JP2019157754A - 内燃機関の制御システム - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関の燃焼効率低下および失火を抑制し、かつユーザの違和感を抑制しつつ、EGR弁の作動不良を抑制する。【解決手段】制御装置(ECU)は、車両に搭載されるエンジンを制御する。このエンジンは、左右の排気経路内の排気をそれぞれ独立して吸気経路に還流させるための2つのEGR配管を備える。2つのEGR配管には、吸気経路に還流される排気流量をそれぞれ調整するように構成された2つのEGR弁が設けられる。ECUは、車両の走行中においてエンジンへの燃料供給を停止する燃料カット制御が実行されている場合に、2つのEGR弁のうちの一方のEGR弁の開度を全開開度にし、かつ他方のEGR弁の開度を全閉開度にする強制駆動制御を実行する。【選択図】図4
Description
本開示は、排気経路内から吸気経路に還流される排気流量を調整するEGR(Exhaust Gas Recirculation)弁を備える内燃機関の制御システムに関する。
国際公開2012/107950号公報(特許文献1)には、EGR弁を備える内燃機関の制御装置が開示されている。この制御装置は、内燃機関が搭載される車両の減速中における燃料カット制御中である場合に、EGR弁を強制的に全開にする。これにより、内燃機関の燃焼効率を低下させることなく、EGR弁に堆積したデポジットを除去してEGR弁の作動不良を抑制することができる。
しかしながら、特許文献1に開示された制御装置のように、車両減速中における燃料カット制御中である場合にEGR弁を全開にすると、その後に燃料供給を復帰させる際に内燃機関が失火してしまう可能性がある。すなわち、燃料カット制御の開始に伴なってEGR弁を全開にすると、燃料カット制御の開始直前に燃焼した排気が大量に吸気経路に流入するため、EGR弁を全開にした直後は、吸気経路内が排気過多(酸素不足)となる。したがって、EGR弁を全開にした直後にユーザがアクセルペダルを踏んで燃料供給が復帰されたとしても、排気過多の状態となり、内燃機関の燃焼が正常に行なわれず失火してしまうおそれがある。
本開示は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、内燃機関の燃焼効率低下および失火を抑制し、かつユーザの違和感を抑制しつつ、EGR弁の作動不良を抑制することである。
(1) 本開示による制御システムは、車両に搭載される内燃機関の制御システムである。内燃機関は、吸気経路と、排気経路と、排気経路内の排気をそれぞれ独立して吸気経路に還流させるための複数の還流路とを備える。制御システムは、複数の還流路内にそれぞれ設けられ、複数の還流路から吸気経路に還流される排気流量をそれぞれ調整するように構成された複数の還流弁と、複数の還流弁を制御するように構成された制御装置とを備える。制御装置は、車両の走行中において内燃機関への燃料供給を停止する燃料カット制御が実行されている場合に、複数の還流弁のうちの第1の還流弁の開度を全開開度にし、かつ第2の還流弁の開度を全閉開度に向けて変位させる強制駆動制御を実行する。
上記の制御装置は、車両の走行中に第1の還流弁および第2の還流弁の強制駆動制御を行なう。これにより、強制駆動制御による各還流弁の駆動音が車両の走行音によってユーザに聞こえ難くなるため、ユーザの違和感を抑制することができる。さらに、制御装置は、燃料カット制御が実行されている場合に強制駆動制御を行なう。これにより、内燃機関の燃焼が行なわれていない状態で強制駆動制御が行なわれることになるため、強制駆動制御によって内燃機関の燃焼効率が低下することも抑制される。
さらに、強制駆動制御は、第1の還流弁の開度を全開開度にし、かつ第2の還流弁の開度を全閉開度に向けて変位させる制御である。そのため、第1の還流弁を全開にしたことによって第1の還流弁を通って吸気経路に還流される排気流量が増加したとしても、第2の還流弁の開度を全閉開度に向けて変位させたことによって第2の還流弁を通って吸気経路に還流される排気流量を減少させることができる。これにより、第1の還流弁を全開にした直後に吸気経路内が排気過多(酸素不足)となることが抑制され易くなる。したがって、強制駆動制御の開始直後にユーザがアクセルペダルを踏んで燃料供給が再開されたとしても、内燃機関の失火を抑制することができる。その結果、内燃機関の燃焼効率低下および失火を抑制し、かつユーザの違和感を抑制しつつ、強制駆動制御を行なって第1の還流弁および第2の還流弁の作動不良を抑制することができる。
(2) ある形態においては、制御装置は、車両の走行中において燃料カット制御が実行されている場合に、強制駆動制御を所定時間実行し、強制駆動制御の実行後に、複数の還流弁の開度を全開開度と全閉開度との間の中間開度にする。
上記形態によれば、車両の走行中における燃料カット制御中において、強制駆動制御が実行された後は、複数の還流弁の開度が全開開度と全閉開度との間の中間開度にされる。これにより、燃料カット制御が終了するまで強制駆動制御を継続する場合に比べて、次に燃料供給が再開された際に還流弁の開度を目標開度に早期に変位させることができる。
(3) ある形態においては、強制駆動制御は、第1の還流弁の開度を全開開度にし、かつ第2の還流弁の開度を中間開度よりも小さい開度にする制御を含む。
上記形態によれば、強制駆動制御によって、第2の還流弁の開度が中間開度よりも小さい開度にされる。これにより、強制駆動制御によって第2の還流弁を中間開度にする場合に比べて、第2の還流弁を通って吸気経路に還流される排気流量をより多く減少させることができる。そのため、第1の還流弁を全開にした直後に吸気経路内が排気過多となることをより適切に抑制することができる。
(4) ある形態においては、強制駆動制御は、第1の還流弁の開度を全開開度にし、かつ第2の還流弁の開度を全閉開度にする制御を含む。
上記形態によれば、強制駆動制御によって、第2の還流弁が全閉にされるため、第2の還流弁から吸気経路に還流される排気流量を最大限に減少させることができる。これにより、第1の還流弁を全開にした直後に吸気経路内が排気過多となることを最大限に抑制することができる。
(5) ある形態においては、強制駆動制御は、第1の還流弁の開度を全開開度にし、かつ第2の還流弁の開度を全閉開度にする制御に加えて、第1の還流弁の開度を全閉開度にし、かつ第2の還流弁の開度を全開開度にする制御を含む。
上記形態によれば、第1の還流弁の全開不良を抑制することができることに加えて、第2の還流弁の全開不良をも抑制することができる。
(6) ある形態においては、制御装置は、車両の走行中において燃料カット制御が実行されていない場合、複数の還流弁の開度を内燃機関の負荷に応じた開度にする。
上記形態によれば、車両の走行中において燃料カット制御が実行されていない場合には、複数の還流弁の開度が内燃機関の負荷に応じた開度に調整されるため、内燃機関の燃焼効率が低下することが抑制される。
本開示によれば、内燃機関の燃焼効率低下および失火を抑制し、かつユーザの違和感を抑制しつつ、EGR弁(第1の還流弁および第2の還流弁)の作動不良を抑制することができる。
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
図1は、本実施の形態によるエンジン1およびその制御システムの全体構成を示す図である。このエンジン1は、車両に搭載され、車両を走行させるための駆動力を発生する。エンジン1は、いわゆるV型8気筒のエンジンであり、8つの気筒が4つずつ2群に分けられてそれぞれ左バンク1aおよび右バンク1bに配列される。
エンジン1には、吸気管10および吸気マニホルド20を含む吸気経路と、排気マニホルド30aおよび排気管32aを含む左バンク1a用の排気経路と、排気マニホルド30bおよび排気管32bを含む右バンク1b用の排気経路とが備えられる。
エンジン1における燃焼に必要な空気(新気)は、吸気管10から吸気マニホルド20に集められた後、各気筒に分配される。吸気管10を流れる吸気量(吸入空気流量)は、スロットル弁12によって調節される。
左バンク1aの各気筒で発生する排気は、排気マニホルド30aに集められた後、排気管32aに排出される。右バンク1bの各気筒で発生する排気は、排気マニホルド30bに集められた後、排気管32bに排出される。各排気管32a,32bには、排気を浄化するための排気浄化触媒(図示せず)が設けられている。各排気管32a,32bを流れる排気は、排気浄化触媒によって浄化された後、車外に排出される。
左バンク1a側の排気マニホルド30aは、EGR配管34aによって、吸気マニホルド20のEGR吸入管22に連通される。EGR配管34a内には、EGR配管34aから吸気マニホルド20に還流される排気流量を調整するための第1EGR弁36aが備えられる。
右バンク1b側の排気マニホルド30bは、EGR配管34bによって、吸気マニホルド20のEGR吸入管22に連通される。EGR配管34b内には、EGR配管34bから吸気マニホルド20に還流される排気流量を調整するための第2EGR弁36bが備えられる。
エンジン1は、ECU(Electronic Control Unit)100によって制御される。ECU100は、図示しないCPU(Central Processing Unit)およびメモリを内蔵し、当該メモリに記憶された情報および後述する各センサ110,120からの情報などに基づいて所定の演算処理を実行し、その結果に基づいてエンジン1の出力(具体的にはスロットル開度、燃料噴射、点火時期等)を制御する。スロットル弁12の開度、第1EGR弁36aの開度(以下「第1EGR開度」ともいう)、および第2EGR弁36bの開度(以下「第2EGR開度」ともいう)は、ECU100によって制御される。
ECU100には、アクセル開度センサ110と、車速センサ120とが接続される。アクセル開度センサ110は、エンジン1が搭載される車両のユーザによるアクセルペダルの操作量(アクセル開度)を検出し、検出結果をECU100に送信する。車速センサ120は、エンジン1が搭載される車両の速度(車速)を検出し、検出結果をECU100に送信する。
車両の走行中において、ユーザがアクセルペダルを踏んでいる状態(以下「アクセルオン状態」ともいう)である場合、ECU100は、アクセル開度などに応じた燃料をエンジン1へ供給する燃料供給制御を実行する。
燃料供給制御中においては、ECU100は、第1EGR開度および第2EGR開度は、エンジン1の負荷に応じた開度にする。これにより、排気経路から吸気マニホルド20に還流される排気(EGRガス)によってエンジン1の燃費が向上される。なお、ECU100は、燃料供給制御中においては、左バンク1aの排気量と、右バンク1bの排気量とのバランスをとるために、原則として、第1EGR開度と第2EGR開度とを同じ開度にする。
一方、車両の走行中において、ユーザがアクセルペダルを踏んでいない状態(以下「アクセルオフ状態」ともいう)である場合、ECU100は、エンジン1への燃料供給を停止する燃料カット制御を実行する。燃料カット制御中においては、駆動輪から伝達される車両の運動エネルギによってエンジン1が回転させられる。
上記のように、本実施の形態によるエンジン1は、排気経路内の排気をそれぞれ独立して吸気マニホルド20に還流させるための2つのEGR配管34a,34bを備える。そして、2つのEGR配管34a,34b内には、吸気マニホルド20に還流される排気流量を調整するための第1EGR弁36aおよび第2EGR弁36bがそれぞれ設けられる。
<EGR弁の強制駆動>
排気中に含まれる煤および未燃炭化水素(HC)が各EGR弁36a,36bの摺動部などに付着して堆積すると、この堆積物(デポジット)の影響によって各EGR弁36a,36bの作動不良(滑らかに作動しなくなる「渋り」、作動しなくなる「固着」など)が生じる場合がある。このような作動不良が生じると、エミッションが悪化したり燃焼効率が低下して燃費が悪化することが懸念される。
排気中に含まれる煤および未燃炭化水素(HC)が各EGR弁36a,36bの摺動部などに付着して堆積すると、この堆積物(デポジット)の影響によって各EGR弁36a,36bの作動不良(滑らかに作動しなくなる「渋り」、作動しなくなる「固着」など)が生じる場合がある。このような作動不良が生じると、エミッションが悪化したり燃焼効率が低下して燃費が悪化することが懸念される。
そのため、ECU100は、エンジン1の各気筒での燃焼が行なわれていないタイミング(すなわち燃費向上のためには各EGR弁36a,36bを作動させる必要のないタイミング)において、各EGR弁36a,36bを強制的に駆動する「強制駆動制御」を実行する。これにより、煤および未燃炭化水素が各EGR弁36a,36bに堆積することを未然に抑制する。
強制駆動制御を実行可能なタイミング、すなわちエンジン1の各気筒での燃焼が行なわれていないタイミングとしては、「車両停止中(エンジン1の停止中)」、および、「車両走行中における燃料カット制御中」が想定される。
ところが、車両停止中(エンジン1の停止中)においては、車両走行音およびエンジン音が生じないため、強制駆動制御を行なうと、各EGR弁36a,36bの駆動音(弁体が座面に当接する際に生じるカチカチ音など)が車両のユーザに聞こえ易くなる。特に、エンジン1の停止直後に強制駆動制御を行なう場合においては、大きなエンジン音が消えた後に各EGR弁36a,36bの駆動音がユーザに聞こえるため、強制駆動制御の実行回数が多いとユーザが違和感を覚える可能性が高い。そのため、車両停止中においては、強制駆動制御の実行回数をユーザが違和感を覚えない程度の少ない回数に制限することが望ましく、その結果、各EGR弁36a,36bに付着した物を十分に取り除くことができない可能性がある。
また、車両走行中における燃料カット制御中において、強制駆動制御によって第1EGR弁36aおよび第2EGR弁36bの双方を全開にすると、その後にエンジン1への燃料供給を復帰させる際にエンジン1が失火してしまうことが懸念される。
図2は、燃料カット制御中において第1EGR弁36aおよび第2EGR弁36bの双方を全開にした場合における、吸気マニホルド20内のEGR率(吸気マニホルド20内における新気とEGRガスとの合計に対するEGRガスの割合)の変化を模式的に示す図である。なお、図2は、本実施の形態に対する比較例を示すものである。
図2において、横軸には時間が示され、縦軸には上から順にアクセル開度、車速、第1EGR開度、第2EGR開度、吸気マニホルド20内のEGR率が示される。
図2に示すように、車両走行中において、アクセルオン状態からアクセルオフ状態に変化すると、そのタイミングで燃料カット制御が開始される。
仮に燃料カット制御の開始に伴なって強制駆動制御を開始して第1EGR開度および第2EGR開度の双方を全開開度にすると、燃料カット制御の開始直前に燃焼した排気が大量に吸気マニホルド20に流入する。そのため、強制駆動制御の開始直後は、吸気マニホルド20のEGR率が一時的に急増し、吸気マニホルド20内がEGR過多(酸素不足)となる。したがって、強制駆動制御の開始直後にユーザがアクセルペダルを踏んで燃料供給が復帰されたとしても、EGR過多(酸素不足)であるため、エンジン1の燃焼が正常に行なわれず失火してしまうおそれがある。
以上の点に鑑み、本実施の形態によるECU100は、車両走行中において燃料カット制御が実行されている場合に、第1EGR弁36aを全開にし、かつ第2EGR弁36bを全閉にする強制駆動制御を実行する。
図3は、車両走行中における燃料カット制御中において、第1EGR弁36aを全開にし、第2EGR弁36bを全閉にした場合における、吸気マニホルド20内のEGR率の変化を模式的に示す図である。
図3に示すように、本実施の形態によるECU100は、燃料カット制御の開始に伴なって強制駆動制御を開始して第1EGR開度を全開開度にし、かつ第2EGR開度を全閉開度にする。これにより、EGR配管34aから吸気マニホルド20内に還流される排気流量が増加したとしても、EGR配管34bから吸気マニホルド20内に還流される排気流量を減少させることができる。そのため、図3に示すように、強制駆動制御の開始直後において、吸気マニホルド20のEGR率が急増することが抑制される。したがって、強制駆動制御の開始直後にユーザがアクセルペダルを踏んで燃料供給が復帰されたとしても、エンジン1が失火することを抑制することができる。
さらに、ECU100は、車両走行中(エンジン1の回転中)に強制駆動制御を行なっている。そのため、各EGR弁36a,36bの駆動音が車両走行音およびエンジン1の回転音によって車両のユーザに聞こえ難くなる。したがて、強制駆動制御によるEGR弁36a,36bの駆動音によってユーザが違和感を覚える可能性を低くすることができる。
さらに、ECU100は、燃料カット制御の実行中、すなわちエンジン1の燃焼が行なわれていない状態で、強制駆動制御を行なう。そのため、強制駆動制御によってエンジン1の燃焼効率が低下することも抑制される。
以上により、エンジン1の燃焼効率低下および失火を抑制し、かつユーザの違和感を抑制しつつ、各EGR弁36a,36bの作動不良(特にEGR弁36aの開き側の作動不良)を抑制することができる。
図4は、ECU100が強制駆動制御を実行する際の処理手順の一例を示すフローチャートである。
まず、ECU100は、車両走行中であるか否かを判定する(ステップS10)。車両走行中でない場合(ステップS10においてNO)、ECU100は、処理を終了する。
車両走行中である場合(ステップS10においてYES)、ECU100は、アクセルオン状態からアクセルオフ状態に変化したか否かを判定する(ステップS12)。アクセルオン状態からアクセルオフ状態に変化していない場合(ステップS12においてNO)、ECU100は、処理を終了する。
アクセルオン状態からアクセルオフ状態に変化した場合(ステップS12においてYES)、ECU100は、燃料カット制御を開始する(ステップS14)。
燃料カット制御を開始した後、ECU100は、第1EGR弁36aおよび第2EGR弁36bの強制駆動制御を実行する(ステップS20)。具体的には、上述したように、ECU100は、第1EGR開度を全開とし、第2EGR開度を全閉とする。このように、車両走行中における燃料カット制御中に強制駆動制御を行なうことによって、上述したように、強制駆動制御によるエンジン1の燃焼効率低下およびユーザの違和感を抑制することができる。さらに、第1EGR開度を全開としつつ第2EGR開度を全閉とするため、上述したように、強制駆動制御の開始直後において吸気マニホルド20のEGR率が急増することが抑制される。これにより、強制駆動制御の開始直後に燃料供給が復帰されたとしても、エンジン1が失火することを抑制することができる。
次いで、ECU100は、強制駆動制御を開始してから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS22)。強制駆動制御を開始してから所定時間が経過していない場合(ステップS22においてNO)、ECU100は、処理をステップS20に戻し、強制駆動制御を継続する。
強制駆動制御を開始してから所定時間が経過した場合(ステップS22においてYES)、ECU100は、強制駆動制御を終了し、第1EGR開度および第2EGR開度の双方を中間開度とする(ステップS24)。中間開度は、全開開度と全閉開度との間の開度である。このように、強制駆動制御を所定時間実行した後は、第1EGR開度および第2EGR開度の双方を中間開度に戻しておくことで、第1EGR開度および第2EGR開度をそれぞれ全開開度および全閉開度に維持しておく場合に比べて、次に燃料供給が再開された際に第1EGR開度および第2EGR開度をエンジン1の負荷に応じた目標開度により早期に変位させることができる。
次いで、ECU100は、アクセルオフ状態からアクセルオン状態に変化したか否かを判定する(ステップS26)。アクセルオフ状態からアクセルオン状態に変化していない場合(ステップS26においてNO)、ECU100は、処理をステップS24に戻し、第1EGR開度および第2EGR開度を中間開度に維持する。
アクセルオフ状態からアクセルオン状態に変化した場合(ステップS26においてYES)、ECU100は、燃料カット制御を終了して燃料供給を再開させる(ステップS30)。なお、燃料供給を再開させた後は、ECU100は、第1EGR開度および第2EGR開度をエンジン1の負荷に応じて調整する。これにより、EGRガスによってエンジン1の燃焼効率が低下することが抑制される。
以上のように、本実施の形態によるECU100は、車両走行中に強制駆動制御を行なうため、EGR弁36a,36bの駆動音を車両走行音によってユーザに聞こえ難くすることができる。また、ECU100は、エンジン1の燃焼が行なわれていない燃料カット制御中に強制駆動制御を行なうため、強制駆動制御によってエンジン1の燃焼効率が低下することも抑制される。
さらに、ECU100は、強制駆動制御によって、第1EGR弁36aを全開にしつつ、第2EGR弁36bを全閉にする。これにより、第1EGR弁36aから吸気マニホルド20内に還流される排気量が増加しても、第2EGR弁36bから吸気マニホルド20内に還流される排気量を最大限に減少させることができる。そのため、強制駆動制御の開始直後において、吸気マニホルド20のEGR率が急増することが抑制される。これにより、強制駆動制御の開始直後にユーザがアクセルペダルを踏んで燃料供給が復帰されたとしても、エンジン1が失火することを抑制することができる。
[変形例1]
上述の実施の形態においては、強制駆動制御において、第1EGR開度を全開開度にしつつ、第2EGR開度を全閉開度にする例について説明した。
上述の実施の形態においては、強制駆動制御において、第1EGR開度を全開開度にしつつ、第2EGR開度を全閉開度にする例について説明した。
しかしながら、強制駆動制御は、第2EGR開度を全閉開度に向けて変位させるものであればよい。したがって、強制駆動制御後の第2EGR開度は、必ずしも全閉開度であることに限定されるものではない。
図5は、車両走行中における燃料カット制御中において、第1EGR開度を全開開度にし、第2EGR開度を、全閉開度よりも大きくかつ中間開度よりも小さい所定開度にした場合における、吸気マニホルド20内のEGR率の変化を模式的に示す図である。
このように第2EGR開度を所定開度にした場合においても、第2EGR開度が全閉開度に向けて変位する。そのため、第1EGR開度を全開開度にしたことによって第1EGR弁36aを通って吸気マニホルド20に還流される排気流量が増加したとしても、第2EGR開度を全閉開度に向けて変位させたことによって第2EGR弁36bを通って吸気マニホルド20に還流される排気流量を減少させることができる。そのため、図5に示すように、強制駆動制御の開始直後において、吸気マニホルド20のEGR率が急増することを抑制することができる。
図6は、変形例1によるECU100が強制駆動制御を実行する際の処理手順の一例を示すフローチャートである。図6のフローチャートは、上述の図4のステップS20を、ステップS20Aに変更したものである。その他のステップ(上述の図4に示したステップと同じ番号を付しているステップ)については、既に説明したため詳細な説明はここでは繰り返さない。
燃料カット制御を開始した後、ECU100は、第1EGR弁36aおよび第2EGR弁36bの強制駆動制御を実行する(ステップS20A)。この際、ECU100は、第1EGR開度を全開としつつ、第2EGR開度を所定開度にすることによって第2EGR開度を全閉開度に向けて変位させる。
このように変形しても、強制駆動制御の開始直後において、吸気マニホルド20のEGR率が急増することを抑制することができる。
[変形例2]
上述の実施の形態においては、強制駆動制御において、第1EGR開度を全開開度にしつつ第2EGR開度を全閉開度にする例について説明した。
上述の実施の形態においては、強制駆動制御において、第1EGR開度を全開開度にしつつ第2EGR開度を全閉開度にする例について説明した。
しかしながら、強制駆動制御は、第1EGR開度を全開開度にしつつ第2EGR開度を全閉開度にする制御に加えて、第1EGR開度を全閉開度にしつつ第2EGR開度を全開開度にする制御を含むものであってもよい。
図7は、車両走行中における燃料カット制御中において、第1EGR開度を全開開度にしつつ第2EGR開度を全閉開度にする制御を所定時間実行した後に、第1EGR開度を全閉開度にしつつ第2EGR開度を全開開度にする制御を所定時間実行した場合における、吸気マニホルド20内のEGR率の変化を模式的に示す図である。このように、燃料カット制御中において、第1EGR開度を全開開度にした後に第2EGR開度を全開開度にすることによって、第1EGR弁36aの全開不良を抑制することに加えて、第2EGR弁36bの全開不良をも抑制することができる。
図8は、変形例2によるECU100が強制駆動制御を実行する際の処理手順の一例を示すフローチャートである。図8のフローチャートは、上述の図4のフローチャートに対して、ステップS20B,S22Bを追加したものである。その他のステップ(上述の図4に示したステップと同じ番号を付しているステップ)については、既に説明したため詳細な説明はここでは繰り返さない。
第1EGR開度を全開としつつ第2EGR開度を全閉とする強制駆動制御を開始してから所定時間が経過した場合(ステップS22においてYES)、ECU100は、第1EGR開度を全閉としつつ第2EGR開度を全開とする強制駆動制御を開始する(ステップS20B)。
次いで、ECU100は、第1EGR開度を全閉としつつ第2EGR開度を全開とする強制駆動制御を開始してから所定時間が経過するか否かを判定する(ステップS22B)。
そして、第1EGR開度を全閉としつつ第2EGR開度を全開とする強制駆動制御を開始してから所定時間が経過した場合(ステップS22BにおいてYES)、ECU100は、強制駆動制御を終了し、ステップS24以降の処理を行なう。
このように変形することによって、第1EGR弁36aの全開不良を抑制することに加えて、第2EGR弁36bの全開不良をも抑制することができる。
なお、上述の図7および図8においては、第1EGR開度を全開にしつつ第2EGR開度を全閉にする制御と、第1EGR開度を全閉にしつつ第2EGR開度を全開にする制御と1回の燃料カット制御中に時間をずらして行なう例について説明した。
これに対し、たとえば、第1EGR開度を全開にしつつ第2EGR開度を全閉にする制御と、第1EGR開度を全閉にしつつ第2EGR開度を全開にする制御とを、燃料カット制御を実行する毎に、交互に行なうようにしてもよい。このようにしても、第1EGR弁36aの全開不良を抑制することに加えて、第2EGR弁36bの全開不良をも抑制することができる。
[その他の変形例]
上述の実施の形態においては、2つのEGR弁を備えるエンジン1に本開示による強制駆動制御を適用する例について説明した。しかしながら、本開示による強制駆動制御は、3つ以上のEGR弁を備えるエンジンにも適用可能である。
上述の実施の形態においては、2つのEGR弁を備えるエンジン1に本開示による強制駆動制御を適用する例について説明した。しかしながら、本開示による強制駆動制御は、3つ以上のEGR弁を備えるエンジンにも適用可能である。
また、上述の実施の形態においては、2つの排気通路を有するV型のエンジン1に本開示による強制駆動制御を適用する例について説明した。しかしながら、本開示による強制駆動制御を適用可能なエンジンは、必ずしもV型のエンジンに限定されない。たとえば、1つの吸気経路および1つの排気経路を有するエンジンであっても、排気をそれぞれ独立して吸気経路に還流させるための複数の還流路と、複数の還流路にそれぞれ設けられる複数のEGR弁とを備えるエンジンであれば、本開示による強制駆動制御を適用することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 エンジン、1a 左バンク、1b 右バンク、10 吸気管、12 スロットル弁、20 吸気マニホルド、22 吸入管、30a,30b 排気マニホルド、32a,32b 排気管、34a,34b EGR配管、36a,36b EGR弁、110 アクセル開度センサ、120 車速センサ。
Claims (6)
- 車両に搭載される内燃機関の制御システムであって、
前記内燃機関は、
吸気経路と、
排気経路と、
前記排気経路内の排気をそれぞれ独立して前記吸気経路に還流させるための複数の還流路とを備え、
前記制御システムは、
前記複数の還流路内にそれぞれ設けられ、前記複数の還流路から前記吸気経路に還流される排気流量をそれぞれ調整するように構成された複数の還流弁と、
前記複数の還流弁を制御するように構成された制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記車両の走行中において前記内燃機関への燃料供給を停止する燃料カット制御が実行されている場合に、前記複数の還流弁のうちの第1の還流弁の開度を全開開度にし、かつ第2の還流弁の開度を全閉開度に向けて変位させる強制駆動制御を実行する、内燃機関の制御システム。 - 前記制御装置は、前記車両の走行中において前記燃料カット制御が実行されている場合に、前記強制駆動制御を所定時間実行し、前記強制駆動制御の実行後に、前記複数の還流弁の開度を前記全開開度と前記全閉開度との間の中間開度にする、請求項1に記載の内燃機関の制御システム。
- 前記強制駆動制御は、前記第1の還流弁の開度を前記全開開度にし、かつ前記第2の還流弁の開度を前記中間開度よりも小さい開度にする制御を含む、請求項2に記載の内燃機関の制御システム。
- 前記強制駆動制御は、前記第1の還流弁の開度を前記全開開度にし、かつ前記第2の還流弁の開度を前記全閉開度にする制御を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の制御システム。
- 前記強制駆動制御は、前記第1の還流弁の開度を前記全開開度にし、かつ前記第2の還流弁の開度を前記全閉開度にする制御に加えて、前記第1の還流弁の開度を前記全閉開度にし、かつ前記第2の還流弁の開度を前記全開開度にする制御を含む、請求項4に記載の内燃機関の制御システム。
- 前記制御装置は、前記車両の走行中において前記燃料カット制御が実行されていない場合、前記複数の還流弁の開度を前記内燃機関の負荷に応じた開度にする、請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関の制御システム。
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-
2018
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