JP2020070455A - 金属部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】母材と同一組成であり、且つ、耐チッピング性及び耐摩耗性に優れた肉盛層を備える金属部材を提供する。【解決手段】金属部材は、Feを主成分とする合金の粉末成形体である母材と、母材上に、その合金と同一成分の粉末で形成された肉盛層とを備える。合金が、C:0.03質量%以上2.6質量%以下、Si:0.05質量%以上1.0質量%以下、Mn:0.10質量%以上1.0質量%以下、及び、Cr:3.0質量%以上30質量%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、且つ、下記数式1によって算出される値Xが、0.45以上0.70以下である。数式1: X=(HB*BB)/(HA*BA)(上記数式1において、HAは母材の硬さを表し、BAは母材の抗折強度を表し、HBは肉盛層の硬さを表し、BBは肉盛層の抗折強度を表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、耐チッピング性及び耐摩耗性に優れた肉盛層を備える金属部材に関する。
従来、金属部材の補修や表面改質などのために、粉末状溶接材料を用いた肉盛溶接法が用いられる。このような肉盛溶接法として、レーザークラッディング法や、プラズマ粉体肉盛溶接法などが知られている。レーザークラッディング法は、母材表面に粉末状溶接材料を供給し、レーザービームの走査によって母材と溶接材料とを一体化することにより、母材の表面に肉盛層を形成する方法である。プラズマ粉体肉盛溶接法は、電極と母材間に発生させたプラズマアーク中に粉末状溶接材料をキャリアガスにより送給し、溶融した溶接材料を母材表面に衝突させて堆積させることにより、母材の表面に肉盛層を形成する方法である。
特許文献1では、レーザークラッディング法により基材上に下部肉盛層を形成した後、下部肉盛層に直接に重ねて上部肉盛層をレーザークラッディング法により形成して、耐摩耗性を有する工具材を製造する方法が開示されている。ここで、基材としては、SKD(合金工具鋼)、SUJ(高炭素クロム軸受鋼)、SKH(高速度工具鋼)等から工具材の使用目的に応じたものが用いられる。また、下部肉盛層と上部肉盛層とを形成する金属粉末は同一組成であって、Fe系のSKHが用いられる。
特許文献2では、溶接材料を用いてTIG溶接により金型表面に肉盛部を形成することによって、金型を補修する方法が開示されている。ここで、金型はJIS規格のSKD61からなる。溶接材料は、C:0.15〜0.30%、Si:0.20〜1.00%、Mn:0.30〜1.50%、Cr:3.6〜6.0%、Mo:0.8〜1.5%、V:0.10〜0.80%、残部Fe及び不可避的元素から成る合金である。
特開2016−155155号公報 特開2011−245488号公報
特許文献2のように金属部材を肉盛部によって補修する場合、母材と溶接材料とは、同一又は似た組成であることが好ましい。これにより、溶接時における母材に対する溶湯の濡れ性が良好となり、溶湯の流動性も良好となるので、母材と溶接材料との融合不良に起因する溶接不良を防ぐことができる。
特許文献1では、下部肉盛層と上部肉盛層とを形成する金属粉末は同一組成であるものの、この金属粉末と基材の組成は異なる。更に、この金属粉末は、耐摩耗性が考慮されたものではない。
特許文献2では、母材と溶接材料とは同一又は似た組成であるが、肉盛部(肉盛層)の耐摩耗性は考慮されていない。
本発明は以上に鑑みてされたものであり、その目的は、母材と同一組成であり、且つ、耐チッピング性(硬さ)及び耐摩耗性に優れた肉盛層を備える金属部材を提供することにある。
本発明に係る金属部材は、Feを主成分とする合金の粉末成形体である母材と、
前記母材上に、前記合金と同一成分の粉末で形成された肉盛層とを備え、
前記合金が、
C:0.03質量%以上2.6質量%以下、
Si:0.05質量%以上1.0質量%以下、
Mn:0.10質量%以上1.0質量%以下、及び、
Cr:3.0質量%以上30質量%以下を含有し、
残部がFe及び不可避的不純物からなり、且つ、
下記数式1によって算出される値Xが、0.45以上0.70以下であることを特徴とするものである。
数式1: X=(HB*BB)/(HA*BA)
上記数式1において、HAは前記母材の硬さを表し、BAは前記母材の抗折強度を表し、HBは前記肉盛層の硬さを表し、BBは前記肉盛層の抗折強度を表す。
上記金属部材において、前記合金が、Co:5質量%以上15質量%以下、V:2質量%以上8質量%以下、Mo:0.05質量%以上10質量%未満、及び、W:3質量%以上15質量%未満のうち少なくとも1種の元素を、更に含有していてよい。
上記金属部材において、前記肉盛層は、一次炭化物を含み、隣接する前記一次炭化物同士の最長距離の平均値が5μm以上30μm以下であることが好ましい。
上記金属部材において、前記肉盛層は、直径30μm以上の空孔を有することがある。この場合に、1mmあたりの前記空孔の数が5個未満であることが好ましい。
本発明に係る金属部材では、肉盛層は、母材と同一組成である。つまり、肉盛層の溶接材料も母材と同一又は類似する成分である。これにより、溶接時における母材に対する溶湯の濡れ性が良好となり、溶湯の流動性も良好となるので、母材と溶接材料との融合不良に起因する溶接不良を防ぐことができる。そのうえ、上記肉盛層は、耐チッピング性(硬さ)と耐摩耗性に優れる。
本発明によれば、耐チッピング性及び耐摩耗性に優れた肉盛層を備える金属部材を提供することができる。
本発明に係る金属部材は、Feを主成分とする合金の粉末成形体である母材と、その母材上に、上記合金と同一成分の粉末で肉盛溶接されてなる肉盛層とを備える。肉盛溶接の方法としては、レーザークラッディング法やプラズマ粉体肉盛溶接法などの粉体肉盛溶接法が用いられる。
上記の合金は、Feをベースとして、C:0.03質量%以上2.6質量%以下、Si:0.05質量%以上1.0質量%以下、Mn:0.10質量%以上1.0質量%以下、及び、Cr:3.0質量%以上30質量%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる。この合金は、Co:5質量%以上15質量%以下、V:2質量%以上8質量%以下、Mo:0.05質量%以上10質量%未満、及び、W:3質量%以上15質量%未満のうち少なくとも1種の元素を、更に含んでもよい。
[鉄(Fe)]
この合金のベース元素は、Feである。換言すれば、この合金は、Fe基合金である。Fe基合金は、強度及び耐摩耗性に優れる。この合金からなる粉末は、特に金属部材の補修に適している。
[炭素(C)]
Cは、Feに固溶する。Cは、粉末から得られた肉盛層の硬度、強度及び耐摩耗性に寄与しうる。この観点から、Cの含有率は0.03質量%以上が好ましく、0.10質量%以上がより好ましく、0.4質量%以上が特に好ましい。Cの含有率は、2.6質量%以下が好ましい。この含有率が2.6質量%以下である粉末から得られた肉盛層は、靱性に優れる。この観点から、含有率は2.0質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下が特に好ましい。
[ケイ素(Si)]
Siは、Feに固溶する。Siは、粉末から得られた肉盛層の強度及び耐ヒートチェック性に寄与しうる。この観点から、Siの含有率は0.05質量%以上が好ましく、0.10質量%以上がより好ましく、0.2質量%以上が特に好ましい。Siの含有率は、1.0質量%以下が好ましい。この含有率が1.0質量%以下である粉末から得られた肉盛層は、靱性に優れる。この観点から、含有率は0.8質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が特に好ましい。
[マンガン(Mn)]
Mnは、粉末から得られた肉盛層の硬度及び強度に寄与しうる。この観点から、Mnの含有率は0.10質量%以上が好ましく、0.15質量%以上がより好ましく、0.20質量%以上が特に好ましい。Mnの含有率は、1.0質量%以下が好ましい。この含有率が1.0質量%以下である粉末から得られた肉盛層は、靱性に優れる。この観点から、含有率は0.8質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が特に好ましい。
[クロム(Cr)]
Crは、Feへの他の元素の固溶に寄与する。Crは、肉盛層の耐食性及び耐ヒートチェック性に寄与しうる。この観点から、Crの含有率は3.0質量%以上が好ましく、3.5質量%以上がより好ましく、4.0質量%以上が特に好ましい。Crの含有率は、30質量%以下が好ましい。この含有率が30質量%以下である粉末から得られた肉盛層は、靱性に優れる。この観点から、含有率は20質量%以下がより好ましく、15質量%以下が特に好ましい。
[コバルト(Co)]
Coは、Feと共に合金のベースになりうる。CoはFeに固溶することで焼入れ性が増し、肉盛部の強度向上に寄与する。合金がCrを含有する場合、その含有率は、5質量%以上15質量%以下が好ましい。
[バナジウム(V),モリブデン(Mo),タングステン(W)]
バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、及び、タングステン(W)は、Cと微細な炭化物を形成し、肉盛層の強度改善に寄与する。しかしながら、これらの元素の過剰の添加は延靭性の低下等を招く。このような観点から、合金がVを含有する場合、その含有率は2質量%以上8質量%以下が好ましい。合金がMoを含有する場合、その含有率は0.05質量%以上10質量%未満が好ましい。合金がWを含有する場合、その含有率は3質量%以上15質量%未満が好ましい。
〔合金粉末の製造方法〕
合金粉末は、アトマイズ法、粉砕法等によって製造されうる。アトマイズ法として、ガスアトマイズ法、水アトマイズ法、及び、ディスクアトマイズ法が例示される。合金に不純物が混入しにくいとの観点から、ガスアトマイズ法及びディスクアトマイズ法が好ましい。合金に不純物が混入しにくいとの観点から、不活性ガス雰囲気でのアトマイズが好ましい。量産性の観点から、ガスアトマイズが好ましい。
〔金属部材の補修方法〕
ここで、本発明に係る金属部材の適用例として、肉盛層で補修された金属部材について説明する。この金属部材(即ち、母材)は、上記合金粉末が粉末冶金法を用いて成形されたものである。この金属部材の補修箇所に、上記合金粉末を溶接材料として肉盛溶接が施されることによって、肉盛層が形成される。肉盛溶接方法としては、レーザークラッディング法やプラズマ粉体肉盛溶接法などの粉体肉盛溶接法が用いられる。具体的には、肉盛溶接は以下の手順で行われる。合金粉末の粒子に圧縮ガス等によって速度が与えられ、加速されて進行中の粒子が加熱手段にて加熱される。加熱手段として、ガスの燃焼炎、プラズマ、レーザー等が挙げられる。加熱により、粒子は溶融状態又は半溶融状態となる。この粒子が金属部材に衝突させられ、凝固することにより、粒子同士が結合する。粒子は、下地である金属部材とも結合し、この結合により金属部材の表面に肉盛層が形成される。粒子が金属部材に衝突した後に、加熱がなされてもよい。粒子が金属部材に接触した状態で、加熱がなされてもよい。
上記のように、肉盛層を形成するための溶接材料は金属部材(母材)と同一組成であり、肉盛層も母材と同一組成である。これにより、溶接時における母材に対する溶湯の濡れ性が良好となり、溶湯の流動性も良好となるので、母材と溶接材料との融合不良に起因する溶接不良を防ぐことができる。
更に、上記のように金属部材(母材)上に形成された肉盛層は、次の数式1によって算出される値Xが、0.45以上0.70以下となる。
数式1: X=(HB*BB)/(HA*BA)
数式1において、HAは母材の硬さ(ビッカース硬度)を表し、BAは母材の抗折強度を表し、HBは肉盛層の硬さ(ビッカース硬度)を表し、BBは肉盛層の抗折強度を表す。母材の硬さHA及び肉盛層の硬さHBは、「JIS Z 2244」の規定に準拠して測定される。母材の抗折強度BAは肉盛後に熱的影響部を除いた箇所より「JIS Z 2248」の規定に準拠して測定される。また、肉盛部の抗折強度BBは、肉盛後に溶接境界部を除いた箇所より「JIS Z 2248」の規定に準拠して測定される。
発明者らにより、値Xが0.45以上0.70以下であれば、肉盛層が硬さに加えて耐摩耗性に優れることが確認された。つまり、値Xが0.45以上0.70以下の範囲の肉盛層は、耐チッピング性及び耐摩耗性を備える。肉盛層の耐チッピング性及び耐摩耗性を更に向上させる観点から、値Xは0.5以上0.65以下が好ましい。
このように、母材における硬さと抗折強度との比と、肉盛層における硬さと抗折強度との比とを、所定の関係とすることによって、母材と肉盛層との密着性を向上させることがきる。これにより、溶接境界部の接合強度を向上させることができる。また、母材が粉末成形体であることで、溶接境界部の偏析が軽減され、溶接境界部の接合強度を更に向上させることができる。
溶接金属の凝固過程は、肉盛層の硬さ及び抗折強度に大きく影響する。このことから、合金粉末を肉盛溶接する際の加熱条件や冷却条件(例えば、レーザー出力条件や予熱条件)を調えることにより、値Xを上記範囲内に収めることができる。また、合金粉末を肉盛溶接した後、肉盛層の焼入れと焼戻しを行い、焼入れ及び焼戻しの条件を整えることによっても、値Xを上記範囲内に収めることができる。
〔炭化物同士の距離〕
肉盛層には、一次炭化物が存在する。隣接する一次炭化物同士の距離のうち最長となるもの(「最長距離」と称す)の平均値は、5μm以上30μm以下が好ましく、10μm以上20μm以下が更に好ましい。このような肉盛層は、靭性に優れ、耐チッピング性に優れる。
肉盛溶接中の冷却速度が速すぎると、肉盛層中の一次炭化物は微細で、一次炭化物同士が近接した状態となり、一次炭化物同士の最長距離の平均値が上記範囲より小さくなる。このような一次炭化物は、肉盛層の耐摩耗性を低下させる。一方、肉盛溶接中の冷却速度が遅すぎると、肉盛層中の一次炭化物は粗大で、一次炭化物同士が離れた状態となり、一次炭化物同士の最長距離の平均値が上記範囲より大きくなる。このような一次炭化物は、肉盛層の靭性を低下させる。
隣接する一次炭化物同士の最長距離は、光学顕微鏡で5視野写真を撮影し、その写真中の一次炭化物同士間の距離を1視野あたり5点測定し、その平均値を算出することにより求めうる。
〔空孔の数〕
肉盛層は、直径30μm以上の空孔を有することがある。このような空孔は、肉盛溶接中に雰囲気ガスが巻き込まれることによって生じうる。直径30μm以上の空孔は、肉盛層に欠けを生じさせたり、肉盛層の耐摩耗性を低下させるおそれがある。そこで、肉盛層の直径30μm以上の空孔の面積1mmあたりの数は、5個未満が好ましく、理想的には0個である。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[1.試料の作製]
表1に示す所定の組成を有する原料を、準備した。この原料を、真空中にてアルミナ製坩堝で、高周波誘導加熱法にて加熱した。この加熱によって原料を溶融させ、溶湯を得た。坩堝下にある直径が5mmのノズルから、溶湯を落下させた。この溶湯に、高圧アルゴンガスを噴霧し、300kgの粉末を得た。
作製した合金粉末のうち150kgを用いて熱間等方圧加圧法(HIP)により成形体を作製し、それを鍛造して、縦横100mmで厚さが20mmの板材を作製し、これを母材とした。
作製した合金粉末のうち50kgを用い、レーザークラッディング法により、作製した母材の上に肉盛層を形成し、試料を得た。肉盛層は、縦横100mmであり、厚さは10mmであった。
Figure 2020070455
表2の実施例1〜10及び比較例1〜10では、合金1の組成の合金粉末を用いた。表3の実施例11〜20及び比較例11〜20では、合金2の組成の合金粉末を用いた。表4の実施例21〜30及び比較例21〜30では、合金3の組成の合金粉末を用いた。
各例のレーザークラッドの条件を変えて、表2の実施例1〜10及び比較例1〜5、表3の実施例11〜20及び比較例11〜15、並びに、表4の実施例21〜30及び比較例21〜25の試料を得た。前述の通り、合金粉末から粉末冶金法で作製された板材を母材として用いた。一方、各例のレーザークラッドの条件を変えて、表2の比較例6〜10、表3の比較例16〜20、及び、表4の比較例26〜30の試料を得た。残った粉末100kgを再溶解し、溶製された板材を母材として用いた。なお、表2〜4では、粉末冶金法で作製された母材が「粉末ハイス」と表され、溶製法で作製された母材が「溶製ハイス」と表されている。
[2.試験方法]
実施例1〜30及び比較例1〜30の試料に対し、以下の測定及び試験を行った。
(硬さの測定)
「JIS Z 2244」の規定に準拠して、母材及び肉盛層のビッカース硬度を測定した。この結果が、表2〜4に示されている。
(抗折強度の測定)
母材及び肉盛層から、幅が5mmであり、長さが50mmであり、厚さが3mmである試験片を切り出した。この試験片を用い、「JIS Z 2248」の規定に準拠して、抗折強度を測定した。5回の測定の平均値が表2〜4に示されている。
(溶接境界部の炭素量のばらつきの評価)
各試料について、溶接境界部から5点試料を切り出し、5点分の試料中炭素量を測定した。その測定値の平均値が表2〜4に示されている。
(一次炭化物間の最長距離の測定)
各試料について、光学顕微鏡で5視野写真を撮影し、その写真中の一次炭化物同士間の最大距離を1視野あたり5点測定した。その測定値の平均値が表2〜4に示されている。
(直径30μm以上の空孔の数の測定)
各試料について、光学顕微鏡で5視野写真を撮影し、視野中に存在した空孔のうち直径30μm以上の空孔の個数を数えた。その平均値が表2〜4に示されている。
(耐摩耗性の評価)
肉盛層の耐摩耗性は、大越式摩耗試験の結果で評価した。試料から、長さ50mm、幅25mm、高さ7mmの大きさの試験片を作製した。この試験片を用いて大越式摩耗試験により比摩耗量を測定した。試験条件は、回転輪のSCM420、摩耗速度を2.0m/sec、摩耗距離を200mおよび最終荷重を61.8Nとして試験片の比摩耗量を測定した。更に、上記摩耗試験中の欠けの有無を目視にて確認した。この結果が、表2〜4に示されている。
[3.結果]
表2〜4に、摩耗試験の結果に基づく各試料の総合評価が示されている。総合評価は以下を評価基準とする。
A:摩耗試験中に欠けはなし、且つ、比摩耗量が0.1×10−8mm3/mm未満
B:摩耗試験中に欠けはなし、且つ、比摩耗量が0.1×10−8mm3/mm以上、0.9×10−8mm3/mm未満
C:摩耗試験中に欠けはなし、且つ、比摩耗量が0.9×10−8mm3/mm以上、1.3×10−8mm3/mm未満
F:摩耗試験中に欠けが発生、又は、比摩耗量が1.3×10−8mm3/mm以上
Figure 2020070455
Figure 2020070455
Figure 2020070455
表2〜4に示すように、実施例1〜30の試料では、値Xが0.45以上0.70以下の範囲に収められている。その結果、実施例1〜30の試料では、摩耗試験で得られた比摩耗量が比較基準となる1.3×10−8mm3/mmより小さく、且つ、摩耗試験で欠けが生じなかった。
表2に示す比較例1〜5の試料では、値Xが0.45以上0.70以下の範囲外にあり、比較例6〜10の試料では母材が溶製ハイスである。比較例6〜10の試料は、摩耗試験で得られた比摩耗量が比較基準となる1.3×10−8mm3/mmより大きく、耐摩耗性に劣る。比較例1〜10の試料は、摩耗試験で欠けが生じ、耐チッピング性に劣る。
表3に示す比較例11〜15の試料では、値Xが0.45以上0.70以下の範囲外にあり、比較例16〜20の試料では母材が溶製ハイスである。比較例16〜20の試料は、摩耗試験で得られた比摩耗量が比較基準となる1.3×10−8mm3/mmより大きく、耐摩耗性に劣る。比較例11〜20の試料は、摩耗試験で欠けが生じ、耐チッピング性に劣る。
表4に示す比較例21〜25の試料では、値Xが0.45以上0.70以下の範囲外にあり、比較例26〜30の試料では母材が溶製ハイスである。比較例26〜30の試料は、摩耗試験で得られた比摩耗量が比較基準となる1.3×10−8mm3/mmより大きく、耐摩耗性に劣る。比較例21〜30の試料は、摩耗試験で欠けが生じ、耐チッピング性に劣る。
以上から、本発明に係る肉盛層は、母材と同一組成でありながら、耐チッピング性及び耐摩耗性に優れることが明らかとなった。

Claims (4)

  1. Feを主成分とする合金の粉末成形体である母材と、
    前記母材上に、前記合金と同一成分の粉末で形成された肉盛層とを備え、
    前記合金が、
    C:0.03質量%以上2.6質量%以下、
    Si:0.05質量%以上1.0質量%以下、
    Mn:0.10質量%以上1.0質量%以下、及び、
    Cr:3.0質量%以上30質量%以下を含有し、
    残部がFe及び不可避的不純物からなり、且つ、
    下記数式1によって算出される値Xが、0.45以上0.70以下である
    ことを特徴とする金属部材。
    数式1: X=(HB*BB)/(HA*BA)
    (上記数式1において、HAは前記母材の硬さを表し、BAは前記母材の抗折強度を表し、HBは前記肉盛層の硬さを表し、BBは前記肉盛層の抗折強度を表す。)
  2. 前記合金が、Co:5質量%以上15質量%以下、V:2質量%以上8質量%以下、Mo:0.05質量%以上10質量%未満、及び、W:3質量%以上15質量%未満のうち少なくとも1種の元素を、更に含有する、
    請求項1に記載の金属部材。
  3. 前記肉盛層は、一次炭化物を含み、隣接する前記一次炭化物同士の最長距離の平均値が5μm以上30μm以下である、
    請求項1又は2に記載の金属部材。
  4. 前記肉盛層は、直径30μm以上の空孔を有し、1mmあたりの前記空孔の数が5個未満である、
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載の金属部材。
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Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0639545A (ja) * 1992-04-13 1994-02-15 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd 炭素鋼材等の溶接方法
JP2016516580A (ja) * 2013-01-31 2016-06-09 シーメンス エナジー インコーポレイテッド フラックスを用いてレーザーにより超合金を再溶解修復する方法

Patent Citations (2)

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