JP2020071302A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】装置が大型化、高コスト化することなく、定着部の近傍に設置された電気部品を効率的に冷却する。【解決手段】定着部12の近傍に設置されたドロワコネクタ52、53(電気部品)と、ドロワコネクタ52、53を冷却するファン41、42(冷却手段)と、ドロワコネクタ52、53の温度を推定する制御部110(温度推定手段)と、が設けられている。そして、制御部110によって推定した温度に基づいて、ファン41、42の冷却能力を調整している。【選択図】図5

Description

この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置に関するものである。
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置では、画像形成装置の内部の温度を推定する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
詳しくは、特許文献1の画像形成装置は、吸気手段によって外気を画像形成装置の内部に吸い込んで、その外気の温度から画像形成装置内の温度を推定している。そして、その推定した温度に基づいてプロセス速度を可変することで、トナーの融解や廃トナーの詰りを抑止しようとしている。
従来の画像形成装置は、高温に達する定着部の近傍に設置された電気部品も、高温に達してしまって熱的な故障や劣化が生じてしまうことがあった。
このような不具合を解決するために、電気部品の温度を直接的に検知する温度センサを設置して、その温度センサの検知結果に基づいて電気部品を冷却する方策が考えられる。しかし、そのような場合、耐熱性に優れた温度センサを設置する必要があり、装置が高コスト化、大型化してしまうことになる。
また、定着部の近傍に設置された電気部品を必要以上に冷却してしまうと、その近傍の定着部も無駄に冷却されてしまって、定着部によっておこなわれる定着工程に影響してしまう可能性があった。
また、特許文献1の技術は、画像形成装置の内部に吸い込んだ外気の温度から内部温度を推定するものであるが、定着部から充分に離れた位置の内部温度を推定することはできても、定着部(電気部品)の近傍の高温に達する温度を精度良く推定することができなかった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、装置が大型化、高コスト化することなく、定着部の近傍に設置された電気部品を効率的に冷却することができる、画像形成装置を提供することにある。
この発明における画像形成装置は、シートの表面に形成された画像を加熱して定着する定着部と、前記定着部の近傍に設置された電気部品と、前記電気部品を直接的又は間接的に冷却する冷却手段と、前記電気部品の温度を推定する温度推定手段と、を備え、前記温度推定手段によって推定した温度に基づいて、前記冷却手段の冷却能力を調整するものである。
本発明によれば、装置が大型化、高コスト化することなく、定着部の近傍に設置された電気部品を効率的に冷却することができる、画像形成装置を提供することができる。
この発明の実施の形態における画像形成装置を示す斜視図である。 画像形成装置を示す構成図である。 画像形成装置本体の装置側ドロワコネクタが定着部のユニット側ドロワコネクタに接続される直前の状態を示す概略斜視図である。 本体カバーの一部が取り外された画像形成装置を示す斜視図である。 画像形成装置に形成される通気経路を示す図である。 ファンの冷却能力を調整する制御を示すフローチャートである。 シートの種類と、ファンの回転数と、の関係の一例を示す表図である。 ファンの回転数を調整するときのファン稼働率を示す表図である。 変形例1としての、ファンの冷却能力を調整する制御を示すフローチャートである。 変形例2としての、ファンの冷却能力を調整する制御を示すフローチャートである。 定着温度の時間積分の一例を示すグラフである。
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
まず、図1、図2を用いて、画像形成装置100における全体の構成・動作について説明する。
図1は、本実施の形態における画像形成装置1を示す概略斜視図であり、図2は、その概略断面図である。
本実施の形態における画像形成装置100は、モノクロレーザプリンタである。
図2に示すように、画像形成装置100には、ブラックのトナー(現像剤)によって画像を形成するためのプロセスカートリッジ1が着脱可能(交換可能)に設置されている。
プロセスカートリッジ1は、その表面に画像(トナー像)を担持する像担持体としての感光体2(感光体ドラム)と、感光体2の表面を帯電させる帯電ローラ3(帯電部)と、感光体2上にトナー(現像剤)を供給して画像を形成する現像部4と、感光体2の表面をクリーニングするクリーニング部8と、感光体2の表面を除電する除電部6と、が一体化されたユニットである。
また、画像形成装置100において、プロセスカートリッジ1の感光体2の上方には露光部7が設けられている。露光部7は、PC(パソコン)などから画像形成装置100に入力された画像データに基づいて、図2の時計方向に回転する感光体2の表面に露光光(レーザ光)を主走査方向にわたって照射して、感光体2上に画像データに対応した静電潜像を形成するものである。
また、プロセスカートリッジ1の感光体2の下方には転写ローラ14(転写部)が設けられている。転写ローラ14は、感光体2に当接して転写ニップ(画像形成部)を形成していて、転写ニップに搬送されるシートP上に感光体2上の画像を転写するものである。
これらのプロセスカートリッジ1、露光部7、転写ローラ14などが、作像部として機能することになる。
なお、本実施の形態における画像形成装置100には、作像部の近傍の温度を検知する温度センサ55(図2参照)が設置されている。この温度センサ55の検知果は、主として作像条件を調整するときに用いられる他、後述するファン41、42の冷却能力を調整する制御においても用いられる。
一方、画像形成装置100の下部には、給紙トレイ15に収納された用紙などのシートPを給送する給送ローラ16が配置されている。また、この給送ローラ16の搬送方向下流側(シートPが搬送される方向の下流側である。)であって、転写ニップの搬送方向上流側には、給送ローラ16によって給送されたシートPを一旦停止させてから所定のタイミングで搬送するタイミングローラ17が配置されている。
また、転写ニップよりも搬送方向下流側には、シートPの表面に形成(転写)された画像を加熱して定着する定着部12が配置されている。定着部12には、ハロゲンヒータ等の熱源13(図5参照)を内包する定着ローラ18や、この定着ローラ18に対して所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ19などが設けられている。また、定着部12には、装置本体100から電気部品としてのドロワコネクタ52、53を介して電力が供給されるが、これについては後で詳しく説明する。
以下、図2を用いて、本実施の形態における画像形成装置100の基本動作について説明する。
まず、制御部からの給紙信号によって給送ローラ16が回転すると、給紙トレイ15に積載されたシートPの最上位のシートPのみが分離されてシート搬送経路へ送り出される。給紙トレイ15から給送されたシートPは、図2の一点鎖線で示す矢印方向に搬送されて、その先端がタイミングローラ17のニップ部に到達すると、感光体2に形成された画像(トナー像)とタイミング(同期)をとるとともに、シートPの先端スキューを補正するため、シートPにたるみを形成した状態で待機する。
一方、作像部では、駆動機構によって感光体2が図2の時計方向に回転して、その表面の感光層が帯電ローラ3により一様な高電位に帯電される。そして、帯電された感光体2の表面は、露光部7により画像データに基づいて選択的に露光され、この露光により電位の減衰した低電位部と初期化による高電位部とからなる静電潜像が形成される。次いで、その静電潜像が形成された感光体2の表面が、現像部4の現像ローラ5との対向位置に達すると、その表面にトナー薄層を形成した現像ローラ5からトナーが転移されてトナー像が形成(現像)される。
その後、トナー像が形成された感光体2の表面が転写ニップ(画像形成部)に達すると、タイミングローラ17の位置で待機していたシートPが、タイミングローラ17の回転によってタイミング(同期)をとって転写ニップに向けて搬送される。そして、転写ローラ14よって、転写ニップに送られたシートPに感光体2上のトナー像が転写される。なお、シートPに転写しきれなかった感光体2上の残留トナーは、クリーニング部8の位置で、感光体2に当接するクリーニングブレードによってクリーニングされる。そして、クリーニングされた感光体2の表面は、除電部6の位置で表面電位がクリアにされて、次のトナー像の形成に備えられる。
一方、転写ニップ(画像形成部)でトナー像が転写されたシートPは、さらに破線矢印方向に搬送されて、定着部12の位置に達する。そして、定着部12に搬送されたシートPは、定着ローラ18と加圧ローラ19とによって挟まれて、その表面に担持された画像(未定着トナー像)が加熱・加圧されて定着される(定着工程である)。そして、画像が定着されたシートPは、定着部12から送り出されることになる。
その後、定着部12を通過した定着工程後のシートPは、図2の一点鎖線矢印で示すように、排出経路24を経て、排出反転ローラ20によって排出口Aから画像形成装置100の外部に排出されて、排紙トレイ21上にスタックされることになる。
こうして、画像形成装置100における一連の画像形成動作(印刷動作)が終了する。
次に、図2、図3、図5等を用いて、画像形成装置本体100に設置される定着部12の構成・動作について詳述する。
図2、図3、図5に示すように、定着部12は、定着ローラ18(定着回転体)、熱源としてのヒータ13、加圧ローラ19(加圧回転体)、温度検知手段としてのサーモパイル51、ユニット側ドロワコネクタ52、等で構成されている。
ここで、定着ローラ18は、ステンレス鋼などの金属材料からなる中空構造の芯金上に、弾性層、離型層が順次積層された多層構造のローラ部材であって、加圧ローラ19に圧接してニップ部(定着ニップ)を形成している。定着ローラ18は、駆動機構によって図2の時計方向に回転駆動される。
また、中空構造の定着ローラ18の内部には熱源としてのヒータ13が固設されている。ヒータ13は、ハロゲンヒータであって、その両端部が定着部12の側板に固定されている。そして、画像形成装置本体100の電源(メインスイッチ)がオンされた状態で、電源ユニットからドロワコネクタ52、53を介してヒータ13に電力が供給される。そして、制御部110により出力制御されたヒータ13からの輻射熱によって定着ローラ18が加熱されて、さらに加熱された定着ローラ18の表面からシートP上のトナー像に熱が加えられる。
ヒータ13の出力制御は、定着ローラ18表面に非接触で対向するサーモパイル51によるローラ表面温度の検知結果に基づいておこなわれる。詳しくは、サーモパイル51の検知結果に基づいて定められる通電時間だけ、ヒータ13に交流電圧が印加される。このようなヒータ13の出力制御(オン・オフ制御)によって、定着ローラ18の表面温度(定着温度)を所望の温度(目標制御温度)に調整制御することができる。
また、加圧ローラ19は、主として、芯金と、芯金の外周面に接着層を介して形成された弾性層と、からなる。加圧ローラ19は、定着ローラ18の回転にともない、図2の反時計方向に従動回転する。
ここで、定着部12は、画像形成装置本体100に対して着脱可能に構成されている。
詳しくは、図2の左方(又は、図5の右方)の本体カバーを開閉して、定着部12が図2の左右方向(水平方向)を着脱方向として画像形成装置本体100から取り出されたりセットされたりすることになる。そして、その定着部12の着脱動作に連動して、画像形成装置本体100に固定された本体側ドロワコネクタ53に対して、定着部12に固定されたユニット側ドロワコネクタ52が接続されたり接続解除されたりすることになる。
また、本体側ドロワコネクタ53は、装置本体100の電源ユニット(電源部)にハーネスなどを介して接続されている。また、ユニット側ドロワコネクタ52は、ヒータ13やサーモパイル51などにハーネスなどを介して接続されている。これにより、定着部12が装置本体100にセットされて、ドロワコネクタ52、53が接続された状態になると、装置本体100の電源ユニットから定着部12(ヒータ13やサーモパイル51などの被給電体)への電力供給が可能になる。
ここで、図4、図5等を参照して、本実施の形態における画像形成装置100には、作像部やドロワコネクタ52、53を冷却するための冷却手段としての2つのファン(第1ファン41と、第2ファン42と、である。)が設置されている。
詳しくは、これらのファン41、42は、装置の高速化によって装置内が温度上昇したり、低融点トナーを用いたりすることにより、作像部で用いられるトナーが固着してしまうのを防止するなど、作像部を冷却するためのものである。さらに、これらのファン41、42は、高温に達する定着部12の近傍に設置された電気部品としてのドロワコネクタ52、53が、高温によって故障したり劣化したりしないように、ドロワコネクタ52、53を冷却するためのものでもある。
図4を参照して、2つのファン41、42は、それぞれ、装置100の側方に設けられた吸気口100b、100cから装置内に外気を取り込む吸引ファンである。
そして、図2、図5に示すように、作像部(プロセスカートリッジ1)の上部には、装置内を効率よく冷却するためのダクト43が設けられており、装置内に送り込んだ空気が拡散せず所望の場所に流動するように構成されている。このダクト43の排気側には、別のダクト44が接続されている。このダクト44は、ドロワコネクタ52、53(電気部品)のすぐ上方に配置されているため、ドロワコネクタ52、53が冷却(空冷)されることになる。
また、本実施の形態における画像形成装置100は、定着部12と排紙トレイ21との距離が近くなっており、排紙トレイ21が定着部12で生じた熱によって熱くなってしまう可能性がある。これに対して、定着部12と排紙トレイ21との間にダクト44が設けられていて、その部分が冷却されることになるため、そのような不具合も生じにくくなる。
そして、図5において黒矢印で示すように、装置両側に配置されたファン41、42から吸引された空気は、ダクト43、44を経由して定着部12の上方を流動した後に、定着部12の下流側に流動して、排出経路24を経由して排出口Aから装置外に排気されることになる。
なお、本実施の形態における画像形成装置100には、図4(B)、図5に示すように、上述した2つのファン41、42の他に、電源ユニットを冷却するためのファン31も設置されている。
以下、本実施の形態における画像形成装置100において、特徴的な構成・動作について詳述する。
先に図1〜図4を用いて説明したように、本実施の形態における画像形成装置100には、シートPの表面に形成された画像を加熱して定着する定着部12が設置されている。
そして、その定着部12の近傍には、電気部品としてのドロワコネクタ52、53が設置されている。このドロワコネクタ52、53は、画像形成装置本体100から定着部12(ヒータ13等の被給電体である。)に電力を供給するための電気部品である。ドロワコネクタ52、53は、公知のものと同様に、互いに嵌合して電気的に接続されるコネクタ端子が複数設けられている。
さらに、画像形成装置100には、ドロワコネクタ52、53(電気部品)を冷却する冷却手段としてのファン41、42が設けられている。このファン41、42は、ドロワコネクタ52、53の真上を通る通気経路Xを形成して、ドロワコネクタ52、53を直接的に冷却するものである。
ここで、図5を参照して、本実施の形態における画像形成装置100の制御部110(演算部)は、ドロワコネクタ52、53(電気部品)の温度を推定する温度推定手段として機能するように構成されている。そして、本実施の形態では、温度推定手段としての制御部110によって推定した温度に基づいて、ファン41、42(冷却手段)の冷却能力を調整している。具体的に、制御部110(温度推定手段)によって推定した温度に基づいて、印刷動作中のファン41、42の回転数を調整している。
さらに詳しくは、本実施の形態では、定着部12に搬送されるシートPの種類(紙種)に応じて定着部12の定着温度が調整されるように構成されている。具体的に、サーモパイル51の定着温度の検知に基づいたヒータ13のオン・オフ制御によって、定着温度は170〜220℃の範囲で制御される。そして、本実施の形態では、図7をも参照して、シートPとして「普通紙1」、「普通紙2」のいずれかが搬送される場合には定着温度は低目に制御され、シートPとして「厚紙1」、「厚紙2」、「中厚口紙」、「薄紙」のいずれかが搬送される場合には定着温度は中程度に制御され、シートPとして「厚紙3」、「封筒1」、「封筒2」、「封筒3」、「OHP」、「ハガキ」、「特殊紙1」、「特殊紙2」のいずれかが搬送される場合には定着温度は高目に制御される。
なお、シートPの厚みは、「普通紙1」、「普通紙2」に比べて、「厚紙1」、「厚紙2」、「中厚口紙」が厚く、さらに「厚紙3」、「封筒1」、「封筒2」、「封筒3」、「ハガキ」が厚くなっている。シートPの厚みが厚くなるほど、定着工程時に定着ニップでシートPを加熱しにくくなり、トナーが溶融しにくくなるため、その分だけ定着温度を高く設定することになる。ここで、「薄紙」は、上述した紙種の中で最も厚みが薄いものであるが、定着ニップにおけるニップ圧が他の紙種に比べて小さくなってしまうため(場合によっては、シワの発生を減ずることを目的として減圧機構によってニップ圧を強制的に減圧するため)、定着温度を低目ではなくて中程度に設定して、ニップ圧の減少による加熱効率の低下分を補完している。また、「OHP」、「特殊紙1」、「特殊紙2」は、加熱しにくい材料で形成されていて、定着温度を高目に設定している。
そして、温度推定手段としての制御部110によってシートPの種類を検知して、検知したシートPの種類によってファン41、42(冷却手段)の冷却能力を調整している。
詳しくは、ユーザーによって操作パネル120(又は、画像形成装置100に接続されたPCなどの端末)に入力されたシートPの情報(シートPの種類に関する情報)が、制御部110によって把握(検知)される。そして、制御部110(温度推定手段)によって検知されるシートPの種類が、定着温度が高く調整されるものである場合に、定着温度が低く調整されるものである場合に比べて、ファン41、42(冷却手段)の冷却能力を高く調整している。
なお、ファン41、42(冷却手段)の冷却能力は、印刷動作中(画像形成動作中)のファン41、42の回転数を増減することによって調整している。具体的に、ファン41、42の回転数が大きくなることで冷却能力が高められて、ファン41、42の回転数が小さくなることで冷却能力が減ぜられることになる。
以下、図6〜図8を用いて、ファン41、42の具体的な制御について説明する。
図6に示すように、まず、PCなどの端末から画像形成装置100の制御部110に印刷指示がされると(ステップS1)、給紙トレイ15に収納されたシートPが普通紙であるかが判別される(ステップS2)。その結果、シートPが普通紙であるものと判別された場合には、加熱されやすく定着温度が低く調整されるシートであるものとして、ファン41、42の冷却能力が低く調整されて、その状態で印刷動作が実行される(ステップS6)。すなわち、印刷時におけるファン回転数の下限が「低」になるように設定される。
具体的には、図7の「普通紙1」、「普通紙2」に示すように、ファン41、42の回転数が、装置内温度(温度センサ55で検知される作像部近傍の温度である。)が30度未満であるときには「低」に、装置内温度が30度以上で32度未満であるときには「中」に、装置内温度が32度以上であるときには「高」に、設定される。
図8に示すように、ファン回転数の設定が「低」のとき、第1ファン41は稼働率0%で停止した状態で、第2ファン42は稼働率40%で稼働した状態に制御される。これに対して、ファン回転数の設定が「中」のとき、第1ファン41は稼働率50%で稼働した状態で、第2ファン42は稼働率70%で稼働した状態に制御される。また、ファン回転数の設定が「高」のとき、第1ファン41は稼働率100%で稼働した状態で、第2ファン42も稼働率100%で稼働した状態に制御される。
また、このように温度センサ55で検知される作像部近傍の温度(装置内温度)に基づいて、ファン回転数を調整しているのは、定着部12の近傍の温度が、定着部12から充分に離れた位置の装置内温度の大きさにも影響するためである。特に、定着部12の近傍の温度が低いときには、高いときに比べて、その影響の度合いが大きくなるため、図7の「普通紙1」、「普通紙2」に示すようなファン回転数の設定となっている。
そして、図6のステップS2において、給紙トレイ15に収納されたシートPが普通紙でないものと判別された場合には、印刷時におけるファン回転数の下限が「中」になるように設定される(ステップS3)。そして、給紙トレイ15に収納されたシートPが「厚紙1」、「厚紙2」、「中厚口紙」、「薄紙」のいずれかであるかが判別される(ステップS4)。その結果、シートPが「厚紙1」、「厚紙2」、「中厚口紙」、「薄紙」のいずれかであるものと判別された場合には、やや加熱されにくく定着温度が中程度に調整されるシートであるものとして、ステップS3で設定したファン回転数のまま、ファン41、42の冷却能力が中程度に調整されて、その状態で印刷動作が実行される(ステップS6)。
具体的には、図7の「厚紙1」、「厚紙2」、「中厚口紙」、「薄紙」に示すように、ファン41、42の回転数が、装置内温度が32度未満であるときには「中」に、装置内温度が32度以上であるときには「高」に、設定される。
そして、図6のステップS4において、給紙トレイ15に収納されたシートPが「厚紙1」、「厚紙2」、「中厚口紙」、「薄紙」のいずれでもないものと判別された場合には、印刷時におけるファン回転数の下限が「高」になるように設定される(ステップS5)。すなわち、給紙トレイ15に収納されたシートPが「厚紙3」、「封筒1」、「封筒2」、「封筒3」、「OHP」、「ハガキ」、「特殊紙1」、「特殊紙2」であって、非常に加熱されにくく定着温度が高く調整されるシートであるものとして、ファン41、42の冷却能力が高目に調整されて、その状態で印刷動作が実行される(ステップS6)。
具体的には、図7の「厚紙3」、「封筒1」、「封筒2」、「封筒3」、「OHP」、「ハガキ」、「特殊紙1」、「特殊紙2」に示すように、ファン41、42の回転数が、装置内温度に関わらず「高」に設定される。
このように、本実施の形態では、制御部110(温度推定手段)によって推定した温度に基づいて、ファン41、42(冷却手段)の冷却能力を調整しているため、画像形成装置100が大型化、高コスト化することなく、定着部12の近傍に設置されたドロワコネクタ52、53(電気部品)を効率的に冷却することができる。
詳しくは、定着部12はヒータ13(熱源)を用いて高温で定着工程をおこなうため、そのままでは、定着部12の近傍に設置されたドロワコネクタ52、53も、高温に達してしまって熱的な故障や劣化が生じてしまうことになる。
これに対して、本実施の形態では、ドロワコネクタ52、53の温度を直接的に検知するサーモパイルなどの温度センサを設置するのではなくて、温度推定手段によって定着部12の近傍の高温に達する温度を精度良く推定して、その推定した温度に基づいて定着部12の近傍のドロワコネクタ52、53を冷却するファン41、42の冷却能力を最適化している。そのため、画像形成装置100が大型化、高コスト化したり、定着部12の近傍が無駄に冷却されたりすることなく、ドロワコネクタ52、53を効率的に冷却することができる。
さらに補足すると、ファン41、42によって形成される通気経路Xは、ドロワコネクタ52、53の直上を通るため、直接的にドロワコネクタ52、53やそのコネクタ端子が冷却される。定着部12の近傍においては、装置内で最も高温になる定着ローラ18が主な発熱源であり、外気温の影響は小さい。また、定着ローラ18は発熱源ではあるが、ヒータ13によって素早く所定の定着温度に到達する定着ローラ18に対して、その周辺の部品の温度変化は遥かに緩やかであり、定着ローラ18の温度変化とは比例関係にない。具体的に、印刷動作中の定着ローラ18の温度は170〜220℃程度になるが、印刷終了後は10秒〜1分程度でヒータ13が切れて、室温に向かって急激に温度が低下するのに対して、周辺の部品は余熱によって温度が数分程度上昇し続ける。このため、定着部12の近傍に配置されたドロワコネクタ52、53の温度は、その温度を直接的に検知する温度センサを設置しない限り、推定するしかない。
ここで、ドロワコネクタ52、53(コネクタ端子)の温度の規格値は、定着温度に比べて大幅に小さい値(例えば、105℃程度である。)であるため、なるべく冷却することが好ましいが、同時に近傍の定着ローラ18も必要以上に冷却されてしまうと、所定の定着温度を保つことが難しくなってしまう。その一方で、ドロワコネクタ52、53の温度が規格値を超えてしまうような状態で使用され続けた場合には、規格外の温度サイクルによる膨張と収縮の繰り返しで、ドロワコネクタ52、53(コネクタ端子)が変形して接続状態を保てなくなる不具合などが生じてしまうことになる。
このようなことからも、本実施の形態のもののように、ドロワコネクタ52、53の温度を高精度に推定して、その推定結果に基づいてファン41、42の冷却能力を最適に調整することが有用になる。
<変形例1>
図9は、変形例1としての、ファン41、42の冷却能力を調整する制御を示すフローチャートである。
変形例1は、定着部12における熱源(ヒータ13)のオン時間を求める手段を温度推定手段としている点が、シートPの種類を検知する手段を温度推定手段としている本実施の形態のものと相違する。
変形例1において、制御部110におけるカウンタは、定着部12の熱源としてのヒータ13のオン時間を求めることで、電気部品としてのドロワコネクタ52、53の温度を推定する温度推定手段として機能するものである。
そして、そのヒータ13のオン時間の大きさによってファン41、42(冷却手段)の冷却能力を調整している。詳しくは、制御部110(温度推定手段)によって求めたヒータ13のオン時間が長い場合に、そのオン時間が短い場合に比べて、ファン41、42の冷却能力を高く調整している。具体的に、ファン41、42の冷却能力は、図8に記載した「低」、「中」の2段階で調整される。また、変形例1においても、本実施の形態と同様に、温度センサ55で検知される装置内温度によってファン回転数が調整される
さらに詳しくは、図9に示すように、まず、PCなどの端末から画像形成装置100の制御部110に印刷指示がされると(ステップS10)、定着部12のオン時間(オン・オフが繰り返されるヒータ13がオン状態になっていた累計時間である。)が所定の閾値C(例えば、7分である。)以下であるかが判別される(ステップS11)。その結果、定着部12のオン時間が閾値C以下であるものと判別された場合には、定着部12の近傍のドロワコネクタ52、53がそれほど高温に達していないものとして、ファン41、42の冷却能力が低く調整されて、その状態で印刷動作が実行される(ステップS13)。すなわち、印刷時におけるファン回転数の下限が「低」になるように設定される。
これに対して、ステップS11で、定着部12のオン時間が閾値C以下でないものと判別された場合には、定着部12の近傍のドロワコネクタ52、53が高温に達しているものとして、ファン41、42の冷却能力が中程度に調整されるように、印刷時におけるファン回転数の下限が「中」に設定される(ステップS12)。そして、その状態で印刷動作が実行される(ステップS13)。
このような制御をおこなった場合にも、定着部12の近傍に設置されたドロワコネクタ52、53を効率的に冷却することができる。
特に、このような制御は、定着部12のオン時間の大きさによって定着部近傍の温度を推定するものであるため、ステップS10の印刷指示がされる前にも定着部12が稼働していて、既に定着部12の近傍が蓄熱されて高温状態になっている場合に有用になる。そのような場合としては、装置が省エネモードへ移行せずに電源オン状態が続いて定着温度が一定に保たれているような場合や、印刷待機状態のまま放置されている場合などがある。
そのため、変形例1の制御を、本実施の形態における紙種による冷却能力の調整制御と組み合わせることで、さらに上述した効果が発揮されることになる。
<変形例2>
図10は、変形例2としての、ファン41、42の冷却能力を調整する制御を示すフローチャートである。また、図11は、定着温度の時間積分の一例を示すグラフである。
変形例2は、定着部12の定着温度の時間積分値を求める手段を温度推定手段としている点が、シートPの種類を検知する手段を温度推定手段としている本実施の形態のものと相違する。
変形例2において、制御部110における演算部は、定着部12の定着温度の時間積分値を求めることで、電気部品としてのドロワコネクタ52、53の温度を推定する温度推定手段として機能するものである。
そして、その定着温度の時間積分値の大きさによってファン41、42(冷却手段)の冷却能力を調整している。詳しくは、制御部110(温度推定手段)によって求められる定着温度の時間積分値が大きい場合に、その時間積分値が小さい場合に比べて、ファン41、42の冷却能力を高く調整している。具体的に、ファン41、42の冷却能力は、図8に記載した「低」、「中」、「高」の3段階で調整される。また、変形例2においても、本実施の形態と同様に、温度センサ55で検知される装置内温度によってファン回転数が調整される。
なお、上述した「定着温度の時間積分値」は、図11を参照して、サーモパイル51によって検知される定着温度の時間変化(定着温度の履歴)を制御部110の記憶部に記憶して、その履歴に基づいて制御部110の演算部で積分値として求めたものである。実際の制御フローとしては、図10に示すように、装置100の電源がオンされてから定着温度の履歴を取り続けて、一定周期で図10のステップS21〜S25が実行されることになる。
さらに詳しくは、図10に示すように、まず、画像形成装置100の電源(メインスイッチ)がオンされると(ステップS20)、サーモパイル51による定着温度の検知が連続的におこなわれて、それに基づいて定着温度の履歴が記憶部に順次更新されながら記憶され、さらに定着温度の時間積分値が演算部で順次求められていく。そして、定着温度の時間積分値が所定の閾値B1(例えば、18×104K・sである。)以下であるかが判別される(ステップS21)。その結果、定着温度の時間積分値が閾値B1以下であるものと判別された場合には、定着部12の近傍のドロワコネクタ52、53がそれほど高温に達していないものとして、ファン41、42の冷却能力が低く調整されて、その状態で印刷動作が実行される(ステップS25)。すなわち、印刷時におけるファン回転数の下限が「低」になるように設定される。
これに対して、ステップS21で、定着温度の時間積分値が閾値B1以下でないものと判別された場合には、印刷時におけるファン回転数の下限が「中」になるように設定される(ステップS22)。そして、定着温度の時間積分値が所定の閾値B2(例えば、36×104K・sである。)以下であるかが判別される(ステップS23)。その結果、定着温度の時間積分値が閾値B2以下であるものと判別された場合には、定着部12の近傍のドロワコネクタ52、53がやや高温に達しているものとして、ステップS22で設定したファン回転数のまま、ファン41、42の冷却能力が中程度に調整されて、その状態で印刷動作が実行される(ステップS25)。
これに対して、ステップS23で、定着温度の時間積分値が閾値B2以下でないものと判別された場合には、定着部12の近傍のドロワコネクタ52、53が非常に高温に達しているものとして、ファン41、42の冷却能力が高目に調整されるように、印刷時におけるファン回転数の下限が「高」に設定される(ステップS24)。そして、その状態で印刷動作が実行される(ステップS25)。
このような制御をおこなった場合にも、定着部12の近傍に設置されたドロワコネクタ52、53を効率的に冷却することができる。
特に、このような制御は、定着温度の時間積分値の大きさによって定着部近傍の温度を推定するものであるため、電源オン後に省エネモードに移行するなどして定着温度が複雑に変化するような場合に有用になる。
そのため、変形例2の制御を、本実施の形態における紙種による冷却能力の調整制御や、変形例1における定着部12のオン時間の長さによる冷却能力の調整制御、と組み合わせることで、さらに上述した効果が発揮されることになる。
以上説明したように、本実施の形態における画像形成装置1は、定着部12の近傍に設置されたドロワコネクタ52、53(電気部品)と、ドロワコネクタ52、53を冷却するファン41、42(冷却手段)と、ドロワコネクタ52、53の温度を推定する制御部110(温度推定手段)と、が設けられている。そして、制御部110によって推定した温度に基づいて、ファン41、42の冷却能力を調整している。
これにより、装置100が大型化、高コスト化することなく、定着部12の近傍に設置されたドロワコネクタ52、53を効率的に冷却することができる。
なお、本実施の形態では、吸気用のファン41、42を用いて、ドロワコネクタ52、53(電気部品)の真上を通る通気経路Xを形成して、ドロワコネクタ52、53を直接的に冷却するように冷却手段を構成した。しかし、冷却手段の構成はこれに限定されることなく、例えば、排気用のファンを用いて通気経路を形成して、ドロワコネクタ52、53を冷却するように冷却手段を構成することもできる。また、ドロワコネクタ52、53(電気部品)を間接的に冷却するものを、冷却手段として用いることもできる。
また、本実施の形態では、定着部12の近傍に設置された電気部品としてのドロワコネクタ52、53を冷却手段で冷却するように構成したが、冷却手段によって冷却する電気部品はこれに限定されることなく、定着部の近傍に設置されたその他の電気部品が設置されている場合には、その電気部品を冷却手段によって冷却するように構成することもできる。そして、そのような場合にも、温度推定手段による推定に基づいて、冷却手段の冷却能力が調整されることになる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
なお、本願明細書等において、「定着部の近傍」とは、定着部の熱の影響を受けて温度変化する位置であり、定着部がなかったら画像形成装置の内部の温度変化とほぼ同等に温度変化する位置であるものと定義する。
12 定着部、
41 第1ファン(ファン、冷却手段)、
42 第2ファン(ファン、冷却手段)、
51 サーモパイル(温度検知手段)、
52 本体側ドロワコネクタ(ドロワコネクタ、電気部品)、
53 ユニット側ドロワコネクタ(ドロワコネクタ、電気部品)、
100 画像形成装置、
110 制御部(温度推定手段)、
P シート。
特許第5161539号公報

Claims (9)

  1. シートの表面に形成された画像を加熱して定着する定着部と、
    前記定着部の近傍に設置された電気部品と、
    前記電気部品を直接的又は間接的に冷却する冷却手段と、
    前記電気部品の温度を推定する温度推定手段と、
    を備え、
    前記温度推定手段によって推定した温度に基づいて、前記冷却手段の冷却能力を調整することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記定着部に搬送されるシートの種類に応じて前記定着部の定着温度が調整され、
    前記温度推定手段は、前記シートの種類を検知する手段であって、
    前記シートの種類によって前記冷却手段の冷却能力を調整することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記温度推定手段によって検知される前記シートの種類が、前記定着温度が高く調整されるものである場合に、前記定着温度が低く調整されるものである場合に比べて、前記冷却手段の冷却能力を高く調整することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記温度推定手段は、前記定着部の熱源のオン時間を求める手段であって、
    前記オン時間の大きさによって前記冷却手段の冷却能力を調整することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
  5. 前記温度推定手段によって求めた前記オン時間が長い場合に、前記オン時間が短い場合に比べて、前記冷却手段の冷却能力を高く調整することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 前記温度推定手段は、前記定着部の定着温度の時間積分値を求める手段であって、
    前記時間積分値の大きさによって前記冷却手段の冷却能力を調整することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
  7. 前記温度推定手段によって求めた前記時間積分値が大きい場合に、前記時間積分値が小さい場合に比べて、前記冷却手段の冷却能力を高く調整することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記冷却手段は、ファンであって、
    前記温度推定手段によって推定した温度に基づいて、印刷動作中の前記ファンの回転数を調整することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の画像形成装置。
  9. 前記電気部品は、画像形成装置本体から前記定着部に電力を供給するためのドロワコネクタであることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の画像形成装置。
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