JP2020073653A - コバルト石鹸、その製造方法及び該コバルト石鹸を用いて製造されるゴムベルト - Google Patents

コバルト石鹸、その製造方法及び該コバルト石鹸を用いて製造されるゴムベルト Download PDF

Info

Publication number
JP2020073653A
JP2020073653A JP2019219357A JP2019219357A JP2020073653A JP 2020073653 A JP2020073653 A JP 2020073653A JP 2019219357 A JP2019219357 A JP 2019219357A JP 2019219357 A JP2019219357 A JP 2019219357A JP 2020073653 A JP2020073653 A JP 2020073653A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber
acid
cobalt
fatty acid
cobalt soap
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019219357A
Other languages
English (en)
Inventor
敬冶 原
Takaharu Hara
敬冶 原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
IREC CO Ltd
Original Assignee
IREC CO Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by IREC CO Ltd filed Critical IREC CO Ltd
Publication of JP2020073653A publication Critical patent/JP2020073653A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C51/00Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides
    • C07C51/41Preparation of salts of carboxylic acids
    • C07C51/412Preparation of salts of carboxylic acids by conversion of the acids, their salts, esters or anhydrides with the same carboxylic acid part
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C1/00Tyres characterised by the chemical composition or the physical arrangement or mixture of the composition
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K5/00Use of organic ingredients
    • C08K5/04Oxygen-containing compounds
    • C08K5/09Carboxylic acids; Metal salts thereof; Anhydrides thereof
    • C08K5/098Metal salts of carboxylic acids
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L21/00Compositions of unspecified rubbers
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07FACYCLIC, CARBOCYCLIC OR HETEROCYCLIC COMPOUNDS CONTAINING ELEMENTS OTHER THAN CARBON, HYDROGEN, HALOGEN, OXYGEN, NITROGEN, SULFUR, SELENIUM OR TELLURIUM
    • C07F15/00Compounds containing elements of Groups 8, 9, 10 or 18 of the Periodic Table
    • C07F15/06Cobalt compounds

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Tires In General (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Belt Conveyors (AREA)
  • Detergent Compositions (AREA)

Abstract

【課題】高収率及び高純度のコバルト石鹸を、容易に安価かつ高品質に製造することができるコバルト石鹸の製造方法の提供。【解決手段】高軟化点脂肪酸を用いたコバルト石鹸の製造に、ゴム配合剤のひとつであるゴム配合用軟化剤を使用することで、安価な反応法である直接法を採用し、かつ、有機溶媒を使用せずに、高純度のコバルト石鹸を容易に高収率で製造することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、コバルト石鹸の製造方法に関し、特に、容易で安価な、かつ高収率の高純度コバルト石鹸の製造方法に関する。また、本発明は該コバルト石鹸を用いて製造されるゴムベルトに関する。
従来から、コバルト石鹸はスティールコードとゴムとの接着促進剤として広く使用されている。スティールコードとゴムとの接着は、例えば、自動車用タイヤのベルト部、またはコンベアベルト等の製造で必要とされる技術である。コバルト石鹸は、広くこれらの技術分野において接着促進剤として用いられている(下記特許文献1、非特許文献1、及び2参照)。
コバルト石鹸の製造方法としては、下記の複分解法及び直接法が知られている。前記複分解法では、塩化コバルトと脂肪酸ナトリウムとをそれらの水溶液中で反応させることにより、コバルト石鹸を得ることができる(下記非特許文献1参照)。
前記複分解法は、化学式2RCOONa + CoCl2 → (RCOO)2Co + 2NaClで表わすことができる。ここで、Rは任意の炭化水素を示す。
また、前記直接法では水酸化コバルトと脂肪酸とを中和反応させる方法等により、コバルト石鹸を得ることができる(下記非特許文献1参照)。
前記直接法は、化学式2RCOOH + Co(OH)2 → (RCOO)2Co + 2H2Oで表わすことができる。ここで、Rは任意の炭化水素を示す。
特開昭60−158230号公報 特開平2-29097号公報
ジャーナル・オブ・ジェーシーシーエー、第3巻(1966) 20頁〜24頁 日本ゴム協会誌 31巻(1958年)5号 380〜391頁
しかしながら、前記複分解法では、コバルト石鹸を高収率で製造することができるものの、反応生成物中に水と大量の塩が残るため、水による洗浄及びその後の乾燥が必要となり、結果的にコスト高となる。直接法によれば、一般に製造コストを抑制できるが、反応原料である脂肪酸の種類によっては、反応がスムーズに進まず、高温環境下で炭化する、反応が完結しない等の問題が発生する。
また、コバルト石鹸は、原料として用いる脂肪酸の種類によりその特性が変化するため、コバルト石鹸を使用する製造品、スティールコードやゴムコンパウンドの種類、要求されるゴム物性や特性等により、適切な脂肪酸を製造に用いたコバルト石鹸が選択され、使いわけがなされている。
一方、コバルト石鹸の原料脂肪酸は種類によって軟化点が異なる。脂肪酸の軟化点が高いと、コバルト石鹸の製造上問題となる可能性がある。コバルト石鹸に使用される脂肪酸のうち、軟化点が高いものとしてロジン酸、トール油酸、ナフテン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸等が挙げられる。
なかでも、特にロジン酸は軟化点が高く、直接法で反応させる場合、大量の有機溶媒を使用することが必要である。また、ナフテン酸は混合物であり、軟化点は含有される脂肪酸によって異なる。一般に、酸価が高いナフテン酸の方が高軟化点となる。脂肪酸によっては、軟化点が100℃を超えるものもあるため、有機溶媒を使用しない直接法による反応では製造上問題となる場合もある。
前記直接法においては、原料脂肪酸の軟化点が低い方が反応中の粘度が下がり、製造は容易となる。反応物を均一にさせるために攪拌が必要であるが、反応物の粘度が高いと攪拌に余分なエネルギーを必要とし、場合によっては攪拌羽等の反応装置を痛める可能性もある。
また、前記直接法においては、反応によって水を副生成物として生じるため、水を加熱と減圧によって除去する必要があるが、反応物の粘度が高いと水が蒸発時に反応物内で膨張し、反応物の見かけ容積が膨大となるため、あらかじめ反応容器の容積を大きく設計する必要がある。
前記直接法において、反応物の粘度を下げるために反応温度を高くする方法もあるが、脂肪酸の炭化等により、生成物の品質的な劣化が生じる可能性もある。したがって、反応温度は最大でも230℃以下に限られ、望ましくは200℃以下で反応させることが好ましい。
また、トルエンやキシレンなどの非反応性の有機溶媒を使って粘度を低下させることもある。このような有機溶媒を使用した場合、コバルト高含有のコバルト石鹸を得ることができる。しかしながら、反応後、加熱や減圧によって有機溶媒を必ず除去する必要があり、製造コストが高くなるほか、反応物中に有機溶媒が残り、品質や人体への悪影響が発生する可能性がある。
上述のとおり、コバルト石鹸の製造に用いられる複分解法及び直接法においては、その製造コスト、製品の品質などに問題点があり、その解決が課題とされていた。
特に、コバルト石鹸のなかでも重要なロジン酸コバルト(前記特許文献2参照)の製造においては、他のコバルト石鹸と比べてより高コストであるという問題点があった。
上記の課題に鑑み、本発明者は様々検討を重ねる中で、コバルト石鹸の製造において直接法を採用することによりコストを抑制し、さらに、反応溶媒としてトルエンやキシレンのような有機溶媒を用いずに、ゴム配合用軟化剤を使用することにより製造されるコバルト石鹸が高収率及び高純度で得られることを見出した。
したがって、本発明の目的は、高収率及び高純度のコバルト石鹸を容易に安価かつ高品質に製造する方法を提供することにある。また、本発明の目的は、該コバルト石鹸を用いて製造される、安価かつ高品質の、特に、スティールコードとゴムとの接着性の良好なゴムベルトを提供することにある。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
水酸化コバルトと脂肪酸とを反応させてコバルト石鹸を製造するコバルト石鹸の製造方法であって、反応溶媒としてゴム配合用軟化剤を使用することを特徴とするコバルト石鹸の製造方法。
[2]
反応溶媒として有機溶媒を使用しない、[1]に記載の製造方法。
[3]
前記ゴム配合用軟化剤が、石油系オイル、コールタール系オイル、及び植物油系オイルからなる群から選択される少なくとも1種類以上である、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]
前記脂肪酸が、高軟化点脂肪酸である、[1]〜[3]に記載の製造方法。
[5]
前記高軟化点脂肪酸が、ロジン酸、トール酸、ナフテン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸からなる群から選択されるいずれかである、[4]に記載の製造方法。
[6]
前記高軟化点脂肪酸が、ロジン酸又はナフテン酸である、[4]に記載の製造方法。
[7]
前記高軟化点脂肪酸が、ロジン酸である、[4]に記載の製造方法。
[8]
前記ゴム配合用軟化剤が植物油系オイルである、[7]に記載の製造方法。
[9]
前記植物油系オイルがパインタールである、[8]に記載の製造方法。
[10]
金属コバルト含有量が4.0%から6.0%である、[1]〜[9]の製造方法により得られるコバルト石鹸。
[11]
反応溶媒としてゴム配合用軟化剤を使用し、水酸化コバルトと脂肪酸とを反応させて製造するコバルト石鹸を、スティールコードとゴムとの接着促進剤として用いて製造されるゴムベルト。
[12]
前記反応溶媒として有機溶媒を使用しない、[11]に記載のゴムベルト。
[13]
前記脂肪酸が、高軟化点脂肪酸である、[11]又は[12]に記載のゴムベルト。
[14]
前記高軟化点脂肪酸が、ロジン酸である、[13]に記載のゴムベルト。
[15]
前記ゴム配合用軟化剤が植物油系オイルである、[14]に記載のゴムベルト。
[16]
前記植物油系オイルがパインタールである、[15]に記載のゴムベルト。
[17]
前記ゴムベルトが、自動車用タイヤのベルト部、コンベアベルト、ゴムホースからなる群から選択されるいずれか1つに用いられる、[11]〜[16]のいずれかに記載のゴムベルト。
[18]
[11]〜[17]のいずれかに記載のゴムベルトをベルト部として用いて製造される自動車用タイヤ。
本発明の製造方法によれば、高収率及び高純度のコバルト石鹸を容易に安価かつ高品質に製造することができる。また、安価かつ高品質の、特にスティールコードとゴムとの接着性の良好なゴムベルトを製造することができる。
本発明のコバルト石鹸のFTIRスペクトルを示す図である。
以下に、本発明の実施形態を詳細に説明する。
(1)コバルト石鹸の製造方法
本発明にかかるコバルト石鹸の製造方法は、水酸化コバルトと脂肪酸とを反応させてコバルト石鹸を製造するコバルト石鹸の製造方法であって、反応溶媒としてゴム配合用軟化剤を使用することを特徴とする。
本発明では水酸化コバルトと脂肪酸とを反応させてコバルト石鹸を得る方法、すなわち直接法を用い、また、コバルト石鹸の反応中の粘度を下げる目的等で、ゴム配合用軟化剤を使用する。
反応溶媒として、トルエンやキシレンのような非反応性の有機溶媒を用いなくても、ゴム配合用軟化剤を使用することにより、コバルト石鹸を安価、高収率、及び高純度で製造することができる。コバルト石鹸の反応中の粘度を下げるために、一般的にトルエンやキシレン等の非反応性の有機溶媒を使用するが、これらは化学反応中または反応後、加熱や減圧操作により、除去される必要がある。一方、本発明に使用するゴム配合用軟化剤は、元来一般的にゴムに配合する成分であるため、トルエンやキシレンといった有機溶媒のように加熱や減圧によって除去する必要はなく、コバルト石鹸と混和させた状態でゴム配合剤として使用できる。
前記ゴム配合用軟化剤とは、ゴムの加工に際して、原料配合物の粘度を低下させたり混練温度を低下させて作業能率や加工性能を改善したり、あるいは製造されたゴム製品の柔軟性を向上させることを目的として、ゴムに配合される軟化剤のことをいう。
なお、前記ゴム配合用軟化剤はタイヤのベルト部及びコンベアベルトのゴム配合では、ゴム100に対して5〜15部程度配合されることが一般的である。よって、前記ゴム配合用軟化剤を使用することはトルエンやキシレンのように残留による品質への悪影響の懸念が無くなるだけではなく、作業環境を改善することができ、加熱や減圧による除去が不必要であることからコスト削減に繋がる。
使用できるゴム配合用軟化剤としては、石油系オイル、コールタール系オイル、植物油系オイル等、ゴム配合に供されるものであれば特に限定しないが、コバルト石鹸と相溶性があり、さらに望ましくは原料の脂肪酸とも相溶性があるものが良い。ゴム配合用軟化剤を使用することでコバルト石鹸の反応中の粘度を下げる効果は得られる。コバルト石鹸と軟化剤に相溶性が無い場合、その効果は限定される。この時、最終生成物は均一な状態ではなく、液体(軟化剤)と固体(コバルト石鹸)が混合した状態となる。
相溶性を得るために、コバルト石鹸の種類によって適切なゴム配合用軟化剤を選択することができる。例えば松脂(ロジン)と水酸化コバルトを反応させたロジン酸コバルトの場合は、植物油系オイル、特にパインタールとは相溶性が高いので好ましい。
前記石油系オイルとしては、パラフィン系オイル、芳香族系オイル、ナフテン系オイルが含まれ、平均分子量はおよそ250〜500程度である。より具体的にはパラフィン、ワセリン、石油樹脂等が含まれる。
前記コールタール系オイルとしては、コールタールやクマロン-インデン樹脂が含まれる。
前記植物系オイルとしては、ステアリン酸やラウリン酸、綿実油、大豆油、落花生油、パインオイル、パインタール、ロジン等が挙げられる。
前記パインタールは、松根を乾溜して得た松根油とタールのうち、タールを原料としてこれを分留して作られ、セルロース及びリグニンの分解生成物、ロジン酸等が主成分として含有される(非特許文献2参照)。
本発明においては、コバルト石鹸の製造に軟化点が高い脂肪酸(以下、「高軟化点脂肪酸」ともいう。)を使用することができる。前記高軟化点脂肪酸としては、ロジン酸、トール油酸、ナフテン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸等が挙げられる。
前記ロジン酸は樹脂酸とも呼ばれ、次の3種のロジンから得られる。ガムロジンは松科の植物から採取される松脂を精製して得られる。トールロジンは、主に製紙工業の副生成物として産出されるトール油を精製して得られる。ウッドロジンは古くなった松根から有機溶媒によって抽出される成分を精製して得られる。
前記ロジン酸に含有される成分としては、主にアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、パラストリン酸、イソピマール酸、ピマール酸等が挙げられる(下記化学式)。それらの成分比は一定ではなく、先に述べたロジンの種類、原料の松種や産地等によって異なる。
Figure 2020073653
本発明の製造方法において、前記ゴム配合用軟化剤の添加のタイミングは特に制限されないが、水酸化コバルトを添加して反応させる前が好ましい。あらかじめ原料の脂肪酸と軟化剤を十分に混和または分散させた状態で水酸化コバルトを投入し、反応を行うことが好ましい。
水酸化コバルトと脂肪酸の中和反応により、副生成物として水が発生する。水は加熱と減圧操作により除去することができる。反応中の粘度が高いと水は反応物中に留まりやすいが、粘度を低くすることで水の除去もスムーズに進めることができる。加温は最大でも230℃までであり、200℃以下であることが好ましい。
(2)コバルト石鹸
本発明にかかるコバルト石鹸は上記のようにして製造され、当該コバルト石鹸の金属コバルトの含有量(重量比)は4.0%〜6.0%、又はそれ以上である。
(3)ゴムベルト
本発明にかかるゴムベルトは、上述のとおり、反応溶媒としてゴム配合用軟化剤を使用して、水酸化コバルトと脂肪酸とを反応させて製造されるコバルト石鹸を、スティールコードとゴムとの接着促進剤として用いて製造されることを特徴とする。コバルト石鹸は、スティールコードへの接着のためのゴム配合物において、接着促進剤として用いられる。
前記ゴムベルトとしては、自動車用タイヤのベルト部、コンベアベルト、ゴムホースなどを挙げることができる。
スティールコードとゴムとは、コバルト石鹸を含むゴムコンパウンドを用いて接着させることができる。したがって、ゴムベルトの性能を、ゴムコンパウンドとスティールコードとゴムとの接着性能を評価することにより行うことができる。
本発明にかかる自動車用タイヤは、前記ゴムベルトをベルト部として用いて製造される。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
(1)コバルト石鹸におけるコバルト含有率の測定
コバルト石鹸を三角フラスコに精秤し、1N硫酸40mlと、沸騰石を加え、加熱する。この操作によりコバルト石鹸を完全に分解し、コバルトの酸溶液を得る。この酸溶液をろ紙を使ってろ過し、油分を除去する。次にMX指示薬を加え、黄色を呈するまで1Nアンモニア水を加える。黄色に呈色後、0.05mol EDTA・2Na滴定液で滴定する。溶液が黄色から橙黄色または赤色を呈したらアンモニア水溶液を加え、変色を確かめながら滴定を行い、溶液が鮮やかなピンク色を呈し、アンモニア水溶液を加えても変色しなくなったときを終点とするまで、アンモニア水溶液の滴下、滴定、撹拌を繰返して滴定し、次式1により金属含有量を算出する。
Figure 2020073653
実施例1
容量2000mlのガラス製の丸底フラスコに市販のロジン酸(酸価170)(ハリマ化成株式会社製)497gと植物系オイルの一つである市販のパインタール(東京樹脂工業株式会社製)331gを投入し、マントルヒーターで加熱溶融した。ロジン酸の溶融後は攪拌羽にて300rpmの速度で攪拌し、完全に混和させた。140℃まで加熱し、反応水による膨張により反応物がフラスコより溢れ出ないよう気を付けながら、水酸化コバルト70gを少量ずつ投入した。水を取り出しながら200℃まで加熱、その後の減圧を行い、最終的には22gの水と油分15gを取り出し、生成物を得た。こうして得た生成物(パインタールを含む)はコバルト含有量5.07%であった。
実施例2
容量2000mlのガラス製の丸底フラスコに市販のロジン酸(酸価170)(ハリマ化成株式会社製)497gと石油系オイルの一つであるSNH220(三共油化工業株式会社製)331gを投入し、マントルヒーターで加熱溶融した。ロジン酸の溶融後は攪拌羽にて300rpmの速度で攪拌し、完全に混和させた。130℃まで加熱し、反応水による膨張により反応物がフラスコより溢れ出ないよう気を付けながら、水酸化コバルト70gを少量ずつ投入した。水を取り出しながら200℃まで加熱、その後の減圧を行い、最終的には27gの水を取り出した。こうしてできた生成物(SNH220を含む)はコバルト含有量4.99%であった。当該生成物については均一な状態ではなく、液体と固体が混合した状態であった。
実施例3
容量2000mlのガラス製の丸底フラスコに市販のロジン酸(酸価170)(ハリマ化成株式会社製)461gと植物系オイルの一つであるパインタール(東京樹脂工業株式会社製)56gとタール系軟化剤の一つであるクマロン樹脂L−5(日塗化学株式会社製)を252g投入し、マントルヒーターで加熱溶融した。ロジン酸溶融後は攪拌羽にて300rpmの速度で攪拌し、完全に混和させた。130℃まで加熱し、反応水による膨張により反応物がフラスコより溢れ出ないよう気を付けながら、水酸化コバルト65gを少量ずつ投入した。水を取り出しながら200℃まで加熱、その後の減圧を行い、最終的には28gの水を取り出した。こうしてできた生成物(パインタールを含む)はコバルト含有量5.01%であった。当該生成物については均一な状態ではなく、液体と固体が混合した状態であった。
比較例1
容量2000mlのガラス製の丸底フラスコに市販のロジン酸(酸価170)(ハリマ化成株式会社製)1065gを投入し、マントルヒーターで加熱溶融した。ロジン酸の溶融後は攪拌羽にて300rpmの速度で攪拌した。140℃まで加熱し、反応水による膨張により反応物がフラスコより溢れ出ないよう気を付けながら、水酸化コバルト150gを少量ずつ投入することを試みた。しかしながら、水酸化コバルトを50g程度投入したところで反応物が固まり、反応を進めることができなくなった。
原料のロジン酸、実施例1で得られたコバルト石鹸(溶媒を含む)及び既知の製造方法で製造したコバルト石鹸のFTIR(フーリエ変換赤外分光光度計)を測定した結果を図1に示す。
図1の実施例1のコバルト石鹸(2)と従来の製造方法により製造されたコバルト石鹸(3)とを比較すると、両者のFTIRスペクトルは一致している。このことから、実施例によりロジン酸コバルトが得られていることが示唆される。
以上の実施例1〜3によれば、ゴム配合用軟化剤を用いた本発明の製造方法により高コバルト純度のコバルト石鹸を製造することができる。従来、コバルト石鹸のコバルト純度については、ロジン酸コバルトの場合7%〜8%とされている。本発明のロジン酸コバルトは、生成物がパインタール等の軟化剤を含むことを考慮すると、従来のロジン酸コバルトに匹敵するコバルト純度を有する。したがって、本発明の製造方法では、容易に安価で、許容される純度のコバルト石鹸を得ることができる。
実施例1〜3によれば、ロジン酸は植物油系オイルの相溶性がよく、なかでもパインタールとの相溶性が好ましいことがわかった。したがって、ロジン酸コバルトの製造においては、これら軟化剤の使用が好ましい。
(2)ロジン酸コバルト塩を含むゴムコンパウンドによるスティールコードとゴムとの接着評価
ゴムコンパウンドの作製
表1の配合のゴムコンパウンドをバンバリーミキサーで混合した(実施例4〜7及び比較例2〜5)。加硫系以外の配合剤を含む混合物を、第一段階の混合においてローター回転速度20RPMでポリマー(NR:天然ゴム CV60)に投入し、さらにローター回転速度40RPMで他の配合剤を投入して60秒練り、160℃で放出した。加硫系は100℃30RPMにて混合し、配合物をロールにてシート状にした。
接着強度試験片の作成条件と接着試験は以下のようにし、各種性能試験(耐熱老化試験及び高温高湿試験)を実施した。
接着強度試験片の作製条件
東京製綱(株)製の黄銅めっきスティールコード(1x2x0.30HT)を使用した。本スティールコードにおいて、黄銅中のCu%は63.0%であった。長さ約200mmに調整した黄銅めっきスティールコードを約25mm間隔で平行に配置し、ゴムコンパウンドで両面を挟み下記条件にてプレス加硫した。その後、スティールコードの埋め込み長さが約7mmとなるように資料を切断し、接着強度試験片を作製した。プレス加硫成型条件は160℃×15分とした。
接着試験
接着強度試験はASTM D2229に準じて以下のように行った。
ASTM D2229:2014「Standard Test Method for Adhesion Between Steel Tire Cords and Rubber」
試験片形状:12.5mmx×15mm×接着長さ約7mm
スティールコード:黄銅めっきスティールコード 1×2×0.3HT(東京製綱製)
試験速度:100mm/分にてゴム/コードサンプルからコードを引き抜きその時の接着力(引き抜き力)とゴム被覆率(%;目視)を評価した。
試験数:各5試験片
試験温度:23℃
使用試験機:オートグラフ(島津製作所製 AG−Xplus 10kN)
耐熱老化試験
接着試験試料を70℃、168時間処理後引き抜き試験を行い、接着力(引き抜き力)とゴム被覆率を評価した。
高温高湿試験
接着試験試料を70℃×95%RHで168時間処理したのち引き抜き試験を行い、接着力(引き抜き力)とゴム被覆率を評価した。
表1のゴムコンパウンドの配合に基づき作製した試験片の各接着試験結果を表2に示した。
上記配合には、NR(天然ゴム:CV60)100重量部、カーボンブラック(シースト3M)60重量部、老化防止剤(オゾノン6c)1重量部、亜鉛華3種(ハクスイテック)10重量部、ステアリン酸1重量部、加硫剤は不溶性硫黄(20%オイル)7重量部を用い、加硫促進剤としては加硫速度の異なる以下の4種を比較した。
加硫促進剤
CZ (N-Cychlohexyl-2-bennzothiazole sulfenamide):0.35
NS (N-Oxydiethylene-2-benzothiazole sulfenamide):0.33
DM (2-benzothiazyl disulfide):0.44
TBSI (N-t-Butyl-2-benzothiazolyl sulfenimide):0.53
各加硫促進剤は分子量が異なるので同じモル数になるように配合量で調整した。
表1の実施例4〜7は、ロジン酸コバルト/パインタール6.35%入りのロジン酸コバルトである。比較例2〜5は、パインタールを含まないロジン酸コバルトであり、7.4%のコバルトを含む。実施例4〜7は、3.14phrを含み、比較例2〜5は2.70phrを含む配合であり、ゴムコンパウンド中のコバルト元素量を0.2phrに調整した。ここで、「phr」は、原料ゴム100部に対する各配合剤の量(parts per hundred parts by weight of rubber)を示す。
Figure 2020073653
Figure 2020073653
表2の接着試験結果のとおり、初期接着及び耐熱老化接着において、ロジン酸コバルトのパインタール入りとパインタールなしとはいずれも接着良好であった。高温高湿接着評価においては、パインタール入り(実施例4〜7)の方が、パインタールなし(比較例2〜5)より、良好であった。
本発明においては、パインタール入りのロジン酸コバルトの合成上の優位性が見出され、さらに、スティールコードとゴムとの接着性も良好な性能を有することが判明した。

Claims (18)

  1. 水酸化コバルトと脂肪酸とを反応させてコバルト石鹸を製造するコバルト石鹸の製造方法であって、反応溶媒としてゴム配合用軟化剤を使用することを特徴とするコバルト石鹸の製造方法。
  2. 反応溶媒として有機溶媒を使用しない、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記ゴム配合用軟化剤が、石油系オイル、コールタール系オイル、及び植物油系オイルからなる群から選択される少なくとも1種類以上である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記脂肪酸が、高軟化点脂肪酸である、請求項1〜3に記載の製造方法。
  5. 前記高軟化点脂肪酸が、ロジン酸、トール酸、ナフテン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸からなる群から選択されるいずれかである、請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記高軟化点脂肪酸が、ロジン酸又はナフテン酸である、請求項4に記載の製造方法。
  7. 前記高軟化点脂肪酸が、ロジン酸である、請求項4に記載の製造方法。
  8. 前記ゴム配合用軟化剤が植物油系オイルである、請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記植物油系オイルがパインタールである、請求項8に記載の製造方法。
  10. 金属コバルト含有量が4.0%から6.0%である、請求項1〜9の製造方法により得られるコバルト石鹸。
  11. 反応溶媒としてゴム配合用軟化剤を使用し、水酸化コバルトと脂肪酸とを反応させて製造するコバルト石鹸を、スティールコードとゴムとの接着促進剤として用いて製造されるゴムベルト。
  12. 前記反応溶媒として有機溶媒を使用しない、請求項11に記載のゴムベルト。
  13. 前記脂肪酸が、高軟化点脂肪酸である、請求項11又は12に記載のゴムベルト。
  14. 前記高軟化点脂肪酸が、ロジン酸である、請求項13に記載のゴムベルト。
  15. 前記ゴム配合用軟化剤が植物油系オイルである、請求項14に記載のゴムベルト。
  16. 前記植物油系オイルがパインタールである、請求項15に記載のゴムベルト。
  17. 前記ゴムベルトが、自動車用タイヤのベルト部、コンベアベルト、ゴムホースからなる群から選択されるいずれか1つに用いられる、請求項11〜16のいずれか1項に記載のゴムベルト。
  18. 請求項11〜17のいずれか1項に記載のゴムベルトをベルト部として用いて製造される自動車用タイヤ。
JP2019219357A 2018-03-09 2019-12-04 コバルト石鹸、その製造方法及び該コバルト石鹸を用いて製造されるゴムベルト Pending JP2020073653A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018042885 2018-03-09
JP2018042885 2018-03-09

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019529270A Division JP6640432B1 (ja) 2018-03-09 2018-10-05 コバルト石鹸、その製造方法及び該コバルト石鹸を用いて製造されるゴムベルト

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020073653A true JP2020073653A (ja) 2020-05-14

Family

ID=67847022

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019529270A Active JP6640432B1 (ja) 2018-03-09 2018-10-05 コバルト石鹸、その製造方法及び該コバルト石鹸を用いて製造されるゴムベルト
JP2019219357A Pending JP2020073653A (ja) 2018-03-09 2019-12-04 コバルト石鹸、その製造方法及び該コバルト石鹸を用いて製造されるゴムベルト

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019529270A Active JP6640432B1 (ja) 2018-03-09 2018-10-05 コバルト石鹸、その製造方法及び該コバルト石鹸を用いて製造されるゴムベルト

Country Status (3)

Country Link
EP (1) EP3763698B1 (ja)
JP (2) JP6640432B1 (ja)
WO (1) WO2019171643A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021004293A (ja) * 2019-06-25 2021-01-14 横浜ゴム株式会社 タイヤ用ゴム組成物

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS525045B2 (ja) * 1971-11-04 1977-02-09
JPS53117034A (en) * 1977-03-22 1978-10-13 Kuraray Co Ltd Adhesive mass composition
US4096516A (en) 1977-03-25 1978-06-20 Rca Corporation Electronic signal processing apparatus
JPS60158230A (ja) 1984-01-30 1985-08-19 Dainippon Ink & Chem Inc ゴム−スチ−ルコ−ド接着促進剤
JPS61285278A (ja) * 1985-06-13 1986-12-16 Bridgestone Corp 樹脂酸コバルト及びその製造方法
JPS62232445A (ja) * 1986-04-03 1987-10-12 Bridgestone Corp スチ−ルコ−ド接着用ゴム組成物
JPH01254746A (ja) * 1988-04-04 1989-10-11 Yokohama Rubber Co Ltd:The スチールコード接着用ゴム組成物
JPH04168177A (ja) * 1990-10-31 1992-06-16 Shinto Paint Co Ltd 複合金属石ケン
JPH06341054A (ja) * 1992-01-28 1994-12-13 Mitsubishi Heavy Ind Ltd ドライクリーニング方法
JP5825806B2 (ja) * 2011-03-04 2015-12-02 高砂香料工業株式会社 油溶性消臭剤組成物
CN106634616A (zh) * 2016-12-06 2017-05-10 广西科技大学 油漆用复合稀土催干剂的制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
EP3763698A1 (en) 2021-01-13
EP3763698B1 (en) 2023-11-29
JPWO2019171643A1 (ja) 2020-04-16
WO2019171643A1 (ja) 2019-09-12
EP3763698A4 (en) 2021-12-01
JP6640432B1 (ja) 2020-02-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN107501116B (zh) 一种功能聚酰胺单体、功能聚酰胺以及制备方法
JP6810557B2 (ja) ゴム組成物
EP3095826B1 (en) Cobalt-based catalytic dryer for polymer coatings
TW201502187A (zh) 新穎腰果酚系有機硬化劑,其製備方法,及由其所製造之輪胎用橡膠複合組成物
JP2020073653A (ja) コバルト石鹸、その製造方法及び該コバルト石鹸を用いて製造されるゴムベルト
CN102264767B (zh) 天然橡胶的制造方法
CN104403109A (zh) 一种反应性树状聚酰胺胺橡胶防老剂的制备方法
CN116425633B (zh) 一种植物油基增塑剂及其制备方法与应用
CN103772309A (zh) 制备2,2’-(4,4’-二苯乙烯基)双苯并噁唑精品的方法
RU2770045C2 (ru) Способ регенерации резины
JP2023550275A (ja) 再生可能原料から得られたカーボンブラックを含むゴム組成物
JP4704016B2 (ja) ゴムと金属との接着促進剤、およびそれを含むゴム組成物
JP4330653B2 (ja) 天然ゴムの製造方法
KR20110079643A (ko) 코발트 함유 중합 조성물
CN107501502A (zh) 一种高机械强度的聚氨酯橡胶的合成工艺
CN105778000B (zh) 一种异戊橡胶接枝马来酸酐及其制备方法
CN103450523A (zh) 一种环保胶的配方及其制备方法
RU2575463C2 (ru) Сажа с улучшенными свойствами для использования в обработке резины
RU2232168C2 (ru) Технологическая добавка для диспергирования ингредиентов резиновых смесей
JPS61285234A (ja) ゴム組成物
CN118240390A (zh) 一种增塑剂及制备方法
RU2181741C1 (ru) Способ диспропорционирования талловой канифоли
Hardman et al. Some Accelerator Characteristics as Revealed by Coefficients of Vulcanization
JP6341612B2 (ja) p−tert−オクチルフェノール塩化硫黄共縮合樹脂組成物及びその製造方法
CN103923326A (zh) 液体温轮胶的制备方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191225