JP2020075291A - 矩形断面鋼片の圧延方法、連続鋳造圧延設備及び圧延設備 - Google Patents

矩形断面鋼片の圧延方法、連続鋳造圧延設備及び圧延設備 Download PDF

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Abstract

【課題】鋼片の厚さ中央部分のポロシティーや偏析、および柱状晶形成による内部欠陥や不均質な組織に起因する後続工程での鋼片割れや圧延中の板破断の発生を抑制し、表面欠陥や機械特性不良といった製品欠陥の発生を抑制する。【解決手段】横断面形状が略矩形の鋼片を圧延する矩形断面鋼片の圧延方法であって、圧延に先立ち、圧延ロールと接する鋼片の上下表面のうち少なくともいずれか一方を鋼片長手方向に間欠的に加熱または保熱して、鋼片長手方向に散在する局所加熱部を鋼片に形成し、局所加熱部が形成された鋼片を圧延する。【選択図】図1

Description

本発明は、板製品の素材となる横断面形状が略矩形である鋼片を圧延する矩形断面鋼片の圧延方法、連続鋳造圧延設備及び圧延設備に関する。
連続的に溶鋼を矩形断面の鋼片に凝固させる連続鋳造機において、従来から、鋼片の厚さ中央部分のポロシティーや偏析、柱状晶形成による内部欠陥や不均質な組織に起因する後続工程での鋼片割れや圧延中の板破断等、製品欠陥(表面欠陥や機械特性不良)の発生が課題となっている。
例えば、特許文献1には、鋼片中心が完全凝固後に、表層部と中心部との温度差に応じて圧下率(量)を規定して圧延することで、中心部組織を改善する方法が開示されている。この技術によれば、表層部と中心部との温度差が小さい場合に比べれば、鋼片中心部の静水圧応力が増大し、かつ塑性ひずみ量も増え、ポロシティー欠陥や中心偏析の改善が得られる。
また、特許文献2には、幅中央部に厚肉部を有する異形断面鋼片を、鋼片中心部が完全凝固した後に圧下することで中心偏析を低減する技術が開示されている。当該技術では、鋼片の異形断面化によって、上述の特許文献1に開示された技術と比較して、鋼片中心部では圧延による塑性ひずみが増大し、かつ、静水圧応力も増大するため、中心部の組織が改善する。
さらに、特許文献3には、金属板の平坦度制御に関する技術として、熱間圧延の仕上圧延機内または出側において、金属板の板幅方向に不均一な表面温度分布を生じさせることにより、見かけ上の波形状発生限界の臨界座屈応力を向上させ、金属板の冷却後の平坦度を改善する技術が開示されている。
また、特許文献4には、複数台のミルスタンド間に設けられ、特定のまたは各リバース圧延中に鋼板長手方向及び幅方向の加熱昇温を実施する誘導加熱装置を備えた圧延設備が開示されている。
特開2004−237291号公報 特開2016−016450号公報 特許第4392115号公報 特許第6362151号公報
しかし、上記特許文献1に関しては、通常、表層部と中心部との温度差は表面の熱伝達係数及び鋼片厚でほぼ決まり、また、圧下量は鋼片厚と、製品厚からほぼ設定される中間製品(通常、粗バーと呼ばれる)の厚さとの差で圧下量の上限が制約される。このため、十分な圧下量が実現できない場合も多く、圧下量の不足に起因して、特に厚さが大きい製品を製造する際には、十分な組織や品質の改善効果が得られないことが多い。
また、上記特許文献2では、表層から鋼片厚の1/4の位置から表層近傍で生じる塑性ひずみが激減し、柱状晶組織が残留する。このため、当該部分での偏析は極めて悪化する。また、異形断面鋼片を連続鋳造すること自体が難しく、設備コストも膨大になる。
さらに、上記特許文献3に記載の技術では、金属板の冷却後の平坦度を改善することは可能であるが、ポロシティー低減あるいは細粒化等の内部品質の改善については考慮されておらず、かかる技術による内部品質の改善は見込めない。
また、上記特許文献4によれば、圧延前の幅方向および長手方向の温度分布を意図的に調整することは可能である。かかる誘導加熱装置による調整は、圧延中に生じる温度低下を補償するためのものであることから、目標とする温度分布は基本的に均一である。つまり、特許文献4においてもまた、圧延によってポロシティー低減あるいは細粒化等の内部品質を改善することは期待しがたい。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、鋼片の厚さ中央部分のポロシティーや偏析、及び柱状晶形成による内部欠陥や不均質な組織に起因する後続工程での鋼片割れや圧延中の板破断の発生を抑制し、表面欠陥や機械特性不良といった製品欠陥の発生を抑制することの可能な矩形断面鋼片の圧延方法、連続鋳造圧延設備及び圧延設備を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、横断面形状が略矩形の鋼片を圧延する矩形断面鋼片の圧延方法であって、圧延に先立ち、圧延ロールと接する鋼片の上下表面のうち少なくともいずれか一方を鋼片長手方向に間欠的に加熱または保熱して、鋼片長手方向に散在する局所加熱部を鋼片に形成し、局所加熱部が形成された鋼片を圧延する、矩形断面鋼片の圧延方法が提供される。
かかる圧延方法では、局所加熱部を、鋼片長手方向に周期的に形成してもよい。
また、かかる圧延方法では、局所加熱部は、鋼片厚さ方向における鋼片の表面からの局所加熱深さが、鋼片の厚さの0.01倍以上0.40倍以下の範囲内であり、圧延方向における局所加熱長さが、鋼片の厚さの0.01倍以上1.5倍以下の範囲内にあるように形成してもよい。
さらに、かかる圧延方法では、局所加熱部は、当該局所加熱部の表面積が、圧延ロールと接する鋼片の上下表面の全表面積の0.01倍以上0.50倍以下の範囲内となるように形成してもよい。
また、かかる圧延方法では、局所加熱部は、鋼片が圧延される際の圧延ロールとの接触弧長の1/60倍以上2倍以下の間隔を鋼片長手方向に有するように形成してもよい。
さらに、かかる圧延方法では、局所加熱部は、当該局所加熱部の温度が、圧延ロールに接する鋼片の表面の局所加熱部以外の部分の平均温度に対して+10℃以上であり、かつ、鋼片の融点温度未満となるように形成してもよい。
局所加熱部は、鋼片幅方向に分散して形成されてもよい。
局所加熱部の幅は、鋼片の厚さの0.1倍以上であってもよい。
鋼片を平面視したときの局所加熱部の形状は、鋼片幅方向に沿って延びる直線に対して交差する、斜線状、折れ線状、曲線状、周期関数状、または、千鳥状であってもよい。
局所加熱部は、鋼片のコーナー過冷部を含むように形成されてもよい。
また、本発明の他の観点によれば、鋼片を鋳造する連続鋳造機と、連続鋳造機の下流側に配置され、連続鋳造機により鋳造された鋼片の上下表面のうち少なくともいずれか一方を鋼片長手方向に間欠的に加熱または保熱して、鋼片長手方向に散在する局所加熱部を鋼片に形成する加熱装置と、加熱装置の下流側に配置され、局所加熱部が形成された鋼片を圧延する圧延機と、を備える、連続鋳造圧延設備が提供される。
さらに、本発明の他の観点によれば、加熱炉にて加熱された鋼片の上下表面のうち少なくともいずれか一方を鋼片長手方向に間欠的に加熱または保熱して、鋼片長手方向に散在する局所加熱部を鋼片に形成する加熱装置と、加熱装置の下流側に配置され、局所加熱部が形成された鋼片を圧延する圧延機と、を備える、圧延設備が提供される。
以上説明したように本発明によれば、鋼片の厚さ中央部分のポロシティーや偏析、および柱状晶形成による内部欠陥や不均質な組織に起因する後続工程での鋼片割れや圧延中の板破断の発生を抑制し、表面欠陥や機械特性不良といった製品欠陥の発生を抑制することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る矩形断面鋼片の圧延方法を実施する連続鋳造圧延設備の一構成例を示す概略構成図である。 図1の連続鋳造圧延設備の一変形例を示す概略構成図である。 同実施形態に係る矩形断面鋼片の圧延方法を実施する圧延設備の一構成例を示す概略構成図である。 局所加熱部が形成された鋼片を圧延したときの圧延ロールとの接触領域下とその近傍における鋼片内部の塑性変形の状態を示す概念図である。 局所加熱部の有無による、ロールバイト及びその近傍での鋼片の厚さ中央に生じる静水圧応力の分布を示す説明図である。 局所加熱部の有無による、圧延後の鋼片の厚さ中央位置及び表層から1/4厚さ位置における塑性ひずみの鋼片長手方向分布を示す説明図である。 局所加熱深さを鋼片の厚さで除した値と塑性ひずみ増分との一関係例を示すグラフである。 局所加熱深さを鋼片の厚さで除した値と静水圧増分との一関係例を示すグラフである。 局所加熱長さを鋼片の厚さで除した値と塑性ひずみ増分との一関係例を示すグラフである。 局所加熱長さを鋼片の厚さで除した値と静水圧増分との一関係例を示すグラフである。 加熱面積率と塑性ひずみ増分との一関係例を示すグラフである。 加熱面積率と静水圧増分との一関係例を示すグラフである。 接触弧長を局所加熱部の間隔で除した値と塑性ひずみ増分との一関係例を示すグラフである。 接触弧長を局所加熱部の間隔で除した値と静水圧増分との一関係例を示すグラフである。 局所加熱部の温度上昇量と塑性ひずみ増分との一関係例を示すグラフである。 局所加熱部の温度上昇量と静水圧増分との一関係例を示すグラフである。 鋼片幅方向に分散して形成された鋼片の局所加熱部の一例を示す説明図である。 鋼片幅方向に分散して形成された鋼片の局所加熱部の他の一例を示す説明図である。 局所加熱部の幅と塑性ひずみ増分との一関係を示すグラフである。 局所加熱部の幅と静水圧増分との一関係例を示すグラフである。 鋼片幅方向に分散して形成された鋼片の局所加熱部の他の一例を示す説明図である。 鋼片幅方向に分散して形成された鋼片の局所加熱部の他の一例を示す説明図である。 鋼片幅方向に分散して形成された鋼片の局所加熱部の他の一例を示す説明図である。 鋼片幅方向に分散して形成された鋼片の局所加熱部の他の一例を示す説明図である。 鋼片幅方向に分散して形成された鋼片の局所加熱部の他の一例を示す説明図である。 鋼片幅方向に分散して形成された鋼片の局所加熱部の他の一例を示す説明図である。 鋼片幅方向に分散して形成された鋼片の局所加熱部の他の一例を示す説明図である。 鋼片幅方向に分散して形成された鋼片の局所加熱部の他の一例を示す説明図である。 鋼片のコーナー過冷部と局所加熱部との関係を示す説明図である。 実施例2にて形成される局所加熱部を示す説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.設備構成>
まず、図1及び図2に基づいて、本発明の一実施形態に係る矩形断面鋼片の圧延方法を実施する設備構成例を説明する。図1は、本実施形態に係る矩形断面鋼片の圧延方法を実施する連続鋳造圧延設備の一構成例を示す概略構成図である。図2は、本実施形態に係る矩形断面鋼片の圧延方法を実施する圧延設備の一構成例を示す概略構成図である。
[1−1.連続鋳造機により製造された鋼片の圧延]
本実施形態に係る矩形断面鋼片の圧延方法は、例えば図1に示すような連続鋳造圧延設備1により実施可能である。かかる連続鋳造圧延設備1は、例えば図1に示すように、鋼片5を鋳造する連続鋳造機10と、加熱装置20と、圧延機30とを備える。なお、連続鋳造機10によって製造される鋼片5の種類及びサイズは、特に限定されない。鋼片5は、例えばスラブ、ビレット及びブルームのいずれであってもよい。以下では、鋼片5の一例として、スラブを想定して説明する。
(連続鋳造機)
連続鋳造機10は、図1に示すように、連続鋳造用の鋳型13を用いて溶融金属を連続鋳造し、スラブ等の鋼片5を製造するための装置である。連続鋳造機10は、タンディッシュ11と、浸漬ノズル12と、鋳型13と、二次冷却装置14とを含む。
タンディッシュ11は、鋳型13の上方に配置されており、取鍋(図示せず。)により搬送された溶融金属を貯蔵する。タンディッシュ11では溶融金属を貯蔵している間に、溶融金属中の介在物を除去する。タンディッシュ11の底部には、鋳型13に溶融金属を供給する浸漬ノズル12が設けられている。浸漬ノズル12は、タンディッシュ11にて介在物が除去された溶融金属を鋳型13に連続供給する。
鋳型13は、製造する鋼片5の幅及び厚さに応じて形成された略矩形状の中空を有する型枠である。鋳型13は、例えば、4枚の水冷銅板からなる鋳型板を組み合わせて構成されている。浸漬ノズル12を介して鋳型13内に供給された溶融金属は、鋳型板と接触することで冷却され、外殻に溶融金属が凝固した凝固シェル5aが形成される。外殻が凝固した状態で、鋼片5は鋳型13から引き抜かれる。
二次冷却装置14は、鋳型13に対して鋳造方向下流側に設けられ、鋳型13の下端から引き抜かれた鋼片5を支持し、搬送しながら冷却する。二次冷却装置14は、鋼片5の厚さ方向両側に配置される複数対の支持ロール14aと、鋼片5に対して冷却水を噴射する複数のスプレーノズル(図示せず。)とを有する。鋳型13から引き抜かれた直後の鋼片5の凝固シェル5aの内部には未凝固部5bが存在するが、二次冷却装置14を移動する間に内部の未凝固部5bの凝固が進行し、外殻の凝固シェル5aの厚さは、徐々に厚くなる。そして、鋼片5はほぼ完全凝固すると、連続鋳造機10から加熱装置20へ連続して搬送される。
なお、本発明に係る連続鋳造機10は、図1に示すような垂直曲げ型の連続鋳造機10に限定されず、湾曲型又は垂直型など他の各種の連続鋳造機であってもよい。
(加熱装置)
加熱装置20は、連続鋳造機10の下流側に配置され、連続鋳造機10により鋳造された鋼片5の上下表面のうち少なくともいずれか一方を鋼片長手方向に間欠的に加熱する。これにより、鋼片長手方向に散在する局所加熱部5cが鋼片5に形成される。図1に示す加熱装置20は、鋼片5の上面及び下面の各表面を加熱可能なように、鋼片5の上面の上方及び鋼片5の下面の下方に、それぞれ加熱ユニットが配置されている。
図1に示す加熱装置20は、誘導加熱式の加熱装置である。加熱ユニットは、例えば交流電源21に接続され、鋼片長手方向に所定の間隔を有して配置された複数の誘導加熱コイル部23を備える。誘導加熱コイル部の間隔は、均一であってもよく、不均一であってもよい。誘導加熱コイル部23は、例えば図1に示すように、交流電源21に接続されたコイルを鉄等の磁性体に巻回して構成されている。
誘導加熱コイル部23は、板幅方向に少なくとも鋼片5の板幅と略同一の範囲をカバーするように配置されている。誘導加熱コイル部23には、交流電源21からの電流の供給の有無を切り替えるためのスイッチ25が接続されている。スイッチ25をオンにすると誘導加熱コイル部23に電流が流れ、高周波磁場により直下及びその近傍の鋼片5の表面が加熱される。スイッチ25がオフのときには誘導加熱コイル部23には電流は流れず、鋼片5の表面は加熱されなくなる。誘導加熱コイル部23のスイッチ25を適宜オンオフすることにより、鋼片長手方向の任意の位置を局所的に加熱することができる。
加熱装置20は、鋼片5が加熱装置20を通過する間、鋼片5の同位置が加熱されるように、鋼片5の移動速度に基づき誘導加熱コイル部23のスイッチ25をオンオフする。これにより、鋼片5の表面には、局所的に加熱された局所加熱部5cが、鋼片長手方向に所定の間隔で形成される。
(圧延機)
圧延機30は、加熱装置20の下流側に配置され、加熱装置20により局所加熱部5cが形成された鋼片5を圧延する。圧延機30は、一対の圧延ロール31a、31bからなり、所定の圧下率で鋼片5を圧延する。圧延ロール31a、31bはフラットロールである。なお、圧延機30は、図1に示すような2段圧延機であってもよく、4段圧延機もしくはその他の形式の板圧延機であってもよい。圧延ロール31a、31bは、フラットロール以外のロールであってもよく、任意の断面形状を有することができる。
図1に示す連続鋳造圧延設備1では、加熱装置20により鋼片5の表面に局所加熱部5cを形成したが、鋼片5の表面を加熱する代わりに保熱しても同様に局所加熱部5cを形成可能である。例えば、本実施形態に係る連続鋳造圧延設備は、図2に示すように、図1に示した加熱装置20の代わりに保熱装置40を設置した連続鋳造圧延設備2であってもよい。
(保熱装置)
保熱装置40は、図2に示すように、連続鋳造機10の下流側に配置され、連続鋳造機10により鋳造された鋼片5の上下表面のうち少なくともいずれか一方を鋼片長手方向に間欠的に保熱する。これにより、鋼片長手方向に散在する局所加熱部5cが鋼片5に形成される。図2に示す保熱装置40は、鋼片5の上面及び下面の各表面を鋼片長手方向に間欠的に保熱するように、鋼片5の上面の上方及び鋼片5の下面の下方に、それぞれ保熱ユニットが配置されている。
保熱ユニットは、例えば保熱部材45を鋼片長手方向に所定の間隔で複数配置させることにより、鋼片5の表面が局所的に空冷されないようにする。保熱部材45は、断熱性及び耐熱性を有する材料から形成される板状の部材である。保熱部材45は、板幅方向に少なくとも鋼片5の板幅と略同一の長さを有する。図2に示す保熱装置40では、保熱ユニットは、一対のローラ41a、41bにより支持された無端ベルト43の外周面に保熱部材45が複数配置された構成となっている。無端ベルト43は、鋼片長手方向(すなわち、鋳造方向)に沿って、鋼片5の移動速度と同一速度で回転している。なお、無端ベルト43に設けられている保熱部材45の間隔は等間隔であってもよく、不均一であってもよい。
保熱ユニットの保熱部材45により表面が覆われた鋼片5の表面部位は空冷され難い。無端ベルト43が鋼片5と同一速度で回転しているため、鋼片5が保熱装置40を通過する間、鋼片5の同部位が保熱され続ける。これにより、鋼片5の表面には、局所的に保熱されることで周囲より相対的に高温となった局所加熱部5cが、鋼片長手方向に保熱部材45の設置間隔で形成される。
[1−2.加熱炉により加熱された鋼片の圧延]
本実施形態に係る矩形断面鋼片の圧延方法は、例えば図3に示すような圧延設備3によっても実施可能である。かかる圧延設備3は、例えば図3に示すように、加熱炉50により加熱された鋼片5をさらに加熱する加熱装置70と、圧延機80とを備える。
例えば、連続鋳造機等によって製造された鋼片5が一旦冷却された後に圧延する場合には、図3に示すように、加熱炉50により再加熱された鋼片5は、加熱炉50から抽出された後ロール18により搬送され、加熱によって生じた鋼片5の表面のスケールがスケール除去装置60により除去された後、加熱装置70へ搬送される。なお、スケール除去が不要な鋼片については、スケール除去装置60は稼働させなくともよく、設置自体も不要である。
(加熱装置)
加熱装置70は、加熱炉50にて加熱された鋼片5の上下表面のうち少なくともいずれか一方を鋼片長手方向に間欠的に加熱する。これにより、鋼片長手方向に散在する局所加熱部が鋼片5に形成される。図3に加熱装置70は、鋼片5の上面の上方に配置されており、鋼片5の上面のみを局所加熱する構成となっている。
加熱装置70は、例えば図1の加熱装置20と同様に誘導加熱式の加熱装置であってもよい。加熱装置70は、例えば交流電源71に接続され、鋼片長手方向に所定の間隔を有して配置された複数の誘導加熱コイル部73を備える。誘導加熱コイル部73の間隔は、均一であってもよく、不均一であってもよい。誘導加熱コイル部73は、交流電源71に接続されたコイルを鉄等の磁性体に巻回して構成されている。誘導加熱コイル部73は、板幅方向に少なくとも鋼片5の板幅と略同一の範囲をカバーするように配置されている。誘導加熱コイル部73に電流が流れると、誘導加熱コイル部73の直下及びその近傍の鋼片5の表面が加熱され、鋼片5の表面を局所的に加熱することができる。
図3に示す加熱装置70は、鋼片5の搬送方向(すなわち、圧延方向)及びその逆方向に往復移動可能に構成されている。加熱装置70の搬送方向への移動は始点位置(図3の破線位置)に始まり、鋼片5の移動速度と同一の速度で終点位置(図3の実線位置)まで移動する。終点位置に到達した加熱装置70は移動方向を反転し、搬送方向への移動速度よりも高速で始点位置まで逆方向に移動する。加熱装置70は、この搬送方向への移動と逆方向への移動を鋼片5の長さに応じた回数分繰り返す。加熱装置70が搬送方向へ移動する間、鋼片5の同位置が加熱され続ける。加熱装置70が往復移動を繰り返すことで、鋼片5の表面には、局所的に加熱された局所加熱部5cが、鋼片長手方向に稼働する誘導加熱コイル部73の間隔で形成される。
なお、加熱装置70において、搬送方向への移動中に必ずしもすべての誘導加熱コイル部73を常時稼働させなくともよく、鋼片5に形成する局所加熱部5cの間隔に応じて適宜稼働させればよい。加熱装置70の逆方向への移動速度は、例えば、鋼片5の移動速度に{(始点位置と終点位置との間の搬送方向距離)÷(局所加熱部5cの間隔)}を乗じた値より高速であれば十分である。
なお、図3に示す圧延設備3においては、加熱装置70の代わりに保熱装置を設けてもよい。この場合、保熱装置は、図2に示したような保熱装置であってもよい。
(圧延機)
圧延機80は、加熱装置70の下流側に配置され、加熱装置70により局所加熱部5cが形成された鋼片5を圧延する。圧延機80は、一対の圧延ロール81a、81bからなり、所定の圧下率で鋼片5を圧延する。圧延ロール81a、81bはフラットロールである。なお、圧延機80は、図3に示すような2段圧延機であってもよく、4段圧延機もしくはその他の形式の板圧延機であってもよい。圧延ロール81a、81bは、フラットロール以外のロールであってもよく、任意の断面形状を有することができる。
以上、本実施形態に係る矩形断面鋼片の圧延方法を実施するための設備例を説明した。なお、図1の連続鋳造圧延設備1において、加熱装置20の代わりに図3の加熱装置70を用いてもよい。同様に、図3の圧延設備3において、加熱装置70の代わりに図1の加熱装置20を用いてもよい。また、本実施形態に係る矩形断面鋼片の圧延方法を実施するための設備は図1〜図3の例に限定されるものではなく、鋼片5の圧延に先立ち、鋼片5の表面に鋼片長手方向に局所加熱部5cを散在させる加熱装置または保熱装置を備える設備であれば、本実施形態に係る矩形断面鋼片の圧延方法を実施し得る。
<2.圧延前局所加熱によるひずみの付与>
本実施形態に係る矩形断面鋼片の圧延方法では、図1〜図3に示したような設備を用いて、圧延機による圧延前の鋼片5に対して、圧延ロールと接する鋼片5の上下表面のうち少なくともいずれか一方を鋼片長手方向に間欠的に加熱または保熱して、鋼片長手方向に散在する局所加熱部5cを鋼片5に形成する。このような局所加熱部5cが形成された鋼片5を圧延機により圧延することで、同一の鋼片圧下量条件で、圧延中の材料内部の応力やひずみ等の変形状態を有意かつ意図的に変化させることができ、鋼片厚を変更することなく鋼片品質を向上させることを可能とする。すなわち、厚さ中央での静水圧応力の増大はポロシティー圧着に有効であり、塑性ひずみの増大は偏析の改善や結晶粒の微細化に繋がる。
[2−1.圧延前局所加熱による作用]
まず、図4〜図6に基づいて、本実施形態に係る矩形断面鋼片の圧延方法において、圧延に先立って鋼片5に局所加熱部5cを形成する理由を説明する。図4は、局所加熱部5cが形成された鋼片5を圧延したときの圧延ロール31aとの接触領域下(以下、「ロールバイト」と称する。)とその近傍における鋼片内部の塑性変形の状態(応力、塑性ひずみ及びメタルフロー)を示す概念図である。図5は、局所加熱部5cの有無による、ロールバイト及びその近傍での鋼片5の厚さ中央に生じる静水圧応力の分布を示す説明図である。なお、図5では、静水圧応力の圧縮側を正として示している。図6は、局所加熱部5cの有無による、圧延後の鋼片の厚さ中央位置及び表層から1/4厚さ位置における塑性ひずみの鋼片長手方向分布を示す説明図である。
鋼片5に鋼片長手方向に散在する局所加熱部5cを形成してから圧延すると、鋼片5の表面近傍の変形状態が鋼片長さ方向に顕著に変動し、当該変動が鋼片の厚さ中央まで伝播する。すなわち、図4に示すように、鋼片5が圧延ロール31aにて圧延される際、局所加熱部5cにおいて、相対的に硬く変形し難い局所加熱部5cの前後領域による拘束の影響で局所加熱部5cに塑性変形が集中し、鋼片5の塑性ひずみが大きくなる。すなわち、局所加熱部5cが変形の起点となって、鋼片5の内部に大きな塑性ひずみを生じさせる。図4では、局所加熱部5cから大きな塑性ひずみが生じた部分を変形増大部分5eとして示している。図4示すように、1つの局所加熱部5cから1つの変形増大部分5eが生じる。
変形増大部分5eは、静水圧応力が増大する部分と概ね相似する。図5の実線は、局所加熱部5cが形成されていない鋼片5を圧延ロールにより押圧したときの鋼片の厚さ中央における静水圧応力の圧延方向分布を示している。また、図5の破線は、局所加熱部5cが形成されている鋼片5を圧延ロールによる押圧したときの静水圧応力の圧延方向分布を示している。図5では、図4における変形増大部分5eが、静水圧応力が最大となる圧延方向位置を通過する際の分布を表示している。
このとき、塑性ひずみは、局所加熱部5cを起点とした変形増大部分5eの領域を伝播し、厚さ中央に到達する。この変形増大部分5eの領域内の塑性変形の主体は圧延方向の延び変形であり、当該領域の周囲に在る相対的に小さい延び変形しか生じない部分に拘束されて、変形増大部分5eの静水圧応力が圧縮側に変化する。したがって、圧延ロールと鋼片5との接触領域の略中央部から出口近傍において最大となる圧縮応力値(すなわち、静水圧応力のピーク値)σpeak 1/2は、局所加熱部5cが形成されていない場合と比較して、静水圧増分値dσpeak 1/2だけ大きくなる。これより、鋼片5に局所加熱部5cを形成することで、局所加熱部5cが形成されていない場合よりも静水圧応力を増加できることがわかる。
変形増大部分5eは、鋼片長手方向に略周期的に生じる。同じロールバイト内に変形増大部分5eとそれ以外の部分が共存すると、静水圧応力の勾配が生じ、変形増大部分5eから他の部分に向かう副次的なメタルフローが発生する。接触長に略等しい長さのロールバイト内に塑性変形が大きい部分と小さい部分とが繰り返し現れることで、副次的なメタルフローがより顕著になり、塑性ひずみが有意に増大する。したがって、鋼片5に局所加熱部5cを形成することで、より効果的に塑性ひずみを増大させることができる。
図6に、局所加熱部5cが形成された鋼片5を圧延したときの、圧延後の鋼片長手方向における塑性ひずみの分布を示す。図6に示すように、局所加熱部5cが形成された鋼片5を圧延することにより、鋼片厚さ方向の1/4厚さ位置及び鋼片厚さ方向の中央位置において、塑性ひずみは非対称な波形で略周期的に変化する。
厚さ方向中央位置の塑性ひずみの変動幅は、鋼片5の表面の局所加熱部5cの寸法や周囲との温度差(降伏応力差)に対応すると考えられる。このとき、厚さ中央よりも鋼片表面寄り、例えば厚さ中央から鋼片厚さの1/4だけ鋼片表面に向かった位置(以下、「1/4厚さ位置」ともいう。)の方が中央位置よりも振幅が大きくなっている。また、1/4厚さ位置の位相よりも中央位置の位相は遅れたものとなる。この位相の遅れは、図4に示したように、変形増大部分5eの表面近傍部分が厚さ中央部分よりも圧延方向上流側に位置し、変形増大部分5eが厚さ方向に対して傾斜していることに符合する。
なお、図6には、比較として、局所加熱部5cが形成されていない鋼片5を圧延した場合の鋼片5の塑性ひずみを示している。局所加熱部5cが形成されていない鋼片5を圧延したときの圧下量は、局所加熱部5cが形成された鋼片5を圧延した場合と同一とした。このとき、鋼片5の厚さ方向の中央位置及び1/4厚さ位置のいずれについても、鋼片に局所加熱部5cを形成することで塑性ひずみが長さ方向の大半の部分で増大し、かつ平均的なひずみ値も増大していることがわかる。図6では、鋼片5の厚さ方向の中央位置及び1/4厚さ位置における、局所加熱部5cが形成されていない鋼片5を圧延したときの塑性ひずみからの局所加熱部5cが形成された鋼片5を圧延したときの塑性ひずみの増分量(以下、「塑性ひずみ増分量」ともいう。)のピーク値を、それぞれピークひずみ増分量dεpeak 1/2、dεpeak 1/4と表している。
[2−2.局所加熱部の形成]
上述のように鋼片5の塑性ひずみの増大を実現するためには、鋼片5に局所加熱部5cを適切に設ける必要がある。本願発明者はこの条件を検討した結果、局所加熱部5cの局所加熱深さ、局所加熱長さ、局所加熱表面積、局所加熱部間隔、局所加熱部温度を以下のようにすることで、同一の鋼片圧下量条件下で鋼片内部の塑性ひずみを厚さ方向全域にわたって有意に大きくし、かつ厚さ中央近傍の静水圧応力を圧縮側に高めることができ、鋼片の厚さ方向中央近傍のポロシティーの圧着効果や中心偏析の改善のみならず、鋼片の表層近傍での柱状晶の形成によるミクロ偏析も改善されるとの知見を得た。なお、局所加熱深さは、局所加熱部5cの厚さ方向深さをいい、局所加熱長さは、局所加熱部5cの圧延方向長さをいい、局所加熱部間隔は、鋼片長手方向に隣接する局所加熱部5cの間隔であり、局所加熱部5cの鋼片長手方向中心間の距離をいう。
(1)局所加熱深さ、局所加熱長さ
局所加熱部5cは、鋼片厚さ方向における鋼片5の表面からの局所加熱深さが、鋼片5の厚さの0.01倍以上0.40倍以下の範囲内に形成され、かつ、圧延方向における局所加熱長さが、鋼片5の厚さの0.01倍以上1.5倍以下の範囲内にあるのが望ましい。局所加熱深さとは、圧延ロールに圧下される直前における局所加熱部5cの鋼片厚さ方向における深さをいう。局所加熱長さとは、圧延ロールに圧下される直前における局所加熱部5cの圧延方向における長さをいう。局所加熱深さ及び局所加熱長さは、例えば圧延機入側での表面温度の測定値から熱伝導計算等を用いて推定し得る。なお、後述の局所加熱部寸法因子も、局所加熱深さと同様に推定し得る。
図7に、局所加熱深さを鋼片5の厚さで除した値(すなわち、「局所加熱深さ/鋼片厚さ」)と塑性ひずみ増分との関係を示す。なお、図7において、局所加熱深さを鋼片5の厚さで除した値の座標を示す横軸は対数目盛で表している。後述する図8の横軸も同様である。図7に示すように、図6に示した鋼片5の厚さ方向の中央位置及び1/4厚さ位置についてのピークひずみ増分量dεpeak 1/2、dεpeak 1/4について、いずれも凸形状の曲線を有する。ここで、通常の圧延における圧下ひずみが0.1のオーダーであることを考慮すると、局所加熱部5cが形成されていない鋼片5を圧延したときの塑性ひずみからのひずみ増分量が0.01(すなわち1%)以上であればその効果は実質的に有意であると考えられる。図7より、鋼片5の厚さ方向の中央位置及び1/4厚さ位置についてのピークひずみ増分量dεpeak 1/2、dεpeak 1/4が0.01を超える範囲は、局所加熱深さを鋼片5の厚さで除した値が0.01以上0.4以下の範囲である。すなわち、局所加熱部5cの局所加熱深さを鋼片厚さの0.01倍以上0.40倍の範囲に設定すればよい。
局所加熱部5cの局所加熱深さが鋼片厚さの0.01倍以上であれば、ひずみの増大効果を有意に得ることができる。また、局所加熱部5cの局所加熱深さを鋼片厚さの0.40倍以下とすることで、局所加熱部5cを形成することによる温度上昇に起因する材質影響が製品全体の品質評価に及ぶことがなく、好適である。
したがって、塑性ひずみを有意に増大させるには、局所加熱部5cの局所加熱深さを、鋼片厚さの0.01倍以上0.40倍の範囲に設定するのがよい。なお、図5に示したように、ロールバイト内の静水圧応力は100MPaのオーダーであり、10MPa以上の静水圧応力の増加は実質的にも有意な効果をもたらすと考えられる。このため、図8に示すように、局所加熱深さを鋼片5の厚さで除した値(すなわち、「局所加熱深さ/鋼片厚さ」)が0.01以上0.4以下の範囲、すなわち、局所加熱部5cの局所加熱深さを鋼片厚さの0.01倍以上0.40倍の範囲に設定すれば、常に10MPaを大きく超える静水圧応力増分量が得られており、鋼片の厚さ方向中央近傍のポロシティー圧着に関して実用上十分な効果を享受することができる。
また、図9に、局所加熱長さを鋼片5の厚さで除した値(すなわち、「局所加熱長さ/鋼片厚さ」)と塑性ひずみ増分との関係を示す。なお、図9において、局所加熱長さを鋼片5の厚さで除した値の座標を示す横軸は対数目盛で表している。後述する図10の横軸も同様である。局所加熱深さの場合と同様、局所加熱長さについても、図9に示すように、図6に示した鋼片5の厚さ方向の中央位置及び1/4厚さ位置についてのピークひずみ増分量dεpeak 1/2、dεpeak 1/4について、いずれも凸形状の曲線を有する。ここで、通常の圧延における圧下ひずみが0.1のオーダーであることを考慮すると、局所加熱部5cが形成されていない鋼片5を圧延したときの塑性ひずみからのひずみ増分量が0.01(すなわち1%)以上であればその効果は実質的に有意であると考えられる。図9より、鋼片5の厚さ方向の中央位置及び1/4厚さ位置についてのピークひずみ増分量dεpeak 1/2、dεpeak 1/4が0.01を超える範囲は、局所加熱長さを鋼片5の厚さで除した値が0.01以上1.5以下の範囲である。すなわち、局所加熱部5cの局所加熱長さを、鋼片厚さの0.01倍以上1.5倍以下の範囲に設定すればよい。
局所加熱部5cの局所加熱長さが鋼片厚さの0.01倍以上であれば、ひずみの増大効果を有意に得ることができる。また、局所加熱部5cの局所加熱長さを鋼片厚さの1.5倍以下とすることで、局所加熱部5cを形成することによる温度上昇に起因する材質影響が製品全体の品質評価に及ぶことがなく、好適である。
したがって、塑性ひずみを有意に増大させるには、局所加熱部5cの局所加熱長さを、鋼片5の表面から鋼片厚さの0.01倍以上1.5倍の範囲に設定するのがよい。なお、図5に示したように、ロールバイト内の静水圧応力は100MPaのオーダーであり、10MPa以上の静水圧応力の増加は実質的にも有意な効果をもたらすと考えられる。このため、図10に示すように、局所加熱長さを鋼片5の厚さで除した値(すなわち、「局所加熱長さ/鋼片厚さ」)が0.01以上1.5以下の範囲、すなわち、局所加熱部5cの局所加熱長さを鋼片厚さの0.01倍以上1.5倍の範囲に設定すれば、常に10MPaを大きく超える静水圧応力増分量が得られており、鋼片の厚さ方向中央近傍のポロシティー圧着に関して実用上十分な効果を享受することができる。
(2)局所加熱表面積
局所加熱部5cは、当該局所加熱部5cの表面積である局所加熱表面積が、圧延ロールと接する鋼片5の上下表面の全表面積の0.01倍以上0.5倍以下の範囲内となるように形成されるのがよい。ここで、局所加熱表面積を全表面積で除した値(すなわち、「局所加熱表面積/全表面積」)を加熱面積率と称する。
図11に、加熱面積率と塑性ひずみ増分との関係を示す。なお、図11において、加熱面積率の座標を示す横軸は対数目盛で表している。後述する図12の横軸も同様である。図11に示すように、図5に示した鋼片5の厚さ方向の中央位置及び1/4厚さ位置についてのピークひずみ増分量dεpeak 1/2、dεpeak 1/4について、いずれも加熱面積率が大きくなるほど塑性ひずみ増分は大きくなっている。ここで、通常の圧延における圧下ひずみが0.1のオーダーであることを考慮すると、局所加熱部5cが形成されていない鋼片5を圧延したときの塑性ひずみからのひずみ増分量が0.01(すなわち1%)以上であればその効果は実質的に有意であると考えられる。図11より、鋼片5の厚さ方向の中央位置及び1/4厚さ位置についてのピークひずみ増分量dεpeak 1/2、dεpeak 1/4が0.01を超える範囲は、加熱面積率が0.01以上0.5以下の範囲である。すなわち、局所加熱表面積が圧延ロールと接する鋼片5の上下表面の全表面積の0.01倍以上0.5倍以下の範囲内となるように、局所加熱部5cを形成すればよい。
加熱面積率が0.01以上であれば、ひずみの増大効果を有意に得ることができる。また、加熱面積率を0.5以下とすることで、局所加熱部5cを形成することによる温度上昇に起因する材質影響が製品全体の品質評価に及ぶことがなく、好適である。なお、静水圧応力の増大効果については、図12に示すように、加熱面積率が0.01以上0.5以下の範囲であれば静水圧応力増分量は常に10MPa以上あるため、ポロシティー圧着に関して実用十分な効果を享受することができる。
(3)局所加熱部間隔
局所加熱部5cは、鋼片5が圧延される際の圧延ロールとの接触弧長の1/60倍以上2倍以下の間隔を局所加熱部間隔として鋼片長手方向に有するように形成されるのがよい。局所加熱部間隔は、圧延直前の鋼片5において、鋼片5と圧延ロールとの接触弧長に対応する長さで表される。
図13に、接触弧長を局所加熱部間隔で除した値(すなわち、「接触弧長/局所加熱部間隔」)と塑性ひずみ増分との関係を示す。図13に示すように、図5に示した鋼片5の厚さ方向の中央位置及び1/4厚さ位置についてのピークひずみ増分量dεpeak 1/2、dεpeak 1/4について、いずれも凸形状の曲線を有する。ここで、通常の圧延における圧下ひずみが0.1のオーダーであることを考慮すると、局所加熱部5cが形成されていない鋼片5を圧延したときの塑性ひずみからのひずみ増分量が0.01(すなわち1%)以上であればその効果は実質的に有意であると考えられる。図13より、鋼片5の厚さ方向の中央位置及び1/4厚さ位置についてのピークひずみ増分量dεpeak 1/2、dεpeak 1/4が0.01を超える範囲は、接触弧長を局所加熱部間隔で除した値が0.5以上60以下の範囲である。すなわち、局所加熱部間隔を、鋼片5が圧延される際の圧延ロールとの接触弧長の1/60倍以上2倍以下の範囲に設定すればよい。局所加熱部間隔が、鋼片5が圧延される際の圧延ロールとの接触弧長の1/60倍以上2倍以下であれば、ひずみの増大効果を有意に得ることができる。
なお、図5に示したように、ロールバイト内の静水圧応力は100MPaのオーダーであり、10MPa以上の静水圧応力の増加は実質的にも有意な効果をもたらすと考えられる。このため、図14に示すように、局所加熱部間隔を、鋼片5が圧延される際の圧延ロールとの接触弧長の1/60倍以上2倍以下の範囲に設定すれば、常に10MPaを大きく超える静水圧応力増分量が得られており、鋼片の厚さ方向中央近傍のポロシティー圧着に関して実用上十分な効果を享受することができる。
(4)局所加熱部温度
局所加熱部5cは、当該局所加熱部5cの平均温度(すなわち、局所加熱部温度)が、圧延ロールに接する鋼片5の表面の局所加熱部5c以外の部分の平均温度に対して+10℃以上の範囲内であり、かつ、融点温度未満となるように形成されるのがよい。
図15に、局所加熱部5cの温度上昇量と塑性ひずみ増分との関係を示す。ここで、局所加熱部5cの温度上昇量とは、局所加熱部5c以外の部分の平均温度に対する局所加熱部温度の上昇量である。なお、図15において、局所加熱部5cの温度上昇量の座標を示す横軸は対数目盛で表している。後述する図16の横軸も同様である。
図15に示すように、図5に示した鋼片5の厚さ方向の中央位置及び1/4厚さ位置についてのピークひずみ増分量dεpeak 1/2、dεpeak 1/4について、いずれも局所加熱部5cの温度上昇量が大きくなるほど塑性ひずみ増分は大きくなっている。ここで、通常の圧延における圧下ひずみが0.1のオーダーであることを考慮すると、局所加熱部5cが形成されていない鋼片5を圧延したときの塑性ひずみからのひずみ増分量が0.01(すなわち1%)以上であればその効果は実質的に有意であると考えられる。図15より、鋼片5の厚さ方向の中央位置及び1/4厚さ位置についてのピークひずみ増分量dεpeak 1/2、dεpeak 1/4が0.01を超える範囲は、局所加熱部5cの温度上昇量が10℃以上、かつ、局所加熱部温度が融点温度未満の範囲である。すなわち、局所加熱部5cの温度上昇量が+10℃以下の範囲内であり、かつ、局所加熱部温度が融点温度未満となるように、局所加熱部5cを形成すればよい。
局所加熱による鋼片5の温度変化が+10℃以上であれば、ひずみの増大効果を有意に得ることができる。また、局所加熱部温度を融点温度未満とすることで、局所加熱部5cの溶融後、再凝固による表面欠陥の発生や材質不合などの問題を回避することができる。
なお、静水圧応力の増大効果については、図16に示すように、局所加熱部5cの温度上昇量が+10℃以上、かつ、局所加熱部温度が融点温度未満の範囲であれば静水圧応力増分量は常に10MPa以上あるため、ポロシティー圧着に関して実用十分な効果を享受することができる。
(5)鋼片幅方向における配置
局所加熱部5cは、鋼片5の幅方向において必ずしも全幅に亘って連続的に形成される必要はなく、分散して形成されてもよい。
例えば、当該局所加熱部5cを鋼片5の全幅に亘って形成したときに、当該局所加熱部5cの形成時に不均一な鋼片表面スケールの生成や剥離が生じ、製品の表面品質の低下を来す場合もある。このような場合には、例えば図17Aに示すように、局所加熱部5cを幅方向に分散させ、表面性状の均一化を図ればよい。
また、例えば、鋼片5の幅方向端部付近(例えば鋼片5の幅方向端部から鋼片さの0.5倍程度の距離だけ幅中央側へ入った位置La)より幅中央側の位置において、鋼片厚さ中心近傍にポロシティーや中心偏析が集中して生じる場合もある。このような場合には、例えば図17Bに示すように、鋼片5の幅方向端部付近(例えば位置La)からポロシティーや中心偏析が生じる幅中央寄りの境界Lb近傍までの間に、局所加熱部5cを形成すればよい。なお、局所加熱部5cの幅Wは、鋼片5の厚さの0.1倍以上であるのがよい。局所加熱部5cの幅Wは、連続する局所加熱部5cを鋼片幅方向に投影したときの局所加熱部5cの長さをいう。
図18に、局所加熱部5cの幅Wと塑性ひずみ増分との関係を示す。図18の横軸は、局所加熱部5cの幅Wを鋼片厚さで除した値(すなわち、局所加熱部5cの幅W/鋼片厚さ)を示している。後述する図19の横軸も同様である。図18に示すように、図5に示した鋼片5の厚さ方向の中央位置及び1/4厚さ位置についてのピークひずみ増分量dεpeak 1/2、dεpeak 1/4について、いずれも局所加熱部5cの幅Wが大きくなるほど塑性ひずみ増分は大きくなっている。ここで、通常の圧延における圧下ひずみが0.1のオーダーであることを考慮すると、局所加熱部5cが形成されていない鋼片5を圧延したときの塑性ひずみからのひずみ増分量が0.01(すなわち1%)以上であればその効果は実質的に有意であると考えられる。図18より、鋼片5の厚さ方向の中央位置及び1/4厚さ位置についてのピークひずみ増分量dεpeak 1/2、dεpeak 1/4が0.01を超える範囲は、局所加熱部5cの幅Wが鋼片5の厚さの0.1倍以上の範囲である。局所加熱により形成された鋼片5の局所加熱部5cの幅Wが鋼片5の厚さの0.1倍以上であれば、ひずみの増大効果を有意に得ることができる。
なお、静水圧応力の増大効果については、図19に示すように、局所加熱部5cの幅Wが鋼片5の厚さの0.1倍以上の範囲であれば静水圧応力増分量は常に10MPa以上あるため、ポロシティー圧着に関して実用十分な効果を享受することができる。
鋼片幅方向に分散して形成される局所加熱部5cの例を図20A〜図20Hに示す。局所加熱部5cは、図20A及び図20Bに示したように、必ずしも鋼片幅方向(X方向)に平行に形成される必要はなく、鋼片5を平面視したときの局所加熱部5cの形状は、鋼片幅方向に沿って延びる直線Lxに対して交差する、斜線状、折れ線状、曲線状、周期関数状、または、千鳥状であってもよい。
局所加熱部5cが鋼片幅方向に略平行に形成される場合、当該局所加熱部5cによって生じる鋼片内部の変形状態の脈動は鋼片幅方向に略同時に起こる。このため、圧延条件や圧延機の状態(いわゆるガタの程度)によっては圧延中に顕著な振動が発生し、圧延操業の安定性や圧延機寿命の低下を来すことがある。このような場合には、当該局所加熱部5cを鋼片幅方向に対して有意に傾斜させ、斜線状(例えば図20A及び図20B)、折れ線状(例えば図20C)、曲線状(例えば図20D及び図20E)、千鳥状(例えば図20F〜図20H)、またはこれらの組合せとする。このように局所加熱部5cを鋼片幅方向に分散させることで、上記変形状態の脈動が鋼片幅方向に略同時に生じることを抑制する。この結果、圧延中に顕著な振動は生じず、圧延操業の安定性や圧延機寿命の低下を回避できる。
また、局所加熱部5cが鋼片幅方向に対して傾斜するように配置された場合、上述した局所加熱深さ及び局所加熱部間隔の要件は、鋼片厚さ方向と鋼片長さ方向(圧延方向と略同一)とがなす平面上で評価される寸法要件として定義される。なお、当該局所加熱深さ及び局所加熱部間隔の要件を満たすためには、当該局所加熱部5cの鋼片幅方向に対する傾斜角は45°以下であることが望ましい。
さらに、連続鋳造機による連続鋳造工程の下流側のように、鋼片5の側面及び表裏面の双方からの冷却によって、図21に示すように、コーナー部に顕著な温度低下部(以下、「コーナー過冷部5f」ともいう。)が生じることがある。このとき、鋼片5の材質及びその温度依存性によってはコーナー過冷部5fの靭性低下が有意に生じる場合がある。このような場合にコーナー過冷部5fを含むように局所加熱部5cを形成すると、当該コーナー過冷部5fの平均温度が上昇し、製品品質の向上や鋼片破断による操業トラブルを防止することができる。なお、鋼片幅方向におけるコーナー過冷部5fの幅Weは、鋼片幅方向の端部から鋼片厚さの1.0倍程度中央側へ入った位置までの範囲に含まれる。
[実施例1]
実施例1では、厚さ100mm、幅600mmのスラブの鋳造が可能な連続鋳造機の機端に圧延機を設置し、連続鋳造圧延試験を行った。溶鋼の成分は、C:0.09%、Si:0.31%、Mn:1.68%、P:0.016%、S:0.0008%、Al:0.007%であった。溶鋼温度は1570℃であり、1.2m/minの速度で鋳造した。圧延機入側におけるスラブ表面温度は1100℃であった。
設置した圧延機は2段圧延機であり、作業ロールの直径は600mmであった。圧延機での圧下量は30mmとした。本発明技術の適用例においては、図1に示した連続鋳造圧延設備のように、連続鋳造機と圧延機との間に加熱装置を設置し、鋼片表面を局所的に加熱することで鋼片長手方向に散在する局所加熱部を形成した。
本発明を適用した実施例Aにおいては、鋼片の上面側にのみ局所加熱部を形成し、下面側は空冷ままとした。また、本発明を適用した実施例Bにおいては、鋼片の上面及び下面の双方に局所加熱部を形成した。いずれの場合も、局所加熱部はスラブの全幅に亘り、局所加熱深さが10mm程度で鋼片厚さの約0.1倍、局所加熱長さが15mm程度で鋼片厚さの約0.15倍となるように形成した。また、局所加熱部間隔は約60mm(接触弧長の約0.7倍)であった。加熱面積率は、実施例Aでは約0.1倍、実施例Bでは約0.2倍であった。局所加熱部の温度は1150〜1200℃の範囲内であった。
一方、従来技術を適用した比較例aでは、局所加熱を行わず鋼片を圧延した。このとき、鋼片の表面温度はほぼ均一で約1100℃であった。また、比較例bとして、鋼片を圧延機により全く圧下しなかった場合を示す。
表1に、本実施例の圧延結果を示す。表1のλ0、d0およびA0は、比較例bにおけるデンドライト組織の二次アーム間隔、平均結晶粒径(いずれも圧延後の鋼片幅中央の幅100mm×長さ100mm長さ×全厚の平均値)及び厚さ中央に残存したポロシティーの占積率(長さ1m×幅600mm内)である。すなわち、λ/λ0、d/d0、A/A0は、二次アーム間隔、結晶粒径、ポロシティー占積率それぞれの減少率を表しており、値が小さいほど鋼片の内部品質の改善度が高いことを表している。また備考欄には、圧延後の被圧延材形状もしくは圧延中から冷却後における表面性状を記載した。
Figure 2020075291
表1に示すように、実施例A、Bでは、比較例aと比較して、デンドライト組織の一次アーム間隔、平均結晶粒径およびポロシティーの占積率のいずれもが有意に減少した。実施例Aでは圧延後に僅かな下反りが発生したが、その後の通板には問題ない程度に軽微であった。これより、本発明の適用により、表面欠陥の問題を生じることなく、後続工程に受け渡される鋼片の偏析や結晶組織、内部欠陥が顕著に改善されることは明らかである。
[実施例2]
実施例2では、図22に示すように、実施例1と同じ連続鋳造機とその機端の2段圧延機を用いて、実施例1と同様に、厚さ100mm、幅600mmのスラブの連続鋳造圧延試験を行った。溶鋼の成分、溶鋼温度、鋳造速度、圧下量及び圧延機入側におけるスラブ表面温度も実施例1と略同一であった。
本発明を適用した実施例C〜Eにおいては、図22に示すように、連続鋳造機と圧延機との間に局所加熱装置を設置し、鋼片の上下双方の表面を局所的に加熱することで鋼片長手方向に散在する局所加熱部を形成した。またいずれの場合も、局所加熱部は、鋼片厚さ方向及び鋼片長さ方向で構成される断面において、局所加熱深さが10mm程度(鋼片厚さの約0.1倍)、局所加熱部間隔が約60mm(接触弧長の約0.7倍)、局所加熱部の鋼片長手方向の長さが15mm程度であった。
本発明を適用した実施例Cにおいては、実施例1と同様に矩形鋼片の全幅に亘って局所加熱部を形成した。本発明を適用した実施例Dにおいては鋼片の左右の幅端面位置を基準に約30mmから約230mmまでの区間に幅方向長さが約200mmの局所加熱部を左右それぞれに形成した。本発明を適用した実施例Eにおいては、実施例Dと同じ区間に鋼片幅方向に対して15°だけ鋼片幅中央側が圧延方向に先行して傾斜する局所加熱部を形成した。加熱面積率は、実施例Cでは約0.2倍、実施例D及びEでは約0.15倍であった。局所加熱部の温度は1150〜1200℃の範囲内であった。
一方、従来技術を適用した比較例cでは、実施例1と同様に、局所加熱を行わず鋼片を圧延した。このとき、鋼片の表面温度はほぼ均一で約1100℃であった。
表2に、実施例2の圧延結果を示す。表2のA0は、比較例cにおいて圧延後の鋼片の厚さ中央に残存したポロシティーの占積率(長さ1m×幅600mm内)である。すなわち、A/A0は、ポロシティー占積率それぞれの減少率を表しており、値が小さいほど鋼片の内部品質の改善度が高いことを表している。また備考欄には、圧延中の圧延トルクの変動および圧延機の状態変化を記載した。
Figure 2020075291
表2に示すように、実施例C、D、Eのいずれも、比較例cと比較して、ポロシティーの占積率が有意に減少した。実施例Cでは圧延トルクの変動が顕著で若干の圧延機振動が検知されたが、実施例Dでは振動が治まり、実施例Eでは比較例cとほぼ同様の圧延状況となった。実施例Cを含めて、圧延中の負荷変動や振動が操業上及び設備保全上問題となる程度ではないことが確認された。これより、本発明の適用により、圧延操業上及び設備保全上の問題を生じることなく、後続工程に受け渡される鋼片の内部欠陥が顕著に改善されることは明らかである。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 鋳型
5 鋼片
5a 凝固シェル
5b 未凝固部
5c 局所加熱部
5e 変形増大部分
5f コーナー過冷部
10 連続鋳造機
11 タンディッシュ
12 浸漬ノズル
13 鋳型
14 二次冷却装置
14a 支持ロール
20、70 加熱装置
21、71 交流電源
23、73 誘導加熱コイル部
25 スイッチ
30、80 圧延機
31a、31b、81a、81b 圧延ロール
40 保熱装置
41a、41b ローラ
43 無端ベルト
45 保熱部材
50 加熱炉
60 スケール除去装置

Claims (12)

  1. 横断面形状が略矩形の鋼片を圧延する矩形断面鋼片の圧延方法であって、
    圧延に先立ち、圧延ロールと接する前記鋼片の上下表面のうち少なくともいずれか一方を鋼片長手方向に間欠的に加熱または保熱して、前記鋼片長手方向に散在する局所加熱部を前記鋼片に形成し、
    前記局所加熱部が形成された前記鋼片を圧延する、矩形断面鋼片の圧延方法。
  2. 前記局所加熱部は、前記鋼片長手方向に周期的に形成される、請求項1に記載の矩形断面鋼片の圧延方法。
  3. 前記局所加熱部は、
    鋼片厚さ方向における前記鋼片の表面からの局所加熱深さが、前記鋼片の厚さの0.01倍以上0.40倍以下の範囲内であり、
    圧延方向における局所加熱長さが、前記鋼片の厚さの0.01倍以上1.5倍以下の範囲内にある、請求項1または2に記載の矩形断面鋼片の圧延方法。
  4. 前記局所加熱部は、当該局所加熱部の表面積が、前記圧延ロールと接する前記鋼片の上下表面の全表面積の0.01倍以上0.50倍以下の範囲内となるように形成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の矩形断面鋼片の圧延方法。
  5. 前記局所加熱部は、前記鋼片が圧延される際の前記圧延ロールとの接触弧長の1/60倍以上2倍以下の間隔を前記鋼片長手方向に有するように形成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の矩形断面鋼片の圧延方法。
  6. 前記局所加熱部は、当該局所加熱部の温度が、前記圧延ロールに接する前記鋼片の表面の前記局所加熱部以外の部分の平均温度に対して+10℃以上であり、かつ、前記鋼片の融点温度未満となるように形成される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の矩形断面鋼片の圧延方法。
  7. 前記局所加熱部は、鋼片幅方向に分散して形成される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の矩形断面鋼片の圧延方法。
  8. 前記局所加熱部の幅は、前記鋼片の厚さの0.1倍以上である、請求項7に記載の矩形断面鋼片の圧延方法。
  9. 前記鋼片を平面視したときの前記局所加熱部の形状は、前記鋼片幅方向に沿って延びる直線に対して交差する、斜線状、折れ線状、曲線状、周期関数状、または、千鳥状である、請求項7または請求項8に記載の矩形断面鋼片の圧延方法。
  10. 前記局所加熱部は、前記鋼片のコーナー過冷部を含むように形成される、請求項7〜9のいずれか1項に記載の矩形断面鋼片の圧延方法。
  11. 鋼片を鋳造する連続鋳造機と、
    前記連続鋳造機の下流側に配置され、前記連続鋳造機により鋳造された前記鋼片の上下表面のうち少なくともいずれか一方を鋼片長手方向に間欠的に加熱または保熱して、前記鋼片長手方向に散在する局所加熱部を前記鋼片に形成する加熱装置と、
    前記加熱装置の下流側に配置され、前記局所加熱部が形成された前記鋼片を圧延する圧延機と、
    を備える、連続鋳造圧延設備。
  12. 加熱炉にて加熱された鋼片の上下表面のうち少なくともいずれか一方を鋼片長手方向に間欠的に加熱または保熱して、前記鋼片長手方向に散在する局所加熱部を前記鋼片に形成する加熱装置と、
    前記加熱装置の下流側に配置され、前記局所加熱部が形成された前記鋼片を圧延する圧延機と、
    を備える、圧延設備。
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