状食品の作製を行った。具体的には、No.69の泡用液剤を用い、泡用液剤、醤油、粉ワサビが、それぞれ50g、48g、2gの配合割合となるように混合して混合液を調製した。そして、氷水をはったボウルを用いて混合液を冷却しながらハンドミキサーで180秒間泡立てることにより、100gの泡状食品(泡状ワサビ醤油)を作製した。作成された泡状食品について各評価を行った。各評価結果を以下に示す。
起泡性評価:ランク3
冷蔵評価:A
冷凍評価:A。
泡用液剤を用いて、ウスターソースを用いた泡状食品の作製を行った。具体的には、No.70の泡用液剤を用い、泡用液剤およびウスターソースをそれぞれ50gずつ混合して混合液を調製した。そして、氷水をはったボウルを用いて混合液を冷却しながらハンドミキサーで180秒間泡立てることにより、100gの泡状食品(泡状ウスターソース)を作製した。作成された泡状食品について各評価を行った。各評価結果を以下に示す。
起泡性評価:ランク4
冷蔵評価:A
冷凍評価:A。
《検討1:試料No.1および3〜8》
試料No.1および3〜8においては、泡用粉剤におけるゼラチンの含有割合およびゼラチンの種類について検討した。泡用粉剤としては、ゼラチン、ペプチド、増粘多糖類、およびデキストリンからなる泡用粉剤を調製した。泡用粉剤における各成分の配合量(g)を表1に示す。また、ゼラチン、ペプチド、および増粘多糖類の総重量を100重量部としたときの各成分の配合割合を表2に示す。
Claims (7)
- ゼラチン、ペプチド、および増粘多糖類を含み、
前記ゼラチン、前記ペプチド、および前記増粘多糖類の総重量を100重量部としたとき、
前記ゼラチンの含有割合は40重量部以上95重量部以下であり、
前記ペプチドの含有割合は2重量部以上40重量部以下であり、
前記増粘多糖類の含有割合は0.2重量部以上40重量部以下である、泡用粉剤。 - 前記ペプチドはカゼインである、請求項1に記載の泡用粉剤。
- 前記増粘多糖類は2種以上の増粘多糖類を含む、請求項1または請求項2に記載の泡用粉剤。
- 前記増粘多糖類は、ジェランガムおよびタマリンドガムを含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の泡用粉剤。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の泡用粉剤を液状媒体に溶解させてなる、泡用液剤。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の泡用粉剤により起泡した、泡状食品。
- 請求項5に記載の泡用液剤により起泡した、泡状食品。
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