JP2020066995A - 内燃機関の制御システム - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関の燃焼効率低下および失火を抑制し、かつユーザの違和感を抑制しつつ、EGR弁の作動不良を抑制する。【解決手段】制御装置ECUは、車両に搭載されるエンジンを制御する。このエンジンは、排気経路内の排気を吸気経路に還流させるためのEGR配管を備える。EGR配管には、吸気経路に還流される排気流量を調整するように構成されたEGR弁が設けられる。ECUは、車両の走行中S10においてエンジンへの燃料供給を停止する燃料カット制御S14が実行される場合、燃料カット制御を開始してから待ち時間S16が経過した後に、EGR弁の開度を全開開度にするS20強制駆動制御を実行する。【選択図】図4
Description
本開示は、排気経路から吸気経路に還流される排気流量を調整するEGR(Exhaust Gas Recirculation)弁を備える内燃機関の制御システムに関する。
国際公開第2012/107950号(特許文献1)には、EGR弁を備える内燃機関の制御装置が開示されている。この制御装置は、内燃機関が搭載される車両の減速中に燃料カット制御が実行される場合、EGR弁を強制的に全開にする。これにより、内燃機関の燃焼効率を低下させることなく、EGR弁に堆積したデポジットを除去してEGR弁の作動不良を抑制することができる。
しかしながら、特許文献1に開示された制御装置のように、車両減速中における燃料カット制御の実行中にEGR弁を全開にすると、その後に燃料供給を復帰させる際に内燃機関が失火してしまう可能性がある。すなわち、燃料カット制御の開始直後にEGR弁を全開にすると、燃料カット制御の開始直前に燃焼した排気がEGR弁を通って吸気経路に大量に流入するため、EGR弁を全開にした直後には吸気経路内が排気過多(酸素不足)となる。したがって、EGR弁を全開にした直後にユーザがアクセルペダルを踏んで燃料供給が復帰されたとしても、排気過多(酸素不足)の状態となり、内燃機関の燃焼が正常に行なわれず失火してしまうおそれがある。
本開示は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、内燃機関の燃焼効率低下および失火を抑制し、かつユーザの違和感を抑制しつつ、EGR弁の作動不良を抑制することである。
(1) 本開示による制御システムは、車両に搭載される内燃機関の制御システムである。内燃機関は、吸気経路と、排気経路と、排気経路内の排気を吸気経路に還流させるための還流路とを備える。制御システムは、還流路内に設けられ、還流路から吸気経路に還流される排気流量を調整するように構成された還流弁と、還流弁を制御するように構成された制御装置とを備える。制御装置は、車両の走行中において内燃機関への燃料供給を停止する燃料カット制御が実行される場合、燃料カット制御を開始してから待ち時間が経過した後に、還流弁の開度を全開開度にする強制駆動制御を実行する。
上記の制御装置は、車両の走行中に還流弁の強制駆動制御を実行する。これにより、強制駆動制御による還流弁の駆動音が車両の走行音によってユーザに聞こえ難くなるため、ユーザの違和感を抑制することができる。さらに、上記の制御装置は、燃料カット制御が実行される場合に強制駆動制御を実行する。これにより、内燃機関の燃焼が行なわれていない状態で強制駆動制御が行なわれることになるため、強制駆動制御によって内燃機関の燃焼効率が低下することも抑制される。
さらに、上記の制御装置は、燃料カット制御の開始直後ではなく、燃料カット制御を開始してから待ち時間が経過した後に、強制駆動制御を実行する。燃料カット制御の開始直前に燃焼した排気は待ち時間が経過するまでの間に内燃機関の外部に排出されるため、内燃機関内に燃焼後の排気がほとんど存在しない状態で強制駆動制御を開始することができる。そのため、強制駆動制御によって還流弁を全開にしたとしても、吸気経路内が排気過多(酸素不足)となることが抑制され易くなる。したがって、強制駆動制御の開始直後にユーザがアクセルペダルを踏んで燃料供給が再開されたとしても、内燃機関の失火を抑制することができる。その結果、内燃機関の燃焼効率低下および失火を抑制し、かつユーザの違和感を抑制しつつ、強制駆動制御を行なって還流弁の作動不良を抑制することができる。
(2) ある形態においては、待ち時間は、内燃機関への燃料供給を停止してから、還流路内の燃焼後の排気が所定値以下になるまでに要する時間以上に設定される。
上記形態によれば、還流路内の燃焼後の排気が所定値以下(たとえば0)に低下した状態で強制駆動制御を開始することができる。そのため、強制駆動制御によって還流弁を全開にしたとしても、吸気経路内が排気過多(酸素不足)となることをより適切に抑制することができる。
(3) ある形態においては、強制駆動制御は、還流弁の開度を全開開度にした後に、還流弁の開度を全閉開度にする制御を含む。
上記形態によれば、還流弁の全開不良を抑制することができることに加えて、還流弁の全閉不良をも抑制することができる。
(4) ある形態においては、制御装置は、強制駆動制御を所定時間実行した後に、還流弁の開度を全開開度と全閉開度との間の中間開度にする。
上記形態によれば、車両の走行中における燃料カット制御中において、強制駆動制御が実行された後は、還流弁の開度が全開開度と全閉開度との間の中間開度にされる。これにより、燃料カット制御が終了するまで強制駆動制御を継続する場合に比べて、次に燃料供給が再開された際に還流弁の開度を目標開度に早期に変位させることができる。
(5) ある形態においては、制御装置は、車両の走行中において燃料カット制御が実行されない場合、還流弁の開度を内燃機関の負荷に応じた開度にする。
上記形態によれば、車両の走行中において燃料カット制御が実行されていない場合には、還流弁の開度が内燃機関の負荷に応じた開度に調整されるため、内燃機関の燃焼効率が低下することが抑制される。
本開示によれば、内燃機関の燃焼効率低下および失火を抑制し、かつユーザの違和感を抑制しつつ、EGR弁(還流弁)の作動不良を抑制することができる。
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
図1は、本実施の形態によるエンジン1およびその制御システムの全体構成を示す図である。このエンジン1は、車両に搭載され、車両を走行させるための駆動力を発生する。エンジン1は、いわゆるV型8気筒のエンジンであり、8つの気筒が4つずつ2群に分けられてそれぞれ左バンク1aおよび右バンク1bに配列される。
エンジン1には、吸気管10および吸気マニホルド20を含む吸気経路と、排気マニホルド30aおよび排気管32aを含む左バンク1a用の排気経路と、排気マニホルド30bおよび排気管32bを含む右バンク1b用の排気経路とが備えられる。
エンジン1における燃焼に必要な空気(新気)は、吸気管10から吸気マニホルド20に集められた後、各気筒に分配される。吸気管10を流れる吸気量(吸入空気流量)は、スロットル弁12によって調節される。
左バンク1aの各気筒で発生する排気は、排気マニホルド30aに集められた後、排気管32aに排出される。右バンク1bの各気筒で発生する排気は、排気マニホルド30bに集められた後、排気管32bに排出される。各排気管32a,32bには、排気を浄化するための排気浄化触媒(図示せず)が設けられている。各排気管32a,32bを流れる排気は、排気浄化触媒によって浄化された後、車外に排出される。
左バンク1a側の排気マニホルド30aは、EGR配管34aによって、吸気マニホルド20のEGR吸入管22に連通される。EGR配管34a内には、EGR配管34aから吸気マニホルド20に還流される排気流量を調整するための第1EGR弁36aが備えられる。
右バンク1b側の排気マニホルド30bは、EGR配管34bによって、吸気マニホルド20のEGR吸入管22に連通される。EGR配管34b内には、EGR配管34bから吸気マニホルド20に還流される排気流量を調整するための第2EGR弁36bが備えられる。
エンジン1は、ECU(Electronic Control Unit)100によって制御される。ECU100は、図示しないCPU(Central Processing Unit)およびメモリを内蔵し、当該メモリに記憶された情報および後述する各センサ110,120からの情報などに基づいて所定の演算処理を実行し、その結果に基づいてエンジン1の出力(具体的にはスロットル開度、燃料噴射、点火時期等)を制御する。スロットル弁12の開度、第1EGR弁36aの開度(以下「第1EGR開度」ともいう)、および第2EGR弁36bの開度(以下「第2EGR開度」ともいう)は、ECU100によって制御される。
ECU100には、アクセル開度センサ110と、車速センサ120とが接続される。アクセル開度センサ110は、エンジン1が搭載される車両のユーザによるアクセルペダルの操作量(アクセル開度)を検出し、検出結果をECU100に送信する。車速センサ120は、エンジン1が搭載される車両の速度(車速)を検出し、検出結果をECU100に送信する。
車両の走行中において、ユーザがアクセルペダルを踏んでいる状態(以下「アクセルオン状態」ともいう)である場合、ECU100は、アクセル開度などに応じた燃料をエンジン1へ供給する燃料供給制御を実行する。
燃料供給制御中においては、ECU100は、第1EGR開度および第2EGR開度を、エンジン1の負荷に応じた開度にする。これにより、排気経路から吸気マニホルド20に還流される排気(EGRガス)によってエンジン1の燃費が向上される。
一方、車両の走行中において、ユーザがアクセルペダルを踏んでいない状態(以下「アクセルオフ状態」ともいう)である場合、ECU100は、エンジン1への燃料供給を停止する燃料カット制御を実行する。燃料カット制御中においては、駆動輪から伝達される車両の運動エネルギによってエンジン1が回転させられる。
上記のように、本実施の形態によるエンジン1は、排気経路内の排気を吸気マニホルド20に還流させるための2つのEGR配管34a,34bを備える。そして、2つのEGR配管34a,34b内には、吸気マニホルド20に還流される排気流量を調整するための第1EGR弁36aおよび第2EGR弁36bがそれぞれ設けられる。
<EGR弁の強制駆動>
排気中に含まれる煤および未燃炭化水素(HC)がEGR弁36a,36bの摺動部などに付着して堆積すると、この堆積物(デポジット)の影響によってEGR弁36a,36bの作動不良(滑らかに作動しなくなる「渋り」、作動しなくなる「固着」など)が生じる場合がある。このような作動不良が生じると、エミッションが悪化したり燃焼効率が低下して燃費が悪化することが懸念される。
排気中に含まれる煤および未燃炭化水素(HC)がEGR弁36a,36bの摺動部などに付着して堆積すると、この堆積物(デポジット)の影響によってEGR弁36a,36bの作動不良(滑らかに作動しなくなる「渋り」、作動しなくなる「固着」など)が生じる場合がある。このような作動不良が生じると、エミッションが悪化したり燃焼効率が低下して燃費が悪化することが懸念される。
そのため、ECU100は、エンジン1の各気筒での燃焼が行なわれていないタイミング(すなわち燃費向上のためにはEGR弁36a,36bを作動させる必要のないタイミング)において、EGR弁36a,36bを強制的に駆動する「強制駆動制御」を実行する。これにより、煤および未燃炭化水素がEGR弁36a,36bに堆積することを未然に抑制する。
強制駆動制御を実行可能なタイミング、すなわちエンジン1の各気筒での燃焼が行なわれていないタイミングとしては、「車両停止中(エンジン1の停止中)」、および、「車両走行中における燃料カット制御中」が想定される。
ところが、車両停止中(エンジン1の停止中)においては、車両走行音およびエンジン音が生じないため、強制駆動制御を行なうと、EGR弁36a,36bの駆動音(弁体が座面に当接する際に生じるカチカチ音など)が車両のユーザに聞こえ易くなる。特に、エンジン1の停止直後に強制駆動制御を行なう場合においては、大きなエンジン音が消えた後にEGR弁36a,36bの駆動音がユーザに聞こえるため、強制駆動制御の実行回数が多いとユーザが違和感を覚える可能性が高い。そのため、車両停止中においては、強制駆動制御の実行回数をユーザが違和感を覚えない程度の少ない回数に制限することが望ましく、その結果、EGR弁36a,36bに付着した物を十分に取り除くことができない可能性がある。
また、車両走行中における燃料カット制御中において、強制駆動制御によってEGR弁36a,36bを全開にすると、その後にエンジン1への燃料供給を復帰させる際にエンジン1が失火してしまうことが懸念される。
図2は、燃料カット制御中においてEGR弁36a,36bを全開にした場合における、吸気マニホルド20内のEGR率(吸気マニホルド20内における新気と燃焼後のEGRガスとの合計に対する燃焼後のEGRガスの割合)の変化を模式的に示す図である。なお、図2は、本実施の形態に対する比較例を示すものである。
図2において、横軸には時間が示され、縦軸には上から順にアクセル開度、車速、第1EGR開度、第2EGR開度、吸気マニホルド20内のEGR率が示される。図2に示すように、車両走行中において、アクセルオン状態からアクセルオフ状態に変化すると、そのタイミングで燃料カット制御が開始される。
図2には、燃料カット制御の開始直後から、強制駆動制御を開始する例が示されている。図2に示す例のように、仮に燃料カット制御の開始直後から強制駆動制御を開始して第1EGR開度および第2EGR開度を全開開度にすると、燃料カット制御の開始直前に燃焼した排気がEGR弁36a,36bを通って吸気マニホルド20に大量に流入する。そのため、強制駆動制御の開始直後は、吸気マニホルド20のEGR率が一時的に急増し、吸気マニホルド20内がEGR過多(酸素不足)となる。したがって、強制駆動制御の開始直後にユーザがアクセルペダルを踏んで燃料供給が復帰されたとしても、EGR過多(酸素不足)であるため、エンジン1の燃焼が正常に行なわれず失火してしまうおそれがある。
以上の点に鑑み、本実施の形態によるECU100は、車両走行中において燃料カット制御が開始された場合に、燃料カット制御の開始直後から強制駆動制御を開始するのではなく、燃料カット制御を開始してから「待ち時間」が経過した後に、EGR弁36a,36bを全開にする強制駆動制御を実行する。
ここで、「待ち時間」は、エンジン1への燃料供給を停止してから、EGR配管34a,34b内の燃焼後のEGRガスが所定値以下(たとえば0)になるまでに要する時間以上に設定される。
本実施の形態においては、「待ち時間」が、エンジン1の全運転条件に渡り、実験等によって予め求められた固定値であるものとして説明する。しかしながら、「待ち時間」はこのような固定値に限定されるものではない。たとえば、「待ち時間」は、エンジン1の排気流量に影響を与えるエンジン回転速度をパラメータとして変動する値であってもよい。また、「待ち時間」は、予め決められる時間ではなく、燃料カット制御を開始してから、エンジン1の運転状態から算出される推定EGR率が所定値以下(たとえば0%)に低下したことが検出されるまでの時間であってもよい。
図3は、車両走行中において燃料カット制御が開始されてから「待ち時間」が経過した後に強制駆動制御を開始してEGR弁36a,36bを全開にした場合における、吸気マニホルド20内のEGR率の変化を模式的に示す図である。
本実施の形態によるECU100は、車両走行中に燃料カット制御が開始された場合、図3に示すように、燃料カット制御の開始直後から強制駆動制御を開始するのではなく、「待ち時間」が経過した後に強制駆動制御を開始してEGR弁36a,36bを全開にする。上述のように、「待ち時間」は、エンジン1への燃料供給を停止してから、EGR配管34a,34b内の燃焼後のEGRガスが所定値以下(たとえば0)になるまでに要する時間以上に設定される。したがって、「待ち時間」が経過した後においては、燃料カット制御の開始前に燃焼した排気がエンジン1の外部に排出されてエンジン1内にはほぼ新気のみが存在する状態となり、吸気マニホルド20のEGR率が所定値以下(図3に示す例では0%)となる。そのため、「待ち時間」の経過後に強制駆動制御を開始してEGR弁36a,36bを全開にしたとしても、吸気経路内が排気過多(酸素不足)となることが抑制される。したがって、強制駆動制御の開始直後にユーザがアクセルペダルを踏んで燃料供給が再開されたとしても、エンジン1が失火することを抑制することができる。
さらに、ECU100は、車両走行中(エンジン1の回転中)に強制駆動制御を実行する。そのため、EGR弁36a,36bの駆動音が車両走行音およびエンジン1の回転音によって車両のユーザに聞こえ難くなる。したがて、強制駆動制御によるEGR弁36a,36bの駆動音によってユーザが違和感を覚える可能性を低くすることができる。
さらに、ECU100は、燃料カット制御が実行されている状態、すなわちエンジン1の燃焼が行なわれていない状態で、強制駆動制御を行なう。そのため、強制駆動制御によってエンジン1の燃焼効率が低下することも抑制される。
以上により、エンジン1の燃焼効率低下および失火を抑制し、かつユーザの違和感を抑制しつつ、EGR弁36a,36bの作動不良(特に開き側の作動不良)を抑制することができる。
なお、図3には示していないが、燃料カット制御の実行中にユーザがアクセルペダルを踏んでアクセルオン状態に復帰した場合には、ECU100は、その時点で燃料カット制御および強制駆動制御を中断して、燃料供給を再開させる。燃料供給を再開させた後は、ECU100は、第1EGR開度および第2EGR開度をエンジン1の負荷に応じて調整する。これにより、強制駆動制御を継続する場合に比べて、エンジン1の燃焼効率が低下することが抑制される。
図4は、ECU100が強制駆動制御を実行する際の処理概要の一例を示すフローチャートである。
まず、ECU100は、車両走行中であるか否かを判定する(ステップS10)。車両走行中でない場合(ステップS10においてNO)、ECU100は、処理を終了する。
車両走行中である場合(ステップS10においてYES)、ECU100は、アクセルオン状態からアクセルオフ状態に変化したか否かを判定する(ステップS12)。アクセルオン状態からアクセルオフ状態に変化していない場合(ステップS12においてNO)、ECU100は、処理を終了する。
アクセルオン状態からアクセルオフ状態に変化した場合(ステップS12においてYES)、ECU100は、燃料カット制御を開始する(ステップS14)。
次いで、ECU100は、燃料カット制御が開始されてから、上述の「待ち時間」が経過したか否かを判定する(ステップS16)。「待ち時間」が経過していない場合(ステップS16においてNO)、ECU100は、ステップS16の処理を繰り返し、「待ち時間」が経過するまで待つ。
「待ち時間」が経過した場合(ステップS16においてYES)、ECU100は、EGR弁36a,36bの強制駆動制御を実行する(ステップS20)。具体的には、上述したように、ECU100は、第1EGR開度および第2EGR開度を全開とする。このように、車両走行中における燃料カット制御中に強制駆動制御を行なうことによって、上述したように、強制駆動制御によるエンジン1の燃焼効率低下およびユーザの違和感を抑制することができる。さらに、「待ち時間」が経過した後に強制駆動制御を開始するため、強制駆動制御を開始する時点ではエンジン1内には燃焼後の排気はほとんど残っていない状態となっている。そのため、強制駆動制御によってEGR弁36a,36bを全開にしたとしても、吸気経路内が排気過多(酸素不足)となることが抑制される。その結果、強制駆動制御の開始後にユーザがアクセルペダルを踏んで燃料供給が再開されたとしても、エンジン1が失火することを抑制することができる。
次いで、ECU100は、強制駆動制御を開始してから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS22)。強制駆動制御を開始してから所定時間が経過していない場合(ステップS22においてNO)、ECU100は、処理をステップS20に戻し、強制駆動制御を継続する。
強制駆動制御を開始してから所定時間が経過した場合(ステップS22においてYES)、ECU100は、強制駆動制御を終了し、第1EGR開度および第2EGR開度を中間開度とする(ステップS24)。中間開度は、全開開度と全閉開度との間の開度である。このように、強制駆動制御を所定時間実行した後は、第1EGR開度および第2EGR開度を中間開度に戻しておくことで、第1EGR開度および第2EGR開度を全開開度に維持しておく場合に比べて、次に燃料供給が再開された際に第1EGR開度および第2EGR開度をエンジン1の負荷に応じた目標開度により早期に変位させることができる。
なお、図示していないが、図4のステップS14以降の各処理の実行中にユーザがアクセルペダルを踏んでアクセルオン状態に復帰した場合には、その時点で実行中の処理は中断され、燃料供給が再開される。
以上のように、本実施の形態によるECU100は、車両走行中に強制駆動制御を行なうため、EGR弁36a,36bの駆動音を車両走行音によってユーザに聞こえ難くすることができる。また、ECU100は、エンジン1の燃焼が行なわれていない燃料カット制御中に強制駆動制御を行なうため、強制駆動制御によってエンジン1の燃焼効率が低下することも抑制される。
さらに、ECU100は、燃料カット制御を開始してから「待ち時間」が経過した後に強制駆動制御を実行する。これにより、エンジン1内に燃焼後の排気がほとんど存在しない状態で強制駆動制御を開始することができる。そのため、強制駆動制御によってEGR弁36a,36bを全開にしたとしても、吸気経路内が排気過多(酸素不足)となることが抑制され易くなる。したがって、強制駆動制御の開始直後にユーザがアクセルペダルを踏んで燃料供給が再開されたとしても、エンジン1の失火を抑制することができる。
[変形例1]
上述の実施の形態においては、強制駆動制御において、第1EGR開度および第2EGR開度を全開開度にする例について説明した。
上述の実施の形態においては、強制駆動制御において、第1EGR開度および第2EGR開度を全開開度にする例について説明した。
しかしながら、強制駆動制御において、第1EGR開度および第2EGR開度を全開開度にすることに加えて、第1EGR開度および第2EGR開度を全閉開度にするようにしてもよい。
図5は、車両走行中における燃料カット制御中において、第1EGR開度および第2EGR開度を全開開度にする制御を所定時間実行した後に、第1EGR開度および第2EGR開度を全閉開度にする制御を所定時間実行した場合における、吸気マニホルド20内のEGR率の変化を模式的に示す図である。このように、燃料カット制御中において、第1EGR開度および第2EGR開度を全開開度にした後に第1EGR開度および第2EGR開度を全閉開度にすることによって、EGR弁36a,36bの全開不良を抑制することに加えて、EGR弁36a,36bの全閉不良をも抑制することができる。
図6は、変形例1によるECU100が強制駆動制御を実行する際の処理手順の一例を示すフローチャートである。図6のフローチャートは、上述の図4のフローチャートに対して、ステップS20A,S22Aを追加したものである。その他のステップ(上述の図4に示したステップと同じ番号を付しているステップ)については、既に説明したため詳細な説明はここでは繰り返さない。
第1EGR開度および第2EGR開度を全開開度とする強制駆動制御を開始してから所定時間が経過した場合(ステップS22においてYES)、ECU100は、第1EGR開度および第2EGR開度を全閉開度とする強制駆動制御を開始する(ステップS20A)。
次いで、ECU100は、第1EGR開度および第2EGR開度を全閉開度とする強制駆動制御を開始してから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS22A)。
そして、第1EGR開度および第2EGR開度を全閉開度とする強制駆動制御を開始してから所定時間が経過した場合(ステップS22AにおいてYES)、ECU100は、強制駆動制御を終了し、ステップS24の処理を行なう。
このような変形によって、EGR弁36a,36bの全開不良を抑制することに加えて、EGR弁36a,36bの全閉不良をも抑制することができる。
なお、上述の図5および図6には、第1EGR開度および第2EGR開度を全開開度にする制御と、第1EGR開度および第2EGR開度を全閉開度にする制御とを1回の燃料カット制御中に時間をずらして行なう例を示した。
これに対し、たとえば、第1EGR開度を全開開度にしつつ第2EGR開度を全閉開度にする制御と、第1EGR開度を全閉開度にしつつ第2EGR開度を全開開度にする制御とを、燃料カット制御を実行する毎に、交互に行なうようにしてもよい。このようにしても、EGR弁36a,36bの全開不良を抑制することに加えて、EGR弁36a,36bの全閉不良をも抑制することができる。
[その他の変形例]
上述の実施の形態においては、2つのEGR弁を備えるエンジン1に本開示による強制駆動制御を適用する例について説明した。しかしながら、本開示による強制駆動制御を適用可能なエンジンに備えられるEGR弁の数は、2つに限定されるものではなく、1つであっても、3つ以上であってもよい。
上述の実施の形態においては、2つのEGR弁を備えるエンジン1に本開示による強制駆動制御を適用する例について説明した。しかしながら、本開示による強制駆動制御を適用可能なエンジンに備えられるEGR弁の数は、2つに限定されるものではなく、1つであっても、3つ以上であってもよい。
また、上述の実施の形態においては、2つの排気通路を有するV型のエンジン1に本開示による強制駆動制御を適用する例について説明した。しかしながら、本開示による強制駆動制御を適用可能なエンジンは、必ずしもV型のエンジンに限定されない。たとえば、1つの吸気経路および1つの排気経路を有するエンジンにも、本開示による強制駆動制御を適用することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 エンジン、1a 左バンク、1b 右バンク、10 吸気管、12 スロットル弁、20 吸気マニホルド、22 吸入管、30a,30b 排気マニホルド、32a,32b 排気管、34a,34b EGR配管、36a,36b EGR弁、110 アクセル開度センサ、120 車速センサ。
Claims (5)
- 車両に搭載される内燃機関の制御システムであって、
前記内燃機関は、
吸気経路と、
排気経路と、
前記排気経路内の排気を前記吸気経路に還流させるための還流路とを備え、
前記制御システムは、
前記還流路内に設けられ、前記還流路から前記吸気経路に還流される排気流量を調整するように構成された還流弁と、
前記還流弁を制御するように構成された制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記車両の走行中において前記内燃機関への燃料供給を停止する燃料カット制御が実行される場合、前記燃料カット制御を開始してから待ち時間が経過した後に、前記還流弁の開度を全開開度にする強制駆動制御を実行する、内燃機関の制御システム。 - 前記待ち時間は、前記内燃機関への燃料供給を停止してから、前記還流路内の燃焼後の排気が所定値以下になるまでに要する時間以上に設定される、請求項1に記載の内燃機関の制御システム。
- 前記強制駆動制御は、前記還流弁の開度を前記全開開度にした後に、前記還流弁の開度を全閉開度にする制御を含む、請求項1または2に記載の内燃機関の制御システム。
- 前記制御装置は、前記強制駆動制御を所定時間実行した後に、前記還流弁の開度を前記全開開度と全閉開度との間の中間開度にする、請求項1または2に記載の内燃機関の制御システム。
- 前記制御装置は、前記車両の走行中において前記燃料カット制御が実行されない場合、前記還流弁の開度を前記内燃機関の負荷に応じた開度にする、請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の制御システム。
Priority Applications (1)
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WO2012107950A1 (ja) * | 2011-02-08 | 2012-08-16 | トヨタ自動車株式会社 | 内燃機関の制御装置 |
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