JP2020063823A - 密封装置 - Google Patents

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遠藤 哲也
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Abstract

【課題】密封対象物側が負圧になったとしても密封性能の低下を防止する。【解決手段】密封装置1は、密封装置本体2とスリンガ3とを備えている。密封装置本体2は、補強環10と弾性体部20とを有している。スリンガ3は、外周側に向かって延びる環状のフランジ部31を有している。弾性体部20は、内側に向かって延びる、フランジ部31に外側から接触する環状の端面リップ21を有している。端面リップ21は、端面リップ21の内側端部21aに、二股を形成する二股リップ部22と、端面リップ21の二股リップ部22よりも外側の部分であるリップ腕部23とを有している。二股リップ部22の各先端はフランジ部31に接触するようになっている。【選択図】図2

Description

本発明は、軸とこの軸が挿入される孔との間の密封を図るための密封装置に関する。
車両や汎用機械等において、例えば潤滑油等の密封対象物の漏洩の防止を図るために、軸とこの軸が挿入される孔との間を密封するために従来から密封装置が用いられている。このような密封装置においては、シールリップを軸に又は軸に取りつけられる環状部材に接触させることにより軸と密封装置との間の密封を図っている。密封のためのこのシールリップの軸との接触は軸に対する摺動抵抗(トルク抵抗)ともなっている。近年、車両等の低燃費化の要求から、密封装置には、軸に対する摺動抵抗の低減が求められており、密封性能を維持又は向上させつつ軸に対する摺動抵抗の低減を図ることができる構造が求められている。
密封装置の密封性能の向上にはシールリップの数を増やすことが考えられるが、シールリップの数を増やすことにより摺動抵抗が上昇してしまう。これに対して、シールリップの増加による密封ではなく、スリンガのフランジ部に摺動自在に密接する端面リップを設けることにより、密封性能の向上及び摺動抵抗の低下を図れる所謂端面シール型の密封装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第5964167号公報
上述のような密封装置は、自動車用エンジンのクランクシャフトのシール用部材としても用いられる。自動車用エンジンには、密封対象物側であるクランクケース内を負圧にするものがある。従来の密封装置は、密封対象物側が負圧になった場合に、端面リップの先端がスリンガのフランジ部の外側面から浮き上がってしまい、端面リップの先端とスリンガの外側面との間に間隙が生じて密封性能が低下してしまうことが考えられる。このように、従来の端面シール型の密封装置に対しては、密封対象物側が負圧になったとしても密封性能の低下を防止することができる構成が求められている。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、密封対象物側が負圧になったとしても密封性能の低下を防止することができる密封装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る密封装置は、軸と該軸が挿入される孔との間の環状の隙間の密封を図るための密封装置であって、前記孔に嵌着される密封装置本体と、前記軸に取り付けられるスリンガとを備え、前記密封装置本体は、軸線周りに環状の補強環と、前記補強環に取り付けられている弾性体から形成されている前記軸線周りに環状の弾性体部とを有しており、前記スリンガは、外周側に向かって延びる前記軸線周りに環状の部分であるフランジ部を有しており、前記弾性体部は、前記軸線方向において一方の側に向かって延びる、前記フランジ部に前記軸線方向において他方の側から接触する前記軸線周りに環状のリップである端面リップを有しており、前記端面リップは、該端面リップの前記一方の側の端部に、二股を形成する二股リップ部と、前記端面リップの前記二股リップ部よりも前記他方の側の部分であるリップ腕部とを有しており、前記二股リップ部の各先端が前記フランジ部に接触することを特徴とする。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記二股リップ部は、内周側に位置する環状の内周側リップ端と、外周側に位置する環状の外周側リップ端とを有しており、前記内周側リップ端は前記リップ腕部から前記一方の側に向かって内周側に傾いて延びており、前記外周側リップ端は前記リップ腕部から前記一方の側に向かって外周側に傾いて延びており、前記内周側リップ端と前記外周側リップ端とが二股を形成している。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記リップ腕部の少なくとも一部の剛性が、前記二股リップ部の剛性よりも高くなっている。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記補強環は、前記リップ腕部の前記他方の側の端部から前記リップ腕部の少なくとも一部に沿って延びるリップ腕部補強部を有している。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記リップ腕部の少なくとも一部の厚さが前記二股リップ部の前記内周側リップ端及び前記外周側リップ端の厚さよりも厚くなっている。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記リップ腕部の少なくとも一部は、前記二股リップ部の弾性体よりも高硬度の弾性体によって形成されている。
本発明に係る密封装置によれば、密封対象物側が負圧になったとしても密封性能の低下を防止することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る密封装置の概略構成を示すための、軸線に沿う断面における断面図である。 図1に示す密封装置の概略構成を示すための、軸線に沿う断面の一部を拡大して示す部分拡大断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る密封装置がハウジング及び軸孔に挿入された軸に取り付けられた使用状態における密封装置の部分拡大断面図である。 図1に示す密封装置における端面リップの各部の幾何学的構造を説明するための端面リップを拡大して示す部分拡大断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る密封装置の概略構成を示すための、軸線に沿う断面の一部を拡大して示す部分拡大断面図である。 図5に示す密封装置における端面リップの各部の幾何学的構造を説明するための端面リップ近傍の部分を拡大して示す部分拡大断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る密封装置の概略構成を示すための、軸線に沿う断面の一部を拡大して示す部分拡大断面図である。 図7に示す密封装置における端面リップの各部の幾何学的構造を説明するための端面リップの部分を拡大して示す部分拡大断面図である。 本発明の第4の実施の形態に係る密封装置の概略構成を示すための、軸線に沿う断面の一部を拡大して示す部分拡大断面図である。
以下、本発明の実施の形態に係る密封装置について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1の概略構成を示すための、軸線xに沿う断面における断面図であり、図2は、密封装置1の概略構成を示すための、軸線xに沿う断面の一部を拡大して示す部分拡大断面図である。本実施の形態に係る密封装置1は、軸とこの軸が挿入される孔との間の環状の隙間の密封を図るための密封装置であり、車両や汎用機械において、軸とハウジング等に形成されたこの軸が挿入される孔(軸孔)との間を密封するために用いられる。密封装置1は、例えば、エンジンのクランクシャフトとフロントカバーやシリンダブロック及びクランクケースに形成されている軸孔であるクランク孔との間の環状の空間を密封するために用いられる。なお、本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1が適用される対象は、上記に限られない。
以下、説明の便宜上、軸線x方向において矢印a(図1参照)方向側を内側とし、軸線x方向において矢印b(図1参照)方向側を外側とする。より具体的には、内側とは、密封対象空間の側(密封対象物側)であり潤滑油等の密封対象物が存在する空間の側であり、外側とは内側とは反対の側である。また、軸線xに垂直な方向(以下、「径方向」ともいう。)において、軸線xから離れる方向(図1の矢印c方向)を外周側とし、軸線xに近づく方向(図1の矢印d方向)を内周側とする。
本実施の形態に係る密封装置1は、後述する取付対象の孔に嵌着される密封装置本体2と、後述する取付対象の軸に取り付けられるスリンガ3とを備えている。密封装置本体2は、軸線x周りに環状の補強環10と、補強環10に取り付けられている弾性体から形成されている軸線x周りに環状の弾性体部20とを有している。スリンガ3は、外周側(矢印c方向側)に向かって延びる軸線x周りに環状の部分であるフランジ部31を有している。弾性体部20は、軸線x方向において一方の側(内側、矢印a方向側)に向かって延びる、フランジ部31に軸線x方向において他方の側(外側、矢印b方向側)から接触する軸線x周りに環状のリップである端面リップ21を有している。端面リップ21は、端面リップ21の一方の側(内側)の端部(内側端部21a)に、二股を形成する二股リップ部22と、端面リップ21の二股リップ部22よりも他方の側(外側)の部分であるリップ腕部23とを有している。二股リップ部22の各先端はフランジ部31に接触するようになっている。以下、密封装置1の構造を具体的に説明する。
密封装置本体2において補強環10は、図1,2に示すように、軸線xを中心又は略中心とする環状の金属製の部材であり、取付対象としての後述するハウジングの軸孔に密封装置本体2が圧入されて嵌合されて嵌着されるように形成されている。補強環10は、例えば、外周側に位置する筒状の部分である筒部11と、筒部11の外側の端部から内周側に延びる中空円盤状の部分である円盤部12と、円盤部12の内周側の端部から内側且つ内周側へ延びる円錐状の環状の部分である錐環部13と、錐環部13の内側又は内周側の端部から内周側へ径方向に延びて補強環10の内周側の端部に至る中空円盤状の部分である円盤部14とを有している。補強環10の筒部11は、より具体的には、外周側に位置する円筒状又は略円筒状の部分である外周側筒部11aと、外周側筒部11aから外側及び内周側に延びる円錘筒状又は略円錐筒状の部分である内周側筒部11bとを有している。筒部11の外周側筒部11aは、密封装置本体2が後述するハウジングの軸孔に嵌着された際に、密封装置本体2の軸線xと軸孔の軸線との一致が図られるように、軸孔に嵌め込まれる。補強環10には、概ね外周側及び外側から弾性体部20が取り付けられており、弾性体部20を補強している。
弾性体部20は、図1,2に示すように、補強環10の円盤部14の内周側の端の部分に取り付けられている部分である基体部25と、補強環10の筒部11に外周側から取り付けられている部分であるガスケット部26と、基体部25とガスケット部26との間において外側から補強環10に取り付けられている部分である後方カバー部27とを有している。ガスケット部26は、より具体的には、図2に示すように、補強環10の筒部11の内周側筒部11bに取り付けられている。また、ガスケット部26の外径は、後述する軸孔51の内周面51a(図3参照)の径よりも大きくなっている。このため、密封装置本体2が後述する軸孔51に嵌着された場合、ガスケット部26は、補強環10の内周側筒部11bと軸孔51との間で径方向に圧縮され、軸孔51と補強環10の内周側筒部11bとの間を密封する。これにより、密封装置本体2と軸孔51との間が密封される。ガスケット部26は、軸線x方向全体に亘って外径が軸孔51の内周面51aの径よりも大きくなっていなくてもよく、一部において外径が軸孔51の内周面51aの径よりも大きくなっていてもよい。例えば、ガスケット部26の外周側の面に、先端の径が軸孔51の内周面51aの径よりも大きい環状の凸部が形成されていてもよい。
また、弾性体部20において、端面リップ21は、軸線xを中心又は略中心として円環状に基体部25から内側(矢印a方向側)に向かって延びており、密封装置1が取付対象において所望の位置に取り付けられた後述する密封装置1の使用状態において、二股リップ部22の各先端が、所定のつぶし代だけ接触方向(軸線x方向)に変形されて所定の締め代を持って、スリンガ3のフランジ部31に外側から接触するように形成されている。
具体的には、図2に示すように、端面リップ21において、リップ腕部23が、基体部25から延びている部分であり、リップ腕部23は、内側に向かって外周側に傾いて延びており、例えば、軸線x方向において内側(矢印a方向)に向かうに連れて拡径する円錐筒状又は略円錐筒状の形状を有している。このため、図1,2に示すように、端面リップ21のリップ腕部23は、軸線xに沿う断面(以下、単に断面ともいう。)において、基体部25から内側及び外周側に、軸線xに対して斜めに延びている。
また、図2に示すように、端面リップ21において、二股リップ部22は、リップ腕部23に続く部分であり、リップ腕部23の外周側の端部(外周側端部23a)に接続している部分である。二股リップ部22は、内周側に位置する環状の内周側リップ端24aと、外周側に位置する環状の外周側リップ端24bとを有している。内周側リップ端24aは、リップ腕部23の外周側端部23aから内側に向かって内周側に傾いて延びており、外周側リップ端24bは、リップ腕部23の外周側端部23aから内側に向かって外周側に傾いて延びている。内周側リップ端24a及び外周側リップ端24bは、リップ腕部23の外周側端部23aから互いに離間していくように内側に延びており、二股を形成している。密封装置1において、内周側リップ端24aは、内周側リップ端24aの先端24c(内側の端部)がスリンガ3のフランジ部31の外側面31d(図3参照。)に所定の締め代を持って接触するようになっている。また、密封装置1において、外周側リップ端24bは、外周側リップ端24bの先端24d(内側の端部)がスリンガ3のフランジ部31の外側面31d(図3参照。)に所定の締め代を持って接触するようになっている。
二股リップ部22の内周側リップ端24aは、リップ腕部23の外周側端部23aから内側に向かって内周側に斜めに突出する環状の部分であり、軸線x方向において内側に向かうに連れて縮径する形状を有している。例えば、図2に示すように、内周側リップ端24aは、軸線xに沿って延びる円錐筒状又は略円錐筒状の形状となっている。
また、二股リップ部22の外周側リップ端24bは、リップ腕部23の外周側端部23aから内側に向かって外周側に斜めに突出する環状の部分であり、軸線x方向において内側に向かうに連れて拡径する形状を有している。例えば、図2に示すように、外周側リップ端24bは、軸線xに沿って延びる円錐筒状又は略円錐筒状の形状となっている。
また、弾性体部20は、ダストリップ28と中間リップ29とを有している。ダストリップ28は、基体部25から軸線xに向かって延びるリップであり、軸線xを中心又は略中心として円環状に基体部25から延びており、後述する密封装置1の使用状態において、先端部が所定の締め代を持ってスリンガ3に外周側から接触するように形成されている。ダストリップ28は、例えば、軸線x方向において外側(矢印b方向)に向かうに連れて縮径する円錐筒状又は略円錐筒状の形状を有している。ダストリップ28は、使用状態において、密封対象物側とは反対側である外側からダストや水分等の異物が密封装置1の内部に侵入することの防止を図っている。ダストリップ28は、密封装置1の使用状態においてスリンガ3と接触しないように形成されていてもよい。
中間リップ29は、図2に示すように、基体部25から内側に向かって延びるリップであり、軸線xを中心又は略中心として円環状に基体部25から延びており、基体部25との間に内側に向かって開放する環状の凹部を形成している。中間リップ29は、後述する密封装置1の使用状態において、スリンガ3と接触していない。中間リップ29は、使用状態において、端面リップ21の二股リップ部22とスリンガ3のフランジ部31との接触部を越えて密封対象物が内部に滲み入った場合に、ダストリップ28側へ流れ出すことの防止を図るために形成されている。図示の例では、この滲み入った密封対象物の基体部25との間に形成された凹部内への収容を図る形状に中間リップ29は形成されている。中間リップ29は、他の形状であってもよく、例えば軸線x方向において内側に向かうに連れて縮径する円錐筒状の形状を有していてもよい。中間リップ29は、その先端がスリンガ3に接触するように形成されていてもよい。
上述のように、弾性体部20は、端面リップ21、基体部25、ガスケット部26、後方カバー部27、ダストリップ28、及び中間リップ29を有している。各部分は一体となっており、弾性体部20は同一の材料から一体に形成されている。
上述の補強環10は、金属材から形成されており、この金属材としては、例えば、ステンレス鋼やSPCC(冷間圧延鋼)がある。また、弾性体部20の弾性体としては、例えば、各種ゴム材がある。各種ゴム材としては、例えば、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H−NBR)、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)等の合成ゴムである。
補強環10は、例えばプレス加工や鍛造によって製造され、弾性体部20は成形型を用いて架橋(加硫)成型によって成形される。この架橋成型の際に、補強環10は成形型の中に配置されており、弾性体部20が架橋接着により補強環10に接着され、弾性体部20と補強環10とが一体的に成形される。
スリンガ3は、後述する密封装置1の使用状態において軸に取り付けられる環状の部材であり、軸線xを中心又は略中心とする円環状の部材である。スリンガ3は、断面が略L字状の形状を有しており、フランジ部31と、フランジ部31の内周側の端部に接続する軸線x方向に延びる筒状又は略筒状の筒部33とを有している。
フランジ部31は、具体的には、筒部33から径方向に延びる中空円盤状の又は略中空円盤状の内周側円盤部31aと、内周側円盤部31aよりも外周側において広がっている径方向に延びる中空円盤状の又は略中空円盤状の外周側円盤部31bと、内周側円盤部31aの外周側の端部と外周側円盤部31bの内周側の端部とを接続する接続部31cとを有している。外周側円盤部31bは、内周側円盤部31aよりも軸線x方向において外側に位置している。なお、フランジ部31の形状は、上述の形状に限られるものではなく、適用対象に応じて種々の形状とすることができる。例えば、フランジ部31は、内周側円盤部31a及び接続部31cを有しておらず、外周側円盤部31bが筒部33まで延びており筒部33に接続しており、筒部33から径方向に延びる中空円盤状の又は略中空円盤状の部分であってもよい。
スリンガ3が端面リップ21の二股リップ部22の各先端(先端24c、24d)に接触する部分は、フランジ部31において、外周側円盤部31bの外側に面する面である外側面31dに位置されている。外側面31dは例えば径方向に広がる平面に沿う面である。
また、スリンガ3において、筒部33は、図2に示すように、少なくとも部分的に、円筒状又は略円筒状の部分である円筒部34を有しており、この円筒部34は軸に嵌着可能に形成されている。つまり、円筒部34が軸に締り嵌め可能となるように、円筒部34の内径が軸の外周面の径よりも小さくなっている。スリンガ3は、円筒部34が軸に締り嵌めされることにより固定されるものに限らず、筒部33において軸に接着されて固定されるものであってもよく、他の公知の固定方法によって軸に固定されるものであってもよい。なお、筒部33は、その全体が円筒部34によって形成されているものであってもよい。
スリンガ3は、金属材料から作られており、例えば、SPCC(冷間圧延鋼)を基材とし、SPCCにリン酸塩皮膜処理が施されて防錆処理がなされて作られている。リン酸塩皮膜処理としては、例えばリン酸亜鉛皮膜処理がある。防錆性能の高いスリンガ3により、端面リップ21に対する摺動部であるリップ接触部32に錆が発生することを抑制することができ、端面リップ21の密封機能や密封性能を長く維持することができる。スリンガ3の基材としては、ステンレス等の耐錆性、防錆性に優れている他の金属が用いられてもよい。また、スリンガ3の基材の防錆処理は、金属メッキ等の他の処理であってもよい。
次いで、上述の構成を有する密封装置1の作用について説明する。図3は、密封装置1が取付対象としてのハウジング50及びこのハウジング50に形成された貫通孔である軸孔51に挿入された軸52に取り付けられた使用状態における密封装置1の部分拡大断面図である。ハウジング50は、例えばエンジンのフロントカバー、又はシリンダブロック及びクランクケースであり、軸孔51は、フロントカバー、又はシリンダブロック及びクランクケースに形成されたクランク孔である。また、軸52は、例えば、クランクシャフトである。
図3に示すように、密封装置1の使用状態において、密封装置本体2は軸孔51に圧入されて軸孔51に嵌着されており、スリンガ3が軸52に締り嵌めされて軸52に取り付けられている。より具体的には、補強環10の外周側筒部11aが軸孔51の内周面51aに接触して、密封装置本体2の軸孔51に対する軸心合わせが図られ、また、弾性体部20のガスケット部26が軸孔51の内周面51aと補強環10の内周側筒部11bとの間で径方向に圧縮されてガスケット部26が軸孔51の内周面51aに密着して、密封装置本体2と軸孔51との間の密封が図られている。また、スリンガ3の円筒部34が軸52に圧入され、円筒部34の内周面35が軸52の外周面52aに密着し、軸52にスリンガ3が固定されている。
密封装置1の使用状態において、弾性体部20の端面リップ21の二股リップ部22が、内周側リップ端24a及び外周側リップ端24bの夫々の先端24c,24dにおいて、スリンガ3のフランジ部31の外周側円盤部31bの外側面31dに接触するように、密封装置本体2とスリンガ3との間の軸線x方向における相対位置が決められている。また、ダストリップ28は先端側の部分においてスリンガ3の筒部33に外周側から接触している。ダストリップ28は、例えば、スリンガ3の円筒部34の外周面36に接触している。
このように、密封装置1の使用状態において、端面リップ21は、二股リップ部22の各先端24c,24dにおいて、フランジ部31の外周側円盤部31bの外周面31dにフランジ部31が摺動可能に接触しており、端面リップ21及びスリンガ3は、その接触する部分を越えて密封対象物側から内部に潤滑油等の密封対象物が滲み出ることの防止を図っている。また、ダストリップ28はスリンガ3の筒部33が摺動可能に筒部33に接触しており、外部から内部への異物の進入の防止を図っている。
また、図3に示すように、使用状態において、ハウジング50内に負圧や正圧が発生していない状態(以下、無負荷状態ともいう。)では、二股リップ部22の内周側リップ端24aも外周側リップ端24bも共に、フランジ部31の外周側円盤部31bの外周面31dに接触している。
一方、使用状態において、ハウジング50内に負圧が発生している場合、端面リップ21に外力が働き、具体的には、端面リップ21を外側に引っ張る力が端面リップ21に働く。例えば自動車のエンジンには、運転時にクランクケース内が負圧とされているものがあり、ハウジング50がこのようなエンジンのクランクケースである場合、ハウジング50の内部が負圧になる。ハウジング50内に負圧が発生している時、端面リップ21を外側に引っ張る力によって、端面リップ21は、二股リップ部22がフランジ部31から浮き上がって、二股リップ部22とフランジ部31との接触が解除されるように、外側に引っ張られるか又は外側に弾性変形しようとする。しかしながら、この端面リップ21が引っ張られることによって又はこの端面リップ21の弾性変形によって、二股リップ部22の内周側リップ端24aはフランジ部31に押し付けられるため、二股リップ部22の内周側リップ端24aがストッパとなり、二股リップ部22がフランジ部31から浮き上がって二股リップ部22とフランジ部31との接触が解除されることが防止される。
このハウジング50内の負圧の発生時には、二股リップ部22の外周側リップ端24bとフランジ部31との接触が解除されていてもよく、二股リップ部22の外周側リップ端24bとフランジ部31との接触が解除されていなくてもよい。つまり、端面リップ21を引っ張る力又はこの引っ張る力による端面リップ21の弾性変形によって、二股リップ部22の外周側リップ端24bはフランジ部31から浮き上がり、二股リップ部22の外周側リップ端24bとフランジ部31との接触が解除される。又は、端面リップ21を引っ張る力又はこの引っ張る力による端面リップ21が弾性変形しても、二股リップ部22の外周側リップ端24bもフランジ部31から浮き上がることなく、二股リップ部22の外周側リップ端24bとフランジ部31との接触も解除されない。
なお、使用状態において、ハウジング50内に正圧が発生している場合、端面リップ21には端面リップ21をフランジ部31側に押し付ける力が作用するので、二股リップ部22の内周側リップ端24aも外周側リップ端24bも共に、フランジ部31の外周側円盤部31bの外周面31dに接触しており、二股リップ部22の外周側リップ端24bとフランジ部31との接触は解除されない。
このように、密封装置1によれば、端面リップ21の先端部(内側端部21a)に、内周側及び外周側に斜めに夫々延びて二股を形成する内周側リップ端24a及び外周側リップ端24bを有する二股リップ部22が形成されているので、ハウジング50内が負圧になっている場合でも、端面リップ21のスリンガ3のフランジ部31との接触を維持することができる。このため、ハウジング50内が負圧になっている場合でも、端面リップ21とフランジ部31とによるシール機能を維持することができ、端面リップ21の密封性能が低下することを防止することができる。
上述のように、本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1によれば、密封対象物側が負圧になったとしても密封性能の低下を防止することができる。
なお、密封装置1の端面リップ21が負圧状態において上述のように作用するためには、二股リップ部22の内周側リップ端24a及び外周側リップ端24bが所定の面圧でフランジ部31に押し付けられる必要がある。このために、二股リップ部22は所定の剛性を有するようになっている。例えば、図4に示すように二股リップ部22の各部の寸法が下記の式(1)〜(4)の関係を有するように、二股リップ部22は形成されている。
Figure 2020063823
Figure 2020063823
式(1),(2)における各値は以下の値を示す。
P:端面リップ21による密封に必要な単位奥行き(接触部の周方向長さ)当たりの線圧(N/mm)
δ:つぶし代(mm)
E:二股リップ部22のゴム硬度から求めたヤング率(Pa)
:外周側リップ端24bの延び方向の長さ(mm)
:内周側リップ端24aの延び方向の長さ(mm)
:外周側リップ端24bの断面二次モーメント(mm^4)
:内周側リップ端24aの断面二次モーメント(mm^4)
θ:軸線xに沿う断面における外周側リップ端24bとフランジ部31の外側面31dとのなす角度
θ:軸線xに沿う断面における内周側リップ端24aとフランジ部31の外側面31dとのなす角度
リップの密封に必要な単位奥行き当たりの線圧Pは、フランジ部31の表面粗さや密封対象物側に作用する圧力値から決める値である。なお、奥行きとは、リップが接触する部分の長さであり、リップが接触する部分の幅(締め代)が続く長さである。本実施の形態においては、奥行きとは、リップが接触する部分の周方向の長さであり、リップが接触する部分の幅(締め代)が続く周方向の長さである。二股リップ部22においては、内周側リップ端24a又は外周側リップ端24bがフランジ部31に接触する部分の周方向の長さである。また、つぶし代は、リップの接触方向(本実施の形態では軸線x方向)にリップが押し付けられる量である。
外周側リップ端24bの延び方向の長さLは、式(1)を満たす値となっており、式(1)から外周側リップ端24bの延び方向の長さLの上限が決まる。また、内周側リップ端24aの延び方向の長さLは、式(2)を満たす値となっており、式(2)から内周側リップ端24aの延び方向の長さLの上限が決まる。また、内周側リップ端24aの延び方向の長さL及び外周側リップ端24bの延び方向の長さLの下限値は、フランジ部31の外側面31dと二股リップ部22の底部22bとの間の接触方向における間隔である深さDとつぶし代δとの関係から決まる。具体的には、深さDはつぶし代δよりも大きいという条件から、下記の式(3),(4)が求められ、内周側リップ端24aの延び方向の長さL及び外周側リップ端24bの延び方向の長さLの下限値が決まる。なお、二股リップ部22の底部22bは、外側において内周側リップ端24aと外周側リップ端24bとが接続する部分である。
D=Lsinθ>δ (3)
D=Lsinθ>δ (4)
内周側リップ端24aの延び方向の長さL及び角度θは、式(2),(4)を満たす値となるように決められる。同様に、外周側リップ端24bの延び方向の長さL及び角度θは、式(1),(3)を満たす値となるように決められる。このように、二股リップ部22の幾何学的形状を決めることができる。
次いで、本発明の第2の実施の形態に係る密封装置4について説明する。図5は、本発明の第2の実施の形態に係る密封装置4の概略構成を示すための、軸線xに沿う断面の一部を拡大して示す部分拡大断面図である。本発明の第2の実施の形態に係る密封装置4は、上述の本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1に対して、密封装置本体の構成が異なり、密封装置1の密封装置本体2とは異なる密封装置本体5を有している。以下、密封装置4について、上述の密封装置1と同じ又は類似する機能を有する構成については、同一の符号を付してその説明を省略し、異なる構成についてのみを説明する。
密封装置4の密封装置本体5は、上述の密封装置本体2の補強環10とは異なる補強環60を有しており、また、上述の密封装置本体2の弾性体部20の端面リップ21とは異なる端面リップ71を有する弾性体部70を有している。密封装置4においては、端面リップ71のリップ腕部72の剛性が、二股リップ部22の剛性よりも高くなっている。
補強環60は、図5に示すように、リップ腕部71の外側の端部(外側端部71a)からリップ腕部71の少なくとも一部に沿って延びるリップ腕部補強部61を有している。リップ腕部補強部61は、外側から内側に向かって延びる環状の部分であり、二股リップ部22の付け根(付根部22a)まで延びている。リップ腕部補強部61は、例えば、図5に示すように、補強環60の円盤部14から延びている。リップ腕部補強部61は、補強環61の円盤部14から延びていなくてもよく、錐環部13等の補強環61の他の部分から延びていてもよい。また、リップ腕部補強部61は、例えば、図5に示すように、円筒状又は略円筒状となっている。リップ腕部補強部61の形状は、円筒状又は略円筒状に限られず、円錐筒状であってもよく、補強環60の部分から二股リップ部22の付根部22aまで延びる形状であればよい。
弾性体部70の端面リップ71において、リップ腕部72は、上述の密封装置1のリップ腕部23よりも外周側から延びており、補強環60のリップ腕部補強部61に沿ってリップ腕部補強部61の付根部61aからリップ腕部補強部61の先端部61bまで延びている。具体的には、リップ腕部72は、リップ腕部補強部61の内周側に面する面(内周面61c)に沿って付根部61aと先端部61bとの間に延びて、二股リップ部22の付根部22aに接続している。二股リップ部22は、リップ腕部補強部61の先端部61bに二股リップ部22の付根部22aが取り付けられて、リップ腕部補強部61に支持されている。密封装置4は、使用状態において、上述の密封装置1と同様に作用し、密封対象物側が負圧になったとしても密封性能の低下を防止することができる。
上述のように、密封装置4においては、上述の密封装置1の端面リップ21のリップ腕部23が、リップ腕部72とこれを補強する補強環60のリップ腕部補強部61とによって形成されている。このため、リップ腕部72の剛性は二股リップ部22の剛性よりも高くなっており、二股リップ部22は、上述の密封装置1における二股リップ部22よりも高い剛性を有する部材によって保持されている。このため、密封装置2の端面リップ71が無負荷状態、正圧状態、及び負圧状態において上述のように作用するために、二股リップ部22の内周側リップ端24a及び外周側リップ端24bが所定の面圧でフランジ部31に押し付けられる。
図示の例では、補強環60のリップ腕部補強部61はリップ腕部72の延び方向全体に亘ってリップ腕部72に沿って延びているが、リップ腕部補強部61はリップ腕部72の延び方向の一部に亘ってリップ腕部72に沿って延びていてもよい。具体的には、リップ腕部補強部61は、リップ腕部72の基体部25側の端部である付根部72aから、リップ腕部72の内側の端部である先端部72bと付根部72aとの間の部分まで、つまりリップ腕部72の延び方向の途中まで、リップ腕部72に沿って延びていてもよい。また、端面リップ71はリップ腕部72を有していなくてもよい。
なお、密封装置4の端面リップ71が負圧状態において上述のように作用するためには、二股リップ部22の内周側リップ端24a及び外周側リップ端24bが所定の面圧でフランジ部31に押し付けられる必要がある。このため、負圧発生時に、端面リップ71を引っ張る力によってリップ腕部72が折れ曲がらないようにするために、リップ腕部72及びリップ腕部補強部61が所定の剛性を有するようになっている。例えば、図6に示すように、補強環60のリップ腕部補強部61の寸法が下記の式(5)の関係を有するように、リップ腕部72及びリップ腕部補強部61は形成されている。
Figure 2020063823
式(5)における各値は以下の値を示す。
Em:補強環60のヤング率
Lm:リップ腕部補強部61の延び方向の長さ
Im:リップ腕部補強部61の断面二次モーメント
:二股リップ部22の外周側リップ端24bに作用する反力
:二股リップ部22の内周側リップ端24aに作用する反力
補強環60のリップ腕部補強部61の延び方向の長さLmは、式(5)を満たす値となるように決められる。このように、補強環60のリップ腕部補強部61及び端面リップ部71のリップ腕部72の幾何学的形状を決めることができる。
次いで、本発明の第3の実施の形態に係る密封装置6について説明する。図7は、本発明の第3の実施の形態に係る密封装置6の概略構成を示すための、軸線xに沿う断面の一部を拡大して示す部分拡大断面図である。本発明の第3の実施の形態に係る密封装置6は、上述の本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1に対して、密封装置本体の構成が異なり、密封装置1の密封装置本体2とは異なる密封装置本体7を有している。以下、密封装置6について、上述の密封装置1と同じ又は類似する機能を有する構成については、同一の符号を付してその説明を省略し、異なる構成についてのみを説明する。
密封装置6の密封装置本体7は、上述の密封装置本体2の弾性体部20の端面リップ21とは異なる端面リップ74を有する弾性体部73を有している。密封装置6においては、端面リップ74のリップ腕部75の剛性が、二股リップ部22の剛性よりも高くなっている。
密封装置6の密封装置本体7の弾性体部73において、端面リップ74は、上述のリップ腕部21と同様に二股リップ部22と基体部25とを接続するリップ腕部75を有しており、このリップ腕部75は、図7に示すように、その厚さが二股リップ部22の内周側リップ端24a及び外周側リップ端24bの厚さよりも厚くなっている。なお、厚さとは延び方向に直交する方向の幅である。密封装置6は、使用状態において、上述の密封装置1と同様に作用し、密封対象物側が負圧になったとしても密封性能の低下を防止することができる。
上述のように、密封装置6においては、端面リップ74のリップ腕部75の厚さが、二股リップ部22の内周側リップ端24a及び外周側リップ端24bの厚さよりも厚くなっており、リップ腕部75の剛性は二股リップ部22の剛性よりも高くなっており、リップ腕部75の剛性は上述のリップ腕部23の剛性よりも高くなっている。このため、二股リップ部22は、上述の密封装置1における二股リップ部22よりも高い剛性を有する部材によって保持されている。これにより、密封装置6の端面リップ74が無負荷状態、正圧状態、及び負圧状態において上述のように作用するために、二股リップ部22の内周側リップ端24a及び外周側リップ端24bが所定の面圧でフランジ部31に押し付けられる。
図示の例では、リップ腕部75の厚さは、リップ腕部75の延び方向全体に亘って、二股リップ部22の内周側リップ端24a及び外周側リップ端24bの厚さよりも厚くなっているが、リップ腕部75は、その厚さがリップ腕部75の延び方向の一部に亘って、二股リップ部22の内周側リップ端24a及び外周側リップ端24bの厚さよりも厚くなっていてもよい。
なお、密封装置6の端面リップ74が負圧状態において上述のように作用するためには、二股リップ部22の内周側リップ端24a及び外周側リップ端24bが所定の面圧でフランジ部31に押し付けられる必要がある。このため、負圧発生時に、端面リップ74を引っ張る力によってリップ腕部75が折れ曲がらないようにするために、リップ腕部75が所定の剛性を有するようになっている。例えば、図8に示すように、リップ腕部75の寸法が下記の式(6)の関係を有するように、リップ腕部75は形成されている。
Figure 2020063823
式(6)における各値は以下の値を示す。
Eg:リップ腕部75のヤング率
Lg:リップ腕部75の長さ
Ig:リップ腕部75の断面二次モーメント
θ:軸線xに沿う断面におけるリップ腕部75とフランジ部31の外側面31dとのなす角度
:二股リップ部22の外周側リップ端24bに作用する反力
:二股リップ部22の内周側リップ端24aに作用する反力
:二股リップ部22の外周側リップ端24bに作用するフランジ部31の摩擦力
:二股リップ部22の内周側リップ端24aに作用するフランジ部31の摩擦力
リップ腕部75の延び方向の長さLg及び角度θは、式(6)を満たす値となるように決められる。このように、端面リップ部74のリップ腕部75の幾何学的形状を決めることができる。
次いで、本発明の第4の実施の形態に係る密封装置8について説明する。図9は、本発明の第4の実施の形態に係る密封装置8の概略構成を示すための、軸線xに沿う断面の一部を拡大して示す部分拡大断面図である。本発明の第4の実施の形態に係る密封装置8は、上述の本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1に対して、弾性体部20を形成する弾性体が異なる。以下、密封装置8について、上述の密封装置1と同じ又は類似する機能を有する構成については、同一の符号を付してその説明を省略し、異なる構成についてのみを説明する。なお、密封装置8は、上述のように、弾性体部の材料のみが異なり、密封装置本体及びスリンガについては、密封装置1と同じ符号を付して説明する。
密封装置8の密封装置本体2の弾性体部20において、リップ腕部23の少なくとも一部は、二股リップ部22の弾性体よりも高硬度(高剛性)の材質の弾性体によって形成されている。例えば、図9に示すように、弾性体部20において、二股リップ部22以外の部分は、二股リップ部22を形成する弾性体よりも高硬度の材質を有する弾性体によって形成されている。弾性体部20における弾性体の材質の違いは、図示のような配置となっていなくてもよく、リップ腕部23の少なくとも一部が、二股リップ部22の弾性体よりも高硬度の材質の弾性体によって形成されていてもよい。例えば、弾性体部20において、二股リップ部22とリップ腕部23の二股リップ部22に続く二股リップ部22近傍の部分以外の部分が、これらの部分を形成する弾性体よりも高硬度の材質を有する弾性体によって形成されていてもよい。
密封装置8は、使用状態において、上述の密封装置1と同様に作用し、密封対象物側が負圧になったとしても密封性能の低下を防止することができる。また、上述のように、密封装置8においては、弾性体部20において、リップ腕部23の少なくとも一部が二股リップ部22を形成する弾性体よりも高硬度な材質の弾性体によって形成されており、リップ腕部23の剛性は二股リップ部22の剛性よりも高くなっており、リップ腕部23の剛性は上述の密封装置1におけるリップ腕部23の剛性よりも高くなっている。このため、二股リップ部22は、上述の密封装置1における二股リップ部22よりも高い剛性を有する部材によって保持されている。これにより、密封装置8の端面リップ21が無負荷状態、正圧状態、及び負圧状態において上述のように作用するために、二股リップ部22の内周側リップ端24a及び外周側リップ端24bが所定の面圧でフランジ部31に押し付けられる。
密封装置8は、密封対象物側が負圧状態において、二股リップ部22の内周側リップ端24a及び外周側リップ端24bが所定の面圧でフランジ部31に押し付けられるように、端面リップ21のリップ腕部23が上述の密封装置6におけるリップ腕部75と同様の幾何学的条件(式(6))を満たすようになっており、リップ腕部23が所定の剛性を有するようになっている。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記本発明の実施の形態に係る密封装置1,4,6,8、に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
弾性体部20,70,73は、ダストリップ28及び中間リップ29を有しているとしたが、弾性体部20は、ダストリップ28及び中間リップ29のいずれか一方又は両方を有していなくてもよい。
また、本実施の形態に係る密封装置1,4,6,8は、エンジンのクランク孔に適用されるものとしたが、本発明に係る密封装置の適用対象はこれに限られるものではなく、他の車両や汎用機械、産業機械等、本発明の奏する効果を利用し得るすべての構成に対して、本発明は適用可能である。
1,4,6,8…密封装置、2,5,7…密封装置本体、3…スリンガ、10,60…補強環、11…筒部、11a…外周側筒部、11b…内周側筒部、12…円盤部、13…錐環部、14…円盤部、20,70,73…弾性体部、21,71,74…端面リップ、21a…内側端部、22…二股リップ部、22a…付根部、22b…底部、23,72,75…リップ腕部、23a…外周側端部、24a…内周側リップ端、24b…外周側リップ端、24c,24d…先端、25…基体部、26…ガスケット部、27…後方カバー部、28…ダストリップ、29…中間リップ、31…フランジ部、31a…内周側円盤部、31b…外周側円盤部、31c…接続部、31d…外側面、33…筒部、34…円筒部、35…内周面、36…外周面、50…ハウジング、51…軸孔、51a…内周面、52…軸、52a…外周面、S…挟空間、61…リップ腕部補強部、61a…付根部、61b…先端部、61c…内周面、71a…外側端部、72a…付根部、72b…先端部

Claims (6)

  1. 軸と該軸が挿入される孔との間の環状の隙間の密封を図るための密封装置であって、
    前記孔に嵌着される密封装置本体と、
    前記軸に取り付けられるスリンガとを備え、
    前記密封装置本体は、軸線周りに環状の補強環と、前記補強環に取り付けられている弾性体から形成されている前記軸線周りに環状の弾性体部とを有しており、
    前記スリンガは、外周側に向かって延びる前記軸線周りに環状の部分であるフランジ部を有しており、
    前記弾性体部は、前記軸線方向において一方の側に向かって延びる、前記フランジ部に前記軸線方向において他方の側から接触する前記軸線周りに環状のリップである端面リップを有しており、
    前記端面リップは、該端面リップの前記一方の側の端部に、二股を形成する二股リップ部と、前記端面リップの前記二股リップ部よりも前記他方の側の部分であるリップ腕部とを有しており、
    前記二股リップ部の各先端が前記フランジ部に接触することを特徴とする密封装置。
  2. 前記二股リップ部は、内周側に位置する環状の内周側リップ端と、外周側に位置する環状の外周側リップ端とを有しており、前記内周側リップ端は前記リップ腕部から前記一方の側に向かって内周側に傾いて延びており、前記外周側リップ端は前記リップ腕部から前記一方の側に向かって外周側に傾いて延びており、前記内周側リップ端と前記外周側リップ端とが二股を形成していることを特徴とする請求項1記載の密封装置。
  3. 前記リップ腕部の少なくとも一部の剛性が、前記二股リップ部の剛性よりも高くなっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の密封装置。
  4. 前記補強環は、前記リップ腕部の前記他方の側の端部から前記リップ腕部の少なくとも一部に沿って延びるリップ腕部補強部を有していることを特徴とする請求項3記載の密封装置。
  5. 前記リップ腕部の少なくとも一部の厚さが前記二股リップ部の前記内周側リップ端及び前記外周側リップ端の厚さよりも厚くなっていることを特徴とする請求項3記載の密封装置。
  6. 前記リップ腕部の少なくとも一部は、前記二股リップ部の弾性体よりも高硬度の弾性体によって形成されていることを特徴とする請求項3記載の密封装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024037248A1 (zh) * 2022-08-16 2024-02-22 青岛海尔洗涤电器有限公司 洗衣机密封结构及洗衣机

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