JP2020079332A - ゴム用添加剤、ゴム組成物、ゴム用添加剤の製造方法、およびゴム製品 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた耐熱性および耐久性を付与することができ、さらに、ゴム製品製造時の取扱いが容易であるゴム用添加剤を提供すること。【解決手段】式(1)【化1】[式中、Xは2、3または4であり、R1およびR2はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数2〜4のアルキレン基、または置換もしくは非置換の炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。]で示される繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物を含む、ゴム用添加剤。【選択図】なし
Description
本発明は、ゴム用添加剤、ゴム組成物、ゴム用添加剤の製造方法、およびゴム製品に関する。
ゴム製品の性能を向上させるために、例えば、硫黄を加硫剤として使用することが知られている。近年、ゴム製品の物性を向上させるためにベンゾチアゾールを構造に含む添加剤(例えば、特許文献1)、または環状ポリスルフィドを含む添加剤が開示されている(例えば、特許文献2)。
しかしながら、ベンゾチアゾール構造を含む添加剤は、その構造に起因して、例えば、生物および植物などに対して、長期的な悪影響を及ぼすおそれがある。このため、ベンゾチアゾール構造に含む添加剤の使用量を低減させることが望ましい。さらに、ゴム製品は、その用途に応じて、優れた耐熱性と力学的特性を兼ね備えることが要求されている。また、特許文献2に開示される、環状ポリスルフィド含む添加剤は、分子量が比較的小さいことから臭気が問題になるおそれがある。さらに、環状ポリスルフィドを含む添加剤の製造工程においては、塩が多量に副生するため、製造した添加剤にも塩が混入し、ゴムとしての機械的特性が劣るおそれがある。さらに、環状ポリスルフィドが高粘性のオイル状物質であるため、環状ポリスルフィド含む添加剤を用いた場合作業性が悪化して、ゴム製品製造時の取扱いが困難である。
本発明は、優れた耐熱性および耐久性を付与することができ、さらに、ゴム製品製造時の取扱いが容易であるゴム用添加剤を提供することを課題とする。
本願発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ある特定の構造を有するゴム用添加剤を使用して得られるゴム製品が優れた耐熱性および耐久性を有すること、さらに、当該ゴム用添加剤を使用することで、ゴム製品製造時の取扱いが容易となることをも見いだした。すなわち、本発明は例えば以下の項に記載の主題を包含する。
[項1]
式(1)
[式中、Xは2、3または4であり、R1およびR2はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数2〜4のアルキレン基、または置換もしくは非置換の炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。]
で示される繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物を含む、ゴム用添加剤。
[項2]
前記スルフィド化合物において、繰り返し単位(1)の量の合計100モル部に対して、X=3である繰り返し単位(1)の量が45モル部以上であって、
繰り返し単位(1)の数nが1〜1000である、項1に記載のゴム用添加剤。
[項3]
R1およびR2は置換または非置換の炭素数2〜4のアルキレン基である、項1または2に記載のゴム用添加剤。
[項4]
前記スルフィド化合物において、繰り返し単位(1)の量の合計100モル部に対して、X=3である繰り返し単位(1)の量が50モル部以上である、項1〜3のいずれか一項に記載のゴム用添加剤。
[項5]
前記スルフィド化合物において、繰り返し単位(1)の量の合計100モル部に対して、X=2である繰り返し単位(1)の量が30モル部以下である、項1〜4のいずれか一項に記載のゴム用添加剤。
[項6]
前記スルフィド化合物において、繰り返し単位(1)の量の合計100モル部に対して、X=4である繰り返し単位(1)の量が30モル部以下である、項1〜5のいずれか一項に記載のゴム用添加剤。
[項7]
項1〜6のいずれか1項に記載のゴム用添加剤と、天然ゴムおよび/または合成ゴムとを含む、ゴム組成物。
[項8]
ジチオール化合物と、二塩化硫黄とを反応させる工程を含む、項1〜6のいずれか1項に記載のゴム用添加剤の製造方法。
[項9]
項7に記載のゴム組成物を加硫してなるゴム製品。
[項1]
式(1)
で示される繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物を含む、ゴム用添加剤。
[項2]
前記スルフィド化合物において、繰り返し単位(1)の量の合計100モル部に対して、X=3である繰り返し単位(1)の量が45モル部以上であって、
繰り返し単位(1)の数nが1〜1000である、項1に記載のゴム用添加剤。
[項3]
R1およびR2は置換または非置換の炭素数2〜4のアルキレン基である、項1または2に記載のゴム用添加剤。
[項4]
前記スルフィド化合物において、繰り返し単位(1)の量の合計100モル部に対して、X=3である繰り返し単位(1)の量が50モル部以上である、項1〜3のいずれか一項に記載のゴム用添加剤。
[項5]
前記スルフィド化合物において、繰り返し単位(1)の量の合計100モル部に対して、X=2である繰り返し単位(1)の量が30モル部以下である、項1〜4のいずれか一項に記載のゴム用添加剤。
[項6]
前記スルフィド化合物において、繰り返し単位(1)の量の合計100モル部に対して、X=4である繰り返し単位(1)の量が30モル部以下である、項1〜5のいずれか一項に記載のゴム用添加剤。
[項7]
項1〜6のいずれか1項に記載のゴム用添加剤と、天然ゴムおよび/または合成ゴムとを含む、ゴム組成物。
[項8]
ジチオール化合物と、二塩化硫黄とを反応させる工程を含む、項1〜6のいずれか1項に記載のゴム用添加剤の製造方法。
[項9]
項7に記載のゴム組成物を加硫してなるゴム製品。
本発明によると、ゴム製品に優れた耐熱性および耐久性を付与できるゴム用添加剤を提供する。さらにゴム製品製造時の取扱いが容易であるゴム用添加剤を提供する。
本発明におけるゴム用添加剤は、式(1)
[式中、Xは2、3または4であり、R1およびR2はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数2〜4のアルキレン基、または置換もしくは非置換の炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。]
で示される繰り返し単位(繰り返し単位(1)ともいう。)を有するスルフィド化合物を含むものである。また、本明細書における「繰り返し単位(1)の量」に関するモル部とは、繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物中に存在するX=1、2または3それぞれのユニットの数(比率)を示したものである。以下、式(1)で示される繰り返し単位を有するスルフィド化合物について説明する。
で示される繰り返し単位(繰り返し単位(1)ともいう。)を有するスルフィド化合物を含むものである。また、本明細書における「繰り返し単位(1)の量」に関するモル部とは、繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物中に存在するX=1、2または3それぞれのユニットの数(比率)を示したものである。以下、式(1)で示される繰り返し単位を有するスルフィド化合物について説明する。
式(1)中、R1およびR2はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数2〜4のアルキレン基、または置換もしくは非置換の炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。R1およびR2が前記の基であることにより、架橋鎖が適度な分子自由度を保ち、これにより架橋したゴム製品の耐久性が向上する。
炭素数2〜4のアルキレン基は、直鎖状または分岐鎖状であってよく、例えば、エチレン基、プロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基等であってよい。
炭素数2〜4のアルキレン基は、置換若しくは非置換であってよく、非置換であることが好ましい。炭素数2〜4のアルキレン基が有する置換基は、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アミノ基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基、オキソ基、フェニル基等が挙げられ、特に炭素数1〜6(例えば炭素数1〜3)のアルキル基であってよい。
炭素数2〜4のオキシアルキレン基は、好ましくは
−ClH2l−OClH2l−
である。式中、lは、ClH2l単位毎にそれぞれ独立して、1〜3の整数である。1つのオキシアルキレン基におけるそれぞれのClH2lは、必ずしも同一である必要はなく、異なっていてもよい。例えば、オキシアルキレン基は、
-CH2CH2-OCH2CH2-、
-CH2CH2-OCH2-
等であり、好ましくは
-CH2CH2-OCH2CH2-
である。
−ClH2l−OClH2l−
である。式中、lは、ClH2l単位毎にそれぞれ独立して、1〜3の整数である。1つのオキシアルキレン基におけるそれぞれのClH2lは、必ずしも同一である必要はなく、異なっていてもよい。例えば、オキシアルキレン基は、
-CH2CH2-OCH2CH2-、
-CH2CH2-OCH2-
等であり、好ましくは
-CH2CH2-OCH2CH2-
である。
炭素数2〜4のオキシアルキレン基は、置換若しくは非置換であってよく、非置換であることが好ましい。炭素数2〜4のオキシアルキレン基が有する置換基は、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アミノ基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基、オキソ基、フェニル基等が挙げられ、特に炭素数1〜6(例えば炭素数1〜3)のアルキル基であってよい。
前記、R1およびR2は同一または異なってよく、同一であることが好ましい。
前記、R1およびR2の好ましい実施様態において、R1およびR2の両方が、置換または非置換の炭素数2〜4のアルキレン基であり、好ましくは非置換の炭素数2〜4のアルキレン基であり、特に好ましくはエチレン基である。これにより、結晶性が向上し、得られたゴム用添加剤が固体となりやすく、ゴム製造時の取り扱い性に優れる。従来のポリスルフィド系ゴム用添加剤は、高粘性のオイル状であった。一方で、本発明におけるゴム用添加剤は、結晶性が高く、固体状態となりやすく、従来よりも優れた性能をゴム製品に付与できる。
式(1)で示される繰り返し単位を有するスルフィド化合物は、鎖状または環状のスルフィド化合物であってよく、鎖状であることが好ましい。
本発明に係る式(1)で示される繰り返し単位を有するスルフィド化合物における繰り返し単位の数nは好ましくは1〜1000である。繰り返し単位の数nが1〜1000であることで、ゴム組成物中へのゴム用添加剤の分散性がより良好かつ取り扱い性が容易となり、作業性が向上する。加えて、均一な架橋構造を持つゴム製品が製造でき、機械的特性が向上する。前記繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物に含まれる繰り返し単位(1)の数nの好ましい下限は2、より好ましくは6、さらに好ましくは10である。また、繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物に含まれる繰り返し単位(1)の数nの好ましい上限は800であり、より好ましくは600、さらに好ましくは500である。
本発明における繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物の重量平均分子量は、GPC測定(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で標準ポリスチレン換算して、1,000〜100,000であってよく、例えば、5,000〜75,000、好ましくは、10,000〜50,000、より好ましくは、15,000〜40,000である。
本発明におけるゴム用添加剤は、式(1)で示される繰り返し単位を有するスルフィド化合物を含むスルフィド組成物である。
本発明におけるゴム用添加剤は、繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物に加えて、任意のスルフィド化合物を含み得る。任意のスルフィド化合物は、繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物以外のスルフィド化合物であってもよい。例えば、その他の鎖状、環状のスルフィド化合物等であってもよい。ただし、任意のスルフィド化合物は、本発明の効果を損なわない範囲で含まれ得る。例えば、本発明に係るスルフィド組成物は、繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物に加えて、式(1)中のXが、0または4以上の整数(例えば、X=5またはX=6等)である繰り返し単位を有するスルフィド化合物を含んでいてもよい。
本発明におけるゴム用添加剤に含まれる繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物の量は、ゴム用添加剤中、例えば、75質量%以上または90質量%以上であってよい。本発明におけるゴム用添加剤は、繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物のみからなっていてもよい。
本発明において、繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物に含まれる繰り返し単位(1)の量の合計100モル部に対して、繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物におけるX=3である繰り返し単位(1)の量は、好ましくは45モル部以上である。
X=3である繰り返し単位(1)の量が45モル部以上であることにより、より優れた耐熱性と耐久性を付与できるゴム用添加剤が得られる。また、X=3である繰り返し単位(1)の量がこのような範囲にある場合、本発明のゴム用添加剤は、優れた機械的特性、例えば、引張応力、切断時伸び、圧縮永久歪などを付与し、優れた物理的特性、例えば、耐熱性、耐寒性、耐老化性、耐オゾン性などを付与し、優れた電気特性、耐油性および耐薬品性を付与し得る。
X=3である繰り返し単位(1)の量が45モル部以上であることにより、より優れた耐熱性と耐久性を付与できるゴム用添加剤が得られる。また、X=3である繰り返し単位(1)の量がこのような範囲にある場合、本発明のゴム用添加剤は、優れた機械的特性、例えば、引張応力、切断時伸び、圧縮永久歪などを付与し、優れた物理的特性、例えば、耐熱性、耐寒性、耐老化性、耐オゾン性などを付与し、優れた電気特性、耐油性および耐薬品性を付与し得る。
繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物におけるX=3である繰り返し単位(1)の量は、繰り返し単位(1)の量の合計100モル部に対して、好ましくは50モル部以上、より好ましくは55モル部以上、さらに好ましくは60モル部以上である。X=3である繰り返し単位(1)の量の上限は、好ましくは100モル部以下、より好ましくは99モル部以下、さらに好ましくは95モル部以下、例えば、85モル部以下である。
繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物に含まれる繰り返し単位(1)の量の合計100モル部に対して、繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物におけるX=2である繰り返し単位(1)の量は、好ましくは30モル部以下である。前記範囲にすることで、架橋密度の低下を軽減することができる。より好ましくは、0.1モル部〜27.5モル部、さらに好ましくは1モル部〜25モル部、よりさらに好ましくは2.5〜25モル部、特に、5〜25モル部である。
繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物に含まれる繰り返し単位(1)の量の合計100モル部に対して、X=4である繰り返し単位(1)の量は、好ましくは30モル部以下である。前記範囲にすることで、加硫戻りを軽減することができる。より好ましくは0.1モル部〜25モル部、さらに好ましくは1モル部〜17.5モル部、よりさらに好ましくは1モル部〜14.5モル部、特に2.5モル部〜12.5モル部である。
好ましくは、繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物に含まれる繰り返し単位(1)の量の合計100モル部に対して、繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物におけるX=2である繰り返し単位(1)の量は1モル部〜30モル部であり、X=3である繰り返し単位(1)の量は45モル部〜95モル部である。
さらに好ましくは、繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物に含まれる繰り返し単位(1)の量の合計100モル部に対して、繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物におけるX=2である繰り返し単位(1)の量は1モル部〜25モル部であり、X=3である繰り返し単位(1)の量は55モル部〜95モル部である。
さらに好ましくは、繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物に含まれる繰り返し単位(1)の量の合計100モル部に対して、繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物におけるX=2である繰り返し単位(1)の量は1モル部〜25モル部であり、X=3である繰り返し単位(1)の量は55モル部〜95モル部である。
繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物におけるX=4である繰り返し単位(1)の量は、X=2である繰り返し単位(1)の量よりも低いことが好ましく、さらに好ましくは、X=2である繰り返し単位の量:X=4である繰り返し単位(1)の量のモル比は、10:1〜1.1:1の範囲である。繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物において、前記したX=2とX=4の量のモル比で繰り返し単位(1)が含まれることにより、より優れた耐老化性および耐熱性を付与できるゴム用添加剤が得られる。
いずれの実施態様においても、繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物におけるX=3である繰り返し単位(1)の量は、繰り返し単位(1)の量の合計100モル部に対して、好ましくは45モル部以上であり、より好ましくは50モル部以上、さらに好ましくは55モル部以上、さらにより好ましくは60モル部以上となるように、X=2およびX=4である繰り返し単位(1)の量は決定される。
繰り返し単位(1)の量がこのような範囲にある場合、例えば、より優れた耐熱性を付与でき、さらに耐老化性付与できるゴム用添加剤が得られる。また、耐加硫戻り性を向上でき、機械的特性に優れたゴム用添加剤が得られる。
X=2である繰り返し単位(1)の量を上記範囲とすることにより、より優れた耐熱性を付与できる。また、X=2である繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物は、より安定した化合物であるので、例えばゴム組成物に悪影響を及ぼしにくいと考えられる。
本発明において、繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物は、さらに式(2)
[式中、Yは0または、4以上の整数であり、R1およびR2はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数2〜4のアルキレン基、または置換もしくは非置換の炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。]
で示される繰り返し単位(繰り返し単位(2)ともいう。)を有してよい。繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物中、繰り返し単位(2)の量は、繰り返し単位(1)の量の合計100モル部に対して、50モル部以下であってよく、例えば30モル部以下、好ましくは25モル部以下、より好ましくは15モル部以下である。
で示される繰り返し単位(繰り返し単位(2)ともいう。)を有してよい。繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物中、繰り返し単位(2)の量は、繰り返し単位(1)の量の合計100モル部に対して、50モル部以下であってよく、例えば30モル部以下、好ましくは25モル部以下、より好ましくは15モル部以下である。
本発明における繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物の製造方法は、例えば、ジチオール化合物と、二塩化硫黄とを反応させる工程を含む。より詳しくは、繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物の製造方法の例は、式(A)
[式中、R1およびR2はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数2〜4のアルキレン基、または置換もしくは非置換の炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。]
で示されるジチオール化合物、例えば、ビス(メルカプトアルキル)スルフィド(例えば、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド等)、ビス(メルカプトアルコキシアルキル)スルフィド等と、二塩化硫黄とを、任意の溶媒中で反応させる工程を含む。二塩化硫黄は、一塩化硫黄と塩素ガスとを反応させることで調製できる。
で示されるジチオール化合物、例えば、ビス(メルカプトアルキル)スルフィド(例えば、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド等)、ビス(メルカプトアルコキシアルキル)スルフィド等と、二塩化硫黄とを、任意の溶媒中で反応させる工程を含む。二塩化硫黄は、一塩化硫黄と塩素ガスとを反応させることで調製できる。
前記製造方法を用いる場合、ジチオール化合物のチオール基に対する、二塩化硫黄の量を調整することにより、前記スルフィド化合物における繰り返し単位(1)の量の合計100モル部に対するX=2、3または4のモル部を調整できる。ジチオール化合物のチオール基1モルに対して、二塩化硫黄を、例えば、0.1〜1.1モル、好ましくは、0.15〜0.75モル、より好ましくは0.22〜0.60モル用いることにより、前記スルフィド化合物において、X=3である繰り返し単位(1)の量を、繰り返し単位(1)の量の合計100モル部に対して、好ましい範囲である45モル部以上にすることができる。
前記溶媒は、例えば、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系有機溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系有機溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、モノクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素系有機溶媒、アセトニトリルなどが挙げられる。
本発明のゴム用添加剤は、所望により、オイル、エステル化合物、または該ゴム用添加剤の効果を阻害しない有機化合物などにより希釈して用いられ得る。
本発明のゴム用添加剤は、その優れた特性に基づき、例えば、ゴム製品の耐熱性を向上でき、優れた機械的強度を付与できるので、加硫剤としてだけでなく、加硫促進剤、老化防止剤または耐熱性向上剤として使用され得る。
本発明のゴム用添加剤の使用方法は特に限定されない。例えば、本発明のゴム用添加剤を、天然ゴムおよび/または合成ゴムと配合し、ゴム組成物として使用してもよい。
また、本発明のゴム用添加剤は、単独で使用しても、優れた耐熱性、耐老化性および機械的特性を付与できるので、他の添加剤を併用してもしなくてもよい。
また、本発明のゴム用添加剤は、単独で使用しても、優れた耐熱性、耐老化性および機械的特性を付与できるので、他の添加剤を併用してもしなくてもよい。
本発明におけるゴム組成物は、少なくとも、上記の式(1)で示される繰り返し単位を有するスルフィド化合物を含むゴム用添加剤と、天然ゴムおよび/または合成ゴムであるゴム成分とを含む。
式(1)で示される繰り返し単位を有するスルフィド化合物を含むゴム用添加剤は、ゴム成分100質量部に対して、0.5〜20質量部の量でゴム組成物に含まれることが好ましく、より好ましくは1〜15質量部、更に好ましくは1〜10質量部の量でゴム組成物に含まれる。ゴム用添加剤の添加量は、上述の範囲内である限り、用いる天然ゴムおよび/または合成ゴムの種類、および要求される物性に応じて、適宜選択できる。
式(1)で示される繰り返し単位を有するスルフィド化合物を含むゴム用添加剤の含有量が上記の範囲内にあれば、ゴム組成物、ゴム製品等に対して、より良好に、耐熱性、耐老化性および機械的特性を付与できる。
[ゴム成分]
ゴム成分としては、天然ゴムおよび/または合成ゴム(特に、天然ゴム)が好ましい。合成ゴムは、好ましくはジエン系合成ゴムである。ジエン系合成ゴムとしては、例えばポリイソプレン合成ゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)などが挙げられる。このゴム成分の天然ゴムやジエン系合成ゴムは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ゴム成分としては、天然ゴムおよび/または合成ゴム(特に、天然ゴム)が好ましい。合成ゴムは、好ましくはジエン系合成ゴムである。ジエン系合成ゴムとしては、例えばポリイソプレン合成ゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)などが挙げられる。このゴム成分の天然ゴムやジエン系合成ゴムは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[更なる添加剤/充填材]
本発明のゴム組成物は、上記の式(1)で示される繰り返し単位を有するスルフィド化合物を含むゴム用添加剤と、天然ゴムおよび/または合成ゴムとを含み、さらに、公知の更なる添加剤および/または充填材を含むことができる。
本発明のゴム組成物は、上記の式(1)で示される繰り返し単位を有するスルフィド化合物を含むゴム用添加剤と、天然ゴムおよび/または合成ゴムとを含み、さらに、公知の更なる添加剤および/または充填材を含むことができる。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して、更なる添加剤および/または充填材を合計で好ましくは10〜160質量部を含み得る。更なる添加剤および/または充填材は単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
前記更なる添加剤は、当該技術分野において公知のものを使用でき、例えば、式(1)で示される繰り返し単位を有するスルフィド化合物以外の加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、オゾン亀裂防止剤、耐熱性向上剤、可塑剤(軟化剤)、粘度調整剤、分子量調整剤、安定剤、加工助剤、加硫助剤、白色充填材、反応性モノマーおよび発泡剤等などが含まれる。
式(1)で示される繰り返し単位を有するスルフィド化合物以外の加硫剤は、例えば、硫黄、硫黄化合物、オキシム類、ニトロソ化合物、ポリアミン、有機過酸化物等であってよい。組み合わせて使用される加硫剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。式(1)で示される繰り返し単位を有するスルフィド化合物のみを加硫剤として使用してもよい。
加硫促進剤は、例えば、グアニジン類、アルデヒド−アミン類、アルデヒド−アンモニア類、チアゾール類、スルフェンアミド類、チオ尿素類、チウラム類、ジチオカルバメート類、ザンテート類等であってよい。加硫促進剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ゴム組成物中、加硫促進剤の量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1〜15質量であってよく、好ましくは0.3〜10質量部であり、より好ましくは、0.5〜7.5質量部である。
加硫促進助剤は、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、及びパルミチン酸等の炭素数12以上の長鎖脂肪酸、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、及び酸化鉛等の金属酸化物等であってよい。加硫促進助剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に長鎖脂肪酸と金属酸化物との組合せが好ましい。
ゴム組成物中、加硫促進助剤の量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1〜15質量であってよく、好ましくは0.3〜10質量部であり、より好ましくは、0.5〜7.5質量部である。
老化防止剤は、例えば、アミン類、キノリン類、ヒドロキノン誘導体、モノフェノール類、ポリフェノール類、チオビスフェノール類、ヒンダート・フェノール類、亜リン酸エステル類等であってよい。老化防止剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ゴム組成物中、老化防止剤の量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1〜10質量部であってよく、好ましくは0.3〜5質量部である。
可塑剤(軟化剤)は、例えば、パラフィン系軟化剤、ナフテン系軟化剤、芳香族系軟化剤などであってよい。可塑剤(軟化剤)は、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ゴム組成物中、可塑剤(軟化剤)の量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1〜15質量部であってよく、好ましくは0.3〜7.5質量部である。
前記充填材は、例えば、シリカ、カーボンブラック等の無機充填材であってよい。
シリカは、例えば、湿式沈殿法シリカ、乾式法シリカ等であってよく、湿式沈殿法シリカが特に好ましい。
カーボンブラックは、力学的性能を高め、加工性等を改善させるものであり、I2吸着量、CTAB比表面積、N2吸着量、DBP吸着量等の範囲を適宜選択した公知のカーボンブラックを使用することができる。カーボンブラックの種類としては、例えば、SAF、ISAF、ISAF−LS、HAF、HAF−HS、HAF−LS等の公知のものを適宜選択して使用することができる。耐摩耗性の観点から、微粒子径のISAF、SAF、HAFが好ましい。
充填材は、例えば、シリカを単独で用いてもよく、カーボンブラックとシリカとを組み合わせて用いてもよい。
ゴム組成物中、充填材の量は、ゴム成分100質量部に対して、5〜150質量部であってよく、好ましくは10〜100質量部であり、より好ましくは30〜80質量部である。
本発明のゴム組成物は、繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物を含むゴム用添加剤と、天然ゴムおよび/または合成ゴム、および必要に応じて更なる添加剤および/または充填材を、公知の方法で配合することにより調製できる。好ましくは、ゴム組成物は、好ましくは20〜100℃の範囲、より好ましくは20〜80℃の範囲で調製される。このような温度範囲でゴム組成物を調製することにより、本発明のゴム用添加剤による架橋を進行させることなく、配合でき得る。
本発明のゴム組成物は、様々なゴム製品の原料として使用できる。本発明のゴム組成物に対して、熱処理等の操作を加えて、ゴム組成物を加硫することにより、機械的特性の向上したゴム製品を得ることが可能である。ゴム製品は、例えば、防振用ゴム、自動車の車両等に用いられるエンジンマウント、スタビライザブッシュ、サスペンションブッシュ等の防振材料など、コンピューターのハードディスクの制御ダンパー、洗濯機等の一般家電製品の制振ダンパー、建築・住宅分野における建築用制震壁、制震(制振)ダンパー等の制震(制振)装置および免震装置の用途、更には自動車部品等、タイヤ、履物、ホース、ベルト、空気バネ、滑り止めシート等の一般用および工業製品が含まれる。本発明のゴム組成物は、繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物を含むゴム用添加剤を含むことにより、優れた耐老化性、耐熱性、耐久性および機械的特性を備えることができ、好ましくは自動車の車両等に用いられるエンジンマウント等の防振材料として適用される。
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明する。実施例中「部」及び「%」は、ことわりのない限り質量基準による。
(合成例1)
100mLの四つ口フラスコに、一塩化硫黄80gと鉄粉0.02gを入れ、液温を20℃にした。次いで、液温を20℃に保ちながら3時間かけて塩素ガス43gを吹込んだ。その後、反応液を同温度にて2時間攪拌した。攪拌後、反応液を濾過することで、鉄粉を除去し、二塩化硫黄118gを得た。なお、GC(ガスクロマトグラフィー、島津製作所社製)での分析の結果、二塩化硫黄は一塩化硫黄を20質量%含有していた。
100mLの四つ口フラスコに、一塩化硫黄80gと鉄粉0.02gを入れ、液温を20℃にした。次いで、液温を20℃に保ちながら3時間かけて塩素ガス43gを吹込んだ。その後、反応液を同温度にて2時間攪拌した。攪拌後、反応液を濾過することで、鉄粉を除去し、二塩化硫黄118gを得た。なお、GC(ガスクロマトグラフィー、島津製作所社製)での分析の結果、二塩化硫黄は一塩化硫黄を20質量%含有していた。
次に、1000mLの四つ口フラスコに、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド170g(1.1モル)とモノクロロベンゼン370gを入れ、液温を20℃にした。次いで、上記工程により得られた、一塩化硫黄を20質量%含む二塩化硫黄112gを、液温を20℃に保ちながら、前記ビス(2−メルカプトエチル)スルフィドとモノクロロベンゼンの混合物に、4時間かけて滴下した。得られた反応液から溶媒を、減圧留去により除去し、繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物の固体粉末を得た。スルフィド化合物の構造は、IRにより確認した。
また、得られたスルフィド化合物の重量平均分子量は20,000あった。重量平均分子量はGPC (LC−10A system、島津製作所製)、カラムとして、Shodex KF804、KF803、KF802およびKF801(昭和電工株式会社製)を連結して用い、溶離液としてはテトラヒドロフランを用いた。測定はカラムオーブンの温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンを基準にして算出した。
また、得られたスルフィド化合物の重量平均分子量は20,000あった。重量平均分子量はGPC (LC−10A system、島津製作所製)、カラムとして、Shodex KF804、KF803、KF802およびKF801(昭和電工株式会社製)を連結して用い、溶離液としてはテトラヒドロフランを用いた。測定はカラムオーブンの温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンを基準にして算出した。
上記分析の結果、得られたスルフィド化合物中の各繰り返し単位の比率は、繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物におけるX=2〜4である各繰り返し単位の合計100モル部に対して、式(1)におけるX=2が15モル部、式(1)におけるX=3が75モル部、式(1)におけるX=4が10モル部であった。なお、スルフィド化合物中の各繰り返し単位の比率は、IRにより確認した。
(合成例2)
100mLの四つ口フラスコに、一塩化硫黄80gと鉄粉0.02gを入れ、液温を20℃にした。次いで、液温を20℃に保ちながら3時間かけて塩素ガス30gを吹込んだ。その後、反応液を同温度にて2時間攪拌した。攪拌後、反応液を濾過することで、鉄粉を除去し、二塩化硫黄110gを得た。なお、GC(ガスクロマトグラフィー、島津製作所社製)での分析結果、二塩化硫黄中は一塩化硫黄を30質量%含有していた。
100mLの四つ口フラスコに、一塩化硫黄80gと鉄粉0.02gを入れ、液温を20℃にした。次いで、液温を20℃に保ちながら3時間かけて塩素ガス30gを吹込んだ。その後、反応液を同温度にて2時間攪拌した。攪拌後、反応液を濾過することで、鉄粉を除去し、二塩化硫黄110gを得た。なお、GC(ガスクロマトグラフィー、島津製作所社製)での分析結果、二塩化硫黄中は一塩化硫黄を30質量%含有していた。
次に、1000mLの四つ口フラスコに、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド170g(1.1モル)とモノクロロベンゼン370gを入れ、液温を20℃にした。次いで、上記工程により得られた、一塩化硫黄を30質量%含む二塩化硫黄112gを、液温を20℃に保ちながら、前記ビス(2−メルカプトエチル)スルフィドとモノクロロベンゼンの混合物に、4時間かけて滴下した。得られた反応液から溶媒を、減圧留去により除去し、繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物の固体粉末を得た。スルフィド化合物の構造は、IRにより確認した。
また、得られたスルフィド化合物の重量平均分子量は25,000であった。重量平均分子量はGPC (LC−10A system、島津製作所製)、カラムとして、Shodex KF804、KF803、KF802およびKF801(昭和電工株式会社製)を連結して用い、溶離液としてはテトラヒドロフランを用いた。測定はカラムオーブンの温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンを基準にして算出した。
また、得られたスルフィド化合物の重量平均分子量は25,000であった。重量平均分子量はGPC (LC−10A system、島津製作所製)、カラムとして、Shodex KF804、KF803、KF802およびKF801(昭和電工株式会社製)を連結して用い、溶離液としてはテトラヒドロフランを用いた。測定はカラムオーブンの温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンを基準にして算出した。
上記分析の結果、得られたスルフィド化合物中の各繰り返し単位の比率は、繰り返し単位(1)を有するスルフィド化合物におけるX=2〜4である各繰り返し単位の合計100モル部に対して、X=2である繰り返し単位(1)の量が20モル部、X=3である繰り返し単位(1)の量が65モル部、X=4である繰り返し単位(1)の量が15モル部であった。なお、スルフィド化合物中の各繰り返し単位の比率はIRにより確認した。
(合成例3)
1000mLの四つ口フラスコに、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド170g(1.1モル)とモノクロロベンゼン370gを加え、液温を20℃にした。次いで、一塩化硫黄147gを、液温を20℃に保ちながら、前記ビス(2−メルカプトエチル)スルフィドとモノクロロベンゼンの混合物に、4時間かけて滴下した。得られた反応液から溶媒を、減圧留去により除去し、スルフィド化合物の固体粉末を得た。スルフィド化合物の構造は、IRにより確認した。
また、得られたスルフィド化合物の重量平均分子量は30,000であった。重量平均分子量はGPC (LC−10A system、島津製作所製)、カラムとして、Shodex KF804、KF803、KF802およびKF801(昭和電工株式会社製)を連結して用い、溶離液としてはテトラヒドロフランを用いた。測定はカラムオーブンの温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンを基準にして算出した。
上記分析の結果、得られたスルフィド化合物中の各繰り返し単位の比率は、X=2〜4である各繰り返し単位の合計100モル部に対して、式(1)におけるX=2が2モル部、式(1)におけるX=3が23モル部、式(1)におけるX=4が75モル部であった。なお、スルフィド化合物中の各繰り返し単位の比率はIRにより確認した。
1000mLの四つ口フラスコに、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド170g(1.1モル)とモノクロロベンゼン370gを加え、液温を20℃にした。次いで、一塩化硫黄147gを、液温を20℃に保ちながら、前記ビス(2−メルカプトエチル)スルフィドとモノクロロベンゼンの混合物に、4時間かけて滴下した。得られた反応液から溶媒を、減圧留去により除去し、スルフィド化合物の固体粉末を得た。スルフィド化合物の構造は、IRにより確認した。
また、得られたスルフィド化合物の重量平均分子量は30,000であった。重量平均分子量はGPC (LC−10A system、島津製作所製)、カラムとして、Shodex KF804、KF803、KF802およびKF801(昭和電工株式会社製)を連結して用い、溶離液としてはテトラヒドロフランを用いた。測定はカラムオーブンの温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンを基準にして算出した。
上記分析の結果、得られたスルフィド化合物中の各繰り返し単位の比率は、X=2〜4である各繰り返し単位の合計100モル部に対して、式(1)におけるX=2が2モル部、式(1)におけるX=3が23モル部、式(1)におけるX=4が75モル部であった。なお、スルフィド化合物中の各繰り返し単位の比率はIRにより確認した。
(実施例1〜3、比較例1)
ゴム組成物の調製
上記合成例1、合成例2および合成例3で得られたスルフィド化合物を、ゴム用添加剤(加硫剤)として、ゴム組成物(それぞれ実施例1、実施例2および実施例3)を作製した。比較例として、ゴム用添加剤として合成例で得られたスルフィド化合物に代えて硫黄を添加したゴム組成物(比較例1)も作製した。各ゴム組成物は、表1の配合割合に従い原料を混合して調製した。なお、表中、「TBBS」は、N−(tert−ブチル)−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドの略であり、「ODPA」は、オクチル化ジフェニルアミンの略である。
ゴム組成物の調製
上記合成例1、合成例2および合成例3で得られたスルフィド化合物を、ゴム用添加剤(加硫剤)として、ゴム組成物(それぞれ実施例1、実施例2および実施例3)を作製した。比較例として、ゴム用添加剤として合成例で得られたスルフィド化合物に代えて硫黄を添加したゴム組成物(比較例1)も作製した。各ゴム組成物は、表1の配合割合に従い原料を混合して調製した。なお、表中、「TBBS」は、N−(tert−ブチル)−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドの略であり、「ODPA」は、オクチル化ジフェニルアミンの略である。
力学的特性の評価に際しては、得られたゴム組成物から、ゴム試験用試料を、JIS K 6299−2012に従って作成した。
[加硫戻りの評価]
加硫試験機による加硫特性の試験方法は、JIS K 6300−2−2001に従って測定した。より詳細には、得られたゴム組成物をJIS K6300−2−2001に準拠し、レオメータとしてロータレス加硫試験機を使用し、所定の試験温度において、得られるトルクを縦軸、加硫時間を横軸にした加硫曲線を測定した。なお、天然ゴム(NR)を含む組成物について、試験温度を160℃とした。
加硫試験機による加硫特性の試験方法は、JIS K 6300−2−2001に従って測定した。より詳細には、得られたゴム組成物をJIS K6300−2−2001に準拠し、レオメータとしてロータレス加硫試験機を使用し、所定の試験温度において、得られるトルクを縦軸、加硫時間を横軸にした加硫曲線を測定した。なお、天然ゴム(NR)を含む組成物について、試験温度を160℃とした。
図1に実施例1のゴム組成物の加硫曲線、および図2に比較例1のゴム組成物の加硫曲線を示す。ここでは、比較例1のゴム組成物の加硫曲線は、トルクがピークに達した後に徐々に低下しているので、加硫戻りが起こっているものと考えられる。これに対して、実施例1のゴム組成物の加硫曲線ではトルクの低下が見られず、本発明のゴム用添加剤により、耐加硫戻り性が向上していることがわかる。実施例2および実施例3のゴム組成物の加硫曲線も実施例1と同様の加硫曲線を示した。
[機械的特性の評価]
加硫ゴムの引張強さ試験、100%引張応力試験、および切断時伸び試験は、JIS K 6251−1993に従って、加硫ゴムの硬度は、JIS K 6253−1997に従って、測定した。なお、試験片は、ダンベル状3号形を使用した。
各サンプルに関する測定結果を表2に示す。
各サンプルの老化試験方法は、JIS K 6257−1993に従って測定した。例えば、天然ゴム(NR)を含むサンプルの熱老化は、100℃の環境下で、72時間かけて行った。
ここで、表中に記載された「変化量(MPa)」および「変化率(%)」は、JIS K 6257−1993に従い算出した。
加硫ゴムの引張強さ試験、100%引張応力試験、および切断時伸び試験は、JIS K 6251−1993に従って、加硫ゴムの硬度は、JIS K 6253−1997に従って、測定した。なお、試験片は、ダンベル状3号形を使用した。
各サンプルに関する測定結果を表2に示す。
各サンプルの老化試験方法は、JIS K 6257−1993に従って測定した。例えば、天然ゴム(NR)を含むサンプルの熱老化は、100℃の環境下で、72時間かけて行った。
ここで、表中に記載された「変化量(MPa)」および「変化率(%)」は、JIS K 6257−1993に従い算出した。
本発明のゴム用添加剤は、優れた耐熱性を付与でき、さらに優れた耐老化性を付与できる。さらに、本発明のゴム用添加剤は、加硫戻りを生じないか、またはほとんど生じ得ない。その上、本発明のゴム用添加剤は、ベンゾチアゾールを構造に含まないため、環境に対する負荷も低減し得る。
加えて、本発明のゴム用添加剤を含むゴム製品も、優れた耐老化性、耐熱性および耐久性を備えることができる。
本発明のゴム用添加剤は、例えば、タイヤなどのゴム製品に優れた耐熱性と耐久性などを付与できる。
Claims (9)
- 前記スルフィド化合物において、繰り返し単位(1)の量の合計100モル部に対して、X=3である繰り返し単位(1)の量が45モル部以上であって、
繰り返し単位(1)の数nが1〜1000である、請求項1に記載のゴム用添加剤。 - R1およびR2は置換または非置換の炭素数2〜4のアルキレン基である、請求項1または2に記載のゴム用添加剤。
- 前記スルフィド化合物において、繰り返し単位(1)の量の合計100モル部に対して、X=3である繰り返し単位(1)の量が50モル部以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴム用添加剤。
- 前記スルフィド化合物において、繰り返し単位(1)の量の合計100モル部に対して、X=2である繰り返し単位(1)の量が30モル部以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のゴム用添加剤。
- 前記スルフィド化合物において、繰り返し単位(1)の量の合計100モル部に対して、X=4である繰り返し単位(1)の量が30モル部以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のゴム用添加剤。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のゴム用添加剤と、天然ゴムおよび/または合成ゴムとを含む、ゴム組成物。
- ジチオール化合物と、二塩化硫黄とを反応させる工程を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のゴム用添加剤の製造方法。
- 請求項7に記載のゴム組成物を加硫してなるゴム製品。
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