JP2020041640A - 密封装置 - Google Patents

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吉村 健一
Kenichi Yoshimura
健一 吉村
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Nok株式会社
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Nok株式会社
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Abstract

【課題】密封対象物側が負圧になったとしても密封性能の低下を防止する。【解決手段】密封装置1は、密封装置本体2とスリンガ3とを備え、密封装置本体2は補強環10と弾性体部20とを有しており、スリンガ3は外周側に向かって延びるフランジ部31を有している。弾性体部20は、内側に向かって延びる、フランジ部31に外側から接触する端面リップ21と、内側に延びる端面リップ21よりも外周側に位置する外周側端面リップ40とを有している。外周側端面リップ40は、内側に向かって内周側に傾いて延びており、その先端41はフランジ部31に対向している。【選択図】図2

Description

本発明は、軸とこの軸が挿入される孔との間の密封を図るための密封装置に関する。
車両や汎用機械等において、例えば潤滑油等の密封対象物の漏洩の防止を図るために、軸とこの軸が挿入される孔との間を密封するために従来から密封装置が用いられている。このような密封装置においては、シールリップを軸に又は軸に取りつけられる環状部材に接触させることにより軸と密封装置との間の密封を図っている。密封のためのこのシールリップの軸との接触は軸に対する摺動抵抗(トルク抵抗)ともなっている。近年、車両等の低燃費化の要求から、密封装置には、軸に対する摺動抵抗の低減が求められており、密封性能を維持又は向上させつつ軸に対する摺動抵抗の低減を図ることができる構造が求められている。
密封装置の密封性能の向上にはシールリップの数を増やすことが考えられるが、シールリップの数を増やすことにより摺動抵抗が上昇してしまう。これに対して、シールリップの増加による密封ではなく、スリンガのフランジ部に摺動自在に密接する端面リップを設けることにより、密封性能の向上及び摺動抵抗の低下を図れる所謂端面シール型の密封装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第5964167号公報
上述のような密封装置は、自動車用エンジンのクランクシャフトのシール用部材としても用いられる。自動車用エンジンには、密封対象物側であるクランクケース内を負圧にするものがある。従来の密封装置は、密封対象物側が負圧になった場合に、端面リップの先端がスリンガのフランジ部の外側面から浮き上がってしまい、端面リップの先端とスリンガの外側面との間に間隙が生じて密封性能が低下しまうことが考えられる。このように、従来の端面シール型の密封装置に対しては、密封対象物側が負圧になったとしても密封性能の低下を防止することができる構成が求められている。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、密封対象物側が負圧になったとしても密封性能の低下を防止することができる密封装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る密封装置は、軸と該軸が挿入される孔との間の環状の隙間の密封を図るための密封装置であって、前記孔に嵌着される密封装置本体と、前記軸に取り付けられるスリンガとを備え、前記密封装置本体は、軸線周りに環状の補強環と、前記補強環に取り付けられている弾性体から形成されている前記軸線周りに環状の弾性体部とを有しており、前記スリンガは、外周側に向かって延びる前記軸線周りに環状の部分であるフランジ部を有しており、前記弾性体部は、前記軸線方向において一方の側に向かって延びる、前記フランジ部に前記軸線方向において他方の側から接触する前記軸線周りに環状のリップである端面リップと、前記一方の側に延びる前記端面リップよりも外周側に位置する前記軸線周りに環状のリップである外周側端面リップとを有しており、前記外周側端面リップは、前記一方の側に向かって内周側に傾いて延びており、前記外周側端面リップの先端は、前記軸線方向において前記フランジ部に対向していることを特徴とする。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記外周側端面リップの先端は、前記フランジ部に接触していない。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記外周側端面リップは、前記外周側端面リップが前記一方の側に変形した際に前記外周側端面リップの先端が前記フランジ部に接触するように形成されている。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記端面リップは、前記一方の側に向かって外周側に傾いて延びている。
本発明に係る密封装置によれば、密封対象物側が負圧になったとしても密封性能の低下を防止することができる。
本発明の実施の形態に係る密封装置の概略構成を示すための、軸線に沿う断面における断面図である。 図1に示す密封装置の概略構成を示すための、軸線に沿う断面の一部を拡大して示す部分拡大断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る密封装置がハウジング及び軸孔に挿入された軸に取り付けられた使用状態における密封装置の部分拡大断面図である。 参考例としての密封装置の概略構成を示すための、軸線に沿う断面の一部を拡大して示す部分拡大断面図である。 図1に示す密封装置における外周側端面リップの作用を説明するための図である。
以下、本発明の実施の形態に係る密封装置について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る密封装置1の概略構成を示すための、軸線xに沿う断面における断面図であり、図2は、本発明の実施の形態に係る密封装置1の概略構成を示すための、軸線xに沿う断面の一部を拡大して示す部分拡大断面図である。本実施の形態に係る密封装置1は、軸とこの軸が挿入される孔との間の環状の隙間の密封を図るための密封装置であり、車両や汎用機械において、軸とハウジング等に形成されたこの軸が挿入される孔(軸孔)との間を密封するために用いられる。密封装置1は、例えば、エンジンのクランクシャフトとフロントカバーやシリンダブロック及びクランクケースに形成されている軸孔であるクランク孔との間の環状の空間を密封するために用いられる。なお、本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1が適用される対象は、上記に限られない。
以下、説明の便宜上、軸線x方向において矢印a(図1参照)方向を内側とし、軸線x方向において矢印b(図1参照)方向を外側とする。より具体的には、内側とは、密封対象空間の側(密封対象物側)であり潤滑油等の密封対象物が存在する空間の側であり、外側とは内側とは反対の側である。また、軸線xに垂直な方向(以下、「径方向」ともいう。)において、軸線xから離れる方向(図1の矢印c方向)を外周側とし、軸線xに近づく方向(図1の矢印d方向)を内周側とする。
本実施の形態に係る密封装置1は、後述する取付対象の孔に嵌着される密封装置本体2と、軸に取り付けられるスリンガ3とを備えている。密封装置本体2は、軸線x周りに環状の補強環10と、補強環10に取り付けられている弾性体から形成されている軸線x周りに環状の弾性体部20とを有している。スリンガ3は、外周側(矢印c方向)に向かって延びる軸線x周りに環状の部分であるフランジ部31を有している。弾性体部20は、軸線x方向において一方の側(内側、矢印a方向)に向かって延びる、フランジ部31に軸線x方向において他方の側(外側、矢印b方向)から接触する軸線x周りに環状のリップである端面リップ21と、一方の側(内側)に延びる端面リップ21よりも外周側に位置する軸線x周りに環状のリップである外周側端面リップ40とを有している。外周側端面リップ40は、一方の側(内側)に向かって内周側に傾いて延びており、外周側端面リップ40の先端41は、軸線x方向においてフランジ部31に対向している。以下、密封装置1の構造を具体的に説明する。
密封装置本体2において補強環10は、図1,2に示すように、軸線xを中心又は略中心とする環状の金属製の部材であり、後述するハウジングの軸孔に密封装置本体2が圧入されて嵌合されて嵌着されるように形成されている。補強環10は、例えば、外周側に位置する筒状の部分である筒部11と、筒部11の外側の端部から内周側に延びる中空円盤状の部分である円盤部12と、円盤部12の内周側の端部から内側且つ内周側へ延びる円錐状の環状の部分である錐環部13と、錐環部13の内側又は内周側の端部から内周側へ径方向に延びて補強環10の内周側の端部に至る中空円盤状の部分である円盤部14とを有している。補強環10の筒部11は、より具体的には、外周側に位置する円筒状又は略円筒状の部分である外周側筒部11aと、外周側筒部11aから外側及び内周側に延びる円錘筒状又は略円錐筒状の部分である内周側筒部11bとを有している。筒部11の外周側筒部11aは、密封装置本体2が後述するハウジングの軸孔に嵌着された際に、密封装置本体2の軸線xと軸孔の軸線との一致が図られるように、軸孔に嵌め込まれる。補強環10には、略外周側及び外側から弾性体部20が取り付けられており、弾性体部20を補強している。
弾性体部20は、図1,2に示すように、補強環10の円盤部14の内周側の端の部分に取り付けられている部分である基体部25と、補強環10の筒部11に外周側から取り付けられている部分であるガスケット部26と、基体部25とガスケット部26との間において外側から補強環10に取り付けられている部分である後方カバー部27とを有している。ガスケット部26は、より具体的には、図2に示すように、補強環10の筒部11の内周側筒部11bに取り付けられている。また、ガスケット部26の外径は、後述する軸孔51の内周面51a(図3参照)の径よりも大きくなっている。このため、密封装置本体2が後述する軸孔に嵌着された場合、ガスケット部26は、補強環10の内周側筒部11bと軸孔との間で径方向に圧縮され、軸孔と補強環10の内周側筒部11bとの間を密封する。これにより、密封装置本体2と軸孔との間が密封される。ガスケット部26は、軸線x方向全体に亘って外径が軸孔51の内周面51aの径よりも大きくなっていなくてもよく、一部において外径が軸孔51の内周面51aの径よりも大きくなっていてもよい。例えば、ガスケット部26の外周側の面に、先端の径が補強環10の外周側筒部11aの外径よりも大きい環状の凸部が形成されていてもよい。
また、弾性体部20において、端面リップ21は、軸線xを中心又は略中心として円環状に基体部25から内側(矢印a方向)に向かって延びており、密封装置1が取付対象において所望の位置に取り付けられた後述する密封装置1の使用状態において、先端23が所定の締め代(スリンガ接触部24)を持ってスリンガ3のフランジ部31に外側から接触するように形成されている。端面リップ21は、内側に向かって外周側に傾いて延びており、例えば、軸線x方向において内側(矢印a方向)に向かうに連れて拡径する円錐筒状の形状を有している。つまり、図1,2に示すように、端面リップ21は、軸線xに沿う断面(以下、単に断面ともいう。)において、基体部25から内側及び外周側に、軸線xに対して斜めに延びている。
また、弾性体部20は、ダストリップ28と中間リップ29とを有している。ダストリップ28は、基体部25から軸線xに向かって延びるリップであり、軸線xを中心又は略中心として円環状に基体部25から延びており、後述する密封装置1の使用状態において、先端部が所定の締め代を持ってスリンガ3に外周側から接触するように形成されている。ダストリップ28は、例えば、軸線x方向において外側(矢印b方向)に向かうに連れて縮径する円錐筒状の形状を有している。ダストリップ28は、使用状態において、密封対象物側とは反対側である外側からダストや水分等の異物が密封装置1の内部に侵入することの防止を図っている。ダストリップ28は、密封装置1の使用状態においてスリンガ3と接触しないように形成されていてもよい。
中間リップ29は、図2に示すように、基体部25から断面略L字型に内側に向かって延びるリップであり、軸線xを中心又は略中心として円環状に基体部25から延びており、基体部25との間に内側に向かって開放する環状の凹部を形成している。中間リップ29は、後述する密封装置1の使用状態において、スリンガ3と接触していない。中間リップ29は、使用状態において、端面リップ21のスリンガ3と接触するスリンガ接触部24を越えて密封対象物が内部に滲み入った場合に、ダストリップ28側へ流れ出すことの防止を図るために形成されている。図示の例では、この滲み入った密封対象物の基体部25との間に形成された凹部内への収容を図る形状に中間リップ29は形成されている。中間リップ29は、他の形状であってもよく、例えば軸線x方向において内側に向かうに連れて縮径する円錐筒状の形状を有していてもよい。中間リップ29は、その先端がスリンガ3に接触するように形成されていてもよい。
外周側端面リップ40は、図2に示すように、弾性体部20において、端面リップ21よりも外周側に設けられている。外周側端面リップ40は、軸線xを中心又は略中心として円環状に補強環10の筒部11の内周側から内周側及び内側に向かって斜めに延びており、外周側端面リップ40は、外周側端面リップ40が内側に変形した際に外周側端面リップ40の先端41がフランジ部31の外側面31dに接触するように形成されている。これにより、密封装置1が取付対象において所望の位置に取り付けられた後述する密封装置1の使用状態において、内側が負圧となった場合に、先端41がスリンガ3のフランジ部31に外側(空間6に面する側)から接触する。外周側端面リップ40は、例えば、軸線x方向において内側に向かうに連れて縮径する円錐筒状の形状を有している。
外周側端面リップ40は、その根元42から内側にあるフランジ部31の外周側端部31eの近傍における外側面31dに向かって、内周側に傾斜して延びている。外周側端面リップ40は、図2に示すように、端面リップ21とはスリンガ3に対して延び出ている方向が逆である。外周側端面リップ40の先端41は、使用状態において外力が働いていない自由状態において、スリンガ3のフランジ部31の外側面31dから離間して軸線x方向において対向しており、先端41と外側面31dとの間に間隙43を生じている。
上述のように、弾性体部20は、端面リップ21、基体部25、ガスケット部26、後方カバー部27、ダストリップ28、中間リップ29、及び外周側端面リップ40を有している。各部分は一体となっており、弾性体部20は同一の材料から一体に形成されている。
上述の補強環10は、金属材から形成されており、この金属材としては、例えば、ステンレス鋼やSPCC(冷間圧延鋼)がある。また、弾性体部20の弾性体としては、例えば、各種ゴム材がある。各種ゴム材としては、例えば、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H−NBR)、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)等の合成ゴムである。
補強環10は、例えばプレス加工や鍛造によって製造され、弾性体部20は成形型を用いて架橋(加硫)成型によって成形される。この架橋成型の際に、補強環10は成形型の中に配置されており、弾性体部20が架橋接着により補強環10に接着され、弾性体部20と補強環10とが一体的に成形される。
スリンガ3は、後述する密封装置1の使用状態において軸に取り付けられる環状の部材であり、軸線xを中心又は略中心とする円環状の部材である。スリンガ3は、断面が略L字状の形状を有しており、フランジ部31と、フランジ部31の内周側の端部に接続する軸線x方向に延びる筒状又は略筒状の筒部33とを有している。
フランジ部31は、具体的には、筒部33から径方向に延びる中空円盤状の又は略中空円盤状の内周側円盤部31aと、内周側円盤部31aよりも外周側において広がっている径方向に延びる中空円盤状の又は略中空円盤状の外周側円盤部31bと、内周側円盤部31aの外周側の端部と外周側円盤部31bの内周側の端部とを接続する接続部31cとを有している。外周側円盤部31bは、内周側円盤部31aよりも軸線x方向において外側に位置している。なお、フランジ部31の形状は、上述の形状に限られるものではなく、適用対象に応じて種々の形状とすることができる。例えば、フランジ部31は、内周側円盤部31a及び接続部31cを有しておらず、外周側円盤部31bが筒部33まで延びており筒部33に接続しており、筒部33から径方向に延びる中空円盤状の又は略中空円盤状の部分であってもよい。
スリンガ3が端面リップ21に接触する部分であるリップ接触部32は、フランジ部31において、外周側円盤部31bの外側に面する面である外側面31dに位置されている。外側面31dは径方向に広がる平面に沿う面であることが好ましい。
また、スリンガ3において、筒部33は、図2に示すように、少なくとも部分的に、円筒状又は略円筒状の部分である円筒部34を有しており、この円筒部34は軸に嵌着可能に形成されている。つまり、円筒部34が軸に締り嵌め可能となるように、円筒部34の内径が軸の外周面の径よりも小さくなっている。スリンガ3は、円筒部34が軸に締り嵌めされることにより固定されるものに限らず、筒部33において軸に接着されて固定されるものであってもよく、他の公知の固定方法によって軸に固定されるものであってもよい。なお、筒部33は、その全体が円筒部34によって形成されているものであってもよい。
スリンガ3は、金属材料から作られており、例えば、SPCC(冷間圧延鋼)を基材とし、SPCCにリン酸塩皮膜処理が施されて防錆処理がなされて作られている。リン酸塩皮膜処理としては、例えばリン酸亜鉛皮膜処理がある。防錆性能の高いスリンガ3により、端面リップ21に対する摺動部であるリップ接触部32に錆が発生することを抑制することができ、端面リップ21の密封機能や密封性能を長く維持することができる。スリンガ3の基材としては、ステンレス等の耐錆性、防錆性に優れている他の金属が用いられてもよい。また、スリンガ3の基材の防錆処理は、金属メッキ等の他の処理であってもよい。
次いで、上述の構成を有する密封装置1の作用について説明する。図3は、密封装置1が取付対象としてのハウジング50及びこのハウジング50に形成された貫通孔である軸孔51に挿入された軸52に取り付けられた使用状態における密封装置1の部分拡大断面図である。図3において外周側端面リップ40は、外力が加えられていない自由状態で示されている。ハウジング50は、例えばエンジンのフロントカバー、又はシリンダブロック及びクランクケースであり、軸孔51は、フロントカバー、又はシリンダブロック及びクランクケースに形成されたクランク孔である。また、軸52は、例えば、クランクシャフトである。
図3に示すように、密封装置1の使用状態において、密封装置本体2は軸孔51に圧入されて軸孔51に嵌着されており、スリンガ3が軸52に締り嵌めされて軸52に取り付けられている。より具体的には、補強環10の外周側筒部11aが軸孔51の内周面51aに接触して、密封装置本体2の軸孔51に対する軸心合わせが図られ、また、弾性体部20のガスケット部26が軸孔51の内周面51aと補強環10の内周側筒部11bとの間で径方向に圧縮されてガスケット部26が軸孔51の内周面51aに密着して、密封装置本体2と軸孔51との間の密封が図られている。また、スリンガ3の円筒部34が軸52に圧入され、円筒部34の内周面35が軸52の外周面52aに密着し、軸52にスリンガ3が固定されている。
密封装置1の使用状態において、弾性体部20の端面リップ21が、内周面22の先端23側の部分であるスリンガ接触部24において、スリンガ3のフランジ部31の外周側円盤部31bの外側面31dの部分であるリップ接触部32に接触するように、密封装置本体2とスリンガ3との間の軸線x方向における相対位置が決められている。また、ダストリップ28は先端側の部分においてスリンガ3の筒部33に外周側から接触している。ダストリップ28は、例えば、スリンガ3の円筒部34の外周面36に接触している。
このように、密封装置1の使用状態において、端面リップ21は、スリンガ接触部24において、フランジ部31のリップ接触部32にスリンガ3がリップ接触部32において摺動可能に接触しており、端面リップ21及びスリンガ3は、スリンガ接触部24及びリップ接触部32を越えて密封対象物側から内部に潤滑油等の密封対象物が滲み出ることの防止を図っている。また、ダストリップ28はスリンガ3の筒部33が摺動可能に筒部33に接触しており、外部から内部への異物の進入の防止を図っている。
また、図3に示すように、使用状態において、ハウジング50内に負圧が発生していない場合は、外周側端面リップ40に外力が働かず、外周側端面リップ40は図1,2に示したような自由状態にあり、外周側端面リップ40の先端41は、スリンガ3のフランジ部31に接触しておらず、先端41とフランジ部31の外側面31dとの間には間隙43が形成されている。一方、使用状態において、ハウジング50内に負圧が発生している場合、外周側端面リップ40に外力が働き、具体的には、外周側端面リップ40を軸線x方向において内側(ハウジング50の内部側)に引っ張る力が外周側端面リップ40に加わる。また、ハウジング50内に負圧が発生している場合、端面リップ21にも外力が働き、具体的には、端面リップ21の先端23をフランジ部31の外側面31dから引き離すように引っ張る力が端面リップ21に加わる。例えば自動車のエンジンには、運転時にクランクケース内が負圧とされているものがあり、ハウジング50がこのようなエンジンのクランクケースである場合、ハウジング50の内部が負圧になる。
図4は、参考例の密封装置100の概略構成を示すための、軸線xに沿う断面における断面図である。図4に示すように、参考例の密封装置100は、本実施の形態に係る密封装置1に対して、外周側端面リップ40を有していない点で異なる。図4に示すように、参考例の密封装置100は、ハウジング50内(密封対象物側)が負圧になった場合に、端面リップ21の先端23がフランジ部31の外側面31dのスリンガ接触部24から浮き上がり、端面リップ21の先端23とフランジ部31の外側面31dとの間に間隙Vが生じてしまうことがある。この間隙Vが形成されてしまうと、密封対象物である液体は、間隙Vから滲み出てしまう場合がある。
一方、上述のように、密封装置1は、外周側端面リップ40を有しており、外周側端面リップ40は、その根元42から内側且つ内周側に向かって軸線xに対して斜めに先端41まで延びており、その先端41が、間隙43を空けてフランジ部31の外側面31dに対向している(図3参照)。つまり、外周側端面リップ40は、スリンガ3に向かって延びている方向が端面リップ21とは逆である。このため、外周側端面リップ40は、ハウジング50内が負圧になった場合に、端面リップ21とは逆に、負圧により先端41をフランジ部31の外側面31dに近づける力を受ける。そして、先端41がフランジ部31の外側面31dの方向に移動することにより、図5に示すように、外周側端面リップ40は、使用状態においてハウジング50内が負圧となった場合に、先端41がスリンガ3のフランジ部31の外側面31dに接触する。外周側端面リップ40は負圧を受けて変形して、図2に示した外周側端面リップ40の先端41とスリンガ3のフランジ部31の外側面31dとの間の間隙43を塞ぐことができる。つまり、外周側端面リップ40は、密封対象物の進入経路において端面リップ21よりも密封対象物側(内側)である空間6に設けられていることにより、使用状態においてハウジング50内が負圧となった際に、密封対象物の進入経路を端面リップ21よりも密封対象物側で密封することができる。
従って、密封装置1によれば、端面リップ21よりも密封対象物側に外周側端面リップ40を備えることにより、ハウジング50内が負圧になっている場合でも、端面リップ21よりも密封対象物側において密封対象物の進入を防止することができ、端面リップ21の先端23の位置を問わず、端面リップ21を超えて挟空間Sに密封対象物が滲み出ることを防止することができる。このように、負圧時の密封装置1の密封性能の低下を防止することができる。また、密封装置1によれば、図2に示すように、負圧時以外は外周側端面リップ40がフランジ部31の外側面31dから離間するため、密封性能を維持又は向上させつつ軸に対する摺動抵抗の低減を図ることができる。
上述のように、本発明の実施の形態に係る密封装置1によれば、密封対象物側が負圧になったとしても密封性能の低下を防止することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記本発明の実施の形態に係る密封装置1に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
弾性体部20は、ダストリップ28及び中間リップ29を有しているとしたが、弾性体部20は、ダストリップ28及び中間リップ29のいずれか一方又は両方を有していなくてもよい。
また、本実施の形態に係る密封装置1は、エンジンのクランク孔に適用されるものとしたが、本発明に係る密封装置の適用対象はこれに限られるものではなく、他の車両や汎用機械、産業機械等、本発明の奏する効果を利用し得るすべての構成に対して、本発明は適用可能である。
1…密封装置、2…密封装置本体、3…スリンガ、6…空間、10…補強環、11…筒部、11a…外周側筒部、11b…内周側筒部、12…円盤部、13…錐環部、14…円盤部、20…弾性体部、21…端面リップ、22…内周面、23…先端、24…スリンガ接触部、25…基体部、26…ガスケット部、26a…端部、27…後方カバー部、28…ダストリップ、29…中間リップ、31…フランジ部、31a…内周側円盤部、31b…外周側円盤部、31c…接続部、31d…外側面、31e…外周側端部、32…リップ接触部、33…筒部、34…円筒部、35…内周面、36…外周面、40…外周側端面リップ、41…先端、42…根元、43…間隙、50…ハウジング、51…軸孔、51a…内周面、52…軸、52a…外周面、S…挟空間

Claims (4)

  1. 軸と該軸が挿入される孔との間の環状の隙間の密封を図るための密封装置であって、
    前記孔に嵌着される密封装置本体と、
    前記軸に取り付けられるスリンガとを備え、
    前記密封装置本体は、軸線周りに環状の補強環と、前記補強環に取り付けられている弾性体から形成されている前記軸線周りに環状の弾性体部とを有しており、
    前記スリンガは、外周側に向かって延びる前記軸線周りに環状の部分であるフランジ部を有しており、
    前記弾性体部は、前記軸線方向において一方の側に向かって延びる、前記フランジ部に前記軸線方向において他方の側から接触する前記軸線周りに環状のリップである端面リップと、前記一方の側に延びる前記端面リップよりも外周側に位置する前記軸線周りに環状のリップである外周側端面リップとを有しており、
    前記外周側端面リップは、前記一方の側に向かって内周側に傾いて延びており、前記外周側端面リップの先端は、前記軸線方向において前記フランジ部に対向していることを特徴とする密封装置。
  2. 前記外周側端面リップの先端は、前記フランジ部に接触していないことを特徴とする請求項1に記載の密封装置。
  3. 前記外周側端面リップは、前記外周側端面リップが前記一方の側に変形した際に前記外周側端面リップの先端が前記フランジ部に接触するように形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の密封装置。
  4. 前記端面リップは、前記一方の側に向かって外周側に傾いて延びていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の密封装置。

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