JP2020076009A - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents

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拓也 小峯
Takuya KOMINE
拓也 小峯
藤井 靖芳
Yasuyoshi Fujii
靖芳 藤井
早希 伊藤
Saki Ito
早希 伊藤
貴裕 北川
Takahiro Kitagawa
貴裕 北川
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Abstract

【課題】 本発明は位相差フィルム等に好適に用いることのできる光学フィルムの製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、位相差特性、波長依存性、延伸加工性に優れる光学フィルムを製造する方法に関する。【解決手段】 一般式(1)で表される残基単位A、一般式(2)で表される残基単位Bおよび一般式(3)で表される残基単位Cを含むことを特徴とする共重合体および正の固有複屈折を有する樹脂を含有する樹脂組成物を、溶剤に溶解した後、得られた樹脂溶液を基材にキャストし塗工膜を得る塗工工程、塗工工程で得られた塗工膜を20℃以上79℃以下で乾燥する第1の乾燥工程、80℃以上200℃以下で乾燥する第2の乾燥工程及び第2の乾燥工程で得られた塗工膜を延伸してフィルムを得る延伸工程を有する光学フィルムの製造方法。【選択図】 なし

Description

本発明は位相差フィルム等に好適に用いることのできる光学フィルムの製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、位相差特性、波長依存性、加熱時の位相差安定性に優れる光学フィルムを製造する方法に関する。
液晶ディスプレイは、マルチメディア社会における最も重要な表示デバイスとして、スマートフォン、コンピュータ用モニター、ノートパソコン、テレビまで幅広く使用されている。
液晶ディスプレイには表示特性向上のため多くの光学フィルムが用いられており、特に位相差フィルムは正面や斜めから見た場合のコントラストの向上、色調の補償等大きな役割を果たしている。従来の位相差フィルムとしては、ポリカーボネートや環状ポリオレフィンが使用されており、これらの高分子はいずれも正の複屈折を有する高分子である。ここで、複屈折の正負は以下に示すように定義される。
延伸等で分子配向した高分子フィルムの光学異方性は、フィルムを延伸した場合のフィルム面内の進相軸方向の屈折率をnx、それと直交するフィルム面内方向の屈折率をny、フィルムの厚み方向の屈折率をnzとした屈折率楕円体で表すことができる。
つまり、負の複屈折を有する高分子の一軸延伸では延伸軸方向の屈折率が小さく(進相軸:延伸方向)、正の複屈折を有する高分子の一軸延伸では延伸軸と直交する軸方向の屈折率が小さい(進相軸:延伸方向と垂直方向)。
多くの高分子は正の複屈折を有する。負の複屈折を有する高分子としてはアクリル樹脂やポリスチレンがあるが、アクリル樹脂は位相差が小さく、位相差フィルムとしての特性は十分でない。ポリスチレンは、低温領域での光弾性係数が大きいためにわずかな応力で位相差が変化するなど位相差の安定性の課題、さらに耐熱性が低いという実用上の課題があり、現状用いられていない。
負の複屈折を示す高分子の延伸フィルムではフィルムの厚み方向の屈折率が高く、従来にない位相差フィルムとなるため、例えばスーパーツイストネマチック型液晶ディスプレイ(STN−LCD)や垂直配向型液晶ディスプレイ(VA−LCD)、面内配向型液晶ディスプレイ(IPS−LCD)、反射型液晶ディスプレイ(反射型LCD)等のディスプレイの視角特性の補償用位相差フィルムや偏向板の視野角補償フィルムとして有用であり、負の複屈折を有する位相差フィルムに対して市場の要求は強い。
正の複屈折を有する高分子を用いてフィルムの厚み方向の屈折率を高めたフィルムの製造方法が提案されている。ひとつは高分子フィルムの片面または両面に熱収縮性フィルムを接着し、その積層体を加熱延伸処理して、高分子フィルムのフィルム厚み方向に収縮力をかける処理方法(例えば、特許文献1〜3参照)である。また、高分子フィルムに電場を印加しながら面内に一軸延伸する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
それ以外にも負の光学異方性を有する微粒子と透明性高分子からなる位相差フィルムが提案されている(例えば、特許文献5参照)。
しかし、特許文献1〜4において提案された方法は、製造工程が非常に複雑になるために生産性が劣る課題がある。また位相差の均一性等の制御も従来の延伸による制御と比べると著しく難しくなる。
特許文献5で得られる位相差フィルムは、負の光学異方性を有する微粒子を添加することによって負の複屈折を示す位相差フィルムであり、製造方法の簡便化や経済性の観点から、微粒子を添加する必要のない位相差フィルムが求められている。
また、フマル酸ジエステル系共重合体及びそれよりなるフィルムが提案されている(例えば、特許文献6〜12参照)。
特許文献6〜12で提案されたフマル酸ジエステル系共重合体及びそれよりなるフィルムは高い位相差を有しているものの、現状においては、より薄膜においても高い位相差を有するフィルムが求められている。
さらには、正の複屈折材料と負の複屈折材料の複合化による単膜型光学補償フィルム材料が提案されており(例えば、特許文献13及び14参照)、より高性能な光学特性を達成するために複合化可能な負の複屈折を示す高分子材料が求められている。
特許2818983号公報 特開平5−297223号公報 特開平5−323120号公報 特開平6−88909号公報 特開2005−156862号公報 特開2008−112141号公報 特開2012−032784号公報 WO2012/005120号公報 特開2008−129465号公報 特開2006−193616号公報 WO2014/013982号公報 WO2014/084178号公報 WO2014/196552号公報 WO2016/060115号公報
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、位相差特性、波長依存性、延伸加工性に優れた光学補償フィルムの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の共重合体を含む樹脂組成物を特定の条件で製膜、延伸加工する製造方法が上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、一般式(1)で表される残基単位A、一般式(2)で表される残基単位B及び一般式(3)で表される残基単位Cを含む共重合体並びに正の固有複屈折を有する樹脂を含有する樹脂組成物を、溶剤に溶解した後、得られた樹脂溶液を基材にキャストし塗工膜を得る塗工工程、塗工工程で得られた塗工膜を20℃以上79℃以下で乾燥する第1の乾燥工程、第1の乾燥工程で得られた塗工膜を80℃以上200℃以下で乾燥する第2の乾燥工程及び第2の乾燥工程で得られた塗工膜を延伸してフィルムを得る延伸工程を有する光学フィルムの製造方法に関するものである。
(ここで、R1、R2はそれぞれ独立して水素(ただし、R1、R2が共に水素である場合を除く。)、シアノ基、エステル基(−C(=O)OX1)、アミド基(−C(=O)N(X2)(X3))、またはアシル基(−C(=O)X4)(ここで、X1〜X3はそれぞれ独立して炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、または炭素数3〜6の環状アルキル基を示し、X4は炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、または炭素数3〜14の環状基からなる群の1種を示す。)からなる群の1種を示す。R3〜R7はそれぞれ独立して水素、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、炭素数3〜14の環状基、ハロゲン、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基(−OX5)、エステル基(−C(=O)OX6)、アミド基(−C(=O)N(X7)(X8))、アシル基(−C(=O)X9)、アミノ基(−N(X10)(X11))、またはスルホン酸基(−SOOX12)(ここで、X5〜X8は、それぞれ独立して炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、または炭素数3〜6の環状アルキル基を示し、X9〜X12はそれぞれ独立して水素、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、または炭素数3〜6の環状アルキル基からなる群の1種を示す。)からなる群の1種を示し、少なくともR3〜R7の1以上がヒドロキシ基またはカルボキシ基のいずれかを示す。また、R3〜R7は隣接する置換基同士で縮合環構造を形成してもよい。)
(ここで、R8はヘテロ原子を1つ以上含むm員環複素環残基またはヘテロ原子を含まない5員環残基もしくは6員環残基を示し(ただし、R8がヘテロ原子を含まない6員環残基のとき、一般式(1)におけるR3〜R7のいずれか1以上がヒドロキシ基を示す。)、mは5〜10の整数を示す。前記m員環複素環残基、前記5員環残基、および前記6員環残基は縮合環構造を形成してもよい。)
(ここで、R9、R10はそれぞれ独立して水素、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、または炭素数3〜6の環状アルキル基からなる群の1種を示す。)
以下、本発明について詳細に説明する。
一般式(1)で表される残基単位A、一般式(2)で表される残基単位B及び一般式(3)で表される残基単位Cを含む共重合体並びに正の固有複屈折を有する樹脂を含有する樹脂組成物を、溶剤に溶解した後、得られた樹脂溶液を基材にキャストし塗工膜を得る塗工工程、塗工工程で得られた塗工膜を20℃以上79℃以下で乾燥する第1の乾燥工程、第1の乾燥工程で得られた塗工膜を80℃以上200℃以下で乾燥する第2の乾燥工程及び第2の乾燥工程で得られた塗工膜を延伸してフィルムを得る延伸工程を有する光学フィルムの製造方法である。
(ここで、R1、R2はそれぞれ独立して水素(ただし、R1、R2が共に水素である場合を除く。)、シアノ基、エステル基(−C(=O)OX1)、アミド基(−C(=O)N(X2)(X3))、またはアシル基(−C(=O)X4)(ここで、X1〜X3はそれぞれ独立して炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、または炭素数3〜6の環状アルキル基を示し、X4は炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、または炭素数3〜14の環状基からなる群の1種を示す。)からなる群の1種を示す。R3〜R7はそれぞれ独立して水素、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、炭素数3〜14の環状基、ハロゲン、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基(−OX5)、エステル基(−C(=O)OX6)、アミド基(−C(=O)N(X7)(X8))、アシル基(−C(=O)X9)、アミノ基(−N(X10)(X11))、またはスルホン酸基(−SOOX12)(ここで、X5〜X8は、それぞれ独立して炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、または炭素数3〜6の環状アルキル基を示し、X9〜X12はそれぞれ独立して水素、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、または炭素数3〜6の環状アルキル基からなる群の1種を示す。)からなる群の1種を示し、少なくともR3〜R7の1以上がヒドロキシ基またはカルボキシ基のいずれかを示す。また、R3〜R7は隣接する置換基同士で縮合環構造を形成してもよい。)
(ここで、R8はヘテロ原子を1つ以上含むm員環複素環残基またはヘテロ原子を含まない5員環残基もしくは6員環残基を示し(ただし、R8がヘテロ原子を含まない6員環残基のとき、一般式(1)におけるR3〜R7のいずれか1以上がヒドロキシ基を示す。)、mは5〜10の整数を示す。前記m員環複素環残基、前記5員環残基、および前記6員環残基は縮合環構造を形成してもよい。)
(ここで、R9、R10はそれぞれ独立して水素、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、または炭素数3〜6の環状アルキル基からなる群の1種を示す。)。
本発明の塗工工程において使用する原料は、一般式(1)で表される残基単位A、一般式(2)で表される残基単位B及び一般式(3)で表される残基単位Cを含む共重合体並びに正の固有複屈折を有する樹脂を含有する樹脂組成物を有する。このような組成物を原料として得られたフィルムは高い位相差を発現する。
本発明の原料に用いる組成物は、一般式(1)で表される残基単位A、一般式(2)で表される残基単位B及び一般式(3)で表される残基単位Cを含む共重合体を含む。当該共重合体は負の固有複屈折を有することが好ましい。
一般式(1)〜(3)についてより詳細に説明する。
本発明の一般式(1)におけるR1及びR2に関して、X1〜X4における炭素数1〜12の直鎖状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられ、炭素数1〜12の分岐状アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基等が挙げられ、X1〜X3における炭素数3〜6の環状アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、X4における炭素数3〜14の環状基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。 本発明の一般式(1)におけるR1およびR2がそれぞれ独立してシアノ基、エステル基、アミド基、アシル基からなる群の一つであることが好ましい。
本発明の一般式(1)におけるR1としては、より高い位相差を発現することから、シアノ基;メチルエステル基、エチルエステル基、n−プロピルエステル基、イソプロピルエステル基、イソブチルエステル基等のエステル基;ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、ジn−プロピルアミド基、ジイソプロピルアミド基等のアミド基;アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等のアシル基からなる群の一種であることが好ましく、シアノ基、メチルエステル基、エチルエステル基、n−プロピルエステル基、イソプロピルエステル基、イソブチルエステル基、ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、ジn−プロピルアミド基、ジイソプロピルアミド基、ベンゾイル基からなる群の1種であることがさらに好ましく、シアノ基、メチルエステル基、エチルエステル基、n−プロピルエステル基、イソプロピルエステル基、イソブチルエステル基からなる群の1種であることが特に好ましい。
本発明の一般式(1)におけるR2としては、より高い位相差を発現することから、水素;シアノ基;メチルエステル基、エチルエステル基、n−プロピルエステル基、イソプロピルエステル基、イソブチルエステル基等のエステル基からなる群の1種であることが好ましく、水素、シアノ基、メチルエステル基、エチルエステル基、n−プロピルエステル基、イソプロピルエステル基、イソブチルエステル基からなる群の1種であることがさらに好ましく、シアノ基、イソブチルエステル基のいずれかであることが特に好ましい。
本発明の一般式(1)におけるR3〜R7はそれぞれ独立して水素、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、炭素数3〜14の環状アルキル基、ハロゲン、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基(−OX5)、エステル基(−C(=O)OX6)、アミド基(−C(=O)N(X7)(X8))、アシル基(−C(=O)X9)、アミノ基(−N(X10)(X11))、またはスルホニル基(−SOOX12)(ここで、X5〜X8は、それぞれ独立して炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、または炭素数3〜6の環状アルキル基からなる群の1種を示し、X9〜X12はそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、または炭素数3〜6の環状アルキル基を示す。)からなる群の1種を示し、少なくともR3〜R7の1以上がヒドロキシ基またはカルボキシ基からなる群の1種を示す。また、R3〜R7は隣接する置換基同士で縮合環構造を形成してもよい。
R3〜R7における炭素数1〜12の直鎖状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられ、炭素数1〜12の分岐状アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、炭素数3〜14の環状アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
R3〜R7におけるハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素等が挙げられる。
X5〜X12における炭素数1〜12の直鎖状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられ、炭素数1〜12の分岐状アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、炭素数3〜6の環状アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
本発明では、少なくともR3〜R7の1以上がヒドロキシ基またはカルボキシ基を示すことで、異種ポリマーとの複合化が容易なものとなる。
本発明の一般式(1)におけるR3〜R7としては、より高い位相差を発現することから、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホルミル基、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、メチルエステル基、エチルエステル基、n―プロピルエステル基、イソプロピルエステル基、ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、ジn−プロピルアミド基、ジイソプロピルアミド基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジn−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、スルホン酸基、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n−プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基からなる群の1種が好ましい。
具体的な一般式(1)で表される残基単位Aとしては、例えば、α−シアノ−2−ヒドロキシケイ皮酸メチル残基単位、α−シアノ−3−ヒドロキシケイ皮酸メチル残基単位、α−シアノ−4−ヒドロキシ−ケイ皮酸メチル残基単位、α−シアノ−2,3−ジヒドロキシケイ皮酸メチル残基単位、α−シアノ−3,4−ジヒドロキシケイ皮酸メチル残基単位、α−シアノ−2−カルボキシケイ皮酸メチル残基単位、α−シアノ−3−カルボキシケイ皮酸メチル残基単位、α−シアノ−4−カルボキシケイ皮酸メチル残基単位、α−シアノ−2,3−ジカルボキシケイ皮酸メチル残基単位、α−シアノ−3,4−ジカルボキシケイ皮酸メチル残基単位、α−シアノ−2−カルボキシ−3−ヒドロキシケイ皮酸メチル残基単位、α−シアノ−3−カルボキシ−2−ヒドロキシケイ皮酸メチル残基単位、α−シアノ−3−カルボキシ−4−ヒドロキシケイ皮酸メチル残基単位、α−シアノ−4−カルボキシ−3−ヒドロキシケイ皮酸メチル残基単位、α−シアノ−2−カルボキシ−4−ヒドロキシケイ皮酸メチル残基単位、α−シアノ−4−カルボキシ−2−ヒドロキシケ
イ皮酸メチル残基単位、α−シアノ−2−ヒドロキシケイ皮酸エチル残基単位、α−シアノ−3−ヒドロキシケイ皮酸エチル残基単位、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸エチル残基単位、α−シアノ−2,3−ジヒドロキシケイ皮酸エチル残基単位、α−シアノ−3,4−ジヒドロキシケイ皮酸エチル残基単位、α−シアノ−2−カルボキシケイ皮酸エチル残基単位、α−シアノ−3−カルボキシケイ皮酸エチル残基単位、α−シアノ−4−カルボキシケイ皮酸エチル残基単位、α−シアノ−2,3−ジカルボキシケイ皮酸エチル残基単位、α−シアノ−3,4−ジカルボキシケイ皮酸エチル残基単位、3−ヒドロキシ−α−シアノ−2−カルボキシケイ皮酸エチル残基単位、α−シアノ−3−カルボキシ−2−ヒドロキシケイ皮酸エチル残基単位、α−シアノ−3−カルボキシ−4−ヒドロキシケイ皮酸エチル残基単位、α−シアノ−4−カルボキシ−3−ヒドロキシケイ皮酸エチル残基単位、α−シアノ−2−カルボキシ−4−ヒドロキシケイ皮酸エチル残基単位、α−シアノ−4−カルボキシ−2−ヒドロキシケイ皮酸エチル残基単位、α−シアノ−2−ヒドロキシケイ皮酸n−プロピル残基単位、α−シアノ−3−ヒドロキシケイ皮酸n−プロピル残基単位、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸n−プロピル残基単位、α−シアノ−2,3−ジヒドロキシケイ皮酸n−プロピル残基単位、α−シアノ−3,4−ジヒドロキシケイ皮酸n−プロピル残基単位、α−シアノ−2−カルボキシケイ皮酸n−プロピル残基単位、α−シアノ−3−カルボキシケイ皮酸n−プロピル残基単位、α−シアノ−4−カルボキシケイ皮酸n−プロピル残基単位、α−シアノ−2,3−ジカルボキシケイ皮酸n−プロピル残基単位、α−シアノ−3,4−ジカルボキシケイ皮酸n−プロピル残基単位、α−シアノ−2−カルボキシ−3−ヒドロキシケイ皮酸n−プロピル残基単位、α−シアノ−3−カルボキシ−2−ヒドロキシケイ皮酸n−プロピル残基単位、α−シアノ−3−カルボキシ−4−ヒドロキシケイ皮酸n−プロピル残基単位、α−シアノ−4−カルボキシ−3−ヒドロキシケイ皮酸n−プロピル残基単位、α−シアノ−2−カルボキシ−4−ヒドロキシケイ皮酸n−プロピル残基単位、α−シアノ−4−カルボキシ−2−ヒドロキシケイ皮酸n−プロピル残基単位、α−シアノ−2−ヒドロキシケイ皮酸イソプロピル残基単位、α−シアノ−3−ヒドロキシケイ皮酸イソプロピル残基単位、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸イソプロピル残基単位、α−シアノ−2,3−ジヒドロキシケイ皮酸イソプロピル残基単位、α−シアノ−3,4−ジヒドロキシケイ皮酸イソプロピル残基単位、α−シアノ−2−カルボキシケイ皮酸イソプロピル残基単位、α−シアノ−3−カルボキシケイ皮酸イソプロピル残基単位、α−シアノ−4−カルボキシケイ皮酸イソプロピル残基単位、α−シアノ−2,3−ジカルボキシケイ皮酸イソプロピル残基単位、α−シアノ−3,4−ジカルボキシケイ皮酸イソプロピル残基単位、α−シアノ−2−カルボキシ−3−ヒドロキシケイ皮酸イソプロピル残基単位、α−シアノ−3−カルボキシ−2−ヒドロキシケイ皮酸イソプロピル残基単位、α−シアノ−3−カルボキシ−4−ヒドロキシケイ皮酸イソプロピル残基単位、α−シアノ−4−カルボキシ−3−ヒドロキシケイ皮酸イソプロピル残基単位、α−シアノ−2−カルボキシ−4−ヒドロキシケイ皮酸イソプロピル残基単位、α−シアノ−4−カルボキシ−2−ヒドロキシケイ皮酸イソプロ
ピル残基単位、α−シアノ−2−ヒドロキシケイ皮酸イソブチル残基単位、α−シアノ−3−ヒドロキシケイ皮酸イソブチル残基単位、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸イソブチル残基単位、α−シアノ−2,3−ジヒドロキシケイ皮酸イソブチル残基単位、α−シアノ−3,4−ジヒドロキシケイ皮酸イソブチル残基単位、α−シアノ−2−カルボキシケイ皮酸イソブチル残基単位、α−シアノ−3−カルボキシケイ皮酸イソブチル残基単位、α−シアノ−4−カルボキシケイ皮酸イソブチル残基単位、α−シアノ−2,3−ジカルボキシケイ皮酸イソブチル残基単位、α−シアノ−3,4−ジカルボキシケイ皮酸イソブチル残基単位、α−シアノ−2−カルボキシ−3−ヒドロキシケイ皮酸イソブチル残基単位、α−シアノ−3−カルボキシ−2−ヒドロキシケイ皮酸イソブチル残基単位、α−シアノ−3−カルボキシ−4−ヒドロキシケイ皮酸イソブチル残基単位、α−シアノ−4−カルボキシ−3−ヒドロキシケイ皮酸イソブチル残基単位、α−シアノ−2−カルボキシ−4−ヒドロキシケイ皮酸イソブチル残基単位、α−シアノ−4−カルボキシ−2−ヒドロキシケイ皮酸イソブチル残基単位、2−ヒドロキシベンザルマロノニトリル残基単位、3−ヒドロキシベンザルマロノニトリル残基単位、4−ヒドロキシベンザルマロノニトリル残基単位、2,3−ジヒドロキシベンザルマロノニトリル残基単位、3,4−ジヒドロキシベンザルマロノニトリル残基単位、2−カルボキシベンザルマロノニトリル残基単位、3−カルボキシベンザルマロノニトリル残基単位、4−カルボキシベンザルマロノニトリル残基単位、2,3−ジカルボキシベンザルマロノニトリル残基単位、3,4−ジカルボキシベンザルマロノニトリル残基単位、2−カルボキシ−3−ヒドロキシベンザルマロノニトリル残基単位、3−カルボキシ−2−ヒドロキシベンザルマロノニトリル残基単位、3−カルボキシ−4−ヒドロキシベンザルマロノニトリル残基単位、4−カルボキシ−3−ヒドロキシベンザルマロノニトリル残基単位、2−カルボキシ−4−ヒドロキシベンザルマロノニトリル残基単位、4−カルボキシ−2−ヒドロキシベンザルマロノニトリル残基単位、2−ヒドロキシシンナモニトリル残基単位、3−ヒドロキシシンナモニトリル残基単位、4−ヒドロキシシンナモニトリル残基単位、2−カルボキシシンナモニトリル残基単位、3−カルボキシシンナモニトリル残基単位、4−カルボキシシンナモニトリル残基単位、2−ヒドロキシカルコン残基単位、3−ヒドロキシカルコン残基単位、4−ヒドロキシカルコン残基単位、2−カルボキシカルコン残基単位、3−カルボキシカルコン残基単位、4−カルボキシカルコン残基単位、2−ヒドロキシベンジリデンマロン酸ジメチル残基単位、3−ヒドロキシベンジリデンマロン酸ジメチル残基単位、4−ヒドロキシベンジリデンマロン酸ジメチル残基単位、2−カルボキシベンジリデンマロン酸ジメチル残基単位、3−カルボキシベンジリデンマロン酸ジメチル残基単位、4−カルボキシベンジリデンマロン酸ジメチル残基単位、2−ヒドロキシベンジリデンマロン酸ジエチル残基単位、3−ヒドロキシベンジリデンマロン酸ジエチル残基単位、4−ヒドロキシベンジリデンマロン酸ジエチル残基単位、2−カルボキシベンジリデンマロン酸ジエチル残基単位、3−カルボキシベンジリデンマロン酸ジエチル残基単位、4−カルボキシベンジリデンマロン酸ジエチル残基単位、2−ヒドロキシベンジリデンマロン酸ジn−プロピル残基単位、3−ヒドロキシベンジリデンマロン酸ジn−プロピル残基単位、4−ヒドロキシベンジリデンマロン酸ジn−プロピル残基単位、2−カルボキシベンジリデンマロン酸ジn−プロピル残基単位、3−カルボキシベンジリデンマロン酸ジn−プロピル残基単位、4−カルボキシベンジリデンマロン酸ジn−プロピル残基単位、2−ヒドロキシベンジリデンマロン酸ジイソプロピル残基単位、3−ヒドロキシベンジリデンマロン酸ジイソプロピル残基単位、4−ヒドロキシベンジリデンマロン酸ジイソプロピル残基単位、2−カルボキシベンジリデンマロン酸ジイソプロピル残基単位、3−カルボキシベンジリデンマロン酸ジイソプロピル残基単位、4−カルボキシベンジリデンマロン酸ジイソプロピル残基単位、N,N−ジメチル−2−ヒドロキシシンナムアミド残基単位、N,N−ジメチル−3−ヒドロキシシンナムアミド残基単位、N,N−ジメチル−4−ヒドロキシシンナムアミド残基単位、N,N−ジメチル−2−カルボキシシンナムアミド残基単位、N,N−ジメチル−3−カルボキシシンナムアミド残基単位、N,N−ジメチル−4−カルボキシシンナムアミド残基単位、N,N−ジエチル−2−ヒドロキシシンナムアミド残基単位、N
,N−ジエチル−3−ヒドロキシシンナムアミド残基単位、N,N−ジエチル−4−ヒドロキシシンナムアミド残基単位、N,N−ジエチル−2−カルボキシシンナムアミド残基単位、N,N−ジエチル−3−カルボキシシンナムアミド残基単位、N,N−ジエチル−4−カルボキシシンナムアミド残基単位、N,N−ジn−プロピル−2−ヒドロキシシンナムアミド残基単位、N,N−ジn−プロピル−3−ヒドロキシシンナムアミド残基単位、N,N−ジn−プロピル−4−ヒドロキシシンナムアミド残基単位、N,N−ジn−プロピル−2−カルボキシシンナムアミド残基単位、N,N−ジn−プロピル−3−カルボキシシンナムアミド残基単位、N,N−ジn−プロピル−4−カルボキシシンナムアミド残基単位、N,N−ジn−プロピル−2−ヒドロキシシンナムアミド残基単位、N,N−ジn−プロピル−3−ヒドロキシシンナムアミド残基単位、N,N−ジn−プロピル−4−ヒドロキシシンナムアミド残基単位、N,N−ジn−プロピル−2−カルボキシシンナムアミド残基単位、N,N−ジn−プロピル−3−カルボキシシンナムアミド残基単位、
N,N−ジn−プロピル−4−カルボキシシンナムアミド残基単位、N,N−ジイソプロピル−2−ヒドロキシシンナムアミド残基単位、N,N−ジイソプロピル−3−ヒドロキシシンナムアミド残基単位、N,N−ジイソプロピル−4−ヒドロキシシンナムアミド残基単位、N,N−ジイソプロピル−2−カルボキシシンナムアミド残基単位、N,N−ジイソプロピル−3−カルボキシシンナムアミド残基単位、N,N−ジイソプロピル−4−カルボキシシンナムアミド残基単位等からなる群の少なくとも1種が挙げられる。本発明において、一般式(1)で表される残基単位Aは1種含まれていても良いし、複数種含まれていても良い。
これらの中でも高い位相差及び異種ポリマーとの高い相溶性を発現することから、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸メチル残基単位、α−シアノ−2−ヒドロキシケイ皮酸エチル残基単位、α−シアノ−3−ヒドロキシケイ皮酸エチル残基単位、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸エチル残基単位、α−シアノ−2,4−ジヒドロキシケイ皮酸メチル残基単位等のα−シアノ−ヒドロキシケイ皮酸エステル残基単位;α−シアノ−4−カルボキシケイ皮酸メチル残基単位、α−シアノ−4−カルボキシケイ皮酸エチル残基単位、α−シアノ−2,3−ジカルボキシケイ皮酸メチル残基単位、α−シアノ−2,3−ジカルボキシケイ皮酸エチル残基単位等のα−シアノ−カルボキシケイ皮酸エステル残基単位;α−シアノ−2−カルボキシ−3−ヒドロキシケイ皮酸メチル残基単位、α−シアノ−2−カルボキシ−3−ヒドロキシケイ皮酸エチル残基単位等のα−シアノ−カルボキシ−ヒドロキシケイ皮酸エステル残基単位;4−ヒドロキシベンザルマロノニトリル残基単位、2,3−ジヒドロキシ−ベンザルマロノニトリル残基単位等のヒドロキシベンザルマロノニトリル残基単位;4−カルボキシベンザルマロノニトリル残基単位、2,3−ジカ
ルボキシベンザルマロノニトリル残基単位等のカルボキシベンザルマロノニトリル残基単位;2−カルボキシ−3−ヒドロキシベンザルマロノニトリル残基単位等のカルボキシ−ヒドロキシベンザルマロノニトリル残基単位;ヒドロキシシンナモニトリル残基単位;カルボキシシンナモニトリル残基単位;ヒドロキシカルコン残基単位;カルボキシカルコン残基単位;ヒドロキシベンジリデンマロン酸ジメチル残基単位、ヒドロキシベンジリデンマロン酸ジエチル残基単位、ヒドロキシベンジリデンマロン酸ジn−プロピル残基単位、ヒドロキシベンジリデンマロン酸ジイソプロピル残基単位等のヒドロキシベンジリデンマロン酸ジエステル残基単位;カルボキシベンジリデンマロン酸ジメチル残基単位、カルボキシベンジリデンマロン酸ジエチル残基単位、カルボキシベンジリデンマロン酸ジn−プロピル残基単位、カルボキシベンジリデンマロン酸ジイソプロピル残基単位等のカルボキシベンジリデンマロン酸ジエステル残基単位;N,N−ジメチル−4−ヒドロキシシンナムアミド残基単位、N,N−ジエチル−4−ヒドロキシンナムアミド残基単位、N,N−ジn−プロピル−4−ヒドロキシシンナムアミド残基単位、N,N−ジイソプロピル−4−ヒドロキシシンナムアミド残基単位等のN,N−ジアルキルヒドロキシシンナムアミド残基単位;N,N−ジメチル−4−カルボキシシンナムアミド残基単位、N,N−ジエチル−4−カルボキシンナムアミド残基単位、N,N−ジn−プロピル−4−カルボキシシンナムアミド残基単位、N,N−ジイソプロピル−4−カルボキシシンナムアミド残基単位等のN,N−ジアルキルカルボキシキシシンナムアミド残基単位からなる群の少なくとも1種が好ましく、α−シアノ−ヒドロキシケイ皮酸エステル残基単位;ヒドロキシベンザルマロノニトリル残基単位、α−シアノ−カルボキシケイ皮酸エステル残基単位;カルボキシベンザルマロノニトリル残基単位、ヒドロキシベンジリデンマロン酸ジエステル残基単位、カルボキシベンジリデンマロン酸ジエステル残基単位からなる群の少なくとも1種がさらに好ましい。
本発明の一般式(2)におけるR8はヘテロ原子を1つ以上含むm員環複素環残基またはヘテロ原子を含まない5員環残基もしくは6員環残基を示し(ただし、R8がヘテロ原子を含まない6員環残基のとき、一般式(1)におけるR3〜R7のいずれか1以上がヒドロキシ基を示す。)、mは5〜10の整数を示す。前記m員環複素環残基、前記5員環残基、および前記6員環残基は他の環状構造と縮合環構造を形成してもよい。
本発明の一般式(2)におけるR8は、より高い位相差が発現することから、ヘテロ原子を1つ以上含む5員環複素環残基または6員環複素環残基であることが好ましく、窒素原子または酸素原子を1つ以上含む5員環複素環残基または6員環複素環残基であることがさらに好ましい。ここで、本発明の一般式(2)におけるR8が前記m員環複素環残基であるときのヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等が挙げられるものである。また、R8がヘテロ原子を含まない6員環残基である場合、一般式(1)におけるR3〜R7のいずれか1以上がヒドロキシ基である共重合体は、本発明に係る効果を奏し、本発明に含まれるものである。
具体的な一般式(2)で表される残基単位Bとしては、例えば、1−ビニルピロール残基単位、2−ビニルピロール残基単位、1−ビニルインドール残基単位、9−ビニルカルバゾール残基単位、2−ビニルキノリン残基単位、4−ビニルキノリン残基単位、1−ビニルイソキノリン残基単位、2−ビニルピリジン残基単位、3−ビニルピリジン残基単位、4−ビニルピリジン残基単位、1−ビニルイミダゾール残基単位、2−ビニルイミダゾール残基単位、4−ビニルイミダゾール残基単位、5−ビニル−2−ピラゾリン残基単位、2−ビニルピラジン残基単位、ビニル−s−トリアジン残基単位、10−ビニル−9−ヒドロアクリジン残基単位、1−ビニルテトラゾール残基単位、5−ビニルテトラゾール残基単位、N−ビニルピロリドン残基単位、N−ビニル−ε−カプロラクタム残基単位、N−ビニルスクシンイミド残基単位、N−ビニルフタルイミド残基単位、N−ビニルサッカリン残基単位、2−ビニルフラン残基単位、3−ビニルフラン残基単位、2−ビニルベンゾフラン残基単位、2−ビニルチオフェン残基単位、3−ビニルチオフェン残基単位、2−ビニルベンゾチオフェン残基単位、2−ビニルベンゾオキサゾール残基単位、N−ビ
ニルオキサゾリドン残基単位、2−ビニルチアゾール残基単位、2−ビニルベンゾチアゾール残基単位、スチレン残基単位、2−ビニルナフタレン残基単位等およびその置換基付加物等からなる群の少なくとも1種が挙げられる。本発明において、一般式(2)で表される残基単位Bは1種含まれていても良いし、複数種含まれていても良い。
これらの中でも、高い位相差を発現することから、1−ビニルピロール残基単位、2−ビニルピロール残基単位、1−ビニルインドール残基単位、9−ビニルカルバゾール残基単位、2−ビニルキノリン残基単位、4−ビニルキノリン残基単位、N−ビニルフタルイミド残基単位、N−ビニルスクシンイミド残基単位、2−ビニルフラン残基単位、2−ビニルベンゾフラン残基単位、スチレン残基単位、2−ビニルナフタレン残基単位からなる群の少なくとも1種が好ましく、9−ビニルカルバゾール残基単位、N−ビニルフタルイミド残基単位の少なくともいずれかがさらに好ましい。
本発明の一般式(3)におけるR9、R10はそれぞれ独立して水素、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、または炭素数3〜6の環状アルキル基からなる群の1種を示す。
R9、R10における炭素数1〜12の直鎖状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられ、炭素数1〜12の分岐状アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、炭素数3〜6の環状アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
本発明の一般式(3)におけるR9、R10としては、光の波長450nmにおける面内位相差(Re)と光の波長550nmにおける面内位相差(Re)の比Re(450)/Re(550)が良好となることから、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、3−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソへキシル基、ネオへキシル基からなる群の1種が好ましく、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基からなる群の1種がさらに好ましい。
具体的な一般式(3)で表される残基単位Cとしては、例えば、アクリル酸残基単位、メタクリル酸残基単位、2−エチルアクリル酸残基単位、2−プロピルアクリル酸残基単位、2−イソプロピルアクリル酸残基単位、2−ペンチルアクリル酸残基単位、2−ヘキシルアクリル酸残基単位、アクリル酸メチル残基単位、アクリル酸エチル残基単位、アクリル酸プロピル残基単位、アクリル酸イソプロピル残基単位、アクリル酸ブチル残基単位、アクリル酸イソブチル残基単位、アクリル酸sec−ブチル残基単位、アクリル酸ペンチル残基単位、アクリル酸イソペンチル残基単位、アクリル酸sec−ペンチル残基単位、アクリル酸3−ペンチル残基単位、アクリル酸ネオペンチル残基単位、アクリル酸へキシル残基単位、アクリル酸イソへキシル残基単位、アクリル酸ネオへキシル残基単位、メタクリル酸メチル残基単位、メタクリル酸エチル残基単位、メタクリル酸プロピル残基単位、メタクリル酸イソプロピル残基単位、メタクリル酸ブチル残基単位、メタクリル酸イソブチル残基単位、メタクリル酸sec−ブチル残基単位、メタクリル酸ペンチル残基単位、メタクリル酸イソペンチル残基単位、メタクリル酸sec−ペンチル残基単位、メタクリル酸3−ペンチル残基単位、メタクリル酸ネオペンチル残基単位、メタクリル酸へキシル残基単位、メタクリル酸イソへキシル残基単位、メタクリル酸ネオへキシル残基単位、2−エチルアクリル酸メチル残基単位、2−エチルアクリル酸エチル残基単位、2−エチルアクリル酸プロピル残基単位、2−エチルアクリル酸イソプロピル残基単位、2−エチルアクリル酸ブチル残基単位、2−エチルアクリル酸イソブチル残基単位、2−エチルアクリル酸sec−ブチル残基単位等からなる群の少なくとも1種が挙げられる。
このなかでも、光の波長450nmにおける面内位相差(Re)と光の波長550nmにおける面内位相差(Re)の比Re(450)/Re(550)が良好となることから、アクリル酸メチル残基単位、アクリル酸エチル残基単位、アクリル酸プロピル残基単位、アクリル酸イソプロピル残基単位、アクリル酸ブチル残基単位、アクリル酸イソブチル残基単位、アクリル酸sec−ブチル残基単位、メタクリル酸メチル残基単位、メタクリル酸エチル残基単位、メタクリル酸プロピル残基単位、メタクリル酸イソプロピル残基単位、メタクリル酸ブチル残基単位、メタクリル酸イソブチル残基単位、メタクリル酸sec−ブチル残基単位、メタクリル酸メチル残基単位、メタクリル酸エチル残基単位、メタクリル酸プロピル残基単位、メタクリル酸イソプロピル残基単位、メタクリル酸ブチル残基単位、メタクリル酸イソブチル残基単位、メタクリル酸sec−ブチル残基単位が好ましく、メタクリル酸メチル残基単位、メタクリル酸エチル残基単位、メタクリル酸プロピル残基単位、メタクリル酸イソプロピル残基単位、メタクリル酸ブチル残基単位、メタクリル酸イソブチル残基単位、メタクリル酸sec−ブチル残基単位からなる群の少なくとも1種がさらに好ましい。
本発明の共重合体は、一般式(1)で表される残基単位A、一般式(2)で表される残基単位Bおよび一般式(3)で表される残基単位Cを含む限り特に制限はないが、良好な相溶性を発現し、異種ポリマーとの複合化を容易にするのにより好適なものとなることから、α−シアノ−2−ヒドロキシケイ皮酸エステル−スチレン−アクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−2−ヒドロキシケイ皮酸エステル−2−ビニルナフタレン−アクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−2−ヒドロキシケイ皮酸エステル−1−ビニルインドール−アクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−2−ヒドロキシケイ皮酸エステル−9−ビニルカルバゾール−アクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−2−ヒドロキシケイ皮酸エステル−N−ビニルスクシンイミド−アクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−2−ヒドロキシケイ皮酸エステル−N−ビニルフタルイミド−アクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−2−ヒドロキシケイ皮酸エステル−2−ビニルフラン−アクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−2−ヒドロキシケイ皮酸エステル−2−ビニルベンゾフラン−アクリル酸エステル共重合体、2−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−スチレン−アクリル酸エステル共重合体、2−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−2−ビニルナフタレン−アクリル酸エステル共重合体、2−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−1−ビニルインドール−アクリル酸エステル共重合体、2−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−9−ビニルカルバゾール−アクリル酸エステル共重合体、2−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−N−ビニルスクシンイミド−アクリル酸エステル共重合体、2−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−N−ビニルフタルイミド−アクリル酸エステル共重合体、2−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−2−ビニルフラン−アクリル酸エステル共重合体、2−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−2−ビニルベンゾフラン−アクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−3−ヒドロキシケイ皮酸エステル−スチレン−アクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−3−ヒドロキシケイ皮酸エステル−2−ビニルナフタレン−アクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−3−ヒドロキシケイ皮酸エステル−1−ビニルインドール−アクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−3−ヒドロキシケイ皮酸エステル−9−ビニルカルバゾール−アクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−3−ヒドロキシケイ皮酸エステル−N−ビニルスクシンイミド−アクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−3−ヒドロキシケイ皮酸エステル−N−ビニルフタルイミド−アクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−3−ヒドロキシケイ皮酸エステル−2−ビニルフラン−アクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−3−ヒドロキシケイ皮酸エステル−2−ビニルベンゾフラン−アクリル酸エステル共重合体、3−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−スチレン−アクリル酸エステル共重合体、3−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−2−ビニルナフタレン−アクリル酸エステル共重合体、3−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−1−ビニルインドール−アクリル酸エステル共重合体、3−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−9−ビニルカルバゾール−アクリル酸エステル共重合体、3−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−N−ビニルスクシンイミド−アクリル酸エステル共重合体、3−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−N−ビニルフタルイミド−アクリル酸エステル共重合体、3
−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−2−ビニルフラン−アクリル酸エステル共重合体、3−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−2−ビニルベンゾフラン−アクリル酸エステル共重合体、4−ヒドロキシ−α−シアノケイ皮酸エステル−スチレン−アクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸エステル−2−ビニルナフタレン−アクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸エステル−1−ビニルインドール−アクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸エステル−9−ビニルカルバゾール−アクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸エステル−N−ビニルスクシンイミド−アクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸エステル−N−ビニルフタルイミド−アクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸エステル−2−ビニルフラン−アクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸エステル−2−ビニルベンゾフラン−アクリル酸エステル共重合体、4−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−スチレン−アクリル酸エステル共重合体、4−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−2−ビニルナフタレン−アクリル酸エステル共重合体、4−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−1−ビニルインドール−アクリル酸エステル共重合体、4−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−9−ビニルカルバゾール−アクリル酸エステル共重合体、4−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−N−ビニルスクシンイミド−アクリル酸エステル共重合体、4−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−N−ビニルフタルイミド−アクリル酸エステル共重合体、4−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−2−ビニルフラン−アクリル酸エステル共重合体、4−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−2−ビニルベンゾフラン−アクリル酸エステル共重合体、2−ヒドロキシ−α−シアノケイ皮酸エステル−スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、2−ヒドロキシ−α−シアノケイ皮酸エステル−2−ビニルナフタレン−メタクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−2−ヒドロキシケイ皮酸エステル−1−ビニルインドール−メタクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−2−ヒドロキシケイ皮酸エステル−9−ビニルカルバゾール−メタクリル酸エステル共重合体、α−シアノ
−2−ヒドロキシケイ皮酸エステル−N−ビニルスクシンイミド−メタクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−2−ヒドロキシケイ皮酸エステル−N−ビニルフタルイミド−メタクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−2−ヒドロキシケイ皮酸エステル−2−ビニルフラン−メタクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−2−ヒドロキシケイ皮酸エステル−2−ビニルベンゾフラン−メタクリル酸エステル共重合体、2−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、2−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−2−ビニルナフタレン−メタクリル酸エステル共重合体、2−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−1−ビニルインドール−メタクリル酸エステル共重合体、2−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−9−ビニルカルバゾール−メタクリル酸エステル共重合体、2−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−N−ビニルスクシンイミド−メタクリル酸エステル共重合体、2−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−N−ビニルフタルイミド−メタクリル酸エステル共重合体、2−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−2−ビニルフラン−メタクリル酸エステル共重合体、2−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−2−ビニルベンゾフラン−メタクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−3−ヒドロキシケイ皮酸エステル−スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−3−ヒドロキシケイ皮酸エステル−2−ビニルナフタレン−メタクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−3−ヒドロキシケイ皮酸エステル−1−ビニルインドール−メタクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−3−ヒドロキシケイ皮酸エステル−9−ビニルカルバゾール−メタクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−3−ヒドロキシケイ皮酸エステル−N−ビニルスクシンイミド−メタクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−3−ヒドロキシケイ皮酸エステル−N−ビニルフタルイミド−メタクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−3−ヒドロキシケイ皮酸エステル−2−ビニルフラン−メタクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−3−ヒドロキシケイ皮酸エステル−2−ビニルベンゾフラン−メタクリル酸エステル共重合体、3−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、3−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−2−ビニルナフタレン−メタクリル酸エステル共重合体、3−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−1−ビニルインドール−メタクリル酸エステル共重合体、3−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−9−ビニルカルバゾール−メタクリル酸エステル共重合体、3−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−N−ビニルスクシンイミド−メタクリル酸エステル共重合体、3−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−N−ビニルフタルイミド−メタクリル酸エステル共重合体、3−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−2−ビニルフラン−メタクリル酸エステル共重合体、3−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−2−ビニルベンゾフラン−メタクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸エステル−スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸エステル−2−ビニルナフタレン−メタクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸エステル−1−ビニルインドール−メタクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸エステル−9−ビニルカルバゾール−メタクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−4−ヒ
ドロキシケイ皮酸エステル−N−ビニルスクシンイミド−メタクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸エステル−N−ビニルフタルイミド−メタクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸エステル−2−ビニルフラン−メタクリル酸エステル共重合体、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸エステル−2−ビニルベンゾフラン−メタクリル酸エステル共重合体、4−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、4−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−2−ビニルナフタレン−メタクリル酸エステル共重合体、4−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−1−ビニルインドール−メタクリル酸エステル共重合体、4−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−9−ビニルカルバゾール−メタクリル酸エステル共重合体、4−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−N−ビニルスクシンイミド−メタクリル酸エステル共重合体、4−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−N−ビニルフタルイミド−メタクリル酸エステル共重合体、4−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−2−ビニルフラン
−メタクリル酸エステル共重合体、4−ヒドロキシベンザルマロノニトリル−2−ビニルベンゾフラン−メタクリル酸エステル共重合体からなる群の少なくとも1種が好ましい。
また、本発明の共重合体としては、良好な光学特性を発現するため、一般式(1)で表される残基単位Aおよび一般式(3)で表される残基単位Cを含み、さらに残基単位Bが、一般式(4)で表される残基単位を含むことが好ましい。
(ここで、R11〜R18はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、炭素数3〜14の環状基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、チオール基、アルコキシ基(−OX13)、エステル基(−C(=O)OX14または−CO(=O)−X15)、アミド基(−C(=O)N(X16)(X17)または−NX18C(=O)X19)、アシル基(−C(=O)X20)またはアミノ基(−N(X21)(X22))(ここで、X13〜X15は、それぞれ独立して炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、または炭素数3〜14の環状基を示し、X16〜X22は、それぞれ独立して水素、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、または炭素数3〜14の環状基からなる群の1種を示す。)からなる群の1種を示す。また、R11〜R18は隣接する置換基同士で縮合環構造を形成してもよく、R11とR17およびR12とR18は同一原子で環構造を形成していてもよい。)
本発明における一般式(4)におけるR11〜R18はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、炭素数3〜14の環状基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、チオール基、アルコキシ基(−OX13)、エステル基(−C(=O)OX14または−CO(=O)−X15)、アミド基(−C(=O)N(X16)(X17)または−NX18C(=O)X19)、アシル基(−C(=O)X20)またはアミノ基(−N(X21)(X22))(ここで、X13〜X15は、それぞれ独立して炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、または炭素数3〜14の環状基からなる群の1種を示し、X16〜X22は、それぞれ独立して水素、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、または炭素数3〜14の環状基からなる群の1種を示す。)からなる群の1種を示す。また、R11〜R18は隣接する置換基同士で縮合環構造を形成してもよく、R11とR17およびR12とR18は同一原子であって環構造を形成していてもよい。
R11〜R18におけるハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素等が挙げられ、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜12の直鎖状アルキル基が挙げられ、炭素数1〜12の分岐状アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜12の分岐状アルキル基が挙げられ、炭素数3〜14の環状基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンタニル基、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フリル基、ピラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、インドリル基、カルバゾリル基等の炭素数3〜14の環状基が挙げられ、具体的なアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられ、具体的なエステル基としては、例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、アセトキシ基、プロポキシ基等が挙げられ、具体的なアミド基としては、例えば、ジメチルアミド基、ジエチルアミド基等が挙げられ、具体的なアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等が挙げられ、具体的なアミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等が挙げられる。
X13〜X22における炭素数1〜12の直鎖状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられ、炭素数1〜12の分岐状アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基等が挙げられ、炭素数3〜14の環状基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
そして、具体的な一般式(4)で表される残基単位としては、例えば、N−ビニルインドール残基単位、N−メチル−3−ビニルインドール残基単位等のインドール類残基単位;9−ビニルカルバゾール残基単位、3−メチル−N−ビニルカルバゾール、3−クロロ−N−ビニルカルバゾール等の9−ビニルカルバゾール類残基単位等からなる群の少なくとも1種を例示することができる。この中でも、より高い負の位相差と異種ポリマーとのより高い相溶性を発現するため、9−ビニルカルバゾール類残基単位が好ましく、9−ビニルカルバゾール残基単位がさらに好ましい。
本発明の共重合体は、本発明の範囲を超えない限り、他の単量体残基単位を含有していてもよく、他の単量体残基単位としては、例えば、α−メチルスチレン残基単位、trans−スチルベン等のスチレン類残基単位;酢酸ビニル残基単位、プロピオン酸ビニル残基単位等のビニルエステル類残基単位;アクリロニトリル残基単位;メタクリロニトリル残基単位;メチルビニルエーテル残基単位、エチルビニルエーテル残基単位、ブチルビニルエーテル残基単位等のビニルエーテル類残基単位;フマル酸ジエチル残基単位、フマル酸エステル残基単位;N−メチルマレイミド残基単位、N−シクロヘキシルマレイミド残基単位、N−フェニルマレイミド残基単位等のN−置換マレイミド類残基単位;エチレン残基単位、プロピレン残基単位等のオレフィン類残基単位等より選ばれる1種または2種以上を挙げることができる。
本発明の共重合体の組成は、位相差フィルムとしたときの位相差特性が優れたものとなることから、一般式(1)で表される残基単位Aと一般式(2)で表される残基単位Bとのモル比A/Bが0.05〜6であることが好ましく、0.1〜3であることがさらに好ましく、0.18〜2であることが特に好ましく、0.25〜1であることが最も好ましい。
本発明の共重合体の組成は、光の波長450nmにおける面内位相差(Re)と光の波長550nmにおける面内位相差(Re)の比Re(450)/Re(550)が良好となることから、一般式(1)で表される残基単位Aと一般式(3)で表される残基単位Cとのモル比A/Cが0.02〜50であることが好ましく、0.1〜25であることがさらに好ましく、0.25〜20であることが特に好ましく、0.5〜15であることが最も好ましい。
本発明の共重合体のうち、残基単位Bが一般式(4)で表される残基単位以外の残基単位Bである共重合体については、機械特性に優れたものとなることから、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)により測定した溶出曲線より得られる標準ポリスチレン換算の数平均分子量が3,000〜500,000であることが好ましく、5,000〜400,000であることがさらに好ましく、10,000〜300,000であることが特に好ましい。本発明の共重合体のうち、残基単位Bが一般式(4)で表される残基単位である共重合体については、機械特性に優れたものとなることから、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)により測定した溶出曲線より得られる標準プルラン換算の数平均分子量が3,000〜500,000であることが好ましく、5,000〜400,000であることがさらに好ましく、10,000〜300,000であることが特に好ましい。
本発明の共重合体のガラス転移温度は、位相差フィルムとしたときの位相差特性が優れたものとなることから、150℃以上であることが好ましく、170℃以上であることがさらに好ましく、180℃以上であることが特に好ましい。
本発明の共重合体の具体的な製造方法としては、一般式(1)で表される残基単位A、一般式(2)で表される残基単位Bおよび一般式(3)で表される残基単位Cを含む共重合体が得られる限りにおいて如何なる方法により製造してもよく、例えば、ラジカル重合を行うことにより製造することができる。
前記ラジカル重合としては公知の重合方法を採用でき、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、乳化重合法のいずれも採用可能である。
ラジカル重合を行う際の重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系開始剤等が挙げられる。
そして、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、乳化重合法を採用する場合において使用可能な溶媒として特に制限はなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;シクロヘキサン;ジオキサン;テトラヒドロフラン;アセトン;メチルエチルケトン;N,N−ジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシド;酢酸イソプロピル;水等が挙げられ、これらの混合溶媒も挙げられる。
また、ラジカル重合を行う際の重合温度は、重合開始剤の分解温度に応じて適宜設定することができ、反応の制御が容易であることから、一般的には30〜150℃の範囲で行うことが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、本発明の共重合体と正の固有複屈折を有する樹脂とをブレンドすることによって得られるものであり、該正の固有複屈折を有する樹脂としては、該樹脂を用いて位相差特性に優れる光学フィルムが得られる限り特に制限はなく、例えば、セルロース系樹脂、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタン等が挙げられ、より位相差特性に優れる光学フィルムが得られることから、セルロース系樹脂が好ましい。
セルロース系樹脂としては、光学フィルムとした際に透明性および位相差特性に優れ、かつ延伸加工性に優れるものとなることから、下記一般式(5)で示されるセルロース系樹脂であることが好ましい。
(式中、R19〜R21はそれぞれ独立して水素、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、炭素数3〜14の環状基、またはアシル基(−C(=O)X23)(ここで、X23は炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、または炭素数3〜14の環状基からなる群の1種を示す。)からなる群の1種を示す。)
本発明の樹脂組成物が含有するセルロース樹脂としては、例えば、アルキルセルロース(メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース等)、ヒドロキシアルキルセルロース(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、アラルキルセルロース(ベンジルセルロース、トリチルセルロース等)、シアノアルキルセルロース(シアンエチルセルロース等)、カルボキシアルキルセルロース(カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等)、カルボキシアルキルアルキルセルロース(カルボキシメチルメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース等)、アミノアルキルセルロース(アミノエチルセルロース等)、セルロースエステル(トリアセチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート等)等からなる群の少なくとも1種が挙げられ、位相差特性および透明性により優れた光学フィルムが得られることから、エチルセルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートからなる群の少なくとも1種が好ましい。
セルロースの水酸基の酸素原子を介して置換している置換度は、2位、3位および6位のそれぞれについて、セルロースが置換されている割合(100%の置換は置換度3)を意味し、置換度、有機溶剤への溶解性、異種ポリマーとの相溶性、延伸加工性が良好なことから、好ましくは1.5〜3.0であり、さらに好ましくは1.8〜2.8である。
本発明のセルロース系樹脂は、機械特性に優れ、製膜時の成形加工性に優れたものとなることから、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)により測定した溶出曲線より得られる標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が1,000〜1,000,000であることが好ましく、5,000〜200,000であることがさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物における本発明の共重合体と正の固有複屈折を有する樹脂の組成の割合は、光学フィルムとする際の位相差の制御に好適なため、本発明の共重合体1重量%以上70重量%以下かつ正の固有複屈折を有する樹脂30重量%以上99重量%以下であることが好ましい。
さらに好ましくは本発明の共重合体10重量%以上65重量%以下かつ正の固有複屈折を有する樹脂35重量%以上90重量%以下であり、特に好ましくは本発明の共重合体18重量%以上60重量%以下かつ正の固有複屈折を有する樹脂40重量%以上82重量%以下である。
本発明の樹脂組成物は、前述の共重合体と前述の正の固有複屈折を有する樹脂をブレンドすることにより得ることができる。
ブレンドの方法としては、溶液ブレンド法を用いることができる。溶液ブレンド法とは樹脂等を溶剤に溶解しブレンドする方法である。溶液ブレンドに用いる溶剤としては、共重合体および正の固有複屈折を有する樹脂を溶解できる溶剤であればいかなる溶剤であっても構わないが、乾燥工程において、残溶剤が残りにくい様、溶剤の沸点は200℃以下が好ましく、170℃以下がより好ましい。
該溶剤としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;フェノール、バラクロロフエノールなどのフェノール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、メシチレン、1,2−ジメトキシベンゼンなどの芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなどのケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒;t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールのようなアルコール系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド系溶媒;アセトニトリル、ブチロニトリルのようなニトリル系溶媒;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル系溶媒;二硫化炭素、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブからなる群の少なくとも1種をあげることができ、それらを単独または混合した溶媒が挙げられる。
本発明の樹脂組成物を用いたフィルムを製造する際の樹脂組成物の溶液(以下、「樹脂溶液」という)は、共重合体および正の固有複屈折を有する樹脂を溶剤に溶解し調製することができる。
樹脂溶液の粘度は、重合体の分子量、重合体の濃度、溶剤の種類で調整可能である。樹脂溶液の粘度としては特に制限はないが、フィルム塗工性をより容易にするため、好ましくは50〜30000cps、さらに好ましくは100〜20000cps、特に好ましくは300〜10000cpsである。
該樹脂溶液は、粘度の点より、溶媒100重量部に対して、上記共重合体および正の固有複屈折を有する樹脂の合計が5重量部以上60重量部以下であることが好ましく、10重量部以上50重量部以下であることがさらに好ましい。
樹脂等を溶剤に溶解したのちブレンドすることも可能であり、各樹脂の粉体、ペレット等を混練後、溶剤に溶解させることも可能である。得られたブレンド樹脂溶液を貧溶剤に投入し、樹脂組成物を析出させることも可能であり、またブレンド樹脂溶液のまま光学フィルムの製造に用いることも可能である。
塗工工程においては、溶液キャスト法を用いて塗工することが好ましい。ここで、溶液キャスト法とは、樹脂溶液(一般にはド−プと称する。)を支持基材上に流延し塗工した後、加熱することにより溶媒を蒸発させてフィルムを得る方法である。塗工方法は特に制限されず、通常の方法を採用できる。例えば、Tダイ法、ドクターブレード法、バーコーター法、スロットダイ法、リップコーター法、リバースグラビアコート法、マイクログラビア法、スピンコート法、刷毛塗り法、ロールコート法、フレキソ印刷法などがあげられる。また、用いられる支持基材としては、特に制限はないが、例えばポリエステルやポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデン、トリアセチルセルロースやポリビニルアルコール、ポリイミドやポリアリレート、ポリスルホンやポリエーテルスルホン、エポキシ系樹脂等からなる高分子基材、ガラス板や石英基板などのガラス基材、アルミやステンレスやフェロタイプ等の金属基材、セラミックス基板などの無機基材等が挙げられる。上記基材として好ましくは、高分子基材または金属基材である。
乾燥工程における乾燥方法は特に制限されず、通常の加熱手段を採用できる。例えば、熱風器、加熱ロール、遠赤外線ヒーター等により塗工膜を処理する方法があげられる。
本発明の製造方法では、第1の低温乾燥工程と第2の高温乾燥工程の2段階以上の乾燥工程を有し、3段階以上の乾燥工程が好ましい。第1の低温乾燥工程を2段階以上に分けてもよく、第2の高温乾燥工程を2段階以上に分けてもよい。
具体的には第1の乾燥工程における乾燥温度は20℃以上79℃℃以下であり、30℃以上79℃以下が好ましく、40℃以上79℃以下がさらに好ましい。第1の乾燥工程における温度が20℃以上未満であると溶剤の揮発が速くなり、生産性に優れる。一報、79℃以下である場合、外観悪化を抑止でき、位相差の制御が容易となる。
また第1の乾燥工程により得られた塗工膜における溶剤を含む樹脂組成物に対する残溶剤量は3重量%以上50重量%以下であることが好ましく、5重量%以上30重量%以下がさらに好ましい。該残溶剤量が3重量%以上である場合、より短時間で乾燥することができ、生産性が向上する。また、残溶剤量が50重量%以下である場合、外観悪化を抑制でき、位相差制御がより容易となる。
第2の乾燥工程における乾燥温度は80℃以上200℃以下である。本発明において、第2の乾燥工程以降の乾燥温度が第1の乾燥工程より高いことで、乾燥時間が短時間となり、生産性が向上する。また乾燥温度が200℃よりも低いことにより、樹脂組成物の構成成分の分解(フィルムの脆化、着色)や外観の悪化を抑制することができる。
本発明の乾燥工程を3段階で行う場合、前述の第2の乾燥工程を2段に分けることが好ましい。この際、乾燥温度80℃以上140℃以下の工程と、乾燥温度140℃を超え200℃以下の工程とすることが好ましい。この際、乾燥温度80℃以上140℃以下の工程を第2の乾燥工程と称し、乾燥温度140℃を超え200℃以下の工程を第3の乾燥工程と称してもよい。第2の乾燥工程における乾燥時間は30秒以上15分以下が好ましい。また、第3の乾燥工程における乾燥時間は1分以上15分以下が好ましい。
第1の乾燥工程の乾燥時間は1分以上15分以下であることが好ましく、1分以上10分以下がさらに好ましい。1分以上であると溶剤の揮発が十分となり、得られるフィルムの外観悪化をより抑制できる。また、15分以下であることにより生産性が向上する。
本発明の製造方法では、第2の乾燥工程の後、基材より塗工膜を剥離するものである。
第2の乾燥工程の乾燥時間は1分以上20分以下であることが好ましく、1分以上15分以下が好ましい。1分以上であると溶剤の揮発が十分となり、外観悪化を抑制でき、かつ、位相差制御がより容易となる。また、15分以下の場合は生産性がより向上する。
本発明の樹脂組成物は、光学フィルムとして用いることができる。
本発明の製造方法により得られた透明光学フィルムは、フィルムの取扱い性及び光学部材の薄膜化への適合性の観点から、厚みが5μm以上200μm以下であることが好ましく、10μm以上100μm以下がさらに好ましく、20μm以上80μm以下が特に好ましい。
本発明の製造方法を用いて得られた光学フィルムは、面内位相差(Re)を発現するために少なくとも一軸方法に延伸していれば如何なる延伸方法でもよく、一軸延伸またはアンバランス二軸延伸することが好ましい。塗工膜を延伸する方法としては、ロ−ル延伸による縦一軸延伸法やテンタ−延伸による横一軸延伸法、斜め延伸法、これらの組み合わせによるアンバランス逐次二軸延伸法やアンバランス同時二軸延伸法等を用いることができるが、フィルムを偏光板と積層する際の生産性に優れることから特にテンタ−延伸による横一軸延伸法が好ましい。また、延伸後にフィルムを収縮させる処理を施しても良い。
延伸工程に供する、乾燥工程を経た塗工膜の厚みは、延伸処理のし易さおよび光学部材の薄膜化への適合性の観点から、10μm以上200μm以下が好ましく、15μm以上150μm以下がさらに好ましく、15μm以上110μm以下が特に好ましい。
延伸の際の温度は特に制限はないが、良好な位相差特性が得られることから、好ましくは50℃以上200℃以下、さらに好ましくは100℃以上180℃以下である。一軸延伸の延伸倍率は特に制限はないが、良好な位相差特性が得られることから、1.05〜4.0倍が好ましく、1.1〜3.5倍がさらに好ましい。アンバランス二軸延伸の延伸倍率は特に制限はないが、光学特性に優れた光学補償フィルムとなることから長さ方向には1.05〜4.0倍が好ましく、1.1〜3.5倍がさらに好ましく、光学特性に優れた光学フィルムとなることから、幅方向には1.0〜1.2倍が好ましく、1.0〜1.1倍がさらに好ましい。特に、フィルムを偏光板と積層する際の生産性に優れることからテンタ−延伸による横一軸延伸法が好ましく、光学特性に優れた光学フィルムとなることから延伸倍率は1.05〜4.0倍が好ましく、1.1〜3.5倍がさらに好ましい。延伸倍率により面内位相差(Re)を制御することができる。
本発明の塗工膜を延伸することで得られた光学フィルムは、位相差フィルムとして好適に用いることができる。
本発明の光学フィルムは、画質の特性が良好なものとなることから、光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。
本発明の光学フィルムは、画質の特性が良好なものとなることから、フィルムのヘーズ(曇り度)が2%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。
本発明の光学フィルムの位相差特性は、下記式(A)で示される面内位相差(Re)が好ましくは50〜500nm、さらに好ましくは100〜450nm、特に好ましくは100〜400nmであって、下記式(B)で示されるNz係数が好ましくは0≦Nz≦2.0、特に好ましくは0.30≦Nz≦1.90であるものが好ましい。このときの位相差特性は全自動複屈折計(AXOMETRICS製、商品名AxoScan)を用い、測定波長589nmの条件で測定されるものである。
Re=(nx−ny)×d (A)
Nz=(nx−nz)/(nx−ny) (B)
(式中、nxはフィルム面内の延伸軸方向の屈折率を示し、nyはフィルム面内の延伸軸に直交する方向の屈折率を示し、nzはフィルム面外(厚み方向)の屈折率を示し、dはフィルム厚みを示す。)
本発明の光学フィルムの波長分散特性としては、色ずれ抑制のため、450nmにおけるレターデーションと550nmにおけるレターデーションの比Re(450)/Re(550)が好ましくは0.60<Re(450)/Re(550)<1.10であり、さらに好ましくは0.70<Re(450)/Re(550)<1.02であり、特に好ましくは0.75<Re(450)/Re(550)<1.00である。
樹脂組成物は、フィルム成形時又はフィルム自体の熱安定性を高めるために酸化防止剤が配合されていることが好ましい。該酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、その他酸化防止剤等が挙げられ、これら酸化防止剤はそれぞれ単独又は併用して用いても良い。そして、相乗的に酸化防止作用が向上することからヒンダードフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤を併用して用いることが好ましく、その際には例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤100重量部に対してリン系酸化防止剤を100〜500重量部で混合して使用することが好ましい。また、酸化防止剤の添加量としては、樹脂組成物100重量部に対して0.01〜10重量部が好ましく、0.5〜1重量部がさらに好ましい。
さらに、紫外線吸収剤として、例えば、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、トリアジン、ベンゾエートなどの紫外線吸収剤を必要に応じて配合していてもよい。
該光学補償フィルムは、その他ポリマー、界面活性剤、高分子電解質、導電性錯体、無機フィラー、顔料、染料、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤等が配合されたものであってもよい。
本発明の光学フィルムは、偏光板と積層して円又は楕円偏光板として用いることもできるし、さらに、ポリビニルアルコール/沃素等からなる偏光子と積層し偏光板とすることもできる。また、本発明の光学フィルム同士又は他の光学フィルムと積層することもできる。
本発明によると、位相差フィルムに適した光学フィルムであり、特に位相差特性、波長依存性、延伸加工性に優れる光学フィルムを提供することができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、断りのない限り用いた試薬は市販品を用いた。
なお、実施例により示す諸物性は、以下の方法により測定した。
<数平均分子量の測定>
ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)装置(東ソー製、商品名:C0−8011(カラムGMHHR―Hを装着))を用い、テトラヒドロフランを溶媒として、40℃で測定し、標準ポリスチレン換算値として求めた。
<共重合体の組成>
重合体の構造解析は核磁気共鳴測定装置(日本電子製、商品名:JNM−GX270)を用い、プロトン核磁気共鳴分光(H−NMR)スペクトル分析より求めた。
<光学補償フィルムの光線透過率およびヘーズの測定>
作製した光学フィルムの光線透過率およびヘーズの測定は、ヘーズメーター(日本電色工業製、商品名:NDH2000)を使用し、光線透過率の測定はJIS K 7361−1(1997版)に、ヘーズの測定はJIS−K 7136(2000年版)に、それぞれ準拠して測定した。
<位相差特性の測定>
試料傾斜型自動複屈折計(王子計測機器製、商品名:KOBRA−WR)を用い、波長589nmの光を用いて光学フィルムの位相差特性を測定した。
<波長分散特性の測定>
試料傾斜型自動複屈折計(王子計測機器製、商品名:KOBRA−WR)を用い、波長450nmの光による位相差Re(450)と波長550nmの光による位相差Re(550)との比として光学フィルムの波長分散特性を測定した。
実施例1(α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸イソブチル/9−ビニルカルバゾール/アクリル酸イソブチル共重合体の合成)
容量50mLのガラスアンプルにα−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸イソブチル1.94g(0.0157モル)、9−ビニルカルバゾール6.05g(0.0313モル)、アクリル酸イソブチル2.01g(0.0157モル)、重合開始剤である2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン0.192g(0.00042モル)およびテトラヒドロフラン10gを入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを62℃の恒温槽に入れ、48時間保持することによりラジカル重合を行った。重合反応終了後、アンプルから重合物を取り出し、テトラヒドロフラン25gで溶解させた。このポリマー溶液を500mLのメタノール中に滴下して析出させた後、60℃で10時間真空乾燥することにより、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸イソブチル/9−ビニルカルバゾール/アクリル酸イソブチル共重合体8.6gを得た(収率:86%)。
得られたα−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸イソブチル/9−ビニルカルバゾール/アクリル酸イソブチル共重合体の数平均分子量は、標準ポリスチレン換算で14,000であった。
また、1H−NMR測定により、共重合体組成はα−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸イソブチル残基単位/9−ビニルカルバゾール残基単位/アクリル酸イソブチル残基単位=24/51/25(モル%)(残基単位A/残基単位B=0.47、残基単位A/残基単位C=0.96)であることを確認した。
得られたα−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸イソブチル/9−ビニルカルバゾール/アクリル酸イソブチル共重合体のガラス転移温度は、190℃であった。
実施例2(α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸イソブチル/9−ビニルカルバゾール/アクリル酸メチル共重合体の合成)
容量50mLのガラスアンプルにα−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸イソブチル2.84g(0.0229モル)、9−ビニルカルバゾール6.31g(0.0327モル)、アクリル酸メチル0.84g(0.0098モル)、重合開始剤である2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン0.20g(0.00044モル)およびテトラヒドロフラン10gを入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを62℃の恒温槽に入れ、48時間保持することによりラジカル重合を行った。重合反応終了後、アンプルから重合物を取り出し、テトラヒドロフラン25gで溶解させた。このポリマー溶液を500mLのメタノール中に滴下して析出させた後、60℃で10時間真空乾燥することにより、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸イソブチル/9−ビニルカルバゾール/アクリル酸メチル共重合体9.1gを得た(収率:91%)。
得られたα−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸イソブチル/9−ビニルカルバゾール/アクリル酸メチル共重合体の数平均分子量は、標準ポリスチレン換算で16,000であった。
また、1H−NMR測定により、共重合体組成はα−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸イソブチル残基単位/9−ビニルカルバゾール残基単位/アクリル酸メチル残基単位=30/56/14(モル%)(残基単位A/残基単位B=0.54、残基単位A/C=2.14)であることを確認した。
得られたα−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸イソブチル/9−ビニルカルバゾール/アクリル酸メチル共重合体のガラス転移温度は、220℃以上であった。
実施例3(α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸イソブチル/9−ビニルカルバゾール/アクリル酸イソブチル共重合体を含有する樹脂組成物を用いた光学フィルムの作製)
実施例1で得られたα−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸イソブチル/9−ビニルカルバゾール/アクリル酸イソブチル共重合体2.0g、正の固有複屈折を有する樹脂としてエチルセルロース(ダウ・ケミカル社製 エトセル スタンダード(ETHOCEL standard)100、分子量Mn=55,000、分子量Mw=176,000、Mw/Mn=3.2、全置換度DS=2.5)8.0gをトルエン/酢酸エチル=6/4(重量比)溶液に溶解して15重量%の樹脂溶液とし、コーターによりポリエチレンテレフタレートフィルム上に流涎し、乾燥温度70℃で2分乾燥の後165℃で5分乾燥にて2段乾燥した後、膜厚35μm、幅150mmのを得た(エチルセルロース:80重量%、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸イソブチル/9−ビニルカルバゾール/アクリル酸イソブチル共重合体:20重量%)。得られた塗工膜を50mm角に切り出し、152℃で3.0倍延伸した(延伸後の厚み25μm)。
得られた光学フィルムは全光線透過率91%、ヘーズ0.5%、位相差Re=165nm、Re(450)/Re(550)=0.86、Nz係数1.03であり、光線透過率が高く透明性に優れる、ヘーズが小さい、目的とする光学特性を有するものであった。
実施例4(α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸イソブチル/9−ビニルカルバゾール/アクリル酸イソブチル共重合体を含有する樹脂組成物を用いた光学フィルムの作製)
実施例1で得られたα−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸イソブチル/9−ビニルカルバゾール/アクリル酸イソブチル共重合体2.0g、正の固有複屈折を有する樹脂としてエチルセルロース(ダウ・ケミカル社製 エトセル スタンダード(ETHOCEL standard)100、分子量Mn=55,000、分子量Mw=176,000、Mw/Mn=3.2、全置換度DS=2.5)8.0gをトルエン/酢酸エチル=6/4(重量比)溶液に溶解して15重量%の樹脂溶液とし、コーターによりポリエチレンテレフタレートフィルム上に流涎し、乾燥温度60℃で4分乾燥、130℃で1分乾燥、155℃で5分乾燥の順に3段乾燥した後、膜厚90μm、幅150mmの塗工膜を得た(エチルセルロース:80重量%、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸イソブチル/9−ビニルカルバゾール/アクリル酸イソブチル共重合体:20重量%)。得られた塗工膜を50mm角に切り出し、152℃でテンター延伸法による横延伸で2.0倍延伸した(延伸後の厚み49μm)。
得られた光学フィルムは全光線透過率91%、ヘーズ0.5%、位相差Re=99nm、Re(450)/Re(550)=0.85、Nz係数1.8であり、光線透過率が高く透明性に優れる、ヘーズが小さい、目的とする光学特性を有するものであった。
実施例5(α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸イソブチル/9−ビニルカルバゾール/アクリル酸メチル共重合体を含有する樹脂組成物を用いた光学フィルムの作製)
実施例2で得られたα−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸イソブチル/9−ビニルカルバゾール/アクリル酸メチル共重合体1.9g、正の固有複屈折を有する樹脂としてエチルセルロース(ダウ・ケミカル社製 エトセル スタンダード(ETHOCEL standard)100、分子量Mn=55,000、分子量Mw=176,000、Mw/Mn=3.2、全置換度DS=2.5)8.1gをトルエン/酢酸エチル=6/4(重量比)溶液に溶解して15重量%の樹脂溶液とし、コーターによりポリエチレンテレフタレートフィルム上に流涎し、乾燥温度60℃で4分乾燥、130℃で1分乾燥、160℃で5分乾燥の順に3段乾燥した後、膜厚34μm、幅150mmの塗工膜を得た(エチルセルロース:81重量%、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸イソブチル/9−ビニルカルバゾール/アクリル酸メチル共重合体:19重量%)。得られた塗工膜を50mm角に切り出し、154℃で長さ方向に2.8倍延伸した(延伸後の厚み27μm)。
得られた光学フィルムは全光線透過率91%、ヘーズ0.5%、位相差Re=160nm、Re(450)/Re(550)=0.86、Nz係数1.05であり、光線透過率が高く透明性に優れる、ヘーズが小さい、目的とする光学特性を有するものであった。
比較例1
乾燥温度100℃にて10分、1段乾燥した他は実施例1と同様にフィルムを作成した。
得られたフィルムは光線透過率23%、ヘーズ56%であり、光学特性に劣り、位相差フィルムに適したものではなかった。
比較例2
乾燥温度40℃で5分乾燥の後70℃にて10分乾燥して2段乾燥した他は実施例1と同様にフィルムを作成した。フィルムは延伸時に破断し、延伸加工性に劣るものであった。
比較例3
第2の乾燥工程を行わずに乾燥温度50℃で1時間乾燥し第1の乾燥工程のみを行った他は実施例1と同様にフィルムを作成した。フィルムは延伸時に破断し、延伸加工性に劣るものであった。
比較例4
第1の乾燥工程を行わずに乾燥温度150℃で10分乾燥し第2の乾燥工程のみを行った他は実施例1と同様にフィルムを作成した。フィルムは延伸時に破断し、延伸加工性に劣るものであった。
得られたフィルムは光線透過率20%、ヘーズ61%であり、光学特性に劣り、位相差フィルムに適したものではなかった。

Claims (8)

  1. 一般式(1)で表される残基単位A、一般式(2)で表される残基単位Bおよび一般式(3)で表される残基単位Cを含む共重合体並びに正の固有複屈折を有する樹脂を含有する樹脂組成物を、溶剤に溶解した後、得られた樹脂溶液を基材にキャストし塗工膜を得る塗工工程、塗工工程で得られた塗工膜を20℃以上79℃以下で乾燥する第1の乾燥工程、80℃以上200℃以下で乾燥する第2の乾燥工程及び第2の乾燥工程で得られた塗工膜を延伸してフィルムを得る延伸工程を有する光学フィルムの製造方法。
    (ここで、R1、R2はそれぞれ独立して水素(ただし、R1、R2が共に水素である場合を除く。)、シアノ基、エステル基(−C(=O)OX1)、アミド基(−C(=O)N(X2)(X3))、またはアシル基(−C(=O)X4)(ここで、X1〜X3はそれぞれ独立して炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、または炭素数3〜6の環状アルキル基を示し、X4は炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、または炭素数3〜14の環状基からなる群の1種を示す。)からなる群の1種を示す。R3〜R7はそれぞれ独立して水素、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、炭素数3〜14の環状基、ハロゲン、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基(−OX5)、エステル基(−C(=O)OX6)、アミド基(−C(=O)N(X7)(X8))、アシル基(−C(=O)X9)、アミノ基(−N(X10)(X11))、またはスルホン酸基(−SOOX12)(ここで、X5〜X8は、それぞれ独立して炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、または炭素数3〜6の環状アルキル基を示し、X9〜X12はそれぞれ独立して水素、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、または炭素数3〜6の環状アルキル基からなる群の1種を示す。)からなる群の1種を示し、少なくともR3〜R7の1以上がヒドロキシ基またはカルボキシ基を示す。また、R3〜R7は隣接する置換基同士で縮合環構造を形成してもよい。)
    (ここで、R8はヘテロ原子を1つ以上含むm員環複素環残基またはヘテロ原子を含まない5員環残基もしくは6員環残基を示し(ただし、R8がヘテロ原子を含まない6員環残基のとき、一般式(1)におけるR3〜R7のいずれか1以上がヒドロキシ基を示す。)、mは5〜10の整数を示す。前記m員環複素環残基、前記5員環残基、および前記6員環残基は縮合環構造を形成してもよい。)
    (ここで、R9、R10はそれぞれ独立して水素、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、または炭素数3〜6の環状アルキル基からなる群の1種を示す。)
  2. 一般式(1)のR1およびR2がそれぞれ独立してシアノ基、エステル基、アミド基、アシル基からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 一般式(1)で表される残基単位Aおよび一般式(3)で表される残基単位Cを含み、さらに残基単位Bが、一般式(4)で表される残基単位であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学フィルムの製造方法。
    (ここで、R11〜R18はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、炭素数3〜14の環状基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、チオール基、アルコキシ基(−OX13)、エステル基(−C(=O)OX14または−CO(=O)−X15)、アミド基(−C(=O)N(X16)(X17)または−NX18C(=O)X19)、アシル基(−C(=O)X20)またはアミノ基(−N(X21)(X22))(ここで、X13〜X15は、それぞれ独立して炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、または炭素数3〜14の環状基を示し、X16〜X22は、それぞれ独立して水素、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、または炭素数3〜14の環状基からなる群の1種を示す。)からなる群の1種を示す。また、R11〜R18は隣接する置換基同士で縮合環構造を形成してもよく、R11とR17およびR12とR18は同一原子であって環構造を形成していてもよい。)
  4. 共重合体の組成が、一般式(1)で表される残基単位Aと一般式(2)で表される残基単位Bのモル比A/Bが0.05〜6の範囲であり、一般式(1)で表される残基単位Aと一般式(3)で表される残基単位Cのモル比A/Cが0.02〜50の範囲であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
  5. 正の固有複屈折を有する樹脂が下記一般式(5)で示されるセルロース系樹脂である請求項1乃至4いずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
    (式中、R19〜R21はそれぞれ独立して水素、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、炭素数3〜14の環状基、またはアシル基(−C(=O)X23)(ここで、X23は炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数1〜12の分岐状アルキル基、または炭素数3〜14の環状基からなる群の1種を示す。)からなる群の1種を示す。)
  6. 樹脂組成物における共重合体と正の固有複屈折を有する樹脂の組成の割合が、共重合体1重量%以上70重量%以下、正の固有複屈折を有する樹脂30重量%以上99重量%以下であることを特徴とする請求項1乃至5いずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
  7. 延伸工程において、第2の乾燥工程で得られた塗工膜を縦一軸延伸法、横一軸延伸法、斜め延伸法、またはこれらの組み合わせによるアンバランス二軸延伸からなる群の少なくとも1種の方法で延伸することを特徴とする請求項1乃至6いずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
  8. 下記式(A)で示される面内位相差(Re)が50〜500nmで、下記式(B)で示されるNz係数が、0≦Nz≦2.0であり、かつ、光の波長450nmにおける面内位相差(Re)と光の波長550nmにおける面内位相差(Re)の比Re(450)/Re(550)が0.60<Re(450)/Re(550)<1.10であることを特徴とする請求項1乃至7いずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
    Re=(ny−nx)×d (A)
    Nz=(nx−nz)/(nx−ny) (B)
    (式中、nxはフィルム面内の進相軸方向の屈折率を示し、nyはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率を示し、nzはフィルム面外の屈折率を示し、dはフィルム厚みを示す。)
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