JP2020070187A - コンベヤベルト - Google Patents

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Abstract

【課題】接続部における摩耗状況を簡単に管理できる、コンベヤベルトを提供する。【解決手段】本発明のコンベヤベルト1は、外表面を形成するカバーゴム10と、当該カバーゴムに埋設された、スチールコードからなる補強芯体20と、を有する、無端帯状のコンベヤベルトであって、カバーゴムは、本体ゴム部11と、補強芯体の周方向端部を含む領域に設けられ、本体ゴム部の周方向端部同士を接続する接続ゴム部12と、を備え、補強芯体より外周側の接続ゴム部に、当該接続ゴム部の摩耗時に視認できる摩耗インジケータ31が埋設されている。【選択図】図2

Description

本発明は、コンベヤベルトに関する。
コンベヤベルトは、非常に長い距離(例えば数十km)に及ぶものもあり、そのような大型に構成される場合、工場で全体を製造したものを施工現場まで搬送することは難しい。そこで、コンベヤベルトが製造される過程においては、まず、工場でコンベヤベルトの周方向の一部分を構成する帯状の本体部が1つ又は複数製造され、その後、これら1つ又は複数の本体部が施工現場まで搬送され、その後、施工現場でこれら1つ又は複数の本体部の周方向端部どうしが未加硫ゴムを介して接続され、さらに、その接続部の未加硫ゴムが加硫されることで、最終的に無端帯状のコンベヤベルトが完成する場合がある(例えば、特許文献1)。
特表2002−539383号公報
一般的に、施工現場では、在庫管理の制約から、接続部に使用できるゴムの種類が限られていることが多く、そのため、本体部どうしを接続する際には、本体部を構成するゴムとは異なる組成のゴムが、接続部に用いられる場合が多かった。そして、接続部に用いられるゴムは、多くの場合、本体部を構成するゴムよりも、耐摩耗性の低いものであった。また、施工現場では、接続部の未加硫ゴムを加硫する際、加硫不足を避けるために、必要最低限な時間よりも多めに時間を掛けて加硫される場合が多く、このことも、接続部のゴムが本体部のゴムよりも耐摩耗性が低くなる要因となっていた。これらの理由から、接続部のゴムは、本体部のゴムよりも、摩耗が生じやすく、本体部よりも接続部のほうが先に摩耗が限界に達することでコンベヤベルトの寿命を迎える場合が多かった。したがって、接続部における摩耗状況を管理する必要があった。
接続部における摩耗状況の管理方法としては、例えば、定期的に、測定器具(定規等)を用いて接続部の摩耗量を測定する方法が考えられる。しかし、その場合、コンベヤベルトの稼動を停止する必要があり、相当な手間が掛かる。
そのため、接続部における摩耗状況を簡単に管理できる技術に対する要求があった。
本発明は、接続部における摩耗状況を簡単に管理できる、コンベヤベルトを提供することを目的とする。
本発明のコンベヤベルトは、
外表面を形成するカバーゴムと、当該カバーゴムに埋設された、スチールコードからなる補強芯体と、を有する、無端帯状のコンベヤベルトであって、
前記カバーゴムは、本体ゴム部と、前記補強芯体の周方向端部を含む領域に設けられ、前記本体ゴム部の周方向端部同士を接続する接続ゴム部と、を備え、
前記補強芯体より外周側の前記接続ゴム部に、当該接続ゴム部の摩耗時に視認できる摩耗インジケータが埋設されている。
本発明のコンベヤベルトによれば、接続部における摩耗状況を簡単に管理できる。
本発明のコンベヤベルトにおいては、
前記摩耗インジケータは、前記補強芯体より外周側の前記接続ゴム部の厚み方向中心位置より内周側に、かつ、前記補強芯体から離間して、埋設されていると、好適である。
これにより、ユーザに対して、コンベヤベルトの摩耗が限界状態に近いことを、適切なタイミングで知らせることができる。
本発明のコンベヤベルトにおいては、
前記接続ゴム部は、前記本体ゴム部とは異なるゴムからなっていてよい。
本発明のコンベヤベルトにおいては、
前記摩耗インジケータは、網目状の糸で構成されており、当該糸の繊度は840〜940dtexであると、好適である。
これにより、摩耗インジケータを十分に視認しやすくできるとともに、コンベヤベルトが曲げにくくなるのを抑制できる。
本発明のコンベヤベルトにおいては、
前記摩耗インジケータは、前記補強芯体から前記接続ゴム部の厚み方向に3〜10mm離間して、埋設されていると、好適である。
これにより、ユーザに対して、コンベヤベルトの摩耗が限界状態に近いことを、より適切なタイミングで知らせることができる。
本発明によれば、接続部における摩耗状況を簡単に管理できる、コンベヤベルトを提供することができる。
本発明の一実施形態に係るコンベヤベルトを備えたベルトコンベヤを概略的に示す、概略図である。 図1のコンベヤベルトのうち、破線で囲った部分を、拡大して周方向断面により示す、周方向断面図である。 図2の摩耗インジケータ層を、一部断面により示す、斜視図である。 図2の接続部における補強芯体を、接続ゴム部及び摩耗インジケータ層を省略した状態で示す、斜視図である。 図2の接続部を、新品時の状態で示す、斜視図である。 図2の接続部を、摩耗時の状態で示す、斜視図である。 図2のコンベヤベルトの製造方法を説明するための、説明図である。 図2のコンベヤベルトの製造方法を説明するための、説明図である。
本発明のコンベヤベルトは、例えば、採鉱現場や建設現場等において様々な搬送物を運搬するために好適に使用することができる。
以下、本発明に係るコンベヤベルトの実施形態について、図面を参照しながら例示説明する。各図において共通する構成要素には同一の符号を付している。
図1は、本発明の一実施形態に係るコンベヤベルト1を備えたベルトコンベヤ2を、概略的に示している。図1のベルトコンベヤ2は、コンベヤベルト1に加え、一対のプーリP1、P2と、ホッパHと、を備えている。コンベヤベルト1は、無端帯状に構成されており、一対のプーリP1、P2の周りに巻き掛けられている。一対のプーリP1、P2は、それぞれ、コンベヤベルト1の幅方向に延在する回転軸の周りに回転するように構成されている。一対のプーリP1、P2のうち、一方のプーリP1は、駆動プーリであり、他方のプーリP2は、従動プーリである。これら一対のプーリP1、P2の駆動により、コンベヤベルト1は、周方向(図1では右回り)に回転される。
なお、本明細書においては、コンベヤベルト1の「周方向」、「厚み方向」、「幅方向」を、それぞれ、単に「周方向」、「厚み方向」、「幅方向」という。
コンベヤベルト1のうち、一対のプーリP1、P2よりも鉛直方向上側の部分は、キャリア側部分であり、ホッパHから投下された搬送物Mを載せて、従動プーリP2側から駆動プーリP1側に向けて走行する。コンベヤベルト1のキャリア側部分では、コンベヤベルト1の外周面1oが、鉛直方向上側の面となり、搬送物Mの搬送面となるのに対し、コンベヤベルト1の内周面1iは、鉛直方向下側の面となる。キャリア側部分は、例えば、幅方向両側の端部分が上側に向かって曲げられた状態で走行し、これにより、搬送物Mが搬送面からこぼれ落ちるのを防止するようにされる。キャリア側部分によって搬送された搬送物Mは、駆動プーリP1の近傍に設けられた荷降ろし部(図示せず)に投下される。
一方、コンベヤベルト1のうち、一対のプーリP1、P2よりも鉛直方向下側の部分は、リターン側部分であり、外周面1oが鉛直方向下側の面となった状態で、駆動プーリP1側から従動プーリP2側へ向けて走行する。コンベヤベルト1の内周面1iは、鉛直方向上側の面となる。リターン側部分は、例えば、幅方向に沿って平坦に展開された状態で走行する。
図1に示すように、コンベヤベルト1は、コンベヤベルト1の周方向の一部分を構成する1つ複数(図の例では、3つ)の帯状の本体部1mと、これらの本体部1mどうしを接続する1つ又は複数(図の例では、3つ)の接続部1jと、からなる。本体部1mと接続部1jとは、周方向に沿って交互に配置されている。
本体部1mは、例えば、コンベヤベルト1の施工現場とは離れたところにある工場で製造され、その後、巻かれた状態で、施工現場まで搬送されたものである。接続部1jは、例えば、コンベヤベルト1の施工現場において形成されたものである。
図2は、図1のコンベヤベルト1の接続部1jを、拡大し、幅方向中心における周方向に沿った断面により示している。図2に示すように、コンベヤベルト1は、コンベヤベルト1の外表面を形成するカバーゴム10と、カバーゴム10に埋設された、スチールコードからなる補強芯体20と、カバーゴム10に埋設された摩耗インジケータ層30と、を有している。
カバーゴム10内には、複数の補強芯体20が、幅方向に沿って配列されており、それぞれ周方向に沿って延在している。
カバーゴム10は、本体ゴム部11と、接続ゴム部12と、を備えている。本体ゴム部11は、カバーゴム10のうち、コンベヤベルト1の本体部1mを構成するゴムである。本体ゴム部11は、補強芯体20より外周側に配置された外周側本体ゴム部11oと、補強芯体20より内周側に配置された内周側本体ゴム部11iと、を含む。接続ゴム部12は、カバーゴム10のうち、コンベヤベルト1の接続部1jを構成するゴムであり、言い換えれば、接続部1jに設けられており、互いに周方向に隣接する一対の本体ゴム部11の周方向端部111、112同士を接続している。接続ゴム部12は、補強芯体20より外周側に配置された外周側接続ゴム部12oと、補強芯体20より内周側に配置された内周側接続ゴム部12iと、を含む。
本例において、接続ゴム部12は、本体ゴム部11よりも耐摩耗性が低いものである。
また、本例において、摩耗インジケータ層30は、接続ゴム部12の内部に設けられており、本体ゴム部11の内部には設けられていない。
図4は、接続部1jにおける補強芯体20の配置例を示している。図4では、接続ゴム部12と摩耗インジケータ層30との図示を省略している。カバーゴム10内の補強芯体20は、接続部1jの内部で分断されており、それぞれの周方向端部201、202が、接続部1jの内部に位置している。具体的に、接続ゴム部12の内部には、接続ゴム部12(ひいては接続部1j)に対し周方向一方側(図4では左側)に位置する本体ゴム部11から周方向他方側(図4では右側)へ延在する複数の補強芯体20のそれぞれの周方向他方側の端部201と、接続ゴム部12(ひいては接続部1j)に対し周方向他方側に位置する本体ゴム部11から周方向一方側へ延在する複数の補強芯体20のそれぞれの周方向一方側の端部202とが、位置している。接続ゴム部12(ひいては接続部1j)に対し周方向一方側に位置する本体ゴム部11から周方向他方側へ延在する複数の補強芯体20と、接続ゴム部12に対し周方向他方側に位置する本体ゴム部11から周方向一方側へ延在する複数の補強芯体20とは、接続ゴム部12の内部において、互いに同じ厚み方向位置に位置するよう、配置されている。例えば、図4の例では、接続ゴム部12(ひいては接続部1j)に対し周方向一方側に位置する本体ゴム部11から周方向他方側へ延在する複数の補強芯体20のうち、幅方向中心に位置する補強芯体20と、接続ゴム部12(ひいては接続部1j)に対し周方向他方側に位置する本体ゴム部11から周方向一方側へ延在する複数の補強芯体20のうち、幅方向中心に位置する補強芯体20とは、互いの周方向端部201、202どうしが突き合うように配置されており、その他の補強芯体20については、接続ゴム部12(ひいては接続部1j)に対し周方向一方側に位置する本体ゴム部11から周方向他方側へ延在する補強芯体20と、接続ゴム部12(ひいては接続部1j)に対し周方向他方側に位置する本体ゴム部11から周方向一方側へ延在する補強芯体20とが、幅方向に交互に位置するように配置されている。図4の例では、接続ゴム部12(ひいては接続部1j)に対し周方向他方側に位置する本体ゴム部11から周方向一方側へ延在する補強芯体20のうち、幅方向中心に位置する補強芯体20以外のものが、それぞれ、若干、曲げられている。
ただし、接続ゴム部12内において、補強芯体20は、図4に示す配置の態様とは異なる態様で配置されてもよい。
なお、図4に示す例において、本体ゴム部11の周方向端部111、112は、それぞれの外周面及び内周面が、接続部1jの周方向中心に向かうにつれて徐々に厚み方向の内側へ向かうように、テーパ状に構成されている。
図3は、摩耗インジケータ層30の一例を、概略的に示している。図3に示すように、摩耗インジケータ層30は、接続ゴム部12の摩耗時に視認できる摩耗インジケータ31と、摩耗インジケータ31の外周側及び内周側にそれぞれ配置された接着ゴム層32a、32bと、を有している。
接着ゴム層32a、32bがあることによって、摩耗インジケータ31と接続ゴム部12との間の接着強度を向上し、両者間の剥離を抑制できるようにされている。ただし、摩耗インジケータ層30は、摩耗インジケータ31のみを有し、接着ゴム層32a、32bを有していなくてもよい。
図3の例において、摩耗インジケータ31は、網目状の糸31t、31uで構成されており、言い換えれば、複数本の糸31t、31uが網目状に編み込み又は織り込みされてなる帆布で構成されている。図3の例では、摩耗インジケータ31が、周方向に延在する複数本の糸31tと、幅方向に延在する複数本の糸31uとで、構成されている。1本の糸31t、31uは、1本の単繊維のみで構成されてもよいし、あるいは、複数本の単繊維が撚られ又は束ねられてなるものでもよい。糸31t、31uどうしの間には、摩耗インジケータ31を厚み方向に貫通する複数の穴31hが区画されている。この穴31hは、空洞でもよいし、あるいは、内部がゴム(例えば、接着ゴム層32a、32bと同じゴム)によって充填されていてもよい。
図2に示すように、摩耗インジケータ31(並びに、摩耗インジケータ層30)は、接続ゴム部12の内部において、補強芯体20より外周側の接続ゴム部12(すなわち、外周側接続ゴム部12o)の厚み方向中心位置TCより内周側に、かつ、補強芯体20から外周側に離間して、埋設されている。
このように構成されたコンベヤベルト1においては、使用時間が長くなるにつれて、搬送物Mとの干渉により、カバーゴム10が、外周面1o側から徐々に摩耗していく。特に、本例のように、接続ゴム部12が本体ゴム部11よりも耐摩耗性が低いものである場合には、接続ゴム部12のほうが、本体ゴム部11よりも、摩耗の進行が速くなる。
そして、図5に示すように、接続ゴム部12に摩耗が全く生じていない時(新品時等)や、接続ゴム部12に摩耗が生じているが摩耗が摩耗インジケータ31にまで到達していない時においては、摩耗インジケータ31は、接続ゴム部12(具体的には、外周側接続ゴム部12o)の内部に隠れており、外からは視認できない。しかし、接続ゴム部12(具体的には、外周側接続ゴム部12o)の摩耗が摩耗インジケータ31にまで到達し、摩耗インジケータ31が外部に露出すると、摩耗インジケータ31は、外から視認できるようになる。これにより、摩耗インジケータ31を視認した者は、接続ゴム部12(具体的には、外周側接続ゴム部12o)に、摩耗インジケータ31が埋設された厚み方向位置にまで摩耗が進行したことを、把握することができる。なお、以上では、簡単のため、摩耗インジケータ31より外周側の接着ゴム層32aについては説明を省略したが、より具体的に説明すると、外周側接続ゴム部12oが摩耗した後、この接着ゴム層32aが摩耗し、その後、摩耗インジケータ31が露出する。
このように、本実施形態のコンベヤベルト1によれば、摩耗インジケータ31が露出しているか否かを、視認により確認するだけで、接続部1jに所定の程度の摩耗が生じたか否かを把握することができる。そのため、接続部1jの摩耗状況の管理のために、例えば、コンベヤベルト1の稼動を停止して測定器具(定規等)を用いて摩耗量を測定する必要が無く、コンベヤベルト1の稼動をし続けることができる。また、摩耗インジケータ31を接続ゴム部12に埋設するだけで摩耗状況の管理が可能であるので、例えば、摩耗量を検知及び計算するための特別なセンサーや計算装置等を設置する場合に比べて、構造を簡便化でき、コストの低減や製造性の向上が可能である。したがって、本実施形態によれば、接続部1jにおける摩耗状況を簡単に管理できる。
なお、図1に示すように、摩耗インジケータ31の視認作業は、例えば、コンベヤベルト1のキャリア側の部分のうち、ホッパHよりも走行方向の手前側(後側)の部分(従動プーリP2の近傍部分)を、直接、人Pが視認するか、又は、その近傍に設置されたビデオカメラC等の撮像装置を介して人が視認することにより行うと、視認がし易くなるので、好適である。
本実施形態においては、上述のように、摩耗インジケータ31は、接続ゴム部12の内部において、補強芯体20より外周側の接続ゴム部12(すなわち、外周側接続ゴム部12o)の厚み方向中心位置TCより内周側に、かつ、補強芯体20から外周側に離間して、埋設されている(図2)。
摩耗インジケータ31を、補強芯体20より外周側の接続ゴム部12(すなわち、外周側接続ゴム部12o)の厚み方向中心位置TCより内周側に配置することにより、十分に摩耗した後に摩耗インジケータ31が視認可能になるように、摩耗インジケータ31が視認可能になるタイミングを設定することができる。
また、一般的には、摩耗が補強芯体20にまで達した状態が、摩耗の限界状態であり、コンベヤベルト1の交換や修繕が必要になる。本実施形態では、摩耗インジケータ31を、補強芯体20から外周側に離間して配置することにより、摩耗が補強芯体20に達する前に摩耗インジケータ31が視認可能になるように、摩耗インジケータ31が視認可能になるタイミングを、設定することができる。これにより、摩耗が補強芯体20に達する前に、ユーザに対して、コンベヤベルト1の摩耗が限界状態に近いことを知らせることができる。このため、摩耗インジケータ31が視認可能になった後は、直ちにコンベヤベルト1が使用不可になることは無い。よって、例えば、ユーザは、余裕を持ってコンベヤベルト1の交換や修繕の準備を進めることができる。
ここで、補強芯体20から摩耗インジケータ31までの厚み方向の距離L1(図2)は、3mm以上であると好適であり、5mm以上であるとより好適である。これにより、摩耗インジケータ31が視認可能になってから、摩耗が補強芯体20に至るまでに、掛かる時間を、十分に確保することができる。よって、例えば、ユーザは、充分に余裕を持ってコンベヤベルト1の交換や修繕の準備を進めることができる。
また、補強芯体20から摩耗インジケータ31までの厚み方向の距離L1は、10mm以下であると好適である。これにより、摩耗インジケータ31が視認可能になってから、摩耗が補強芯体20に至るまでに、掛かる時間が、過度に長くなるのを回避することができ、ユーザに対して、コンベヤベルト1の摩耗が限界状態に近いことを、適切なタイミングで知らせることができる。
なお、補強芯体20から摩耗インジケータ31までの厚み方向の距離L1とは、具体的に、補強芯体20の外周端から摩耗インジケータ31の内周端までの厚み方向の距離を指す(図2)。
上述したように、従来のコンベヤベルトにおいては、一般的に、施工現場では、在庫管理の制約から、接続部に使用できるゴムの種類が限られていることが多く、そのため、本体部どうしを接続する際には、本体部を構成するゴムとは異なる組成のゴムが、接続部に用いられる場合が多かった。そして、接続部に用いられるゴムは、多くの場合、本体部を構成するゴムよりも、耐摩耗性の低いものであった。また、施工現場では、接続部の未加硫ゴムを加硫する際、加硫不足を避けるために、必要最低限な時間よりも多めに時間を掛けて加硫される場合が多く、このことも、接続部のゴムが本体部のゴムよりも耐摩耗性が低くなる要因となっていた。これらの理由から、接続部のゴムは、本体部のゴムよりも、摩耗が生じやすく、本体部よりも接続部のほうが先に摩耗が限界に達することでコンベヤベルトの寿命を迎える場合が多かった。
このような点に鑑み、接続ゴム部12は、本例のように、本体ゴム部11よりも、耐摩耗性が低い(すなわち、摩耗しやすい)ものであると、上述した摩耗インジケータ31による効果を良好に得ることができるので、好適である。この場合、本体ゴム部11よりも接続ゴム部12のほうが先に摩耗していくので、接続ゴム部12に埋設された摩耗インジケータ31を用いて、接続ゴム部12の摩耗状況の管理を行うようにすれば、仮に本体ゴム部11は摩耗状況の管理をせずとも、コンベヤベルト1全体の摩耗状況の管理としては、十分となる。
ここで、接続ゴム部12は、例えば、本体ゴム部11とは異なるゴム(すなわち、本体ゴム部11とは組成が異なるゴム)からなっていることにより、本体ゴム部11よりも耐摩耗性が低いものとされてもよいし、かつ/又は、本体ゴム部11よりも長い時間を掛けて加硫されたものであることにより、本体ゴム部11よりも耐摩耗性が低いものとされてもよい。
なお、本体ゴム部11の耐摩耗性と接続ゴム部12の耐摩耗性とは、それぞれ、JIS K6322:2018にて引用されるJIS K6264-2の規定に従って測定されるものとする。
本例では、上述のように、接続ゴム部12が本体ゴム部11よりも耐摩耗性が低い(すなわち、摩耗しやすい)ものであり、また、摩耗インジケータ層30(ひいては、摩耗インジケータ31)は、カバーゴム10のうち、接続ゴム部12のみに埋設されており、本体ゴム部11には埋設されていない。このように、摩耗状況の管理が特に必要な接続ゴム部12のみに、摩耗インジケータ層30を設けることで、仮に摩耗インジケータ層30が本体ゴム部11にも設けられている場合に比べて、コストの低減や製造性の向上が可能になる。
なお、図5及び図6の例において、摩耗インジケータ層30(ひいては、摩耗インジケータ31)は、摩耗インジケータ層30が配置された厚み方向位置において、互いに周方向に隣接する本体ゴム部11の周方向端部111、112どうしの間の領域の、周方向のほぼ全体、かつ、幅方向のほぼ全体にわたって、配置されている。しかし、摩耗インジケータ層30(ひいては、摩耗インジケータ31)は、摩耗インジケータ層30が配置された厚み方向位置において、互いに周方向に隣接する本体ゴム部11の周方向端部111、112どうしの間の領域の、周方向の一部のみ、かつ/又は、幅方向の一部のみにわたって、配置されていてもよい。ただし、搬送物Mの種類やコンベヤベルト1の配設環境等によって、幅方向における摩耗量の分布が異なることが多いため、摩耗インジケータ層30(ひいては、摩耗インジケータ31)は、摩耗インジケータ層30が配置された厚み方向位置において、互いに周方向に隣接する本体ゴム部11の周方向端部111、112どうしの間の領域の、少なくとも幅方向のほぼ全体にわたって、配置されていると、好適である。
なお、カバーゴム10に摩耗が生じていない状態において、摩耗インジケータ31の幅方向端部は、カバーゴム10によって覆われていてもよいし、あるいは、カバーゴム10の幅方向端面に露出していてもよい。
ところで、コンベヤベルトは、一般的に、キャリア側の部分では、搬送物Mがこぼれ落ちるのを回避するために、幅方向両側の端部分が上側へ曲げられるため、曲げ易さの確保が重要である。仮に摩耗インジケータ31が硬いと、コンベヤベルト1の接続部1jが曲げにくくなるおそれがある。
その点、本例では、上述のように、摩耗インジケータ31が、網目状の糸31t、31uで構成されている(図3)。これにより、仮に摩耗インジケータ31が網目状ではなく一続きのシート状に構成される場合に比べて、摩耗インジケータ31が、曲げ易くなるとともに、伸縮性も有することができるので、コンベヤベルト1の曲げ易さを十分に確保できる。
なお、摩耗インジケータ31が網目状の糸31t、31uで構成されている場合、糸31t、31uを構成する材料は、ナイロン又はポリエステルが好適であり、ナイロンが特に好適である。これにより、摩耗インジケータ31の伸縮性をより向上できるとともに、摩耗インジケータ31のコストを低く抑えることができる。
また、摩耗インジケータ31が網目状の糸31t、31uで構成されている場合、糸31t、31uの繊度は、840dtex以上であると好適であり、860dtex以上であるとより好適である。これにより、糸31t、31uを十分に太くし、摩耗インジケータ31を十分に視認しやすくすることができるとともに、摩耗インジケータ31の耐久性を十分に確保できる。
また、糸31t、31uの繊度は、940dtex以下であると好適であり、920dtex以下であるとより好適である。これにより、摩耗インジケータ31によってコンベヤベルト1が曲げにくくなるのを抑制できる。
なお、上述の繊度の数値範囲は、糸31t、31uがナイロンからなる場合に、特に好適なものである。
また、摩耗インジケータ31が網目状の糸31t、31uで構成されている場合、周方向に延在する糸31tの打込み本数は、幅方向に沿って82〜88本/5cmであると好適であり、また、幅方向に延在する糸31uの打込み本数は、周方向に沿って82〜88本/5cmであると好適である。
また、摩耗インジケータ31の曲げ易さ、耐久性、伸縮性を確保する観点から、摩耗インジケータ31が網目状の糸31t、31uで構成されている場合、周方向に延在する糸31tの引張り強さは、62〜68N/本であると好適であり、幅方向に延在する糸31uの引張り強さは、57〜63N/本であると好適である。また、周方向に延在する糸31tの引張り強さは、幅方向に延在する糸31uの引張り強さよりも高いと、好適である。
ここで、糸31t、31uの引張り強さは、1本の糸31t、31uについて、JIS L 1013:2010の「8.5.1 標準時試験」における切断時の強さSD(N)を測定して得た値とする。
なお、上述の引張り強さの数値範囲は、糸31t、31uがナイロンからなる場合に、特に好適なものである。
また、摩耗インジケータ31の曲げ易さや耐久性を確保する観点から、摩耗インジケータ31の厚み(厚み方向の寸法)T1(図2、図3)は、0.8〜1.7mmであると好適であり、1.0〜1.5mmであるとより好適である。
なお、摩耗インジケータ層30が接着ゴム層32a、32bを有する場合、摩耗インジケータ31の外周側及び内周側の接着ゴム層32a、32bの厚み(厚み方向の寸法)T2(図3)は、それぞれ、0.5〜1.0mm程度がよい。
摩耗インジケータ31を視認し易くする観点から、摩耗インジケータ31の色は、接続ゴム部12の色とは異なることが好適である。一般的には、接続ゴム部12の色は黒色であるため、摩耗インジケータ31の色は、例えば、茶色、白色、黄色、赤色、青色、緑色等が好適である。あるいは、摩耗インジケータ31の色は、接続ゴム部12の黒色とは異なる色調の黒色であっても、好適である。
摩耗インジケータ31は、図3の例のように網目状の糸31t、31uで構成される場合に限られず、接続ゴム部12とは外観で区別でき、比較的薄く曲げ易いものであれば、任意の構成を有するものでよい。例えば、摩耗インジケータ31は、接続ゴム部12の色とは異なる色のゴムシートで構成されてもよい。
なお、図5及び図6の例では、1つの接続部1j(ひいては、接続ゴム部12)につき、1つの摩耗インジケータ31のみが配置されているが、1つの接続部1j(ひいては、接続ゴム部12)につき、複数の摩耗インジケータ31を、幅方向及び/又は周方向に配列してもよい。その場合、仮に、複数の摩耗インジケータ31どうしが厚み方向に重なり合う部分があると、その部分でコンベヤベルト1が硬くなり、曲げ難くなるおそれがある。したがって、複数の摩耗インジケータ31どうしが厚み方向に重なり合わないように、例えば、これらを同じ厚み方向位置に配置すると、好適である。
つぎに、図4、図7〜図8を参照して、上述した本実施形態のコンベヤベルト1の製造方法の例を説明する。
まず、予め、例えば施工現場から離れたところにある工場において、1つ又は複数の帯状の本体部1mを製造する(本体部製造ステップ)。これらの本体部1mは、それぞれ内部に補強芯体20を有しており、例えば、それぞれ巻かれた状態で、施工現場まで搬送される。
つぎに、例えば施工現場において、接続部1jを形成する(接続部形成ステップ)。
接続部形成ステップでは、つぎに説明する補強芯体配置ステップ、積層体作製ステップ、組み付けステップ、及び、加硫ステップを行う。
補強芯体配置ステップでは、図4に示すように、本体部1mの周方向(長手方向)の端部分において、本体ゴム部11を切除し、補強芯体20を露出させる。そして、一対の本体部1mの周方向の端部111、112どうしを対向させるとともに、それぞれの本体部1mの補強芯体20を、前述したように配置する。
一方、積層体作製ステップでは、図7に示すように、接続部1jのうち、補強芯体20以外の部分を、構成部材どうしを積層することで準備する。具体的には、複数の未加硫ゴムシート12sと摩耗インジケータ層30とを積層し、その周方向両側の部分を本体部1mの周方向端部111、112のテーパ形状に合うように、テーパ状に切断することで、接続部1jのうち、補強芯体20よりも外周側の部分を構成するための積層体41を作製する(図7(a))。このとき、摩耗インジケータ層30の接着ゴム層32a、32bは、未加硫ゴムからなるものであり、摩耗インジケータ31と一体の状態(摩耗インジケータ31に貼りついた状態)にあるものとする。また、1つ又は複数の未加硫ゴムシート12sを積層し、その周方向両側の部分を本体部1mの周方向端部111、112のテーパ形状に合うように、テーパ状に切断することで、接続部1jのうち、補強芯体20よりも内周側の部分を構成するための積層体42を作製する(図7(b))。
その後、組み付けステップでは、図8に示すように、積層体作製ステップで作製した積層体41、42を、それぞれ、補強芯体配置ステップで配置した接続部1jの補強芯体20の外周側及び内周側に配置する。ここで、組み付けステップにおいては、接続部1jの補強芯体20どうしの間の隙間に、長細い棒状の未加硫ゴムを配置してもよい。この場合、この後の加硫ステップにおいて、接続部1jの補強芯体20どうしの間の隙間を、より効果的にゴムで埋めることができる。
その後、加硫ステップでは、図8に示すように、接続部1jの未加硫ゴム(未加硫ゴムシート12s及び接着ゴム層32a、32b等)の加硫を行う。このとき、接続部1jの外周面1o上には、加圧バッグBを介して加熱板UPを設置し、接続部1jの内周面1i上には、他の加熱板LPを設置し、これらの加熱板UP、LPどうしを、図示しないボルトにより固定する。その状態で、接続部1jに対し、加圧バッグBによる加圧と、加熱板UP、LPによる加熱とを行うことで、加硫を行う。
加硫が完了すると、本体部1mどうしを一体に接続する接続部1jが完成する。
なお、本実施形態のコンベヤベルト1は、上述の製造方法とは異なる製造方法により製造されてもよい。
本発明のコンベヤベルトは、例えば、採鉱現場や建設現場等において様々な搬送物を運搬するために好適に使用することができる。
1:コンベヤベルト、 1o:外周面、 1i:内周面、 1j:接続部、 1m:本体部、
2:ベルトコンベヤ、
10:カバーゴム、 11:本体ゴム部、 11o:外周側本体ゴム部、 11i:内周側本体ゴム部、 111、112:周方向端部、 12:接続ゴム部、 12o:外周側接続ゴム部、 12i:内周側接続ゴム部、 12s:未加硫ゴムシート、 20:補強芯体、 201、202:周方向端部、 30:摩耗インジケータ層、 31:摩耗インジケータ、 31t、31u:糸、 31h:穴、 32a、32b:接着ゴム層、 41、42:積層体、
H:ホッパ、 M:搬送物、 P1、P2:プーリ、 UP、LP:加熱板、 B:加圧バッグ、 TC:補強芯体より外周側の接続ゴム部の厚み方向中心位置、 P:人、 C:カメラ、 L1:補強芯体から摩耗インジケータまでの厚み方向の距離、 T1:摩耗インジケータの厚み、 T2:接着ゴム層の厚み

Claims (5)

  1. 外表面を形成するカバーゴムと、当該カバーゴムに埋設された、スチールコードからなる補強芯体と、を有する、無端帯状のコンベヤベルトであって、
    前記カバーゴムは、本体ゴム部と、前記補強芯体の周方向端部を含む領域に設けられ、前記本体ゴム部の周方向端部同士を接続する接続ゴム部と、を備え、
    前記補強芯体より外周側の前記接続ゴム部に、当該接続ゴム部の摩耗時に視認できる摩耗インジケータが埋設されていることを特徴とする、コンベヤベルト。
  2. 前記摩耗インジケータは、前記補強芯体より外周側の前記接続ゴム部の厚み方向中心位置より内周側に、かつ、前記補強芯体から離間して、埋設されている、請求項1に記載のコンベヤベルト。
  3. 前記接続ゴム部は、前記本体ゴム部とは異なるゴムからなっている、請求項1又は2に記載のコンベヤベルト。
  4. 前記摩耗インジケータは、網目状の糸で構成されており、当該糸の繊度は840〜940dtexである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のコンベヤベルト。
  5. 前記摩耗インジケータは、前記補強芯体から前記接続ゴム部の厚み方向に3〜10mm離間して、埋設されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のコンベヤベルト。
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