JP2020070954A - 消音換気構造、及び消音性能評価方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、このような多孔質吸音材を用いる場合、吸収率、特に低周波音の吸収率を大きくするためには体積を大きくすることが必要であるが、換気スリーブ内に体積の大きな多孔質吸音材を設置すると通気性が低下するため、換気スリーブの外側に多孔質吸音材を配置して通気性と防音性能とを両立することも行われている。
特許文献1に開示の消音換気装置では、管内で生じる400〜700Hz帯域音の共鳴現象を減音装置の共鳴音吸音材で吸収するので、高い消音性能を確保でき、圧力損失や空気流量の減少などの相反する性能を大きく低下させることなく設置可能であるとしている。また、高低差を設けて設置した外壁側換気口、屋内側換気口、および、両者間に設けられた消音容器によって、全周波数帯域に渡り高い遮音性能を有するとしている。
特許文献2に開示の送風機では、圧力損失と能動消音装置の消音効果の定在波による低下とを抑制しながらも、コンパクト化を実現した送風機を提供することができるとしている。また、吸音材により、遠心ファンの吸込口から放出された音波の一部が壁面に反射して能動消音装置に入射し、これにより平面波の形成を阻害するため、消音効果が低下することを抑制することができるとしている。
このように、消音器を備えた換気スリーブ等の従来の消音換気構造においては、使用環境に応じて、高音、又は低温、音量の大きい、又は小さい音を含む高温、又は低温、かつ多湿、又は乾燥の空気等、様々な温度、及び湿度の空気が通過するため、多孔質吸音材は、これらの空気の影響を受けて、長年使用していると、経年変化が生じ、消音性能が劣化してしまう。
このため、交換時期の目安として、消音換気構造の消音性能が劣化してきたら、そこで交換すると言うのが最も合理的である。即ち、消音能力低下を以て、吸音材の交換を行うのが最も合理的である。しかしながら、消音換気構造は、一般の住宅環境に用いられていることから、一般の住宅(家庭)で、一般のユーザが計測機器等を持ち込んで消音性能を計測するということは現実的ではないという問題がある。
また、特許文献2に開示の送風機に用いられる能動消音装置では、小風路の入口側に設置されたリファレンスマイクロホンによって小風路内を伝播する音波を検知し、騒音を検出すると共に、リファレンスマイクロホンによって検出された騒音とは逆位相の音をスピーカによって放出することによって小風路内を伝播する騒音を減衰させ、エラーマイクロホンによってスピーカから放出された音によって減衰した騒音を検出して確認している。
しかしながら、特許文献2に開示の送風機では、吸音材が用いられているのは、能動消音装置の小風路の外側であるので、小風路内の2つのマイクロフォンでは、吸音材の消音性能を計測することはできないという問題がある。また、特許文献2においては、吸音材の消音性能を全く考慮していない。
また、消音器は、更に吸音材を固定する枠体を備えることが好ましい。
また、吸音材は、消音器の貫通孔を形成することが好ましい。
また、消音器は、2つの空間の一方の空間に配置されることが好ましい。
また、消音器の貫通孔と、環状部材の貫通孔とは、同一孔径であることが好ましい。
また、音圧計測機器の少なくとも1つは、2つの空間のうち消音器が設置される側の一方の空間に設置されていることが好ましい。
また、消音評価システムは、一方の空間に設置された音圧計測機器で測定された計測データから消音器の消音材の状態を評価することが好ましい。
また、音圧計測機器を2つ以上備え、そのうちの少なくとも1つは、2つの空間のうちの消音器が設置されていない側の他方の空間に設置されていることが好ましい。
また、消音評価システムは、一方の空間に設置された音圧計測機器で測定された計測データと、他方の空間に設置された音圧計測機器で測定された計測データとの比率から消音器の消音材の状態を評価することが好ましい。
なお、消音換気構造の共鳴モードは、好ましくは、吸音材が新品の場合において、環状部材の貫通孔の一方から他方(一方の換気口から他方の換気口)に向って音を流した場合(図4に示す計算モデルのシミュレーションに相当)における透過してくる音圧の透過強度のピークのうち、低周波のものから順に1次、2次、・・・と定義する。
また、音圧計測機器の無線通信の通信リンク方式として、WiFiダイレクト、又はBluetooth(登録商標)技術を利用していることが好ましい。
また、音圧計測機器は、独立した電子機器との通信が一定の時間行われない場合に、自動で電源が切れる機能を備えることが好ましい。
また、音圧計測機器は、独立した電子機器との通信による遠隔操作によって電源がオンオフされることが好ましい。
また、消音評価システムは、計測データを格納するメモリ、又はデータ保持機構を備えることが好ましい。
また、消音評価システムは、吸音性能計測用システムを備えることが好ましい。
また、消音評価システムは、REF(参照基準)吸音性能がデータとして実装されていることが好ましい。
ここで、計測する音として1次もしくは2次の共鳴モードの周波数のみを計測することが好ましい。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、「直交」および「平行」とは、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、「直交」および「平行」とは、厳密な直交あるいは平行に対して±10°未満の範囲内であることなどを意味し、厳密な直交あるいは平行に対しての誤差は、5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましい。
本明細書において、「同一」、「同じ」は、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。また、本明細書において、「全部」、「いずれも」または「全面」などというとき、100%である場合のほか、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含み、例えば99%以上、95%以上、または90%以上である場合を含むものとする。
本発明の消音換気構造の構成について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る消音換気構造の一例を概念的に示す断面模式図である。図2は、図1のB−B線断面図である。
図1に示すように、消音換気構造10は、円筒状の換気スリーブ12と、消音器14と、音圧計測機器16とを有する。なお、消音換気構造10には、図1に示すように、ガラリ18と、レジスタ20が設けられていても良い。
図1に示す消音換気構造10は、2つの空間22、及び24を隔てる壁26と、壁26を貫通する換気スリーブ12と、壁26から所定距離離間して、壁26に平行に設けられた化粧板28と、換気スリーブ12の貫通孔12aと連通する貫通孔14aを備え、壁26と化粧板28の間の空間に配置される消音器14と、化粧板28の外側に設置される音圧計測機器16と、化粧板28と反対側である、換気スリーブ12の端部に設けられるガラリ18と、化粧板28の側に設けられるレジスタ20とを有する。
換気スリーブ12は、図1に示すように、貫通孔12aを備える本発明の環状部材であり、第1の空間22、及び第2の空間24よりなる2つの空間を隔てる壁26を貫通して設けられる。
壁26が、例えば、マンションのような住宅の壁のような場合には、第1の空間22は、屋外であり、第2の空間24は、屋内である。
図1に示す例では、屋外である第1の空間22には、換気スリーブ12の貫通孔12aの一方の端面に対向してガラリ18が設けられている。また、屋内である第2の空間24には、換気スリーブ12の貫通孔12aの他方の端面には消音器14、及び化粧板28が設置されている。
なお、換気スリーブ12は、換気口および空調用ダクト等に限定はされず、各種機器に用いられる一般的なダクトであってもよい。
本発明の消音換気構造10は、例えば、マンションのような住宅の壁のような壁の換気スリーブに好適に適用することができる。なお、住宅の壁は、例えば、コンクリート壁、石膏ボード、断熱材、化粧板、および、壁紙等の壁材を有して構成されており、これらを貫通して換気スリーブが設けられている。なお、図1に示す例では、本発明における壁26は、コンクリート壁に相当するものと言うことができ、その他の、壁材の図示は省略されている。
また、住宅用の換気スリーブ12の場合には、換気スリーブの直径(円相当直径)(外径)は、70mm〜160mm程度である。
なお、換気スリーブ12の内径(貫通孔12aの孔径)は、分解能を1mmとして測定する。換気スリーブの断面形状が、円形ではない場合は、その面積を円相当面積として直径に換算して内径を求めることが好ましい。1mm未満の凹凸等の微細構造を有する場合には、これを平均化することが好ましい。
換気スリーブ12の材料としては、特に制限的ではないが、金属であることが好ましく、例えば、アルミニウム、銅、ブリキ、チタン、及びステンレス等を挙げることができる。
消音器14は、換気スリーブ12の貫通孔12aと連通する貫通孔14aを備え、第2の空間24であって、壁26と化粧板28との間の空間に配置される。図1に示すように、消音器14は、2つの空間の一方の第2の空間24に配置されることが好ましい。
消音器14は、挿入部30a、空洞部30bを形成する枠本体30c、及び係止部30dを備え、貫通孔14aを形成する枠体30と、枠体30の空洞部30b内に配置され、貫通孔14aを形成する吸音材32とを有する。
図1、及び図2に示すように、枠体30は、換気スリーブ12の貫通孔12aと連通し、且つ同軸、かつ略同径である貫通孔14aを形成すると共に、貫通孔14aの外側の周面の全周に空洞部30bを有する。
枠本体30cは、吸音材32を収容して固定する円環形状の空洞部30bを形成するためのものである。空洞部30bは、消音器14の貫通孔14aの外側周方向に形成され、貫通孔14aと連通している空間である。
ここで、図2に示す例では、消音器14の枠体30(空洞部30b)は、消音器14の貫通孔14aの外周面の全周に沿った略環状としたが、これに限定はされず、空洞部を有する各種の立体形状であればよい。例えば、半環形状であってもよいし、直方体形状であってもよい。
消音器14の枠体30の材料としては、換気スリーブ12の材料と同様な材料を用いれば良い。
周知のとおり、吸音材は、内部を通過する音の音エネルギーを熱エネルギーに変換することで吸音するものである。
吸音材32としては、多孔質吸音材であることが好ましいが、特に限定はなく、従来公知の吸音材が適宜利用可能である。例えば、発泡ウレタン、軟質ウレタンフォーム、木材、セラミックス粒子焼結材、フェノールフォーム等の発泡材料および微小な空気を含む材料;グラスウール、ロックウール、マイクロファイバー(3M社製シンサレートなど)、フロアマット、絨毯、メルトブローン不織布、金属不織布、ポリエステル不織布、金属ウール、フェルト、インシュレーションボードおよびガラス不織布等のファイバーおよび不織布類材料;木毛セメント板;シリカナノファイバーなどのナノファイバー系材料;石膏ボード;種々の公知の吸音材が利用可能である。
なお、化粧板28は、第2の空間24である住宅等の屋内灯において、コンクリート壁等の壁26がむき出しにならないように、壁26を覆うためのものである。化粧板28は、消音器14の貫通孔14aと連通する開口28aを備える。化粧板28の開口28aは、消音器14の貫通孔14aと同軸、かつ同径である。化粧板28としては、従来公知の化粧板を用いることができる。
ここで、音圧計測機器16は、マイクロフォン34を有する。したがって、マイクロフォン34は、第2の空間24にある消音器14の外側に設置される化粧板28に外側、かつその開口28aの近傍に設置される。
マイクロフォン34は、電子機器36によって遠隔操作される無線通信機能付マイクロフォンである。
その結果、マイクロフォン34は、消音器14の音圧を長時間に亘って適切に計測し、長い時間かかって劣化していく吸音体32の消音状態を適切に評価することができる。
ここで、消音換気構造の共鳴モードは、好ましくは、吸音材が新品の場合において、環状部材の貫通孔の一方から他方(一方の換気口から他方の換気口)に向って音を流した場合(図4に示す計算モデルのシミュレーションに相当)における透過してくる音圧の透過強度のピークのうち、低周波のものから順に1次、2次、・・・と定義する。
円筒状の換気スリーブ12、及び消音器14からなる消音換気構造10は、ある長さの筒体を構成するので、ある長さの共鳴構造を構成し、1次から高次の共鳴モードの周波数、共鳴周波数を持つ。本発明者らは、後述する図6、及び図7に示すように、吸音材32の劣化が顕著に表れる音圧の周波数が、その共鳴モードの周波数に対応していることを知見した。その結果、全部の周波数を計測することなく、特定の共鳴モードの周波数のみを計測することで、短時間、かつ容易に、吸音材32の劣化を評価することができる。
電子機器36としては、消音評価システムによってマイクロフォン34を無線通信によって遠隔操作して騒音の音圧の計測データを取得できれば特に制限的ではなく、例えば、パソコン(パーソナルコンピュータ)、及びスマートフォン、タブレット端末、及びスマートスピーカー等を挙げることができる。
ここで、マイクロフォン34と、電子機器36との間の無線通信の通信リンク方式として、WiFiダイレクト、又はBluetooth(登録商標)技術を利用することが好ましい。こうすることにより、マイクロフォン34と、電子機器36との間の無線通信を、効率よく行うことができる。
即ち、本発明の消音評価システムは、マイクロフォン34と電子機器36と電子機器36に格納されているソフトウェア(アプリケーション)とで構成されるシステムであり、マイクロフォン34側の評価システムは、電子機器36によって遠隔操作されて音圧を計測して計測データを取得し、電子機器36に送信するものであり、電子機器36側の評価システムは、マイクロフォン34を遠隔操作して音圧の計測データを取得して、得られた計測データ用いて消音を評価し、吸音材の状態を評価するものである。
消音評価システムにおいて、マイクロフォン34によって計測された騒音の音圧の計測データを解析して、消音器14の消音を評価し、吸音材32の劣化状態を評価するためには、吸音材32がフレッシュな場合の吸音能力を測定し、データとして保持しておく必要がある。このデータが、REF(参照基準)データとなり、後の透過損失の劣化、即ち吸音材32の劣化状態を見積もる基準データとなる。
本発明の消音評価システムにおいては、このデータを保持するためのメモリが存在することが好ましい。
このメモリは、遠隔操作側の電子機器36にあっても良いし、マイクロフォン34に実装されていてもよいし、クラウド上に保存される形となっていても良い。この場合には、クラウドは、消音評価システムの一部を構成する。
このように、REF(参照基準)データをメモリに格納しておくことにより、吸音材32の劣化状態を正確に評価することができる。
消音評価システムにおいては、吸音性能計測用システムとして、REFデータとの差分を計算する簡易アプリケーションが備わっていることが好ましい。吸音性能計測用システムを稼働させることにより、吸音材32の劣化状態をより正確に評価することができる。
REFデータをREF(参照基準)として登録できる、或いはREFデータが予めソフトウェアアプリケーションに登録されていることが好ましい。
また、消音評価システムは、REF(参照基準)吸音性能がデータとして実装されていることが好ましい。こうすることにより、REFデータを測定しなくても、吸音材32の劣化状態を正確に評価することができる。
なお、本発明の消音換気構造10の設置当初から、消音器14を透過した騒音の音圧の計測データを多数蓄積することを続けて行くことにより、また、音圧データ以外にも、温度、及び湿度、又は消音換気構造10の換気スリーブ12の貫通孔12、及び消音器14の貫通孔14aを通過する空気の風速、風量をも計測しておくことにより、これらの多数の計測データをデータセットとしてAI(人工知能: Artificial Intelligence)技術を用いて、消音換気構造10の消音器14の吸音材32の劣化状態をより正確に評価することができる。
レジスタ20は、第2の空間24において、化粧板28の側に設けられる従来公知の風量調整部材である。レジスタ20は、その先端部が、化粧板28の開口28aから消音器14の貫通孔14aに挿入されることにより、消音器14、及び化粧板28に取り付けられる。
また、カバー部材および風量調整部材は、換気スリーブの消音器が設置された側の端面側に設置されてもよいし、消音器が設置されていない側の端面側に設置されてもよい。
なお、消音換気構造10が、ガラリ18等のカバー部材、及びレジスタ20等の風量調整部材を有する場合には、換気スリーブ12、及び消音器14内に生じる第一共鳴は、カバー部材、及び風量調整部材を含む消音換気構造10における換気スリーブ12、及び消音器14内に生じる第一共鳴である。
図1、及び2に示す本発明の消音換気構造10は、基本的に以上のように構成される。
この場合には、消音評価システムは、後述する図6に示すように、一方の第2の空間24に設置された音圧計測機器16(マイクロフォン34)で測定された騒音の音圧の計測データから消音器14の消音材32の状態を評価することが好ましい。
図3Aに示す消音換気構造11では、消音器14が設置されている側の一方の第2の空間22(消音器14の外側の化粧板28の外側表面)に音圧計測機器16a(マイクロフォン34a)が設置されているのに加え、消音器14が設置されていない側の他方の第1の空間22(壁26の外側表面)に音圧計測機器16b(マイクロフォン34b)が設置されている。図3Aに示す消音換気構造11は、これらの点以外では、図1に示す消音換気構造10と同様の構成を有する。
この場合には、消音評価システムは、後述する図7に示すように、一方の第2の空間24に設置された音圧計測機器16a(マイクロフォン34a)で測定された音圧の計測データと、他方の第1の空間22に設置された音圧計測機器16b(マイクロフォン34b)で測定された音圧の計測データとの比率から消音器14の消音材32の状態を評価することが好ましい。
図3Bに示す消音換気構造10Aのように、消音器14の枠体を、内径が換気スリーブ12の貫通孔12aと略同径である円筒管状の管体40で構成し、管体40の内部、即ち内壁の周囲(内周面)に配置するようにしても良い。
ここで、計測する音として1次もしくは2次の共鳴モードの周波数のみを計測することが好ましい。
また、電子機器は、音圧計測機器によって計測された音圧を無線通信によって受信した後、無線送信して音圧計測機器の電源をオフ状態にすることが好ましい。
また、本発明は、上記消音性能評価方法の各々のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムであってもよい。このプログラムは、電子機器に格納されるものであって良い。
また、本発明は、上記消音性能評価方法の各々のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体であっても良い。
図4に示す音響モデルを用いて、2次元円筒軸対称のシミュレーションを行った。シミュレーションソフトとしてはCOMSOL MultiPhysics5.3aの音響モジュールを用いた。
図4に示すように、シミュレーションにおいて、換気スリーブ12の貫通孔12aの半径は5cmとし、換気スリーブ12の貫通孔12aと消音器14の貫通孔14aの合計長さは20cmとし、貫通孔14aの出口開口の半径は6cmとした。
また、図5に、図4に示す音響モデルの消音換気構造10近傍の拡大図を示す。
図5に示すように、シミュレーションにおいて、消音器14の筐体30の吸音体32を内包する枠本体30cの長さは、56cmとし、貫通孔14aと連通する開口部分は、40cmとし、厚みは、45cmとした。
なお、第1の空間22、及び第2の空間24の1/4球状の面に到達した音波は、反射して消音換気構造に再び戻ることがないように、球面波境界に設定した。
図4、及び図5に示すように、計測ポイントとして、入射側の第1の空間22では、換気スリーブ12の貫通孔12aの外側近傍に音圧計測機器16b(マイクロフォン34b)が設置され、出射側の第2の空間24では、消音器14の貫通孔14aの外側近傍に音圧計測機器16(マイクロフォン34)、又は音圧計測機器16a(マイクロフォン34a)が設置できるようになっている。
まず、実施例1のシミュレーションでは、図1に示すように、計測ポイントとして、出射側の第2の空間24においてのみ、消音器14の貫通孔14aの外側近傍に1つの音圧計測機器16(マイクロフォン34)を設置して、騒音の音圧を計測した。
本シミュレーションでは、流れ抵抗の劣化を吸音材32の劣化と仮定した。吸音材32が劣化した場合、その一部が剥がれたり破壊されたりして、音の媒質流体に対する流れ抵抗が劣化していくためである。
計測した音圧をp0とした場合において、計測音圧20*log10(|p0|)[dB]を図6に示す。図6は、計測ポイントでの音圧、計測音圧を周波数に対してプロットしたグラフである。
なお、実際に計測するケースとしては、例えば24時間の平均音圧を測定する。
まず、実施例2のシミュレーションでは、図2に示すように、計測ポイントとして、出射側の第2の空間24において、消音器14の貫通孔14aの外側近傍に1つの音圧計測機器16a(マイクロフォン34a)を設置すると共に、入射側の第1の空間22において、換気スリーブ12の貫通孔12aの外側近傍にもう1つの音圧計測機器16b(マイクロフォン34b)を設置して、2つのマイクロフォン34a、及び34bによって騒音の音圧を計測した。
実施例2のシミュレーションでも、実施例1のシミュレーションと同様に、流れ抵抗の劣化を吸音材32の劣化と仮定した。
入口側の計測ポイントの音圧計測機器16b(マイクロフォン34b)で計測した音圧をpiとし、出口側の計測ポイントの音圧計測機器16a(マイクロフォン34a)で計測した音圧をp0とした場合において、音圧の透過強度(入口側の音圧と出口側の音圧との比率)20*log10(|pi/p0|)[dB]を図7に示す。図7は、入口側の計測ポイントでの音圧と出口側の計測ポイントでの音圧との比率で示される透過強度を周波数に対してプロットしたグラフである。図7では、透過強度が大きいほうが、消音性能が低いことを意味する。
以上より、入口側、及び出口側の計測ポイントの音圧計測機器16a,16bでそれぞれ音圧を計測し、それらから音圧の透過強度を算出したとき、吸音材32が劣化した場合に観測される音圧の透過強度が増加している、即ち、消音性能が低下してくることが分かる。このことから、本発明の音圧計測評価システムにより、家庭でも簡易に消音器の吸音材の消音性能を適切に評価できることが分かる。
以上の結果より本発明の効果は明らかである。
12 換気スリーブ
12a、12b 貫通孔
14 消音器
16、16a、16b 音圧計測機器
18 ガラリ
20 レジスタ
22 第1の空間
24 第2の空間
26 壁
28 化粧板
30 枠体
30a 挿入部
30b 空洞部
30c 枠本体
30d 係止部
32 吸音材
34、34a、34b マイクロフォン
36 電子機器
40 管体
Claims (19)
- 2つの空間を隔てる壁を貫通して設けられる環状部材と、
前記環状部材に設置され、前記環状部材の貫通孔と連通する貫通孔、及び吸音材を有する消音器と、
前記2つの空間の少なくとも一方に設置される少なくとも1つの音圧計測機器、及び無線通信を介して前記音圧計測機器を遠隔操作可能である独立した電子機器から構成される消音評価システムと、を備えていることを特徴とする消音換気構造。 - 前記吸音材は、前記消音器の内壁の周囲、及び/又は内部に配置される請求項1に記載の消音換気構造。
- 前記消音器は、更に前記吸音材を固定する枠体を備える請求項1、又は2に記載の消音換気構造。
- 前記吸音材は、前記消音器の貫通孔を形成する請求項1〜3のいずれか1項に記載の消音換気構造。
- 前記消音器は、前記2つの空間の一方の空間に配置される請求項1〜4のいずれか1項に記載の消音換気構造。
- 前記消音器の貫通孔と、前記環状部材の貫通孔とは、同一孔径である請求項1〜5のいずれか1項に記載の消音換気構造。
- 前記音圧計測機器の少なくとも1つは、前記2つの空間のうち前記消音器が設置される側の一方の空間に設置されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の消音換気構造。
- 前記消音評価システムは、前記一方の空間に設置された前記音圧計測機器で測定された前記計測データから前記消音器の前記消音材の状態を評価する請求項7に記載の消音換気構造。
- 前記音圧計測機器を2つ以上備え、そのうちの少なくとも1つは、前記2つの空間のうちの前記消音器が設置されていない側の他方の空間に設置されている請求項7、又は8に記載の消音換気構造。
- 前記消音評価システムは、前記一方の空間に設置された前記音圧計測機器で測定された前記計測データと、前記他方の空間に設置された前記音圧計測機器で測定された前記計測データとの比率から前記消音器の前記消音材の状態を評価する請求項9に記載の消音換気構造。
- 前記音圧計測機器は、前記消音換気構造の1次もしくは2次の共鳴モードの周波数のみを測定する請求項1〜10のいずれか1項に記載の消音換気構造。
- 前記音圧計測機器の前記無線通信の通信リンク方式として、WiFiダイレクト、又はBluetooth(登録商標)技術を利用している請求項1〜11のいずれか1項に記載の消音換気構造。
- 前記音圧計測機器は、前記独立した電子機器との通信が一定の時間行われない場合に、自動で電源が切れる機能を備える請求項1〜12のいずれか1項に記載の消音換気構造。
- 前記音圧計測機器は、前記独立した電子機器との通信による遠隔操作によって電源がオンオフされる請求項1〜12のいずれか1項に記載の消音換気構造。
- 前記消音評価システムは、前記計測データを格納するメモリ、又はデータ保持機構を備える請求項1〜14のいずれか1項に記載の消音換気構造。
- 前記消音評価システムは、吸音性能計測用システムを備える請求項1〜15のいずれか1項に記載の消音換気構造。
- 前記消音評価システムは、REF(参照基準)吸音性能がデータとして実装されている請求項1〜16のいずれか1項に記載の消音換気構造。
- 2つの空間を隔てる壁を貫通して設けられる環状部材と、前記環状部材に設置され、前記環状部材の貫通孔と連通する貫通孔、及び吸音材を有する消音器と、前記2つの空間の少なくとも一方に設置される少なくとも1つの音圧計測機器、及び無線通信を介して前記音圧計測機器を遠隔操作可能である独立した電子機器から構成される消音評価システムと、を備えている消音換気構造において、前記電子機器および前記音圧計測機器によって消音性能を評価するための評価方法であって、
前記電子機器から無線送信して前記音圧計測機器を計測可能な状態にして前記音圧計測機器によって音圧を計測し、
前記音圧計測機器によって計測された音圧を無線通信して前記電子機器に受信し、
前記電子機器において、前記消音器の消音性能を評価し、前記吸音材の状態を評価するに際し、
少なくとも前記消音換気構造の、1次もしくは2次の共鳴モードを生じる周波数の音圧を計測することを特徴とする消音性能評価方法 。 - 前記計測する音として1次もしくは2次の共鳴モードの周波数のみを計測する請求項18に記載の消音性能評価方法。
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