JP2020024354A - 防音システム - Google Patents

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Abstract

【課題】350Hz〜700Hz程度の低い周波数を消音することができ、高い通気性と防音性能を両立することができ、また、風切り音の発生を抑制でき、また、通気スリーブに合わせた設計が不要で汎用性の高い防音システムを提供することを課題とする。【解決手段】壁を貫通して設置された通気スリーブに、消音器が配置された防音システムにおいて、消音器は、通気スリーブの外周部に形成された空洞部、および、空洞部と通気スリーブとを連通する開口部を有するケース部と、ケース部の空洞部内の少なくとも一部に、または、ケース部の開口部の少なくとも一部を覆う位置に配置される多孔質吸音材と、を有し、消音器の開口部は、消音器を配置しない状態の防音システム内における通気スリーブの音場空間に接続されており、通気スリーブが第一共鳴する音波の周波数をF1、波長をλとし、消音器内の周波数F1における実効音響伝搬長をαとすると、−1.8<log10(α/λ)<1.3を満たす。【選択図】図1

Description

本発明は、防音システムに関する。
換気口、空調用ダクトなど、室内と室外とを隔てる壁に設けられた、室内と室外とを貫通する通気スリーブにおいて、室外からの騒音が室内に伝わるのを抑制するため、あるいは室内からの騒音が外部に伝わるのを抑制するために、通気スリーブ内にウレタン、ポリエチレン等からなる多孔質の吸音材を設置することが行なわれている。
しかしながら、ウレタンおよびポリエチレン等の多孔質吸音材を用いる場合には、800Hz以下の低周波音の吸収率が極端に低くなるため、吸収率を大きくするためには体積を大きくすることが必要であるが、換気口、空調用ダクトなどの通気性を確保する必要があるため、多孔質吸音材の大きさには限度があり、高い通気性と防音性能とを両立することが難しいという問題があった。
ここで、換気口および空調用ダクト等の通気スリーブにおける騒音として、通気スリーブの共鳴音が問題となる。特に、最低周波数の共鳴音が問題となる。この共鳴音が800Hz以下の場合には、多孔質吸音材で防音するためには、多孔質吸音材の量が著しく増加してしまう。そのため、通気を犠牲にしたとしても、一般的に十分な防音性能を出すことは難しい。市販品を例にあげると、住宅用換気スリーブの内部に挿入する吸音材タイプの防音製品であるポリエチレン製防音スリーブ(株式会社新協和製 SK−BO75)では、開口率が36%となり大幅に通気量を低下させるにもかかわらず、8割以上の共鳴音が透過してしまう。
このような通気スリーブの共鳴音を消音するために、特定の周波数の音を消音する共鳴型の消音器を用いることが提案されている。
例えば、特許文献1には、第1空間と第2空間とを仕切る仕切部に、両空間相互の通気を図る通気スリーブが貫通状態に設けられ、通気スリーブの通過音に対する消音を図る共鳴型消音機構が通気スリーブに設けられている通気孔構造であって、共鳴型消音機構は、通気スリーブの筒軸芯方向における仕切部の外の位置で、且つ、仕切部と、仕切部に沿ってその表面から離間する状態に設けられた化粧板との間の位置で、通気スリーブの外周部に形成してある通気孔構造が記載されている。また、共鳴型消音機構として、気柱共鳴を利用したサイドブランチ型消音器、および、ヘルムホルツ共鳴器が記載されている。
また、特許文献2には、スリット状開口部を有する共鳴器が、建物の開口部の内壁における壁面に、配される騒音低減構造が記載されている。
また、特許文献3には、消音容器と、減音装置とより構成し、消音容器は、内面に吸音材を貼り付けた中空の容器であり、その一面に開口してある屋外側換気口と、消音容器の他面に開口してある屋内側換気口を備え、屋外側換気口と、屋内側換気口は、消音容器の対応しない位置に配置してあり、一方、減音装置は給気筒と共鳴音吸音材とより構成し、給気筒は両端が貫通した筒体であり、給気筒の消音容器側の端には共鳴音吸音材が位置し、その共鳴音吸音材は給気筒の内径とほぼ同一内径の筒状空洞部を備え、給気筒の中心軸と、筒状空洞部の中心軸が一致する状態で配置してあり、境界要素法解析により、単なる筒体と消音容器を組み合わせただけでは音波の粒子速度が他の位置よりも高くなる取り合い部分である給気筒の消音容器側の先端に共鳴音吸音材が位置している消音換気装置が記載されている。
特許文献4には、自然換気口のスリーブ管内に設置して用いる消音用管状体であって、少なくとも一方の端部を閉止し、他方の端部付近に開口部を設け、一方の端部から開口部の中心までの長さがスリーブ管の全長の略半分の長さを有し、内部には多孔質材を配置する消音用管状体が記載されている。この特許文献4においては、消音用管状体の長さをスリーブ管の全長の略半分の長さとすることで、消音用管状体の固有振動数(共鳴周波数)をスリーブ管に生じる共鳴音の1次固有振動数(共鳴周波数)と一致させることが記載されている。
特許文献5には、筒状の換気口部材と、この換気口部材に外嵌された複数の閉鎖空間と、この各閉鎖空間と換気口部材とを連通する当該換気口部材に形成の共鳴器用開口とを備え、各閉鎖空間と連通の各共鳴器用開口の開口面積をそれぞれ異ならせた消音換気口が記載されている。この特許文献5には、筒状の換気口部材内を騒音が通過する際に起きる気柱共鳴周波数の透過音を低減するために、ヘルムホルツ型共鳴器を1個のみ設けると、その前後の周波数域に新たに筒抜音が発生して低減効果を得ることができないため、この対策として複数個を設けることが記載されている。
特許文献6には、ヘルムホルツ共鳴などを利用した壁面や天井などに設ける音吸収装置であって、複数の隣接するパネルの間のスロットの開口部に対して、ファイバー材や解放発泡材などからなる吸音材を配置する音吸収装置が記載されている。
特許文献7には、通気ダクトを利用して電子機器の動作騒音を低減させる消音装置であって、通気ダクトを構成するダクト壁の少なくとも1つは、内部に空気層を有する2層構造の壁体であり、2層構造の壁体の内部の空気層を複数のセルに分割する間仕切板と、2層構造の壁体のダクト内部に接する壁面にそれぞれのセルに対応して設けられた貫通穴と、を有した電子機器の消音装置が記載されている。この特許文献7では、複数のセルに分割されたそれぞれの空気層と貫通穴内の空間とによって、動作騒音が吸収される複数の小型共鳴器(ヘルムホルツ共鳴器)が形成されている。
特許文献8には、第1表面部と、第2表面部と、これら第1及び第2表面部の間の内部空間に配置される吸音材と、を備える消音体であって、第1及び第2表面部の少なくとも何れか一方は、一部が遮蔽部であると共に残部が非遮蔽部である消音体が記載されている。
特許第4820163号公報 特開2017−101530号公報 特許第6084773号公報 特開2016−095070号公報 特開2005−344956号公報 米国特許第4842097号明細書 特開2007−047560号公報 特開2017−021383号公報
ここで、例えば、住宅用の壁部分がコンクリート壁と化粧板とを有する場合には、住宅用の壁部分の厚みは、すなわち、コンクリート壁と化粧板との間の空間を含む、コンクリート壁と化粧板との合計厚みは、175mm〜400mmである。従って、通気スリーブの長さは175mm〜400mmである。この範囲の長さの通気スリーブで生じる共鳴の第一共鳴周波数は、355Hz〜710Hz程度の低い周波数である。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、気柱共鳴型の消音器では、少なくとも共鳴周波数の波長の1/4の長さが必要となり巨大化する。また、ヘルムホルツ共鳴型の消音器においても、低周波になるほど空気ばねとなる空洞部を大きくする必要があり巨大化する傾向にある。従って、共鳴型の消音器を用いて、355Hz〜710Hz程度の低い周波数を消音する場合には、実用性が低くなるという問題があった。
また、特許文献1および2では、通気を保つために通気スリーブの外周に共鳴型の消音器を置くことが提案されている。しかしながら、本発明者らの検討によれば、共鳴型の消音器では、共鳴器の開口部で発生した風切り音が共鳴器によって増幅されてしまい、新たな騒音源となってしまうことがわかった。これは共鳴器では、入射音に対する位相反転による反射防音の寄与があるが、内部で発生した風切り音に対しては入射方向が定義できず、通気スリーブの両方向へ音を伝搬させてしまうためである。
また、特許文献1,2,4〜7に記載の共鳴型の消音器は、特定の周波数(周波数帯域)の音を選択的に消音するものである。通気スリーブの長さおよび形状等が異なると、通気スリーブの共鳴周波数も変わる。そのため、通気スリーブに合わせた設計が必要となり、汎用性が低いという問題があった。
さらに、本発明者らの検討によれば、通気スリーブ内で第一共鳴している場合に、この第一共鳴の周波数と同じ共鳴周波数を有する共鳴器を通気スリーブ内に配置すると、第一共鳴の周波数よりも低い周波数と、高い周波数との2つの周波数に透過音のピークが生じることがわかった。
共鳴が生じていない音場空間(非共鳴場(自由空間))に共鳴器を配置した場合には、共鳴器の共鳴周波数で強い消音を行うことができる(図38参照)。
これに対して、共鳴が生じている音場空間(共鳴場)に、共鳴場の共鳴周波数と同じ共鳴周波数の共鳴器を配置した場合には、強い相互作用が働いて結合モードと反結合モードとの2つのモードに分離する現象が生じて、共鳴周波数の近傍の周波数に透過音のピークが2つ生じてしまう(図4参照)。
従って、通気スリーブ内で生じる第一共鳴の音に対する消音器として、共鳴型の消音器を用いる場合には、別の新たな透過音圧のピークを生成してしまうため、355Hz〜710Hz程度の低い周波数を消音することができない。
また、特許文献1、2、7に記載されるのは、外部で発生し、通気スリーブを通過する音を消音器(共鳴器)で消音することであり、通気スリーブ内で生じる第一共鳴の音を消音することは記載されていない。
また、特許文献6の音吸収装置は、壁面や天井などに設ける音吸収装置であり、壁に貫通して設けられる管状部材内に生じる音を消音するものではない。
また、特許文献3では、屋外側と屋内側とで換気口の位置が異なる消音容器を通気スリーブの端部に設置する構成であるため、全体としての流路長が長くなり通気性が低下するという問題があった。また、巨大な消音容器を配置する構成であるため、狭い空間には設置が難しいという問題があった。また、巨大な消音容器を配置する構成とした場合には、新たな共鳴ピークが生成されると推定される。巨大な消音容器を配置すると、音波伝搬距離が長くなり、全ての共鳴モードが低周波化するため355Hz〜710Hzの周波数帯に高次の共鳴モードが発生してしまう。
また、特許文献8に記載の消音体は、吸音材を用いて消音を行うものであるが、吸音材が配置される空間の長さが気流流路(通気スリーブ)と同じ長さであるため、通気スリーブの第一共鳴と同じ周波数で共鳴が生じるおそれがある。
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解消し、355Hz〜710Hz程度の低い周波数を消音することができ、高い通気性と防音性能を両立することができ、また、風切り音の発生を抑制でき、また、通気スリーブに合わせた設計が不要で汎用性の高い防音システムを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、壁を貫通して設置された通気スリーブに、消音器が配置された防音システムであって、消音器は、通気スリーブの外周部に形成された空洞部、および、空洞部と通気スリーブとを連通する開口部を有するケース部と、ケース部の空洞部内の少なくとも一部に、または、ケース部の開口部の少なくとも一部を覆う位置に配置される多孔質吸音材と、を有し、消音器の開口部は、防音システム内における通気スリーブの音場空間に接続されており、消音器を配置しない状態の通気スリーブが第一共鳴する音波の周波数をF1、波長をλとし、周波数F1における消音器内の実効音響伝搬長をαとすると、−1.8<log10(α/λ)<1.3を満たすことにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、以下の構成により上記課題を解決することができることを見出した。
[1] 壁を貫通して設置された通気スリーブに、消音器が配置された防音システムであって、
消音器は、通気スリーブの外周部に形成された空洞部、および、空洞部と通気スリーブとを連通する開口部を有するケース部と、ケース部の空洞部内の少なくとも一部に、または、ケース部の開口部の少なくとも一部を覆う位置に配置される多孔質吸音材と、を有し、
消音器の開口部は、防音システム内における通気スリーブの音場空間に接続されており、
消音器を配置しない状態の通気スリーブが第一共鳴する音波の周波数をF1、波長をλとし、周波数F1における消音器内の実効音響伝搬長をαとすると、
−1.8<log10(α/λ)<1.3
を満たす防音システム。
[2〕 実効音響伝搬長αが、
−1.2<log10(α/λ)<1.0
を満たす[1〕に記載の防音システム。
[3] 通気スリーブ内に生じる第一共鳴の周波数をF0とし、消音器の共鳴周波数をF1とすると、0.85×F0<F1<1.15×F0を満たす消音器を有さない[1]または[2]に記載の防音システム。
[4] 壁は室外と室内とを区切る壁であり、
壁の室内側に壁に平行に設けられた化粧板を有し、
通気スリーブは壁および化粧板を貫通するように設けられており、
消音器は、壁と、化粧板との間に配置されている[1]〜[3]のいずれかに記載の防音システム。
[5] 壁と化粧板との間の空間を含む、壁と化粧板との合計厚みが、175mm〜400mmである[4]に記載の防音システム。
[6] 多孔質吸音材の流れ抵抗σ1[Pa・s/m2]は、
0<log(σ1)<5.5
を満たす[1]〜[5]のいずれかに記載の防音システム。
[7] ケース部の空洞部の幅L1は、
0.01×λ≦L1≦300mm
を満たす[1]〜[6]のいずれかに記載の防音システム。
[8] ケース部の空洞部の深さL2は、
0.025×λmm≦L2≦175mm
を満たす[1]〜[7]のいずれかに記載の防音システム。
[9] 通気スリーブの平均内径が70mm〜160mmである[1]〜[8]のいずれかに記載の防音システム。
[10] 通気スリーブの端部に設置されるカバー部材を有する[1]〜[9]のいずれかに記載の防音システム。
[11] 通気スリーブの端部に設置される風量調整部材を有する[1]〜[10]のいずれかに記載の防音システム。
本発明によれば、355Hz〜710Hz程度の低い周波数を消音することができ、高い通気性と防音性能を両立することができ、また、風切り音の発生を抑制でき、また、通気スリーブに合わせた設計が不要で汎用性の高い防音システムを提供することができる。
本発明の防音システムの一例を概念的に示す断面図である。 図1のB−B線断面図である。 シミュレーションの方法を説明するための図である。 周波数と透過音圧強度との関係を表すグラフである。 比較例の計算モデルの評価方法を説明するための概念図である。 図6のD−D線断面図である。 周波数と透過音圧強度との関係を表すグラフである。 比較例の構成を説明するための模式的な側面図である。 周波数と透過音圧強度との関係を表すグラフである。 流れ抵抗とlog(α/λ)との関係を表すグラフである。 周波数とlog(α/λ)との関係を表すグラフである。 周波数と透過音圧強度との関係を表すグラフである。 log(α/λ)と透過音圧強度との関係を表すグラフである。 log(α/λ)と透過音圧強度との関係を表すグラフである。 周波数と空洞部の深さL2と透過音圧強度との関係を表すグラフである。 周波数と空洞部の深さL2と透過音圧強度との関係を表すグラフである。 周波数と流れ抵抗と透過音圧強度との関係を表すグラフである。 周波数と透過音圧強度との関係を表すグラフである。 流れ抵抗と透過音圧強度の最大値との関係を表すグラフである。 1/λとL2/λと500Hzバンドの透過損失との関係を表すグラフである。 1/λと500Hzバンドの透過損失との関係を表すグラフである。 2/λと500Hzバンドの透過損失との関係を表すグラフである。 本発明の防音システムの他の一例を概念的に示す断面図である。 図23のC−C線断面図である。 本発明の防音システムの他の一例を概念的に示す断面図である。 図25のE−E線断面図である。 実施例における透過音圧の測定方法を説明するための図である。 周波数と透過音圧強度との関係を表すグラフである。 空洞部の深さL2と500Hzバンドの透過損失との関係を表すグラフである。 1/λとL2/λと透過損失との関係を表すグラフである。 本発明の防音システムの他の一例を概念的に示す断面図である。 本発明の防音システムの他の一例を概念的に示す断面図である。 本発明の防音システムの他の一例を概念的に示す断面図である。 本発明の防音システムの他の一例を概念的に示す断面図である。 本発明の防音システムの他の一例を概念的に示す断面図である。 通気スリーブ周辺の位置と音圧レベルとの関係をシミュレーションした結果を模式的に表す図である。 開口端中央からの距離と音圧レベルとの関係を表すグラフである。 周波数と透過音圧強度との関係を表すグラフである。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、「直交」および「平行」とは、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、「直交」および「平行」とは、厳密な直交あるいは平行に対して±10°未満の範囲内であることなどを意味し、厳密な直交あるいは平行に対しての誤差は、5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましい。
本明細書において、「同一」、「同じ」は、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。また、本明細書において、「全部」、「いずれも」または「全面」などというとき、100%である場合のほか、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含み、例えば99%以上、95%以上、または90%以上である場合を含むものとする。
[防音システム]
本発明の防音システムの構成について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の防音システムの好適な実施態様の一例を示す模式的な断面図である。図2は、図1のB−B線断面図である。
図1に示すように、防音システム10は、2つの空間を隔てる壁16を貫通して設けられる、円筒状の通気スリーブ12の外周部に消音器22が配置された構成を有する。消音器22は、通気スリーブ12内で第一共鳴する音波の周波数を含む周波数の音を消音するものである。
図1に示す例では、防音システム10は、壁16と、壁16から所定距離離間して、壁16に平行に設けられた化粧板40と、壁16および化粧板40を貫通する通気スリーブ12と、壁16と化粧板40の間の空間の通気スリーブ12の外周部に配置される消音器22とを有する。
通気スリーブ12は、例えば、換気口および空調用ダクト等の通気スリーブである。
なお、通気スリーブ12は、換気口および空調用ダクト等に限定はされず、各種機器に用いられる一般的なダクトであってもよい。
中でも、マンションのような住宅の壁は、例えば、コンクリート壁、石膏ボード、断熱材、化粧板、および、壁紙等を有して構成されており、これらを貫通して通気スリーブが設けられている。本発明の防音システムは、このような壁の通気スリーブに好適に適用することができる。図1に示す例では、本発明における壁16はコンクリート壁に相当する。
なお、通気スリーブの断面形状は円形状に限定はされず、四角形状、三角形状等の種々の形状であってもよい。また、通気スリーブの中心軸の軸方向において、通気スリーブの断面形状は一定でなくてもよい。すなわち、軸方向において、通気スリーブの直径が変化していてもよい。
また、住宅用の通気スリーブの場合には、通気スリーブの直径(円相当直径)は70mm〜160mm程度である。また、軸方向において、通気スリーブの直径が変化する場合には、通気スリーブの平均内径(加重平均)が70mm〜160mm程度であればよい。
なお、通気スリーブの内径は、分解能を1mmとして測定する。スリーブの断面形状が、円形ではない場合は、その面積を円相当面積として直径に換算して内径を求める。1mm未満の凹凸等の微細構造を有する場合には、これを平均化する。
消音器22は、空洞部30、および、空洞部30と通気スリーブ12内とを連通する開口部32を有するケース部26、ならびに、ケース部26の空洞部30内に配置される多孔質吸音材24を有する。
図1および図2に示すように、ケース部26は、通気スリーブ12の外周部の周方向の全周に開口部32および空洞部30を有する。すなわち、防音システム10では、通気スリーブ12の軸方向において、消音器22の位置で通気スリーブ12の直径よりも大きな径となっている。
ケース部26の開口部32が通気スリーブ12内と連通することによって、防音システム10における通気スリーブ12内に生じる第一共鳴の音場空間に開口部32が接続している。
なお、通気スリーブ12の第一共鳴の音場空間は、通気スリーブ12内、および、通気スリーブ12の開口端からしみ出る音響近接場の領域である。開口端からしみ出る音響近接場の領域は、通気スリーブ12の開口端中央の音圧レベルより20dB小さい音圧レベルの領域までとする。音響近接場の領域は、通気スリーブの断面積からシミュレーションにより求めることができる。図36は、通気スリーブ12内で共鳴が生じている状態における、通気スリーブ12内およびその周辺の空間の音圧レベルのシミュレーション結果を模式的に表す図である。図36に示すように、通気スリーブの開口端の外側でも音圧レベルが高い空間が存在する。この音圧レベルが高い空間が音響近接場の領域である。図37に示すように、この音圧レベルは開口端中央位置からの距離に依存している。従って、上記のとおり、通気スリーブ12の開口端中央の音圧レベルより20dB小さい音圧レベルの領域までを音響近接場の領域(音場空間)とする。
ここで、図2に示す例では、消音器22のケース部26(空洞部30)は通気スリーブ12の外周面の全周に沿った略環状としたが、これに限定はされず、空洞部を有する各種の立体形状であればよい。例えば、半環形状であってもよいし、後述する図6に示すような、直方体形状であってもよい。
多孔質吸音材24は、ケース部26の空洞部30内の全体に配置されている。従って、多孔質吸音材24は、円環形状である。
周知のとおり、多孔質吸音材は、内部を通過する音の音エネルギーを熱エネルギーに変換することで吸音するものである。
多孔質吸音材24としては、特に限定はなく、従来公知の吸音材が適宜利用可能である。例えば、発泡ウレタン、軟質ウレタンフォーム、木材、セラミックス粒子焼結材、フェノールフォーム等の発泡材料および微小な空気を含む材料;グラスウール、ロックウール、マイクロファイバー(3M社製シンサレートなど)、フロアマット、絨毯、メルトブローン不織布、金属不織布、ポリエステル不織布、金属ウール、フェルト、インシュレーションボードおよびガラス不織布等のファイバーおよび不織布類材料;木毛セメント板;シリカナノファイバーなどのナノファイバー系材料;石膏ボード;種々の公知の吸音材が利用可能である。
なお、図1および図2に示す例では、多孔質吸音材24はケース部26の空洞部30内の全体に配置される構成としたが、これに限定はされず、空洞部30内の少なくとも一部に配置される構成とすればよい。あるいは、多孔質吸音材24は消音器22の開口部32の少なくとも一部を覆うように配置される構成としてもよい。
ここで、本発明の防音システムは、通気スリーブが第一共鳴する音波の周波数をF1、波長をλとし、消音器内の周波数F1における実効音響伝搬長をαとすると、
−1.8<log10(α/λ)<1.3
を満たす。
なお、上記式において、logは常用対数である。
また、周波数F1における消音器内の実効音響伝搬長とは、多孔質吸音材が配置された状態で空洞部内を周波数F1の音が伝搬すると考えた場合の実効音響伝搬長である。
多孔質吸音材内における実効音響伝搬長α0は、
α0=1/Re[γ]
で求められる。ただし、γは伝搬定数である。また、Re[γ]は、伝搬定数の実部を意味する。
音響材料の伝搬定数は、音響管と2本のマイクを用いた伝達関数法による測定を行うことで求めることができる。この手法はJIS A1405-2、ISO 10534-2、ASTM E 1050の規格に従うものである。
音響管としては、例えば日東紡音響エンジニアリング株式会社製のWinZacと同一の測定原理であるものを用いることができる。この方法で広いスペクトル帯域において伝搬定数を測定することができる。
消音器内の実効音響伝搬長αは、多孔質吸音材がケース部の空洞部内全体に充填される場合は、多孔質吸音材の実効音響伝搬長α0と一致する。また、多孔質吸音材がケース部の空洞部内の一部に充填される場合は、多孔質吸音材の実効音響伝搬長α0と多孔質吸音材が配置されていない空間の長さとの合計が消音器内の実効音響伝搬長αとなる。なお、以下の説明においては、基本的に多孔質吸音材がケース部の空洞部内全体に充填される構成として説明を行なっている。従って、多孔質吸音材の実効音響伝搬長α0と消音器内の実効音響伝搬長αとを区別せずに説明する場合がある。
ここで、本発明において、消音器22は、通気スリーブ12が第一共鳴する音波の周波数の音に対して気柱共鳴、ヘルムホルツ共鳴、および、膜振動による共鳴をしないものである。
周知のとおり、気柱共鳴器は、剛体で囲まれた空洞部、および、空洞部と外部と連通する開口部を有し、音波の波長をλとすると、空洞部の長さが(2n+1)×λ/4+(開口端補正長)の長さの場合にこの音波に対して共鳴する共鳴体である。
ヘルムホルツ共鳴器は、剛体で囲まれた空洞部、および、空洞部と外部とを連通する開口部を有し、空洞部の空気をバネ定数kのバネとし、開口部に位置する空気を質量mの重りとして、(1/(2π))×(k/m)0.5の周波数で共鳴を起こす共鳴体である。
膜型共鳴器は、膜、および、膜の一部を振動可能に支持する枠を有し、膜の、枠に固定された部分を節として膜が振動する共鳴体である。
本発明における消音器22は、通気スリーブ12が第一共鳴する音波の周波数の音に対して、上記の気柱共鳴、ヘルムホルツ共鳴、および、膜型共鳴をしない構成を有する。なお、以下の説明においては、消音器が、通気スリーブ12が第一共鳴する音波の周波数の音に対して、気柱共鳴、ヘルムホルツ共鳴、および、膜型共鳴をしないことをまとめて、単に「消音器が共鳴しない」ともいう。
気柱共鳴しない観点から、通気スリーブ12の軸方向(以下、単に軸方向ともいう)における消音器22の空洞部30の幅をL1とし、通気スリーブ12の径方向(以下、単に径方向ともいう)における消音器22の空洞部30の深さをL2とし、消音器を配置しない状態の防音システム10において通気スリーブ12内に生じる第一共鳴の共鳴周波数における音波の波長をλとすると、消音器22の空洞部30の幅L1は、
1<0.5×λ
を満たし、消音器22の空洞部30の深さL2は、
2<0.25×λ
を満たす。すなわち、空洞部30の幅L1は、λ/2よりも小さく、また、空洞部30の深さL2は、λ/4よりも小さい。従って、消音器22は、気柱共鳴によって消音するものではない。
なお、位置によって空洞部30の深さが異なる場合には、空洞部30の深さL2は、各位置での深さの平均値である。
また、位置によって開口部32の幅が異なる場合には、開口部32の幅Lは、各位置での幅の平均値である。
なお、幅L1、深さL2は分解能を1mmとして測定すればよい。すなわち、1mm未満の凹凸等の微細構造を有する場合には、これを平均化して幅L1、深さL2を求めればよい。
ヘルムホルツ共鳴については、複雑で無数の構造や組み合わせが可能であり、例えば、空洞部の体積をそれぞれ同一としても、空洞部内の構造を変えることによって異なる共鳴周波数とすることができる。そのため、通気スリーブが第一共鳴する音波の周波数でヘルムホルツ共鳴しない構造を規定することは困難である。しかしながら、シミュレーションによって、ある構造の消音器がヘルムホルツ共鳴する周波数を求めることができるため、通気スリーブが第一共鳴する音波の周波数でヘルムホルツ共鳴するか否かを容易に判別することができる。
また、後述するように、本発明における共鳴器22は、開口部32を覆う防風用フィルム44を有する構成であってもよい。防風用フィルム44を有する構成の場合には、防風用フィルム44が膜として膜振動可能な状態で消音器22に支持される構成となる。しかしながら、本発明においては、防風用フィルム44を有する構成であっても、通気スリーブ12が第一共鳴する音波の周波数の音に対して膜振動による共鳴をしない。
防風用フィルム44を有する場合に、通気スリーブ12が第一共鳴する音波の周波数の音に対して膜振動による共鳴をしない構成とするためには、消音器22の開口部32の大きさ、空洞部30の体積等に応じて、防風用フィルム44の材質、厚み等を適宜設定すればよい。
ここで、住宅用の壁の厚みは、すなわち、コンクリート壁と化粧板との間の空間を含む、コンクリート壁と化粧板との合計厚み(以下、壁と化粧板との合計厚みともいう)は、175mm〜400mm程度である。従って、通気スリーブの長さは175mm〜400mmである。この範囲の長さの通気スリーブで生じる共鳴の第一共鳴周波数は、355Hz〜710Hz(以下、500Hzバンドともいう)程度である。
500Hzバンドの低い周波数帯の音を、ウレタン、ポリエチレン等からなる多孔質吸音材で吸音するためには、体積を大きくするが必要であるが、通気性を確保する必要があるため、高い通気性と防音性能とを両立することが難しいという問題があった。
また、共鳴型の消音器を用いることも提案されているが、気柱共鳴型の消音器では、少なくとも共鳴周波数の波長の1/4の長さが必要となり巨大化する。また、ヘルムホルツ共鳴型の消音器においても、低周波になるほど空気ばねとなる空洞部を大きくする必要があり巨大化する傾向にある。従って、共鳴型の消音器を用いて、355Hz〜710Hz程度の低い周波数を消音する場合には、実用性が低くなるという問題があった。
また、本発明者らの検討によると、共鳴型の消音器では、共鳴器の開口部で発生した風切り音が共鳴器によって増幅されてしまい、新たな騒音源となってしまうことがわかった。これは共鳴器では、入射音に対する位相反転による反射防音の寄与があるが、内部で発生した風切り音に対しては入射方向が定義できず、通気スリーブの両方向へ音を伝搬させてしまうためである。
また、共鳴型の消音器は、特定の周波数(周波数帯域)の音を選択的に消音するものである。そのため、通気スリーブの共鳴周波数に合わせた設計が必要となり、汎用性が低いという問題があった。
さらに、本発明者らの検討によれば、通気スリーブ内で第一共鳴している場合に、この第一共鳴の周波数と同じ共鳴周波数を有する共鳴器を通気スリーブ内に配置すると、第一共鳴の周波数よりも低い周波数と、高い周波数との2つの周波数に透過音のピークが生じることがわかった。
共鳴が生じていない音場空間(非共鳴場(自由空間))に共鳴器を配置した場合には、共鳴器の共鳴周波数で強い消音を行うことができる(図38参照)。
これに対して、共鳴が生じている音場空間(共鳴場)に、共鳴場の共鳴周波数と同じ共鳴周波数の共鳴器を配置した場合には、強い相互作用が働いて結合モードと反結合モードとの2つのモードに分離する現象が生じて、共鳴周波数の近傍の周波数に透過音のピークが2つ生じてしまう(図4参照)。
従って、通気スリーブ内で生じる第一共鳴の音に対する消音器として、共鳴型の消音器を用いる場合には、別の新たな透過音圧のピークを生成してしまうため、355Hz〜710Hz程度の低い周波数を消音することができない。
この点は後にシミュレーション結果を用いて説明する。
これに対して、本発明の防音システムは、消音器が、通気スリーブの外周部に形成された空洞部および空洞部と通気スリーブとを連通する開口部を有するケース部と、ケース部の空洞部内の少なくとも一部に、または、ケース部の開口部の少なくとも一部を覆う位置に配置される多孔質吸音材とを有し、消音器の開口部は、防音システム内における通気スリーブの音場空間に接続されており、通気スリーブが第一共鳴する音波の周波数をF1、波長をλとし、周波数F1における消音器内の実効音響伝搬長をαとすると、−1.8<log10(α/λ)<1.3を満たす構成とする。本発明の防音システムは、このような構成とすることで、消音器内を伝搬する音波の実効音響伝搬長を短くして、消音器内で共鳴が生じるのを抑制しつつ、多孔質吸音材で吸音することで、500Hzバンドの低い周波数の騒音を消音することができる。
また、この消音の原理は消音器の共鳴は用いないので、空洞部30の幅L1および深さL2が通気スリーブ12の第一共鳴の共鳴周波数における波長λの1/4よりも小さくても、高い防音性能を発現することができる。従って、消音器22を小型化して通気スリーブ12の通気性を維持しつつ、高い防音性能を得ることができる。
また、この消音の原理は消音器の共鳴は用いないので、防音性能の波長依存性が小さく、通気スリーブ12の長さおよび形状等が異なる場合でも、防音性能を発現することができ、通気スリーブ12に合わせた設計が不要であり汎用性が高い。
また、この消音の原理は共鳴を利用しないので、風切り音を増幅することがない。
なお、壁と化粧板との合計厚みは、壁の外側の端から化粧板の室内側の端までの厚みを、分解能を1mmとして測定する。すなわち、1mm未満の凹凸等の微細構造を有する場合には、これを平均化して厚みを求めればよい。
以下、本発明の防音システムの作用について、シミュレーションを用いて説明する。
シミュレーションは、有限要素法計算ソフトCOMSOL ver5.3(COMSOL社)の音響モジュールを用いた。
図3に示すように、シミュレーションにおいて通気スリーブの直径は100mmとし、壁の厚みは100mmとし、化粧板の厚みは10mmとし、壁と化粧板との間の距離は140mmとした。すなわち、壁と化粧板との合計厚みは、250mmとした。
このようなシミュレーションモデルを用いて、図3に示すように、壁で仕切られた一方の空間の半球状の面から音波を入射させ、他方の空間の半球状の面に到達する音波の単位体積あたりの振幅を求めた。半球状の面は、通気スリーブの開口面の中心位置を中心とした半径500mmの半球状の面である。入射させる音波は単位体積あたりの振幅を1とした。
また、音波検出面側の通気スリーブの端面から32mmの位置には、レジスター(直径102mm)の蓋が配置されるものとしてモデル化した。
まず、リファレンスとして、消音器を配置しない場合(以下、ストレート管の場合ともいう)について計算を行なった。
図4に、シミュレーションの結果を、周波数と透過音圧強度との関係のグラフとして示す。
図4から、消音器を配置しない場合(ストレート管の場合)の通気スリーブ12の第一共鳴の周波数F1は、515Hz程度であることがわかる。
次に、共鳴周波数が515Hz程度となる気柱共鳴型の消音器を設計した。
図5および図6に示すように、長さ1000mm、直径100mmの音響管の外周部に気柱共鳴型の消音器が接続されたモデルを作成して、気柱共鳴型消音器の基本的な音響特性を評価した。音響管の一方の端面から平面波を入射させ他方の端面に到達する音波の単位体積あたりの振幅を求めた。入射させる音波は単位体積あたりの振幅を1とした。検出面上における音圧振幅の積分値を、入射面上における音圧振幅の積分値で割った値を2乗したものを、透過音圧強度とした。
気柱共鳴型消音器の長手方向の一方の面が開口して音響管に接続されている。また、音響管の軸方向における、気柱共鳴型消音器の位置は略中央位置とした。
気柱共鳴型消音器は、断面の大きさが45mm×45mmの直方体形状とし、長さを種々変更して、周波数と透過音圧強度との関係を計算して共鳴周波数を求めた。その結果、図7に計算例1として示すように、長さ150mmで共鳴周波数が515Hz程度となることがわかった。
次に、図8に示すように、この気柱共鳴型消音器を有する消音器をモデル化して、通気スリーブに接続したモデルを作成し、上記と同様に、壁で仕切られた一方の空間の半球状の面から音波を入射させ、他方の空間の半球状の面に到達する音波の単位体積あたりの振幅を求めた。すなわち、共鳴が生じている音場空間(共鳴場)に、共鳴場の共鳴周波数と同じ共鳴周波数の共鳴器を配置した場合のシミュレーションを行った。図8の気柱共鳴型消音器の位置での断面図は図6と同様である。
図6および図8に示すように、気柱共鳴型の消音器のモデルは、45mm×45mmの角柱状で長さ(深さ)が150mmの気柱共鳴管を側面に2つ有し、通気スリーブと同じ直径(100mm)の管状の消音器を通気スリーブの端部に配置する構成とした。通気スリーブの軸方向の長さは130mm、消音器の管状部の軸方向の長さは120mmとした。気柱共鳴管の軸方向の位置は通気スリーブ側の端面から5mmの位置とした。
図4に、シミュレーションの結果を、周波数と透過音圧強度との関係のグラフとして示す(比較例1)。また、図9に、実験の結果を、周波数と透過音圧強度との関係のグラフとして示す。
実験は、上述した形状及び寸法の消音器を厚み5mmアクリル板を用いて作製し、後述する簡易小型防音室を用いて、実施例と同様の方法で周波数と透過音圧強度との関係を測定した。
図4および図9に比較例1として示すように、共鳴型の消音器を通気スリーブに配置した場合には、共鳴型の消音器を配置しない場合(リファレンス)の通気スリーブの第一共鳴周波数の両側に、透過音圧強度のピークが生じていることがわかる。すなわち、共鳴型の消音器を配置しない場合の第一共鳴周波数よりも低い周波数と、高い周波数との2つの周波数にピークが生じている。これは、共鳴を生じる通気スリーブの音場空間内に、共鳴型の消音器を配置することで、強い相互作用が働いて結合モードと反結合モードとの2つのモードに分離する現象によるものである。
その結果、通気スリーブの第一共鳴周波数の音は消音できるものの、新たに生じた2つのピークの周波数は、500Hzバンド内に存在する。
このように、通気スリーブに対する消音器として、共鳴型の消音器を用いる場合には、別の新たな透過音圧強度のピークを生成してしまうため、500Hzバンドの音を十分に消音することはできない。
ここで、共鳴型の消音器を1次元の自由空間に配置した場合のシミュレーションを行なった。すなわち、無限に長いダクト内を平面波が1方向に伝搬し、共鳴が生じていない音場空間(非共鳴場(自由空間))に共鳴器を配置した場合についてシミュレーションを行った。
音源は500Hzおよび1000Hz付近で音圧がピークとなる音を発生するものとして、500Hz付近の周波数で共鳴する共鳴器を配置した場合の透過音圧を算出した。共鳴器は図6および図8に示す共鳴型の消音器のモデルとした。
結果を図38に示す。また、図38には共鳴器を配置しない場合のシミュレーション結果も示す。
図38から、共鳴器を非共鳴場に配置した場合には、共鳴器の共鳴周波数の音圧を低減でき、また、他の周波数に新たなピークが発生しないことがわかる。
以上の結果から、共鳴器を用いて消音を行う場合、共鳴が生じていない非共鳴場であれば、共鳴器を用いて特定音の消音を適切に行うことが可能であるが、通気スリーブのように、共鳴が生じている共鳴場では、共鳴周波数の近傍の周波数に、別の新たな透過音圧のピークを生成してしまうため適切な消音することができないことがわかる。
次に、上記気柱共鳴型消音器と同じサイズのケース部と、ケース部内に配置される多孔質吸音材とを有する消音器を通気スリーブの外周面に接続した構成をモデル化して、周波数F1における消音器内の実効音響伝搬長を種々変更して上記と同様にして計算を行なった。
なお、シミュレーションにおいて、周波数F1における消音器内の実効音響伝搬長は、多孔質吸音材の流れ抵抗を調整することで変更した。実効音響伝搬長α0と流れ抵抗σとの関係は、

である。
なお、cは空気中の音波の速度である。
一例として、周波数F1が515Hzの場合の、流れ抵抗σとlog10(α/λ)との関係を表すグラフを図10に示す。流れ抵抗σが12[Pa・s/m2]であると、log10(α/λ)が1となり、流れ抵抗が512[Pa・s/m2]であるとlog10(α/λ)が0となり、流れ抵抗が21000[Pa・s/m2]であるとlog(α/λ)が−1となる。
図11に、シミュレーションの結果を、周波数と、実効音響伝搬長α/第一共鳴の波長λのlog値(グラフでは「log(α/λ)」と記載する)と、透過音圧強度との関係のグラフとして示す。また、図12には、実効音響伝搬長α/第一共鳴の波長λのlog値が−0.44の場合(実施例1とする)の、周波数と透過音圧強度との関係を表すグラフを示す。実施例1は、流れ抵抗が2560[Pa・s/m2]、実効音響伝搬長が249mmである。
図11から、消音器内の実効音響伝搬長が短い範囲(log(α/λ)が小さい範囲)では、通気スリーブの第一共鳴の周波数F1で透過音圧強度が高くなっていることがわかる。また、消音器内の実効音響伝搬長が長い範囲(log(α/λ)が大きい範囲)では、通気スリーブの第一共鳴の周波数F1よりも小さい周波数と大きい周波数で透過音圧強度が高くなっていることがわかる。
消音器内の実効音響伝搬長が短い範囲では、消音器内での共鳴が生じないため、通気スリーブの第一共鳴の影響によって、周波数F1のみに透過音圧強度のピークが発生するものである。一方、消音器内の実効音響伝搬長が長い範囲では、消音器内での共鳴が生じるため、通気スリーブの共鳴と消音器の共鳴との相互作用によって2つのモードに分離する。そのため、2つの透過音圧強度のピークが発生する。
ここで、図13に、周波数515Hzにおける、実効音響伝搬長α/第一共鳴の波長λのlog値(log(α/λ))と、透過音圧強度との関係をグラフとして示す。また、図14に、周波数345Hzにおける、実効音響伝搬長α/第一共鳴の波長λのlog値(log(α/λ))と、透過音圧強度との関係のグラフとして示す。すなわち、図13は、図11の周波数515Hzの断面であり、図14は、図11の周波数345Hzの断面である。
図13から、実効音響伝搬長が短くなりすぎると515Hzでの、すなわち、通気スリーブの第一共鳴の周波数近傍における透過音圧強度が高くなることがわかる。これは、実効音響伝搬長が短くなりすぎると、多孔質吸音材の流れ抵抗が小さくなるため、多孔質吸音材による吸音の効果が低下するためである。図13からlog(α/λ)は、−1.8より大きい必要がある。
図14から、実効音響伝搬長が長くなりすぎると345Hzでの透過音圧強度が高くなることがわかる。これは、実効音響伝搬長が長くなりすぎる場合は、消音器内で共鳴が発生して、通気スリーブの共鳴との相互作用が生じてしまうためである。図14からlog(λ/α)は、1.3未満である必要がある。
防音性能の観点から、−1.2≦log(α/λ)≦1.0が好ましく、−1.0≦log(α/λ)≦0.7がより好ましく、−0.7≦log(α/λ)≦0.5がさらに好ましく、−0.7≦log(α/λ)≦0.12が特に好ましい。
多孔質吸音材24の厚みは空洞部30内あるいは開口部近傍に配置可能であれば限定はない。吸音性能等の観点から、多孔質吸音材24の厚みは0.01mm〜500mmが好ましく、0.1mm〜100mmがより好ましい。
多孔質吸音材24は、単位厚さ当たりの流れ抵抗σ1[Pa・s/m2]が、0<log(σ1)<5.5を満たすことが好ましく、2<log(σ1)<5.2を満たすことがより好ましく、3<log(σ1)<5.0を満たすことがさらに好ましい。
なお、上記式において、logは常用対数である。多孔質吸音材の流れ抵抗は、1cm厚の多孔質吸音材の垂直入射吸音率を測定し、Mikiモデル(J. Acoust. Soc. Jpn., 11(1) pp.19−24 (1990))でフィッティングすることで評価することができる。または「ISO 9053」に従って評価してもよい。
以下、多孔質吸音材の流れ抵抗について、シミュレーション結果を用いて詳細に説明する。
図3に示すシミュレーションモデルにおいて、消音器のケース部は、通気スリーブの全周に形成されているものとした。通気スリーブの軸方向における空洞部の幅L1は106mmとした。空洞部内の流れ抵抗200[Pa・s/m2]として多孔質吸音材をモデル化した場合と、10000[Pa・s/m2]として多孔質吸音材をモデル化した場合とで、計算を行なった。
図15に、流れ抵抗200[Pa・s/m2]の場合のシミュレーション結果を、周波数と空洞部の深さL2と透過音圧強度との関係を表すグラフとして示す。また、図16に、流れ抵抗10000[Pa・s/m2]の場合のシミュレーション結果を、周波数と空洞部の深さL2と透過音圧強度との関係を表すグラフとして示す。
図15および図16の対比から、多孔質吸音材の流れ抵抗が大きいほど透過音圧強度が低くなっていることがわかる。
次に、ケース部の空洞部の幅L1を110mmとし、深さL2を50mmとし、空洞部内の流れ抵抗を種々変更してシミュレーションを行った。
図17に、シミュレーションの結果を、周波数と流れ抵抗のlog値と透過音圧強度との関係のグラフとして示す。
また、図18には、空洞部内の流れ抵抗のlog値が1の場合、3.4の場合、および、5.8の場合の、周波数と透過音圧強度との関係を表すグラフを示す。
また、図19には、流れ抵抗のlog値と、500Hzバンド内における透過音圧強度の最大値との関係を表すグラフを示す。
図17〜図19から、流れ抵抗が低い領域では、空洞部内の流れ抵抗を大きくするほど、透過音圧強度が低くなることがわかる。一方で、流れ抵抗を大きくしすぎると、音が多孔質吸音材内に、すなわち、消音器の空洞部内に浸入することができなくなり、ストレート管に近づくため、500Hzバンドにある、ストレート管の第一共鳴のピークが発生することがわかる。
図19から、流れ抵抗のlog値(log(σ1))は、5.5未満が好ましく、5.2未満がより好ましく、5.0未満がさらに好ましいことがわかる。
ここで、通気スリーブ12内に生じる第一共鳴の周波数をF0とし、多孔質吸音材を有さない消音器22、すなわち、空洞部30と開口部32とを有するケース部26内に生じる共鳴周波数をF1とすると、1.15×F0<F1を満たすことが好ましい。通気スリーブ12内に生じる第一共鳴の周波数F0と、ケース部26の共鳴周波数F1との関係を上記範囲とすることで、ケース部26の共鳴周波数F1において通気スリーブ12内に生じる第一共鳴の透過音圧強度がピーク値に対して25%以下となるため、通気スリーブ12内に生じる第一共鳴と消音器の共鳴との相互作用が小さくなる。
ケース部26の共鳴周波数F1において通気スリーブ12内に生じる第一共鳴の透過音圧強度をより小さくして相互作用をより小さくできる観点から、通気スリーブ12内に生じる第一共鳴の周波数F0と、ケース部26の共鳴周波数F1は、1.17×F0<F1を満たすことが好ましく、1.22×F0<F1を満たすことがより好ましく、1.34×F0<F1を満たすことがさらに好ましい。上記条件を満たすことで、ケース部26の共鳴周波数F1において通気スリーブ12内に生じる第一共鳴の透過音圧強度がピーク値に対して20%以下、15%以下、10%以下となる。
本発明の防音システムは、1.15×F0<F1を満たす消音器、すなわち、通気スリーブに生じる第一共鳴の周波数に対して共鳴しない消音器のみを有することが好ましい。すなわち、本発明の防音システムにおいては、複数の消音器を有する場合でも、全ての消音器が1.15×F0<F1を満たすことが好ましい。
言い換えると、本発明の防音システムは、0.85×F0<F1<1.15×F0を満たす消音器、すなわち、通気スリーブに生じる第一共鳴の周波数に対して共鳴する消音器を有さないことが好ましい。より好ましくは、本発明の防音システムは、0.75×F0<F1<1.34×F0を満たす消音器を有さない。
ここで、防音性能の観点から、通気スリーブの軸方向における、消音器22のケース部26の空洞部30の幅L1は、0.01×λ≦L1≦300mmを満たすのが好ましい。また、通気スリーブの径方向における、空洞部30の深さL2は、0.025×λmm≦L2≦175mmを満たすのが好ましい。
なお、位置によって空洞部30の深さが異なる場合には、空洞部30の深さLは、各位置での深さの平均値である。
また、位置によって開口部32の幅が異なる場合には、開口部32の幅Lは、各位置での幅の平均値である。
なお、幅L1、深さL2は分解能を1mmとして測定すればよい。すなわち、1mm未満の凹凸等の微細構造を有する場合には、これを平均化して幅L1、深さL2を求めればよい。
消音器22の空洞部30の幅L1および深さL2の範囲についてシミュレーションを用いて説明する。
図3に示すモデルと同様のモデルを用いて、消音器22の空洞部30の幅L1および深さL2を種々変更して計算を行なった。実効音響伝搬長α/第一共鳴の波長λのlog値は、−0.90とした。多孔質吸音材の流れ抵抗は13000[Pa・s/m2]とした。
図20に、シミュレーションの結果を、L1/λとL2/λと500Hzバンドの透過損失との関係のグラフとして示す。なお、500Hzバンドの透過損失は、355Hz以上710Hz以下の周波数での透過損失の平均値を求めたものである。
また、図21には、L2/λが0.24場合のL1/λと500Hzバンドの透過損失との関係を表すグラフを示し、図22には、L1/λが0.24の場合のL2/λと500Hzバンドの透過損失との関係を表すグラフを示す。
なお、500Hzバンドの透過損失TL500の算出方法は以下のとおりである。
355Hz〜710Hzの領域を1/24オクターブバンドの周波数間隔で透過音圧強度を計算し、足し算したものをΣIとすると、500バンドの透過損失TL500は、
TL500=10×log(ΣIref/ΣI)
で求めた。なお、ΣIrefは、ストレート管のΣIである。
図20および図21から、500Hzバンドにおいて3dB以上の十分な防音性能が得られる観点から、空洞部の幅L1は、0.010×λより大きいことが好ましいことが分かる。
また、500Hzバンドにおいてより高い防音性能が得られる観点から、空洞部30の幅L1は、0.020×λ以上であるのがより好ましく、0.030×λ以上であるのがより好ましく、0.040×λ以上であるのがさらに好ましい。
また、図20および図22から、500Hzバンドにおいて3dB以上の十分な防音性能が得られる観点から、空洞部の深さL2は、0.025×λより大きいことが好ましいことが分かる。
また、500Hzバンドにおいてより高い防音性能が得られる観点から、空洞部30の深さL2は、0.035×λ以上であるのがより好ましく、0.045×λ以上であるのがより好ましく、0.061×λ以上であるのがさらに好ましい。
また、住宅用の壁は、全体の厚み(コンクリート壁と化粧板との合計厚み)は最大で400mmであり、コンクリート壁が少なくとも100mmであるため、空洞部の幅L1は、住宅のコンクリート壁と化粧板との間の空間に配置可能な観点から、300mm以下であるのが好ましく、200mm以下であるのがより好ましく、120mm以下であるのがさらに好ましい。
一方、消音器は径方向において住宅の柱と柱の間に配置される。住宅の柱と柱の間は最大で450mm程度であり、通気スリーブは少なくとも100mm程度である。従って、空洞部の深さL2は、住宅の柱と柱の間の空間に配置可能な観点から、175mm以下(=(450mm−100mm)/2)であるのが好ましく、100mm以下であるのがより好ましく、75mm以下であるのがさらに好ましい。
ここで、図1に示す例では、消音器22は、開口部32の軸方向の長さ(以下、開口部の幅という)が空洞部30の幅L1と同じとしたが、これに限定はされず、開口部32の幅が空洞部の幅L2よりも小さい構成としてもよい。
また、図1に示す例では、防音システムは1つの消音器22を有する構成としたが、これに限定はされず、2以上の消音器22を通気スリーブ12の軸方向に配列した構成としてもよい。言い換えると、通気スリーブ12の軸方向の少なくとも2箇所以上の位置に、複数の消音器22の開口部32が配置される構成としてもよい。
また、複数の消音器を軸方向に配置する構成とする場合には、各消音器の開口部および空洞部等の寸法は互いに異なっていてもよい。
また、複数の消音器を軸方向に配置する構成とする場合には、各消音器の空洞部内に音響特性の異なる多孔質吸音材を配置する構成としてもよい。
また、吸音材は、その形状が空洞部の形状に合わせて成型されたものとするのが好ましい。吸音材の形状を空洞部の形状に合わせて成型されたものとすることで、吸音材を空洞部内に均一に充填するのが容易になり、コストダウンでき、メンテナンスを簡易化することが可能となる。
また、1つの空洞部に複数の吸音材を配置する構成としてもよい。
図31に示す防音システムは、消音器22の空洞部30内に3つの吸音材24a、24bおよび24cが配置されている。空洞部内において、吸音材24a〜24cは軸方向に積層されている。
空洞部内に複数の吸音材を配置する構成とすることで、製造の際に、吸音材を開口部から空洞部内に充填しやすくなり、また、メンテナンスの際に、吸音材を交換しやすくなる。
また、空洞部の形状に合わせて成型された吸音材が複数に分割されているのがより好ましい。
また、図32に示す防音システムのように、消音器22の開口部32が、音波は透過し、空気(風)は遮蔽する防風用フィルム44によって覆われているのが好ましい。
消音器22の空洞部30内に空気が流入可能な構成の場合には、直管の場合に比べて、消音システム全体としての圧力損失が大きくなる。そのため、通気量が少なくなってしまうおそれがある。これに対して、消音器22の開口部32を防風用フィルム44で覆う構成とすることで、防風用フィルム44が音波を透過するため、消音器22による消音の効果は得られ、かつ、防風用フィルム44が空気を遮蔽するため、空洞部30内に空気が流入するのを抑制して圧力損失を低減することができる。
防風用フィルム44は、非通気のフィルムであってもよく、通気性の低いフィルムであってもよい。
非通気の防風用フィルム44の材料としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などのアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリアミドイド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリブチレンテレフタラート、ポリイミド、トリアセチルセルロース等の樹脂材料、が利用可能である。
低通気性の防風用フィルム44の材料としては、上記樹脂からなる多孔質フィルム、多孔質金属箔(多孔質アルミニウム箔等)、不織布(レジンボンド不織布、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、ナノファイバー不織布)、織布、紙等が利用可能である。
なお、多孔質フィルム、多孔質金属箔、不織布、織布を用いた場合には、それらが有する貫通孔部によって吸音効果を得ることができる。すなわち、これらは音エネルギーを熱エネルギーに変換する変換機構としても機能する。
防風用フィルム44の厚みは、材質にもよるが、1μm〜500μmが好ましく、3μm〜300μmがより好ましく、5μm〜100μmがより好ましい。
また、消音器22の開口部32を覆う防風用フィルム44は、消音器22の内部(空洞部30内)に水および/または埃が浸入するのを防止するカバーとしても機能する。防風用フィルム44を水の浸入を抑制する防水カバーとして用いる場合には、防風用フィルム44に撥水処理を施すのが好ましい。
なお、前述のとおり、防風用フィルム44で消音器22の開口部32を覆う構成とした場合には、防風用フィルム44が膜として膜振動可能な状態で消音器22に支持される構成となるが、本発明においては、防風用フィルム44を有する構成であっても、通気スリーブ12が第一共鳴する音波の周波数の音に対して膜振動による共鳴をしない。具体的には、前述のとおり、通気スリーブ内に生じる第一共鳴の周波数をF0とし、防風用フィルム44の膜振動の共鳴周波数をF1とすると、1.15×F0<F1を満たす。
防風用フィルム44を有する場合に、通気スリーブ12が第一共鳴する音波の周波数の音に対して膜振動による共鳴をしない構成とするためには、すなわち、1.15×F0<F1を満たす構成とするためには、消音器22の開口部32の大きさ、空洞部30の体積等に応じて、防風用フィルム44の材質、厚み等を適宜設定すればよい。
また、図1に示す例では、消音器は通気スリーブと一体的に形成される構成としたが、これに限定はされず、消音器は、通気スリーブとは別部材として形成されていてもよい。
消音器を通気スリーブと別部材とする場合には、例えば、図35に示すように、消音器22に挿入部28が設けられた構成としてもよい。図35において、消音器22は、通気スリーブ12の外周に沿って、通気スリーブ12の一方の開口端側に環状に配置される。また、挿入部28は、消音器22の通気スリーブ12側の面から通気スリーブ12の軸方向に立設し、軸方向に貫通する開口を有する筒状の部材である。また、通気スリーブ12の中心軸に垂直な断面で見た際に、挿入部28の外形は通気スリーブ12の内周面の形状と略同じ形状および大きさである。すなわち、挿入部28は、通気スリーブ12の内周面に沿った形状である。この挿入部28を通気スリーブ12内に挿入することで、消音器22を通気スリーブ12の一方の開口端側に着脱可能に配置することができる。
消音器を通気スリーブと別部材とした場合の、消音器と通気スリーブ(壁)との固定方法には特に限定はなく、公知の固定方法で固定すればよい。例えば、消音器を通気スリーブ(壁)の端面に接着剤を用いて固定する方法、消音器を通気スリーブ(壁)の端面にねじ止めする方法、上述した挿入部を通気スリーブ内に挿入して固定する方法、消音器(あるいは挿入部)に凸部(あるいは凹部)を設け、通気スリーブ(あるいは壁)に凹部(あるいは凸部)を設け、凹部と凸部とをかみ合わせて固定する方法、等が挙げられる。
上述の固定方法は、消音器の振動を抑制できる点で好ましい。
なお、挿入部を通気スリーブ内に挿入して固定する方法の場合には、挿入部と通気スリーブとの間にシーリング材を配置してもよい。シーリング材はテープ状のものであってもよいし、ゴム、ウレタン等を隙間に充填するものであってもよい。
また、挿入部を通気スリーブ内に挿入して固定する方法の場合には、挿入部の外径を先端(消音器とは反対側)に向かうに従って細くなる形状とするのが好ましい。また、挿入部に切込みを有する構成としてもよい。これらの構成により、挿入部を通気スリーブ内に挿入しやすく、かつ、通気スリーブ内に挿入した状態で固定しやすくなる。
また、消音器を通気スリーブと別部材とした場合には、消音器は通気スリーブに着脱可能に設置されるのが好ましい。これにより、消音器の交換、あるいはリフォーム等を簡単に行うことができる。
また、消音器と通気スリーブの開口端(壁)とは接していてもよいし、離間していてもよい。すなわち、消音器と通気スリーブの開口端(壁)との間に間隙を有していてもよい。
また、図1等に示す例では、消音器の空洞部は、通気スリーブの径方向において、通気スリーブの外周部に配置される構成としたが、これに限定はされず、消音器の空洞部の一部が通気スリーブの内側に配置される構成としてもよい。すなわち、通気スリーブの径方向において、消音器の一部が通気スリーブ内に配置され、通気可能な通風路の断面積が通気スリーブの断面積よりも少なくなる構成としてもよい。
このような構成の場合には、通風路の断面積が、後述するカバー部材(ルーバ、ガラリ等)、および、風量調整部材(レジスター)の通気量以上の通気量となるようにすればよい。
また、消音器は、通気スリーブ(壁)の室内側の端面、および、室外側の端面のどちらに設置してもよいが、室内側の端面、すなわち、コンクリート壁と化粧板との間に設置されるのが好ましい。
また、消音器がコンクリート壁と化粧板との間の空間に設置される場合には、消音器は化粧板側の端面が、化粧板の壁側の面よりも壁側に配置される構成としてもよい。あるいは、消音器は化粧板側の端面が、化粧板の壁とは反対側の面と面一に配置される構成としてもよい。すなわち、化粧板に形成される貫通孔を消音器の外径と略同じにして、化粧板の貫通孔に消音器を挿通させる構成としてもよい。なお、消音器は化粧板側の端面と、化粧板の壁とは反対側の面とが面一となる構成に限定はされず、消音器の一部が、化粧板がある平面上に存在する構成であってもよい。
化粧板の貫通孔に消音器を挿通させる構成とすることで、消音装置の設置、交換等が容易になる。
また、例えば、図33に示すように、防音システムは、消音器を分離可能に構成されていてもよい。消音器を分離可能とすることで、消音器の大きさおよび数等を変えた消音器の作製が容易となる。また、空洞部内への吸音材の設置および交換が容易となる。
例えば、コンクリート壁と化粧板との間の距離はさまざまで、同じマンションであっても場所によって異なったり、施工会社によって異なったりする。コンクリート壁と化粧板との間の距離に応じて、そのつど消音器を設計して作製するとコストがかかる。また全ての距離に適用できるよう消音器を薄く設計すると、防音性能が低くなってしまう。そこで、消音器をコンクリート壁と化粧板との間に設置する場合に、コンクリート壁と化粧板との間の距離に応じて分離された複数の消音器を適宜組み合わせて設置することで、低コストで防音性能を最大化することができる。
また、防音システムは、通気スリーブのいずれか一方の端面側に設置されるカバー部材および他方の端面側に設置される風量調整部材の少なくとも一方を有していてもよい。カバー部材は、換気口および空調用ダクト等に設置される従来公知の、ルーバー、ガラリ等である。また、風量調整部材は、従来公知のレジスター等である。
また、カバー部材および風量調整部材は、通気スリーブの消音器が設置された側の端面側に設置されてもよいし、消音器が設置されていない側の端面側に設置されてもよい。
なお、防音システムが、カバー部材および風量調整部材を有する場合には、通気スリーブ内に生じる第一共鳴は、カバー部材、風量調整部材を含む防音システムにおける通気スリーブの第一共鳴である。
また、図23および図24に示す例のように、通気スリーブ12内に浸入防止板34を有する構成としてもよい。
図23は、本発明の防音システムの他の一例の模式的断面図であり、浸入防止板34を有する以外は図1に示す防音システムと同様の構成を有する。また、図24は、図23のC−C線断面図である。
図23および図24に示すように、浸入防止板34は、通気スリーブ12内の鉛直方向の下方に、通気スリーブ12の径方向に立設している板状の部材である。
住宅の壁に設置される通気スリーブは、屋外に通じているため、台風などの強風時には雨水が外部ガラリや外部フード等を通過して通気スリーブ内に浸入する場合がある。本発明の防音システムでは、空洞部を有する消音器が通気スリーブに接続されているため、通気スリーブ内に浸入した雨水が空洞部に浸入して溜まってしまうおそれがある。
これに対して、図23よび図24に示すように、通気スリーブ12内に浸入防止板34を設けることで、外部から通気スリーブ内に浸入した雨水が消音器の空洞部に浸入するのを防止できる。
浸入防止板34の鉛直方向の高さは、5mm以上40mm以下が好ましい。
また、雨水が消音器22の空洞部30に浸入するのを防止する構成として、図25および図26に示すように、消音器22の開口部32の鉛直方向の下側の領域を蓋部36で塞ぐ構成としてもよい。
図25は、本発明の防音システムの他の一例の模式的断面図であり、蓋部36を有する以外は図1に示す防音システムと同様の構成を有する。また、図26は、図25のE−E線断面図である。
図25および図26に示すように、消音器22の開口部32の鉛直方向の下側の領域を蓋部36で塞ぐ構成とすることによって、外部から通気スリーブ12内に浸入した雨水が消音器22の空洞部30に浸入するのを防止できる。
また、図34に示すように、消音器22の開口部32側に仕切り部材54を配置して、仕切り部材54を交換可能とする構成としてもよい。仕切り部材54を交換可能とすることで、開口部32の大きさを容易に変更することができるため、消音器22(ケース部材26)の共鳴周波数を適宜設定することができる。また、空洞部30内に設置された吸音材24を容易に交換することができる。
また、消音器22は、通気スリーブ12内に生じる第一共鳴の音場空間に接続しない位置に、空洞部30と連通する第2開口部を有していてもよい。
第2開口部の形成位置は、通気スリーブ12内に生じる第一共鳴の音場空間に接続しない位置であれば限定はない。例えば、第2開口部は、消音器22の外周面に形成される。また、第2開口部の大きさも限定はない。
ここで、通気スリーブ12内に生じる第一共鳴の音場空間に接続しない位置に第2開口部を形成した構成の場合には、水や湿気が壁内に侵入したり、壁から空洞部内に水や湿気が入り込んだりするおそれがある。そこで、第2開口部をフィルム状の部材で覆う構成としてもよい。フィルム状の部材は、音波を通しやすく水を通さないものであればよく、サランラップ(登録商標)等の薄い樹脂フィルム、撥水処理した不織布等を用いることができる。これによって、水や湿気が入り込むのを防止することができる。フィルム状の部材の材料としては、前述の防風用フィルム44の材料と同様の材料を用いることができる。
消音器の形成材料としては、金属材料、樹脂材料、強化プラスチック材料、および、カーボンファイバ等を挙げることができる。金属材料としては、例えば、アルミニウム、チタン、マグネシウム、タングステン、鉄、スチール、クロム、クロムモリブデン、ニクロムモリブデン、および、これらの合金等の金属材料を挙げることができる。また、樹脂材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリアミドイド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリイミド、および、トリアセチルセルロース等の樹脂材料を挙げることができる。また、強化プラスチック材料としては、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)、および、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP:Glass Fiber Reinforced Plastics)を挙げることができる。
ここで、消音器は、排気口等に利用可能な点から、難燃材料より耐熱性の高い材料からなることが好ましい。耐熱性は、例えば、建築基準法施行令の第百八条の二各号を満たす時間で定義することができる。建築基準法施行令の第百八条の二各号を満たす時間が5分間以上10分間未満の場合が難燃材料であり、10分間以上20分間未満の場合が準不燃材料であり、20分間以上の場合が不燃材料である。ただし耐熱性は各分野ごとで定義されることが多い。そのため、防音システムを利用する分野に合わせて、消音器22および消音器を、その分野で定義される難燃性相当以上の耐熱性を有する材料からなるものとすればよい。
また、本発明の防音システムにおいて、他の市販の防音部材を有していてもよい。
例えば、本発明における消音器以外に、通気スリーブの内部に設置する内挿型消音器を有していてもよいし、通気スリーブの端部に設置する野外設置型消音器を有していてもよい。
他の防音部材と組み合わせることで、より広い帯域で高い防音性能を得られる。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
防音システムを作製して防音性能を評価した結果について説明する。
まず、リファレンスとして、簡易小型防音室(図27参照)を用いて、消音器を配置しない場合の透過音圧の測定を行なった。リファレンスを測定した簡易小型防音室は、消音器を配置していない以外は、図27に示す簡易小型防音室と同様の構成である。
簡易小型防音室は、5面を吸音ウレタンフォームW3(厚み100mm、富士ゴム産業株式会社製 U00F2)およびその外側に配置される厚み5mmのアクリル板W1で囲まれ、残りの1面を、吸音ウレタンフォームW6(厚み100mm、富士ゴム産業株式会社製 U00F2)の防音室内側の面に厚み3mmのアルミニウム板W5を、他方の面に厚み5mmのアクリル板W1を配置した壁部材(本発明の壁に相当)で囲まれている。壁部材の合計厚みは108mmとした。さらに、壁部材から110mm離間して、壁部材に平行に厚み5mmのアクリル板W1(本発明の化粧板に相当)が配置されている。
また、5面の吸音ウレタンフォームW3のうち、左右面に配置される3面の内側の面には、波型の吸音ウレタンフォームW4(最大厚み35mm、富士ゴム産業株式会社製 U00F6)を配置した。防音室内の大きさは、800mm×800mm×900mmとした。
吸音ウレタンフォームW6とアルミニウム板W5とアクリル板W1とを有する壁部材および化粧板には、壁部材および化粧板を貫通して、内径100mmの塩化ビニル製の通気スリーブ12を設置した。
通気スリーブ12の外側の端面には風量調整部材20としてレジスター(株式会社ユニックス製 KRP−BWF)を取り付けた。
なお、アクリル板W1およびアルミニウム板W5は端部を30mm角のアルミニウム製のフレームFrに固定して支持した。
防音室内には、ホワイトノイズを発生させるスピーカーSP(FOSTEX社製 かんすぴセット KANSPI−8)を2つ配置した。また、防音室外のレジスター20から50cm離間した位置には、音波検出用の測定用マイクロフォンMP(株式会社アコー製 TYPE4152N)を配置した。
まず、レジスター20を閉じて、2つのスピーカーSPからホワイトノイズを発生させて、測定用マイクロフォンMPで、サンプリングレート25000Hzで10秒間、音圧を測定した。測定した音圧のデータに対してフーリエ変換を行い周波数スペクトルを算出した。フーリエ変換後のデータは10Hz間隔で平均化した。このデータをバックグラウンドデータとする。
次に、レジスター20を全開にして上記と同様に音圧を測定して、音圧のデータに対してフーリエ変換を行い周波数スペクトルを算出し、バックグラウンドデータとの差分を求めてリファレンスデータとした。
[実施例1]
実施例1として、図27に示すように、壁部材と化粧板との間に消音器22を設置、通気スリーブと接続して防音システムを構成した。レジスター20を全開にして上記と同様に音圧を測定して、音圧のデータに対してフーリエ変換を行い周波数スペクトルを算出し、バックグラウンドデータとの差分を求めて透過音圧強度のデータとした。
なお、実施例1の消音器22は、周面方向において通気スリーブ12の外周面の全周に沿った円環状であり、開口部32が周面方向に沿ったスリット状に形成された形状である。
ケース部26の空洞部30の幅L1は100mm、深さL2は27mmとした。また、レジスターを配置したため、軸方向の開口部32の幅は60mm相当となる。
多孔質吸音材24は、ポリエステルフェルト(e−フェルト:株式会社ピアリング製)を用いた。
ここで、リファレンスの測定結果(図28)から通気スリーブの第一共鳴の周波数はF1は、500Hzであり、波長λは、686mmであった。また、実施例1の、周波数F1(500Hz)における多孔質吸音体24の実効音響伝搬長α0を音響管で測定した伝搬定数から算出したところ、273[mm]であった。従って、消音器22内の実効音響伝搬長αは273mmであり、log(α/λ)は、−0.40であった。
[実施例2]
空洞部30の深さL2を51mmとした以外は実施例1と同様にして、透過音圧強度を求めた。
実施例1と同様、log(α/λ)は、−0.40であった。
リファレンス、実施例1および2の結果を図28に示す。
また、実施例1および実施例2の結果から500Hzバンドの透過損失を求めた。結果を図29に示す。
また、図30には、前述した図20のグラフ上に実施例1および実施例2の点をプロットしたグラフを示す。
図28から、周波数F1における消音器22内の実効音響伝搬長αが、−1.8<log(α/λ)<1を満たすことで通気スリーブの第一共鳴の周波数付近の音を消音することができることがわかる。
また、図29から、深さL2が0.045×λ(31mm)以上のほうが500Hzバンドの透過損失が高い(防音性能が高い)ことがわかる。
また、図30から、シミュレーションの結果と実施例とが良く一致していることがわかる。
以上の結果より本発明の効果は明らかである。
10 防音システム
12 通気スリーブ
16 壁
20 風量調整部材
22 消音器
24 多孔質吸音材
26 ケース部
28 挿入部
30 空洞部
32 開口部
34 浸入防止板
40 化粧板
44 防風フィルム
54 仕切り部材

Claims (11)

  1. 壁を貫通して設置された通気スリーブに、消音器が配置された防音システムであって、
    前記消音器は、前記通気スリーブの外周部に形成された空洞部、および、前記空洞部と前記通気スリーブとを連通する開口部を有するケース部と、前記ケース部の前記空洞部内の少なくとも一部に、または、前記ケース部の前記開口部の少なくとも一部を覆う位置に配置される多孔質吸音材と、を有し、
    前記消音器の前記開口部は、前記防音システム内における前記通気スリーブの音場空間に接続されており、
    前記消音器を配置しない状態の前記通気スリーブが第一共鳴する音波の周波数をF1、波長をλとし、周波数F1における前記消音器内の実効音響伝搬長をαとすると、
    −1.8<log10(α/λ)<1.3
    を満たす防音システム。
  2. 前記実効音響伝搬長αが、
    −1.2<log10(α/λ)<1.0
    を満たす請求項1に記載の防音システム。
  3. 前記通気スリーブ内に生じる第一共鳴の周波数をF0とし、前記多孔質吸音材を有さない前記消音器の共鳴周波数をF1とすると、0.85×F0<F1<1.15×F0を満たす前記消音器を有さない請求項1または2に記載の防音システム。
  4. 前記壁は室外と室内とを区切る壁であり、
    前記壁の室内側に前記壁に平行に設けられた化粧板を有し、
    前記通気スリーブは前記壁および前記化粧板を貫通するように設けられており、
    前記消音器は、前記壁と、前記化粧板との間に配置されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の防音システム。
  5. 前記壁と前記化粧板との間の空間を含む、前記壁と前記化粧板との合計厚みが、175mm〜400mmである請求項4に記載の防音システム。
  6. 前記多孔質吸音材の流れ抵抗σ1[Pa・s/m2]は、
    0<log(σ1)<5.5
    を満たす請求項1〜5のいずれか一項に記載の防音システム。
  7. 前記ケース部の前記空洞部の幅L1は、
    0.01×λ≦L1≦300mm
    を満たす請求項1〜6のいずれか一項に記載の防音システム。
  8. 前記ケース部の前記空洞部の深さL2は、
    0.025×λmm≦L2≦175mm
    を満たす請求項1〜7のいずれか一項に記載の防音システム。
  9. 前記通気スリーブの平均内径が70mm〜160mmである請求項1〜8のいずれか一項に記載の防音システム。
  10. 前記通気スリーブの端部に設置されるカバー部材を有する請求項1〜9のいずれか一項に記載の防音システム。
  11. 前記通気スリーブの端部に設置される風量調整部材を有する請求項1〜10のいずれか一項に記載の防音システム。
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