JP2020075306A - 研磨パッド - Google Patents

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【課題】製品規格が厳しくなってきた研磨対象物の要求・仕上り品質を、安定して達成することを可能にする研磨パッドを提供する。【解決手段】略球状の気泡を含む発泡体から構成される研磨パッドであって、パッド構成材料の密度をDMg/cm3とすると、本研磨パッドの密度が0.22DMから0.36DMg/cm3の範囲にあり、発泡体に含まれる気泡は独立気泡であるか連続気泡であるかを問わない。前記研磨パッドの研磨対象との最大接触面積は、研磨面積に対して32%を超えない、ことを特徴とする研磨パッド。【選択図】図3

Description

本発明は、研磨パッドに関する。特に、半導体ウェーハなどを研磨する研磨パッドに関する。
半導体デバイス、ハードディスク、液晶ディスプレー用ガラス等の研磨対象物の表面に対して、一般に気泡径が1μm〜5mm(平均気泡径10μm〜200μm)の気泡を有する研磨パッドと研磨液(遊離砥粒)とを用いて研磨が行われている。
研磨加工においては、研磨対象物の平坦性とともに、その表面の仕上りが要求される。研磨対象物を平坦に仕上げるためには、いわゆる硬い研磨パッドを使用することが有効であるが、硬いパッドを使用すると、研磨対象物表面の傷やスクラッチが増加する傾向にあり、必要な表面の仕上がりを得ることが難しい。
従来技術において、平坦性を重視した研磨ステップと表面の仕上りを重視したステップを組み合わせた多段階の研磨を実施する方法が提案されている(特許文献1)。
特開平9−55362 特許第6235247号
多段階の研磨において、平坦性に重点を置きすぎると、表面の仕上りを極端に悪化させてしまうため、表面品質改善のためのステップを長時間実施する必要が生じる。
他方、表面品質改善のためのステップは平坦性の悪化につながるため、表面品質を改善することにより、前段階で達成した平坦性を損なう恐れがある。従って平坦性を重視した研磨ステップと表面の仕上りを重視したステップの組み合わせのバランスを調整して運用する必要がある。
こうした運用方法では、一方のステップで研磨特性の変動があった場合に、他方のステップを調整して研磨対象物の最終品質を確保する必要が生じる。またトレードオフとなる工程を組み合わせて運用するため、平坦性と表面の仕上りの両者を同時に改善することが困難となる。
研磨対象物の最終製品規格が厳しくなると、上記問題が深刻となり、安定的な仕上り品質を保つことが困難となる。
研磨パッドは典型的にはポリウレタン樹脂発泡体から製造されている。研磨パッドの概要は以下のようなものである。ポリウレタン樹脂発泡体は、通常ポリウレタン結合含有イソシアネート化合物を含むプレポリマーとMOCAのような硬化剤の反応により、硬化して成形される。これをスライサーでシート状にスライスして研磨パッドが製造される。研磨パッドの表面には、気泡に基づく開口が形成される(図1は従来の研磨パッドの断面略示図である)。
このポリウレタン樹脂発泡体から製造される研磨パッドは、一般的に、電着ダイヤモンドなどから構成されるドレッサーを使用して、研磨パッドの研磨面を荒らしてから研磨が行われる(図2)。図2に示されているとおり、研磨パッドの表面は、不規則に並ぶ気泡に基づく開口と、荒らされた研磨面とからなる表面構造となる。このような表面構造が、研磨結果に不均一性をもたらすことを、本発明者が見出した。
このような表面構造、すなわちは、不均一な接触によりもたらされる研磨結果も、研磨対象物の表面に対して要求される規格が厳しくない場合には、許容範囲であった。しかし、研磨に対する規格が厳しくなるとともに、このような表面構造について放置できなくなってきた。
本発明は、こうした課題を解決すべく発明されたものであり、研磨対象物の平坦性と表面の仕上りの両者を同時に改善することを目的とする。
本発明の他の目的は、製品規格が厳しくなってきた研磨対象物の要求・仕上り品質を、安定して達成することを可能にする研磨パッドを提供することである。
本発明の他の目的は、ドレッサーを使用することなく研磨面を形成することができる研磨パッドを提供することである。
さらに、本発明の他の目的は、研磨対象物と接触する研磨パッドの接触面分布が均一となるとなる研磨パッドを提供することである。
さらにまた、本発明の他の目的は、硬度が高くとも研磨対象物へのスクラッチの発生を抑制することができる研磨パッドを提供することである。
さらにまた、本発明の他の目的は、硬度が低くとも研磨対象物の平坦性を悪化させない研磨パッドを提供することである。
本発明は、上記の課題を解決すべく、略球状の気泡を含む発泡体から構成される研磨パッドであって、パッド構成材料の密度をDMg/cm3とすると、本研磨パッドの密度が0.22DMg/cm3から0.36DMg/cm3の範囲にある。
前記研磨パッドの材料としては特に限定されず、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ハロゲン系樹脂(ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、ポリスチレン、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、エポキシ樹脂、及び感光性樹脂などが挙げられる。これらの中でポリウレタン樹脂は、耐摩耗性に優れ、原料組成を種々変えることにより所望の物性になるように調整できるため、研磨パッドの材料として特に好ましい。
研磨パッドの一形態であるポリウレタン樹脂発泡体の場合には、好適な密度が0.25から0.40g/cm3の範囲にある。
当該ポリウレタン樹脂発泡体に含まれる気泡の直径は、平均径が200μm以下であり、独立な気泡及び隣接した気泡同志がその接点において結合し開口が形成されている気泡、いわゆる連続気泡から構成される。また好適な気泡直径分布の半値全幅は80μm以下である。
研磨パッドの表面の面積「研磨面積」に対する、研磨対象と接触可能な面積の比(以下、「面積比」という。)は、32%を超えない範囲にある。
ウレタン樹脂発泡体のショアA硬度は好適に、70から95の範囲にある。
本発明の研磨パッドにより、製品規格が厳しくなってきた研磨対象物の要求・仕上り品質を、安定して達成することができる。
また、本発明の研磨パッドは、ドレッサーを使用することなく研磨面を形成することができる。
さらに、本発明の研磨パッドは、研磨面における研磨対象物との接触面積分布が均一となり、研磨対象物に対応して硬度を高いものとしても、研磨対象物へのスクラッチの発生を抑制することができ、逆に硬度を低いものとしても、研磨対象物の平坦性を悪化させることがない。
図1は従来の研磨パッドの断面構造を示す断面略示図である。 図2は、従来の研磨パッドにダイヤモンドドレスを実施した後の断面略示図である。 図3は本発明の研磨パッドの断面構造を示すSEM写真である。 図4は、本発明の研磨パッドの一断面構造を示す模式図である。 図5は、球の最密充填構造を示す模式図である。 図6は、研磨パッドLP−66Uの一断面SEM写真である。 図7は、LP−66Uで十枚のウェーハをそれぞれ研磨した場合、及び本発明で十枚のウェーハをそれぞれ研磨した場合のディフェクト数を示す。 図8は、本発明の研磨パッドの一断面構造を示す模式図であり、図4に示される直線Lを投影像とする平面で切断した場合の断面構造である。
本発明の一形態である研磨パッドは、下述の方法により製造される略球状の気泡を含むポリウレタン樹脂発泡体から構成される。ポリウレタン樹脂発泡体の密度は好適には、0.25から0.40g/cm3の範囲にある。
本発明の一形態であるポリウレタン樹脂発泡体に含まれる気泡は、独立な気泡及び隣接した気泡同志がその接点において結合し開口が形成されている気泡、いわゆる連続気泡から構成される。研磨パッドの表面の面積「研磨面積」に対する、研磨対象と接触可能な面積の比(「面積比」)は好適に、32%を超えない範囲にある。ウレタン発泡体のショアA硬度は好適に、70から95の範囲にある。
下述するように、本発明における発泡体研磨パッドの密度は、正確に制御することが不可欠である。
通常の低密度発泡体、例えばポリウレタンフォームのような発泡体においては、主に4角形〜8角形の平面から構成される多面体を構成単位とする発泡体となっている(特許文献2)。こうした多面体を構成単位とする発泡体では、樹脂そのものに起因する弾性のみが存在し(ポリウレタンフォームは密度が一桁低いことによる)、座屈などの不連続な変形が起こりやすい。
下述のように、最密充填構造の場合に、密度は0.26DMg/cmとなる。ただし、本研磨パッドの密度が0.22DMg/cm以下となると、隣接した気泡同志が接点において結合した開口が大きくなり、パッド強度の低下や不連続な座屈に起因する研磨の不均一性が生じる。密度が0.36DMg/cm3を超えると、パッド内に気泡が存在しない領域の割合が無視できなくなり、圧力分布の不均一性に起因する研磨の不均一性が生じる。
本発明の研磨パッドの断面構造が、図3に示されている。図示(SEM写真)のとおり、気泡は実質的に同じ大きさで、略球体の気泡同士が密に接する構造となっている。一般に発泡体研磨パッドの生成過程で、気泡同士が合一となり、最終的に様々な大ききをもつ気泡を有する発泡体が生じる。使用する整泡剤を調製することで、気泡同士が合一となる反応を制御することが可能となり、その結果本発明の研磨パッドのように、均一な気泡径で構成された発泡体研磨パッドを製造することが可能である。
この状態が、模式的に図4に示されている。白い球体が気泡に対応する。図5に示されているように、三つの球体が組になり(図4の左側の黒丸「B」)、中央上方に他の球体が並び(図4の左側の中央の白丸「A」)、この配置を次々に横方向、縦方向、さらに高さ方向(紙面に対して垂直方向)に並んだ構造は、「最密充填構造」と言われている。この構造における球体部分の占める体積比率は、π(√2)/6、即ち、0.74と算出される。
パッド構成材料の密度をDMg/cmとすると、図4、図5に示された最密充填構造をもったときの発泡体研磨パッドの密度は以下のように計算される。
(1−0.74)×DM g/cm=0.26DM g/cm
パッド構成材料としてポリウレタン樹脂を使用する場合、ポリウレタン樹脂密度を、約1.12g/cmとすると、図4、図5に示された最密充填構造をもったときのウレタン樹脂発泡体の密度は以下のように計算される。
0.26×1.12g/cm=0.291g/cm
図4に示された気泡の構造は、気泡(球体)が最密充填構造で並んだときの、一断面略示図ではあるが、この構造を真上からみた状態を示すということができる。つまり気泡が最密充填構造のように並んだ発泡体の一研磨面を示している。白丸が気泡の開口部を示し、気泡と気泡の間の領域が、研磨対象物と実際に接することが可能な最大接触面積(以下「接触面積」という)を示す。このときの研磨面積に対する接触面積の割合、つまり面積比を計算すると、1−π(√3)/6=0.0931、即ち、9.3%となる。
また図4に示された直線Lで断面を切った際の研磨面表面は図8に示される。上記同様に白丸が気泡の開口部を示し、気泡と気泡の間の領域が接触面積を示す。このときの研磨面積に対する接触面積の割合を計算すると、1−π(√3)/8=0.3198、即ち、32%となる。
したがって、研磨パッドが最密充填構造をもつとき、面積比は、9.3から32%の範囲にあるということになる。
図3に一例として示された、ポリウレタン発泡体からなる本研磨パットの密度は0.28から0.30g/cm3の範囲にある。さらに、本発明の研磨パッドが研磨対象と接触するときの最大接触面積の研磨面積に対する面積比は、32から50%の範囲にある。このことから、本発明の研磨パッドにおける気泡(図3)は略球体状であり、最密充填構造の球体と同じように、ほぼ同じ大きさをもち、最密充填構造のように並んでいるものといえる。
したがって、本発明の研磨パッドの表面は、図4に図示のように、略球体状の気泡が整然とならび、気泡と気泡との間に形成される領域、すなわち接触面が均一に分布していると理解できる。均一に分布する接触面は、研磨のために研磨パッドを研磨対象物に押圧したとき、その押圧力も均等に分散し、局所的に高圧力となる接触面がなく、したがって、研磨対象物に対するスクラッチの発生を抑制することができる。そのため、硬度の高い研磨パッドにより研磨を行うとき、スクラッチの発生を抑制しつつ平坦性を得ることできる。
また、本発明の研磨パッドの気泡の配置は、最密充填構造の球体のように、均一といえることから、研磨パッドの圧縮性も均一となる。そのため、硬度の低い研磨パッドにより研磨を行うとき、研磨対象物の平坦性を損なうことなく、要求される仕上げ精度を達成することができる。
本発明の研磨パッドは以下のとおりに製造される。
従来から使用されているインラインミキシング装置を使用して研磨パッドを製造する。この装置は、連続的に原材料を混合しモールドに流し込むタイプの装置である。
事前の準備として、ポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、予めポリオール化合物に発泡剤(水)とシリコーン系整泡剤とを分散希釈させた分散液と、硬化剤として低分子量(分子量62〜350)のポリアミン化合物、あるいは低分子量のポリオール化合物とをそれぞれ準備する。
ポリイソシアネート化合物としては、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有しているもので、例えば、分子内に2つのイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物としては、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、キシリレン−1,3−ジイソシアネート、ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートなどが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
ポリオール化合物としては、ジオール化合物、トリオール化合物等の化合物で、例えば、エチレングリコール、ブチレングリコール等の低分子量のポリオール化合物、および、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)、ポリテオキシテトラメチレングリコール(PTMG)等の高分子量(数平均分子量500〜7000)のポリエーテルポリオール化合物、エチレングリコールとアジピン酸との反応物やブチレングリコールとアジピン酸との反応物等のポリエステルポリオール化合物、ポリカーボネートポリオール化合物、ポリカプロラクトンポリオール化合物等の高分子量のポリオール化合物が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を併用してもよい。
上記ポリイソシアネート化合物と、上記ポリオール化合物とは、予め反応させることでイソシアネート基含有化合物、すなわち、イソシアネート末端ウレタンプレポリマー(以下、「プレポリマー」という。)を生成する。このプレポリマーを主剤として、ポリアミン等の硬化剤及び、発泡剤を含む分散液と混合してポリウレタン発泡体を得るために用いる。
流動状態のプレポリマーはタンクに投入され、温度20〜60℃における粘度が50〜20000mPa・sの範囲に設定することが好ましい。プレポリマーは減圧ポンプにより脱気し、溶存気体を除いておくことが好ましい。
発泡剤を含む分散液は、発泡に関与しないポリオール化合物に水および整泡剤、触媒、その他必要に応じて添加される添加剤等が分散されるが、この分散液によって発泡させることによって発泡剤単独でプレポリマーに混合される際に生じ易い混合斑の生成を低減できる。
この分散液に用いるポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、ブチレングリコール等の低分子量のポリオール化合物、PTMG、PPG、ポリエチレングリコール(PEG)等の高分子量のポリオール化合物を使用することができる。
発泡剤として、限定的ではないが水が使用される。不純物等の混入を回避するため、蒸留水の使用が好ましい。
なお、最密充填の気泡を形成させるために、以下の手順で発泡剤量を調整する。
(1)発泡剤を使用せずに硬化させた非発泡ポリウレタンの密度DM(g/cm3)を測定する。
(2)気泡が最密充填された発泡ポリウレタンの密度(嵩密度)0.26DM(g/cm3)を計算して求める。
(3)発泡試験を行い、最密充填される発泡ポリウレタンの発泡剤量を決定する。
このようにして、ポリウレタン発泡体の密度は、発泡剤の混合比率に基づいて正確に制御することが可能で、密度をほぼ0.26DM g/cm3とするために、原料の総量(100重量部)に対して、好ましくは0.9重量部以上1.2重量部以下、より好ましくは1.00重量部以上1.12重量部以下とする。
整泡剤として、界面活性剤が使用されるが、気泡同士の合一を妨げ、独立気泡とするために、たとえば、ポリオキシアルキレン鎖で修飾されたポリジメチルシロキサンであるシリコーン系整泡剤などが使用できる。
このシリコーン系整泡剤の使用量は、水の使用量により調整されるが、水1.0重量部に対して、6.5〜8.5重量部である。整泡剤の使用量が7.0〜8.0重量部とすることで、ポリウレタン樹脂に対する水の分散性に優れ、発泡形状および発泡の分布が均一になる。
事前の準備において、ポリアミン化合物をさらに混合してもよい。ポリアミン化合物は、イソシアネート基含有化合物のイソシアネート基と反応する。
ポリアミン化合物としては、脂肪族や芳香族のポリアミン化合物を使用することができるが、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジアミン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(以下、「MOCA」と略記する。)、ジエチルメチルベンゼンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、4,4’−メチレンビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)、1,3−プロパンジオールービス−(4−アミノベンゾエート)などが挙げられる。また、ポリアミン化合物が水酸基を有していてもよく、このようなアミン系化合物として、例えば、メチルジエタノールアミン、ジ−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、ジ−(2−ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン、ジ(2−ヒドロキシエチル)アニリンなどが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を併用してもよい。本実施形態では、MOCAを約120℃に加熱し、溶融させた状態で用いる例で説明をする。
発泡剤として水を説明したが、それに限定されない。たとえば、水を保持させた水溶性物質、化学発泡剤の分解や有機化合物の気化で発生するガスによっても気泡を形成できる。また、空気、窒素、酸素、二酸化炭素、あるいは、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスを機械的に撹拌・混合する方法(機械的発泡法)により発泡を形成してもよく、上述した複数の発泡形成手段を組み合わせてもよい。
化学発泡剤としては、例えば、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾジカルボンアミド、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド及びヒドラゾジカルボンアミドからなる群より選択される少なくとも1種を用いることができる。化学発泡剤の熱分解温度が100℃以上であると、ポリウレタン発泡体の形成時に早期の分解がより抑制され、気泡の分散状態をより均等かつ均一にすることができる。
水を保持させる水溶性物質としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルキチン、デキストリン及びシクロデキストリン等の水溶性多糖類並びにその誘導体、キトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ショ糖及びブドウ糖等のオリゴ糖や単糖類、脂肪族アミン塩及び脂肪族アンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩、スルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩及びリン酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤、エーテル型、エーテルエステル型及びエステル型等の非イオン系界面活性剤、アミノ酸、タンパク質、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルスルホン酸、並びに、ポリ(メタ)アクリル酸が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの水溶性物質は、水分を保持しやすいため、ポリウレタン成形体の形成時に水溶性物質に保持された水分がイソシアネート基含有化合物と反応することによりガスを発生し、気泡が形成される。
上述した混合液を素早く型枠に注入し、さらに、型枠内で混合液中のイソシアネート基含有化合物と活性水素化合物とを反応及び硬化させると共に、発泡剤により複数の気泡を形成することで、ブロック状のポリウレタン発泡体を得る。このとき、イソシアネート基含有化合物が活性水素化合物との反応(高分子化又は架橋)により硬化し、マトリックス樹脂を有するポリウレタン樹脂泡体が成型される。
混合液中のイソシアネート基含有化合物の含有割合は、特に限定されないが、本発明による効果をより有効かつ確実に奏する観点から、モル比(当量比)として、活性水素化合物に対して0.9〜1.2であり、好適には、0.95〜1.1である。
得られたポリウレタン発泡体を所望の厚みにスライスして、円形等の所望の形状に裁断してシート状の発泡パッドを形成する。研磨加工時のスラリの供給や研磨屑の排出等を考慮して所望の形状の溝を形成してもよい。
本研磨パッドの使用にあたっては、パッドの裏面にはパッドを貼付するための感圧式粘着テープが貼り付けられる。粘着テープを介して、研磨装置の定盤に貼り付け、研磨パッドとして使用することができる。
実施例
A.以下の構成をもつ従来技術に従った研磨パッド「LP−66U」で、十枚のウェーハのそれぞれについて研磨を行った。
トリレンジイソシアネート(TDI)30重量部とポリテトラメチレングリコール(PTMG)48重量部から構成されるプレポリマーを主剤とする。整泡剤としてはポリジメチルシロキサン系のシリコーンを1.0重量部、発泡剤としては水を1.0重量部使用した。上記材料を所定の条件下で撹拌混合した後、硬化剤としてジクロロジアミノジフェニルメタン(MOCA)20重量部を投入し、さらに一定時間混合を継続した後、混合液をモールドに注型し硬化させた。その後、恒温炉に所定の時間静置し反応を終了させ、固形状のポリウレタンケーキを得た。この固形状ポリウレタンケーキをスライサーで所定の厚さに切り出し、研磨パッドを製造した。
LP−66U:(密度0.37g/cm3、面積比36%、ショアA硬度75)面積比はパッドの研磨面から気泡を100000個以上含む範囲10か所から算出した平均値を示す。
(従来の研磨パッドLP−66Uの一断面SEM写真が図6に示されている。気泡の大きさが不均一で、ランダム配列となっている。)
B.以下の構成をもつ本発明の研磨パッドで、十枚のウェーハのそれぞれについて研磨を行った。
構成材料及び、混合比率は前記のLP−66Uと同一とした。事前準備として、プレポリマーは密閉容器内で所定の時間脱気を行った。次に各原料成分を前記LP−66Uと同一の混合比率となるように調整し、撹拌槽に送液し、撹拌混合後、ただちにモールドに注型し硬化させた。その後前記LP−66Uと同一の処理を行い、研磨パッドを製造した。
本発明の研磨パッド:(密度0.29g/cm3、面積比21%、ショアA硬度75)面積比はパッドの研磨面から気泡を100000個以上含む範囲10か所から算出した平均値を示す。
(本研磨パッドサンプルAの断面SEM写真が図3に示されている。気泡の直径はやや分布を有するものの、配列は最密充填構造に近似しており、気泡同志が近接して配列されている。)
本発明の研磨パッドと研磨パッドLP−66Uの2種類の研磨パッドに対し、SpeedFam社製50B片面研磨装置を使用し、6インチのシリコンウェーハ研磨を実施した。パッドの性能を直接比較するために、通常行う仕上げ研磨は実施していない。研磨後のシリコンウェーハをRCA洗浄し、レーザーパーティクルカウンター(Topcon社製WM−7S)により、ウェーハ表面のディフェクト数をカウントした。測定結果が図7に示されている。縦軸は十枚のウェーハそれぞれのサンプルナンバーを示し、横軸の“0.15”は0.15μm以下のディフェクトを、“0.2”は0.15μmを超え、0.2μm以下のディフェクトを示す(以下同様)。また“0.60”は0.60μm以上のディフェクトを示す。
図7はそれぞれのディフェクトの数をカウントした数を示す。最後の欄はディフェクトの数の総計を示す。
図7のとおり、本発明の研磨パッドではディフェクトの総数は半減している。つまり、本発明の研磨パッドは、スクラッチを生じさせることなく、優れた仕上げを行うことができる。
本実施例では発泡ポリウレタンを使用した研磨パッドについて説明しているが、研磨パッドの構成材料はポリウレタンに限定されるものではない。
本発明は研磨対象物として半導体(シリコン)ウェーハの研磨を一例として説明しているが、研磨対象物は半導体(シリコン)ウェーハに限定されるものではなく、例えばガラス、サファイヤ、各種セラミックス、金属などへの利用も可能である。

Claims (6)

  1. 略球状の気泡を含む発泡体から構成される研磨パッドであって、
    パッド構成材料の密度をDMg/cm3とすると、本研磨パッドの密度が0.22DMから0.36DMg/cm3の範囲にあり、
    前記研磨パッドの研磨対象物との最大接触面積は、研磨面積に対して32%を超えない、
    ことを特徴とする研磨パッド。
  2. 前記発泡体がポリウレタン発泡体から構成される研磨パッドであって、
    前記ポリウレタン発泡体の密度が0.25から0.40g/cm3の範囲にあり、
    前記研磨パッドの研磨対象物との最大接触面積は、研磨面積に対して32%を超えない、
    ことを特徴とする研磨パッド。
  3. 前記ポリウレタン発泡体の密度が0.27から0.31g/cm3の範囲である、請求項2に記載の研磨パッド。
  4. 前記ポリウレタン発泡体の平均気泡径が200μmを超えない、請求項2に記載の研磨パッド
  5. 前記ウレタン発泡体のショアA硬度が70から95の範囲にある、請求項2に記載の研磨パッド。
  6. 前記ウレタン発泡体の気泡直径分布の半値全幅は80μmを超えない、請求項2に記載の研磨パッド。
JP2018208514A 2018-11-06 2018-11-06 研磨パッド Active JP7293541B2 (ja)

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