JP2020075332A - 電動工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】震動切替部材を含む震動切替手段ひいては全体が前後方向においてコンパクトである電動工具を提供する。【解決手段】電動工具の一例である電動震動ドライバドリルは、モータと、モータにより回転可能なスピンドル55と、スピンドル55に固定される第1震動カムと、第1震動カムが内方に配置されるハウジング2(ギヤハウジング52)と、ギヤハウジング52の内方に配置されており、第1震動カムと擦れ合い可能である第2震動カム154と、ギヤハウジング52に対する第2震動カム154の回転の可否を切り替える各震動切替レバー172と、を有している。震動切替レバー172は、3個、周方向に並べられ且つ同時に前後移動可能である状態で設けられている。【選択図】図22

Description

本発明は、電動震動ドライバドリル又は電動震動ドリル等の電動工具に関する。
特開2017−100259号公報(特許文献1)に示されるように、震動ドライバドリルにおいて、震動の有無を切り替える震動切替部材としての震動切替レバー66が、第2ギヤケース39の小径部39の前端から軸方向に沿って形成された一対のスリット64にそれぞれ入れられたものが知られている。
各震動切替レバー66は、スリット64内で前後移動可能である。各震動切替レバー66の前方には、モードチェンジリング82のカムリング84が配置されており、モードチェンジリング82が震動モードに対応する位置に回転された場合、各震動切替レバー66はカムリング84のカム凹部に入って前進し、各震動切替レバー66の間に配置された震動機構54の第2カム56の爪60に係合する。第2カム56は各震動切替レバー66の係合により軸周りで回転不能とされ、スピンドル5と一体回転する第1カム55が接触すると、第1カム55及び第2カム56(震動機構54)は震動を発生する。
特開2017−100259号公報
本発明の主な目的は、震動切替部材を含む震動切替手段ひいては全体が前後方向においてコンパクトである電動工具を提供することである。
又、本発明の他の主な目的は、ギヤケースから漏出する潤滑剤の量が低減される電動工具を提供することである。
更に、本発明の他の主な目的は、ギヤケースの強度が向上した電動工具を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、モータと、前記モータにより回転可能なスピンドルと、前記スピンドルに固定される第1震動カムと、前記第1震動カムが内方に配置されるハウジングと、前記ハウジングの内方に配置されており、前記第1震動カムと擦れ合い可能である第2震動カムと、前記ハウジングに対する前記第2震動カムの回転の許否を切り替える震動切替部材と、を有しており、前記震動切替部材は、複数、周方向に並べられ且つ同時に前後移動可能である状態で設けられていることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、上記発明において、前記震動切替部材は、合わせてリング状を呈していることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、上記発明において、前記ハウジングは、本体ハウジングと、前記本体ハウジングの内方に配置されるギヤハウジングと、を有しており、前記震動切替部材は、前記本体ハウジングの内方であって、前記ギヤハウジングの外方に配置されていることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、上記発明において、前記震動切替部材は、軸方向への移動のための震動切替カム部を備えていることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、モータと、前記モータにより回転可能なスピンドルと、前記スピンドルに固定される第1震動カムと、前記第1震動カムが内方に配置されるハウジングと、前記ハウジングの内方に配置されており、前記第1震動カムと擦れ合い可能である第2震動カムと、前記ハウジングに対する前記第2震動カムの回転の可否を切り替える震動切替部材と、を有しており、前記ハウジングには、径方向の貫通孔が複数形成されており、前記震動切替部材は、前記貫通孔に入っていることを特徴とするものである。
本発明の主な効果は、震動切替部材を含む震動切替手段ひいては全体が前後方向においてコンパクトである電動工具が提供されることである。
又、本発明の他の主な効果は、ギヤハウジングから漏出する潤滑剤の量が低減される電動工具が提供されることである。
更に、本発明の他の主な効果は、ギヤハウジングの強度が向上した電動工具が提供されることである。
本発明に係るドライバドリルの斜視図である。 図1の右面図である。 図1の前面図である。 図1の上面図である。 図2のKAZAMADO−KAZAMADO断面図である。 図2のBB−BB断面図である。 図2のGRIP1−GRIP1断面図である。 図2のGRIP2−GRIP2断面図である。 図2のGRIP3−GRIP3断面図である。 図1の電動震動ドライバドリルにおけるギヤアッセンブリの右面図である。 図10の前面図である。 図10の後面図である。 図10の前部のみ分解した斜視図である。 図10の一部分の分解斜視図である。 図10の他の一部分の分解斜視図である。 図11のFRONT−FRONT断面図である。 図11のTOP−TOP断面図である。 図11のNEJI1−NEJI1断面図である。 図16のQ−Q断面図である。 図16のA−A断面図である。 図20のCAM−CAM断面図である。 図16のB−B断面図である。 図16のC−C断面図である。 図16のT−T断面図である。 図24のG−G断面図である。 図16のD−D断面図である。 図26のV−V断面図である。 (a)は図16のZ−Z断面図であり、(b)は(a)のAA−AA断面図である。 図16のS−S断面図(回転時)である。 図16のS−S断面図(停止時)である。 図16のE−E断面図である。 図16のF−F断面図である。 図16のJ−J断面図である。 図16のH−H断面図である。 図16のL−L断面図である。 図10において一部の外郭を外した場合の図である。 震動モード且つ高速モードにおける図16同様図である。 図37のW−W断面図である。 図36において一部の内部機構を外した場合であってクラッチモード以外のモードにおける図である。 クラッチモードにおける図10同様図である。 クラッチモード且つ高速モードにおける図17同様図である。 クラッチモードにおける図39同様図である。
以下、本発明の実施の形態及びその変更例が、適宜図面に基づいて説明される。
当該形態及び変更例における前後上下左右は、説明の便宜上定めたものであり、作業の状況及び移動する部材の状態の少なくとも一方等により変化することがある。
尚、本発明は、下記の形態及び変更例に限定されない。
図1は、電動工具の一例である電動震動ドライバドリル1の斜視図である。図2は、電動震動ドライバドリル1の右面図である。図3は、電動震動ドライバドリル1の前面図である。図4は、電動震動ドライバドリル1の上面図である。図5は、図2のKAZAMADO−KAZAMADO断面図である。図6は、図2のBB−BB断面図である。図7は、図2のGRIP1−GRIP1断面図である。図8は、図2のGRIP2−GRIP2断面図である。図9は、図2のGRIP3−GRIP3断面図である。
電動震動ドライバドリル1は、その外郭を形成するハウジング2を有している。
電動震動ドライバドリル1は、中心軸を前後方向とする筒状の本体部4と、本体部4の下部から下方へ突出するように形成されたグリップ部6を有する。尚、図2において、右が前で上が上となり、図4において、上が左で右が前となる。
グリップ部6は、使用者が把持する部分であり、グリップ部6の上端部には、使用者により指先で引く操作が可能であるトリガ形式のスイッチレバー8が設けられている。スイッチレバー8は、スイッチ本体部9から突出している(図7,図8参照)。
図5,図6に示されるように、電動震動ドライバドリル1の本体部4の後部には、モータ10が収容されている。モータ10の前側には、ギヤアッセンブリ12が配置されている。ギヤアッセンブリ12の前側には、ビット(先端工具)を把持可能なチャック14が設けられている。
モータ10は、電動震動ドライバドリル1の駆動源である。モータ10の回転は、ギヤアッセンブリ12で減速して伝達され、チャック14及びビットに伝達される。尚、図6において、モータ10の一部が省略されている。
ハウジング2は、モータ10及びスイッチ本体部9等が保持される樹脂製の本体ハウジング20と、モータ10の後方を覆う樹脂製のリヤカバー22を含む。
本体ハウジング20は、グリップ部6の外郭を含んでいる。
本体ハウジング20は、半割状の左本体ハウジング20a及び右本体ハウジング20bを有している。左本体ハウジング20aは、複数のネジボス部を有しており、右本体ハウジング20bは、ネジボス部に対応するネジ孔を有している。左本体ハウジング20a及び右本体ハウジング20bは、ネジ孔及びネジボス部の各組に入る左右方向のネジ24により、合わせられている。
左本体ハウジング20a及び右本体ハウジング20bの本体部4における各後部は互いに合わさって開口部を形成しており、その開口部には、リヤカバー22が、複数の前後方向に延びるネジ25により止められている。各ネジ25は、上下に配置されており(上のネジ25のみ図示)、リアカバー22が確実に固定される。
左本体ハウジング20a及び右本体ハウジング20bの後端部における側部の上下には、上下方向に延びる複数の吸気口20cが、前後に並ぶように開けられている。即ち、複数の吸気口20cが、リヤカバー22の前方隣接部に沿って配置される連続スリット状に形成されている。又、リヤカバー22の側部であって、各吸気口20cの後方には、それぞれ前後方向に延びる複数の排気口22aが、上下に並ぶように開けられている。
図2,図3に示されるように、スイッチレバー8の後方には、モータ10の回転方向を切替えるスイッチである正逆切替レバー26が、本体部4とグリップ部6の境界領域において左右に貫通するように設けられている。
又、スイッチレバー8の上側であって、正逆切替レバー26の前方には、前方を照射可能な複数(2個)のライト28が、左右に並ぶように設けられている。各ライト28は、ここではLEDである。
グリップ部6の下端部は、その上部に対して外方へ広がるバッテリ取り付け部30となっており、バッテリ取り付け部30の下方には、バッテリボタン32aにより着脱可能にバッテリ32が保持されている。バッテリ32は、リチウムイオンバッテリであって、図示されないセルを複数内包するものである。セルは、軸方向に長い円柱状であり、左右方向を向いている。
バッテリ取り付け部30の前上部(グリップ部6の広がった下部の前側上面部)には、電子ギヤの状態を複数のランプの点灯態様により表示する表示部33が設けられている。
バッテリ32は、バッテリ端子部を上とし、隆起部32bを上且つ前とした状態で、バッテリ取り付け部30の前から後方へスライドさせることで装着される。装着時、隆起部32bの後部がバッテリ取り付け部30の前部に当たり、バッテリ端子部がバッテリ取り付け部30のバッテリ取り付け端子部に接触する。又、装着時、弾性部材により上方に付勢され、バッテリ32の他の部分の上面から突出したバッテリ爪が、バッテリ取り付け部30下前部に設けられた上方に窪むバッテリ取り付け凹部に入る。一方、バッテリ32が外される場合、バッテリ爪の弾性部材とつながるバッテリボタン32aが操作され、バッテリ爪がバッテリ取り付け凹部から外れた状態とされながら、バッテリ32が前方にスライドされる。
バッテリ取り付け部30には、フック34及びビットホルダ35がそれぞれ配置されている。フック34及びビットホルダ35は、バッテリ取り付け部30の左部又は右部に対して、ネジ36により取り付け可能である。フック34は、前面視“U”字状のUフック部34aと、側面視“Ω”字状の第1ループフック部34bと、第1ループフック部34bに沿う部分及び上面視ループ状の部分を有する第2ループフック部34cと、を備えている。第1ループフック部34bの平行状の前端部及び第2ループフック部34cの両端部は、Uフック部34aの上端部に形成された軸方向を前後方向とする筒状部34d内に保持されている。ビットホルダ35は、複数(2本)のビット35aを、それぞれ前方へのスライドにより取り外し可能に保持する。ビット35aは、ビットホルダ35に対し、後方へスライドすることにより装着可能である。
図2,図9に示されるように、バッテリ取り付け部30内には、モータを制御するコントローラの制御回路基板38が保持されている。制御回路基板38は、他の部分より上方に突出する円柱状のコンデンサ38a、及びマイコンを搭載している。制御回路基板38は、図示しない電源リード線及び信号リード線により、モータ10と電気的に接続されている。又、制御回路基板38は、バッテリ取り付け部30のバッテリ取り付け端子部とも電気的に接続されている。
図5,図6に示されるように、モータ10は、ブラシレスモータであり、円筒状のステータ40と、ステータ40の内側に配置されるロータ41とを備えている。
ロータ41は、前後方向に延びる円柱状のモータ軸と、モータ軸の前端部と一体のピニオン43(図6)と、モータ軸の中央部の周囲に配置された円筒状の回転子鉄心と、回転子鉄心内に配置された永久磁石と、を有する。
モータ軸の後方には、図示されない金属製のインサートブッシュを介して、冷却用のファン44が取り付けられている。ファン44は、遠心ファンである。インサートブッシュは圧入されており、ファン44のモータ軸に対する固定力が高いものとなる。
ファン44の径方向外方には、各排気口22aが位置している。
ファン44の後側であって、リヤカバー22の後部内面には、モータ軸後端部を回転可能に支持するモータ後軸受が保持されている。
ステータ40は、軸方向を前後方向とする円筒部、及びその内面から径方向内方へそれぞれ突出する複数のティース45aを有する固定子鉄心45と、固定子鉄心45の前後にそれぞれ取り付けられるリング状の前絶縁部材46A及び後絶縁部材46Bと、各ティース45aに前絶縁部材46A及び後絶縁部材46Bを介して巻かれるコイル47と、前絶縁部材46Aの前側に取り付けられるセンサ基板48と、その前側に取り付けられる、複数の弧状の板金を含む輪状で合成樹脂製の板金部材49とを備えている。
センサ基板48は、ロータ41(永久磁石)の回転位置を検知して、制御回路基板38に伝達する。
板金部材49の板金は、コイル47を所定の態様で互いに電気的に接続すると共に、制御回路基板38への電源リード線と接続される。
図10ないし図42にも示されるように、ギヤアッセンブリ12は、その外郭として、円筒状のギヤケース50と、ギヤケース50の後端後側に配置される板状(皿状)のモータブラケット51と、ギヤケース50の前側に配置される内外二重の円筒状である金属製のギヤハウジング52と、ギヤハウジング52の前側に配置され、ハウジング2の上前部において露出し、ハウジング2に外装されるクラッチ切替リングとしてのクラッチリング53と、その前側においてクラッチリング53と同様にハウジング2に外装されるモード切替リング54と、を有する。
ギヤアッセンブリ12の外郭における前部の径方向内方には、ギヤアッセンブリ12の中心軸に沿う状態で、スピンドル55が配置されている。スピンドル55の先端部は、ギヤアッセンブリ12の外郭から前方に突出している。
スピンドル55は、軸方向を前後方向とする円柱状の部材であり、前後方向における中央部において径方向外方に広がるスピンドルフランジ55aと、スピンドルフランジ55aの後方においてそれぞれ径をその前部より小さくすることにより形成された、前段部55b,中段部55c,後段部55dと、中段部55cの前側において周方向に形成されたクリップ溝55eと、前部の中心部において前後に延び前端で開口するスピンドル穴55fを備えている。スピンドル穴55fは、ネジ溝を有するボルト穴となっている。スピンドル55の前端部における、スピンドル穴55fの径方向外方の外面には、雄ネジ部(図示略)が形成されている。
チャック14は、スピンドル55の雄ネジ部に対応する雌ネジ部を有している(図示略)。チャック14は、雌ネジ部にスピンドル55の雄ネジ部を受け入れると共に、スピンドル穴55fにボルト(図示略)が入れられることで、スピンドル55に固定されている。スピンドル55及びチャック14の少なくとも一方は、出力軸と捉えることができる。
ギヤケース50は、円筒状のギヤケース基部50aを有しており、ギヤケース基部50aの右上・右下・左上・左下には、それぞれ径方向外方に突出させた突出片の中央にネジ孔を有するネジ孔部50bが形成されている。又、モータブラケット51の底付き円筒状であるモータブラケット基部51a及びギヤハウジング52の外筒部52aの後部においても、同様にネジ孔部51b及びネジ穴部52bが形成されている。ネジ孔部51bは、径方向外方及び前方に突出している。ネジ穴部52bは、径方向外方に突出している。そして、右上のネジ孔部50b,51bないしネジ穴部52bに共通するネジ56が通されており、右下・左上・左下においても同様である。かようにギヤケース50及びギヤハウジング52(並びにモータブラケット51)が共通する連結手段によって共締めされることにより、これらの密着性を良好にして内部機構が保護されるし、内部機構にグリス等(潤滑剤)を施した場合にグリス等の漏れを防止することができる。又、モータブラケット51及びギヤケース50の連結部材と、ギヤケース50及びギヤハウジング52の連結部材を別々に設けた場合に比べ、ギヤアッセンブリ12がコンパクトになる。
ギヤハウジング52の外筒部52aの前部外面であって、ネジ穴部52bに周方向で隣接する(上のネジ穴部52bの下側及び下のネジ穴部52bの上側の)部分には、サイドハンドル(図示略)の“C”字状のハンドル側取り付け部を受け入れる前後方向の凹部であるサイドハンドル装着部52cが形成されている。右側あるいは左側における一対のサイドハンドル装着部52cに対し、ハンドル側取り付け部の二股状の先端を入れることで、左右方向に延びるサイドハンドルが装着される。サイドハンドルがハンドル側取り付け部の周りで回転しようとしても、周方向外方に突出するネジ穴部52bがハンドル側取り付け部を食い止めるため、当該回転が防止され、サイドハンドルの装着状態が安定して維持される。
ギヤアッセンブリ12は、ギヤハウジング52の各ネジ穴部52bの径方向外方に配置されたネジ孔部57、及び本体ハウジング20の本体部4における開口部に形成されたネジ穴に入るネジ58により、本体ハウジング20の当該開口部の前方に取り付けられている。ネジ孔部57は、下の2個における左右方向の間隔より上の2個における左右方向の間隔が狭い。よって、各ネジ孔部57の配置は、下方にグリップ部6が延びる円柱状の本体部4の形状に適合したものとなり、上部における左右方向のコンパクト化に寄与する。
図6に示されるように、本体ハウジング20の当該開口部の内面には、径方向内方に突出するリブ20dが設けられている。リブ20dは、ギヤケース基部50aの側面であって、ギヤハウジング52に対する拡径部の後側に隣接している。リブ20dは、ギヤアッセンブリ12の内部機構(後述の中遊星歯車機構70等)の作動によりギヤケース50に生じる応力変形の反力を受ける。よって、ギヤアッセンブリ12が確実に保持される。
又、ギヤハウジング52の外筒部52aにおける下面の後部の左右には、下方及び左右方向外方に突出する突体59が設けられている。各突体59は、本体ハウジング20の内面に係止され、ギヤアッセンブリ12と本体ハウジング20との分離が防止されている。
ギヤハウジング52の前部・側部・上部は露出して本体部4の外郭の一部となっており、ギヤハウジング52はハウジング2の一部となっている。
モータブラケット51の中央孔51cには、モータ軸前端部のピニオン43(図6参照)を回転可能に支持するモータ前軸受(図示略)が入れられる。モータブラケット51は、特に図35に示されるように、モータブラケット基部51aの円筒部の外面から径方向外方に突出する複数(7個)の突起51dが、ギヤケース基部50aの後端部内面に形成された前後方向に延び径方向外方に窪む内溝50cに入ることで、回り止めされている。
尚、モータブラケット51、クラッチリング53、モード切替リング54及びスピンドル55の少なくとも何れかは、ギヤアッセンブリ12の構成要素ではないものと捉えられても良く、モータブラケット51は、モータ10の構成要素と捉えられても良い。又、チャック14、モータ前軸受及びピニオン43の少なくとも何れかは、ギヤアッセンブリ12の構成要素と捉えられても良い。
又、ギヤアッセンブリ12は、内部に3段の遊星歯車機構を有しており、モータ軸の回転を減速してスピンドル55に伝える。即ち、ギヤアッセンブリ12は、後遊星歯車機構60(1段目の減速機構)と、中遊星歯車機構70(2段目の減速機構)と、前遊星歯車機構80(3段目の減速機構)を有する。
後遊星歯車機構60は、図33,図34にも示されるように、ギヤケース50内に固定されるインターナルギヤ62と、インターナルギヤ62の内歯に噛み合う外歯を有する複数(5個)の遊星ギヤ64と、ニードルベアリング65を介して各遊星ギヤ64を回転可能に支持するキャリヤ66と、を有する。
インターナルギヤ62は、リング状の内歯部62aから径方向外方に突出する複数(4個)の突起62bが、モータブラケット基部51aの円筒面に形成された前後方向に延びる複数のスリット51e、及びギヤケース基部50aの後端部内面に形成された前後方向に延び径方向外方に窪む内溝50dに入ることで、回り止めされている。
各遊星ギヤ64は、モータ軸のピニオン43(図6参照)に噛み合っている。
キャリヤ66は、中央に孔を有する円盤状部66aの後面から周方向で等間隔であるように後方に突出した5個のピン66bを有しており、各ピン66bに1個の遊星ギヤ64及びニードルベアリング65が支持される。又、キャリヤ66は、円盤状部66aの前面中央から前方に円筒状に突出する外歯ギヤ66cを有している。更に、円盤状部66aの前部外面には、噛み合い歯66dが設けられている。
遊星ギヤ64がニードルベアリング65で支持されるため、ボールベアリングに比べて支持強度が増す。よって、遊星ギヤ64を軸方向(前後方向)に薄くしても、ボールベアリングと同程度の強度を確保することができ、遊星ギヤ64ないしは後遊星歯車機構60、ひいては電動震動ドライバドリル1が前後方向において更にコンパクトになる。
又、各遊星ギヤ64とモータブラケット51の間には、ワッシャ68が配置されている。
中遊星歯車機構70は、図32,図33にも示されるように、インターナルギヤ72と、インターナルギヤ72の内歯に噛み合う外歯を有する複数(5個)の遊星ギヤ74と、各遊星ギヤ74を回転可能に支持するキャリヤ76を有する。
インターナルギヤ72におけるリング状の内歯部72aの外面前部には、径方向へ突出し前後方向に延びる外歯72bが、周方向へ所定間隔を置いて複数設けられており、内歯部72aの外面後部には、周方向へ延びる結合溝72cが設けられている。又、インターナルギヤ72の後面開口辺部には、1段目のキャリヤ66の噛み合い歯66dに噛み合い可能な噛み合い歯72dが設けられている。
各遊星ギヤ74は、1段目のキャリヤ66の外歯ギヤ66cに噛み合っている。
キャリヤ76は、中央に孔を有する円盤状部76aの後面から後方に突出した5個のピン76bを有しており、各ピン76bに1個の遊星ギヤ74が支持される。又、キャリヤ76は、円盤状部76aの前面中央から前方に円筒状に突出する外歯ギヤ76cを有している。
図32にも示されるように、インターナルギヤ72の外側前方には、ギヤハウジング52内の後部に保持される結合リング77が配置されている。結合リング77における輪状の結合リング基部77aの内周面には、径方向内方へ突出し前後方向に延びる内歯77bが、インターナルギヤ72の外歯72bと同数設けられている。又、結合リング基部77aの外周面には、外方へ突出し前後方向に延びる突条77cが、周方向へ所定間隔を置いて複数(6個)設けられている。インターナルギヤ72の各外歯72bは、結合リング77における何れかの内歯77bの間に入ることができる。
結合リング77は、各突条77cが、ギヤケース基部50aの前端部において周方向で等間隔であるように複数形成された弧状リブ50eの対応する間、及びギヤハウジング52の外筒部52aの後端部内面に形成された前後方向に延び径方向外方に窪む内溝52dに入ることで、回り止めされている。又、下の弧状リブ50eの径方向外方の面には、径方向外方へ突出する突出部50fが形成されている。突出部50fは、ギヤハウジング52の外筒部52aの後端部内面に形成された前後方向に延び径方向外方に窪む内溝52eに入っている。
他方、図33にも示されるように、インターナルギヤ72の後部外側には、速度切替リング78が配置されている。速度切替リング78における輪状の速度切替リング基部78aの上部において、連結片78bが側面視“L”字状に後方及び上方に突出しており、速度切替リング基部78aの左部・右部・下部には、それぞれ突片78cが径方向外方及び後方に突出している。
図34にも示されるように、ギヤケース50には、上後部から前方に入るスリット50gが設けられており、スリット50gには、連結片78bの上方突出部分の下端部が入っている。連結片78bの上方突出部分の上部は、ハウジング2の上部において前後にスライド可能に設けられた速度切替レバー79(図1,図2,図4参照)の下部に、前後に並ぶコイルバネ(弾性体,図示略)を介して連結されている。速度切替レバー79の前部は、ギヤハウジング52の外筒部52aの上部において後端から前方へ延びるように形成された穴を有する穴部52fに入っている。穴部52fの左右両側に、上のネジ孔部57が配置されている。
図33にも示されるように、ギヤケース基部50aの内面には、速度切替リング78の各突片78cに対応する前後方向のガイド溝50hが設けられており、各ガイド溝50hには、対応する突片78cが入れられていて、速度切替リング78が前後方向のみに移動するように支持されている。
又、左右の突片78cの径方向外方から内方へ向かう合計2個のピン78dが設けられている。各ピン78dの外側頭部は、左右の各突片78cの外面に当たっており、各ピン78dの頭部より細い内側先端は、各突片78cの内面より径方向内方へ突出して、インターナルギヤ72の結合溝72cに入っている。
速度切替レバー79を前にすると、連結片78bを通じて速度切替リング78が前方に移動して、各ピン78dないし結合溝72cを介してインターナルギヤ72が各遊星ギヤ74との噛み合いを保ったまま前方に移動する。すると、各外歯72bが結合リング77の内歯77b間に入ってインターナルギヤ72が周方向の回転を規制され、固定されたインターナルギヤ72の周りを各遊星ギヤ74が周って、キャリヤ76の外歯ギヤ76cに、1段目の外歯ギヤ66cの回転より減速された回転が伝わる。即ち、速度切替レバー79を前にすると、2段目の中遊星歯車機構70による減速が機能する低速モードとなる。
他方、図37,図41で示されるように、速度切替レバー79(図1,図2,図4参照)を後にすると、同様に速度切替リング78が後方に移動して、インターナルギヤ72が各遊星ギヤ74との噛み合いを保ったまま後方に移動する。すると、各外歯72bが結合リング77の内歯77b間から出てインターナルギヤ72の周方向の回転規制が解かれ、1段目のキャリヤ66の噛み合い歯66dに対してインターナルギヤ72の噛み合い歯72dが噛み合って、周方向に固定されないインターナルギヤ72と1段目のキャリヤ66が共に周り、外歯ギヤ76cに、外歯ギヤ66cの回転と同等の回転が伝わる。即ち、速度切替レバー79を後にすると、2段目の中遊星歯車機構70による減速がキャンセルされる高速モードとなる。
連結片78bの下面における左右方向の中央には、前後に延びており下方に突出するリブ78eが設けられている。よって、連結片78bの剛性が確保されてたわみが防止され、速度切替リング78による移動後のインターナルギヤ72の位置が安定する。リブ78eは、モータブラケット基部51aの上面において前後方向に延び下方に窪むように設けられた溝51fに入っている。溝51fの上方には、ギヤケース50のスリット50gが位置している。
図30,図31にも示されるように、前遊星歯車機構80は、ギヤハウジング52内で周方向に回転可能に設けられるインターナルギヤ82と、インターナルギヤ82の内歯に噛み合う外歯を有する複数(6個)の遊星ギヤ84と、各遊星ギヤ84を回転可能に支持するキャリヤ86を有する。
インターナルギヤ82における円筒状の内歯部82aの前面には、周方向に所定間隔を置いて、前方へ突出する複数(6個)のカム突起82bが設けられている。又、内歯部82aの外面には、径方向外方へ突出する複数(6個)の突出部82cが設けられている。各突出部82cは、内歯部82aにおけるカム突起82b間の中央部に配置されている。
各遊星ギヤ84は、2段目のキャリヤ76の外歯ギヤ76cに噛み合っている。
キャリヤ86は、中央に孔を有する円盤状部86aの後面から後方に突出した複数(6個)のピン86bを有しており、各ピン86bに1個の遊星ギヤ84が支持される。又、キャリヤ86は、円盤状部86aの前面中央から前方に四半円筒状に突出し周方向に並ぶ複数(4個)の突体86cを有している(図14,図28(a)等参照)。
図19,図20にも示されるように、クラッチリング53は、ギヤハウジング52における内筒部52gの径方向外方に配置される。内筒部52gは、外筒部52aに対して径が小さい円筒状である。内筒部52gの前端は、外筒部52aの前端より前方に位置する
クラッチリング53は、外側凹凸付き円筒状のクラッチリング基部53aの後端部から前方へ窪む輪状の溝53bを有している。クラッチリング53は、ギヤハウジング52の外筒部52aの前開口部において径方向外方に突出するように形成された輪状のリブ52h(図10,図13等参照)より前側の部分に対して溝53bを入れた状態で、軸周りで回転可能に設けられる。
クラッチリング53の溝53bに係る径方向外側の内面には、周方向に等間隔である状態で、複数の位置決め凹部53cが、それぞれ径方向外方に凹むように形成されている。他方、ギヤハウジング52の外筒部52aにおける前開口部の右上には、前方へ突出する一対の突起52iが設けられており、これらの突起52iには、中央部が径方向外方に膨出して径方向外方に付勢される板バネ88が係止されている。板バネ88の膨出部は、何れかの位置決め凹部53cに進入可能であり、クラッチリング53の回転にクリック感を与え、クラッチリング53を回転方向で位置決めする。
又、クラッチリング基部53aの内面には、螺旋状のネジ山を有するネジ部53dが設けられている。
図19,図20にも示されるように、クラッチリング53の径方向内方には、リング状のスプリングホルダ90が配置されている。
スプリングホルダ90の円筒状のスプリングホルダ基部90aの外面には、クラッチリング53のネジ部53dと噛み合うネジ山を有するネジ部90bが形成されており、クラッチリング53の回転によりスプリングホルダ90が前後方向に移動される。
スプリングホルダ基部90aの後部は、前部に対して複数(12)箇所で径方向外方に半円状に突出すると共に半円状突出部の径方向内側部分が所定個数(4個)の組でつながった合計3箇所のフランジ部90c(図15,図24等参照)と、各フランジ部90cの各半円状突出部から後方に円柱状にそれぞれ突出するバネ保持部90d(図15,図17,図18等参照)と、を有している。各フランジ部90cの周方向における間は、各フランジ部90cの外形に対して周方向内方に窪んだ谷部90eとなっている(図15,図24等参照)。
又、所定のバネ保持部90dの間には、スプリングホルダ基部90aの後端部から後方に突出するリブ90fが設けられている(図15,図17等参照)。各リブ90fの後方への突出高さは、バネ保持部90dの突出高さと同様である。各リブ90fは、径方向内方に配置された各種の部材に係る径方向外方への移動を規制し、当該部材を保持してそれらの脱落を防止する。
更に、下のフランジ部90cは、下部における半円状突出部の間において、径方向外方に突出する突片90gを有している。
図26にも示されるように、各バネ保持部90dには、弾性体としてのクラッチピン用コイルバネ92が保持されている。各クラッチピン用コイルバネ92の後側には、フランジ部90cと同様な形状を有する1枚のワッシャ94が設けられている。各クラッチピン用コイルバネ92の前端は、スプリングホルダ90のフランジ部90cの後面に当たっており、各クラッチピン用コイルバネ92の後端は、ワッシャ94の前面に当たっている。
ワッシャ94は、リング状のワッシャ基部94aから径方向外方に半円状に突出する複数(12箇所)の突出部94bを有する。又、ワッシャ94における径方向外方への半円状の突出部であって互いに隣接するものの間には、ワッシャ基部94aの径方向内側部分から径方向内方に弧状に延びる延設部94cが、合計で6箇所設けられている。更に、スプリングホルダ90の谷部90eと同様に形成される合計3箇所の谷部94dが設けられている。又、ワッシャ94の下部における突出部94b間には、径方向外方に突出する突片94eが設けられている。
図19ないし図26にも示されるように、スプリングホルダ90、クラッチピン用コイルバネ92及びワッシャ94は、ギヤハウジング52における内筒部52gと外筒部52aとの間に入っている。外筒部52aの前部の内面は、フランジ部90cあるいはワッシャ94と同様な外形を有している。スプリングホルダ90は、フランジ部94b及び突片90gによって回り止めされる。ワッシャ94は、突出部94b及び突片94eによって回り止めされる。尚、突片90g,94eの少なくとも一方は、省略されても良い。
図28(a)にも示されるように、ギヤハウジング52における上下左右に広がって内筒部52gと外筒部52aとをつなぐリング状の壁体部分52jの前面は、フランジ部90c及びワッシャ94と同様な形状を有している。壁体部分52jにおけるワッシャ94の各延設部94cの後側に位置する部分には、円状の孔が開けられており、当該孔には、円筒状のクラッチピンスリーブ95を介して円柱状のクラッチピン96が、それぞれ前方から入れられている。
図28(a),(b)にも示されるように、各クラッチピンスリーブ95は、円筒状のクラッチピンスリーブ基部95aと、クラッチピンスリーブ基部95aの前端部外面から径方向外方に突出する一対のフランジ95bと、を有する。各フランジ95bは、互いに対向している。各フランジ95bが設けられることにより、ギヤハウジング52で支持される部分がその分増加し、支持強度が維持されたままクラッチピンスリーブ95及びクラッチピン96の前後方向長さがより短くなる。
各クラッチピン96は、後端部が球面状に丸められた円柱形状であり、前部がクラッチピンスリーブ基部95a内に入ることで、クラッチピンスリーブ95に一体的に保持されている。
各クラッチピンスリーブ95の前端部及び各クラッチピン96の前端部は、ワッシャ94の後面に接触している。
各クラッチピン96の後端部は、前遊星歯車機構80のインターナルギヤ82における円筒状の内歯部82aの前面に接触可能である。
クラッチリング53を捻って回転位置が変わると、スプリングホルダ90の前後位置が変わり、フランジ部90cとワッシャ94の距離が変更されて、各クラッチピン用コイルバネ92の弾性力が調節される。ワッシャ94は、クラッチピン用コイルバネ92の弾性力に応じ、各クラッチピンスリーブ95を介して各クラッチピン96を押し、各クラッチピン96は、3段目のインターナルギヤ82における何れかのカム突起82bに当たり、クラッチピン用コイルバネ92の弾性力に応じたインターナルギヤ82の回転ないし回転規制を行う。
即ち、図30にも示されるように、各クラッチピン96は、各クラッチピン用コイルバネ92の弾性力に応じてインターナルギヤ82の前面を押し付け、弾性力に応じた所定のトルク未満ではカム突起82bを止めてインターナルギヤ82を固定する。カム突起82bの側面は、クラッチピン96の後端部の形状に合う球面状に括れた括れ部を有している。クラッチピン96は、括れ部に接触することで、3段目のインターナルギヤ82の回転力に対して十分に抵抗することができる。そして、図29にも示されるように、当該トルク以上となると、カム突起82bが各クラッチピン96を弾性力に抗して前方に移動させることにより相対的に乗り越える。この乗り越えは、括れ部により円滑に行われる。そして、この相対的な乗り越えにより、各クラッチピン96は、インターナルギヤ82の回転が可能となるように当該回転を許容し、他の部材によりインターナルギヤ82の回転が阻止されなければ、インターナルギヤ82の回転によりキャリヤ86(各突体86c)が空転して、クラッチが作動する。
スプリングホルダ90、各クラッチピン用コイルバネ92、ワッシャ94、各クラッチピンスリーブ95及び各クラッチピン96は、クラッチ機構99の構成要素である。尚、クラッチ機構99には、カム突起82bが含められても良い。又、各クラッチピンスリーブ95及びワッシャ94の少なくとも一方は、省略されても良い。
電動震動ドライバドリル1では、各クラッチピン用コイルバネ92が、1個の大きなものではなく複数(12個)に分割して設けられるため、1個の大きなコイルバネの場合に対してバネ定数をより増加し又密着長をより小さくすることができ、前後方向長さがより短くなる。又、各クラッチピン用コイルバネ92の作動を妨げることなく、それらの間に各種の部材を配置することができ、その分電動震動ドライバドリル1がコンパクトになる。
図24,図25にも示されるように、スプリングホルダ90の径方向内側には、サポートリング100と、その後側のピンホルダ102とが配置されている。
サポートリング100は、軸方向が前後方向である円筒状のサポートリング基部100aの前端部において、他の部分より前方に突出するように形成された台形状の複数(3箇所)のカム突起100bを、互いに周方向に等間隔である状態で有する(図15,図20等参照)。又、サポートリング基部100aの後端部から後方に突出する複数(3箇所)の突片100cが、周方向でカム突起100bの間に配置されている(図15等参照)。
ピンホルダ102は、軸方向が前後方向である円筒状のピンホルダ基部102aの前端部において、サポートリング100の突片100cと対応するように設けられた凹部102b(図15等参照)と、それぞれピンホルダ基部102aの内面から径方向内方及び後方に突出しており周方向で等間隔に配置される複数(6箇所)のバネ保持部102c(図15等参照)と、それぞれピンホルダ基部102aの外面から径方向外方に突出しており周方向で等間隔に配置される複数(3箇所)のピン保持部102dと、を有する。凹部102bとピン保持部102dとは、周方向において互いにずれている。
各バネ保持部102cにおける後方突出部分には、弾性体としてのピンホルダ用コイルバネ104の前端部が入れられている。ピンホルダ用コイルバネ104の後部は、ギヤハウジング52の壁体部分52jの前面から後方にそれぞれ円柱状に窪むように形成された窪み部52k(図25,図28(a)等参照)に入っている。各窪み部52kは、バネ保持部102cと同様の配置において合計6箇所形成されている。ピンホルダ用コイルバネ104は、ピンホルダ102を前方へ付勢している。
図24,図25にも示されるように、各ピン保持部102dには、前後方向に延びる円柱状のインターナルギヤロックピン106の前端部が保持されている。インターナルギヤロックピン106の前端部には、輪状の溝が形成されており、その溝に、二股状のピン保持部102dの先端部が入れられる。各ピン保持部102d及び各インターナルギヤロックピン106は、所定のクラッチピン用コイルバネ92の間、及びスプリングホルダ90,ワッシャ94の谷部90e,94dの外側を通る(図24,図26等参照)。更に、各ピン保持部102dは、ギヤハウジング52の壁体部分52jにおいて対応するように開けられたピン孔52lを通る(図25参照)。各ピン保持部102dの後端部は、3段目のインターナルギヤ82の径方向外側に対して進退可能である。
図21にも示されるように、モード切替リング54は、前方へ窄むテーパ付き円筒状であり外側凹凸付きであるモード切替リング基部54aと、その内面後端部から後方へ円筒状に突出したカム部54bとを有する。
カム部54bは、サポートリング100のカム突起100bと同様に配置された、台形状に前方に凹むカム凹部54cを、合計3箇所有する(図15,図19,図36,図39等参照)。カム部54bの後側に、サポートリング100が配置される。
又、図11,図13,図15,図40にも示されるように、モード切替リング54の内面であって、カム部54bの前側には、径方向内方へリング状に突出する回転規制リブ54dが設けられている。回転規制リブ54dの上部には、径方向外方へ凹む回転許容凹部54eが形成されている。回転規制リブ54dの下部には、弾性体としての板バネ114を係止する一対の板バネ係止部54fが形成されている。
モード切替リング54は、カム部54bがギヤハウジング52の内筒部52gの径方向外方に配置された状態で、軸周りで回転可能に取り付けられる。内筒部52gの前端部には、リング状のリテーナ110が、複数(4本)のネジ112により固定される。モード切替リング54は、リテーナ110とクラッチリング53とに挟まれる。
図11,図40にも示されるように、リテーナ110は、輪状のリテーナ基部110aと、リテーナ基部110aに設けられておりネジ112が通る各ネジ孔110bと、リテーナ基部110aの外辺から径方向外方に突出した突片110cと、突片と対向する側においてリテーナ基部110aの外辺から径方向内方に窪む複数(3箇所)のノッチ110dと、を有する。
各ネジ孔110bは、リテーナ基部110aの中心に対して回転対称とならないように配置されている。内筒部52gの前端部には、各ネジ孔110bと同様に配置されていてネジ112を受け入れる複数のネジ穴部52mが形成されている。かような各ネジ孔110b及び各ネジ穴部52mの非回転対称配置により、リテーナ110の向きが誤った状態でリテーナ110が取り付けられる事態が防止される。
突片110cは、周方向で見てモード切替リング54の回転許容凹部54e内に位置している。
ノッチ110dは、所定の弧内で周方向に等間隔に配置される。板バネ114における径方向内方への膨出部は、何れか1つのノッチ110dに進入可能である。
モード切替リング54について、板バネ114が中央のノッチ110dに入った状態(中央状態とする,図11参照)から、板バネ114の付勢力に抗し後ろから見て左に回すと、板バネ114が右のノッチ110dに入った状態となる(左状態とする,図40参照)。このとき、突片110cが回転許容凹部54eの端部に位置しており、更なる左への回転が、回転規制リブ54dにより規制される。同様に、中央状態から右に回すと、板バネ114が左のノッチ110dに入った状態となり(右状態とする)、更なる右への回転が規制される。
図25,図27にも示されるように、モード切替リング54とクラッチリング53との間には、摺動部材としての複数(5個)の鋼製のボール120が設けられている。
モード切替リング基部54aの後面から前方に窪む窪み部54gが、5個、周方向に等間隔に配置されている。各窪み部54gには、鋼製の円板122を介して、ボール120が入れられている。他方、クラッチリング基部53aの前面には、リング状の溝53eが形成されており、溝53eには鋼製のワッシャ124が入れられている。各ボール120の後部は、ワッシャ124に接触している。
モード切替リング54及びクラッチリング53が相対的に回転すると、円板122及びワッシャ124の間で各ボール120が転動し、モード切替リング54とクラッチリング53との間の摩擦が低減される。
図11,図30,図36ないし図39にも示されるように、モード切替リング54が中央状態又は右状態である場合、カム部54bにおけるカム凹部54c以外の部分がサポートリング100の各カム突起100bの前端部に接触し、サポートリング100が後方に位置する。すると、ピンホルダ102が後方に位置して、各インターナルギヤロックピン106が、3段目のインターナルギヤ82の径方向外側であって、周方向における突出部82cの間に進入する。かような各インターナルギヤロックピン106は、3段目のインターナルギヤ82の回転を、突出部82cの側面に当たることで阻止する。
他方、図40ないし図42にも示されるように、モード切替リング54が左状態である場合、カム凹部54cに各カム突起100bが入り、サポートリング100が前方に位置する。すると、ピンホルダ102が前方に位置して、各インターナルギヤロックピン106が、3段目のインターナルギヤ82の径方向外側から退避する。よって、各インターナルギヤロックピン106は、3段目のインターナルギヤ82の回転を妨げない。従って、3段目のインターナルギヤ82は、クラッチリング53の回転位置に応じたトルクで回転し始めることとなり、クラッチが作動することとなる(クラッチモード)。
各ピンホルダ用コイルバネ104により、ピンホルダ102を介してサポートリング100が付勢され、各カム突起100bのカム凹部54cへの進入が促進される。モード切替リング54が左状態から他の状態へと回転される場合、各ピンホルダ用コイルバネ104の付勢力に抗して各カム突起100bがカム凹部54cから離脱し、ピンホルダ102が後方に位置する。
図28(a)にも示されるように、3段目のキャリヤ86の各突体86cの間のうちの向かい合う一対(図では左右)には、それぞれローラ130が配置されている。
又、他の一対(図では上下)には、ロックカム132が配置されている。ロックカム132は、円筒状部132aと、円筒状部132aの上下から径方向外方に突出する一対の突片132bを有しており、各突片132bが、突体86cの間に位置している。ロックカム132の円筒状部132aにおける中央孔と、スピンドル55の後段部55dとは、スプライン結合されており、ロックカム132は、スピンドル55と一体になっている。ロックカム132は、各突体86cを介して、3段目のキャリヤ86と共に回転する。
ロックカム132の前側には、円筒状のロックリング134が被せられている。ロックリング134は、ギヤハウジング52の内筒部52gの内側に固定されている。ロックリング134は、円筒状のロックリング基部134aと、その前端部内面から内方へ突出する内フランジ134bと、ロックリング基部134aの後端部外面から外方へ突出する外フランジ134cと、ロックリング基部134aの側面から径方向外方に突出し更に前方に突出する、複数(3箇所)の、周方向に等間隔に配置された突出部134dと、を有する。内フランジ134bの後側に、各ローラ130及びロックカム132、並びに3段目のキャリヤ86の各突体86cが位置する。突出部134dは、対応する形状に形成されたギヤハウジング52の内筒部52gの内面に入ることで、ロックリング134が回転不能に固定される。
図15ないし図18,図26にも示されるように、スピンドル55は、ロックリング134の前側に配置されたスピンドル後軸受138と、前段部55bの径方向外側に配置されたスピンドル前軸受140とによって、前後移動可能且つ軸周りで回転可能に保持されている。
スピンドル前軸受140は、スピンドル55の前段部55bの外側に配置されている。
スピンドル前軸受140とスピンドルフランジ55aとの間には、弾性体であるスピンドル用コイルバネ144が設けられている。スピンドルフランジ55aの後面及びスピンドル用コイルバネ144は、前方へ次第に拡径した前広がりのテーパ形状を呈している。
他方、スピンドル後軸受138(の外輪の前面)を押さえるクリップ146が、ギヤハウジング52の内筒部52gの内面に設けられた溝に入っている。
図14,図16ないし図18,図19,図20,図22にも示されるように、スピンドル前軸受140とクリップ146との間には、震動機構150が配置されている。震動機構150は、それぞれリング状でありスピンドル55の中段部55cに保持される第1震動カム152及び第2震動カム154を有している。
第1震動カム152における円筒状の第1震動カム基部152aの後面には、複数のカム歯を有する第1カム面152bが形成されている。第1震動カム152は、スピンドル55の中段部55cにおける前端部の外側に固定されたサークリップ156によって、スピンドル55に一体的に固定されている。スピンドル55は、スピンドル用コイルバネ144によって、常態では、サークリップ156がスピンドル前軸受140(の内輪)に接触する前進位置に付勢されている。
第2震動カム154におけるリング状の第2震動カム基部154aの前面には、複数のカム歯を有する第2カム面154bが形成されている。又、第2震動カム基部154aの後面には、後方に突出する爪154cが、複数(3個)、周方向に等間隔に設けられている。第2震動カム154は、スピンドル55に対して、周方向で固定されない状態で挿入されている。
第2震動カム154とクリップ146との間には、ボール保持ワッシャ160と、複数の鋼製のボール162と、ボール受けワッシャ164と、が設けられている。
図22にも示されるように、ボール保持ワッシャ160は、第2震動カム基部154aの後面に隣接している。ボール保持ワッシャ160は、内周部を前端とし外周部を後端とする碗状であり、湾曲した後面の側において各ボール162を保持して、各ボール162を周方向に並べる。
図23にも示されるように、ボール受けワッシャ164は、輪状のボール受けワッシャ基部164aから径方向外方に突出する、複数(3箇所)の、周方向に等間隔に配置された凸部164bと、各凸部164bの周方向における間にそれぞれ配置された括れ部164cと、を有する。ボール受けワッシャ164は、各凸部164bがギヤハウジング52の内筒部52gの内面に設けられた凹部52nに入ることで、回り止めされている。
尚、サークリップ156、ボール保持ワッシャ160、ボール162、及びボール受けワッシャ164の少なくとも何れかが、震動機構150に含められても良い。
図15ないし図24にも示されるように、モード切替リング54のカム部54bの径方向内方には、震動切替リング170が設けられている。震動切替リング170の後側には、全周のうちの三分の一の弧状である一組(3個)の震動切替レバー172(震動切替部材,震動切替手段の一部)が設けられている。即ち、各震動切替レバー172は、複数、周方向に並べられた状態で設けられており、3個合わせてリング状を呈している。震動切替レバー172の後側には、ワッシャ174が設けられている。
震動切替リング170は、円筒状の震動切替リング基部170aの前端部から径方向外方に突出した、複数(3箇所)の、周方向に等間隔に配置された突起170bと、震動切替リング基部170aの後端部から前方に凹んだ、複数(3箇所)の、周方向で突起170bと同位置に配置された台形状のカム凹部170cと、を有する。各突起170bは、モード切替リング54のカム部54bの後部において対応するように設けられた窪み部54h(図13参照)に入っており、震動切替リング170は、モード切替リング54と一体的に回転する。
各震動切替レバー172は、前方へ開いた断面“U”字状の震動切替レバー基部172aと、震動切替レバー基部172a内においてカム凹部170cに対応する形状で前方へ隆起する震動切替カム部としての隆起部172b(図17,図21等参照)と、震動切替レバー基部172aにおける径方向内側の外面の中央部から径方向内方及び後方に突出する震動切替爪172c(図22,図23等参照)と、を有する。各震動切替レバー172は、ギヤハウジング52の内筒部52gの前後方向における中央部において周方向で等間隔に開けられた複数(3箇所)の径方向の孔52o(貫通孔,図15参照)に震動切替爪172cが入る状態で、内筒部52gの径方向外側に配置されている。震動切替レバー172は、サポートリング100の内側に配置されている。尚、隆起部172bとカム凹部170cとの凹凸が入れ替えられても良い。
図22,図23にも示されるように、各震動切替爪172cは、ボール受けワッシャ164の括れ部164cの径方向外側に位置している。即ち、ボール受けワッシャ164は、各震動切替爪172cを避ける括れ部164cを有している。
又、各震動切替爪172cは、第2震動カム基部154aの後側であって、後方に突出する爪154cの間に対して進退可能である。
ギヤハウジング52の内筒部52gにおける3箇所の孔52oの間であって、6箇所の窪み部52kに周方向で隣接する部分には、前後に延びるピン孔52pがそれぞれ開けられている(図21,図27等参照)。各ピン孔52pには、後方からピン180が入れられている。各ピン孔52pの前部は、後部に対して拡大しており、その拡大部と各ピン180の前部との間には、弾性体である震動切替レバー用コイルバネ182が入れられている。各震動切替レバー用コイルバネ182の前端部は、各震動切替レバー172の後側のワッシャ174に接している。各震動切替レバー用コイルバネ182は、ワッシャ174及び各震動切替レバー172を、前方へ付勢している。
図22,図23にも示されるように、モード切替リング54が中央状態又は左状態である場合、震動切替リング基部170aの後端部におけるカム凹部170c以外の部分が各震動切替レバー172の隆起部172bの前端部に接触し、各震動切替レバー172が後方に位置する。すると、各震動切替爪172cが後方に位置して、第2震動カム154の爪154cの間から離れ、各震動切替爪172cは、第2震動カム154の回転が可能となるように当該回転を許容する。スピンドル55が回転すると、第1震動カム152が一体的に回転し、第1カム面152b及び第2カム面154bを介して適宜第2震動カム154も回転するところ、第2震動カム154はスピンドル55に挿入されていると共に回転が許容されているため、震動は発生しない。
これに対し、図38にも示されるように、モード切替リング54が右状態である場合、各カム凹部170cに対し対応する隆起部172bが入り、モード切替リング54が中央状態又は左状態である場合に後方に位置していた各震動切替レバー172が同時に前方に移動して、各震動切替レバー172が前方に位置する。すると、各震動切替爪172cが前方に位置して、第2震動カム154の爪154cの間に進入し、第2震動カム154の回転を阻止する。スピンドル55が回転すると、第1震動カム152が一体的に回転するのに対し、第2震動カム154は回転しないため、スピンドル55が後退すると、第1カム面152bが、固定された第2カム面154bと接触した状態で回転し、スピンドル55に軸方向の震動が発生する(震動モード)。尚、モード切替リング54が右状態から中央状態、左状態へ切り替えられる場合、前方に位置していた各震動切替レバー172が同時に後方に移動する。
各震動切替レバー172が前方に位置すると、各震動切替レバー基部172a内に震動切替リング基部170aの後端部が相対的に進入し、各震動切替レバー172の密着度、及び震動切替リング170と各震動切替レバー172との密着度が増加する。従って、震動が発生する場合において、各震動切替レバー172より前方の部分(ギヤハウジング52の内筒部52g内)における閉塞性が確保され、防塵性が確保されるし、当該部分内に施したグリス等の漏れが防止される。
又、各震動切替レバー用コイルバネ182により、各震動切替レバー172が前方に付勢され、各隆起部172bのカム凹部170cへの進入が促進される。モード切替リング54が右状態から他の状態へと回転される場合、各震動切替レバー用コイルバネ182の付勢力に抗して各隆起部172bがカム凹部170cから離脱し、各震動切替レバー172が後方に位置する。
このような電動震動ドライバドリル1の動作例が説明される。
作業者がグリップ部6を把持してスイッチレバー8を引くと、スイッチ本体部9における切替によりバッテリ32からモータ10への給電がなされ、ロータ41(モータ軸)が回転する。
モータ軸の回転により、ファン44が回転する。ファン44の各排気口22aへの排気により、吸気口20cからの空気の流れ(風)が発生する。かような風により、モータ10を始めとするハウジング2内の機構が冷却される。
又、モータ軸の回転力は、3段の減速機構を有するギヤアッセンブリ12により減速されてスピンドル55に伝わり、チャック14に付けたドリルあるいはドライバ等のビットに伝わる。
ギヤアッセンブリ12の中遊星歯車機構70は、速度切替レバー79の位置に応じ、高速モード又は低速モードで動作する。
更に、モード切替リング54の回転位置に応じ、3つの動作モードが選択可能である。
即ち、モード切替リング54が左状態であると、クラッチモードが選択され、前遊星歯車機構80は、クラッチリング53の回転位置に対応したトルクがスピンドル55にかかると、空転を生じてクラッチを切る(トルク伝達をストップする)。ドライバビットによりネジ締めを進め、ネジが完全に入って大きなトルクがかかると、スピンドル55が空転してネジ締めが終了する。
一方、モード切替リング54が右状態であると、震動モードが選択され、各震動切替レバー172が第2震動カム154の回転をロックし、スピンドル55の回転中の後退により、第1カム面152bと第2カム面154bとが擦れ合って、スピンドル55に軸方向の震動が発生する。
他方、モード切替リング54が中央状態であると、前遊星歯車機構80のインターナルギヤ82が固定されると共に第2震動カム154の回転が許容された状態となり、クラッチが作動せず且つ震動が発生しないドリルモードとなる。ドリルモードでは、クラッチを切ることなくスピンドル55が回転され、作業者がドリルビットを装着して穴開けを進める場合、スピンドル55への負荷にかかわらずスピンドル55の回転は継続する。
以上の電動震動ドライバドリル1は、ハウジング2(ギヤハウジング52)と、ハウジング2にそれぞれ回転可能に外装されるモード切替リング54(第1のリング)及びクラッチリング53(第2のリング)と、モード切替リング54とクラッチリング53との間に配置される各ボール120(摺動部材)と、を有する。よって、モード切替リング54とクラッチリング53との間の摩擦が低減され、モード切替リング54及びクラッチリング53が回転し易くなる。
又、摺動部材が各ボール120であるため、摺動部材は、円筒状の軸受である場合に比べて、より配置し易い。
更に、モード切替リング54と各ボール120との間には、各円板122が介装されており、クラッチリング53と各ボール120との間には、ワッシャ124が介装されている。よって、各ボール120がモード切替リング54あるいは各ボール120に直接接触する場合に比べ、各ボール120の回転がより円滑になるし、各ボール120並びにモード切替リング54及びクラッチリング53の寿命がより長くなる。
又、電動震動ドライバドリル1は、ハウジング2(ギヤハウジング52)と、ハウジング2の内部にそれぞれ配置される震動機構150及びクラッチ機構99と、震動機構150を操作可能であり、ハウジング2に回転可能に保持されるモード切替リング54(震動切替リング)と、クラッチ機構99を操作可能であり、ハウジング2に回転可能に保持されるクラッチリング53(クラッチ切替リング)と、モード切替リング54とクラッチリング53との間に配置される各ボール120と、を有する。よって、モード切替リング54とクラッチリング53との間の摩擦が低減され、モード切替リング54及びクラッチリング53が回転し易くなる。
更に、モード切替リング54は、震動機構150によるスピンドル55(出力軸)の震動の有無を、震動モード(右状態)か否かで操作するものであり、クラッチリング53は、クラッチ機構99におけるクラッチが作動するトルクを、回転位置の変更により操作するものである。従って、回転し易いモード切替リング54及びクラッチリング53によって、震動の有無及びクラッチ作動トルクが指令し易くなる。
加えて、電動震動ドライバドリル1は、モータ10と、モータ10により回転可能なスピンドル55と、スピンドル55に固定される第1震動カム152と、第1震動カム152が内方に配置されるハウジング2(ギヤハウジング52)と、ギヤハウジング52の内方に配置されており、第1震動カム152と擦れ合い可能である第2震動カム154と、ギヤハウジング52に対する第2震動カム154の回転の可否を切り替える各震動切替レバー172と、を有しており、震動切替レバー172は、3個、周方向に並べられ且つ同時に前後移動可能である状態で設けられている。よって、従来のように前後方向(スピンドル55等の軸方向)に長い棒状である震動切替レバーがギヤハウジングに設けられた前後方向のスリット内で移動する場合に比べ、震動切替レバー172が短くて済み、震動切替レバー172を含む震動切替手段ひいては全体が前後方向においてコンパクトである電動震動ドライバドリル1が提供される。又、震動切替レバー172は、周方向に並べられずに一体のリングとされた場合と比べ、ギヤハウジング52の端面から形成されるスリットが不要となる。即ち、一体のリングの場合には当該リングをギアハウジングに組み付けるために端面からのスリットが必要であるところ、互いに周方向に分割された各震動切替レバー172においては、端面からのスリットがなくてもギヤハウジング52にたいして設置可能である。従って、グリスを始めとする潤滑剤の保持性能が向上するし、ギヤハウジング52の剛性が向上して、その内部の部材がより確実に保持される。
尚、震動切替レバーが一体のリングとされ、端面からのスリットが設けられる変更例においても、従来の棒状震動切替レバー及びスリットに比べて、前後方向にコンパクトとなる。
又、各震動切替レバー172は、合わせてリング状を呈している。よって、前後方向においてコンパクトであり、ギヤハウジング52の強度が高い電動震動ドライバドリル1が提供される。
更に、ハウジング2は、本体ハウジング20と、その内方に配置されるギヤハウジング52と、を有しており、各震動切替レバー172は、本体ハウジング20の内方であって、ギヤハウジング52の外方に配置されている。よって、各震動切替レバー172が円滑に軸方向移動可能である状態で設置し易い。
又更に、各震動切替レバー172は、軸方向(前後方向)への移動のための隆起部172bを備えている。よって、各震動切替レバー172が軸方向移動用のカム部を一体に備えることで軸方向にコンパクトになる。
加えて、電動震動ドライバドリル1は、モータ10と、モータ10により回転可能なスピンドル55と、スピンドル55に固定される第1震動カム152と、第1震動カム152が内方に配置されるハウジング2(ギヤハウジング52)と、ギヤハウジング52の内方に配置されており、第1震動カム152と擦れ合い可能である第2震動カム154と、ギヤハウジング52に対する第2震動カム154の回転の可否を切り替える各震動切替レバー172と、を有しており、ギヤハウジング52には、径方向の孔52oが複数形成されており、各震動切替レバー172は、対応する孔52oに入っている。よって、従来のように前後方向に長い棒状である震動切替レバーがギヤハウジングに設けられた前後方向のスリット内で移動する場合に比べ、電動震動ドライバドリル1が前後方向でコンパクトになり、又ギヤハウジング52の強度が向上する。
尚、本発明の形態及び変更例は、上記の形態及び変更例に限定されず、例えば次のような更なる変更を適宜施すことができる。
円板122及びワッシャ124の少なくとも一方は、省略されても良い。円板122がクラッチリング53側に配置されても良いし、ワッシャ124がモード切替リング54側に配置されても良い。双方の側とも円板122が配置されても良いし、双方の側ともワッシャ124が配置されても良い。
又、ボール120に代えて、あるいはボール120と共に、前面及び後面が平滑な樹脂製のワッシャ(摺動部材)が用いられても良い。ボール120が用いられない場合、モード切替リング54及びクラッチリング53がワッシャの平滑面に対して摺動し、摩擦が低減される。
モード切替リング54がクラッチリング53の後側とされる等、これらの配置が変更されても良い。又、モード切替リング54及びクラッチリング53の少なくとも何れかは、ハウジング2に外装されあるいは作業者により操作可能である他のリングに変更されても良い。
クラッチ機構99は、電子クラッチであっても良い。震動機構150は、電気的に震動を発生させるものであっても良い。震動機構150が省略され、震動モードがない電動ドライバドリルとされても良い。クラッチ機構99が省略され、クラッチモードを備えない震動ドリルとされても良い。ドリルモードが省略され、ドリルモードを備えない震動ドライバとされても良い。
ピン保持部102dによるインターナルギヤロックピン106の保持は、突起の孔への圧入等、他の形態であっても良い。その他の保持あるいは圧入等の形態は、同様に適宜変更されても良い。
ファン44は、ステータ40よりも前方に配置されていてても良い。
バッテリ32は、14.4V、18V(最大20V),18V,25.2V,28V,36V等の18ないし36Vの任意のリチウムイオンバッテリを用いることができ、10.8V未満あるいは36Vを超える電圧のリチウムイオンバッテリを用いることもできるし、他の種類のバッテリを用いることもできる。
ギヤハウジング52は、本体ハウジング20内に保持されても良い。
ハウジング2の区分の数、遊星歯車の設置数、減速機構の段数、各種のボールの数、ローラ130の数、各種の突部(突出部,突片,凸部等)の数、各種のピンの数、各種のスプリングの数、及び各種のネジの数の少なくとも何れかが、上述の数に対して増減されても良い。鋼製のボールが樹脂製とされる等、各種部材の材質が変更されても良い。スイッチレバー8のスイッチの形式等、各種作動部の形式が変更されても良い。クラッチ機構99のスプリングホルダ90がインターナルギヤ82ロック用のピンホルダ102の径方向内側に配置される等、各種の部材あるいは部分の配置が変更されても良い。円板122が正多角形の板とされる等、各種の部材の形状が変更されても良い。
又、出力軸(先端工具保持部)の方向が動力部の方向(モータのモータ軸の方向及びその回転力を伝達する機構の伝達方向のうちの少なくとも一方)と異なる(略90度となる)アングル電動工具に、本発明が適用されても良い。
更に、商用電源で駆動されるものを始めとする充電式(バッテリ駆動)でない震動ドライバドリル、あるいは震動ドライバドリル以外の他の電動工具、又はクリーナ、ブロワ、あるいは園芸用トリマを始めとする園芸工具等に、本発明が適用されても良い。
1・・電動震動ドライバドリル(電動工具)、2・・ハウジング、10・・モータ、20・・本体ハウジング、52・・ギヤハウジング、52o・・孔(貫通孔)、55・・スピンドル、150・・震動機構、152・・第1震動カム、154・・第2震動カム、154c・・爪、172・・震動切替レバー(震動切替部材)、172b・・隆起部(震動切替カム部)、172c・・震動切替爪、182・・震動切替レバー用コイルバネ(付勢部材)。

Claims (5)

  1. モータと、
    前記モータにより回転可能なスピンドルと、
    前記スピンドルに固定される第1震動カムと、
    前記第1震動カムが内方に配置されるハウジングと、
    前記ハウジングの内方に配置されており、前記第1震動カムと擦れ合い可能である第2震動カムと、
    前記ハウジングに対する前記第2震動カムの回転の可否を切り替える震動切替部材と、
    を有しており、
    前記震動切替部材は、複数、周方向に並べられ且つ同時に前後移動可能である状態で設けられている
    ことを特徴とする電動工具。
  2. 前記震動切替部材は、合わせてリング状を呈している
    ことを特徴とする請求項1に記載の電動工具。
  3. 前記ハウジングは、本体ハウジングと、前記本体ハウジングの内方に配置されるギヤハウジングと、を有しており、
    前記震動切替部材は、前記本体ハウジングの内方であって、前記ギヤハウジングの外方に配置されている
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動工具。
  4. 前記震動切替部材は、軸方向への移動のための震動切替カム部を備えている
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の電動工具。
  5. モータと、
    前記モータにより回転可能なスピンドルと、
    前記スピンドルに固定される第1震動カムと、
    前記第1震動カムが内方に配置されるハウジングと、
    前記ハウジングの内方に配置されており、前記第1震動カムと擦れ合い可能である第2震動カムと、
    前記ハウジングに対する前記第2震動カムの回転の可否を切り替える震動切替部材と、
    を有しており、
    前記ハウジングには、径方向の貫通孔が複数形成されており、
    前記震動切替部材は、前記貫通孔に入っている
    ことを特徴とする電動工具。
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