JP2020066376A - 鉄道車両 - Google Patents
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Abstract
Description
図10に、従来の妻構体の下端の一般的な固定方法を示す。中空パイプ製の四角柱である妻柱111の下部は、台枠100に形成された凹部100aに挿入され、台枠100の下面側から、妻柱111の3面で、隅肉溶接で形成された溶接部113により固定されている。
また、特許文献2では、妻柱をボルト結合により繋ぐ部材を設け、それらの組立体を台枠にボルト結合させる構造が記載され、これにより、溶接量を低減して、妻柱の強度を増大させることが記載されている。
すなわち、踏切で立往生した自動車に、鉄道車両が衝突する事故が発生した場合に、普通乗用車や床面の低い自動車ならば、台枠が直接自動車に衝突するため、鉄道車両に損傷を与えることがほとんど無く、少なくとも鉄道車両側には問題がない。しかし、大型トラック等の荷台が高く重心が高い自動車が踏切に立往生した場合には、台枠より上で大型トラックの荷台が衝突することになる。
その場合には、図11に示すように衝突力が直接、妻柱の台枠より上の部分にかかることになる。その場合には、妻柱111の固定部である溶接部113に大きなモーメント力がかかるため、溶接部113に過大な力が作用して溶接部113が破断する恐れがある。溶接部113が破断した場合、妻柱111が鉄道車両内部に侵入するため、運転室を大きく変形させ、運転士に被害を与える恐れがある。
(1)先頭車両の前面妻構体を構成するものであって、一端が台枠に固定された妻柱を有する鉄道車両において、妻柱は、台枠の下端面より突出した突出柱部を備えること、U字形状であって、U字の底部内面が突出柱部に当接され、U字の一対の直線部が台枠の下面に溶接接合されているU字部材を有すること、を特徴とする。
ここで、U字の底部が突出柱部に当接するとは、両者間の隙間に溶接部が形成され、溶接部を介して当接している場合も含むし、実際に部材同士が当接されている場合も含む。
(2)(1)に記載する鉄道車両において、U字部材の一対の直線部の先端に、直角に曲げられた直角曲げ部が形成されていること、台枠の下面に一対の穴が形成され、一対の穴に直角曲げ部が挿入されていること、を特徴とする。
(4)(3)に記載する鉄道車両において、切欠き部が溝形状であること、を特徴とする。
(1)先頭車両の前面妻構体を構成するものであって、一端が台枠に固定された妻柱を有する鉄道車両において、妻柱は、台枠の下端面より突出した突出柱部を備えること、U字形状であって、U字の底部内面が突出柱部に当接され、U字の一対の直線部が台枠の下面に溶接接合されているU字部材を有すること、を特徴とするので、U字部材の直線部を長くすれば、溶接部の長さを従来と比較して大きくでき、溶接部の強度を強くできるため、鉄道車両が大型トラック等と正面衝突する事故が発生した場合でも、U字部材の溶接部が破断することがない。確かに、妻柱の力を受けて台枠の上面が座屈し、妻柱が少し内側に向けて傾きが生じるが、妻柱が変形する量は従来と比較して格段に少ない。
したがって、妻柱が鉄道車両内部に侵入することが少なく、運転室を大きく変形させることがなく、運転士の安全を確保することができる。
図9に、前面妻構体21を構成する6本の妻柱11A、11B、11C、11D、11E、11Fを示す。6本の妻柱11A、11B、11C、11D、11E、11Fの下端部は、台枠10に固定されている。妻柱11A、11C、11D、11Fは、上端が屋根構体24に固定されている。妻柱11B、11Eは、上端が窓枠を構成する図示しない水平部材に固定されている。
妻柱11は、中空状パイプであり、断面が四角形状である。一辺の長さが約100mmである。台枠10の前面には、妻柱11を挿入するための凹部10aが形成されている。凹部10aの大きさは、妻柱11が挿入されたときに妻柱11の外周面と凹部10aの内周面との間に1〜2mm程度の隙間ができる大きさである。隙間を形成している理由は、妻柱11と凹部10aとを隅肉溶接したときに、溶接ビードがその隙間に入り込んで溶接部分の深さを大きくするためである。
いずれにしろ、(b)に示すように、妻柱11の台枠10より上部で外力Fが作用した場合、妻柱11と底部内面12aとは、圧縮方向の力を受けるため、妻柱11と底部内面12aとの間の溶接部13が破断する恐れは全くない。
妻柱11により、台枠10の凹部10aの上面端が塑性変形されるため、妻柱11も少し傾くことはあるが、傾きの程度は小さく、前面妻構体21を大きく変形させることはなく、運転士に被害を与える恐れがない。
したがって、妻柱11が鉄道車両20内部に侵入することが少なく、運転室を大きく変形させることがなく、運転士の安全を確保することができる。
図3に、第2の実施形態の妻柱11の台枠10への取付構造を示し、図4に、U字部材14の形状を示す。図3の(a)に、妻柱11を台枠10に固定する構造の底面図を示し、(b)に(a)のCC断面図を示し、(c)に(a)のDD断面図を示す。図4の(b)がU字部材14の平面図であり、(a)が側面図である。U字部材14は、U字の底部内面14a、一対の直線部14b、14cを備えている。第1実施の形態と相違しているのは、図4に示すように、U字部材14の一対の直線部14b、14cの先端が直角に折り曲げられており、直角曲げ部14d、14eが形成されている。また、台枠10には、直角曲げ部14d、14eに対応する位置に、一対の四角形状の穴10bが形成されている。直角曲げ部14d、14eは、各々穴10bに挿入されている。穴10bは、直角曲げ部14d、14eより少し大きく形成されており、その隙間を溶接している。隙間を設けているのは、組立し易くするためであり、その隙間部分を隅肉溶接することにより、深くまで溶接個所を侵入させ、溶接部分の長さを大きくするためである。
第2の実施形態では、溶接部13の他に、直角曲げ部14d、14eが、穴10bに当接することにより、U字部材14に作用する力を受けるため、U字部材14の溶接部13が破断するのを防止している。直角曲げ部14d、14eが穴10bに当接して受ける力は大きいため、U字部材14の破断荷重を大幅に増大することができる。
図5に、第3の実施形態の妻柱31の台枠10への取付構造を示す。(a)は、底面図であり、(b)は、(a)のEE断面図であり、(c)は、(a)のFF断面図である。図5に示すように、妻柱31の突出柱部31aに切欠き部31bが形成されており、切欠き部31bにU字部材12の底部12dが挿入されている。これにより、U字部材12の底部外面12eが、妻柱31の前面とほぼ同じ面を構成している。妻柱31の突出柱部31aは、切欠き部31bを形成しても強度的に問題ないように設計されている。
図6に、第4の実施形態の妻柱32の台枠10への取付構造を示す。(a)は、底面図であり、(b)は、(a)のGG断面図であり、(c)は、(a)のHH断面図である。図6に示すように、妻柱32の突出柱部32aに四角溝32bが形成されており、四角溝32bにU字部材12の底部12dが挿入されている。これにより、U字部材12の底部外面12eが、妻柱32の前面とほぼ同じ面を構成している。妻柱32の突出柱部32aは、四角溝32bを形成しても強度的に問題ないように設計されている。
例えば、本実施例では、妻柱11と凹部10aとの間に隙間を設けて、その隙間を利用して溶接部が隙間の中まで侵入するようにしているが、部品の精度を上げられるならば、隙間を小さくして始めから直接、妻柱11と凹部10aとを当接させても良い。
10a 凹部
10b 穴
11、31、32 妻柱
12、14 U字部材
12a 底部内面
12b、12c 直線部
13 溶接部
14d、14e 直角曲げ部
20 鉄道車両
21 前面妻構体
22、23 台車
25 車体
31a 突出柱部
31b 切欠き部
32a 突出柱部
32b 四角溝
Claims (4)
- 先頭車両の前面妻構体を構成するものであって、一端が台枠に固定された妻柱を有する鉄道車両において、
前記妻柱は、前記台枠の下端面より突出した突出柱部を備えること、
U字形状であって、U字の底部内面が前記突出柱部に当接され、U字の一対の直線部が前記台枠の下面に溶接接合されているU字部材を有すること、
を特徴とする鉄道車両。 - 請求項1に記載する鉄道車両において、
前記U字部材の前記一対の直線部の先端に、直角に曲げられた直角曲げ部が形成されていること、
前記台枠の下面に一対の穴が形成され、前記一対の穴に前記直角曲げ部が挿入されていること、
を特徴とする鉄道車両。 - 請求項1または請求項2に記載する鉄道車両において、
前記妻柱の前記突出柱部に切欠き部が形成されていること、
前記U字部材の底部が、前記切欠き部に挿入されることにより、前記U字部材の底部外面が前記妻柱の外周面と同じ面を形成していること、
を特徴とする鉄道車両。 - 請求項3に記載する鉄道車両において、
前記切欠き部が溝形状であること、
を特徴とする鉄道車両。
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