JP2020076010A - ロタキサンモノマー、および該モノマーを含む硬化性組成物 - Google Patents

ロタキサンモノマー、および該モノマーを含む硬化性組成物 Download PDF

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【課題】ロタキサンモノマーを使用することの効果をより一層高め、生産性が高く、高品質な材料を製造できる、ロタキサンモノマーを含む硬化性組成物を提供する。【解決手段】(A)環状分子と、該環状分子の環内を貫通する軸分子と、からなる複合分子構造を有し、一つの軸分子当たりに該環状分子が包接し得る最大包接数を1としたとき、該環状分子の平均の包接数が0.05以上0.20以下の範囲にあり、かつ重合性官能基を有するロタキサンモノマー100質量部に対して、(B)前記(A)ロタキサンモノマーの前記重合性官能基と重合し得る重合性官能基を有する重合性モノマーを含む重合性モノマー組成物を100〜100000質量部含有する硬化性組成物である。【選択図】図1

Description

本発明は、ロタキサンモノマーを含む新規な硬化性組成物、および該硬化性組成物より得られる新規な硬化体に関する。
ロタキサンは、環状分子と、その環状分子を串刺し状に貫通する直鎖状分子(軸分子)と、からなる特異的な複合分子構造を有している。そして、この軸分子の両末端に配置され、前記環状分子と軸分子との分離(脱離)を防止する嵩高い基(封鎖基)を有するものが一般的にロタキサンと言われ、また、該封鎖基を有していないものが擬ロタキサンと言われている。この擬ロタキサンであっても、擬ロタキサン自体が他ポリマーマトリックスに組み込まれ、環状分子が脱離しないようにすれば、当然、ロタキサンが他ポリマーマトリックスに組み込まれた場合と同じ働きをする。
このロタキサンにおいては、前記環状分子が軸分子上を相対的に移動できるため、種々の特性、特に優れた機械特性を有しており、種々の応用展開が期待されている。そして、これら特性を様々な材料に付与するために、該ロタキサン構造に、さらに重合性官能基を導入し、各種ポリマー材料に導入する試みが多数なされている。
具体的な開発例として、例えば、特許文献1に示されるように、コンタクトレンズ等の光学材料や、特許文献2〜4に記載されているように、熱硬化型ポリウレタンに展開することで、ローラー、ベルト、シーリング、電子材料や光学製品等が挙げられる。
光学材料としては、以下の用途においても、該ロタキサンモノマーが使用されている。具体的には、フォトクロミック眼鏡レンズの分野である。フォトクロミック眼鏡レンズとは、太陽光のような紫外線を含む光が照射される屋外ではレンズが速やかに着色してサングラスとして機能し、そのような光の照射がない屋内においては退色して透明な通常の眼鏡として機能するものであり、近年その需要は増大している。最近では、フォトクロミック眼鏡用途のフォトクロミック組成物に、ポリロタキサンモノマーを含んでなるフォトクロミック組成物が開示されている(特許文献5〜8参照)。特許文献5〜8では、フォトクロミック組成物にポリロタキサンモノマーを含有させることにより、ポリロタキサンモノマーの架橋による機械強度の向上と、ポリロタキサン(モノマー)周りの自由空間の存在による優れたフォトクロミック性(発色濃度、及び退色速度)とを両立させている。特許文献5〜8では、このような光学材料を成形する為の手法もいくつか開示されている。
また、ポリロタキサンモノマーは、研磨用部材である、研磨用パッド材への適用が検討されている。具体的には、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法におけるパッド材(以下、研磨用パッドとする場合もある)として使用されるものである。CMP法は、優れた表面平坦性を付与する研磨方法であり、特に、液晶ディスプレイ(LCD)、ハードディスク用ガラス基盤、シリコンウェハ、半導体デバイスの製造プロセスで採用されている。
前記CMP法では、通常、研磨加工時に砥粒をアルカリ溶液、又は酸溶液に分散させたスラリー(研磨液)を供給して研磨する方式が一般的に採用されている。すなわち、被研磨物は、スラリー中の砥粒により機械的作用と、アルカリ溶液、又は酸溶液により化学的作用とにより平坦化される。通常、該スラリーを被研磨物の表面に供給し、研磨パッド材を滑らしつつ該表面に接触させることにより、該研磨物の表面を平坦化する。
このような研磨パッドの材質としては、ウレタン硬化性組成物から得られる研磨材が知られている(特許文献9参照)。さらに、より耐摩耗性が向上できるものとして、ポリイソシアネート化合物としてp−フェニレンジイソシアネートを使用した研磨材が知られている(特許文献10参照)。このような研磨パッド材にポリロタキサンモノマーを導入すれば、より高性能なパッドが製造できることが予測できる。現に、特許文献2〜4では、ポリロタキサンモノマーを用いたウレタン樹脂が、その優れた機械特性を発現できることから、研磨パッドへ使用できることが記載されている。
国際公開第2005/095493号 国際公開WO2015/159875号 特開2017−48305号公報 特開2017−75301号公報 国際公開第2015/068798号 国際公開第2017/038957号 国際公開第2016/143910号 国際公開第2018/030257号 特開2007−77207号公報 特開2015−178558号公報
以上の通り、ロタキサンモノマーは、それを使用した重合硬化物(ポリマー)に優れた機能を付与することができるため、多方面での検討がなされている。しかしながら、本発明者等の検討によれば、従来技術においては以下の点で改善の余地があることが分かった。
例えば、特許文献2〜4の実施例に記載されているようなウレタン樹脂にロタキサンモノマーを導入した場合には、イソシアネート基を有する化合物と、ポリロタキサンモノマーとの反応を厳密に制御しなければならないという点で改善の余地があった。
さらに、特許文献1、5〜8の実施例で示されているような硬化体は、優れた性能を示すが、近年は、それ以上の機械的物性を示すものが必要となり、その点で改善の余地があった。
したがって、本発明の目的は、ロタキサンモノマーを使用することの効果をより一層高め、生産性が高く、高品質な材料を製造できる、ロタキサンモノマーを含む硬化性組成物を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた。そして、ロタキサンモノマーを含む硬化性組成物の素性を調べた。ロタキサンを含む硬化組成物より得られる硬化体が優れた効果を発揮するのは、環状分子が軸分子中をスライドすることから発現されるものと考えられる。そのため、特許文献9、10に記載されている研磨パッドの用途に、単に、公知のポリロタキサンをウレタン樹脂に組み込むよりも、そのスライド効果を最大限発揮できるロタキサンモノマーの分子構造とすることにより、より効果の高い硬化体が得られるものと考え、検討を行った。そこで、本発明者等は、軸分子内に存在する環状分子の数(軸分子が貫通している環状分子の数)が重要になるのではないかと考えた。すなわち、軸分子に対して、包接した環状分子の数が多過ぎても、少な過ぎても、スライド効果が十分に発揮できないのではないかと考え、環状分子の包接数を検討した。その結果、特に、他の重合性モノマーとロタキサンモノマーとを共重合して硬化体を得る場合には、該包接数を特定の範囲とすることにより、スライド効果をより一層向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(A)環状分子と、該環状分子の環内を貫通する軸分子と、からなる複合分子構造を有し、一つの軸分子当たりに該環状分子が包接し得る最大包接数を1としたとき、該環状分子の平均の包接数が0.05以上0.20以下の範囲にあり、かつ重合性官能基を分子内に有するロタキサンモノマー(以下、単に「(A)ロタキサンモノマー」、又は「(A)成分」とする場合もある。)100質量部に対して、
(B)前記(A)ロタキサンモノマーの前記重合性官能基と重合し得る重合性官能基を有する重合性モノマー(以下、単に「重合性モノマー」とする場合もある。)を少なくとも含む重合性モノマー組成物(以下、単に「(B)重合性モノマー組成物」、又は「(B)組成物」とする場合もある。)を100〜100000質量部含む硬化性組成物である。
さらに、反応性をより制御し易くするためには、前記(A)ロタキサンモノマーの水酸基価が、70mgKOH/g以下とすることが好ましい。特に、前記(B)重合性モノマー組成物に含まれる重合性モノマーがイソ(チオ)シアネート基を有する化合物である場合に、より顕著な効果を発揮する。水酸基価を70mgKOH/g以下とすることにより、イソ(チオ)シアネート基を有するような重合性モノマーとの反応性を制御することができる。その結果、高性能な硬化体を得ることができる。なお、市販されている(A)ロタキサンモノマーは、水酸基価が70mgKOH/gを超えるものが通常である。
第二の本発明は、本発明を硬化して得られる研磨用パッドである。
第三の本発明は、前記(A)ロタキサンモノマーの前記環状分子が、フォトクロミック特性を発揮する部位を有するフォトクロミック硬化性組成物である。
第四の本発明は、第三の本発明を硬化して得られるフォトクロミック硬化体である。
本発明において、ロタキサンモノマーは、他の重合性モノマーと混合して得られる硬化性組成物として使用する場合に、特に優れた効果を発揮する。すなわち、該硬化性組成物から得られる硬化体、例えば、研磨用パッドとなる発泡ウレタンやレンズ(特に、フォトクロミック化合物を含むレンズ)の機械特性、耐摩耗性、フォトクロミック性を向上できる。
そして、該ロタキサンモノマーを含む硬化性組成物から得られるフォトクロミック硬化体は、優れたフォトクロミック特性を発現しつつ、生産性も向上したものとなる。また、該ロタキサンモノマーを含む硬化性組成物から得られる研磨用パッドは、優れた機械特性、研磨特性、耐摩耗性を発現しつつ、生産性にも優れたパッドとなる。さらには、該硬化性組成物の保存安定性をも向上できる。
本発明で使用可能な(A)ロタキサンモノマーの一例を示した概略図である。
本発明において、
(A)ロタキサンモノマーは、環状分子と、該環状分子の環内を貫通する軸分子と、からなる複合分子構造を有し、かつ重合性官能基を分子内に有するものである。そして、一つの軸分子当たりに該環状分子が包接し得る最大包接数を1としたとき、該環状分子の平均の包接数が0.05以上0.20以下の範囲にあるロタキサンモノマーを、特定量、その他の(B)重合性モノマー組成物と組み合わせて使用することを特徴とする。なお、(B)重合性モノマー組成物は、含有する重合性モノマーが(A)成分を含めて、共重合できるモノマーからなる組成物を指す。
先ず、本発明で使用する(A)ロタキサンモノマーについて説明する。
(A)ロタキサンモノマー
ロタキサンモノマーは公知の化合物であり、図1に示されているように、全体として“1”で示されているポリロタキサン分子は、鎖状の軸分子“2”と環状分子“3”とから形成されている複合分子構造を有している。即ち、鎖状の軸分子“2”を環状分子“3”が包接しており、環状分子“3”が有する環の内部を軸分子“2”が貫通している。
従って、環状分子“3”は、軸分子“2”上を自由にスライドし得るのであるが、軸分子“2”の両端には、嵩高い末端基“4”が形成されており、環状分子“3”の軸分子“2”からの脱落が防止されているものを使用することが好ましい。本発明においては、その他の(B)重合性モノマーを使用するため、この(B)重合性モノマーと(A)ロタキサンモノマーとを反応させれば、環状分子“3”の脱離を防ぐことも可能である。ただし、(A)ロタキサンモノマー自体の生産のし易さ、硬化体中に、環状分子“3”が軸分子“2”上をスライドする構造を効率よく取り入れるためには、嵩高い末端基“4”を軸分子の両末端に有することが好ましい。
前記ロタキサンモノマーは、該環状分子“3”が軸分子“2”上をスライド可能である。その為、フォロクトミック硬化体に使用すれば、フォトクロミック化合物周辺に自由空間を形成し易くなると考えられる。
さらに、前記スライド可能な効果は、硬化体の耐摩耗性を向上させ、低いヒステリシスロスを発現する等、優れた機械特性を発現できるものと考えられる。その為、研磨用のパッド剤に使用すれば、優れた研磨特性、および、耐摩耗性を発現できる。
本発明においては、このような効果を最大限発揮させるために、一つの軸分子当たりに該環状分子が包接し得る最大包接数を1としたとき、該環状分子の平均の包接数が0.05以上0.20以下の範囲にある(A)ポリロタキサンモノマーを使用することを特徴とする。
本発明で使用する(A)ロタキサンモノマーにおいて、軸分子としては、種々のものが知られており、例えば、軸分子の鎖状構造部分としては、環状分子が有する環を貫通し得る限りにおいて直鎖状或いは分岐鎖であってよく、一般にポリマーにより形成される。
<軸分子;(A)ロタキサンモノマー>
このような軸分子の鎖状構造部分を形成するポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロース系樹脂(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど)、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアミン、ポリエチレンイミン、カゼイン、ゼラチン、でんぷん、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、スチレン系樹脂(ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂など)、アクリル系樹脂(ポリ(メタ)アクリレート酸、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合樹脂など)、ポリカーボネート、ポリウレタン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルブチラール、ポリイソブチレン、ポリテトラヒドロフラン、ポリアニリン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリアミド(ナイロンなど)、ポリイミド、ポリジエン(ポリイソプレン、ポリブタジエンなど)、ポリシロキサン(ポリジメチルシロキサンなど)、ポリスルホン、ポリイミン、ポリ無水酢酸、ポリ尿素、ポリスルフィド、ポリフォスファゼン、ポリケトンポリフェニレン、ポリハロオレフィン等を挙げることができる。これらのポリマーは、適宜共重合されていてもよく、また変性されたものであってもよい。
本発明で使用する(A)ロタキサンモノマーにおいて、鎖状構造部分を形成するポリマーとして好適なものは、ポリエチレングリコール、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフラン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコールまたはポリビニルメチルエーテルであり、ポリエチレングリコールが最も好適である。
上述した軸分子の分子量は、大きすぎると、他の成分、例えば、その他の重合性単量体等と混合した際に、粘度が増大し、扱いが困難となるばかりか、相溶性が悪くなる傾向がある。このような観点から、軸分子の重量平均分子量Mwは、1000〜10000であることが好ましい。本発明で使用する(A)ロタキサンポリマーは、環状分子の包接数が特定の割合となっている。そのため、軸分子の重量平均分子量が前記範囲を満足することにより、得られる硬化体中において、環状分子のスライド効果を高度に発揮することができる。そのため、特に、包接数と軸分子の分子量との関係において、軸分子の重量平均分子量は、より優れた効果を発揮する硬化体とするためには、1500〜9000となることがより好ましく、2000〜7500となることがさらに好ましい。なお、この重量平均分子量Mwは、下記の実施例で記載したGPC測定方法で測定した値である。
<嵩高い基;(A)ロタキサンモノマー>
本発明においては、(B)重合性モノマー組成物と組み合わせて使用するため、軸分子の末端には、環状分子のすり抜けを防止するための嵩高い基が存在しなくてもよい。しかしながら、(A)ロタキサンモノマー自体を製造する際に、環状分子のすり抜けを防止するため、および硬化性組成物を重合する際に該願状分子のすり抜けを防止するためには、軸分子の両末端には、嵩高い基を有することが好ましい。重合条件等を制御すれば、嵩高い基を有さなくても、硬化体中にポリロタキサンの複合構造は導入できるが、より操作性よく簡単に優れた硬化体を得るためには、軸分子の両末端には嵩高い基が存在することが好ましい。
さらに、鎖状部分の両端(軸分子の両端)に形成される嵩高い基としては、軸分子からの環状分子の脱離を防ぐ基であれば、特に制限されるものではない。嵩高さの観点から、アダマンチル基、トリチル基、フルオレセイニル基、ジメトキシフェニル基、トリニトロフェニル基、及びピレニル基体を挙げることができ、特に導入のし易さなどの点で、ジメトキシフェニル基、トリニトロフェニル基を挙げることができる。
<環状分子;(A)ロタキサンモノマー>
また、環状分子は、上記のような軸分子を包接し得る大きさの環を有するものであればよく、このような環としては、シクロデキストリン環、クラウンエーテル環、ベンゾクラウン環、ジベンゾクラウン環及びジシクロヘキサノクラウン環を挙げることができる。特にシクロデキストリン環が好ましい。
シクロデキストリン環には、α体(環内径0.45〜0.6nm)、β体(環内径0.6〜0.8nm)、γ体(環内径0.8〜0.95nm)がある。また、これらの混合物を使用することもできる。本発明では、特にα−シクロデキストリン環、及びβ−シクロデキストリン環が好ましく、α−シクロデキストリン環が最も好ましい。その中でも、下記に詳述する包接数とするためには、ヒドロキシプロピル化しているシクロデキストリン環を使用することが好ましい。ヒドロキシプロピル基が存在することにより、(A)ロタキサンモノマーを製造する際、1つの軸分子を包接している環状分子が凝集し難くなり、包接数を調整し易くなる。
上記のような環を有する環状分子は、1つの軸分子に一つ以上の環状分子が包接している。一般に、軸分子1個当たりに、少なくとも1つ以上の環状分子で包接されている。そして、本発明で使用する(A)ロタキサンモノマーにおいて、包接し得る環状分子の最大包接数を1としたとき、環状分子の包接数は0.05以上0.20以下でなければならない。0.05未満の場合には、環状分子の数が少な過ぎて、硬化体中でのスライド効果が発揮され難い。一方、環状分子の包接数が0.20を超えると、環状分子と環状分子との距離が短くなり、こちらの場合も、硬化体中におけるスライド効果が低下する傾向にある。中でも、環状分子の包接数が多すぎると、一つの軸分子に対して環状分子が密に存在する。そのため、その可動性が低下し、機械特性が低下する。さらには、分子量の増大により、(B)重合性モノマー組成物と混合した際に、得られる硬化性組成物のハンドリング性が低下するばかりか、硬化体の成形不良を発現させやすくなる傾向にある。そのため、(A)ロタキサンモノマーにおいて、包接数は、0.06〜0.18であることがより好ましく、さらに0.07〜0.15であることが好ましい。
なお、一つの軸分子に対する環状分子の最大包接数は、軸分子の長さ及び環状分子の環の厚みから算出することができる。例えば、軸分子の鎖状部分がポリエチレングリコールで形成され、環状分子がα−シクロデキストリン環である場合を例にとると、次のようにして最大包接数が算出される。即ち、ポリエチレングリコールの繰り返し単位[−CH−CHO−]の2つ分がα−シクロデキストリン環1つの厚みに近似する。従って、このポリエチレングリコールの分子量から繰り返し単位数を算出し、この繰り返し単位数の1/2が環状分子の最大包接数として求められる。この最大包接数を1.0とし、環状分子の包接数が前述した範囲に調整されることとなる。なお、この包接数の値は、平均値である。
<環状分子が有する側鎖;(A)ロタキサンモノマー>
また、本発明で使用する(A)ロタキサンモノマーにおいては、上述した環状分子が有する環は、側鎖が導入されていてもよい。この側鎖は、図1において“5”で示されている。
上記の側鎖としては、特に制限されるものではないが、炭素数が3〜20の範囲にある有機鎖の繰り返しにより形成されていることが好適である。このような側鎖の数平均分子量は50〜10000、好ましくは100〜8000、より好ましくは200〜5000の範囲にあるのがよく、最も好ましくは、300〜1500の範囲にある。この側鎖の数平均分子量は、側鎖の導入時に使用する量により調整ができ、計算により求めることができる。ただし、H−NMRの測定からも求めることができる。
側鎖が短過ぎると、ロタキサンモノマー周りに空間を形成し難く、例えばフォトクロミック硬化性組成物から得られる硬化体のフォトクロミックの可逆反応を阻害する傾向にある。また、側鎖の短いロタキサンモノマーを使用した硬化体を研磨用パッド材に用いると、平坦精度が低下する傾向にある。さらに、側鎖が短過ぎると、その他の(B)重合性モノマー組成物との相溶性も低下する傾向にある。その反対に、側鎖が長すぎると、硬化体の硬度が低下や、耐摩耗性が低下する傾向にある。
さらに、上記のような側鎖は、環状分子が有する反応性官能基を利用し、この反応性官能基を修飾することによって導入される(反応性官能基と反応することによって挿入される)。例えば、α−シクロデキストリン環は、反応性官能基として18個のOH基(水酸基)を有しており、このOH基を介して(このOH基を反応させて)側鎖が導入される。即ち、1つのα−シクロデキストリン環に対しては最大で18個の側鎖を導入できることとなる。本発明においては、前述した側鎖の機能を十分に発揮させるためには、このような環が有する全官能基数の6%〜60%が、側鎖で修飾されていることが好ましい(全環状分子が有する全官能基数の6%〜60%に側鎖が導入されていることが好ましい。)。なお、当然のことではあるが、この側鎖が導入された割合は、平均値である。
なお、下記に詳述するが、環状分子の反応性官能基は、側鎖が有するOH基よりも反応性が低いため、修飾度は低くても相溶性の低下、ブリードアウトの問題は生じ難い。そのため、修飾度は、上記範囲であれば、より優れた効果を発揮する。因みに、上記α−シクロデキストリン環の18個のOH基の内の9個に側鎖が結合している場合、その修飾度(導入度)は50%となる。
本発明において、上記のような側鎖(有機鎖)は、その大きさが前述した範囲内にある限り、直鎖状であってもよいし、分枝状であってもよい。側鎖の導入については、国際公開第WO2015/159875号に開示されている手法や化合物を適宜導入することが可能であり、開環重合;ラジカル重合;カチオン重合;アニオン重合;原子移動ラジカル重合、RAFT重合、NMP重合などのリビングラジカル重合などが利用できる。上記手法により、適宜選択された化合物を前記環が有する官能基に反応させることによって適宜の大きさの側鎖を導入することができる。
例えば、開環重合により、ラクトンや環状エーテル等の環状化合物に由来する側鎖を導入することができる。ラクトンや環状エーテル等の環状化合物を開環重合して導入した側鎖は、該側鎖の末端に活性水素を持つ基としてOH基が導入されることとなる。
該環状化合物の中でも、入手が容易であり、反応性が高く、さらには大きさ(分子量)の調整が容易であるという観点から、環状エーテルやラクトンを用いることが好ましい。好適な環状エーテル、ラクトンの環状化合物は国際公開第WO2015/159875号に開示されている。
上記の環状化合物は、単独で使用することができ、また複数種を併用することもできる。
本発明において、好適に使用される側鎖導入化合物はラクトン化合物であり、ε−カプロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトン等のラクトン化合物が特に好適であり、もっとも好ましいものはε−カプロラクトンである。
また、開環重合により環状化合物を反応させて側鎖を導入する場合、環に結合している反応性官能基(例えば水酸基)は反応性に乏しく、特に立体障害などにより大きな分子を直接反応させることが困難な場合がある。このような場合には、例えば、カプロラクトンなどを反応させるために、プロピレンオキシドなどの低分子化合物を官能基と反応させてのヒドロキシプロピル化を行い、反応性に富んだ官能基(水酸基)を導入した後、前述した環状化合物を用いての開環重合により、側鎖を導入するという手段を採用することができる。この場合、ヒドロキシプロピル化した部分も側鎖と見なすことができる。
この他、開環重合により、環状アセタール、環状アミン、環状カーボネート、環状イミノエーテル、環状チオカーボネート等の環状化合物に由来する側鎖を導入することにより、活性水素基を有する側鎖を導入することができる。これらの中でも、好適な環状化合物の具体例は、国際公開第WO2015/068798号に記載されているものが使用できる。
また、ラジカル重合を利用して環状分子に側鎖を導入する方法は、以下の通りである。ポリロタキサンモノマーの環状分子が有している環は、ラジカル開始点となる活性部位を有していない。このため、ラジカル重合性化合物を反応させるに先立って、環が有している官能基(OH基)にラジカル開始点を形成するための化合物を反応させて、ラジカル開始点となる活性部位を形成しておく必要がある。
上記のようなラジカル開始点を形成するための化合物としては、有機ハロゲン化合物が代表的であり、例えば、2−ブロモイソブチリルブロミド、2−ブロモブチル酸、2−ブロモプロピオン酸、2−クロロプロピオン酸、2−ブロモイソ酪酸、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、2−クロロエチルイソシアネートなどを挙げることができる。即ち、かかる有機ハロゲン化合物は、環状分子の環が有している官能基との縮合反応により、該環に結合し、該環にハロゲン原子を含む基(有機ハロゲン化合物残基)を導入する。この有機ハロゲン化合物残基には、ラジカル重合に際して、ハロゲン原子の移動等によりラジカルが生成し、これがラジカル重合開始点となって、ラジカル重合が進行することとなる。
また、上記のようなラジカル重合開始点となる活性部位を有する基(有機ハロゲン化合物残基)は、例えば環が有している水酸基に、アミン、カルボン酸、イソシアネート、イミダゾール、酸無水物などの官能基を有する化合物を反応させ、水酸基以外の他の官能基を導入し、このような他の官能基に前述した有機ハロゲン化合物を反応させて導入することもできる。
また、ラジカル重合により側鎖を導入するために用いるラジカル重合性化合物としては、エチレン性不飽和結合を有する基、例えば、(メタ)アクリレート基、ビニル基、スチリル基等の官能基を少なくとも1種有する化合物(以下、エチレン性不飽和モノマーと呼ぶ)が好適に使用される。また、エチレン性不飽和モノマーとしては、末端エチレン性不飽和結合を有するオリゴマーもしくはポリマー(以下、マクロモノマーと呼ぶ)も使用することができる。このようなエチレン性不飽和モノマーとしては、好適なエチレン性不飽和モノマーの具体例は、国際公開第WO2015/068798号に記載されているものが使用できる。
<重合性官能基(側鎖が有する重合性官能基);(A)ロタキサンモノマー>
さらに、上述した方法で側鎖を導入した後に、側鎖の官能基を他の官能基に変性させ使用してもよい。図1に側鎖に重合性官能基“6”を導入した(A)ロタキサンモノマーを示した。中でも、重合性官能基“6”は側鎖の末端に存在することが好ましい。
本発明においては、側鎖の官能基と他の化合物とを反応させて、該化合物に由来する構造を導入する反応を「変性」とする。変性に用いる化合物は、特に、側鎖の官能基と反応可能な化合物であれば使用できる。該化合物を選定することで、側鎖に様々な重合性官能基を導入したり、重合性基を有さない基に変性することも可能である。
側鎖の変性を例示すれば、上述した開環重合により、末端OH基(水酸基)の側鎖を導入した後に、側鎖のOH基と反応しうる官能基と該ラジカル重合性基の両方の基を有する化合物を用いれば、ラジカル重合性基を導入することが可能である。なお、当然のことながら、側鎖の末端OH基が重合性官能基に該当する場合には、そのまま重合性官能基として使用できる。
該OH基と反応しうる官能基としては、例えば、イソシアネート基(−NCO基)、カルボキシル基(−COOH)、および酸塩化物の基(例えば、−COCl基)等が挙げられる。イソシアネート基を有する化合物を反応させることで、ウレタン結合を介してラジカル重合性基が導入される。または、カルボキシル基、および酸塩化物の基等を有する化合物を反応させることで、エステル結合を介してラジカル重合性基が導入される。
ラジカル重合性基を有する化合物を具体的に例示すると、イソシアネート基と(メタ)アクリレート基を有する化合物としては、2−イソシアナトエチルメタクリレート、2−イソシアナトエチルアクリレート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等が挙げられる。
また、酸塩化物(−COCl基)と(メタ)アクリレート基を有する化合物は、カルボキシル基と(メタ)アクレート基を有する化合物を塩化チオニルなどの塩素化剤と反応させることで合成することができる。 カルボキシル基と(メタ)アクリレート基を有する化合物としては、2−メタクリロイルオキシエチルサクシネートやβ−カルボキシエチルアクリレートなどが挙げられる。
また、側鎖の官能基を活性水素基やラジカル重合性基のような重合性基を有さないものに変性する場合を例示すれば、以下のようなものが挙げられる。上述した開環重合により、末端OH基の側鎖を導入した後に、側鎖のOH基と反応しうる官能基と上述したラジカル重合性基の代わりに、炭素数2〜20のアルキル基、炭素数2〜30のアルキレンオキシ基、炭素数6〜20のアリール基等を有する化合物を変性に用いることが好ましい。この化合物の具体例を以下に示す。
イソシアネート基を有する化合物として、原料の入手のしやすさとOH基との反応性が高いという観点から、炭素数2〜20(イソシアネート基の炭素原子は除く)のイソシアネート化合物が好ましく、炭素数3〜10のイソシアネート化合物が特に好適である。具体的には、好適なイソシアネート化合物を例示すると、n−プロピルイソシアネート、n−ブチルイソシアネート、n−ペンチルイソシアネート、n−ヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート等が挙げられる。
カルボン酸塩化物として、原料の入手のしやすさとOH基との反応性が高いという観点から、炭素数2〜20(カルボニル基の炭素原子を除く)のカルボン酸塩化物が好ましく、炭素数2〜10のカルボン酸塩化物が特に好適である。具体的には、好適な酸塩化物を例示すると、アセチルクロリド、プロピオニルクロリド、ブチリルクロリド、ピバロイルクロリド、ヘキサノイルクロリド、ベンゾイルクロリド等が挙げられる。
ラジカル重合性化合物を使用して環状分子に側鎖を導入した場合、該ラジカル重合性化合物が他の官能基を有している場合には、そのまま側鎖にもその官能基を持つ基を有することになる。ラジカル重合性基しか側鎖にない場合においても、該ラジカル重合性化合物により、側鎖を形成した後、該側鎖の一部をラジカル重合性基以外の官能基を持つ基で変性させてやれば、側鎖にラジカル重合性基以外の官能基を導入することもできる。
上述した説明から理解されるように、環状分子に導入される側鎖は、様々な官能基を有していることもある。
さらに、側鎖導入のために用いる化合物が有している官能基の種類によっては、この側鎖の一部が、他の軸分子が有している環状分子の環の官能基に結合し、架橋構造を形成することもある。
<好適な重合性官能基、およびその数>
(A)ロタキサンモノマーが有する重合性官能基としては、特に限定されない。中でも、本発明において最も好ましい重合性官能基は、OH基(水酸基)、及び、(メタ)アクリレート基である。OH基(水酸基)の場合には、環状分子の反応性官能基を反応させた際に導入される側鎖の末端が水酸基であれば、そのまま重合性官能基とすればよい。(メタ)アクリレート基の場合には、前記方法に従い、側鎖の末端に導入することができる。
前記(A)ポリロタキサンモノマーにおいて、重合性官能基の数は、特に制限されるものではない。中でも、マトリックスとなる樹脂中にポリロタキサン部分が導入されることによって優れた効果が発揮されるため、分子内に少なくとも2つの重合性官能基を含むことが好ましい。
該重合性官能基は、場合によっては、上述した環状分子が有するもの、または、前述した側鎖を利用して導入されるものである。この中でも、反応性を考慮すると、側鎖の末端が重合性官能基となり、それが2つ以上存在することが好ましい。なお、重合性官能基の数の上限は、特に制限されるものではないが、側鎖の末端に導入された重合性官能基のモル数が、ポリロタキサンモノマーの重量平均分子量に対し、8mmol/gとなる数である。この値は、側鎖の末端に導入された重合性官能基のモル数を前記(A)ロタキサンモノマーの重量平均分子量(Mw)で割った値である。つまり、前記(A)ロタキサンモノマー1g当たりの、側鎖の末端に導入された重合性官能基のモル数を指す。なお、重量平均分子量は、下記に詳述するゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した値である。
<フォトクロミック部位の導入>
本発明においては、前記環状分子の少なくとも1つにフォトクロミック部位を含む側鎖が結合してなる、(A)ロタキサンモノマーを使用することができる。図1に側鎖にフォトクロミック部位“7”を導入した(A)ロタキサンモノマーを示した。中でも、フォトクロミック部位“7”は側鎖の末端に存在することが好ましい。
該フォトクロミック部位は、環状分子と直接結合していてもよい。中でも、該フォトクロミック部位は、環状分子が有する側鎖を介して導入されることが好ましい。すなわち、側鎖とフォトクロミック部位とが結合していることが好ましい。
フォトクロミック部位を導入することで、最終的に得られる硬化体をフォトクロミック硬化体とすることができる。加えて、スライド効果が十分に発揮されるため、優れたフォトクロミック特性を有する硬化体を製造できる。
フォトクロミック部位として特に好ましいものとして例示されるインデノ[2,1−f]ナフト[1,2−b]ピランである。該インデノ[2,1−f]ナフト[1,2−b]ピランの中でも、下記式(A)で示されるフォトクロミック部位であることが好ましい。
Figure 2020076010
ここで、
100、及びR200は、それぞれ独立に、(A)ロタキサンモノマーの環状分子の側鎖と結合する基、アルコキシ基、置換基を有してもよいアリールチオ基であることが好ましい。Rが2つ存在する場合には、6、7位の炭素原子と共に、置換基(アルキル基等)を有してもよいヘテロ環を形成することもできる。
300、及びR400は、それぞれ独立に、(A)ロタキサンモノマーの環状分子の側鎖と結合する基、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基であることが好ましい。
また、R300、及びR400は、2つが一緒になって、それらが結合する13位の炭素原子と共に、環員炭素数が3〜20である脂肪族環、前記脂肪族環に芳香族環若しくは芳香族複素環が縮環した縮合多環、環員原子数が3〜20である複素環、又は前記複素環に芳香族環若しくは芳香族複素環が縮環した縮合多環を形成してもよく、ただし、これら環は置換基を有してもよい。また、これら環は、(A)ロタキサンモノマーの環状分子の側鎖と結合してもよい。
500、及びR600は、それぞれ独立に、(A)ロタキサンモノマーの環状分子の側鎖と結合する基、又は置換基を有してもよいアリール基であることが好ましい。
上記において、アルキル基は炭素数1〜6であることが好ましく、シクロアルキル基は炭素数3〜8であることが好ましく、アルコキシ基は炭素数1〜6であることが好ましく、アリールチオ基、又はアリール基は炭素数6〜12であることが好ましい。
xは0〜4の整数であり、
yは0〜4の整数であり、
xが2〜4である場合には、複数のR200は互いに同一でも異なってもよく、
yが2〜4である場合には、複数のR100は互いに同一でも異なってもよい。
なお、前記R100、R200、R300、R400、R500、及びR600において、それら基、又はそれら基が形成する環基が有してもよい置換基は、おもに発色色調等をコントロールするために導入されており、これらの置換基によって本発明の効果が損なわれるものではない。そのため、特に制限されるものではないが、好ましくはR100、及びR200で例示した基、原子数3〜12の複素環基、又は(A)ロタキサンモノマーが有する側鎖と結合する基が挙げられる。
中での、フォトクロミック部位の1箇所のみが、(A)ロタキサンモノマーの環状分子と結合していることが好ましい。特に、フォトクロミック部位の1箇所のみが側鎖と結合していることが好ましい。そして、前記(A)ロタキサンモノマーの環状分子における側鎖と、上記フォトクロミック部位とが、エーテル結合、エステル結合、アミド結合等から選ばれる結合手を介して結合していることが好ましい。該フォトクロミック部位を導入する方法は、前記の重合性官能基を導入する方法を採用することができる。
この場合、(A)ロタキサンモノマーに含まれるフォトクロミック部位の量は、ロタキサン1分子あたり、フォトクロミック部位を1〜20分子とすることが好ましい。なお、当然のことではあるが、該(A)ロタキサンモノマーは、フォトクロミック部位を含まなくても使用できる。
そして、この場合、(A)ロタキサンモノマーは、
(A)環状分子と、該環状分子の環内を貫通する軸分子と、からなる複合分子構造を有し、一つの軸分子当たりに該環状分子が包接し得る最大包接数を1としたとき、該環状分子の平均の包接数が0.05以上0.20以下の範囲にあり、かつ重合性官能基、及びフォトクロミック部位を有するロタキサンモノマーとなる。
以上のような(A)ロタキサンモノマーを使用することにより、フォトクロミック硬化体を製造することができる。フォトクロミック部位を有する(A)ロタキサンモノマーを含む硬化性組成物は、得られる硬化体が十分な発色濃度を有する場合には、そのまま硬化体とすることができる。また、色調整、及び発色濃度を調整するために、(A)ロタキサンモノマーとは結合していない、(D)フォトクロミック化合物を別途、配合することもできる。
<好適な(A)ロタキサンモノマー>
本発明において、好適に使用される(A)ロタキサンモノマーは、
両端にジメトキシフェニル基、又はトリニトロフェニル基が結合しているポリエチレングリコールを軸分子とする。
そして、α−シクロデキストリン環を有する環状分子とし、さらに、ポリカプロラクトンにより該環に側鎖(末端がOH基)が導入されている。
その側鎖の末端に、重合性官能基として、OH基、或いは(メタ)アクリレート基が導入されている。最も好ましいのは、側鎖の末端にOH基を有しているものが最も好適に使用される。
そして、軸分子の数平均分子量が特に2000〜7500である。
また、環状分子であるα−シクロデキストリン環の水酸基の6%以上60%以下に、ポリカプロラクトンにより側鎖が導入されている。そして、その側鎖の数平均分子量が300〜600であることが好ましい。
また、側鎖の末端の重合性官能基の数が、分子内に2個以上〜5mmol/gとなる数存在することが好ましく、さらに0.15〜2.50mmol/gとなる数存在することが好ましい。
また、フォトクロミック部位を含む場合には、ロタキサン1分子あたり、フォトクロミック部位が1〜20分子とすることが好ましい。
さらに、本発明おいては、(A)ロタキサンモノマーの水酸基価が70mgKOH/g以下であることが好ましい。この水酸基価は、(A)ロタキサンモノマーにおいて、反応性の高い水酸基の量を指す。例えば、環状分子において、反応性の低い水酸基は、この水酸酸基価の測定の対象とならない。本発明で使用する(A)ロタキサンモノマーにおいては、比較的分子量が短い軸分子を使用し、かつ、比較的環状分子の包接数が少なく制御されたものである。そして、水酸基価が70mgKOH/g以下とすることにより、その他の(B)重合性モノマー組成物(特に、下記に詳述する(B1)成分)との反応を制御できる。その結果、均一な硬化体を製造できると考えられる。すなわち、水酸基価が70mgKOH/gを超えて高い値となると、水酸基(所謂、重合性官能基)が多いことを指している。そして、包接数を特定の範囲に限定した(A)ロタキサンポリマーにおいて、重合性官能基が多くなり過ぎると、得られる硬化体中に、局所的にロタキサン構造が存在する箇所が増えるものと考えられる。一方、水酸基価が低過ぎると、得られるポリマー中に導入され難くなり、スライド効果が十分に発揮できないおそれがある。そのため、水酸基価70mgKOH/g以下であることが好ましく、5〜45mgKOH/gであることがより好ましく、15〜35mgKOH/gであることがさらに好ましい。この水酸基価の値は、側鎖が有する水酸基を測定しているものと考える。
(A)ロタキサンモノマーの水酸基価を調整するためには、軸分子の分子量、使用する環状分子の種類、修飾度、側鎖の導入割合、さらには、該側鎖の水酸基を他の非反応性の基で置き換える手段等が採用できる。なお、水酸基価は、JIS K1557−1(2007)に準拠して、アセチル化法を用いて測定した値である。
(A)ロタキサンモノマーの製造方法
本発明おいて、前記(A)ロタキサンモノマーの製造方法は、公知の方法を採用して製造することができる。例えば、特許文献1に記載の方法で製造することができる。また、環状分子にヒドロキシプロピル基を導入することで、製造時に、環状分子の凝集を抑制することにより、包接数を調整することもできる。
次に、(A)ロタキサンモノマー以外であって、該(A)ロタキサンモノマーと重合し得る重合モノマーを含む(B)重合性モノマー組成物について説明する(以下、単に「(B)重合性モノマー組成物」又は「(B)組成物」とする場合もある。)。該(A)ロタキサンモノマーと重合し得る重合モノマーとは、該(A)ロタキサンモノマーが有する重合性官能基と重合し得る重合性官能基を有する重合性モノマー(以下、単に「重合性モノマー」とする場合もある。)である。
<(A)ロタキサンモノマーの前記重合性官能基と重合し得る重合性官能基を有する重合性モノマーを少なくとも含む(B)重合性モノマー組成物>
本発明において、(B)重合性モノマー組成物が含む重合性モノマーは、(A)ロタキサンモノマーが有する重合性官能基と反応(重合)し得る基を有する化合物である。そして、当然のことながら、(A)ロタキサンモノマー以外の化合物である。
(B)重合性モノマー組成物は、(A)ロタキサンモノマーと重合し得る重合性モノマーを含むものであれば、公知の化合物(モノマー)を使用できる。上述したように、(A)ロタキサンモノマーには様々な重合性官能基を導入できる。それに応じて重合性モノマーを選択すればよい。例えば、国際公開第WO2015/068798号に記載されている重合性モノマーがあげられる。
本発明においては、例えば、(A)ロタキサンモノマーが有している重合性官能基が水酸基(OH基)、チオール基(SH基)、アミノ基(第一級アミノ基(−NH)、又は第二級アミノ基(−NHR;Rは置換基、例えば、アルキル基))、及び、エポキシ基等の重合性官能基を有している場合には、(B)重合性モノマー組成物が含む重合性モノマーは、例えば、(B1)イソ(チオ)シアネート基を有するイソ(チオ)シアネート化合物(以下、単に「(B1)イソ(チオ)シアネート化合物」又は「(B1)成分」とする場合もある)が挙げられる。
また、(A)ロタキサンモノマーが有している重合性官能基がOH基、アミノ基、又はイソ(チオ)シアネート基の場合には、重合性モノマーは、(B2)エポキシ基を有するエポキシ基含有モノマー(以下、単に「(B2)エポキシ基含有モノマー」又は「(B2)成分」とする場合もある)も選択できる。
一方、(A)ロタキサンモノマーが有している重合性官能基がイソ(チオ)シアネート基である場合、重合性モノマーは、(B3)水酸基、およびチオール基から選ばれる基を少なくとも1つ有する(チ)オール化合物(以下、単に「(B3)(チ)オール化合物」又は「(B3)成分」とする場合もある)、並びに(B4)アミノ基を有するアミノ基含有モノマー(単に「(B4)アミノ基含有モノマー」又は「(B4)成分」)から選択できる。
なお、本発明において、イソ(チオ)シアネート基とは、イソシアネート基(NCO基)、又はイソチオシアネート基(NCS基)を指す。したがって、イソ(チオ)シアネート基が複数存在する場合には、イソシアネート基とイソチオシアネート基との合計数がイソ(チオ)シアネート基の数となる。
<重合方法/逐次付加反応>
本発明においては、(B)重合性モノマー組成物は、(A)ロタキサンモノマーと重合し得る重合性モノマーを含むものであれば、その他の成分を含むことができる。重合反応が逐次付加(例えば、重縮合・重付加)反応の場合には、(A)ロタキサンモノマーと重合し得る重合性モノマーが少なくとも含まれれば、(B)重合性モノマー組成物は、(A)ロタキサンモノマーと重合しない、その他の重合モノマーを含むことができる。逐次付加反応の場合には、(A)成分と重合し得る重合モノマーが存在すれば、(A)成分と重合しないその他の重合モノマーが存在していても、(A)成分、(A)成分と重合し得るモノマー、その他の重合性モノマーとが共重合できるからである。すなわち、逐次付加反応の場合には、(B)重合性モノマー組成物は、(A)成分と重合し得る重合モノマーだけではなく、共重合可能な重合性モノマーを含むことができる。ただし、(B)組成物は(A)成分と重合し得る重合モノマーからなることもできる。
逐次付加反応の例をより詳細に説明する。具体的には、例えば、(A)ロタキサンモノマーが有する重合性官能基が水酸基等の活性水素含有基である場合に、重合性モノマーとして(B1)イソ(チオ)シアネート基を有するイソ(チオ)シアネート化合物を含めば、前記(B3)成分、及び前記(B4)成分を含むことができる。すなわち、(B)重合性モノマー組成物が(A)成分と重合する(B1)成分を含めば、(A)成分と反応しない(B3)成分、及び(B4)成分を含むことができる。逐次付加反応の場合には、(B1)成分が存在することにより、(A)成分、(B1)成分、(B3)成分、及び(B4)成分が共重合した硬化体を得ることができる。なお、当然のことながら、この場合、(B)重合性モノマー組成物には、(B2)成分を含むこともできる。ただし、(B)重合性モノマー組成物は、(A)成分と重合し得る(B1)成分からなるものであってもよい。
逐次付加反応の場合には、反応し合う各成分((A)成分、及び重合性モノマー)は、別々に保管することが好ましい。
<重合方法/連鎖重合>
また、(A)ロタキサンモノマーが有している重合性官能基がラジカル重合性基の場合、(B)重合性モノマー組成物は、ラジカル重合性基を有するモノマーからなる。ラジカル重合の場合には、連鎖重合であるため、逐次付加反応とは異なり、(B)重合性モノマー組成物に含まれる重合性モノマーは、全てラジカル重合性基を有するモノマーからなる。具体的には、(B)重合性モノマー組成物は、下記に詳述する(B5)成分の(メタ)アクリレート基を有する(メタ)アクリレート化合物、アリル化合物から選択することが好ましく、特に好ましくは、(メタ)アクリレート化合物から選択することが好ましい。
<重合方法/逐次付加反応及び連鎖重合>
以上の通り、逐次付加反応と連鎖重合との場合の説明をしたが、それら両方を行える場合には、以下のようにすることもできる。
例えば、(A)ロタキサンモノマーが有している重合性官能基が水酸基等の活性水素含有基とラジカル重合性基との両方を有している場合、(B)重合性モノマー組成物は、(メタ)アクリレート基を有する(メタ)アクリレート化合物、アリル化合物等のみであってもよい。又は、A)ロタキサンモノマーが有している重合性官能基が水酸基等の活性水素含有基とラジカル重合性基との両方を有している場合、(B)重合性モノマー組成物に、重合性モノマーとして(B1)イソ(チオ)シアネート化合物を含有していれば、その他、(B2)(B3)、(B4)、(B5)成分を含むこともできる。
<その他>
本発明において、(A)ロタキサンモノマーが、軸分子の末端に嵩高い基を有さない擬ロタキサンモノマーである場合、環状分子の他にも、軸分子末端にも重合性官能基を有することができる。これらは、もちろん環状分子に複数種類の重合性官能基が存在してもよいし、軸分子の末端で違う重合性官能基を有していてもよく、環状分子と軸分子の重合性官能基が異なっていてもよい。ただし、重合反応を容易とし、副生物を抑制するためには、他の重合性モノマーとの組み合わせにおいて、以下の通りとなることが好ましい。すなわち、擬ロタキサンモノマーが有する重合性官能基は、水酸基、チオール基、及び、アミノ基(第一級アミノ基、又は第二級アミノ基)等の重合性官能基であり、重合性モノマーが(B1)イソ(チオ)シアネート化合物であることが好ましい。また、擬ロタキサンモノマーが有している重合性官能基がラジカル重合性基の場合、重合性モノマーは、ラジカル重合性基を有するモノマーが好ましい。
<(B)重合性モノマー組成物>
<重合方法/逐次付加反応>の重合性モノマー
(B1)イソ(チア)シアネート化合物 (B1)成分
(B1)イソ(チオ)シアネート化合物は、イソシアネート基、又はイソチオシアネート基を少なくとも1種類有するモノマーである。もちろん、イソシアネート基とイソ(チオ)シアネート基の二つの基を有しているモノマーも選択される。中でも、イソ(チオ)シアネート基を分子内に、2〜6個有する化合物が好ましく、2〜4個有する化合物がより好ましく、2個有する化合物がさらに好ましい。
また、前記(B1)イソ(チオ)シアネート化合物は、
下記に記載する(B13)分子内に2つのイソ(チオ)シアネート基を有する2官能ポリイソ(チオ)シアネート化合物(以下、単に「(B13)2官能ポリイソ(チオ)シアネート化合物」、又は「(B13)成分」とする場合もある)と
(B32)分子内に2つの活性水素含有基を有する2官能活性水素含有化合物(以下、単に「(B32)2官能活性水素含有化合物」、又は「(B32)成分」とする場合もある)と
の反応により調製される(B12)ウレタンプレポリマー(以下、単に「(B12)ウレタンプレポリマー」又は「(B12)成分」とする場合もある)であってもよい。
なお、前記活性水素含有基とは、水酸基、チオール基、第一級アミノ基、又は第二級アミノ基(例えば、−NHR;Rはアルキル基であることが好ましい)から選ばれる基である。そのため、(B32)成分は、具体的には、下記に詳述する(B3)(チ)オール化合物、又は(B4)アミノ基含有モノマーに具体的に例示している。前記活性水素含有基は、反応性を考慮すると、水酸基、又はチオール基であることが好ましい。そのため、(B32)成分も、2つの水酸基、2つのチオール基、又は1つの水酸基及び1つのチオール基を有する、2官能ポリ(チ)オール化合物であることが好ましい。
前記(B1)イソ(チオ)シアネート化合物としては、例えば、大きく分類すれば、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート、芳香族イソシアネート、イソチオシアネート化合物、(B12)ウレタンプレポリマーに分類することができる。また、前記(B1)イソ(チオ)シアネート化合物は、1種類の化合物を使用することもできるし、複数種類の化合物を使用することもできる。複数種類の化合物を使用する場合には、基準となる質量は、複数種類の化合物の合計量である。これらイソ(チオ)シアネート化合物を具体的に例示すると以下のモノマーが挙げられる。
脂肪族イソシアネート;(B1)成分
エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,2’−ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11−トリメチルウンデカメチレンジイソシアネート、1,3,6−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアネート−5−イソシアネートメチルオクタン、ビス(イソシアネートエチル)カーボネート、ビス(イソシアネートエチル)エーテル、1,4−ブチレングリコールジプロピルエーテル−ω,ω’−ジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル、2,4,4,−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートモノマー、(下記に詳述する(B12)ウレタンプレポリマーを構成する(B13)2官能ポリイソ(チオ)シアネート化合物に該当する)。
エチルイソシアネート、n−プロピルイソシアネート、i−プロピルイソシアネート、ブチルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート等の単官能イソシアネートモノマー。
脂環族イソシアネート;(B1)成分
イソホロンジイソシアネート、(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,5−ジイル)ビスメチレンジイソシアネート、(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,6−ジイル)ビスメチレンジイソシアネート、2β,5α−ビス(イソシアネート)ノルボルナン、2β,5β−ビス(イソシアネート)ノルボルナン、2β,6α−ビス(イソシアネート)ノルボルナン、2β,6β−ビス(イソシアネート)ノルボルナン、2,6−ジ(イソシアネートメチル)フラン、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4−イソプロピリデンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジメチルメタンジイソシアネート、2,2’−ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ビス(4−イソシアネート−n−ブチリデン)ペンタエリスリトール、ダイマー酸ジイソシアネート、2,5−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン、2,6−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン、3,8−ビス(イソシアネートメチル)トリシクロデカン、3,9−ビス(イソシアネートメチル)トリシクロデカン、4,8−ビス(イソシアネートメチル)トリシクロデカン、4,9−ビス(イソシアネートメチル)トリシクロデカン、1,5−ジイソシアネートデカリン、2,7−ジイソシアネートデカリン、1,4−ジイソシアネートデカリン、2,6−ジイソシアネートデカリン、ビシクロ[4.3.0]ノナン−3,7−ジイソシアネート、ビシクロ[4.3.0]ノナン−4,8−ジイソシアネート、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,5−ジイソシアネートとビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,6−ジイソシアネート、ビシクロ[2,2,2]オクタン−2,5−ジイソシアネート、ビシクロ[2,2,2]オクタン−2,6−ジイソシアネート、トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−3,8−ジイソシアネート、トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−4,9−ジイソシアネート等の2官能イソシアネートモノマー(下記に詳述する(B12)ウレタンプレポリマーを構成する(B13)2官能ポリイソ(チオ)シアネート化合物に該当する)。
2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−5−イソシアネートメチル−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−6−イソシアネートメチル−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−5−イソシアネートメチル−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−6−イソシアネートメチル−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−5−(2−イソシアネートエチル)−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−6−(2−イソシアネートエチル)−ビシクロ〔2,1,1〕−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−5−(2−イソシアネートエチル)−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−6−(2−イソシアネートエチル)−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン、1,3,5−トリス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の多官能イソシアネートモノマー。
シクロヘキシルイソシアネート等の単官能イソシアネートモノマー。
芳香族イソシアネート;(B1)成分
キシリレンジイソシアネート(o−、m−,p−)、テトラクロロ−m−キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、4−クロル−m−キシリレンジイソシアネート、4,5−ジクロル−m−キシリレンジイソシアネート、2,3,5,6−テトラブロム−p−キシリレンジイソシアネート、4−メチル−m−キシリレンジイソシアネート、4−エチル−m−キシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアネートエチル)ベンゼン、ビス(イソシアネートプロピル)ベンゼン、1,3−ビス(α,α−ジメチルイソシアネートメチル)ベンゼン、1,4−ビス(α,α−ジメチルイソシアネートメチル)ベンゼン、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアネートブチル)ベンゼン、ビス(イソシアネートメチル)ナフタリン、ビス(イソシアネートメチル)ジフェニルエーテル、ビス(イソシアネートエチル)フタレート、2,6−ジ(イソシアネートメチル)フラン、フェニレンジイソシアネート(o−,m−,p−)、トリレンジイソシアネート、エチルフェニレンジイソシアネート、イソプロピルフェニレンジイソシアネート、ジメチルフェニレンジイソシアネート、ジエチルフェニレンジイソシアネート、ジイソプロピルフェニレンジイソシアネート、トリメチルベンゼントリイソシアネート、ベンゼントリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートメチルベンゼン、1,5−ナフタレンジイソシアネート、メチルナフタレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ビベンジル−4,4’−ジイソシアネート、ビス(イソシアネートフェニル)エチレン、3,3’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、フェニルイソシアネートメチルイソシアネート、フェニルイソシアネートエチルイソシアネート、テトラヒドロナフチレンジイソシアネート、ヘキサヒドロベンゼンジイソシアネート、ヘキサヒドロジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、エチレングリコ−ルジフェニルエーテルジイソシアネート、1,3−プロピレングリコールジフェニルエーテルジイソシアネート、ベンゾフェノンジイソシアネート、ジエチレングリコ−ルジフェニルエーテルジイソシアネート、ジベンゾフランジイソシアネート、カルバゾールジイソシアネート、エチルカルバゾールジイソシアネート、ジクロロカルバゾールジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート等の2官能イソシアネートモノマー(下記に詳述する(B12)ウレタンプレポリマーを構成する(B13)2官能ポリイソ(チオ)シアネート化合物に該当する)。
メシチリレントリイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメリックMDI、ナフタリントリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアネート、3−メチルジフェニルメタン−4,4’,6−トリイソシアネート、4−メチル−ジフェニルメタン−2,3,4’,5,6−ペンタイソシアネート等の多官能イソシアネートモノマー。
フェニルイソシアネート、3−i−プロペニルクミルイソシアネート、4−メトキシフェニルイソシアネート、m−トリルイソシアネート、p−トリルイソシアネート、1−ナフチルイソシアネート、ジメチルベンジルイソシアネート等の単官能イソシアネートモノマー。
イソチオシアネート化合物;(B1)成分
p−フェニレンジイソチオシアネート、キシリレン−1,4−ジイソチオシアネート、及びエチリジンジイソチオシアネート等の2官能イソ(チオ)シアネート基含有モノマー(下記に詳述する(B12)ウレタンプレポリマーを構成する(B13)2官能ポリイソ(チオ)シアネート化合物に該当する)。
(B12)ウレタンプレポリマー;末端イソ(チオ)シアネート基を有するウレタン(B1)成分
本発明においては、前記(B13)2官能ポリイソ(チオ)シアネート化合物と後述する(B32)分子内に2つの活性水素含有基を有する2官能活性水素含有化合物との反応により調製される、(B12)ウレタンプレポリマーを、(B1)イソ(チオ)シアネート化合物として使用することもできる。
(B12)ウレタンプレポリマーとする場合には、特に制限されるものではないが、(B13)2官能ポリイソ(チオ)シアネート化合物としては、特に、次に例示するモノマーを使用することが好ましい。具体的には、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート(o−,m−,p−)、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート(o−,m−,p−)、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを使用することが好ましい。これらに(B32)2官能活性水素含有化合物を反応させて、両末端にイソ(チオ)シアネート基を有する(B12)成分とすることが好ましい。特に制限されるものではないが、(B12)成分の重量平均分子量は600〜10000とすることが好ましい。
(B2)エポキシ基含有モノマー;(B2)成分
エポキシ基含有モノマーは、重合性基として、分子内にエポキシ基を有するものであり、特に、(A)ポリロタキサンモノマーの重合性官能基として、水酸基、NH基、NCO基が導入されている場合に好適である。
このようなエポキシ化合物は、大きく分けて、脂肪族エポキシ化合物、脂環族エポキシモノマー及び芳香族エポキシモノマーに分類され、その好適な具体例としては、国際公開第2015/068798号に記載されているものを用いることが出来る。
(B3)(チ)オール化合物;(B3)成分
(チ)オール化合物は、OH基、及びSH基からなる群から選択される基を1分子中に1個以上有しているモノマーである。もちろん、OH基とSH基の二つの基を有しているモノマーも選択される。
前記(チ)オール化合物を、大きく分類すれば、脂肪族アルコール、脂環族アルコール、芳香族アルコール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、 ポリカーボネートポリオール、ポリアクリルポリオール、チオール、OH/SH型重合性基含有モノマーに分類される。具体例としては、以下のものが挙げられる。
脂肪族アルコール;(B3)成分
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,5−ジヒドロキシペンタン、1,6−ジヒドロキシヘキサン、1,7−ジヒドロキシヘプタン、1,8−ジヒドロキシオクタン、1,9−ジヒドロキシノナン、1,10−ジヒドロキシデカン、1,11−ジヒドロキシウンデカン、1,12−ジヒドロキシドデカン、ネオペンチルグリコール、モノオレイン酸グリセリル、モノエライジン、ポリエチレングリコール、3−メチル−1,5−ジヒドロキシペンタン、ジヒドロキシネオペンチル、2−エチル−1,2−ジヒドロキシヘキサン、2−メチル−1,3−ジヒドロキシプロパン等の2官能ポリオールモノマー(前記ウレタンプレポリマー(B12)を構成する(B32)2官能活性水素含有化合物に該当する)。
グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールプロパントリポリオキシエチレンエーテル(例えば、日本乳化剤株式会社のTMP−30、TMP−60、TMP−90等)、ブタントリオール、1,2−メチルグルコサイド、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、トリペンタエリトリトール、ソルビトール、エリスリトール、スレイトール、リビトール、アラビニトール、キシリトール、アリトール、マンニトール、ドルシトール、イディトール、グリコール、イノシトール、ヘキサントリオール、トリグリセロール、ジグリセロール、トリエチレングリコール等の多官能ポリオールモノマー。
脂環族アルコール;(B3)成分
水添ビスフェノールA、シクロブタンジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキシプロピルシクロヘキサノール、トリシクロ〔5,2,1,02,6〕デカン−ジメタノール、ビシクロ〔4,3,0〕−ノナンジオール、ジシクロヘキサンジオール、トリシクロ〔5,3,1,13,9〕ドデカンジオール、ビシクロ〔4,3,0〕ノナンジメタノール、トリシクロ〔5,3,1,13,9〕ドデカン−ジエタノール、ヒドロキシプロピルトリシクロ〔5,3,1,13,9〕ドデカノール、スピロ〔3,4〕オクタンジオール、ブチルシクロヘキサンジオール、1,1’−ビシクロヘキシリデンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、及びo−ジヒドロキシキシリレン等の2官能ポリオールモノマー(前記(B12)ウレタンプレポリマーを構成する(B32)2官能活性水素含有化合物に該当する)。
トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、シクロヘキサントリオール、スクロース、マルチトール、ラクチトール等の多官能ポリオールモノマー。
芳香族アルコール;(B3)成分
ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゼン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、キシリレングリコール、テトラブロムビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)トリデカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−n−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アリル−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2,3,5,6−テトラメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シアノメタン、1−シアノ−3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘプタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス (4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノルボルナン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、4,4'− ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'− ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルエーテル、エチレングリコールビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、4,4'− ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3'−ジメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3'−ジシクロヘキシル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3'−ジフェニル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、3,3'−ジメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ケトン、7,7'−ジヒドロキシ−3,3',4,4'−テトラヒドロ−4,4,4',4'−テトラメチル−2,2'−スピロビ(2H−1−ベンゾピラン)、トランス−2,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブテン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノン、1,6−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,6−ヘキサンジオン、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、m−ジヒドロキシキシリレン、p−ジヒドロキシキシリレン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエチル)ベンゼン、1,4−ビス(3−ヒドロキシプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシブチル)ベンゼン、1,4−ビス(5−ヒドロキシペンチル)ベンゼン、1,4−ビス(6−ヒドロキシヘキシル)ベンゼン、2,2−ビス〔4−(2”−ヒドロキシエチルオキシ)フェニル〕プロパン、及びハイドロキノン、レゾールシン等の2官能ポリオールモノマー(前記(B12)ウレタンプレポリマーを構成する(B32)2官能活性水素含有化合物に該当する)。
トリヒドロキシナフタレン、テトラヒドロキシナフタレン、ベンゼントリオール、ビフェニルテトラオール、ピロガロール、(ヒドロキシナフチル)ピロガロール、トリヒドロキシフェナントレン等の多官能ポリオールモノマー。
ポリエステルポリオール;(B3)成分
ポリオールと多塩基酸との縮合反応により得られる化合物が挙げられる。中でも、数平均分子量が400〜2000であることが好ましく、500〜1500より好ましく、600〜1200が最も好ましい。分子の両末端にのみ(分子内に2つの)水酸基を有するものは、前記(B12)ウレタンプレポリマーを構成する(B32)2官能活性水素含有化合物に該当する。
ポリエーテルポリオール;(B3)成分
アルキレンオキシドの開環重合、または、分子中に活性水素含有基を2個以上有する化合物とアルキレンオキサイドとの反応により得られる化合物およびその変性体が挙げられる。中でも、数平均分子量が400〜2000であることが好ましく、500〜1500より好ましく、600〜1200が最も好ましい。分子の両末端にのみ(分子内に2つの)水酸基を有するものは、前記(B12)ウレタンプレポリマーを構成する(B32)2官能活性水素含有化合物に該当する。
ポリカプロラクトンポリオール;(B3)成分
ε−カプロラクトンの開環重合により得られる化合物が挙げられる。中でも、数平均分子量が400〜2000であることが好ましく、500〜1500より好ましく、600〜1200が最も好ましい。分子の両末端にのみ(分子内に2つの)水酸基を有するものは、前記(B12)ウレタンプレポリマーを構成する(B32)2官能活性水素含有化合物に該当する。
ポリカーボネートポリオール;(B3)成分
低分子ポリオールの1種類以上をホスゲン化して得られる化合物あるいはエチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等を用いてエステル交換して得られる化合物が挙げられる。中でも、数平均分子量が400〜2000であることが好ましく、500〜1500より好ましく、600〜1200が最も好ましい。分子の両末端にのみ(分子内に2つの)水酸基を有するものは、前記(B12)ウレタンプレポリマーを構成する(B32)2官能活性水素含有化合物に該当する。
ポリアクリルポリオール;(B3)成分
(メタ)アクリレート酸エステルやビニルモノマーを重合させて得られるポリオール化合物が挙げられる。分子の両末端にのみ(分子内に2つの)水酸基を有するものは、前記(B12)ウレタンプレポリマーを構成する(B32)2官能活性水素含有化合物に該当する。
チオール;(B3)成分
チオールの好適な具体例としては、国際公開第WO2015/068798号パンフレットに記載されているものを用いることが出来る。その中でも、特に好適なものを例示すれば以下のものが挙げられる。
テトラエチレングリコ−ルビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,6−ヘキサンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ビス(メルカプトプロピルチオメチル)ベンゼン(前記(B12)ウレタンプレポリマーを構成する(B32)2官能活性水素含有化合物に該当する)。
トリメチロ−ルプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリト−ルテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリト−ルヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン、2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ブタンジチオール、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、1,1,1,1−テトラキス(メルカプトメチル)メタン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,1,2,2−テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアン、トリス−{(3−メルカプトプロピオニルオキシ)エチル}−イソシアヌレ−ト等のチオールモノマー。
OH/SH型重合性基含有モノマー;(B3)成分
2−メルカプトエタノール、1−ヒドロキシ−4−メルカプトシクロヘキサン、2−メルカプトハイドロキノン、4−メルカプトフェノール、1−ヒドロキシエチルチオ−3−メルカプトエチルチオベンゼン、4−ヒドロキシ−4’−メルカプトジフェニルスルホン、2−(2−メルカプトエチルチオ)エタノール、ジヒドロキシエチルスルフィドモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ジメルカプトエタンモノ(サルチレート)(前記(B12)ウレタンプレポリマーを構成する(B32)2官能活性水素含有化合物に該当する)。
3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、グルセリンジ(メルカプトアセテート)、2,4−ジメルカプトフェノール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、1,2−ジメルカプト−1,3−ブタンジオール、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールペンタキス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチル−トリス(メルカプトエチルチオメチル)メタン、ヒドロキシエチルチオメチルートリス(メルカプトエチルチオ)メタン等のポリ(チ)オールモノマー。
(B4)アミノ基含有モノマー;(B4)成分
(B4)アミノ基含有モノマーは、一分子中に1級、または2級のアミノ基を1つ以上有しているモノマーであり、その中でも大きく分けて、脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族アミンに分類され、その具体例としては、以下のモノマーを挙げることができる。
脂肪族アミン;(B4)成分
エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカンメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、プトレシン、ジエチレントリアミン等のポリアミン。
モノエチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジーn−プロピルアミン、n−プロピルアミン、ジーn−ブチルアミン、n−ブチルアミン等の単官能アミン。
脂環族アミン;(B4)成分
イソホロンジアミン、シクロヘキシルジアミン等のポリアミン。
シクロヘキシルアミン、N―メチルシクロヘキシルアミン等の単官能アミン。
芳香族アミン;(B4)成分
4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン)(MOCA)、2,6−ジクロロ−p−フェニレンジアミン、4,4’−メチレンビス(2,3−ジクロロアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−エチル−6−メチルアニリン)、3,5−ビス(メチルチオ)−2,4−トルエンジアミン、3,5−ビス(メチルチオ)−2,6−トルエンジアミン、3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン、3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミン、トリメチレングリコール−ジ−p−アミノベンゾエート、ポリテトラメチレングリコール−ジ−p−アミノベンゾエート、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラエチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジイソプロピル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトライソプロピルジフェニルメタン、1,2−ビス(2−アミノフェニルチオ)エタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、N,N’−ジ−sec−ブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、m−キシリレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−メチレンビス(メチル−6−アミノベンゾエート)、2,4−ジアミノ−4−クロロ安息香酸−2−メチルプロピル、2,4−ジアミノ−4−クロロ安息香酸−イソプロピル、2,4−ジアミノ−4−クロロフェニル酢酸−イソプロピル、テレフタル酸−ジ−(2−アミノフェニル)チオエチル、ジフェニルメタンジアミン、トリレンジアミン、ピペラジン、1,3,5−ベンゼントリアミン、メラミン等のポリアミン。
ベンジルアミン、ジベンジルアミン等の単官能アミン。
なお、これら(B4)成分の中で、ジアミン化合物は、(B32)分子内に2つの活性水素含有基を有する2官能活性水素含有化合物と見なすこともできる。
<重合方法/逐次付加反応>の重合性モノマー組成物 好適な配合割合
(B1)成分、(B2)成分、(B3)成分、および(B4)成分を含む重合性モノマー組成物
本発明において、(B1)成分、(B2)成分、(B3)成分、および(B4)成分を含む硬化性組成物の場合は、以下の配合となることが好ましい。すなわち、(A)ロタキサンモノマーにおける重合性官能基がラジカル重合性基ではなく、逐次付加反応(重縮合・重付加反応)により重合硬化して硬化体を製造する場合には、以下の配合割合とすることが好ましい。(A)成分の重合性官能基が活性水素含有基である場合には、(B1)成分が必須となる。
具体的には、(B1)成分、(B2)成分、(B3)成分、および(B4)成分の合計量(以下、単に「(B)組成物量」とする場合もある。これは、(B)重合性モノマー組成物の量と等しい。)と、(A)成分との配合割合は、以下の割合でなければならない。(A)成分を100質量部とした時、(B)組成物量が100〜100000質量部とならなければならない。(B)重合性モノマー組成物を上記配合量含むことにより、優れた機械特性、研磨特性、耐摩耗性、フォトクロミック性が発揮される。(B)組成物量が100質量部未満の場合には、スライド効果を示すポリロタキサンモノマー量が相対的に増加する結果、機械特性が劣ることとなり、好ましくない。一方、(B)組成物量が100000質量部を超える場合には、スライド効果を示すポリロタキサンモノマー量が相対的に減少する結果、耐摩耗特性やフォトクロミック性が劣ることとなり、好ましくない。
また、フォトクロミック部位を含む(A)ロタキサンモノマーを逐次付加反応を使用して、しかも、該部位と同じ性能を有するフォトクロミック化合物(吸収ピーク等が同じで同じ色の発色をするもの)を配合させずに、フォトクロミック硬化体を製造する場合には、以下の配合量することが特に好ましい。すなわち、この場合、上記性能に加えて、優れたフォトクロミック特性を発揮するためには、(A)成分を100質量部とした時、(B)組成物量が100〜80000質量部とすることが好ましく、さらには、(B)組成物量が500〜50000質量部となることが好ましい。なお、この場合、色合わせのために、異なる性能を有するフォトクロミック化合物単体を使用することは可能である。
一方、フォトクロミック部位を含まない(A)ロタキサンモノマーを使用して、硬化体を製造する場合には、以下の配合割合となることが好ましい。すなわち、この場合、逐次付加反応で硬化体を得る場合には、さらに、上記の特性と併せ、重合性モノマー組成物のハンドリング性も考慮すると、(A)成分を100質量部とした時、(B)組成物量は、100〜5000質量部であることが好ましく、200〜3000質量部であることがより好ましい。この硬化体には、研磨用パッド材に使用できる。さらには、フォトクロミック化合物単体を配合して、フォトクロミック硬化体として使用することもできる。
さらには、フォトクロミック部位を含む(A)ロタキサンモノマーとフォトクロミック部位を含まない(A)ロタキサンモノマーを組み合わせて使用することもできる。これらロタキサンモノマーは、いずれも該環状分子の平均の包接数が0.05以上0.20以下の範囲にあり、かつ重合性官能基を有するものである。この場合、(A)成分を100質量部(フォトクロミック部位を含む(A)ロタキサンモノマーとフォトクロミック部位を含まない(A)ロタキサンモノマーの和)とした時、やはり、(B)組成物量は、100〜100000質量部でなければならない。さらには、(B)組成物量が500〜5000質量部となることが好ましい。
以上のような配合割合の中でも、より優れた硬化体を得るためには、(B)重合性モノマー組成物の構成を以下のようにすることが好ましい。具体的には、(B)成分の合計量を100質量%としたとき、(B1)成分0〜95質量%、(B2)成分0〜100質量%、(B3)成分0〜80質量%、および(B4)成分0〜30質量%とすることが、優れた機械特性を発現するため好ましい。この効果をより発揮するためには、(B1)成分20〜95質量%、(B2)成分0〜20質量%、(B3)成分0〜70質量%、および(B4)成分0〜25質量%とすることがさらに好ましく、(B1)成分25〜85質量%、(B2)成分0〜5質量%、(B3)成分15〜70質量%、および(B4)成分0〜20質量%とすることが特に好ましい。
また、得られる硬化体をCMP研磨用パッドに使用する場合には、(B1)成分40〜85質量%、(B2)成分0〜5質量%、(B3)成分0〜35質量%、および(B4)成分0〜20質量%とすることが好ましい。また、眼鏡レンズのような光学物品用途に使用する場合には、(B1)成分25〜65質量%、(B2)成分0〜5質量%、(B3)成分35〜70質量%、および(B4)成分0〜15質量%とすることが好ましい。
<(B)重合性モノマー組成物>
<重合方法/連鎖重合(ラジカル重合)反応>の重合性モノマー
<(B5)ラジカル重合性モノマー>
(B5)ラジカル重合性モノマー(以下、単に(B5)成分とする場合もある。)とは、ラジカル重合性基を有するものであれば、特に制限されるものではない。この場合、前記(A)ロタキサンモノマーに含まれる重合性官能基は、ラジカル重合性基である。そして、(B)重合性モノマー組成物は、ラジカル重合性基を有する重合性モノマーを含む。
ラジカル重合性モノマーを、大きく分類すると(メタ)アクリレート基を有する(メタ)アクリレート化合物、ビニル基を有するビニル化合物、アリル基を有するアリル化合物に分類できる。
前記(B5)ラジカル重合性モノマーの好適な具体例としては、国際公開第WO2015/068798号に記載されているものを用いることが出来る。さらに、その中でも、本発明でさらに好適に用いることが出来るラジカル重合性化合物を例示すれば、下記に示す化合物が特に好適に用いることが出来る。
(B51);(メタ)アクリレート化合物
(B51)(メタ)アクリレート化合物(以下、単に「(B51)成分」とする場合もある。)は、例えば、下記式(1)〜(4)に示される化合物が挙げられる。
(B511)式(1)で表されるモノマー;((B51)成分)
Figure 2020076010
式中、Rは、水素原子またはメチル基であり、Rは、水素原子または炭素数1〜2のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜10である3〜6価の有機基であり、aは、平均値で0〜3の数であり、bは3〜6の数である。Rで示される炭素数1〜2のアルキル基としてはメチル基が好ましい。 Rで示される有機基としては、ポリオールから誘導される基、3〜6価の炭化水素基、3〜6価のウレタン結合を含む有機基が挙げられる。
上記式(1)における好適な化合物を例示すると、
トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート等が挙げられる。
(B512)成分; 式(2)で表される化合物 (B51)成分
Figure 2020076010
式中、R及びRは、それぞれ、水素原子、又はメチル基であり、cおよびdは、それぞれ、0以上の整数である。
ただし、RとRが共にメチル基の場合には、c+dは平均値で2以上7未満であり、Rがメチル基及びRが水素原子の場合には、c+dは平均値で2以上5未満であり、RとRが共に水素原子の場合には、c+dは平均値で2以上3未満である。
上記式(2)における最も好適な化合物を例示すると、
トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
(B513)成分; 式(3)で表される化合物 (B51)成分
Figure 2020076010
式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子またはメチル基であり、RおよびRは、それぞれ、水素原子またはメチル基であり、R10は、水素原子またはハロゲン原子であり、Bは、−O−,−S−,−(SO)−,−CO−,−CH−,−CH=CH−,−C(CH)2−,−C(CH)(C)−の何れかであり、eおよびfはそれぞれ1以上の整数であり、e+fは平均値で2以上30以下である。
なお、上記式(3)で示される重合性モノマーは、通常、分子量の異なる分子の混合物の形で得られる。そのため、eおよびfは平均値で示した。
上記式(3)における好適なモノマーを例示すると、
ビスフェノールAジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシ(ポリエトキシ)フェニル]プロパン(f+g=2.6)、2,2−ビス[4−メタクリロキシ(ポリエトキシ)フェニル]プロパン(a+b=10)、2,2−ビス[4−メタクリロキシ(ポリエトキシ)フェニル]プロパン(a+b=17)、2,2−ビス[4−メタクリロキシ(ポリエトキシ)フェニル]プロパン(a+b=30)2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、ビスフェノールAジアクリレート、2,2−ビス[4−アクリロキシ(ポリエトキシ)フェニル]プロパン(a+b=10)、2,2−ビス[4−アクリロキシ(ポリエトキシ)フェニル]プロパン(a+b=20)等が挙げられる。
(B514)成分; 式(4)で示される化合物 (B51)成分
Figure 2020076010
式中、gは平均値で1〜20の数であり、A及びA’は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数2〜15の直鎖状または分岐状のアルキレン基であり、Aが複数存在する場合には、複数のAは同一の基であっても、異なる基であってもよく、R11は、水素原子、またはメチル基であり、R12は、(メタ)アクリロイルオキシ基またはヒドロキシル基である。
上記式(4)で示される化合物は、ポリカーボネートジオールと(メタ)アクリレート酸とを反応させることにより製造することができる。
上記式(4)で最も好ましい形態は、ペンタメチレングリコールとヘキサメチレングリコールの混合物である数平均分子量500のポリカーボネートジオールとアクリル酸を反応させたものであり、 R12は、アクリロイルオキシ基であるモノマーが挙げられる。
(B515)成分;シルセルキオキサンモノマー;(B51)成分
シルセルキオキサンモノマーは、ケージ状、ハシゴ状、ランダムといった種々の分子構造を取るものであり、(メタ)アクリレート基等のラジカル重合性基を有しているモノが好ましい。
このようなシルセルキオキサン化合物の例としては、下記式(5)で示されるものが挙げられる。
Figure 2020076010
式中、hは、重合度であり、3〜100の整数であり、複数個あるR13は、互いに同一もしくは異なっていてもよく、ラジカル重合性基、ラジカル重合性基を含む有機基、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基又はフェニル基であり、少なくとも1つのR13は、ラジカル重合性基、又はラジカル重合性基を含む有機基である。
ここで、R13で示されるラジカル重合性基、又はラジカル重合性基を含む有機基としては、(メタ)アクリレート基;(メタ)アクリロイルオキシプロピル基、(3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)ジメチルシロキシ基等の(メタ)アクリレート基を有する有機基等が挙げられる。
(B516)成分;その他の(メタ)アクリレート化合物 (B51)成分
上記式(1)〜(4)で表される化合物以外におけるモノマーを例示すると、
メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(特に平均分子量293)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(特に平均分子量468)、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(特に平均分子量218)、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、(特に平均分子量454)、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ペンタエチレングリコールジメタクリレート、ペンタプロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、ペンタプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールとポリエチレングリコールの混合物よりなるジメタアクリレート(ポリエチレンが2個、ポリプロピレンが2個の繰り返し単位を有する)ポリエチレングリコールジメタクリレート(特に平均分子量330)、ポリエチレングリコールジメタクリレート(特に平均分子量536)、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート(特に平均分子量736)、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート(特に平均分子量536)、ポリエチレングリコールジアクリレート(特に平均分子量258)、ポリエチレングリコールジアクリレート(特に平均分子量308)、ポリエチレングリコールジアクリレート(特に平均分子量508)、ポリエチレングリコールジアクリレート(特に平均分子量708)、ポリエチレングリコールメタクリレートアクリレート(特に平均分子量536)、(ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール)ジアクリレート共重合体(特に平均分子量330)、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールアクリレート(特に平均分子量434)、ポリエステルオリゴマーヘキサアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、4官能ポリエステルオリゴマー(分子量2500〜3500、ダイセルユーシービー社、EB80等)、4官能ポリエステルオリゴマー(分子量6000〜8000、ダイセルユーシービー社、EB450等)、6官能ポリエステルオリゴマー(分子量45000〜55000、ダイセルユーシービー社、EB1830等)、4官能ポリエステルオリゴマー(特に分子量10000の第一工業製薬社、GX8488B等)、エチレングリコールビスグリシジルメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,9−ノニレングリコールジメタクリレート、ネオペンチレングリコールジメタクリレート、ビス(2−メタクリロイルオキシエチルチオエチル)スルフィド、ビス(メタクリロイルオキシエチル)スルフィド、ビス(アクリロイルオキシエチル)スルフィド、1,2−ビス(メタクリロイルオキシエチルチオ)エタン、1,2−ビス(アクリロイルオキシエチル)エタン、ビス(2−メタクリロイルオキシエチルチオエチル)スルフィド、ビス(2−アクリロイルオキシエチルチオエチル)スルフィド、1,2−ビス(メタクリロイルオキシエチルチオエチルチオ)エタン、1,2−ビス(アクリロイルオキシエチルチオエチルチオ)エタン、1,2−ビス(メタクリロイルオキシイソプロピルチオイソプロピル)スルフィド、1,2−ビス(アクリロイルオキシイソプロピルチオイソプロピル)スルフィド、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、オクチルアクリレート、ラウリルアクリレート。
(メタ)アクリレート酸のエステル、例えば、(メタ)アクリレート酸メチル、(メタ)アクリレート酸ベンジル、(メタ)アクリレート酸フェニル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート。
チオアクリル酸もしくはチオメタクリル酸のエステル、例えばメチルチオアクリレート、ベンジルチオアクリレート、ベンジルチオメタクリレート。
多官能性ウレタン(メタ)アクリレート、例えば、新中村化学工業(株)製のU−4HA(分子量596、官能基数4)、U−6HA(分子量1019、官能基数6)、U−6LPA(分子量818、官能基数6)、U−15HA(分子量2300、官能基数15)、新中村化学工業(株)製のU−2PPA(分子量482)、UA−122P(分子量1100)、U−122P(分子量1100)、及びダイセルユーシービー社製のEB4858(分子量454)、新中村化学工業(株)製のU−108A、U−200PA、UA−511、U−412A、UA−4100、UA−4200、UA−4400、UA−2235PE、UA−160TM、UA−6100、UA−6200、U−108、UA−4000、UA−512および日本化薬(株)製UX−2201、UX3204、UX4101、6101、7101、8101が挙げられる。
(B52)成分;ビニル化合物
ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレンおよびα−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。また、前記シルセスキオキサンモノマーにおいて、R13がビニル基;ビニルプロピル基、ビニルジメチルシロキシ基等のビニル基を有する有機基となる化合物が挙げられる。
(B53)成分;アリル化合物
アリル化合物としては、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量550)、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量350)、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量1500)等が挙げられる。前記シルセスキオキサンモノマーにおいて、R13がアリル基;アリルプロピル基、アリルプロピルジメチルシロキシ基等のアリル基を有する有機基となる化合物が挙げられる。
(B54)その他のラジカル重合性モノマー
本発明においては、分子中に異なるタイプの複数種の重合性基を有する複合型重合性化合物も使用することができる。具体的な化合物を例示すれば、以下のものが挙げられる。なお、ここでは、分子内に1つでもラジカル重合性基を有するものであれば、この分類に該当するものとした。
ラジカル重合/エポキシ型重合基含有モノマー;(B54)成分
グリシジルメタクリレート、グリシジルオキシメチルメタクリレート、2−グリシジルオキシエチルメタクリレート、3−グリシジルオキシプロピルメタクリレート、4−グリシジルオキシブチルメタクリレート、ポリエチレングリコールグリシジルメタクリレート、ポリプロピレングリコールグリシジルメタクリレート、ビスフェノールA−モノグリシジルエーテル−メタクリレート、ポリエチレングリコールグリシジルアクリレート、ポリエチレングリコールグリシジルアクリレート。
ラジカル重合/OH型重合基含有モノマー;(B54)成分
2−ヒドロキシメタクリレート、2−ヒドロキシアクリレート、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等。
ラジカル重合/イソシアネート基含有モノマー;(B54)成分
2−イソシアナトエチルメタクリレート、2−イソシアナトエチルアクリレート等が挙げられる。
ラジカル重合/シリル基含有モノマー;(B54)成分
γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
また、上述した重合性化モノマー以外にも、何ら制限なく、その他の重合性モノマーを使用できる。例えば、エピスルフィドモノマーやチエタニルモノマー、モノ(チ)オールモノマーを使用することもできる。エピスルフドモノマーやチエタニルモノマー、モノ(チ)オールモノマーの好適な具体例としては、国際公開第WO2015/068798号に記載されているものを用いることができる。
(B5)成分を含む硬化性組成物
本発明において、(B5)成分を含む硬化性組成物の場合、すなわち、(A)ロタキサンモノマーにおける重合性官能基がラジカル重合性基である場合には、以下の配合割合としなければならない。
すなわち、逐次付加反応の場合と同じく、
(A)ロタキサンモノマー100質量部に対して、
(B)重合性モノマー組成物を100〜100000質量部としなければならない。
他の(B)重合性モノマー組成物を上記配合量含むことにより、優れた機械特性、研磨特性、耐摩耗性、フォトクロミック性が発揮される。(B)成分の合計量が100質量部未満の場合には、スライド効果を示すポリロタキサンモノマー量が相対的に増加する結果、機械特性が劣ることとなり好ましくない。一方、(B)成分の合計量が10000質量部を超える場合には、スライド効果を示すポリロタキサンモノマー量が相対的に減少する結果、耐摩耗特性やフォトクロミック性が劣ることとなりとなり好ましくない。
また、フォトクロミック部位を含む(A)ロタキサンモノマーを連鎖重合により、しかも、該部位と同じ性能を有するフォトクロミック化合物(吸収ピーク等が同じで同じ色の発色をするもの)を配合させずに、フォトクロミック硬化体を製造する場合には、以下の配合量することが特に好ましい。すなわち、この場合、上記性能に加えて、優れたフォトクロミック特性を発揮するためには、(A)成分を100質量部とした時、(B)組成物量が100〜80000質量部とすることが好ましく、さらには、(B)組成物量が500〜50000質量部となることが好ましい。なお、この場合、色合わせのために、異なる性能を有するフォトクロミック化合物単体を使用することは可能である。
一方、フォトクロミック部位を含まない(A)ロタキサンモノマーを使用して、硬化体を製造する場合には、以下の配合割合となることが好ましい。すなわち、この場合、逐次付加反応で硬化体を得る場合には、さらに、上記の特性と併せ、重合性モノマー組成物のハンドリング性も考慮すると、(A)成分を100質量部とした時、(B)組成物量は、100〜5000質量部であることが好ましく、200〜3000質量部であることがより好ましい。このような配合とすることにより、得られた硬化体は眼鏡レンズ等に効果的に使用できる。さらには、フォトクロミック化合物単体を配合して、フォトクロミック硬化体として使用することもできる。
さらには、フォトクロミック部位を含む(A)ロタキサンモノマーとフォトクロミック部位を含まない(A)ロタキサンモノマーを組み合わせて使用することもできる。これらロタキサンモノマーは、いずれも該環状分子の平均の包接数が0.05以上0.20以下の範囲にあり、かつ重合性官能基を有するものである。この場合、(A)成分を100質量部(フォトクロミック部位を含む(A)ロタキサンモノマーとフォトクロミック部位を含まない(A)ロタキサンモノマーの和)とした時、やはり、(B)組成物量は、100〜100000質量部でなければならない。さらには、(B)組成物量が500〜5000質量部となることが好ましい。
以上のような配合割合の中でも、より優れた硬化体を得るためには、さらには、(B5)成分の合計量を100質量%としたとき、(B51)成分77〜99質量%、(B52)成分0〜15質量%、(B53)成分0〜5質量%、および(B54)成分1〜3質量%とすることが、硬化体の成形性のため好ましい。この効果をより発揮するためには、(B51)成分85〜99質量%、(B52)成分0〜10質量%、(B53)成分0〜3質量%、および(B54)成分1〜2質量%とすることがさらに好ましい。
さらには、上記範囲を満足する場合において、(B51)成分の合計量を100質量%とした時、(B511)成分5〜50質量%、(B512)成分0〜60質量%、(B513)成分0〜70質量%、(B514)成分0〜20質量%、(B515)成分0〜20質量%、および(B516)成分10〜70質量%とすることが、優れたフォトクロミック特性のため好ましい。この効果をより発揮するためには、(B511)成分7〜40質量%、(B512)成分0〜50質量%、(B513)成分0〜60質量%、(B514)成分0〜15質量%、(B515)成分0〜10質量%、および(B516)成分15〜60質量%とすることがさらに好ましい。
好適な硬化性組成物について
上記(A)ポリロタキサンモノマー、およびポリロタキサン以外の重合性モノマーは、用いる用途に応じて適宜選択すればよい。例えば、フォトクロミック硬化性組成物を調合する場合には、(A)ポリロタキサンモノマーの重合性官能基は、OH基、SH基、または、ラジカル重合性基から選択されるのが好ましく、重合性モノマーは、(B1)イソ(チオ)アネート化合物、(B5)ラジカル重合性モノマー等から選択されるのが好ましい。また、(A)ポリロタキサンモノマーの重合性官能基がOH基、SH基の場合には、(B1)イソ(チア)シアネート化合物の他にも、(B3)(チ)オール化合物を併用することが好ましい。こうすることで、優れた機械物性やフォトクロミック特性を発現できる。上記の中でも本発明で特に高い効果が得られるのは、重合性モノマーに(B1)イソ(チア)シアネート化合物を用いた時である。
研磨用パッド材に用いられる場合には、(A)ポリロタキサンモノマーの重合性官能基はOH基から選択されるのが好ましく、重合性モノマーは(B1)ポリ(イソ)チアシアネートモノマーから選択されるのが好ましい。特に、研磨用パッド材に用いる際には、(B1)イソ(チオ)シアネート化合物の中でも、(B12)ウレタンプレポリマーを含んでなることが好ましい。こうすることで、研磨用パッド材の機械特性を向上でき、特に良好な耐摩耗性特性を発現できる。
(硬化性組成物に配合されるその他の配合成分)
本発明の硬化性組成物においては、上述した(A)ポリロタキサンモノマーや、(B)重合性モノマーに導入された重合性官能基の種類に応じて、その重合硬化を速やかに促進させるために各種の(C)重合硬化促進剤を使用することもできる。
(C)重合硬化促進剤
例えば、(A)ポリロタキサンモノマーが有している重合性官能基がOH基、アミノ基、エポキシ基、及び、SH基等の重合性基の場合であり、重合性モノマーが(B1)イソ(チオ)シアネート化合物から選択される場合には、(C1)ウレタン或いはウレア用反応触媒や(C2)縮合剤が重合硬化促進剤として使用される。
(A)ロタキサンモノマーが有している重合性官能基がOH基、アミノ基、及び、NCO基等の重合性官能基であり、(B)組成物が、(B2)エポキシ基含有モノマーを含む場合には、(C3)エポキシ硬化剤やエポキシ基を開環重合させるための(C4)カチオン重合触媒が重合硬化促進剤として使用される。
(A)ポリロタキサンモノマーが有している重合性官能基がNCO基又はNCS基の場合であり、(B)成分が、(B3)水酸基(チオール基)含有モノマー、及び、(B4)アミンモノマーから選択される場合には、(C1)ウレタン或いはウレア用反応触媒や(C2)縮合剤が重合硬化促進剤として使用される。
(A)ロタキサンモノマーが有している重合性官能基がラジカル重合性基の場合であり、(B)成分が(B5)ラジカル重合性モノマーから選択される場合には、(C5)ラジカル重合開始剤が重合硬化促進剤として使用される。
本発明で好適に使用できる上記(C1)〜(C5)の重合促進剤としては、具体例としては、国際公開第WO2015/068798号に記載されているものを用いることができる。
これら各種の(C)重合硬化促進剤は、それぞれ、1種単独でも、2種以上を併用することもできるが、その使用量は、所謂触媒量でよく、例えば、(A)ロタキサンモノマーと(B)重合性モノマー組成物の合計100質量部当り、0.001〜10質量部、特に0.01〜5質量部の範囲の少量でよい。
(D)フォトクロミック化合物
また、本発明の硬化性組成物を硬化させた硬化体は、その用途に応じて、硬化体中に(D)フォトクロミック化合物を含有させてもよい。このような用途としては、フォトクロミック硬化性組成物を硬化して得られるフォトクロミック眼鏡が知られている。上述したフォトクロミック化合物には、公知のフォトクロミック化合物を使用できるが、フォトクロミック組成物として使用する場合には、発色濃度、初期着色性、耐久性、退色速度などのフォトクロミック性の観点から、インデノ〔2,1−f〕ナフト〔1,2−b〕ピラン骨格を有するクロメン化合物を用いることがより好ましく、特に分子量が540以上のクロメン化合物が、発色濃度及び退色速度に特に優れるため好適に使用される。
これら各種の(D)フォトクロミック化合物は、それぞれ、1種単独でも、2種以上を併用することもできる。その使用量は、用途に応じて適宜決定すればよく、例えば、(A)ポリロタキサンと(B)重合性モノマー組成物の合計100質量部当り、0.001〜20質量部、特に0.01〜10質量部の範囲であることが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、その他にも、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の各種配合剤を用いることが出来る。例えば、砥粒、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、着色防止剤、蛍光染料、染料、顔料、香料、界面活性剤、難燃剤、可塑剤、充填剤、帯電防止剤、整泡剤、溶剤、レベリング剤、その他の添加剤を加えてもよい。これらの添加剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これら添加剤は、硬化性組成物に含有させ、該硬化性組成物を重合することにより、硬化体に含有させることができる。上述した砥粒については、具体的には、酸化セリウム、酸化珪素、アルミナ、炭化珪素、ジルコニア、酸化鉄、二酸化マンガン、酸化チタン及びダイヤモンドから選択される材料からなる粒子、又はこれら材料からなる二種以上の粒子等が挙げられる。
重合方法は、公知の方法を採用できる。重縮合、又は重付加反応の場合には、国際公開第WO2015/068798号、国際公開第WO2016/143910、特開2017−48305に記載の条件を採用できる。ラジカル重合の場合には、WO2014/136804号、国際公開第WO2015/068798号の記載の条件を採用できる。
<硬化体>
<フォトクロミック硬化体>
硬化性組成物が(D)フォトクロミック化合物を含む場合には、そのまま重合硬化することによって、フォトクロミック硬化体を製造できる。
また、フォトクロミック硬化体を得る方法として、前記(A)ロタキサンモノマーにフォトクロミック部位を環状分子の側鎖に直接結合して、フォトクロミック特性を有する前記(A)ロタキサンモノマーを含む硬化性組成物を準備することもできる。
本発明のフォトクロミック組成物を硬化させるには、次のような手段が用いられる。
重合性モノマーにフォトクロミック化合物を溶解させ、それを重合させることにより、直接、レンズ等の光学材料を成形する方法(練り込み法)。
レンズ等のプラスチック成形品の表面に、フォトクロミック化合物が分散された樹脂層を、コーティング或いは注型重合により設ける方法(積層法)。
2枚の光学シートを、フォトクロミック化合物が分散された接着材樹脂により形成された接着層により接合する方法(バインダー法)。
<その他の硬化体>
また、本発明の硬化性組成物を硬化させた硬化体は、その用途に応じて、硬化体中に細孔を設けてもよい。このような用途としては、研磨用のパッド剤が知られている。研磨用のパッド剤等に細孔を設ける手法としては、公知で知られている発泡方法等を何ら制限なく用いることが可能である。それらの方法を例示すれば、低沸点炭化水素等の揮発性の発泡剤や、微小中空体(マイクロバルーン)を分散硬化させる方法、熱膨張性の微粒子を混合したのち加熱し微粒子を発泡させる方法、または混合中に空気や窒素等の不活性ガスを吹き込むメカニカルフロス発泡法が例示できる。 本発明の硬化性体に、ウレタン結合を形成させうることが可能な硬化性組成物を用いる場合には、水などを添加する発泡剤発泡法も適用できる。また、該微小中空体(マイクロバルーン)は、世の中に知られているものを何ら制限なく使用することが出来る。具体例を示せば、塩化ビニリデン樹脂、(メタ)アクリレート系樹脂、アクリルニトリルと塩化ビニリデン共重合体、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の該微小中空体を使用できる。
次に、実施例及び比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。先ず、本発明で使用した測定装置、測定方法、および各成分の製造方法等について説明する。
(分子量測定;ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC測定))
GPCの測定は、装置として液体クロマトグラフ装置(日本ウォーターズ社製)を用いた。カラムは分析するサンプルの分子量に応じて、昭和電工株式会社製Shodex GPC KF−802(排除限界分子量:5000)、KF802.5(排除限界分子量:20000)、KF−803(排除限界分子量:70000)、KF−804(排除限界分子量:400000)、KF−805(排除限界分子量:2000000)を適宜使用した。また、展開液としてジメチルホルムアミド(DMF)を用い、流速1ml/min、温度40℃の条件にて測定した。標準試料にポリスチレンを用い、比較換算により重量平均分子量を求めた。なお、検出器には示差屈折率計を用いた。
水酸基価の測定
水酸基価は、JIS K1557−1(2007)に準拠して、アセチル化法を用いて求めた。
(A)ロタキサンモノマーの製造方法
<製造例1>
(1−1)PEG2000diamineの調製;
軸分子として、直鎖状ポリエチレングリコール(PEG2000)を用意した。
下記処方;
PEG2000 300g、
CDI(N,N−カルボニルジイミダゾール)200g
を準備し、各成分をジクロロメタン1000mLに溶解させ、室温で6時間撹拌した。有機相を水洗後、エチレンジアミン180gを加えさらに20時間室温で撹拌した。水洗後、ジクロロメタンを減圧留去することで、下記式xxで示されるPEG2000diamine(PEG2000ジアミン(末端がアミノ基))を得た(285g、収率88%)。
(1−2)ロタキサンの調製;
上記で調製されたPEG2000diamine 20gおよびヒドロキシプロピル−α−シクロデキストリン(HP−α−CD)250gをイオン交換水300mLに溶解させた。4℃で2日間静置した後、トリニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム(TNBS)35.1gを加え、さらに2日間撹拌した後、透析チューブにて透析することでヒドロキシプロピル化ポリロタキサンを得た(10.8g、収率18%)。得られたヒドロキシプロピル化ポリロタキサンは、H−NMRおよびGPCで同定し、所望の構造を有するヒドロキシプロピル化ポリロタキサンであることを確認した。なお、ヒドロキシプロピル基による環状分子のOH基への修飾度は0.2であり、GPC測定により重量平均分子量は6000であった。
(1−3)ロタキサンへの側鎖の導入;
上記で得られたヒドロキシプロピル化ポリロタキサン3gを、ε−カプロラクトン12gに加え80℃で溶解させた混合液を調製した。この混合液を、乾燥窒素をブローさせながら110℃で1時間攪拌した後、2−エチルヘキサン酸錫(II)の50wt%キシレン溶液0.6gを加え、100℃で1時間攪拌した。その後、キシレンを添加し、不揮発濃度が約35質量%の側鎖を導入したポリカプロラクトン修飾ポリロタキサンキシレン溶液を得た。得られたポリカプロラクトン修飾ポリロタキサンキシレン溶液をヘキサン中に滴下し、回収し、乾燥させることによりポリカプロラクトン修飾ポリロタキサン(ロタキサンモノマー:PR1)15gを取得した。なお、H−NMRおよびGPC測定により、ε−カプロラクトンの平均重合度は10、PR1の重量平均分子量は18000であった。PR1の特性を表1にまとめた。ロタキサンモノマー(PR1)が有する重合性官能基は、水酸基である。
・側鎖に導入された重合性官能基(水酸基)のモル数 0.59mmol/g。
<製造例2>
実施例1において、使用したポリエチレングリコールをPEG6000に変更した以外は実施例1と同様の方法でポリロタキサンモノマー:PR2を取得した。以下の詳細な製造方法を説明する。
(2−1)PEG6000diamineの調製;
下記処方;
PEG6000 300g、
CDI(N,N−カルボニルジイミダゾール)45g
を準備し、各成分をジクロロメタン600mLに溶解させ、室温で6時間撹拌した。有機相を水洗後、エチレンジアミン50gを加えさらに20時間室温で撹拌した。水洗後、ジクロロメタンを減圧留去することで、PEG6000diamineを得た(276g、収率90%)。
(2−2)ロタキサンの調製;
上記で調製されたPEG6000diamine 400gおよびHP−α−CD 630gをイオン交換水800mLに溶解させた。4℃で2日間静置した後、トリニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム(TNBS)150gを加え、さらに2日間撹拌した後、透析チューブにて透析することでヒドロキシプロピル化ポリロタキサンを得た(480g、収率60%)。得られたヒドロキシプロピル化ポリロタキサンは、H−NMRおよびGPCで同定し、所望の構造を有するヒドロキシプロピル化ポリロタキサンであることを確認した。なお、ヒドロキシプロピル基による環状分子のOH基への修飾度は0.2であり、GPC測定により重量平均分子量は15000であった。
(2−3)ロタキサンへの側鎖の導入;
上記で得られたヒドロキシプロピル化ポリロタキサン3gを、ε−カプロラクトン12gに加え80℃で溶解させた混合液を調製した。この混合液を、乾燥窒素をブローさせながら110℃で1時間攪拌した後、2−エチルヘキサン酸錫(II)の50wt%キシレン溶液0.6gを加え、100℃で1時間攪拌した。その後、キシレンを添加し、不揮発濃度が約35質量%の側鎖を導入したポリカプロラクトン修飾ポリロタキサンキシレン溶液を得た。得られたポリカプロラクトン修飾ポリロタキサンキシレン溶液をヘキサン中に滴下し、回収し、乾燥させることによりロタキサンモノマー:PR2を15g取得した。なお、H−NMRおよびGPC測定により、ε−カプロラクトンの平均重合度は10、GPC測定によりPR2の重量平均分子量は45000であった。PR2の特性を表1にまとめた。ロタキサンモノマー(PR2)が有する重合性官能基は、水酸基である。
・側鎖に導入された重合性官能基(水酸基)のモル数 0.46mmol/g。
<比較製造例1>
国際公開第2013/099842号パンフレットに記載の方法に従って、軸分子の鎖状部分が分子量2,000のポリエチレングリコールで形成され、かつ両端の嵩高い基がアダマンチル基であり、環状分子がαシクロデキストリン環であり、プロピルオキシ基を介して、εカプロラクトンが平均で10分子開環重合したポリロタキサンモノマー:pr1を合成した。なお、GPC測定によりpr1の重量平均分子量は115000であった。pr1の特性を表1にまとめた。ロタキサンモノマー(pr1)が有する重合性官能基は、水酸基である。
・側鎖に導入された重合性官能基(水酸基)のモル数 0.73mmol/g。
Figure 2020076010
<実施例1>
前記製造例1で製造した(A)ロタキサンモノマーを用い、研磨パッド用硬化性組成物を下記処方により調合し、ウレタン樹脂(硬化体)を作製した。
実施例1で作成したPR1(100質量部)と4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン)(MOCA、21質量部)とを120℃で混合して均一溶液にした後、十分に脱気し、100℃まで冷却した(溶液1)。別途、70℃に加温したPre−1(製造方法は下記参照、820質量部)に溶液1を加え、均一混合した後金型へ注入し、100℃で15時間硬化させた。重合終了後、鋳型からウレタン樹脂を取り外し、スライスを行い、厚さ2mmのウレタン樹脂を得た。
各配合量を下記に示す。
(A)ロタキサンモノマー:PR1 24質量部。
(B12)ウレタンプレポリマー:Pre−1 71質量部。
(B4)アミノ基含有モノマー:MOCA 5質量部。
上記で作製したウレタン樹脂について、厚み2mmのダンベル8号形状に打ち抜いた樹脂を島津社製AG−SXのオートグラフにて10mm/minで20mm引張った際の試験力を測定した。また、硬度は、JIS規格(硬さ試験)K6253に従って、高分子計器製のデュロメーターによりショアーA硬度で測定した。評価結果を表2にまとめた。表2には、硬化性組成物の粘度も記載した。
なお、(B12)ウレタンプレポリマー Pre−1は、以下の方法に従い製造した。
<Pre−1の製造方法>
窒素導入管、温度計、攪拌機を備えたフラスコに窒素雰囲気下中、2,4−トリレンジイソシアネート50gとポリオキシテトラメチレングリコール(数平均分子量;1000)90gとジエチレングリコール12gを、80℃で6時間反応させ、イソ(チオ)シアネート当量が905の末端イソシアネートウレタンプレポリマー(Pre−1)を得た。
<実施例2>
製造例2で作成したPR2((A)ロタキサンモノマー)を用いた以外は実施例1と同様の方法でウレタン樹脂を作製・評価した。評価結果を表2にまとめた。
<比較例1>
比較製造例1で作製したpr1を用いた以外は実施例1と同様の方法でウレタン樹脂を作製・評価した。評価結果を表2にまとめた。
Figure 2020076010
表2から明らかなように、ロタキサンモノマーの包接率を調整することにより、得られる硬化体の硬度は維持しつつ、それを構成する硬化性組成物の粘度を低くすることができた。また、水酸基価が低いロタキサンモノマーを使用することにより、より一層、硬化性組成物の粘度を低減できた。
フォトクロミック部位を側鎖に導入した(A)ロタキサンモノマーの製造
<製造例3>
(3−1)フォトクロミック色素の合成;
下記式(6)
Figure 2020076010
で示される化合物4.7g(10mmol)、国際公開第2006/022825号パンフレットに記載の方法に従って合成した下記式(7)
Figure 2020076010
で示される化合物 5.3g(15mmol)、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム塩0.25(1mmol)にトルエン100mLを加え、75℃で1時間加熱撹拌した。室温まで冷却した後、水100mLで3回洗浄し、有機層を減圧留去した。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、下記式(8)
Figure 2020076010
で示される化合物6.2gを得た。収率は77%であった。
上記式(8)で示される化合物6.2g(7.7mmol)、コハク酸無水物1.55g(15.5mmol)、トリエチルアミン1.95g(19.3mmol)にジクロロメタン200mLを加え、室温で12時間撹拌した。氷冷を行った後、10%塩酸をpHが1になるまでゆっくり加え、分液を行った。水250mLで3回洗浄し、有機層を減圧留去した。得られた残渣を、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、下記式(9)
Figure 2020076010
で示される化合物6.6g(7.3mmol)を得た。収率は95%であった。
(3−2)ポリロタキサンの調製;
前記PEG6000diamine 15gおよびHP−α−CD 48gをイオン交換水60mLに溶解させた。4℃で2日間静置した後、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド(DMT−MM)6.5g及び3,5−ジメトキシ安息香酸3.6gを加え、さらに2日間撹拌した後、透析チューブにて透析することでヒドロキシプロピル化ポリロタキサンを得た(10g、収率40%)。得られたヒドロキシプロピル化ポリロタキサンは、H−NMRおよびGPCで同定し、所望の構造を有するヒドロキシプロピル化ポリロタキサンであることを確認した。なお、ヒドロキシプロピル基による環状分子のOH基への修飾度は0.2であり、GPC測定により重量平均分子量は15000であった。(A)ロタキサンモノマーの重合性官能基は水酸基である。
(3−3)ロタキサンモノマーへのフォトクロミック色素の導入;
上記(5−2)で作製したロタキサンモノマー 455mg、上記式(9)で示されるフォトクロミック色素 280mg(0.29mmol)、ジシクロヘキシルカルボジイミド56mgにTHF10mLを加え、室温で25時間撹拌した。TLC(薄層クロマトグラフ法)により、上記式(22)で示される化合物の消失を確認した後、析出物をろ別した。得られた溶液をメタノール中に滴下し、析出した固体を回収し、乾燥することで、下記式(10)
Figure 2020076010

で示されるフォトクロミック部位を含む側鎖を有するフォトクロミック性ロタキサンモノマー488mgを得た。
(3−4)フォトクロミックロタキサンへの側鎖の導入;
上記で得られた、フォトクロミック部位を含む側鎖を有するフォトクロミック性ロタキサンモノマー450mgを、ε−カプロラクトン150mgに加え80℃で溶解させた混合液を調製した。この混合液を、乾燥窒素をブローさせながら110℃で1時間攪拌した後、2−エチルヘキサン酸錫(II)の50wt%キシレン溶液0.6gを加え、100℃で1時間攪拌した。その後、キシレンを添加し、不揮発濃度が約35質量%の側鎖を導入したポリカプロラクトン修飾ポリロタキサンキシレン溶液を得た。得られたポリカプロラクトン修飾ポリロタキサンキシレン溶液をヘキサン中に滴下し、回収し、乾燥させることにより色素結合ポリロタキサンモノマー:PR3を600mg取得した。
なお、H−NMRおよびGPC測定により、ε−カプロラクトンの平均重合度は10、GPC測定によりPR3の重量平均分子量は45000であった。PR3の特性を表3にまとめた。
・側鎖に導入された重合性官能基(水酸基)のモル数 0.34mmol/g。
・1分子当たりのフォトクロミック部位の数 6。
<比較製造例2>
国際公開第2013/099842号パンフレットに記載の方法に従って、軸分子の鎖状部分が分子量2,000のポリエチレングリコールで形成され、かつ両端の嵩高い基がアダマンチル基であり、環状分子がαシクロデキストリン環であり、プロピルオキシ基を介して、上記式(9)で示されるフォトクロミック色素が1CD当たり1分子、ε−カプロラクトンが平均で10分子開環重合した色素結合ポリロタキサンモノマー:pr2を合成した。なお、GPC測定によりpr2の重量平均分子量は115000であった。pr2の特性を表3にまとめた。
・側鎖に導入された重合性官能基(水酸基)のモル数 0.66mmol/g。
・1分子当たりのフォトクロミック部位の数 10。
Figure 2020076010
<実施例3>
硬化性組成物の調製、及びフォトクロミック硬化体の作製・評価
(硬化性組成物の調製)
下記処方により、各成分を十分に混合し、フォトクロミック硬化性組成物を調製した。
処方;
(A)フォトクロミック部位を含む側鎖を有するフォトクロミック性ロタキサンモノマー PR3(製造例3で製造) 72mg (色素量(フォトクロミック部位):9.6μmol)。
(B)重合性モノマー組成物
(B1)ノルボルネンメタンジイソシアネート:4.58g。
(B3)ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトプロピオネート):5.42g。
(C)重合硬化促進剤
ジメチルスズジクロライド 10mg。
(フォトクロミック硬化体の作製と評価)
上記配合の硬化性組成物を用い、練り込み法にてフォトクロミック硬化体を得た。重合方法は以下に示す。
上記硬化性組成物を十分に脱泡した後、離型処理を施したガラスモールドとエチレン−酢酸ビニル共重合体からなるガスケットで構成された、厚さ2mmの鋳型よりなるモールド型に注型した。次いで、30℃から95℃まで徐々に昇温しながら、15時間かけて硬化させた。重合終了後、フォトクロミック硬化体を鋳型のガラスから取り外し、フォトクロミック性の評価を行なった。
なお、フォトクロミック性(最大吸収波長、発色濃度、退色速度)の評価に関しては以下のようにして行った。評価結果を表4にまとめた。
〔評価項目〕
(1)最大吸収波長(λmax):(株)大塚電子工業製の分光光度計(瞬間マルチチャンネルフォトディテクタ−MCPD1000)により求めた発色後の最大吸収波長である。該最大吸収波長は発色時の色調に関係する。表には平均値を示した。
(2)発色濃度{ε(120)−ε(0)}:前記最大吸収波長における、120秒間光照射した後の吸光度{ε(120)}と光照射前の吸光度ε(0)との差。この値が高いほどフォトクロミック性が優れているといえる。また屋外で発色させたとき発色色調を目視により評価した。表には平均値を示した。
(3)退色速度〔t1/2(sec.)〕:120秒間光照射後、光の照射を止めたときに、試料の前記最大吸収波長における吸光度が{ε(120)−ε(0)}の1/2まで低下するのに要する時間。この時間が短いほどフォトクロミック性が優れているといえる。
<比較例2>
比較製造例2で合成したフォトクロミック部位を含む側鎖を有するフォトクロミック性ロタキサンモノマー:pr2 110mg (色素量(フォトクロミック部位):9.6μmol)を用いた以外は、実施例6と同様の方法でフォトクロミック硬化体を作製し評価した。評価結果を表4にまとめた。
Figure 2020076010
包接数が本発明の要件を満足するロタキサンモノマーを使用した実施例3は、チオウレタンマトリックス中における架橋密度が低減すると考えられる。これにより、フォトクロミック色素の開環−閉環に伴う構造変化を許容する自由空間が生まれ、フォトクロミック性を向上できると考えられる。
1:ポリロタキサン
2:軸分子
3:環状分子
4:嵩高い基
5:側鎖
6:重合性官能基
7:フォトクロミック部位

Claims (10)

  1. (A)環状分子と、該環状分子の環内を貫通する軸分子と、からなる複合分子構造を有し、一つの軸分子当たりに該環状分子が包接し得る最大包接数を1としたとき、該環状分子の平均の包接数が0.05以上0.20以下の範囲にあり、かつ重合性官能基を有するロタキサンモノマー 100質量部に対して、
    (B)前記(A)ロタキサンモノマーの前記重合性官能基と重合し得る重合性官能基を有する重合性モノマーを含む重合性モノマー組成物 100〜100000質量部を含有する硬化性組成物。
  2. 前記(A)ロタキサンモノマーの水酸基価が、70mgKOH/g以下である請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 前記(A)ロタキサンモノマーが、前記環状分子が脱離しない様に、前記軸分子の両末端に嵩高い基を有する請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. 前記(A)ロタキサンモノマーの前記環状分子が、反応性官能基を有し、
    該反応性官能基が反応して該環状分子に側鎖が導入されてなり、
    前記全環状分子における全反応性官能基の6%以上60%以下に該側鎖が導入されてなり、かつ
    前記(A)ロタキサンモノマーの前記重合性官能基が、該側鎖に導入されてなる請求項1〜3の何れかに記載の硬化性組成物。
  5. 前記(A)ロタキサンモノマーの前記重合性官能基が、水酸基を含み、
    前記(B)重合性モノマー組成物が、(B1)イソ(チオ)シアネート基を有するイソ(チオ)シアネート化合物を含む請求項1〜4の何れかに記載の硬化性組成物。
  6. 前記(B)重合性モノマー組成物が、
    (B2)エポキシ基を有するエポキシ基含有モノマー、
    (B3)水酸基、およびチオール基から選ばれる基を少なくとも1つ有する(チ)オール化合物、並びに
    (B4)アミノ基を有するアミノ基含有モノマー
    から選ばれるモノマーをさらに含む請求項5に記載の硬化性組成物。
  7. 前記(A)ロタキサンモノマーの前記重合性官能基が、(メタ)アクリレート基を含み、
    前記(B)重合性モノマー組成物が、(メタ)アクリレート基を有する(メタ)アクリレート化合物を含む請求項1〜4の何れかに記載の硬化性組成物。
  8. 請求項1〜6の何れかに記載の硬化性組成物を硬化して得られる研磨用パッド。
  9. 請求項1〜7の何れかに記載の硬化性組成物において、
    前記(A)ロタキサンモノマーの前記環状分子が、フォトクロミック特性を発揮する部位を有することを特徴とするフォトクロミック硬化性組成物。
  10. 請求項9に記載のフォトクロミック硬化性組成物を硬化して得られるフォトクロミック硬化体。
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