JP2020066796A - 水素及び酸素生成システム並びに水素及び酸素生成方法 - Google Patents

水素及び酸素生成システム並びに水素及び酸素生成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】供給水の循環設備並びに遠心分離設備により肥大化することを低減し、なおかつ、水の供給の不安定さを低減することができる水素及び酸素生成システム並びに水素及び酸素生成方法を提供すること。【解決手段】水素及び酸素生成システム10は、供給された水を電気分解して水素及び酸素を生成し、生成された水素及び酸素をそれぞれ別々の生成ガスとして排出する電解セル20と、水を貯留する水貯留室33及び蓄圧ガスが供給されるガス室34が弾性体膜32で隔てられて設けられ、水貯留室33に貯留した水をガス室34における蓄圧ガスの圧力に応じた移送圧力で電解セル20に向けて移送するアキュミュレータ30と、水貯留室33に水を供給する水供給部40と、ガス室34に蓄圧ガスを供給するガス供給部50と、を含むことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、水素及び酸素生成システム並びに水素及び酸素生成方法に関する。
水素及び酸素を生成する方法には、水の電気分解が知られている。水を電気分解するシステムとしては、電極部において隔膜で分離されたアノード室とカソード室とを有し、アノード室から液体の水を含まない酸素が得られ、供給される水が存在するカソード室から水素が得られる形態が知られている(例えば特許文献1)。
特開2006−131957号公報
特許文献1に記載のシステムでは、水素の生成反応がカソードの表面で起こるため、生成した水素の気泡がカソードの表面に堆積し、カソードと供給水の接触面積が減少することで、電気分解の効率が低下する可能性があることに鑑み、供給水を循環させ、流れを作ることで膜表面から水素を剥離・除去している。また、特許文献1に記載のシステムでは、供給水中に生成した水素が存在する可能性があるため、電気分解の逆反応が生じてしまうことで、電気分解の効率が低下する可能性があることに鑑み、遠心分離による水素と供給水の気液分離をしている。このため、特許文献1に記載のシステムは、供給水の循環設備並びに遠心分離設備により、肥大になってしまうという問題があった。
また、特許文献1に記載のシステムでは、水素及び酸素の生成量が少ない場合、必要な供給水量が小さくなり、水を供給するポンプが断続的に起動と停止を繰り返す状態となることで、水の送液に脈動が生じ、水の供給が不安定となり、システム制御が困難となる可能性があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、供給水の循環設備並びに遠心分離設備により肥大化することを低減し、なおかつ、水の供給の不安定さを低減することができる水素及び酸素生成システム並びに水素及び酸素生成方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、水素及び酸素生成システムは、供給された水を電気分解して水素及び酸素を生成し、生成された水素及び酸素をそれぞれ別々の生成ガスとして排出する電解セルと、水を貯留する水貯留室及び蓄圧ガスが供給されるガス室が弾性体膜で隔てられて設けられ、前記水貯留室に貯留した水を前記ガス室における前記蓄圧ガスの圧力に応じた移送圧力で前記電解セルに向けて移送するアキュミュレータと、前記水貯留室に水を供給する水供給部と、前記ガス室に前記蓄圧ガスを供給するガス供給部と、を含むことを特徴とする。
この構成によれば、供給された水を電気分解して水素及び酸素を生成し、生成された水素及び酸素をそれぞれ別々の生成ガスとして排出する電解セルを用いるため、水素の気泡がカソードの表面に堆積したり、供給された水に水素が残存した状態となったりすることが大幅に低減されるので、供給水の循環設備並びに遠心分離設備を必要としなくなり、システムの肥大化を低減することができる。また、アキュミュレータにより供給する水の移送圧力を制御するため、水の送液に脈動が生じることが低減されるので、水の供給の不安定さを低減することができる。
この構成において、前記ガス供給部は、前記電解セルで水を電気分解して生成したいずれか一方の前記生成ガスを、前記蓄圧ガスとして前記ガス室に供給することが好ましい。この構成によれば、生成ガスの資源を有効に活用することができる。
ガス供給部が生成ガスを蓄圧ガスとして供給する構成において、前記ガス供給部は、前記ガス室から排気された前記蓄圧ガスを、前記ガス室に供給していた前記生成ガスの送気配管へ合流させることが好ましい。この構成によれば、生成ガスの資源をさらに有効に活用することができる。
一方、ガス供給部が生成ガスを蓄圧ガスとして供給しない構成において、前記ガス供給部は、備蓄ガスを、前記蓄圧ガスとして前記ガス室に供給することが好ましい。この構成によれば、生成ガスを蓄圧ガスとして供給することが困難な場合や、生成ガスを蓄圧ガスとして供給することを望まない場合においても、肥大化することが低減でき、なおかつ、水の供給の不安定さを低減することができる形態を好適に使用することができる。
ガス供給部が備蓄ガスを蓄圧ガスとして供給する構成において、前記備蓄ガスは、窒素であり、前記ガス供給部は、前記ガス室から排気された窒素を、前記電解セルで水を電気分解して生成した酸素の送気配管へ合流させることが好ましい。この構成によれば、備蓄ガスの資源を有効に活用することができる。
これらの構成において、前記アキュミュレータの前記水貯留室と前記電解セルとの間の水の移送配管に配設され、前記アキュミュレータから移送された水を前記電解セルに向けて移送する移送ポンプをさらに含み、前記移送ポンプは、水の入口と出口とを接続するケーシングと、前記ケーシングの内部に配設された羽根車とを有し、前記ケーシングの内壁と前記羽根車の先端との間隙距離を所定の距離とすることで、水の移送圧力の上限を所定の圧力としたことが好ましい。この構成によれば、移送圧力に上限を設定することで、水の送液に脈動が生じることがより低減されるので、水の供給の不安定さをより低減することができる。
これらの構成において、前記電解セルのインピーダンスを計測するインピーダンス計測器をさらに含み、前記インピーダンス計測器が計測した前記インピーダンスに基づいて、前記電解セルに移送する水の移送圧力を変更することが好ましい。この構成によれば、水の供給の不安定さをさらに低減することができるとともに、電解セルの劣化を抑制することができ、水素及び酸素の生成に係る消費エネルギーの増大を抑制することができる。
これらの構成において、前記電解セルが生成した前記生成ガスを除湿する除湿器をさらに含むことが好ましい。この構成によれば、生成ガスに含まれる飽和蒸気圧分の水蒸気を除去することで、温度が低下した際に結露して水滴が発生することを抑制することができる。
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、水素及び酸素生成方法は、アキュミュレータにおいて蓄圧ガスが供給されるガス室と弾性体膜で隔てられて設けられた水を貯留する水貯留室に、水供給部から水を供給することにより、前記水貯留室に水を貯留する水貯留ステップと、前記ガス室に、ガス供給部から蓄圧ガスを供給することにより、前記ガス室における蓄圧ガスの圧力を調整するガス圧力調整ステップと、前記ガス圧力調整ステップで調整した蓄圧ガスの圧力に応じた移送圧力で、前記水貯留ステップで貯留した水を電解セルに向けて移送し、前記電解セルに供給された水を前記電解セルで電気分解して水素及び酸素を生成し、生成された水素及び酸素をそれぞれ別々の生成ガスとして排出する電気分解ステップと、を有することを特徴とする。
この構成によれば、アキュミュレータにおいて実行する水貯留ステップ及びガス圧力調整ステップにより、供給する水の移送圧力を制御するため、水の送液に脈動が生じることが低減されるので、水の供給の不安定さを低減することができる。また、電解セルにおいて実行する電気分解ステップにより、供給された水を電気分解して水素及び酸素を生成し、生成された水素及び酸素をそれぞれ別々の生成ガスとして排出するため、水素の気泡がカソードの表面に堆積したり、供給された水に水素が残存した状態となったりすることが大幅に低減されるので、供給水の循環設備並びに遠心分離設備を必要としなくなり、システムの肥大化を低減することができる。
この構成において、前記電解セルのインピーダンスを計測し、計測した前記インピーダンスに基づいて前記移送圧力を変更する移送圧力変更ステップと、をさらに有することが好ましい。この構成によれば、水の供給の不安定さをさらに低減することができるとともに、電解セルの劣化を抑制することができ、水素及び酸素の生成に係る消費エネルギーの増大を抑制することができる。
図1は、第1の実施形態に係る水素及び酸素生成システムの一例を示す概略構成図である。 図2は、図1の水素及び酸素生成システムの制御ブロック図である。 図3は、第1の実施形態に係る水素及び酸素生成方法のフローの一例を示すフローチャートである。 図4は、第2の実施形態に係る水素及び酸素生成システムの一例を示す概略構成図である。 図5は、図4の水素及び酸素生成システムの制御ブロック図である。 図6は、第3の実施形態に係る水素及び酸素生成システムの一例を示す概略構成図である。 図7は、図6の水素及び酸素生成システムの移送ポンプの一例を示す概略構成図である。 図8は、図6の水素及び酸素生成システムの制御ブロック図である。
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る水素及び酸素生成システム10の一例を示す概略構成図である。水素及び酸素生成システム10は、図1に示すように、電解セル20と、アキュミュレータ30と、水供給部40と、ガス供給部50を、を含む。
電解セル20は、図1に示すように、触媒膜21と、第1ガス拡散電極22と、第2ガス拡散電極23と、水供給室24と、第1生成ガス排出室25と、第2生成ガス排出室26と、調温器27と、インピーダンス計測器28と、を備える。
触媒膜21は、電解質を有する触媒が膜状に形成されたものであり、一方の面のうち第1ガス拡散電極22が設けられていない領域に設けられた水供給室24から水が供給され、供給された水を触媒において電気分解して水素(Hydrogen、H)及び酸素(Oxygen、O)を生成し、それぞれ別々の生成ガスとして排出する。水供給室24は、水の移送配管11によりアキュミュレータ30の水貯留室33と連通されており、水の移送配管11を介してアキュミュレータ30の水貯留室33から水が供給される。水供給室24は、図1では上下に分離して描かれているが、具体的には、触媒膜21の一方の面の外周部にループして設けられており、このため、水の移送配管11を介して供給された水が、水供給室24を循環して、場所に依る温度差を低減することができる。
第1ガス拡散電極22は、触媒膜21の一方の面の一部に設けられており、水を電気分解する際にカソードとして機能し、電気分解によって生成された生成ガスの一方である水素を、液体の水を含まない状態で、第1ガス拡散電極22の触媒膜21とは反対側に設けられた第1生成ガス排出室25に向けて排出する。第1生成ガス排出室25は、第1ガスである水素の送気配管12が連通されており、水素の送気配管12を通って第1生成ガス排出室25から排出先または再利用先に向けて水素が送られる。
第2ガス拡散電極23は、触媒膜21の他方の面の全体に設けられており、水を電気分解する際にアノードとして機能し、電気分解によって生成された生成ガスの他方である酸素を、液体の水を含まない状態で、第2ガス拡散電極23の触媒膜21とは反対側に設けられた第2生成ガス排出室26に向けて排出する。第2生成ガス排出室26は、第2ガスである酸素の送気配管13が連通されており、酸素の送気配管13を通って第2生成ガス排出室26から排出先または再利用先に向けて酸素が送られる。
触媒膜21において、図1で(1)で示されているカソードとして機能する第1ガス拡散電極22側の領域では、以下の式(1)に従う電気分解反応に基づき、水素を生成する。また、触媒膜21において、図1で(2)で示されているアノードとして機能する第2ガス拡散電極23側の領域では、以下の式(2)に従う電気分解反応に基づき、水素を生成する。
2H+2e→H ・・・ 式(1)
O→(1/2)O+2H+2e ・・・ 式(2)
調温器27は、水供給室24に向けて設けられており、水供給室24、第1生成ガス排出室25及び第2生成ガス排出室26を形成する電解セル20の筐体29を通じて、水供給室24に供給された水の温調を行うことができ、これにより、場所に依る温度差を低減することができる。調温器27は、ペルチェ式等のチラーまたはヒーターが例示されるが、その他の加熱器及び冷却器の組み合わせも、適宜用いることができる。なお、電解セル20が、水の電気分解の吸熱エネルギーと、水の電気分解時に発生する発熱エネルギーと、のバランスが等しくなるような条件下で運転することで、調温器27は、省略または最小化することができる。
電解セル20は、所々に温度を計測する熱電対20a(図2参照)を挿入する図示しない穴が設けられている。このため、電解セル20は、各部の温度をリアルタイムで計測することができる。調温器27により水供給室24に供給された水の調温を行う際には、これらの計測される各部の温度の情報が、適宜用いられる。
インピーダンス計測器28は、電解セル20の触媒膜21に対して設けられ、電解セル20の触媒膜21のインピーダンスを計測することができる。インピーダンス計測器28は、触媒膜21が、供給された水の含有量が少なくなればなるほど、インピーダンスが上昇する性質を有するので、触媒膜21における水の含有量を間接的に測定することができる。
水の移送配管11は、電解セル20の水供給室24とアキュミュレータ30の水貯留室33との間を連通し、アキュミュレータ30の水貯留室33から電解セル20の水供給室24に向けて水を移送して供給する。水の移送配管11は、図1に示すように、流量調整弁14と、真空排気ライン15と、圧力計16と、が設けられている。
流量調整弁14は、水の移送配管11の内部を開放した状態と閉鎖した状態とを切り替えることにより、水の移送配管11を通って水を移送する状態と、水の移送を停止した状態とを切り替える。流量調整弁14は、また、水の移送配管11の内部における流量調整弁14の開放度合いを変更することにより、水の移送配管11を通って水を移送する圧力を変更する。
真空排気ライン15は、水の移送配管11から枝分かれして設けられ、水の移送配管11と連通するか否かを切り替え可能な排気弁15aと、内部を通過するガスから水蒸気を除去することで除湿する除湿器15bとが設けられており、例えば、初期起動の際の装置内部への水の真空充填、水の電気分解を停止した状態下で、水の移送配管11の内部を真空にして清浄化する際等に使用される。除湿器15bは、内部の回転部に水滴を捕捉するドラッグポンプ、または、水滴を捕捉する吸着材を詰め込んだ筐体等が例示される。圧力計16は、水の移送配管11の内部の水圧または気圧を計測する。
水素の送気配管12は、図1に示すように、第1生成ガス排出室25に連通して設けられており、触媒膜21において水を電気分解して生成した水素を送気する。水素の送気配管12は、水素の排出先または再利用先と連通している。水素の送気配管12は、内部を通過する水素を主とする生成ガスから水蒸気を除去することで除湿する、図示しない除湿器が設けられていても良い。水素の送気配管12に設けられる除湿器は、上記した除湿器15bと同様に、ドラッグポンプまたは吸着材を詰め込んだ筐体等が例示される。
酸素の送気配管13は、図1に示すように、第2生成ガス排出室26に連通して設けられており、触媒膜21において水を電気分解して生成した酸素を送気する。酸素の送気配管13は、酸素の排出先または再利用先と連通している。酸素の送気配管13は、水素及び酸素生成システム10が宇宙空間で利用される場合、例えば、キャビンへ向けて生成した酸素を放出するように設けられる。酸素の送気配管13は、窒素ガス供給部13aと、水素センサ13bと、除湿器13cと、蓄圧ガス供給調整弁17と、蓄圧ガス排気部18と、が設けられている。
窒素ガス供給部13aは、窒素(Nitrogen、N)を供給する窒素ガス源と酸素の送気配管13とを連通するか否かを切り替えることができ、これにより、酸素の送気配管13へ窒素ガスを供給する状態と窒素ガスの供給を停止した状態とを切り替える。窒素ガス供給部13aは、酸素の送気配管13の内部を通過する酸素を主とする生成ガスにおける水素濃度が閾値より高い場合等の緊急時に、酸素と水素との間で起こり得る燃焼反応を抑制するために、酸素の送気配管13に窒素ガスを供給する。
水素センサ13bは、酸素の送気配管13の内部を通過する酸素を主とする生成ガスに含まれる水素を検知することで、この生成ガスの水素濃度を計測する。除湿器13cは、酸素の送気配管13の内部を通過する酸素を主とする生成ガスから水蒸気を除去することで除湿するものであり、ドラッグポンプまたは吸着材を詰め込んだ筐体等が例示される。
水素及び酸素生成システム10は、第1の実施形態では、ガス供給部50が、電解セル20で水を電気分解して生成した酸素を、蓄圧ガスとしてアキュミュレータ30のガス室34に供給する形態である。このため、酸素の送気配管13は、第1の実施形態では、蓄圧ガス供給調整弁17を介してガス供給部50のガス供給配管51が接続されており、蓄圧ガス排気部18を介してガス供給部50のガス排気配管52が接続されている。
蓄圧ガス供給調整弁17は、酸素の送気配管13の内部を開放した状態と閉鎖した状態とを切り替えることにより、酸素の送気配管13を通って酸素を主とする生成ガスを送気する状態と、酸素を主とする生成ガスの送気を停止した状態とを切り替える。蓄圧ガス供給調整弁17は、また、酸素の送気配管13とガス供給配管51とを連通するか否かを切り替えることができ、これにより、酸素の送気配管13からガス供給配管51へ蓄圧ガスとして酸素を主とする生成ガスを供給する状態と、酸素を主とする生成ガスの供給を停止した状態とを切り替える。蓄圧ガス供給調整弁17は、さらに、酸素の送気配管13からガス供給配管51へ向けた蓄圧ガス供給調整弁17の開放度合いを変更することにより、酸素の送気配管13からガス供給配管51へ向けた酸素を主とする生成ガスを送気する圧力を変更する。
蓄圧ガス排気部18は、酸素の送気配管13において蓄圧ガス供給調整弁17よりも下流側に設けられており、元々酸素を主とする生成ガスである、ガス排気配管52から排気された蓄圧ガスを、酸素の送気配管13へ合流させる。
なお、水素及び酸素生成システム10は、第1の実施形態では、ガス供給部50が、電解セル20で水を電気分解して生成した酸素を、蓄圧ガスとしてアキュミュレータ30のガス室34に供給する形態であるが、本発明はこれに限定されず、ガス供給部50が、電解セル20で水を電気分解して生成した水素を、蓄圧ガスとしてアキュミュレータ30のガス室34に供給する形態であってもよい。この場合、酸素の送気配管13に代えて、水素の送気配管12が、ガス供給部50のガス供給配管51及びガス排気配管52と接続する形態となる。ガス供給部50が電解セル20で水を電気分解して生成した水素を蓄圧ガスとしてアキュミュレータ30のガス室34に供給する形態は、水素が還元雰囲気を作り出すため、ガス供給部50の各配管及びアキュミュレータ30のガス室34の酸化を抑制することができる。
アキュミュレータ30は、図1に示すように、楕円球状の本体31と、弾性体膜32と、を備えており、本体31の内部空間に弾性体膜32で隔てられてそれぞれ形成された水貯留室33と、ガス室34と、水体積センサ35を備える。
水貯留室33は、水を貯留する空間であり、貯留する水が供給される入口33aと、貯留された水を移送する出口33bとを、それぞれアキュミュレータ30の本体31に備えている。ガス室34は、蓄圧ガスが供給される空間であり、蓄圧ガスが供給される入口34aと、供給された蓄圧ガスを排気する出口34bとを、それぞれアキュミュレータ30の本体31に備えている。アキュミュレータ30は、水貯留室33に貯留した水を、ガス室34における蓄圧ガスの圧力に応じた移送圧力で電解セル20に向けて移送する。
水貯留室33は、入口33aで水供給部40の水供給配管41が接続されており、水供給部40から水が供給される。水貯留室33は、出口33bで水の移送配管11により電解セル20の水供給室24と連通されており、水の移送配管11を介して電解セル20の水供給室24へ水を移送し、供給する。
ガス室34は、入口34aでガス供給部50のガス供給配管51により酸素の送気配管13と連通されており、酸素の送気配管13からガス供給配管51を介して、蓄圧ガスとして酸素の送気配管13を通過していた酸素を主とする生成ガスが供給される。ガス室34は、出口34bでガス供給部50のガス排気配管52により酸素の送気配管13と連通されており、ガス排気配管52を介して酸素の送気配管13へ蓄圧ガスを排気する。
水貯留室33に供給された水の貯留量、及び、ガス室34に供給された蓄圧ガスの蓄積量に応じて、弾性体膜32が伸縮することで、水貯留室33の体積及びガス室34の体積は変化する。水体積センサ35は、アキュミュレータ30の本体31に設けられており、弾性体膜32が伸縮することによって変化する水貯留室33の体積を検出することで、水貯留室33に貯留された水の体積を検出する。
水供給部40は、図1に示すように、水供給配管41と、水供給源42と、脱塩塔43と、フィルタ44と、ポンプ45と、水供給弁46とを備え、水貯留室33に水を供給する。水供給配管41は、水供給源42とアキュミュレータ30の水貯留室33の入口33aとを連通している。水供給配管41は、水供給源42から入口33aに向かって順次、脱塩塔43と、フィルタ44と、ポンプ45と、水供給弁46とが設けられている。
脱塩塔43は、水供給源42から供給される水に含まれる塩を除去することで、水の純度を高めて、電解セル20で塩が分解される反応を低減する。フィルタ44は、水供給源42から供給される水に含まれる不純物等を除去することで、水の純度を高める。ポンプ45は、電源のオンオフを切り替えることで、水供給源42からアキュミュレータ30の水貯留室33の入口33aへ向けて水を送液する状態と、水の送液を停止した状態とを切り替える。水供給弁46は、水供給配管41の内部を開放した状態と閉鎖した状態とを切り替えることにより、水供給配管41を通って水供給源42からアキュミュレータ30の水貯留室33の入口33aへ水を供給する状態と、水の供給を停止した状態とを切り替える。
ガス供給部50は、図1に示すように、ガス供給配管51と、ガス排気配管52と、圧力計53と、排気弁54と、リリーフ弁55とを備え、ガス室34に蓄圧ガスを供給する。ガス供給部50は、ガス供給配管51が蓄圧ガス供給調整弁17を介して酸素の送気配管13と接続されており、ガス排気配管52が蓄圧ガス排気部18を介して酸素の送気配管13と接続されている。
ガス供給配管51は、酸素の送気配管13とアキュミュレータ30のガス室34の入口34aとを連通している。圧力計53は、ガス供給配管51に設けられており、ガス供給配管51の内部の気圧、すなわちアキュミュレータ30のガス室34の蓄圧ガスの圧力を計測する。
ガス排気配管52は、酸素の送気配管13とアキュミュレータ30のガス室34の出口34bとを連通している。排気弁54とリリーフ弁55とは、ガス排気配管52に並列に設けられている。排気弁54は、ガス排気配管52の内部を開放した状態と閉鎖した状態とを切り替えることにより、ガス排気配管52を通って蓄圧ガスを排気する状態と、蓄圧ガスの排気を停止した状態とを切り替える。リリーフ弁55は、ガス排気配管52の内部のアキュミュレータ30のガス室34の出口34b側に過大圧力が発生した場合に、自動的に圧力を開放する弁であり、ガス室34が過大圧力となることを防止する。
水素及び酸素生成システム10は、図1に示すように、水素及び酸素生成システム10を構成する上述した各構成要素をそれぞれ制御する制御部19を備える。すなわち、制御部19は、本発明の第1の実施形態に係る水素及び酸素生成方法を水素及び酸素生成システム10に実行させるものである。制御部19は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インタフェース装置とを有し、コンピュータプログラムを実行可能なコンピュータである。制御部19の機能は、演算処理装置がROMに記憶されているコンピュータプログラムをRAM上で実行すること、並びに、実行した結果等を記憶装置に記憶することにより、実現される。
図2は、図1の水素及び酸素生成システム10の制御ブロック図である。制御部19は、図2に示すように、水素の送気配管12と、酸素の送気配管13と、窒素ガス供給部13aと、水素センサ13bと、除湿器13cと、流量調整弁14と、排気弁15aと、除湿器15bと、圧力計16と、蓄圧ガス供給調整弁17と、電解セル20に所々に取り付けられた熱電対20aと、調温器27と、インピーダンス計測器28と、水体積センサ35と、水供給源42と、脱塩塔43と、フィルタ44と、ポンプ45と、水供給弁46と、圧力計53と、排気弁54と、それぞれ情報通信可能に電気的に接続されている。
制御部19は、水素の送気配管12に接続して設けられた圧力計等の計測器を制御するとともに、この計測器から、生成された水素の圧力及び体積等の情報を取得する。制御部19は、酸素の送気配管13に接続して設けられた圧力計等の計測器を制御するとともに、この計測器から、生成された酸素の圧力及び体積等の情報を取得する。
制御部19は、水素センサ13bを制御するとともに、水素センサ13bから、酸素の送気配管13の内部を通過する酸素を主とする生成ガスの水素濃度の情報を取得する。制御部19は、水素センサ13bから取得したこの水素濃度の情報に基づいて窒素ガス供給部13aを制御し、この水素濃度が閾値より高い場合等の緊急時に、酸素と水素との間で起こり得る燃焼反応を抑制するために、酸素の送気配管13に窒素ガスを供給させるとともに、窒素ガス供給部13aから、窒素ガスの供給に関する情報を取得する。
制御部19は、除湿器13cとして内部の回転部に水滴を捕捉するドラッグポンプが用いられている場合、除湿器13cを制御することで、除湿器13cが内部の回転部に捕捉する水滴量を制御するとともに、除湿器13cから、この捕捉した水滴量に関する情報を取得する。制御部19は、除湿器13cとして水滴を捕捉する吸着材を詰め込んだ筐体が用いられている場合、除湿器13cから、除湿器13cが捕捉した水滴量に関する情報を取得する。制御部19は、除湿器15bについても、除湿器13cについてと同様の制御をしたり、同様の情報を取得したりする。
制御部19は、圧力計16を制御するとともに、圧力計16から、水の移送配管11の内部の水の移送圧力の情報を取得する。制御部19は、圧力計16から取得したこの水の移送圧力の情報に基づいて流量調整弁14を制御し、流量調整弁14の開放及び閉鎖を切り替えることで、水の移送配管11を通じた水の移送の状態を切り替えるとともに、流量調整弁14から、流量調整弁14の開放及び閉鎖に関する情報を取得し、水の移送配管11を通じた水の移送に関する情報を取得する。また、制御部19は、流量調整弁14を制御して、水の移送配管11の内部における流量調整弁14の開放度合いを変更することで、水の移送配管11を通じた水の移送圧力を変更する。
制御部19は、排気弁15aを制御することで、真空排気ライン15を連通するか否かを切り替えるとともに、排気弁15aから、真空排気ライン15が連通しているか否かの情報を取得する。制御部19は、排気弁15aを切り替えて真空排気ライン15を連通している場合、除湿器15bを制御したり、除湿器15bからの情報を取得したりする。
制御部19は、電解セル20に所々に取り付けられた熱電対20aを制御するとともに、各熱電対20aから、電解セル20の各部の温度の情報を取得する。制御部19は、各熱電対20aから取得した電解セル20の各部の温度の情報に基づいて、調温器27を制御し、水供給室24に供給された水の調温を制御するとともに、調温器27から、水の調温に関する情報を取得する。
制御部19は、圧力計53を制御するとともに、圧力計53から、ガス供給配管51の内部の気圧の情報、すなわちアキュミュレータ30のガス室34の蓄圧ガスの圧力の情報を取得する。制御部19は、圧力計53から取得したこのアキュミュレータ30のガス室34の蓄圧ガスの圧力の情報に基づいて、蓄圧ガス供給調整弁17及び排気弁54を制御して、アキュミュレータ30のガス室34の蓄圧ガスの圧力を制御する。
すなわち、制御部19は、圧力計53から取得したこのアキュミュレータ30のガス室34の蓄圧ガスの圧力の情報に基づいて、蓄圧ガス供給調整弁17を制御し、酸素の送気配管13とガス供給配管51とを連通するか否かを切り替えることで、酸素の送気配管13からガス供給配管51への蓄圧ガスとして酸素を主とする生成ガスの供給の状態を切り替えるとともに、蓄圧ガス供給調整弁17から、酸素の送気配管13とガス供給配管51とを連通するか否かに関する情報を取得し、蓄圧ガスの供給に関する情報を取得する。また、制御部19は、蓄圧ガス供給調整弁17を制御して、酸素の送気配管13からガス供給配管51へ向けた蓄圧ガス供給調整弁17の開放度合いを変更することで、酸素の送気配管13からガス供給配管51へ向けた酸素を主とする生成ガスの送気の圧力を変更する。
加えて、制御部19は、圧力計53から取得したこのアキュミュレータ30のガス室34の蓄圧ガスの圧力の情報に基づいて、排気弁54を制御し、排気弁54の開放及び閉鎖を切り替えることで、ガス排気配管52を通じた蓄圧ガスの排気の状態を切り替えるとともに、排気弁54から、排気弁54の開放及び閉鎖に関する情報を取得し、ガス排気配管52を通じた蓄圧ガスの排気に関する情報を取得する。
また、制御部19は、蓄圧ガス供給調整弁17を制御して、酸素の送気配管13の内部における蓄圧ガス供給調整弁17の開放及び閉鎖を切り替えることで、酸素の送気配管13を通じた酸素を主とする生成ガスの送気の状態を切り替えるとともに、蓄圧ガス供給調整弁17から、酸素の送気配管13の内部における蓄圧ガス供給調整弁17の開放及び閉鎖に関する情報を取得し、酸素の送気配管13を通じた酸素を主とする生成ガスの送気に関する情報を取得する。
制御部19は、水体積センサ35を制御するとともに、水体積センサ35から、アキュミュレータ30の水貯留室33に貯留された水の体積の情報を取得する。制御部19は、水体積センサ35から取得したこのアキュミュレータ30の水貯留室33に貯留された水の体積の情報に基づいて、ポンプ45及び水供給弁46を制御して水供給源42から水貯留室33への水の供給量を制御することで、アキュミュレータ30の水貯留室33に貯留される水の体積を制御する。
すなわち、制御部19は、水体積センサ35から取得したこのアキュミュレータ30の水貯留室33に貯留された水の体積の情報に基づいて、ポンプ45を制御してポンプ45の電源のオンオフを切り替えることで、水供給源42からアキュミュレータ30の水貯留室33の入口33aへ向けての水の送液の状態を切り替えるとともに、ポンプ45から、ポンプ45の電源のオンオフに関する情報を取得し、この水の送液の状態に関する情報を取得する。
加えて、制御部19は、水体積センサ35から取得したこのアキュミュレータ30の水貯留室33に貯留された水の体積の情報に基づいて、水供給弁46を制御して水供給弁46の開放及び閉鎖を切り替えることで、水供給配管41を通じた水供給源42からアキュミュレータ30の水貯留室33の入口33aへの水の供給の状態を切り替えるとともに、水供給弁46から、水供給弁46の開放及び閉鎖に関する情報を取得し、この水の供給の状態に関する情報を取得する。
制御部19は、インピーダンス計測器28を制御するとともに、インピーダンス計測器28から、触媒膜21のインピーダンスの情報を取得する。制御部19は、インピーダンス計測器28から取得した触媒膜21のインピーダンスの情報に基づいて、電解セル20に移送する水の移送圧力を変更する。
制御部19は、水供給源42から供給可能な水量等に関する情報を取得する。制御部19は、脱塩塔43が捕捉して除去した塩の量等の塩に関する情報を取得する。制御部19は、フィルタ44が捕捉して除去した不純物等の量の情報を取得する。
本発明の第1の実施形態に係る水素及び酸素生成システム10の作用について以下に説明する。図3は、第1の実施形態に係る水素及び酸素生成方法のフローの一例を示すフローチャートである。水素及び酸素生成システム10によって実行される処理方法である本発明の第1の実施形態に係る水素及び酸素生成方法について、図3を用いて説明する。本発明の第1の実施形態に係る水素及び酸素生成方法は、水貯留ステップS10と、ガス圧力調整ステップS20と、移送圧力変更ステップS30と、電気分解ステップS40と、を有する。
水貯留ステップS10は、アキュミュレータ30において蓄圧ガスが供給されるガス室34と弾性体膜32で隔てられて設けられた水を貯留する水貯留室33に、水供給部40から水を供給することにより、水貯留室33に水を貯留するステップである。水貯留ステップS10は、図3に示すように、水体積検出ステップS11と、水供給ステップS12と、水供給停止ステップS13と、を有する。
水体積検出ステップS11は、制御部19が、水体積センサ35を制御して、アキュミュレータ30の水貯留室33に貯留された水の体積を検出して、この水の体積が所定の水補給閾値に到達しているか否かを判定するステップである。水体積検出ステップS11は、制御部19が、水貯留ステップS10を終了するまで、適宜繰り返し実行する。
水供給ステップS12は、水体積検出ステップS11においてNO、すなわち、制御部19が、この水の体積が所定の水補給閾値に到達していないと判定した場合、水供給弁46を制御して開放状態とし、ポンプ45を制御してオンにすることで、水供給源42から水貯留室33へ水を供給するステップである。
水供給停止ステップS13は、水体積検出ステップS11においてYES、すなわち、制御部19が、この水の体積が所定の水補給閾値に到達していると判定した場合、水供給弁46を制御して閉鎖状態とし、ポンプ45を制御してオフにすることで、水供給源42から水貯留室33への水の供給を停止するステップである。
水貯留ステップS10では、最後に、制御部19が、この際のアキュミュレータ30の水貯留室33に貯留された水の体積を水体積センサ35から取得し、これに基づいてアキュミュレータ30の水貯留室33に貯留された水の圧力を算出する。本発明の第1の実施形態に係る水素及び酸素生成方法は、水貯留ステップS10を終了すると、すなわち、水体積検出ステップS11、水供給ステップS12及び水供給停止ステップS13を終了すると、ガス圧力調整ステップS20に進む。
ガス圧力調整ステップS20は、ガス室34に、ガス供給部50から蓄圧ガスを供給することにより、ガス室34における蓄圧ガスの圧力を調整するステップである。ガス圧力調整ステップS20は、図3に示すように、第1蓄圧ガス圧力検出ステップS21と、蓄圧ガス供給ステップS22と、蓄圧ガス供給停止ステップS23と、第2蓄圧ガス圧力検出ステップS24と、蓄圧ガス排気ステップS25と、蓄圧ガス排気停止ステップS26と、を有する。
第1蓄圧ガス圧力検出ステップS21は、制御部19が、圧力計53を制御して、ガス供給配管51の内部の気圧、すなわちアキュミュレータ30のガス室34の蓄圧ガスの圧力を計測して、この蓄圧ガスの圧力が、アキュミュレータ30の水貯留室33に貯留された水の圧力と比較して、第1の所定の圧力規定範囲に到達しているか否かを判定するステップである。第1蓄圧ガス圧力検出ステップS21では、制御部19が、この蓄圧ガスの圧力から水側の圧力を差し引いた値が第1の所定の圧力規定範囲より大きいか否かを判定する。第1蓄圧ガス圧力検出ステップS21は、制御部19が、ガス圧力調整ステップS20において蓄圧ガス供給停止ステップS23を終了するまで、適宜繰り返し実行する。
蓄圧ガス供給ステップS22は、第1蓄圧ガス圧力検出ステップS21においてNO、すなわち、制御部19が、この蓄圧ガスの圧力が、水側の圧力と比較して第1の所定の圧力規定範囲に到達していないと判定した場合、蓄圧ガス供給調整弁17を制御して、酸素の送気配管13とガス供給配管51とを連通することで、酸素の送気配管13からガス供給配管51へ蓄圧ガスとして酸素を主とする生成ガスを供給するステップである。蓄圧ガス供給ステップS22では、これに代えて、もしくは、これに併せて、制御部19が、蓄圧ガス供給調整弁17を制御して、酸素の送気配管13からガス供給配管51へ向けた蓄圧ガス供給調整弁17の開放度合いを増加させる方向へ変更することで、酸素の送気配管13からガス供給配管51へ向けた酸素を主とする生成ガスの送気の圧力を変更してもよい。
なお、蓄圧ガス供給ステップS22では、制御部19が、蓄圧ガスの圧力を増加させることに代えて、水側の圧力を減少させてもよく、例えば、流量調整弁14を制御して、流量調整弁14を開放したり、流量調整弁14の開放度合いを増加させる方向へ変更したりすることで、水の移送配管11を通じて水を電解セル20に向けて移送しても良い。この場合には、蓄圧ガス供給ステップS22では、制御部19が、改めてアキュミュレータ30の水貯留室33に貯留された水の圧力を算出し直す。
蓄圧ガス供給停止ステップS23は、第1蓄圧ガス圧力検出ステップS21においてYES、すなわち、制御部19が、この蓄圧ガスの圧力が、水側の圧力と比較して第1の所定の圧力規定範囲に到達していると判定した場合、蓄圧ガス供給調整弁17を制御して、酸素の送気配管13からガス供給配管51へ向けた蓄圧ガス供給調整弁17の開放度合いを減少させる方向へ変更することで、酸素の送気配管13からガス供給配管51へ向けた酸素を主とする生成ガスの送気の圧力を定常状態へ移行させるステップである。
なお、蓄圧ガス供給停止ステップS23では、制御部19が、蓄圧ガス供給ステップS22において蓄圧ガスの圧力を増加させることに代えて水側の圧力を減少させていた場合、蓄圧ガス供給ステップS22とは逆に、流量調整弁14を制御して、流量調整弁14を閉鎖したり、流量調整弁14の開放度合いを減少させる方向へ変更したりすることで、水の移送配管11を通じた電解セル20に向けた水の移送を定常状態へ移行させても良い。この場合にも、蓄圧ガス供給停止ステップS23では、制御部19が、改めてアキュミュレータ30の水貯留室33に貯留された水の圧力を算出し直す。
第2蓄圧ガス圧力検出ステップS24は、制御部19が、圧力計53を制御して、ガス供給配管51の内部の気圧、すなわちアキュミュレータ30のガス室34の蓄圧ガスの圧力を計測して、この蓄圧ガスの圧力が、アキュミュレータ30の水貯留室33に貯留された水の圧力と比較して、第2の所定の圧力規定範囲に収まっているか否かを判定するステップである。第2蓄圧ガス圧力検出ステップS24では、制御部19が、この蓄圧ガスの圧力から水側の圧力を差し引いた値が第2の所定の圧力規定範囲より小さいか否かを判定する。第2蓄圧ガス圧力検出ステップS24は、制御部19が、ガス圧力調整ステップS20において蓄圧ガス排気停止ステップS26を終了するまで、適宜繰り返し実行する。
蓄圧ガス排気ステップS25は、第2蓄圧ガス圧力検出ステップS24においてNO、すなわち、制御部19が、この蓄圧ガスの圧力が、水側の圧力と比較して第2の所定の圧力規定範囲に収まっていないと判定した場合、排気弁54を制御して、排気弁54を開放状態とすることで、ガス排気配管52を通じて蓄圧ガスを排気するステップである。蓄圧ガス排気ステップS25では、これに代えて、もしくは、これに併せて、制御部19が、蓄圧ガス供給調整弁17を制御して、酸素の送気配管13からガス供給配管51へ向けた蓄圧ガス供給調整弁17の開放度合いを減少させる方向へ変更することで、酸素の送気配管13からガス供給配管51へ向けた酸素を主とする生成ガスの送気の圧力を変更してもよい。
蓄圧ガス排気停止ステップS26は、第2蓄圧ガス圧力検出ステップS24においてYES、すなわち、制御部19が、この蓄圧ガスの圧力が、水側の圧力と比較して第2の所定の圧力規定範囲に収まっていると判定した場合、排気弁54を制御して、排気弁54を閉鎖状態とすることで、ガス排気配管52を通じた蓄圧ガスの排気を停止するステップである。
本発明の第1の実施形態に係る水素及び酸素生成方法は、水貯留ステップS10及びガス圧力調整ステップS20を実行することで、アキュミュレータ30のガス室34の蓄圧ガスの圧力に応じた移送圧力で、アキュミュレータ30の水貯留室33に貯留した水を電解セル20に向けて定常的に移送することが可能な状態を形成することができる。このため、本発明の第1の実施形態に係る水素及び酸素生成方法は、制御部19が、水を電解セル20に向けて定常的に移送するに際し、適宜、水貯留ステップS10及びガス圧力調整ステップS20を繰り返し実行することで、水の移送圧力を所望の範囲内に制御することが好ましい。
本発明の第1の実施形態に係る水素及び酸素生成方法は、ガス圧力調整ステップS20を終了すると、すなわち、第1蓄圧ガス圧力検出ステップS21、蓄圧ガス供給ステップS22、蓄圧ガス供給停止ステップS23、第2蓄圧ガス圧力検出ステップS24、蓄圧ガス排気ステップS25及び蓄圧ガス排気停止ステップS26を終了すると、移送圧力変更ステップS30に進む。
移送圧力変更ステップS30は、電解セル20のインピーダンスを計測し、計測したインピーダンスに基づいて水の移送圧力を変更するステップである。移送圧力変更ステップS30は、図3に示すように、インピーダンス判定ステップS31と、圧力規定範囲更新ステップS32と、を有する。
インピーダンス判定ステップS31は、制御部19が、インピーダンス計測器28を制御して、電解セル20の触媒膜21のインピーダンスを計測して、この触媒膜21のインピーダンスが所定の規定範囲内に収まっているか否かを判定するステップである。
圧力規定範囲更新ステップS32は、インピーダンス判定ステップS31においてNO、すなわち、制御部19が、触媒膜21のインピーダンスが所定の規定範囲内に収まっていないと判定した場合、電解セル20に移送する水の移送圧力の設定を変更し、これに伴い、アキュミュレータ30の水貯留室33に貯留する水の体積の設定値(所定の水補給閾値)及びアキュミュレータ30のガス室34の蓄圧ガスの圧力の設定に関する値(第1及び第2の所定の圧力規定範囲)を変更するステップである。
圧力規定範囲更新ステップS32では、制御部19が、触媒膜21のインピーダンスが所定の規定範囲内に対して高い方向に外れていると判定した場合、電解セル20の触媒膜21における水の含有量を増加させた方が好ましいと判断して、電解セル20に移送する水の移送圧力の設定を低くなる方向に変更する。一方、圧力規定範囲更新ステップS32では、制御部19が、触媒膜21のインピーダンスが所定の規定範囲内に対して低い方向に外れていると判定した場合、電解セル20の触媒膜21における水の含有量を減少させた方が好ましいと判定して、電解セル20に移送する水の移送圧力の設定を高くなる方向に変更する。
なお、本発明の第1の実施形態に係る水素及び酸素生成方法は、移送圧力変更ステップS30を必須としておらず、飛ばしても構わない。また、本発明の第1の実施形態に係る水素及び酸素生成方法は、移送圧力変更ステップS30を実行した結果、電解セル20に移送する水の移送圧力の設定を変更した場合、変更した設定下で、再び水貯留ステップS10及びガス圧力調整ステップS20を実行することが好ましい。
本発明の第1の実施形態に係る水素及び酸素生成方法は、移送圧力変更ステップS30を終了すると、すなわち、インピーダンス判定ステップS31及び圧力規定範囲更新ステップS32を終了すると、電気分解ステップS40に進む。
電気分解ステップS40は、ガス圧力調整ステップS20で調整した蓄圧ガスの圧力に応じた移送圧力で、水貯留ステップS10で貯留した水を電解セル20に向けて移送し、電解セル20に供給された水を電解セル20の触媒において電気分解して水素及び酸素を生成し、生成された水素及び酸素をそれぞれ別々の生成ガスとして排出するステップである。
第1の実施形態に係る水素及び酸素生成システム10は、供給された水を電気分解して水素及び酸素を生成し、生成された水素及び酸素をそれぞれ別々の生成ガスとして排出する電解セル20を用いるため、水素の気泡がカソードの表面に堆積したり、供給された水に水素が残存した状態となったりすることが大幅に低減されるので、供給水の循環設備並びに遠心分離設備を必要としなくなり、システムの肥大化を低減することができる。また、第1の実施形態に係る水素及び酸素生成システム10は、アキュミュレータ30により供給する水の移送圧力を制御するため、水の送液に脈動が生じることが低減されるので、水の供給の不安定さを低減することができる。
また、第1の実施形態に係る水素及び酸素生成システム10は、ガス供給部50が、電解セル20で水を電気分解して生成したいずれか一方の生成ガスを、蓄圧ガスとしてガス室34に供給している。このため、第1の実施形態に係る水素及び酸素生成システム10は、生成ガスの資源を有効に活用することができる。また、このため、第1の実施形態に係る水素及び酸素生成システム10は、水の電気分解量に応じて、アキュミュレータ30のガス室34に供給する生成ガスの量が増え、これに伴い、アキュミュレータ30の水貯留室33から供給する水の量が増える仕組みが形成されるので、電解セル20に供給される水の量を一定に保持することが容易となる。第1の実施形態に係る水素及び酸素生成システム10は、さらに、ガス供給部50が、ガス室34から排気された蓄圧ガスを、ガス室34に供給していた生成ガスの送気配管13へ合流させている。このため、第1の実施形態に係る水素及び酸素生成システム10は、生成ガスの資源をさらに有効に活用することができる。
また、第1の実施形態に係る水素及び酸素生成システム10は、電解セル20のインピーダンスを計測するインピーダンス計測器28をさらに含み、インピーダンス計測器28が計測したインピーダンスに基づいて、電解セル20に移送する水の移送圧力を変更している。このため、第1の実施形態に係る水素及び酸素生成システム10は、水の供給の不安定さをさらに低減することができるとともに、電解セル20の劣化を抑制することができ、水素及び酸素の生成に係る消費エネルギーの増大を抑制することができる。
第1の実施形態に係る水素及び酸素生成システム10は、電解セル20が生成した生成ガスを除湿する除湿器13cをさらに含んでいる。このため、第1の実施形態に係る水素及び酸素生成システム10は、生成ガスに含まれる飽和蒸気圧分の水蒸気を除去することで、温度が低下した際に結露して水滴が発生することを抑制することができる。
また、この水素及び酸素生成システム10による第1の実施形態に係る水素及び酸素生成方法は、アキュミュレータ30において実行する水貯留ステップS10及びガス圧力調整ステップS20により、供給する水の移送圧力を制御するため、水の送液に脈動が生じることが低減されるので、水の供給の不安定さを低減することができる。また、この第1の実施形態に係る水素及び酸素生成方法は、電解セル20において実行する電気分解ステップS40により、供給された水を電気分解して水素及び酸素を生成し、生成された水素及び酸素をそれぞれ別々の生成ガスとして排出するため、水素の気泡がカソードの表面に堆積したり、供給された水に水素が残存した状態となったりすることが大幅に低減されるので、供給水の循環設備並びに遠心分離設備を必要としなくなり、システムの肥大化を低減することができる。
また、この第1の実施形態に係る水素及び酸素生成方法は、電解セル20のインピーダンスを計測し、計測したインピーダンスに基づいて移送圧力を変更する移送圧力変更ステップS30と、をさらに有している。このため、この第1の実施形態に係る水素及び酸素生成方法は、水の供給の不安定さをさらに低減することができるとともに、電解セル20の劣化を抑制することができ、水素及び酸素の生成に係る消費エネルギーの増大を抑制することができる。
[第2の実施形態]
図4は、第2の実施形態に係る水素及び酸素生成システム60の一例を示す概略構成図である。図5は、図4の水素及び酸素生成システム60の制御ブロック図である。第2の実施形態に係る水素及び酸素生成システム60は、図4及び図5に示すように、第1の実施形態に係る水素及び酸素生成システム10において、電解セル20で水を電気分解して生成した酸素ガスを蓄圧ガスとしてガス室34に供給するガス供給部50を、備蓄ガスを蓄圧ガスとしてガス室34に供給するガス供給部70に変更したものである。第2の実施形態の説明では、第1の実施形態と同様の構成に第1の実施形態と同一の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。
第2の実施形態に係る水素及び酸素生成システム60は、図4及び図5に示すように、第1の実施形態に係る水素及び酸素生成システム10において、蓄圧ガス供給調整弁17を、生成ガス調整弁17aに変更している。生成ガス調整弁17aは、蓄圧ガス供給調整弁17においてガス供給配管51の接続が除去されており、これに伴い、酸素の送気配管13とガス供給配管51とを連通するか否かを切り替える機能、及び、酸素の送気配管13からガス供給配管51へ向けた蓄圧ガス供給調整弁17の開放度合いを変更する機能が除去されたものとなっている。
ガス供給部70は、図4に示すように、ガス供給配管71と、ガス排気配管52と、蓄圧ガス供給調整弁72と、圧力計73と、窒素を供給する備蓄ガス源74と、排気弁54と、リリーフ弁55とを備える。ガス供給配管71は、備蓄ガス源74とアキュミュレータ30のガス室34の入口34aとを連通している。ガス供給配管71は、備蓄ガス源74から入口34aに向かって順次、蓄圧ガス供給調整弁72と、圧力計73とが設けられている。
ガス供給部70は、ガス排気配管52、排気弁54及びリリーフ弁55については、第1の実施形態と同様の構成となっている。このため、ガス供給部70は、ガス室34から排気された備蓄ガスを、電解セル20で水を電気分解して生成した酸素の送気配管13へ合流させている。水素及び酸素生成システム60は、宇宙空間で利用される場合、酸素の送気配管13が、例えば、キャビンへ向けて生成した酸素を放出するように設けられており、窒素と混合して利用される場合が多いため、ガス供給部70から排気される備蓄ガスとしての窒素を、酸素の送気配管13へ合流させることで有効活用している。
蓄圧ガス供給調整弁72は、ガス供給配管71の内部を開放した状態と閉鎖した状態とを切り替えることにより、ガス供給配管71を通って備蓄ガス源74からアキュミュレータ30のガス室34の入口34aへ蓄圧ガスとしての備蓄ガスを供給する状態と、備蓄ガスの供給を停止した状態とを切り替える。圧力計73は、ガス供給配管71に設けられており、ガス供給配管71の内部の気圧、すなわちアキュミュレータ30のガス室34の蓄圧ガスの圧力を計測する。
第2の実施形態に係る制御部19は、図5に示すように、第1の実施形態に係る制御部19において、蓄圧ガス供給調整弁17及び圧力計53に代えて、生成ガス調整弁17a、蓄圧ガス供給調整弁72及び圧力計73が、それぞれ情報通信可能に電気的に接続されたものである。
制御部19は、圧力計73を制御するとともに、圧力計73から、ガス供給配管71の内部の気圧の情報、すなわちアキュミュレータ30のガス室34の蓄圧ガスの圧力の情報を取得する。制御部19は、圧力計73から取得したこのアキュミュレータ30のガス室34の蓄圧ガスの圧力の情報に基づいて、蓄圧ガス供給調整弁72及び排気弁54を制御して、アキュミュレータ30のガス室34の蓄圧ガスの圧力を制御する。制御部19は、排気弁54の制御等については、第1の実施形態と同様に実行する。
すなわち、制御部19は、圧力計73から取得したこのアキュミュレータ30のガス室34の蓄圧ガスの圧力の情報に基づいて、蓄圧ガス供給調整弁72を制御し、ガス供給配管71の内部における蓄圧ガス供給調整弁72の開放及び閉鎖を切り替えることで、備蓄ガス源74からガス供給配管71への蓄圧ガスとして備蓄ガスの供給の状態を切り替えるとともに、蓄圧ガス供給調整弁72から、蓄圧ガス供給調整弁72の開放及び閉鎖に関する情報を取得し、蓄圧ガスの供給に関する情報を取得する。また、制御部19は、蓄圧ガス供給調整弁72を制御して、ガス供給配管71の内部における蓄圧ガス供給調整弁72の開放度合いを変更することで、備蓄ガス源74からガス供給配管71へ向けた備蓄ガスの送気の圧力を変更する。
また、制御部19は、生成ガス調整弁17aを制御して、酸素の送気配管13の内部における生成ガス調整弁17aの開放及び閉鎖を切り替えることで、酸素の送気配管13を通じた酸素を主とする生成ガスの送気の状態を切り替えるとともに、生成ガス調整弁17aから、酸素の送気配管13の内部における生成ガス調整弁17aの開放及び閉鎖に関する情報を取得し、酸素の送気配管13を通じた酸素を主とする生成ガスの送気に関する情報を取得する。
本発明の第2の実施形態に係る水素及び酸素生成システム60の作用について以下に説明する。水素及び酸素生成システム60によって実行される処理方法である本発明の第2の実施形態に係る水素及び酸素生成方法は、本発明の第1の実施形態に係る水素及び酸素生成方法において、アキュミュレータ30のガス室34に供給する蓄圧ガスを、酸素を主とする生成ガスから備蓄ガスに変更したものである。本発明の第2の実施形態に係る水素及び酸素生成方法は、蓄圧ガス以外のその他の部分については、本発明の第1の実施形態に係る水素及び酸素生成方法と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
第2の実施形態に係る水素及び酸素生成システム60は、ガス供給部70が、備蓄ガスを、蓄圧ガスとしてガス室34に供給している。このため、第2の実施形態に係る水素及び酸素生成システム60は、生成ガスを蓄圧ガスとして供給することが困難な場合や、生成ガスを蓄圧ガスとして供給することを望まない場合においても、肥大化することが低減でき、なおかつ、水の供給の不安定さを低減することができる形態を好適に使用することができる。第2の実施形態に係る水素及び酸素生成システム60は、さらに、備蓄ガスが窒素であり、ガス供給部70が、ガス室34から排気された窒素を、電解セル20で水を電気分解して生成した酸素の送気配管13へ合流させている。このため、第2の実施形態に係る水素及び酸素生成システム60は、備蓄ガスの資源を有効に活用することができる。
[第3の実施形態]
図6は、第3の実施形態に係る水素及び酸素生成システム80の一例を示す概略構成図である。図7は、図6の水素及び酸素生成システム80の移送ポンプ90の一例を示す概略構成図である。図8は、図6の水素及び酸素生成システム80の制御ブロック図である。第3の実施形態に係る水素及び酸素生成システム80は、図6及び図8に示すように、第1の実施形態に係る水素及び酸素生成システム10において、水の移送配管11に移送ポンプ90を追加して設けたものである。第3の実施形態の説明では、第1の実施形態と同様の構成に第1の実施形態と同一の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。
移送ポンプ90は、図6に示すように、アキュミュレータ30の水貯留室33と電解セル20との間の水の移送配管11に配設され、アキュミュレータ30から移送された水を電解セル20に向けて移送する。移送ポンプ90は、図7に示すように、水の入口94と出口95とを接続するケーシング91と、ケーシング91の内部に配設された羽根車92とを有し、ケーシング91の内壁と羽根車92の先端との間隙距離93を所定の距離とすることで、水の移送圧力の上限を所定の圧力としたものである。この間隙距離93は、短ければ短いほど水の移送圧力が高圧になるため、下限を設定することで、水の移送圧力の上限を設定している。
移送ポンプ90は、図8に示すように、第3の実施形態に係る制御部19と、情報通信可能に電気的に接続されている。このため、制御部19は、移送ポンプ90を制御することで、移送ポンプ90の電源のオンオフを切り替えることで、水の移送配管11において所定の水の移送圧力以下で水を移送するとともに、移送ポンプ90から、移送ポンプ90の作動に関する情報を取得する。
本発明の第3の実施形態に係る水素及び酸素生成システム80の作用について以下に説明する。水素及び酸素生成システム80によって実行される処理方法である本発明の第3の実施形態に係る水素及び酸素生成方法は、本発明の第1の実施形態に係る水素及び酸素生成方法において、蓄圧ガス供給ステップS22、蓄圧ガス供給停止ステップS23及び電気分解ステップS40を変更したものである。
本発明の第3の実施形態に係る水素及び酸素生成方法における蓄圧ガス供給ステップS22では、制御部19が、水側の圧力を減少させる場合、流量調整弁14を制御して流量調整弁14を開放することに併せて、移送ポンプ90を制御して移送ポンプの電源をオンにして、水の移送配管11を通じて水を電解セル20に向けて移送しても良い。この場合には、蓄圧ガス供給ステップS22では、第1の実施形態と同様に、制御部19が、改めてアキュミュレータ30の水貯留室33に貯留された水の圧力を算出し直す。
また、本発明の第3の実施形態に係る水素及び酸素生成方法における蓄圧ガス供給停止ステップS23では、制御部19が、蓄圧ガス供給ステップS22において蓄圧ガスの圧力を増加させることに代えて水側の圧力を減少させていた場合、蓄圧ガス供給ステップS22とは逆に、流量調整弁14を制御して、流量調整弁14を閉鎖したり、アキュミュレータ30による移送圧力のみが有効となるように移送ポンプ90を制御して移送ポンプの電源をオフにしたりして、水の移送配管11を通じた電解セル20に向けた水の移送を定常状態へ移行させても良い。この場合にも、蓄圧ガス供給停止ステップS23では、第1の実施形態と同様に、制御部19が、改めてアキュミュレータ30の水貯留室33に貯留された水の圧力を算出し直す。
また、本発明の第3の実施形態に係る水素及び酸素生成方法における電気分解ステップS40では、制御部19が、移送ポンプ90を制御して移送ポンプの電源をオンにして、水の移送配管11を通じて水を電解セル20に向けて移送しても良い。本発明の第3の実施形態に係る水素及び酸素生成方法は、その他の部分については、本発明の第1の実施形態に係る水素及び酸素生成方法と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
第3の実施形態に係る水素及び酸素生成システム80は、アキュミュレータ30の水貯留室33と電解セル20との間の水の移送配管11に配設され、アキュミュレータ30から移送された水を電解セル20に向けて移送する移送ポンプ90をさらに含み、移送ポンプ90は、水の入口94と出口95とを接続するケーシング91と、ケーシング91の内部に配設された羽根車92とを有し、ケーシング91の内壁と羽根車92の先端との間隙距離93を所定の距離とすることで、水の移送圧力の上限を所定の圧力としている。このため、第2の実施形態に係る水素及び酸素生成システム80は、移送圧力に上限を設定することで、水の送液に脈動が生じることがより低減されるので、水の供給の不安定さをより低減することができる。
10,60,80 水素及び酸素生成システム
11 水の移送配管
12 水素の送気配管
13 酸素の送気配管
13a 窒素ガス供給部
13b 水素センサ
13c 除湿器
14 流量調整弁
15 真空排気ライン
15a 排気弁
15b 除湿器
16 圧力計
17,72 蓄圧ガス供給調整弁
17a 生成ガス調整弁
18 蓄圧ガス排気部
19 制御部
20 電解セル
20a 熱電対
21 触媒膜
22 第1ガス拡散電極
23 第2ガス拡散電極
24 水供給室
25 第1生成ガス排出室
26 第2生成ガス排出室
27 調温器
28 インピーダンス計測器
29 筐体
30 アキュミュレータ
31 本体
32 弾性体膜
33 水貯留室
33a,34a,94 入口
33b,34b,95 出口
34 ガス室
35 水体積センサ
40 水供給部
41 水供給配管
42 水供給源
43 脱塩塔
44 フィルタ
45 ポンプ
46 水供給弁
50,70 ガス供給部
51,71 ガス供給配管
52 ガス排気配管
53 圧力計
54 排気弁
55 リリーフ弁
73 圧力計
74 備蓄ガス源
90 移送ポンプ
91 ケーシング
92 羽根車
93 間隙距離

Claims (11)

  1. 供給された水を電気分解して水素及び酸素を生成し、生成された水素及び酸素をそれぞれ別々の生成ガスとして排出する電解セルと、
    水を貯留する水貯留室及び蓄圧ガスが供給されるガス室が弾性体膜で隔てられて設けられ、前記水貯留室に貯留した水を前記ガス室における前記蓄圧ガスの圧力に応じた移送圧力で前記電解セルに向けて移送するアキュミュレータと、
    前記水貯留室に水を供給する水供給部と、
    前記ガス室に前記蓄圧ガスを供給するガス供給部と、
    を含むことを特徴とする水素及び酸素生成システム。
  2. 前記ガス供給部は、前記電解セルで水を電気分解して生成したいずれか一方の前記生成ガスを、前記蓄圧ガスとして前記ガス室に供給することを特徴とする請求項1に記載の水素及び酸素生成システム。
  3. 前記ガス供給部は、前記ガス室から排気された前記蓄圧ガスを、前記ガス室に供給していた前記生成ガスの送気配管へ合流させることを特徴とする請求項2に記載の水素及び酸素生成システム。
  4. 前記ガス供給部は、備蓄ガスを、前記蓄圧ガスとして前記ガス室に供給することを特徴とする請求項1に記載の水素及び酸素生成システム。
  5. 前記備蓄ガスは、窒素であり、
    前記ガス供給部は、前記ガス室から排気された窒素を、前記電解セルで水を電気分解して生成した酸素の送気配管へ合流させることを特徴とする請求項4に記載の水素及び酸素生成システム。
  6. 前記アキュミュレータの前記水貯留室と前記電解セルとの間の水の移送配管に配設され、前記アキュミュレータから移送された水を前記電解セルに向けて移送する移送ポンプをさらに含み、
    前記移送ポンプは、水の入口と出口とを接続するケーシングと、前記ケーシングの内部に配設された羽根車とを有し、前記ケーシングの内壁と前記羽根車の先端との間隙距離を所定の距離とすることで、水の移送圧力の上限を所定の圧力としたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の水素及び酸素生成システム。
  7. 前記電解セルのインピーダンスを計測するインピーダンス計測器をさらに含み、
    前記インピーダンス計測器が計測した前記インピーダンスに基づいて、前記電解セルに移送する水の移送圧力を変更することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の水素及び酸素生成システム。
  8. 前記電解セルが生成した前記生成ガスを除湿する除湿器をさらに含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の水素及び酸素生成システム。
  9. 前記アキュミュレータの前記水貯留室と前記電解セルとの間の水の移送配管に配設され、前記移送配管の内部を真空にする真空排気ラインをさらに含むことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の水素及び酸素生成システム。
  10. アキュミュレータにおいて蓄圧ガスが供給されるガス室と弾性体膜で隔てられて設けられた水を貯留する水貯留室に、水供給部から水を供給することにより、前記水貯留室に水を貯留する水貯留ステップと、
    前記ガス室に、ガス供給部から蓄圧ガスを供給することにより、前記ガス室における蓄圧ガスの圧力を調整するガス圧力調整ステップと、
    前記ガス圧力調整ステップで調整した蓄圧ガスの圧力に応じた移送圧力で、前記水貯留ステップで貯留した水を電解セルに向けて移送し、前記電解セルに供給された水を前記電解セルで電気分解して水素及び酸素を生成し、生成された水素及び酸素をそれぞれ別々の生成ガスとして排出する電気分解ステップと、
    を有することを特徴とする水素及び酸素生成方法。
  11. 前記電解セルのインピーダンスを計測し、計測した前記インピーダンスに基づいて前記移送圧力を変更する移送圧力変更ステップと、
    をさらに有することを特徴とする請求項10に記載の水素及び酸素生成方法。
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