JP2020069439A - 遠心機 - Google Patents

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Abstract

【課題】ロータに結露水がかかるリスクを抑制することの可能な遠心機を提供する。
【解決手段】遠心機1は、駆動装置21と、駆動装置21によって回転されるロータ20と、ロータ20を収納するボウル3と、ボウル3の上部開口を開閉可能に塞ぐドア13と、ボウル3を冷却する蒸発器11と、を有する。ボウル3内に、ボウル3に対して固定され、ロータ20を収納するインナーチャンバー30が設けられる。インナーチャンバー30は、排気口31a及び吸気口32aを有し、排気口31aは、ロータ20の回転中心軸からみたロータ20の径方向においてロータ20の最外周部より外側に設けられ、吸気口32aは、ロータ20の回転中心軸からみたロータ20の径方向において、ロータ20の回転中心軸よりも外側、かつ、排気口31aよりも内側に設けられる。
【選択図】図1

Description

本発明は、試料の遠心分離や精製等を行う冷却機能付きの遠心機に関する。
遠心機では一般に、分離対象の試料(例えば培養液や血液など)を収容した遠心チューブやボトル等の試料容器をロータに保持し、ドアにより密閉された回転室内でモータ等の駆動装置によりロータを高速回転させ、試料容器内の試料に遠心力を働かせることで試料の分離や精製等を行う。連続ロータを用いる遠心機の場合、回転中に遠心機の外部から連続的にロータ内に試料を注入し、また回転中にロータ内から遠心機の外部に連続的に試料を注出可能である。
特開2016−87483号公報
冷却機能付きの遠心機では、ロータを収納した回転室の内壁に結露が発生することがある。ロータの回転による気流で回転室の内壁に付着した結露水が飛散すると、ロータに結露水がかかるリスクがある。
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、ロータに結露水がかかるリスクを抑制することの可能な遠心機を提供することにある。
本発明のある態様は、遠心機である。この遠心機は、
駆動装置と、
前記駆動装置によって回転されるロータと、
開口部を有し、前記ロータを収納する第1収納部と、
前記第1収納部の前記開口部を開閉可能に塞ぐドアと、
前記第1収納部を冷却する冷却装置と、を有し、
前記第1収納部内に、前記第1収納部に対して固定され、前記ロータを収納する第2収納部を有しており、
前記第2収納部は、自身の内部の空間と、自身の外部かつ前記第1収納部の内部の空間と、を互いに連通させる通気口を有し、
前記第1通気口は、前記ロータの回転中心軸からみた前記ロータの径方向において前記ロータの最外周部より外側に設けられ、
前記第2通気口は、前記ロータの回転中心軸からみた前記ロータの径方向において前記ロータの回転中心軸よりも外側、かつ、前記第1通気口よりも内側に設けられている。
前記通気口は、第1及び第2通気口を有し、
前記第1通気口は、前記第2収納部の外周面に設けられ、
前記第2通気口は、前記第2収納部の上面に設けられてもよい。
前記第1通気口による風路面積が、前記第2通気口による風路面積より小さくてもよい。
前記第1通気口は、前記第2収納部の上部と下部にそれぞれ設けられ、
上部の前記第1通気口と下部の前記第1通気口の一方を塞ぐ第1閉塞部材と、他方を塞ぐ第2閉塞部材と、を選択的に前記第2収納部に設けることができてもよい。
互いにサイズの異なるロータを択一的に取付け可能であってもよい。
前記ロータの回転により、前記第2収納部内の気体が前記第2収納部外かつ前記第1収納部内に排出され、該排出された気体の代わりに、前記第2収納部外かつ前記第1収納部内の気体が前記第2収納部内に流入してもよい。
前記ロータの上面と、当該上面に対向する非回転部と、の間の隙間の長さが、10mm〜20mmの範囲であってもよい。
前記ロータの下面と、当該下面に対向する非回転部と、の間の隙間の長さが、10mm〜20mmの範囲であってもよい。
前記ロータの側面と、当該側面に対向する非回転部と、の間の隙間の長さが、10mm〜20mmの範囲であってもよい。
前記第1収納部内の気体は、前記冷却装置によって除湿されてもよい。
前記第2収納部は、開口部を有する円筒部と、前記円筒部の前記開口部を塞ぐ蓋部と、を含んでもよい。
前記第2収納部は、前記第1収納部に溶接又はネジ止めにより固定されてもよい。
前記冷却装置は、圧縮機と蒸発器とを含み、さらに、前記蒸発器は、前記第1収納部の外周に巻かれたパイプであってもよい。
前記第1収納部は、結露水を排出するための排出口を有してもよい。
前記ロータは、自身の中心軸部近傍に試料注入注出部を有し、
前記第2収納部は、前記試料注入注出部の上方となる位置に試料導入部を有してもよい。
前記試料導入部には管状流路が接続され、
前記試料注入注出部及び前記試料導入部及び前記管状流路を通して外部から試料を連続的に前記ロータに注入できる構成であってもよい。
前記ロータにはマグネットが設けられ、
前記第2収納部又は前記駆動装置の固定部に、前記マグネットの発生する磁界を検出するセンサが設けられ、前記ロータの種類、位置、あるいは回転速度を検出してもよい。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、ロータに結露水がかかるリスクを抑制することの可能な遠心機を提供することができる。
本発明の実施の形態1に係る遠心機1の側断面図。 図1の要部拡大図。 遠心機1のロータ室4内の斜視図であって、第2収納部30及び第1閉塞部材35の一部を切り欠いて断面とした斜視図。 図3に示す、インナーチャンバー30の胴体部31及び蓋部32と、第1閉塞部材35と、ロータ20と、の分解状態の斜視図。 胴体部31を断面とし、インナーチャンバー30内を上方から見た図。 図5に、ロータ20の回転により発生する気流の流れを示す矢印を追加した図。 図5の胴体部31の排気口31aをロータ20の径方向に対してロータ20の回転方向に傾斜させた場合の図。 図7にロータ20の回転により発生する気流の流れを追加した図。 本発明の実施の形態2に係る遠心機の要部拡大側断面図。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
(実施の形態1)
図1〜図8を参照し、本発明の実施の形態1に係る遠心機1を説明する。図1により、遠心機1の上下方向を定義する。図2では、ロータ20の回転により発生する気流の流れを矢印で示している。
遠心機1は、外殻部を成すフレーム5及びドア13を備える。フレーム5は、遠心機1を構成する各部材を収容する筐体である。ドア13は、フレーム5の上端部に回動可能に支持され、フレーム5の上部開口及びボウル3の上部開口を開閉可能に塞ぐ。ドア13の下面には、ボウル3の上部開口を塞ぐ位置に、発泡材などの断熱材15が設けられる。ドア13の上面には、作業者が各種操作を行うための操作部17が設けられる。
フレーム5内の上部には、第1収納部としてのボウル3が設けられる。ボウル3は、例えばステンレス材料からなる底付きの円筒状の容器である。ボウル3は、フレーム5に対して、ネジ止め等により固定される。ロータ室4は、ボウル3の内部空間である。ボウル3の下面には、結露水を排出するための排出口が設けられる。当該排出口にはドレンチューブ(排出部)6の一端が接続される。ドレンチューブ6の他端は、フレーム5の外部に位置する。ボウル3の周囲には、蒸発器(エバポレータ)11が巻かれる。蒸発器11は、冷却パイプであって、ロータ室4を冷却するために設けられる。蒸発器11の周囲は、発泡材などの断熱材9で覆われる。断熱材9は、ボウル3の下面も覆う。断熱材9の周囲には、円筒状のプロテクタ7が配置される。
ボウル3内には、第2収納部としてのインナーチャンバー30が設けられる。インナーチャンバー30内に、ロータ20が回転自在に収納支持される。好ましくは、ロータ20は着脱可能であり、ロータ20とはサイズの異なるロータをインナーチャンバー30内に収納支持可能である。すなわち、遠心機1は、互いにサイズの異なるロータを択一的に取付け可能であるとよい。ロータ20は、チタン合金またはアルミニウム合金等からなる。図2〜図4に示すように、ロータ20は、本体部20aと、軸部20bと、を含む。本体部20aは、円板形状であって、遠心分離すべき試料を保持する。軸部20bは、本体部20aから下方に延出する。軸部20b内に、駆動装置21の出力軸が入り込む。ロータ20は、モータ等の駆動装置21によって回転駆動される。駆動装置21は、フレーム5に弾性部材であるダンピングラバーを介して取付けられる。駆動装置21は、ロータ20の下方に位置し、インナーチャンバー30及びボウル3の内部から、ボウル3の下方に延在する。
インナーチャンバー30は、ボウル3にネジ止め又は溶接等により固定される。インナーチャンバー30は、駆動装置21の固定部に固定されてもよい。インナーチャンバー30は、アルミニウム材料からなる。インナーチャンバー30の材質は、金属が好ましいが、樹脂であってもよい。インナーチャンバー30は、胴体部31と、蓋部32と、を含む。胴体部31は、上端に開口部を有する円筒部である。蓋部32は、胴体部31の上部開口部を塞ぐ。インナーチャンバー30は、ロータ室4を構成するボウル3の内壁に付着した結露水がロータ20の回転による気流で飛散してロータ20にかかるリスクを低減する。
インナーチャンバー30は、第1通気口としての排気口31aと、第2通気口としての吸気口32aと、を有する。排気口31a及び吸気口32aは、インナーチャンバー30の内部の空間と、インナーチャンバー30の外部かつボウル3の内部の空間と、を互いに連通させる。排気口31aは、胴体部31の外周面の上部と下部にそれぞれ、等角度間隔で6個設けられる。排気口31aは、ロータ20の径方向においてロータ20の最外周部より外側に設けられる。排気口31aの個数は、必要な冷却性能に応じて適宜決定すればよい。吸気口32aは、インナーチャンバー30の上面を成す蓋部32に設けられる。吸気口32aは、ロータ20の径方向においてロータ20の中心軸20aよりも外側、排気口31aよりも内側に設けられる。吸気口32aは、ロータ20の回転軸周りに等角度間隔で6個設けられる。吸気口32aの個数は、必要な冷却性能に応じて適宜決定すればよい。
インナーチャンバー30内には、第1閉塞部材35が着脱可能に設けられる。第1閉塞部材35は、アルミニウム材料からなり、インナーチャンバー30に対して着脱可能に取付けられている。第1閉塞部材35は、円環状であって、下部の排気口31aを塞ぐ。下部の排気口31aが塞がれると、ロータ20の回転により発生する気流のうち上部の排気口31aから排気される量が増える。上部の排気口31aは、ロータ20の最外周部と対向する位置にあるため、上部の排気口31aからの排気量が増えると、ロータ20の冷却効率が高められる。第1閉塞部材35は、インナーチャンバー30内のロータ20に接する空間を狭め、風損を低減させる効果もある。更に、排気口31aは、ロータ20の最大外径部付近に設けられているので、インナーチャンバー30内の気体を効率良く排出できる。
インナーチャンバー30内にロータ20よりもサイズの大きいロータ(例えば図9に示すロータ50のような形状のロータ)を収納支持する場合は、第1閉塞部材35を取り外す。この場合、蓋部32を例えば図9に示す蓋部33のような形状の第2閉塞部材として上部の排気口31aを塞ぎ、下部の排気口31aから排気することで、サイズの大きなロータの冷却効率を高めることができる。
排気口31aによる風路面積(第1閉塞部材35により塞がれた排気口31a以外の排気口31aの開口面積の合計)は、好ましくは吸気口32aによる風路面積(吸気口32aの開口面積の合計)よりも小さい。これにより、実現したい風量に対して排気口31aの開口面積を最小限にすることができ、胴体部31の内周面の凹凸が少なくなり、風損が低減される。
図2に示す、ロータ20の上面、すなわちロータ20の本体部20aの上面と、当該上面に対向する非回転部である蓋部32の下面と、の間の隙間の長さG1は、好ましくは10mm〜20mmの範囲であり、さらに好ましくは10mm〜15mmの範囲である。ロータ20の下面、すなわちロータ20の本体部20aの下面と、当該下面に対向する非回転部である第1閉塞部材35の上面と、の間の隙間の長さG2は、好ましくは10mm〜20mmの範囲であり、さらに好ましくは10mm〜15mmの範囲である。ロータ20の外周面、すなわちロータ20の本体部20aの外周面と、当該外周面に対向する非回転部である胴体部31の内周面と、の間の隙間の長さG3は、好ましくは10mm〜20mmの範囲であり、さらに好ましくは10mm〜15mmの範囲である。各々の隙間の長さG1、G2、G3は、短いほど風損低減に有利となるが、公差が累積してもロータ20が胴体部31、蓋部32、及び第1閉塞部材35に接触しないように余裕を持たせる必要がある。風損低減と設計上の余裕とのバランスの観点から、各々の隙間の長さG1、G2、G3は、上記の範囲が適当である。
図2に示すように、ロータ20の軸部20bの下端部には、マグネット26が設けられる。マグネット26は、ロータ20の回転軸周りに複数設けられている。駆動装置21の固定部の上面には、ホール素子等の磁気センサであるセンサ24が設けられる。センサ24は、マグネット26と対向する配置である。センサ24は、インナーチャンバー30に設けられてもよい。センサ24は、ロータ20の回転に伴うマグネット26の配置位置を検出して、ロータを識別し、また、回転速度や回転位置を検出可能である。つまり、ロータにマグネットが設けられ、第2収納部又は前記駆動装置の固定部に、マグネットの発生する磁界を検出するセンサが設けられることで、遠心機1はロータの状態を把握することができる。
フレーム5内の下部には、凝縮器25及び圧縮機27が設けられる。蒸発器11、凝縮器25、圧縮機27、及びキャピラリーチューブ29は、ボウル3を冷却する冷却装置を構成する。この冷却装置は、ロータ室4内を冷却する以外に、ロータ室4内の空気中の水分を、ボウル3の表面に霜として付着させることにより、空気中の水分を分離する。これによりロータ室4内の気体を除湿することができ、この除湿されて空気(気体)をインナーチャンバー30内に、後記する空気の流れによって、ロータ室4からインナーチャンバー30内に供給する。なお、ボウル3に付着した霜(氷)が溶解した場合には、ドレンチューブから排出される。フレーム5内における凝縮器25の上方となる位置に、制御部23が設けられる。制御部23は、マイクロコンピュータ等を含み、遠心機1の全体の動作を制御する。
駆動装置21によりロータ20が回転されると、図2及び図6に矢印で示すように、インナーチャンバー30内の気体が、胴体部31の外周面上部の排気口31aを通って、インナーチャンバー30外かつボウル3内の空間に排出される。当該排出された気体の代わりに、図2に矢印で示すように、インナーチャンバー30外かつボウル3内の空間の気体、すなわちロータ室4内の冷却された気体が、吸気口32aを通って、インナーチャンバー30内に流入する。
図1〜図6では、排気口31aが、放射状に設けられている場合を説明した。排気口31aの延出方向は、ロータ20の径方向に対して傾いていてもよい。図7は、排気口31aをロータ20の径方向に対してロータ20の回転方向(図示の例では反時計回り)に傾斜させた場合の図である。図8は、図7にロータ20の回転により発生する気流の流れを追加した図である。排気口31aの反ロータ20側の開口は、ロータ20側の開口よりも、ロータ20の回転方向における位置が、反時計回り側にずれている。これにより、ロータ20の回転により発生する気流の流れ方法と、排気口31aの延出方向とが平行(概ね一致する)に近づくため、排気口31aからの気体の排出がスムーズになり、風損が低減される。もっとも、加工性の観点では、排気口31aの延出方向は、放射状に設けられている。
本実施の形態によれば、下記の作用効果を奏することができる。
(1) 遠心機1は、冷却機能付きであり、ロータ20を収納したロータ室4の内壁に結露が発生することがある。ロータ室4の内壁に付着した結露水がロータ20の回転による気流で飛散すると、ロータ20に結露水がかかるリスクがある。遠心機1では、インナーチャンバー30でロータ20を囲むため、ロータ20に結露水がかかるリスクを抑制することができる。
(2) ロータ20がインナーチャンバー30で囲まれるため、インナーチャンバー30が存在しない場合と比較してロータ20の周囲の空気の容積を減らすことができ、ロータ20の風損を低減できる。図2に示す各隙間の長さG1、G2、G3を上記の範囲とすることで、風損低減と設計上の余裕とのバランスを好適に確保できる。
(3) インナーチャンバー30が排気口31a及び吸気口32aを有するため、ロータ20の回転により発生する気流でロータ20を冷却することができ、ロータ20の温度を例えば20℃〜25℃の範囲で一定に保持できる。
(4) 排気口31aによる風路面積を吸気口32aによる風路面積よりも小さくすれば、実現したい風量に対して排気口31aの開口面積を最小限にすることができ、胴体部31の内周面の凹凸が少なくなり、ロータ20の風損を低減できる。
(5) 第1閉塞部材35で胴体部31の下部の排気口31aを塞ぐため、ロータ20の最外周部と対向する位置にある上部の排気口31aからの排気量が増え、ロータ20の冷却効率が高められる。また、第1閉塞部材35を設けることで、ロータ20の周囲の空気の容積を減らし、ロータ20の風損を低減できる。
(6) インナーチャンバー30の内周面が円筒面であるため、ロータ20の風損を低減できる。
以下、ロータ20の回転速度を16,000rpmとした場合の風損低減効果の一例を挙げる。遠心機1からインナーチャンバー30及び第1閉塞部材35を無くした構成の場合、風損は249Wであった。遠心機1においてインナーチャンバー30の排気口31a及び吸気口32aを無くした構成の場合、風損は193Wであった。但し、インナーチャンバー30内に冷却されて空気(気体)を供給することができないため、ロータ20はほぼ冷却することはなかった。本実施の形態の遠心機1では、目標とする冷却温度範囲以下にロータ20を冷やすことができ、この時の風損は236Wであった。遠心機1において、排気口31aを2個とした場合は、目標とする冷却温度範囲にロータ20を冷やすことができ、この時の風損は220Wであった。従い、排気口31aを2個設けた構成が本実施形態における好適な一例である。
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2に係る遠心機の要部拡大側断面図である。図9では、ロータ50の回転により発生する気流の流れを矢印で示している。本実施の形態の遠心機は、実施の形態1の遠心機1と比較して、ロータ20がロータ50に替わり、蓋部32が第2閉塞部材としての蓋部33に替わり、第1閉塞部材35が無くなっている。
ロータ50は、チタン合金またはアルミニウム合金等からなる。ロータ50の本体部50aは、ロータ20の本体部20aと比較して、上下方向のサイズが大きい。ロータ50の最外周部は、下部の排気口31aと対向する。ロータ50は、連続ロータであって、回転中に遠心機の外部から連続的に液体試料が注入され、また回転中に遠心機の外部に連続的に試料を注出可能な構成である。
ロータ50は、自身の中心軸部近傍の上面に第1試料注入注出部を有する。ロータ50の第1試料注入注出部に対して、シール部51を介して、管状流路を成すチューブ53から試料が注入される。また、ロータ50の第1試料注入注出部から、シール部51を介して、チューブ53に試料が注出される。シール部51は、固定部分と回転部分を液漏れがないように接続する部材である。チューブ53は、注入用と注出用に1本ずつ、合計2本設けられる。チューブ53は、遠心機外に延出する。蓋部33は、ロータ50の中心軸延長上となる位置、すなわち第1試料注入注出部の上方となる位置に、第2試料注入注出部を成す貫通穴33cを有する。貫通穴33c内にシール部51が延在し、貫通穴33c内をチューブ53が通る。第1試料注入注出部、第2試料注入注出部としての貫通穴33c、及びチューブ53を通して、遠心機の外部からロータ50に試料を連続的に注入でき、また、ロータ50から試料を遠心機の外部に連続的に注出できる。
蓋部33は、閉塞部33bを有する。閉塞部33bは、蓋部33の上面から下方に延びて、インナーチャンバー30の胴体部31の内周面に近接する円筒部である。閉塞部33bは、胴体部31の上部の排気口31aを塞ぐ。閉塞部33bの下端面は、ロータ50の外周面と略平行になるように、テーパー形状(円錐台側面形状)となっている。蓋部33の吸気口33aは、実施の形態1の蓋部32の吸気口32aと同様に設けられる。つまり、ロータは、自身の中心軸部近傍に第1試料注入注出部を有し、第2収納部は、第1試料注入注出部の上方となる位置に第2試料注入注出部を有し、第2試料注入注出部には管状流路が接続され、第1試料注入注出部及び第2試料注入注出部及び管状流路を通して外部から試料を連続的に前記ロータに注入または抽出できるように構成されている。
図9に示す、ロータ50の上面と、当該上面に対向する非回転部である蓋部33の下面と、の間の隙間の長さG4は、好ましくはmm〜20mmの範囲であり、さらに好ましくは10mm〜15mmの範囲である。ロータ50の下面と、当該下面に対向する非回転部である胴体部31の上面と、の間の隙間の長さG5は、好ましくは10mm〜20mmの範囲であり、さらに好ましくは10mm〜15mmの範囲である。ロータ50の最外周部と、当該最外周部に対向する非回転部である胴体部31の内周面と、の間の隙間の長さG6は、好ましくは10mm〜20mmの範囲であり、さらに好ましくは10mm〜15mmの範囲である。
本実施の形態のその他の点は、実施の形態1と同様である。本実施の形態によれば、ロータ50に結露水がかかるリスクの抑制、ロータ50の風損低減、ロータ50の温度を例えば20℃〜25℃の範囲で一定に保持可能等、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
実施の形態1において、サイズの大きなロータを使用しない場合、下部の排気口31aは省略してもよく、胴体部31と第1閉塞部材35とを一体にした形状の部材をインナーチャンバー30の胴体部としてもよい。実施の形態2において、サイズの小さなロータを使用しない場合、上部の排気口31aは省略してもよい。
1 遠心機、3 ボウル(第1収納部)、4 ロータ室(回転室)、5 フレーム、6 ドレンチューブ(排出部)、7 プロテクタ、9 断熱材、11 蒸発器(エバポレータ)、13 ドア、15 断熱材、17 操作部、20 ロータ、20a 本体部、20b 軸部、21 駆動装置、23 制御部、24 センサ、25 凝縮器、26 マグネット、27 圧縮機、29 キャピラリーチューブ、30 インナーチャンバー(第2収納部)、31 胴体部、31a 排気口(第1通気口)、32 蓋部、32a 吸気口(第2通気口)、33 蓋部(第2閉塞部材)、33a 吸気口(第2通気口)、33b 閉塞部、33c 貫通穴(第2試料注入注出部)、35 第1閉塞部材、50 ロータ、51 シール部、53 チューブ

Claims (15)

  1. 駆動装置と、
    前記駆動装置によって回転されるロータと、
    開口部を有し、前記ロータを収納する第1収納部と、
    前記第1収納部の前記開口部を開閉可能に塞ぐドアと、
    前記第1収納部を冷却する冷却装置と、を有し、
    前記第1収納部内に、前記第1収納部に対して固定され、前記ロータを収納する第2収納部を有し、
    前記第2収納部は、自身の内部の空間と、自身の外部かつ前記第1収納部の内部の空間と、を互いに連通させる通気口が設けられ、
    前記通気口は、第1及び第2通気口を有し、
    前記第1通気口は、前記ロータの回転中心軸からみた前記ロータの径方向において前記ロータの最外周部より外側に設けられ、
    前記第2通気口は、前記ロータの回転中心軸からみた前記ロータの径方向において前記ロータの回転中心軸よりも外側、かつ、前記第1通気口よりも内側に設けられる、
    遠心機。
  2. 前記第1通気口は、前記第2収納部の外周面に設けられ、
    前記第2通気口は、前記第2収納部の上面に設けられる、請求項1に記載の遠心機。
  3. 前記第1通気口による風路面積が、前記第2通気口による風路面積よりも小さい、請求項2に記載の遠心機。
  4. 前記第1通気口は、前記第2収納部の上部と下部にそれぞれ設けられ、
    上部の前記第1通気口と下部の前記第1通気口の一方を塞ぐ第1閉塞部材と、他方を塞ぐ第2閉塞部材と、を選択的に前記第2収納部に設けることができる、請求項2又は3に記載の遠心機。
  5. 互いにサイズの異なるロータを択一的に取付け可能である、請求項4に記載の遠心機。
  6. 前記ロータの回転により、前記第2収納部内の気体が前記第2収納部外かつ前記第1収納部内に排出され、該排出された気体の代わりに、前記第2収納部外かつ前記第1収納部内の気体が前記第2収納部内に流入する、請求項1から5のいずれか一項に記載の遠心機。
  7. 前記ロータの上面と、当該上面に対向する非回転部と、の間の隙間の長さが、10mm〜20mmの範囲である、請求項1から6のいずれか一項に記載の遠心機。
  8. 前記ロータの下面と、当該下面に対向する非回転部と、の間の隙間の長さが、10mm〜20mmの範囲である、請求項1から7のいずれか一項に記載の遠心機。
  9. 前記ロータの側面と、当該側面に対向する非回転部と、の間の隙間の長さが、10mm〜20mmの範囲である、請求項1から8のいずれか一項に記載の遠心機。
  10. 前記第1収納部内の気体は、前記冷却装置によって除湿される、請求項1から9のいずれか一項に記載の遠心機。
  11. 前記第2収納部は、開口部を有する円筒部と、前記円筒部の前記開口部を塞ぐ蓋部と、を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の遠心機。
  12. 前記第2収納部は、前記第1収納部に溶接又はネジ止めにより固定されている、請求項1から11のいずれか一項に記載の遠心機。
  13. 前記冷却装置は、圧縮機と蒸発器とを含み、前記蒸発器は、前記第1収納部の外周に巻かれたパイプである、請求項1から12のいずれか一項に記載の遠心機。
  14. 前記第1収納部は、結露水を排出するための排出口を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の遠心機。
  15. 前記ロータは、前記回転中心軸に試料注入部を有し、
    前記第2収納部は、前記試料注入部の上方となる位置に試料導入部を有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の遠心機。
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